JP2001343625A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

Info

Publication number
JP2001343625A
JP2001343625A JP2001032773A JP2001032773A JP2001343625A JP 2001343625 A JP2001343625 A JP 2001343625A JP 2001032773 A JP2001032773 A JP 2001032773A JP 2001032773 A JP2001032773 A JP 2001032773A JP 2001343625 A JP2001343625 A JP 2001343625A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
voltage
capacitance
input image
display device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001032773A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001343625A5 (ja
JP3660886B2 (ja
Inventor
Takako Adachi
貴子 足立
Makoto Shiomi
誠 塩見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2001032773A priority Critical patent/JP3660886B2/ja
Priority to TW090106756A priority patent/TW513598B/zh
Priority to US09/820,021 priority patent/US20010038369A1/en
Priority to KR1020010016638A priority patent/KR100641249B1/ko
Publication of JP2001343625A publication Critical patent/JP2001343625A/ja
Priority to US10/622,870 priority patent/US7084846B2/en
Publication of JP2001343625A5 publication Critical patent/JP2001343625A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3660886B2 publication Critical patent/JP3660886B2/ja
Priority to KR1020060055375A priority patent/KR100676479B1/ko
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高域レベルの応答速度を改善した液晶表示装
置を提供する。 【解決手段】 TFT駆動型の液晶パネルが有する複数
の絵素容量のそれぞれは、液晶容量と、液晶容量に電気
的に並列に接続された蓄積容量とを有し、蓄積容量の液
晶容量に対する容量比が1以上であって、絵素容量は、
少なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1垂直期
間に亘って充電電圧の90%以上を保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に関
し、特に、動画表示に好適に用いられる液晶表示装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、例えばパーソナルコン
ピュータ、ワードプロセッサ、アミューズメント機器、
テレビ装置などに用いられている。液晶表示装置の応答
特性を改善し、高画質の動画表示を得るための検討がな
されている。
【0003】特開平4−288589号公報は、中間調
表示での応答速度を高速化して残像を低減するため、高
域成分を予め強調した入力画像信号を液晶表示部に供給
することにより、応答の立ち上がりおよび立ち下がりを
高速化した液晶表示装置を開示している。なお、液晶表
示装置(液晶パネル)における「応答速度」は、液晶層
の配向状態が印加された電圧に対応した配向状態に達す
るのに要する時間(応答時間)の逆数に相当する。図1
4を参照しながら、この液晶表示装置の駆動回路の構成
を説明する。
【0004】上記の液晶表示装置の駆動回路は、入力画
像信号S(t)の少なくとも一枚のフィールド画像を保
持する画像用記憶回路61と、この記憶回路61に保持
された画像信号と入力画像信号S(t)とから各絵素の
時間軸方向のレベル変動を検出して時間軸方向に高域強
調フィルタをかける時間軸フィルタ回路63とを備えて
いる。入力画像信号S(t)は、ビデオ信号をR、G、
B信号に分解した後の信号であるが、R、G、B信号に
対して同じ処理になるので、ここではそれらのうちの1
チャンネルのみ示している。
【0005】入力画像信号S(t)は、少なくとも1フ
ィールド分の画像信号を記憶する画像用記憶回路61に
保持される。差分器62は、入力画像信号S(t)と画
像用記憶回路61とから、対応する各絵素信号の差をと
るもので、1フィールドの間の信号レベルの変化を検出
するレベル変化検出回路となっている。この差分器62
から得られる時間軸方向の差信号Sd(t)は、入力画
像信号S(t)と共に時間軸フィルタ回路63に入力さ
れる。
【0006】時間軸フィルタ回路63は、差信号Sd
(t)に応答速度に応じた重み係数αをかける重み付け
回路66と、重み付けられた差信号と入力画像信号S
(t)とを加算する加算器67とから構成されている。
時間軸フィルタ回路63は、レベル変動検出回路の出力
と入力画像信号の各絵素の入力レベルとによりフィルタ
特性が変化させられる適応型フィルタ回路である。この
時間軸フィルタ回路63によって入力画像信号S(t)
は時間軸方向の高域が強調される。
【0007】こうして得られた高域強調信号は、極性反
転回路64によって交流信号に変換され、液晶表示部6
5に供給される。液晶表示部65は、複数本のデータ信
号配線とこれと交差する複数本の走査信号配線の各交差
部に表示電極(絵素電極ともいう。)を持つ、アクティ
ブマトリクス方式の液晶表示部である。
【0008】図15は、この駆動回路により応答特性が
改善される様子を示す信号波形である。説明を分かり易
くするために、入力画像信号S(t)が1フィールド周
期で変化するものとし、図では2フィールドで信号レベ
ルが急激に変化している場合を示している。この場合、
時間軸方向における入力画像信号S(t)の変化、すな
わち差信号Sd(t)は図に示すように、入力画像信号
S(t)が正に変化するときに1フィールド間に亘り正
となり、負に変化するときに1フィールド間に亘り負と
なる。
【0009】基本的にはこの差信号Sd(t)を入力画
像信号S(t)に加えることにより、高域強調ができ
る。実際には、入力画像信号S(t)の変化の程度と透
過率の変化の程度との関係は、液晶層の応答速度に依存
するので、オーバーシュートが生じない範囲で補正する
ように重み係数αを決める。その結果、図15に示した
ような高域強調された高域補正信号Sc(t)が液晶表
示部に入力されることにより、光学応答特性I(t)
は、破線で示す従来のものに対して、実線で示すように
改善される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示されている駆動方法には、有効な高域強調がで
きる入力画像信号S(t)に制限があるという問題があ
った。つまり、高域補正信号Sc(t)は、高域限度信
号(ここでは、液晶表示部に入力される入力画像信号S
(t)の中で最も電圧の高い信号と定義する。)を超え
ることはできないので、高域補正信号Sc(t)≦高域
限度信号の場合には、入力画像信号の高域強調は可能で
あるが、高域補正信号Sc(t)>高域限度信号の場合
には、十分な透過率変化を起こすほどの補正信号を液晶
表示部に入力することができない。従って、中間調レベ
ルでは応答速度が高速化するが、高域になるほど(液晶
表示部に印加する電圧が高くなるほど)光学応答特性を
改善する効果が小さくなる。
【0011】本発明は、上記の問題に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、少なくとも高域レベルの応答特
性を改善した液晶表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、マトリクス状に配置された複数の絵素容量と、前記
複数の絵素容量のそれぞれに電気的に接続された薄膜ト
ランジスタとを有する液晶パネルと、前記液晶パネルに
駆動電圧を供給する駆動回路とを有し、前記複数の絵素
容量が入力画像信号に対応する充電状態となることによ
って、1垂直期間毎に表示を更新する液晶表示装置であ
って、前記複数の絵素容量のそれぞれは、絵素電極と、
対向電極と、前記絵素電極と前記対向電極との間に設け
られた液晶層とから形成される液晶容量と、前記液晶容
量に電気的に並列に接続された蓄積容量とを有し、前記
蓄積容量の前記液晶容量に対する容量比が1以上であっ
て、前記絵素容量は、少なくとも最高の階調電圧が印加
されたとき、1垂直期間に亘って充電電圧の90%以上
を保持し、そのことによって、上記目的が達成される。
【0013】前記駆動回路は、1垂直期間前の入力画像
信号と現垂直期間の入力画像信号の組合せに応じて、予
め決められた、現垂直期間の入力画像信号に対応する階
調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を、前記液晶
パネルに供給する構成であることが好ましい。
【0014】前記駆動回路は、全ての階調の入力画像信
号について、現垂直期間の入力画像信号に対応する階調
電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を前記液晶パネ
ルに供給する構成としてもよい。
【0015】前記液晶パネルが有する前記液晶層は、正
の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を有し、前
記複数の絵素容量のそれぞれに含まれる前記液晶層は、
配向方向が互いに異なる第1領域と第2領域とを有し、
前記液晶パネルは、前記液晶層を介して直交クロス状態
に配置された一対の偏光子と、黒表示状態における前記
液晶層の屈折率異方性を補償する位相差補償素子とをさ
らに有する構成としてもよい。
【0016】あるいは、前記液晶層はホモジニアス配向
型液晶層であってもよい。
【0017】前記液晶パネルは、位相差補償素子をさら
に備え、前記位相差補償素子は、屈折率楕円体の3つの
主屈折率na、nb、ncがna=nb>ncの関係を
有し、前記液晶層のリタデーションの少なくとも一部を
相殺するように配置されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しながら、本
発明の実施形態を説明する。本発明は以下の実施形態に
限定されるものではない。
【0019】図1に本発明による実施形態の液晶表示装
置の構成を模式的に示す。なお、液晶表示装置は、例え
ばインターレース駆動され、1枚の画像に対応する1フ
レームを2つのフィールドに分割し、各フィールド毎に
入力画像信号に対応する階調電圧が表示部に印加され
る。勿論、1フレームが3以上のフィールドに分割され
ることもあり得るし、ノンインターレース駆動されても
よい。ノンインターレース駆動においては、各フレーム
毎に入力画像信号に対応する階調電圧が表示部に印加さ
れる。インターレス駆動における1フィールドまたはノ
ンインターレース駆動における1フレームをここでは1
垂直期間と称する。以下の実施形態においては、1フィ
ールドが1垂直期間に相当するインターレース駆動方式
の液晶表示装置を例に説明する。
【0020】この液晶表示装置は、液晶パネル15と駆
動回路10とを有する。液晶パネル15は、マトリクス
状に配置された複数の絵素容量Cpixと、絵素容量C
pixのそれぞれに電気的に接続された薄膜トランジス
タ(以下、「TFT」と称する。)1とを有する。TF
T1のゲート電極1Gが走査線2に接続され、ソース電
極1Sが信号線3に接続されており、駆動回路10か
ら、それぞれ走査電圧および駆動電圧が印加される。T
FT1のドレイン電極1Dが絵素容量Cpixに接続さ
れている。
【0021】絵素容量Cpixのそれぞれは、絵素電極
と、対向電極と、絵素電極と対向電極との間に設けられ
た液晶層とから形成される液晶容量Clcと、前記液晶
容量に電気的に並列に接続された蓄積容量Csとを有し
ている。TFT1を介して、駆動回路10から供給され
る駆動電圧によって絵素容量Cpixが充電され、入力
画像信号に対応する充電状態となることによって、1フ
ィールド毎に表示状態が更新される。ここで、蓄積容量
Csの液晶容量Clcに対する容量比(表記の簡単さの
ために「Cs/Clc」と表すことにする。)が1以上
(Cs/Clc≧1)に設定されており、且つ、絵素容
量Cpixは、少なくとも最高の階調電圧が印加された
とき、1フィールド間に亘って充電電圧の90%以上を
保持する。すなわち、蓄積容量Csの液晶容量Clcに
対する容量比をCs/Clc≧1とすることによって、
絵素容量の充電特性の応答速度(ステップ応答特性)が
改善され、絵素容量Cpixが、少なくとも最高の階調
電圧が印加されたとき、1フィールド間に亘って充電電
圧の90%以上を保持する。
【0022】まず、蓄積容量Csについて説明する。蓄
積容量Csは、TFT型液晶表示装置に、従来から一般
的に設けられている。蓄積容量Csは、液晶層の漏れ電
流によって液晶容量Clcに保持される電荷(電圧)が
低下することを抑制するために、液晶容量Clcに並列
に接続される。蓄積容量Csは、いわゆる平行電極コン
デンサ(キャパシタ)で、走査線(ゲートバスライン)
もしくは走査線と同じ導電層から形成されるCsバスラ
インを片方の電極とし、絵素電極を形成する導電層(典
型的にはITO層)を他方の電極として形成される。こ
れらの電極間の誘電体は、TFTのゲート絶縁膜と同様
に、例えば、TaOx層とその上に形成されたSiNx
層とから形成される。蓄積容量Csの容量(キャパシタ
ンス)は、蓄積容量Csの静電容量を指し、表記の簡単
さのために、「Cs」は、キャパシタとしての蓄積容量
およびその静電容量の両方を指すことにする。
【0023】また、液晶容量Clcの容量(キャパシタ
ンス)は、液晶容量Clcの静電容量を指し、表記の簡
単さのために、「Clc」は、キャパシタとしての液晶
容量およびその静電容量の両方を指すことにする。な
お、液晶容量Clcは、液晶層を誘電体層とするキャパ
シタであり、液晶層の誘電率は印加電圧によって液晶層
の配向状態が変化するのに伴って変化する。従って、蓄
積容量Csと液晶容量Clcとの容量比は、印加電圧に
よって変化する。そこで、上述の蓄積容量Csの液晶容
量Clcに対する容量比の関係:Cs/Clc≧1は、
絵素容量Cpixに対して最高の階調電圧(例えば、7
V)が印加されたときの液晶容量Clcの静電容量(実
際の表示における最大の静電容量)を基準とすることと
する。
【0024】本願明細書において、液晶表示装置におい
て表示を行うために絵素容量Cpixに印加される電圧
を階調電圧Vgと呼び、例えば、0階調(黒)〜63階
調(白)の全64階調表示を行う場合、電圧が最も低い
階調電圧をV0、電圧が最も高い階調電圧をV63で示
す。ノーマリホワイトモード(以下、「NWモード」と
称する。)の液晶表示装置の場合、V0が最高階調を表
示するための電圧であり、V63が最低階調を表示する
ための電圧となる。これに対し、ノーマリブラックモー
ド(以下、「NBモード」と称する。)の液晶表示装置
においては、逆に、V0が最低階調を表示するための階
調電圧であり、V63が最高階調を表示するための階調
電圧となる。
【0025】以下においては、液晶表示装置で表示すべ
き画像情報を与える信号を入力画像信号Sと呼び、それ
ぞれの入力画像信号Sに応じて絵素容量Cpixに印加
される電圧を階調電圧Vgと呼ぶ。64階調の入力画像
信号(S0〜S63)は、階調電圧V0〜V63に一対
一で対応する。但し、入力画像信号S(階調データ)と
階調電圧Vgとの対応関係は、NWモードとNBモード
では逆になる。また、階調電圧V0〜V63の値は液晶
表示装置によって異なり得る。階調電圧Vgは、それぞ
れの階調電圧Vgが印加された液晶層が定常状態に到達
したときに、それぞれの入力画像信号Sに対応する透過
率(表示状態)となるように設定される。このときの透
過率を定常状態透過率と称する。
【0026】TFT型液晶表示装置は、その応答特性が
ステップ応答特性を示すことが知られている。図2に、
TFT型液晶表示装置の光学特性(透過率)のステップ
応答特性を模式的に示す。図2では、縦軸を透過率とし
て示したが、絵素容量Cpixの充電電圧と置き換える
ことができる。図2を参照しながら、透過率(または充
電電圧)のステップ応答特性の原理を説明する。
【0027】TFT型液晶表示装置では、1つの絵素容
量Cpixに蓄積される電荷(Q)は、TFTがON状
態の間(走査電圧がゲート電極に印加されている期間:
水平走査期間と呼ばれることもある。)に、絵素容量C
pixに印加される電圧(V:絵素電極と対向電極との
電位差に相当)と、そのときの絵素容量Cpixの静電
容量(C=Clc+Cs)によってきまる。この関係
は、Q=CVで示される。つまり、一旦、TFTがON
状態になると、絵素容量CpixにQ=CVで決まる電
荷(Q)が蓄積されるまで絵素容量Cpixは充電さ
れ、絵素容量Cpixの電圧保持率が100%であれば
(漏れ電流がなければ)、次のフィールド(またはフレ
ーム、以下では1フィールドとする。)において、再
び、TFTがON状態とされるまで、この電荷(Q)が
保持される。
【0028】絵素容量Cpixが充電された電荷を保持
している期間(1フィールドに相当)に、絵素容量Cp
ixの電圧(V)は徐々に下がっていく。なぜならば、
対向する一対の電極の電極面に平行に配向した△ε>0
の液晶分子は、印加された電圧に応じて電極面の法線方
向に立ち上がる(電界に平行に配向する)。この液晶分
子の配向の変化に伴い、液晶層の誘電率が上昇するの
で、液晶容量Clcの静電容量が大きくなる。すなわ
ち、絵素容量Cpixの静電容量が大きくなる。絵素容
量Cpixの静電容量(C)が大きくなると、Q=CV
の関係に従って、絵素容量Cpixにかかる電圧(V)
は低下する。このように、1フィールドの間に絵素容量
Cpixが保持する電圧が低下するので、図2に示した
ように、透過率(または充電電圧)が1フィールド毎に
ステップ状に変化(ステップ応答)するのである。
【0029】なお、このステップ応答は、絵素容量Cp
ixに1フィールドに亘って電圧を印加し続ける、いわ
ゆるスタティック駆動では起こらない。このように、液
晶パネルがステップ応答するTFT型液晶表示装置で
は、液晶層に電圧が印加し続けるスタティック駆動によ
る液晶表示装置に比べ、応答速度が遅くなり、残像の程
度が大きくなるので、動画表示の品位が劣る。
【0030】本発明では、蓄積容量Csの液晶容量Cl
cに対する容量比がCs/Clc≧1の関係を満足する
ので、液晶分子の配向変化によって液晶容量Clcの静
電容量が増大しても、絵素容量Cpixの静電容量の変
化が抑制されるので、上記の透過率(または充電電圧)
のステップ応答が抑制される。また、蓄積容量Csの液
晶容量Clcに対する容量比がCs/Clc≧1の関係
を満足すれば、絵素容量Cpixは、入力画像信号Sに
対応する充電電圧の90%以上を1フィールド間に亘っ
て保持することが可能で、その結果、液晶パネルは、1
フィールド内に入力画像信号Sに対応する所定の透過率
の90%以上に達することができる。蓄積容量Csの静
電容量を大きくするには、蓄積容量Csの面積を大きく
する、あるいは、誘電体層の厚さを薄くする、あるい
は、より誘電率の大きい材料を用いて誘電体層を形成す
ればよい。
【0031】図3を参照しながら、NWモードの液晶表
示装置において、入力画像信号S(60Hz)が、最低
の階調電圧(V0)から最高の階調電圧(例えば、V6
3)に変わったときの透過率の時間変化を説明する。図
3の横軸には、入力画像信号Sが切り替った時点を基準
に、1フィールド16.7msec毎の目盛りを示して
いる。3つの曲線は、蓄積容量Csと液晶容量Clcと
の静電容量の比(Cs/Clc)および液晶材料の粘度
が異なる液晶パネルについての透過率の時間変化を示し
ている。図3において、1フィールド後の目的の透過率
への変化が曲線L1では約95%であり、曲線L2では
約90%であり、曲線L3では約60%であることが示
されている。
【0032】図3に示した様に、1フィールド後(時間
16.7msec)の透過率と透過率変化が終了するフ
ィールド数の関係を見ると、曲線L1およびL2で示し
たように、1フィールド後の透過率変化がほぼ90%以
上ある場合、透過率変化は2フィールド以内(33.4
msecまで)で完了していることがわかる。これに対
し、1フィールド後の透過率変化が90%未満の場合
(従来の液晶表示装置の場合)、図3中の曲線L3で示
したように、透過率変化が終了するまで2フィールドよ
りも多くの時間を要している。
【0033】このように、透過率変化が完了するまで2
フィールドよりも多くの時間を要する液晶表示装置と、
2フィールド以内で完了する液晶表示装置との動画表示
特性を比較すると、後者の液晶表示装置の方が明らかに
残像が低減されていた。
【0034】図4は、種々のCs/Clc値を有するN
Wモードの液晶表示装置において、前フィールドと現フ
ィールドの入力画像信号S(階調電圧Vg)が異なる場
合の透過率変化の様子を示している。縦軸の透過率比
は、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧
Vgの定常状態透過率に対する1フィールド後の透過率
の比を示している。すなわち、1フィールド以内に現フ
ィールドの所定の透過率に到達した場合、縦軸の透過率
比は1となる。また、凡例の左側の数字が前フィールド
の階調電圧(例えば、48は、階調電圧V48)を、右
側の数字が現フィールドの階調電圧を示している。64
階調の場合、V0が最低の階調電圧、V63が最高の階
調電圧(最高限度信号に相当する。)である。図4か
ら、Cs/Clcの値を1以上とすることによって、最
高の階調電圧V63を入力したときの1フィールド後の
透過率変化が90%以上(透過率比0.9以上)となる
ことがわかる。すなわち、Cs/Clcの値を1以上と
することによって、絵素容量Cpixは、最高の階調電
圧V63が印加されたとき、1フィールド間に亘って充
電電圧の90%以上を保持していることがわかる。
【0035】(オーバーシュート駆動)上述したよう
に、Cs/Clcの値を1以上とすることによって、最
高の階調電圧V63を印加したときに、1フィールド後
の透過率変化を90%以上とできるが、最高の階調電圧
V63よりも低い階調電圧(中間階調電圧)を各階調に
ついて印加したとき、応答速度は改善されるものの遅
く、Cs/Clcの値を1以上に設定しても、1フィー
ルド後の透過率比は0.9に到達していない。
【0036】このような、中間階調表示状態における応
答速度は、オーバーシュート駆動を行うことによって改
善することができる。すなわち、1フィールド前の入力
画像信号Sと現フィールドの入力画像信号Sとの組合せ
に応じて、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階
調電圧Vgがオーバーシュートされた予め決められた駆
動電圧を液晶パネルに供給することによって改善でき
る。なお、一般に液晶表示装置は、交流駆動を行ってい
るが、電圧−透過率特性では、対向電極の電位を基準と
して、液晶に印加される電圧の絶対値と透過率との関係
を表している。
【0037】オーバーシュートされた電圧とは、前フィ
ールド(直前のフィールド)と現フィールドとの入力画
像信号Sを比較し、現フィールドの入力画像信号Sに対
応する階調電圧Vgが前フィールドの入力画像信号Sに
対応する階調電圧Vgよりも低い場合には、現フィール
ドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgよりもさら
に低い電圧であり、逆に、現フィールドの入力画像信号
Sに対応する階調電圧Vgが前フィールドの入力画像信
号Sに対応する階調電圧Vgよりも高い場合には、現フ
ィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧Vgより
もさらに高い電圧を指す。
【0038】オーバーシュート電圧を検出するための入
力画像信号Sの比較は、全ての絵素のそれぞれに対する
前フィールドの入力画像信号Sと現フィールドの入力画
像信号Sとの間で行われる。1フレームの画像情報が複
数のフィールドに分割されるインターレース駆動の場合
でも、1フレーム前のその絵素に対する入力画像信号S
や上下のラインの入力画像信号Sが補完信号として使用
され、1垂直期間中に全ての絵素に相当する信号が与え
られる。そして、前フィールドと現フィールドのこれら
の入力画像信号Sが比較される。
【0039】オーバーシュートされた階調電圧Vgと所
定の階調電圧Vg(現フィールドの入力画像信号に対応
する階調電圧)との差をオーバーシュート量ということ
もある。また、オーバーシュートされた階調電圧Vgを
オーバーシュート電圧と呼ぶこともある。
【0040】オーバーシュート電圧は、所定の階調電圧
Vgに対して所定のオーバーシュート量を有する他の階
調電圧Vgであってもよいし、オーバーシュート駆動の
ために予め準備されたオーバーシュート駆動専用電圧で
あってもよい。最高の階調電圧(階調電圧のなかで最も
電圧値の高い階調電圧)および最低の階調電圧(階調電
圧のなかで最も電圧値の低い階調電圧)に対してオーバ
ーシュートする電圧として、高電圧側オーバーシュート
駆動専用電圧および低電圧側オーバーシュート駆動専用
電圧がそれぞれ用意され得る。中間階調表示状態の応答
速度を改善するためには、階調電圧Vgから設定された
オーバーシュート駆動電圧を用いる。さらに改善の効果
を得たいときは、オーバーシュート駆動専用電圧を用い
てもよい。
【0041】(オーバーシュート駆動を行う回路)図5
を参照しながら、本発明の実施形態の液晶表示装置にお
ける駆動回路10の構成を説明する。
【0042】駆動回路10は、外部から入力画像信号S
を受け取り、それに応じた駆動電圧を液晶パネル15に
供給する。駆動回路10は、画像用記憶回路11と、組
合せ検出回路12と、オーバーシュート電圧検出回路1
3と、極性反転回路14とを有する。
【0043】画像用記憶回路11は、入力画像信号Sの
少なくとも1枚のフィールド画像を保持する。もちろ
ん、1フレームが複数のフィールドに分割されない場
合、画像用記憶回路11は、少なくとも1枚のフレーム
画像を保存する。組合せ検出回路12は、現フィールド
の入力画像信号Sと、画像用記憶回路11に保持された
前フィールドの入力画像信号Sとを比較し、その組合せ
を示す信号をオーバーシュート電圧検出回路13に出力
する。オーバーシュート電圧検出回路13は、組合せ検
出回路12で検出された組合せに対応する駆動電圧を、
階調電圧Vgおよびオーバーシュート駆動専用電圧の中
から検出する。極性反転回路14は、オーバーシュート
電圧検出回路13で検出された駆動電圧を交流信号に変
換し、液晶パネル(表示部)15に供給する。
【0044】それぞれの回路の入力・出力信号につい
て、オーバーシュート駆動に使用する電圧が入力画像信
号Sに対応する階調電圧Vgよりも高電圧側の階調電圧
Vgに予め設定されている場合について説明する。
【0045】まず、画像用記憶回路11は、現フィール
ドの入力画像信号Sより1フィールド前の入力画像信号
Sを保持する。組合せ検出回路12は、各絵素ごとに、
現フィールドの入力画像信号Sと画像用記憶回路11に
保持された前フィールドの入力画像信号Sとの組合せを
検出する。ここでは、説明の容易さのために、組合せ検
出回路12が検出した入力画像信号S(階調データ)の
組合せをそれぞれに対応する階調電圧の組合せで示す。
例えば、NWモードの場合、1フィールド前の入力画像
信号S63と現フィールドの入力画像信号S35との組
合せは、それぞれに対応する階調電圧の組合せ(V0,
V28)で示される。
【0046】オ一バーシュート電圧検出回路13は、組
合せ検出回路12によって検出された組み合わせ(V
0,V28)に対して予め決められていた階調電圧V4
4を検出し、階調電圧V44を駆動電圧として極性反転
回路14に供給する。この動作は、現フィールドの入力
画像信号Sに対応する階調電圧がV28からV44に変
換されたことに相当する。組合せ検出回路12によって
検出された組合せ(V0,V28)に対して、これに対
応する予め決められたオーバーシュート電圧として、階
調電圧V44を検出する過程は、例えば、ルックアップ
テーブル法を用いて行ってもよいし、予め決められた演
算を実行することによって行ってもよい。
【0047】最後に、極性反転回路14は、階調電圧V
44を交流信号に変換し、液晶パネル15に供給する。
【0048】現フィールドの入力画像信号Sに対して、
オーバーシュートされた階調電圧Vg(駆動電圧)を設
定する具体的な方法を説明する。前フィールドの入力画
像信号Sに対応する階調電圧がV0で、現フィールドの
入力画像信号Sに対応する階調電圧がV28のときに、
オーバーシュートされた階調電圧V44(V28に対し
てオーバーシュートされている)を駆動電圧として用い
る場合を例に説明する。
【0049】図6に、階調電圧(入力画像信号)の変化
による透過率の経時変化を示す。実線は、前フィールド
の階調電圧V0の定常状態透過率で安定した状態から、
現フィールドの階調電圧V28が供給され、それ以降の
フィールドにおいて続けて階調電圧V28が供給された
場合の透過率変化を示す。1フィールドは16.7ms
ecである。図6中の破線は、前フィールドの階調電圧
V0の定常状態透過率で安定した状態から、現フィール
ドの階調電圧V44が供給され、それ以降のフィールド
において続けて階調電圧V44が供給された場合の透過
率変化を示す。
【0050】図6から、階調電圧V28が印加されてか
ら透過率が安定するまで、約3フィールドを要している
ことがわかる。つまり、階調電圧V28で定常状態透過
率に達するまで、約3フィールドを要している。一方、
階調電圧V44を印加した場合は、約1フィールドで、
階調電圧V28の定常状態透過率に達した後、階調電圧
V44の定常状態透過率に近づいている。
【0051】このことから分かるように、液晶パネルの
透過率をV0の定常状態透過率からV28の定常状態透
過率に、1フィールド以内に変化(更新)させるには、
V28に換えてV44を供給すればよい。このようにし
て、全ての入力画像信号Sの組合せ(前フィールドと現
フィールドの組合せ)に対して、透過率が1フィールド
で、現フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧
Vgの定常状態透過率(所望の透過率)に達するよう
に、オーバーシュート電圧を予め決める。
【0052】全ての階調電圧に対して、オーバーシュー
ト駆動を行う方法を説明する。特に、階調電圧が最高の
階調電圧(V63)および最低の階調電圧(V0)に対
するオーバーシュート電圧の設定方法を、最高の階調電
圧の場合を例に説明する。
【0053】まず、予め64階調の階調電圧(V0〜V
63)に対し、128階調(V’0〜V’127)の電
圧を用意する。例えば、V0〜V63(64階調)の電
圧にV’32〜V’95(64階調)の電圧を割り当
て、V’0〜V’31を低電圧側オーバーシュート駆動
専用電圧とし、V’96〜V’127を高電圧側オーバ
ーシュート駆動専用電圧とする。
【0054】例えば、入力画像信号Sに対応する階調電
圧がV44から1フィールド後にV63に切り換わると
する。これらの階調電圧V44、V63は、128階調
の階調電圧を割り当てる回路(6ビットのデジタル信号
を7ビットのデジタル信号に変換する回路)により、そ
れぞれ、V’76およびV’95に対応するデジタル信
号として、画像用記憶回路11(図5参照)に入力され
る。組合せ検出回路12では組合せ(V’76,V’9
5)が検出される。そして、オーバーシュート電圧検出
回路13は、1フィールド以内にV’95の定常状態透
過率に達するように予め決められたV’100を検出
し、これを駆動電圧として極性反転回路14に出力す
る。その後、この駆動電圧V’100が、極性反転回路
14で交流信号に変換された後、液晶パネル15に供給
される。同様にして、最低の階調電圧(V0)の場合に
ついても、最低の階調電圧(V0)よりも低い駆動電圧
を液晶パネル15に供給することができる。
【0055】このように、64階調の階調電圧に対し
て、予め128階調の電圧(64階調のオーバーシュー
ト駆動専用電圧を含む)を用意することによって、最高
の階調電圧(64階調のV63)よりも高い電圧や、最
低の階調電圧(V0)よりも低い電圧をオーバーシュー
トすることが可能になる。ただし、ドライバーの耐圧向
上やコントローラの拡張が必要となる。
【0056】上述したように、蓄積容量Csと液晶容量
Clcとの静電容量の比(Cs/Clc)を1以上に設
定し、かつ、オーバーシュート駆動を行うことによっ
て、全ての階調における応答速度の高速化を実現する。
また、ドライバー(駆動回路、典型的にはドライバI
C)の耐圧やコントローラの拡張の問題によって、V0
より低い電圧やV63より高い電圧を液晶パネルに印加
できないときでも、V0からV63の範囲内の階調電圧
を用いたオーバーシュート駆動は有効である。
【0057】これまでは、低い階調電圧から高い階調電
圧へ変化したとき(応答の立ち上がり)の光学的な応答
特性(充電特性に対応)について説明したが、本発明
は、高い階調電圧から低い階調電圧へ変化したとき(応
答の立ち下がり)の光学的な応答特性(放電特性に対
応)の改善にも有効である。オーバーシュート駆動の効
果は、放電時の液晶応答が充電時の液晶応答に対して比
較的遅いので、むしろ、立ち下がり応答特性の改善とし
て観察されやすい。
【0058】具体的なオーバーシュート電圧の設定方法
の例を表1に示す。表1は、蓄積容量Csと液晶容量C
lcとの静電容量の比が1以上の場合であり、比較のた
めに、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容量の比
が1未満の場合を表2に示す。
【0059】それぞれの表において、右横の列に示した
数値は、前フィールド(表示すべきフィールドの直前の
フィールド)の入力画像信号Sに対応する階調電圧につ
いての階調データ(例えば、階調電圧V255の場合の
255)であり、最下行に示した数値は、現フィールド
(表示すべきフィールド)の入力画像信号Sに対応する
階調電圧についての階調データを示している。また、表
中の各欄中の数値は、現フィールドの入力画像信号Sに
対応する階調電圧の定常状態透過率に1フィールド以内
に到達するために必要なオーバーシュート量を階調レベ
ルの差で示している。例えば、表1の第9行、第3列の
数値「−39」は、前フィールドにおいてV255に対
応する表示を行った後、現フィールドでV64に対応す
る表示を行うためには、V25(64−39=25)の
階調電圧を駆動電圧として供給する必要があることを示
している。この表から明らかなように、現フィールドの
階調データが同じでも、前フィールドの階調データに応
じて、オーバーシュート量を調整することが好ましい。
また、表1と表2との比較から、蓄積容量Csと液晶容
量Clcとの静電容量の比が1未満の場合(表2)、現
フィールドの階調データが大きい程、必要とされるオー
バーシュート量が大きいことが分かる。すなわち、上述
したように、蓄積容量Csと液晶容量Clcとの静電容
量の比を1以上とすることによって、高域(階調電圧が
高い領域)の応答特性を改善できることが分かる。
【0060】また、表中の※印を付した数値は、その数
値で示されるオーバーシュート量では、現フィールドの
入力画像信号Sに対応する階調電圧の定常状態透過率に
1フィールド以内に到達しないことを示している。すな
わち、オーバーシュート駆動専用電圧を別途用意する必
要がある。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】(液晶材料)本発明の液晶表示装置におい
て用いられる液晶材料としては、ε//が大きく、且つ、
△εは応答性能を下げない程度に小さいものが好まし
い。理由を以下に説明する。
【0064】液晶分子の配向変化に伴う絵素容量Cpi
xの静電容量の増加(電圧降下)に起因するステップ応
答を低減するためには、液晶分子が垂直に配向したとき
の静電容量と、平行に配向したときの静電容量との差が
小さいことが好ましい。すなわち、誘電率異方性が正
(△ε>0)の液晶材料であれば、(Cs+Clc⊥)
/(Cs+Clc//)=1−△ε(S/d)/(Cs+
Clc//)が大きいことが好ましい。Clc⊥およびC
lc//は、それぞれ、液晶分子が垂直に配向したときの
液晶容量Clcの静電容量および液晶分子が平行に配向
したときの液晶容量Clcの静電容量を示す。また、△
ε=ε//−ε⊥、Clc⊥=ε0 ・ε⊥(S/d)、C
lc//=ε0 ・ε//(S/d)である。Sは、液晶容量
Clcの絵素(典型的には絵素電極)の面積、dは液晶
層の厚さである。
【0065】これらのことより、△εは小さいことが好
ましいが、△εが小さいと、液晶分子の電界に対する応
答性能が低下してしまう。したがって、△εはなるべく
下げず、ε//は大きいことが好ましい。但し、ε//が大
きくなると、一般的には、液晶材料の粘度が高くなり、
電界に対する液晶分子の応答性能が劣化するので、なる
べく粘度の低いものが好ましい。
【0066】これまでは、NWモードの液晶表示装置を
例に本発明の実施形態を説明したが、本発明はNBモー
ドの液晶表示装置にも適用できる。
【0067】(表示モード)本発明は、種々の液晶表示
装置に適用することができる。液晶パネルの応答特性
は、液晶層の応答速度(液晶材料や配向形態など)に依
存する。従って、応答速度の速い液晶層を用いることに
よって、高速応答特性を有し、かつ視野角特性に優れた
液晶表示装置を得ることができる。さらにこのような液
晶表示装置に本発明を適用することによって、より有効
に残像が低減され、視野角特性に優れた高画質な液晶表
示装置を得ることができる。
【0068】図7に、応答速度が速く、視野角特性に優
れたNWモードの液晶モードとして知られている、平行
配向(ホモジニアス配向)型液晶層を用いたECB(電
界制御複屈折)モードの透過型液晶パネル20を模式的
に示す。
【0069】液晶パネル20は、液晶セル20aと、液
晶セル20aを挟持するように設けられた一対の偏光子
25および26と、偏光子25および26と液晶セル2
0aとの間にそれぞれ配置された位相差補償素子23お
よび24を備えている。
【0070】液晶セル20aは、一対の基板21と22
との間に設けられた液晶層27を有している。基板21
および22は、透明基板(例えばガラス基板)と、その
液晶層27側の表面に設けられた、液晶層27に電圧を
印加するための透明電極(不図示)および液晶層27の
液晶分子27aの配向方向を規定するための配向膜(不
図示)を有している。もちろん、必要に応じてカラーフ
ィルタ層(不図示)などをさらに有してもよい。透明電
極は、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)を用いて
形成される。
【0071】液晶層27の液晶材料は、屈折率異方性
(Δn)が0.06であり、液晶層27の厚さは4.5
μmに調整されている。液晶層27は平行配向型液晶層
であり、液晶層27中の液晶分子27aは、電圧無印加
時には、液晶層27の層面(基板表面に平行)に実質的
に平行(但し、プレチルト角分だけ僅かに平行からずれ
る)でかつ、液晶分子27a同士も実質的に互いに平行
(プレチルト角の影響を受けない。)である。配向膜
(不図示)によってアンカリングされている、液晶層2
7中の液晶分子(「アンカリング層」と呼ぶ。)の屈折
率楕円体は、液晶層27の層面(すなわち表示面)をX
Y平面とするXYZ座標系において、X軸を中心軸とし
て、時計方向にプレチルト角分だけ僅かに傾斜してい
る。
【0072】平行配向型液晶層は、液晶層27の両側に
設けられる配向膜を反平行にラビング処理することによ
って得られる(図7中のラビング方向を示す矢印参
照)。なお、液晶層の両側に設けられる配向膜に対して
平行にラビング処理を施すと、一方の配向膜上の液晶分
子と他方の配向膜上の液晶分子とが、プレチルト角の2
倍の角度をなすので、液晶分子27a同士が平行でなく
なる。
【0073】一対の偏光子(例えば、偏光板や偏光フィ
ルム)25および26は、その吸収軸(図7中の矢印)
が互いに直交し、かつ前述のラビング方向(液晶分子の
層面内の配向方向)とそれぞれ45度の角度をなすよう
に配置されている。
【0074】位相差補償素子(例えば、位相差板や位相
差フィルム)23および24は、図7に示したように、
その屈折率楕円体(主軸a、bおよびcを有する)は、
液晶層27の層面(すなわち表示面)をXY平面とする
XYZ座標系において、X軸と平行に配置されたa軸を
中心軸として、僅かに回転している。ここでは、Y軸は
ラビング方向と平行(または反平行)に設定されてお
り、屈折率楕円体のb軸は、このY軸から傾斜するよう
に配置されている。すなわち、屈折率楕円体の長軸(b
軸)はYZ平面内でX軸に対して反時計方向に傾斜して
いる。このように配置された位相差補償素子23および
24を傾斜型位相差補償素子と呼ぶ。
【0075】この位相差補償素子23および24は、液
晶層27中のアンカリング層のリタデーションを補償す
る機能を有する。液晶層27に、例えば、7Vの電圧を
印加しても、アンカリング層中の液晶分子は液晶層27
の層面に平行な配向を維持するので、液晶層27のリタ
デーションは零にならない。このリタデーションを位相
差補償素子23および24が補償(相殺)する。なお、
液晶層27のリタデーションは、液晶材料の最大の屈折
率と最小の屈折率との差(Δn)に液晶層の厚さ(d)
を乗じた値である。
【0076】典型的な例として、各主軸方向の主屈折率
na、nbおよびncがna=nb>ncとする。図8
に模式的に示すように、位相差補償素子23および24
の屈折率楕円体の傾斜角(b軸がY軸に対して成す角)
が0度であれば、位相差補償素子23および24の正面
リタデーション(表示面法線方向(図中のZ軸に平行)
から入射する光に対するリタデーション)は零である
が、傾斜角が大きくなるにつれて、リタデーションが発
生し大きくなっていく。つまり、図8に示したように、
表示面法線方向から見たとき、傾斜角0度の屈折率楕円
体は完全な円に見えるのに対し、傾斜角が大きくなるに
つれて楕円に見えることから理解できる。
【0077】従って、上述のように傾斜した屈折率楕円
体を有する位相差補償素子23および24を、傾斜方向
(b軸方向)とラビング方向とを互いに平行または反平
行に配置すれば、アンカリング層のリタデーションを位
相差補償素子23および24の正面リタデーションで相
殺することができる。従って、前述の例でいうと、7V
印加時の液晶層27のリタデーションを相殺(7V印加
時の液晶パネルとしてのリタデーションを零にする)
し、透過率を0%、すなわち黒表示を実現することがで
きる。なお、「液晶パネルとしてのリタデーション」と
は、特に説明のない場合は、電圧無印加時の液晶層27
のリタデーションと位相差補償素子23および24のリ
タデーションとの和を意味し、液晶パネル20の表示面
(液晶層27の層面に平行)に垂直に入射する光に対す
るリタデーションを指す。勿論、位相差補償素子23お
よび24を設けていない構成においては、液晶パネル2
0のリタデーションは、電圧無印加時の液晶層27のリ
タデーションである。
【0078】位相差補償素子23および24の正面リタ
デーションは、その屈折率楕円体の主屈折率、傾斜角、
厚さによって調整することができる。位相差補償素子2
3および24の正面リタデーションの大きさを変化させ
ることによって、相殺される液晶セル20aのリタデー
ションの大きさを変えられる。従って、液晶層27のア
ンカリング層によるリタデーションだけでなく、ある電
圧を印加したときの液晶層27のリタデーションを相殺
することによって、階調電圧Vgの範囲を任意に調整す
ることができる。例えば、屈折率楕円体の主屈折率およ
び傾斜角を一定にし、位相差補償素子23および24の
厚さd(表示面法線方向の厚さ)のみを変化させた場合
の、液晶パネル20の電圧−透過率曲線を図9に示す。
なお、透過率は、表示面法線方向における透過率であ
る。このように、位相差補償素子23および24の光学
特性の制御により、電圧−透過率曲線を制御できること
がわかる。もちろん、屈折率楕円体の傾斜角、主屈折率
を制御しても同様の効果が得られることは上記説明から
明らかである。
【0079】液晶パネル20の応答時間(オーバーシュ
ート駆動を用いない従来の駆動方法による)は、従来の
TNモードの液晶パネルの典型例な応答時間である30
msecの約半分である。TNモードの液晶パネルの液
晶層が捻じれ配向構造を有しているのに対し、ホモジニ
アス配向では捻じれ配向構造がないので、配向構造の単
純性から応答時間が短いと解釈できる。
【0080】また、平行配向型液晶層を有する液晶パネ
ル20は、位相差補償素子23および24を除外した液
晶層27のみのリタデーションd・△nが約270nm
〜約340nmであることが好ましく、液晶層27の厚
さを4.5μmとすると、△n=0.06〜0.075
となり、TNモードの液晶材料の典型的な屈折率異方性
△n=0.08程度よりも、△nの小さな液晶材料を用
いることができる。一般に、△nを小さくすると液晶材
料の粘性が下がるため、このことも液晶の応答時間の短
縮化に効果がある。逆に、TNモードの液晶パネルと同
様に△n=0.08程度の液晶材料を用いる場合、液晶
層27の厚みをより薄くできる。液晶層27の厚さを薄
くすると、厚さの減少分の2乗にほぼ比例して、応答時
間は短縮される。従って、ホモジニアス配向型液晶層を
用いることで、視野角特性だけではなく、動画表示の品
位の向上に大きな効果を得ることができる。
【0081】さらに、この液晶パネル20に、表示面法
線方向およびそれに近い方向の透過光(表示光)を、観
察者の視線に対して上下方向に拡散する、すなわち一次
元方向にのみレンズの効果を有する光学素子(例えば、
住友3M株式会社製のBEFフィルム)を表示面に配置
することによって、あらゆる角度から見ても、ほとんど
その表示品位が変化しない、極めて広い視野角を有する
液晶パネルを得ることができる。
【0082】図10に、応答速度が速く、視野角特性に
優れたNBモードの液晶モードとして知られている、平
行配向(ホモジニアス配向)型液晶層を用いたECB
(電界制御複屈折)モードの液晶パネル100を模式的
に示す。
【0083】液晶パネル100は、液晶層101と、液
晶101に電圧を印加する一対の電極100aおよび1
00bと、液晶層101の両側に配置された一対の位相
差板(勿論、位相差補償フィルムを用いてもよい)10
2および103と、さらに、位相差板102および10
3のそれぞれの外側に設けられた位相差板104および
105と位相差板110および111と、これらを挟持
し、直交ニコル状態に配置された一対の偏光板108お
よび109とを有している。なお、位相差板104およ
び105と位相差板110および111は省略してもよ
いし、1枚または任意の組合せで複数枚設けても良い。
【0084】図10に示された各位相差板中の矢印は各
位相差板の屈折率楕円体(全て正の一軸性の特性を有す
る)の最大の屈折率を有する軸(すなわち遅相軸)であ
り、偏光板108および109中の矢印は偏光板の偏光
軸(偏光軸=透過軸、偏光軸⊥吸収軸)である。
【0085】図10は、電圧を印加していない状態の液
晶層101における一つの表示絵素領域内の液晶分子
(図10中の楕円)の配向を示している。液晶材料とし
ては、正の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を
用いる。液晶分子は、電圧無印加状態において、一対の
基板(不図示)の表面に概平行に配向している。液晶層
101を挟持するように一対の基板の液晶層101側に
形成された電極100aおよび100bに電圧を印加す
ることによって、基板の表面に略垂直な方向の電界が液
晶層101に生成される。液晶層101は、図10に示
したように、各表示絵素領域内で互いに異なる配向状態
を有する第1ドメイン101aおよび第2ドメイン10
1bを有している。図10の例では、第1ドメイン10
1a内の液晶分子と第2ドメイン101b内の液晶分子
のダイレクターが互いに180°異なる方位角方向に配
向している。
【0086】電極100aと100bとの間に電圧を印
加すると、第1ドメイン101a内の液晶分子は時計回
りに立ちあがり、第2ドメイン101b内の液晶分子1
01bは反時計回りに立ちあがるように、すなわち互い
に反対方向に立ち上がるように、液晶分子の配向が制御
されている。この様な液晶分子のダイレクターの配向
は、配向膜を用いた公知の配向制御技術を用いて実現で
きる。ダイレクターの配向方向が180°異なる第1ド
メインと第2ドメインを一つの表示絵素領域内に複数形
成すると、より小さい単位で表示特性を平均化できるの
で、視野角特性を更に均一にすることができる。
【0087】位相差板102および103は、典型的に
はともに正の一軸性の屈折率異方性を有し、その遅相軸
(図10中の矢印)は、電圧無印加時の液晶層101の
遅相軸(不図示)と直交するように配置されている。従
って、電圧無印加状態(黒表示状態)における液晶分子
の屈折率異方性に起因する光漏れ(黒浮き)を抑制する
ことができる。
【0088】位相差板104および105は、典型的に
はともに正の一軸性の屈折率異方性を有し、その遅相軸
(図10中の矢印)は、基板表面に対して垂直(すなわ
ち、液晶層101、位相差板102および103の各遅
相軸と垂直)に配置されており、視角変化に伴う透過率
変化を補償する。したがって、位相差板104および1
05を設けることにより、さらに視野角特性が優れた表
示を提供することができる。両位相差板104および1
05を省略しても良いし、いずれか一方のみ用いても良
い。
【0089】位相差板110および111は、典型的に
はともに正の一軸性の屈折率異方性を有し、その遅相軸
(図10中の矢印)は、偏光板108および109の偏
光軸に対して直交(すなわち、液晶層101、位相差板
102および103の遅相軸と45°をなす)に配置さ
れており、楕円偏光の偏光軸の回転を調節する。したが
って、位相差板110および111を設けることによ
り、さらに視野角特性が優れた表示を提供することがで
きる。両位相差板110および111を省略しても良い
し、いずれか一方のみ用いても良い。上記の位相差板1
02,103,104,105,110および111
は、必ずしも一軸性の屈折率異方性を有する必要はな
く、正の二軸性屈折率異方性を有しても良い。
【0090】(実施形態1)実施形態1の液晶表示装置
は、図1に示したTFT型液晶表示装置であって、図7
に示した液晶パネル20と図5に示した駆動回路10と
を有する、NWモードの表示装置である。図1、図5お
よび図7を参照しながら説明する。
【0091】TFT型の液晶パネルを構成するTFT基
板21およびカラーフィルタ基板(以下「CF基板」と
呼ぶ。)22を公知の方法で作製する。このTFT基板
21の1つの蓄積容量Csの静電容量は、例えば0.2
00pFとする。これらの基板21および22の液晶層
27側の表面に配向膜(例えば、ポリイミドやポリビニ
ルアルコールを用いて形成される。)を形成後、配向膜
の表面を一方向にラビングする。
【0092】得られたTFT基板21とCF基板22と
を、互いにそのラビング方向が反平行になるように貼り
合わせたのち、△ε>0のネマティック液晶材料を注入
することによって、液晶セル20aを得る。この液晶セ
ル20aの1つの液晶容量Clcの静電容量は、例えば
0.191pF(最高階調電圧(7V)印加時)であ
る。
【0093】TFT基板21とCF基板22の外側にそ
れぞれ位相差板23および24を貼り付ける。位相差板
23および24の配置は、それぞれの屈折率楕円体の傾
斜した方向(図7において反時計方向)と液晶分子のプ
レチルト方向(図7において時計方向)とが反対方向と
なるようにする。さらに、その外側に、一対の偏光子2
5および26を、その吸収軸が互いに直交するように、
かつラビング方向とそれぞれ45度の角度をなすように
貼り付け、液晶パネル20が得られる。
【0094】駆動回路10は、図5を参照しながら説明
したように、外部から入力画像信号Sを受け取り、それ
に応じた駆動電圧を液晶パネル15に供給する。駆動回
路10は、画像用記憶回路11と、組合せ検出回路12
と、オーバーシュート電圧検出回路13と、極性反転回
路14とを有する。画像用記憶回路11は、入力画像信
号Sの少なくとも1枚のフィールド画像を保持する。組
合せ検出回路12は、現フィールドの入力画像信号S
と、画像用記憶回路11に保持された前フィールドの入
力画像信号Sとを比較し、その組合せを示す信号をオー
バーシュート電圧検出回路13に出力する。オーバーシ
ュート電圧検出回路13は、組合せ検出回路12で検出
された組合せに対応する駆動電圧を、階調電圧Vgおよ
びオーバーシュート駆動専用電圧の中から検出する。極
性反転回路14は、オーバーシュート電圧検出回路13
で検出された駆動電圧を交流信号に変換し、液晶パネル
(表示部)15に供給する。ここでは、最高および最低
階調電圧に対してもオーバーシュート駆動を行う。
【0095】図11(a)は、本実施形態の液晶表示装
置の応答特性と、従来の液晶表示装置の応答特性とを示
している。入力画像信号Sは1フィールド60Hzであ
り、階調レベルは、第3フィールドにおいて第2フィー
ルドの階調レベルから急激に変化している。本実施形態
の駆動回路10は、図11(b)に示したように、第3
フィールドにおける階調レベルの変化に対応して、第3
フィールドの入力画像信号Sに対応する階調電圧(第4
フィールド以降に印加されている)をオーバーシュート
(図中のOSがオーバーシュート量)した電圧を駆動電
圧として、第3フィールドにおいて液晶パネル15に供
給する。第3フィールド以降は、入力画像信号Sの階調
レベルに変化はなく、駆動回路10は、階調電圧をオー
バーシュートせず、入力画像信号Sに対応する階調電圧
を駆動電圧として液晶パネル15に供給する。
【0096】このように、第3フィールドでオーバーシ
ュートされた(高域が強調された)階調電圧が液晶パネ
ル15に供給されることにより、オーバーシュートされ
ていない階調電圧が入力される従来の液晶表示装置(図
中の破線)に対して、応答特性が大幅に改善されている
ことが分かる。
【0097】(実施形態2)実施形態2の液晶表示装置
は、図1に示したTFT型液晶表示装置であって、図1
0に示した液晶パネル100と図5に示した駆動回路1
0とを有する、NBモードの表示装置である。図1、図
5および図10を参照しながら説明する。
【0098】TFT型の液晶パネル100を構成するT
FT基板100bおよびCF基板100aを公知の方法
で作製する。TFT基板100bの1つの蓄積容量Cs
の静電容量は、例えば0.200pFとする。
【0099】これらの基板100aおよび100bの液
晶層側の表面に配向膜を形成する。配向膜の表面を1つ
の絵素毎に2つの領域AおよびBに分割して、UV光
(紫外線)を照射する。領域AではCF基板100aの
配向膜に対してUV光を照射し、領域BではTFT基板
100bの配向膜に対してUV光を照射する。その後、
それぞれの配向膜の表面を一方向にラビングする。TF
T基板100bとCF基板100aとを、互いにそのラ
ビング方向が平行になるように貼り合わせたのち、△ε
>0のネマティック液晶材料を注入し、液晶セルを得
る。得られた液晶セルの1つの液晶容量Clcの静電容
量は、例えば、0.191pF(最高階調電圧(7V)
印加時)である。
【0100】この液晶セルにおける液晶分子の配向状態
を図12を参照しながら説明する。図12(a)は1つ
の絵素201内の2つの領域AおよびBのラビング方向
202および203が互いに等しいことを示している。
上述したUV照射を行わないと、図12(b)に示した
ように、電圧無印加時には、液晶層のほぼ中間層の液晶
分子206は基板表面とほぼ平行に配向しており、この
液晶層に電圧を印加すれば中間層の液晶分子206は矢
印207あるいは208の方向に同一の確率で立ち上が
る。しかしながら、ここでは、領域A内の配向膜205
と領域B内の配向膜204がUV照射されているので、
それぞれUV照射された配向膜上でのプレチルト角が小
さくなっている。その結果、図12(c)に示したよう
に、領域Aの液晶層のほぼ中間層の液晶分子は矢印20
7の方向に回転し、領域Bの液晶層のほぼ中間層の液晶
分子は矢印208の方向に回転する。すなわち、液晶層
の中間層付近の液晶分子のプレチルト方向が互いに18
0°異なるように制御されている。このような、配向状
態の液晶層は、2つの領域AとBとが互いに視角依存性
を補償するので、優れた視野角特性を有する。なお、上
記に配向を有する液晶層が好ましいが、液晶分子の配向
が互いに異なる領域を2つ以上有する液晶層を用いれば
視野角特性を向上することができる。
【0101】得られた液晶セルに、図10に示したよう
に、位相差板および偏光板を貼り付けることによって、
液晶パネル100が得られる。
【0102】各領域の配向パラメーターは次の通りであ
る。
【0103】
【表3】
【0104】偏光板108および109のパラメーター
は以下の通りである。なお、偏光板108および109
の透過軸の角度は、液晶分子の配向方向に対する角度で
ある。
【0105】
【表4】
【0106】位相差板102〜105,110および1
11のパラメータは以下の通りである。位相差板の屈折
率楕円体の3つの主屈折率をna、nbおよびncと
し、位相差板の厚さをdとし、液晶パネル100の表示
面内に平行な面内のリタデーションをd・(na−n
b)、厚さ方向のリタデーションをd・(na−nc)
とする。na軸の角度は液晶分子の配向方向に対する角
度である。
【0107】
【表5】
【0108】液晶パネル100は、絵素ごとに、液晶分
子の配向方向が互いに異なる領域Aおよび領域Bを有
し、さらに、位相差板によって、視野角特性が補償され
ているので、広い視野角特性を有する。
【0109】駆動回路10は、実施形態1と同様であ
り、ここでの説明を省略する。
【0110】図13は、本実施形態の液晶表示装置の応
答特性を示している。実施形態1と同様、入力画像信号
Sは1フィールド60Hzであり、階調レベルは、第3
フィールドにおいて第2フィールドの階調レベルから急
激に変化している。また、駆動回路10は、実施形態1
について図11(b)に示したように、第3フィールド
における階調レベルの変化に対応して、第3フィールド
の入力画像信号Sに対応する階調電圧(第4フィールド
以降に印加されている)をオーバーシュート(図中のO
Sがオーバーシュート量)した電圧を駆動電圧として、
第3フィールドにおいて液晶パネル15に供給する。第
3フィールド以降は、入力画像信号Sの階調レベルに変
化はなく、駆動回路10は、階調電圧をオーバーシュー
トせず、入力画像信号Sに対応する階調電圧を駆動電圧
として液晶パネル15に供給する。
【0111】このように、第3フィールドでオーバーシ
ュートされた(高域が強調された)階調電圧が液晶パネ
ル15に供給されることにより、オーバーシュートされ
ていない階調電圧が入力される従来の液晶表示装置(図
中の破線)に対して、応答特性が大幅に改善されている
ことが分かる。
【0112】なお、1フィールドが1垂直期間に相当す
るインターレース駆動方式の液晶表示装置を例に本発明
の実施形態を説明したが、本発明はこれに限られず、1
フレームが1垂直期間に相当するノンインターレス駆動
方式の液晶表示装置にも適用できる。
【0113】
【発明の効果】本発明によると、蓄積容量Csと液晶容
量Clcとの静電容量の比(Cs/Clc)を1以上と
することによって、絵素容量の充電特性の応答速度(ス
テップ応答特性)が改善され、絵素容量Cpixが、少
なくとも最高の階調電圧が印加されたとき、1垂直期間
に亘って充電電圧の90%以上を保持するので、高域
(階調電圧が高い領域)における応答特性が改善された
液晶表示装置が提供される。さらに、応答速度が遅い中
間階調では、オーバーシュート駆動することにより高速
応答を実現する。
【0114】本発明を広視野角特性を有し、応答速度が
比較的速い液晶モードの表示装置に適用することによっ
て、広視野角特性を有する動画表示特性に優れた液晶表
示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態のTFT型液晶表示装置
の模式図である。
【図2】TFT型液晶表示装置におけるステップ応答を
説明するための模式図である。
【図3】入力画像信号の階調レベルが変わったときの透
過率の時間変化を模式的に示す図である。
【図4】種々のCs/Clc値を有するNWモードの液
晶表示装置において、前フィールドと現フィールドの入
力画像信号(階調電圧)が異なる場合の透過率変化の様
子を示すグラフである。
【図5】本発明による実施形態の液晶表示装置が備える
駆動回路を模式的に示す図である。
【図6】階調電圧(入力画像信号)の変化による透過率
の経時変化を示す図である。
【図7】本発明による実施形態の液晶表示装置が備え
る、平行配向型液晶層を用いたNWモードの透過型液晶
パネルを模式的に示す図である。
【図8】実施形態で用いられる位相差補償素子の機能を
説明するための図である。
【図9】液晶パネルの電圧−透過率曲線に与える、位相
差補償素子の厚さの影響を示すグラフである。
【図10】本発明による実施形態の液晶表示装置が備え
る、配向分割型液晶層を用いたNBモードの透過型液晶
パネルを模式的に示す図である。
【図11】本発明による実施形態1の液晶表示装置の応
答特性(a)および駆動電圧(b)を示す図である。
【図12】本発明による実施形態2の液晶表示装置の液
晶層における液晶分子の配向を説明するための図であ
る。
【図13】本発明による実施形態2の液晶表示装置の応
答特性を示す図である。
【図14】従来の液晶表示装置の駆動回路の構成を示す
模式図である。
【図15】図14に示した駆動回路によって応答特性が
改善される様子を示す、信号波形図である。
【符号の説明】
10 駆動回路 11 画像用記憶回路 12 組合せ検出回路 13 オーバーシュート電圧検出回路 14 極性反転回路 15、20 液晶パネル 20a 液晶セル 21、22 基板 23、24 位相差補償素子 25、26 偏光子 27 液晶層 27a 液晶分子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09G 3/20 641 G09G 3/36 3/36 G02F 1/136 500 Fターム(参考) 2H091 FA11X FA11Z GA13 LA30 2H092 JA24 JB61 NA05 2H093 NA16 NA31 NA41 NA51 NC34 ND06 ND32 5C006 AA01 AA16 AA22 AC21 BB16 FA11 5C080 AA10 BB05 CC03 DD01 DD08 EE29 JJ02 JJ04 JJ05 KK02 KK43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリクス状に配置された複数の絵素容
    量と、前記複数の絵素容量のそれぞれに電気的に接続さ
    れた薄膜トランジスタとを有する液晶パネルと、前記液
    晶パネルに駆動電圧を供給する駆動回路とを有し、前記
    複数の絵素容量が入力画像信号に対応する充電状態とな
    ることによって、1垂直期間毎に表示を更新する液晶表
    示装置であって、 前記複数の絵素容量のそれぞれは、絵素電極と、対向電
    極と、前記絵素電極と前記対向電極との間に設けられた
    液晶層とから形成される液晶容量と、前記液晶容量に電
    気的に並列に接続された蓄積容量とを有し、前記蓄積容
    量の前記液晶容量に対する容量比が1以上であって、 前記絵素容量は、少なくとも最高の階調電圧が印加され
    たとき、1垂直期間に亘って充電電圧の90%以上を保
    持する、液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動回路は、1垂直期間前の入力画
    像信号と現垂直期間の入力画像信号の組合せに応じて、
    予め決められた、現垂直期間の入力画像信号に対応する
    階調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を、前記液
    晶パネルに供給する、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動回路は、全ての階調の入力画像
    信号について、現垂直期間の入力画像信号に対応する階
    調電圧がオーバーシュートされた駆動電圧を前記液晶パ
    ネルに供給する、請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 前記液晶パネルが有する前記液晶層は、
    正の誘電異方性を有するネマティック液晶材料を有し、
    前記複数の絵素容量のそれぞれに含まれる前記液晶層
    は、配向方向が互いに異なる第1領域と第2領域とを有
    し、 前記液晶パネルは、前記液晶層を介して直交クロス状態
    に配置された一対の偏光子と、黒表示状態における前記
    液晶層の屈折率異方性を補償する位相差補償素子とをさ
    らに有する請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示
    装置。
  5. 【請求項5】 前記液晶層はホモジニアス配向型液晶層
    である請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装
    置。
  6. 【請求項6】 前記液晶パネルは、位相差補償素子をさ
    らに備え、 前記位相差補償素子は、屈折率楕円体の3つの主屈折率
    na、nb、ncがna=nb>ncの関係を有し、前
    記液晶層のリタデーションの少なくとも一部を相殺する
    ように配置されている請求項1から5のいずれかに記載
    の液晶表示装置。
JP2001032773A 2000-03-29 2001-02-08 液晶表示装置 Expired - Lifetime JP3660886B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001032773A JP3660886B2 (ja) 2000-03-31 2001-02-08 液晶表示装置
TW090106756A TW513598B (en) 2000-03-29 2001-03-22 Liquid crystal display device
US09/820,021 US20010038369A1 (en) 2000-03-29 2001-03-28 Liquid crystal display device
KR1020010016638A KR100641249B1 (ko) 2000-03-29 2001-03-29 액정표시장치
US10/622,870 US7084846B2 (en) 2000-03-29 2003-07-18 Liquid crystal display device
KR1020060055375A KR100676479B1 (ko) 2000-03-29 2006-06-20 액정표시장치

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000096765 2000-03-31
JP2000-96765 2000-03-31
JP2001032773A JP3660886B2 (ja) 2000-03-31 2001-02-08 液晶表示装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2001343625A true JP2001343625A (ja) 2001-12-14
JP2001343625A5 JP2001343625A5 (ja) 2005-02-24
JP3660886B2 JP3660886B2 (ja) 2005-06-15

Family

ID=26589057

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001032773A Expired - Lifetime JP3660886B2 (ja) 2000-03-29 2001-02-08 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3660886B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005050295A1 (ja) * 2003-11-20 2005-06-02 Sharp Kabushiki Kaisha 液晶表示装置、液晶表示制御方法、並びに、そのプログラムおよび記録媒体
JP2005309379A (ja) * 2004-02-16 2005-11-04 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
JP2006003893A (ja) * 2004-06-14 2006-01-05 Genesis Microchip Inc フレームレート制御によるlcdぼけ低減
JP2009237524A (ja) * 2008-03-03 2009-10-15 Nikon Corp 液晶パネル装置、プロジェクタ、液晶表示装置および画像処理装置
US8134528B2 (en) 2003-03-19 2012-03-13 Sharp Kabushiki Kaisha Driving method of liquid crystal display apparatus, driving apparatus of liquid crystal display apparatus, and program thereof
WO2012060254A1 (ja) * 2010-11-02 2012-05-10 シャープ株式会社 表示装置
JP2021006934A (ja) * 2012-07-11 2021-01-21 株式会社半導体エネルギー研究所 液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8134528B2 (en) 2003-03-19 2012-03-13 Sharp Kabushiki Kaisha Driving method of liquid crystal display apparatus, driving apparatus of liquid crystal display apparatus, and program thereof
US8344983B2 (en) 2003-03-19 2013-01-01 Sharp Kabushiki Kaisha Driving method of liquid crystal display apparatus, driving apparatus of liquid crystal display apparatus, and program thereof
WO2005050295A1 (ja) * 2003-11-20 2005-06-02 Sharp Kabushiki Kaisha 液晶表示装置、液晶表示制御方法、並びに、そのプログラムおよび記録媒体
KR100815313B1 (ko) * 2003-11-20 2008-03-19 샤프 가부시키가이샤 액정 표시 장치, 액정 표시 제어 방법, 및, 그 프로그램 및기록 매체
US7609243B2 (en) 2003-11-20 2009-10-27 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display device, liquid crystal display control method, program thereof, and recording medium
JP2005309379A (ja) * 2004-02-16 2005-11-04 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
JP4647315B2 (ja) * 2004-02-16 2011-03-09 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP2006003893A (ja) * 2004-06-14 2006-01-05 Genesis Microchip Inc フレームレート制御によるlcdぼけ低減
JP2009237524A (ja) * 2008-03-03 2009-10-15 Nikon Corp 液晶パネル装置、プロジェクタ、液晶表示装置および画像処理装置
WO2012060254A1 (ja) * 2010-11-02 2012-05-10 シャープ株式会社 表示装置
JP2021006934A (ja) * 2012-07-11 2021-01-21 株式会社半導体エネルギー研究所 液晶表示装置、液晶表示装置の駆動方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3660886B2 (ja) 2005-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7084846B2 (en) Liquid crystal display device
KR100507546B1 (ko) 액정표시장치
JP3713208B2 (ja) 液晶表示装置
JP3744714B2 (ja) 液晶表示装置及びその駆動方法
US7782288B2 (en) Liquid crystal display apparatus
US7696960B2 (en) Display device
JP2004533647A (ja) 液晶装置
US7576814B2 (en) Liquid crystal display device of in-plane switching mode, method of fabricating the same, and method of driving the same
US8654303B2 (en) Liquid crystal display device
JP3660886B2 (ja) 液晶表示装置
US20020080310A1 (en) Liquid crystal display device
JP2003121882A (ja) 反射形強誘電性液晶表示装置及びその駆動方法
WO2010016224A1 (ja) 液晶表示装置およびその製造方法
JPH0643452A (ja) 液晶表示装置
JP2001281664A (ja) 液晶表示装置
JP4212571B2 (ja) 液晶表示装置及びその駆動方法
US5748162A (en) Low voltage liquid crystal display device
US8928643B2 (en) Means and circuit to shorten the optical response time of liquid crystal displays
JPH0335217A (ja) 液晶表示装置の駆動方式
JP2002156643A (ja) 液晶表示装置
JP2004070368A (ja) 液晶装置
JPH06230434A (ja) 液晶表示装置
JP2005201983A (ja) 液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050318

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080325

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090325

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100325

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100325

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110325

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120325

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120325

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130325

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130325

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325

Year of fee payment: 9