JP3660709B2 - 硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置 - Google Patents

硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、凝集剤として使用される硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄は凝集剤として優れた効果を発揮するものであり、従来より下水処理場やし尿処理場などで幅広く利用されている。この硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄の製造方法としては次のような種々のものが提案されている。
【0003】
特公昭51−17516号公報には、全鉄分を50g/リットル以上含む硫酸第一鉄溶液の硫酸を、硫酸第一鉄1モル当たり0.5モル未満になるように調節して、空気中の酸素で直接酸化したり、或いは過酸化水素や塩素酸ナトリウムや二酸化マンガン等の酸化剤で酸化したり、或いは窒素酸化物を触媒として空気中の酸素で酸化したりするポリ硫酸鉄溶液の製造法が記載されている。
【0004】
また特開昭61−286228号公報には、酸化鉄と濃度20〜65%の硫酸をSO4 /Feの比が1.0〜3.0の割合に調製混合して75℃以上の温度で溶解する第一工程と、第一工程で得られた硫酸鉄中の第一鉄イオンを空気中の酸素で直接酸化したり、或いは過酸化水素や塩素酸ナトリウムや二酸化マンガン等の酸化剤で酸化したり、或いは窒素酸化物を触媒として空気中の酸素で酸化したりする第二工程とを具備した鉄系凝集剤の製造法が記載されている。
【0005】
さらに特開平6−47205号公報には、硫酸第二鉄溶液或いは硫酸と、含水三酸化二鉄とを100℃の温度で混合溶解することにより、硫酸第二鉄を部分中和するようにした鉄系凝集剤の製造方法が記載されている。
尚、上記第一鉄イオンを窒素酸化物を触媒として空気中の酸素で酸化する方法では次のような反応が進行して反応条件により、一般式〔Fe2 (OH)n (SO4 3-n/2 m (但し、n<2、m>10)で示される硫酸第二鉄及び塩基性硫酸第二鉄を生成する。
(1)2FeSO4 +H2 SO4 +NO2 →Fe2 (SO4 3 +NO+H2 O(2)2FeSO4 +NO2 +H2 O→2Fe(OH)SO4 +NO
(3)NO+1/2O2 →NO2
つまりこれら(1)(2)(3)の反応で、先ず気相においてNOとO2 が反応してNO2 になり、次にこのNO2 が反応溶液中に拡散して液相中のFeSO4 ,H2 SO4 と気液接触反応し、第一鉄イオンが酸化されて塩基性硫酸第二鉄が生成されると考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来例において、硫酸や第一鉄イオンを空気中の酸素で直接酸化する方法は、空気中に窒素や不活性ガスが大量に含まれているために、硫酸や第一鉄イオンと酸素とを効率よく接触させることができず、硫酸や第一鉄イオンの酸化に多大な時間(10時間以上)がかかるという問題があった。
【0007】
また過酸化水素や塩素酸ナトリウムや二酸化マンガン等の酸化剤で酸化する方法は、酸化剤が高価であるために経済的に不利であるという問題があった。
さらに硫酸第二鉄溶液或いは硫酸と、含水三酸化二鉄とを100℃の温度で混合溶解する方法では、100℃という高い温度を必要とするためにエネルギー消費が大きくなるという問題があった。
【0008】
また第一鉄イオンを窒素酸化物を触媒として空気中の酸素で酸化する方法では、液相のFeSO4 ,H2 SO4 とNO2 との気液接触効率を上げるために、ガラスフィルターや素焼円筒、泡鐘塔、スプレー塔、充填塔などが用いられているが、気液接触効率が一番高いガラスフィルターでさえ気液接触効率は50〜60%と低く(最低の充填塔では20%程度)、硫酸や第一鉄イオンの酸化に多大な時間(10時間以上)がかかるという問題があった。
【0009】
またこの方法では酸化時間を短縮するために、窒素酸化物及び酸素の気相と硫酸第一鉄溶液の液相の反応圧力を高めたり、反応温度を50〜90℃に高めて窒素酸化物及び酸素の硫酸第一鉄溶液への接触溶解速度を促進したり、攪拌機等による攪拌効果を高めたり、装置を大型化することがおこなわれているが、これらいずれもが先ず気相においてNOとO2 を反応させてNO2 を生成し、次にこのNO2 と液相中のFeSO4 ,H2 SO4 とを気液接触反応させるようにした、気相反応と気液接触反応が主体となっており、やはり酸化を短時間で終了させることができないという問題があった。特に窒素酸化物及び酸素の気相と硫酸第一鉄溶液の液相の反応圧力を高めると、製造される硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液中に溶存する窒素酸化物(NOとNO2 )の量が増すと共にNOやNO2 などの窒素酸化物が反応容器より漏洩する確率が高くなり、大気が汚染されるという問題があった。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、短時間で酸化を終了させることができ、経済的な不利を受けることがなく、エネルギー消費が極めて少なく、装置を小型化することができ、大気を汚染することがない硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置は、硫酸第一鉄溶液を含む硫酸酸性溶液を貯留する反応容器2と、両端が反応容器2にそれぞれ接続され硫酸酸性溶液を循環させる循環管12と、硫酸酸性溶液中に窒素系酸化剤を添加する供給管5と、循環管12の途中に配設されるエジェクター1と、一端が反応容器2に他端がエジェクター1に接続される気体流通管11と、気体流通管11に接続され気体流通管11を介して高濃度酸素を供給する酸素供給管4とを具備すると共に、反応容器2内で発生した余剰の窒素酸化物や未反応酸素を吸収する吸収液37を貯留する吸収容器30と、両端が吸収容器30にそれぞれ接続され吸収液37を循環させる循環管34と、この循環管34の途中に配設されるエジェクター31と、一端がこのエジェクター31に他端が反応容器30に接続される気体分配管38と、一端が気体流通管11に他端が吸収容器30に接続される配送管36とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明にあって、反応容器内を減圧する減圧装置を具備することができる。本発明にあって、酸化反応温度を室温から50℃以下の低温で保持するための冷却水或いは加温水が流通する温度調節管8を具備することができる。また本発明にあって、第一鉄イオンの酸化進行過程において発生する窒素酸化物、或いは硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液を空気等でパージする時に発生する窒素酸化物を吸収処理する吸収液56、66、76を備えた吸収装置A、B、Cを具備することができる。
【0013】
【作用】
硫酸第一鉄溶液を含む硫酸酸性溶液を貯留する反応容器2と、両端が反応容器2にそれぞれ接続され硫酸酸性溶液を循環させる循環管12と、硫酸酸性溶液中に窒素系酸化剤を添加する供給管5と、循環管12の途中に配設されるエジェクター1と、一端が反応容器2に他端がエジェクター1に接続される気体流通管11と、気体流通管11に接続され気体流通管11を介して高濃度酸素を供給する酸素供給管4とを具備するので、硫酸酸性溶液を循環管12に循環させると、エジェクター1を通過する際に生じる吸引効果で、反応容器2内で硫酸第一鉄溶液と窒素系酸化剤の反応によって発生するNOを含む窒素酸化物と、酸素供給管4を介して供給される高濃度酸素とが気体流通管11を介してエジェクター1内に吸引され、窒素酸化物と高濃度酸素とが微細粒泡化されて硫酸酸性溶液と接触し、エジェクタ1から反応容器2内の硫酸酸性溶液に混合噴出されることになり、窒素酸化物と高濃度酸素と硫酸酸性溶液中の第一鉄イオンとの接触率を高めて酸化効率を向上させることができる。
【0014】
また反応容器2内を減圧する減圧装置を具備するので、反応容器2内の酸化反応過程を減圧状態を保持した状態でおこなうことができ、硫酸第一鉄と窒素系酸化剤の反応によって発生する窒素酸化物の反応容器2からの漏洩を防ぐことができる。
また酸化反応温度を室温から50℃以下の低温で保持するための冷却水或いは加温水が流通する温度調節管8を具備するので、温度上昇によって反応容器2内の圧力が高くならないようにすることができ、減圧状態及び製造条件の安定化を図ることができる。
【0015】
また第一鉄イオンの酸化進行過程において発生する窒素酸化物、或いは硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液を空気等でパージする時に発生する窒素酸化物を吸収処理する吸収液56、66、76を備えた吸収装置A、B、Cを具備するので、吸収装置A、B、Cで窒素酸化物を吸収して大気中に放出しないようにすることができる。
【0016】
【実施例】
以下本発明を実施例によって詳述する。
図1には装置の参考例が示してあり、1がエジェクター、2が反応容器である。反応容器2とエジェクター1とは溶液流通管10と気体流通管11、及び循環管12とで接続してある。3は循環管12の途中に介在させてあるポンプである。4は気体流通管11に接続される酸素供給管である。5は反応容器2と接続され硫酸第一鉄溶液及び窒素系酸化剤を供給するための供給管である。6は一端を反応容器2と接続され他端が真空減圧装置に接続される吸引管である。7は循環管12と接続され、硫酸第二鉄溶液を取り出すための系外排出管である。8は反応容器2内に配置され、冷却水や加温水を流通させるための温度調節管である。9は反応容器2内の圧力や温度を測定する圧力温度計である。
【0017】
尚、上記反応容器2内の気相部分(混合溶液13以外の空間)と液相部分(混合溶液13が占める部分)の容積比率は気相/液相=9/1〜1/9程度、好ましくは2/1〜1/2程度にするとよい。容積比率が1/9よりも小さくなると圧力上昇の原因となり、9よりも大きくなると製造効率を上げるために装置を大型化しなければならなくなる。また上記装置にはエジェクター1を大型化したり、エジェクター1を二機以上具備してもよく、このことで反応時間を短くすることができる。
【0018】
このような装置を用いて硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液を製造するに当たっては、先ず反応容器2内に供給管5を通じて硫酸酸性溶液を供給する。次に吸引管6を通じて減圧装置で反応容器2内の空気などを抜いて圧力を100〜600mmHg程度にまで減圧する。次に供給管5を通じて反応容器2内に窒素系酸化剤を供給する。そしてポンプ3を駆動させて硫酸酸性溶液と窒素系酸化剤の混合溶液13を昇圧し、循環管12及びエジェクター1及び溶液流通管10を介して循環させる。このように混合溶液13を循環させると、エジェクター1を通過する際に生じる吸引効果で、反応容器2内で発生する窒素酸化物14(矢印で示す)が気体流通管11を介してエジェクター1内に吸引されて混合溶液13と接触し、溶液流通管10を介して反応容器2内の混合溶液13内に混合噴出されると共に、酸素が酸素供給管4より気体流通管11に供給されてエジェクター1内に吸引され混合溶液13と接触し、溶液流通管10を介して反応容器2内の混合溶液13内に混合噴出される。そして上記のように硫酸酸性溶液中の第一鉄イオンが酸化されて反応が終了して硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液が生成されると、ポンプ3を介して系外排出管7より取り出されるものである。また反応容器2内の圧力は上昇傾向にあるが、最終的には100〜600mmHg程度にまで戻される。
【0019】
本発明に使用することができる硫酸酸性溶液としては、廃硫酸或いは硫酸と硫酸第一鉄・七水塩等とを混合して全鉄成分の濃度を50〜200g/リットル以内とし、また硫酸濃度を下記反応式(4)で表されるFeSOに対してのHSO必要量の0〜100%(モル%)範囲内に調製したものである。
(4)2FeSO+HSO+1/2O→Fe(SO+H
つまりFeSO:HSO=1:0〜0.5の割合(モル比)で混合するのである。
【0020】
上記硫酸酸性溶液は硫酸第一鉄の溶解度範囲内であればそのまま使用することができるが、硫酸第一鉄が溶解度以上の濃度である場合には、硫酸酸性溶液として、上記硫酸第一鉄溶液と硫酸第二鉄溶液や塩基性硫酸第二鉄溶液などとの混合溶液を用いることができ、このように硫酸第一鉄と硫酸第二鉄溶液や塩基性硫酸第二鉄溶液を混合すると、スラリー状の硫酸第一鉄溶液の溶解度を上げることができる。
【0021】
つまり図6に示すように硫酸第一鉄溶液中の第一鉄イオン(Fe2+)の混合割合が減少してスラリー濃度が小さくなり、硫酸第一鉄溶液のスラリーの溶解度を上げることができる。そしてこのスラリーの溶解度の上昇によってさらに第一鉄イオンの酸化効率を上げることができる。また図6において、20℃の曲線(図6に実線で示す)と40℃の曲線(図6に細い破線で示す)と50℃の曲線(図6に太い破線で示す)を比較して判るように、スラリー濃度は同じFe2+の混合割合でも温度が高いほど小さくなり温度が低いほど大きくなる。従って温度が高いほどスラリーの溶解度を上げることができ、このスラリーの溶解度の上昇によってさらに第一鉄イオンの酸化効率を上げることができる。
【0022】
このように本発明に使用する硫酸酸性溶液として硫酸第一鉄溶液と硫酸第二鉄溶液や塩基性硫酸第二鉄溶液の混合溶液を用いると、装置の磨耗、配管内の圧損、目詰まり等を防止することができる。
また本発明の窒素系酸化剤としては、亜硝酸塩、硝酸やその塩、NO2 などのガス状のものなどを使用することができる。この窒素系酸化剤は第一鉄イオン1モルに対してNO2 が0.005〜0.1モルの範囲内であり、0.1モルを越えると反応容器内の圧力上昇の主原因となり、0.005モル未満であれば、酸化反応が遅くなる恐れがある。
【0023】
また本発明の高濃度酸素としては、液体酸素より製造されたものを使用することができ、酸素濃度が70%以上であることが望ましい。酸素濃度が70%未満であれば、酸化を迅速にかつ効率よくおこなうことができない恐れがある。
上記のように本発明では、硫酸酸性溶液に窒素系酸化剤を添加し、この硫酸酸性溶液をエジェクターを介して循環させて混合攪拌及び噴出をおこなう。この時硫酸酸性溶液と窒素系酸化剤とが反応してNOとNO2 を生じるが、このNOとNO2 と上記高濃度酸素は硫酸酸性溶液がエジェクターを通過する際に発生する吸引効果(エジェクター効果)で硫酸酸性溶液中に微細粒泡となって吸引、混合、攪拌される。次に硫酸酸性溶液中のNOと高濃度酸素が反応してNO2 が生成され、上記硫酸酸性溶液と窒素系酸化剤が反応して生成されるNO2 及びNOと高濃度酸素が反応して生成されるNO2 とが液相中のFeSO4 ,H2 SO4 と反応することによって、第一鉄イオンが酸化されて第二鉄イオンとなり、上記反応式(1)に基づいて硫酸第二鉄溶液が、上記反応式(2)に基づいて塩基性硫酸第二鉄溶液がそれぞれ生成される。
【0024】
このように本発明では、硫酸酸性溶液と窒素系酸化剤が反応して生成されるNO2 及びNOと高濃度酸素が反応して生成されるNO2 とを、高濃度酸素とともにエジェクターの吸引、混合、噴出効果により微細粒泡化して硫酸酸性溶液中に存在させることができ、NO2 と硫酸酸性溶液との接触面積を大きくして第一鉄イオンの酸化効率を高めることができる。そして本発明ではこの酸化効率の向上によって、第一鉄イオンの接触酸化効率を80〜99%(ほぼ100%)にすることができる。
【0025】
またエジェクターは減圧下(例えば100mmHg)でも吸引、混合、噴出効果が低下することなく用いることができるので、硫酸酸性溶液への窒素酸化物(NOやNO2 )と高濃度酸素の吸引、混合、噴出を確実におこなうことができる。またエジェクターは気液接触装置等の大型の装置よりも小さいので、装置を小型化することができる。
【0026】
さらに本発明ではNO2 と硫酸酸性溶液中との接触面積を大きくして第一鉄イオンの酸化効率を高めることができるので、酸化反応温度(硫酸酸性溶液の温度)を室温から50℃以下の低温に保持してもNO2 による第一鉄イオンの酸化効率が低下することがなく酸化反応を進行させることができる。
上記本発明においては、窒素系酸化剤は第一鉄イオンの酸化反応の進行具合に応じて添加量を調節することが好ましい。つまり上記酸化反応が進んだ後期では、第一鉄イオンの存在が少なくなりNOやNO2 の割合が増え、このNOやNO2 がH2 Oと反応して硝酸を生じ、この硝酸により第一鉄イオンの酸化反応は平衡状態となって進行しなくなる恐れがあり、そこで本発明では例えば反応初期に添加する全窒素系酸化剤の60%、反応中期には30%、反応後期には10%とすることができる。第一鉄イオンの酸化反応の進行具合は、段階的に上昇する反応容器内の圧力を測定することで把握することができる。
【0027】
このように窒素系酸化剤の添加量を第一鉄イオンの酸化反応の進行具合に応じて調節することによって、第一鉄イオンの酸化反応が平衡状態になって進行しなくなるのを防止することができ、未酸化で残存しやすい第一鉄イオンの酸化を容易におこなうことができる。
また本発明では減圧装置を用いて反応容器2内を0〜700mmHg、好ましくは100〜600mmHgの減圧下にして酸化反応を進行させることができる。このように減圧下で酸化反応を進行させることによって、製造される硫酸第二鉄溶液や塩基性硫酸第二鉄溶液中に溶存する窒素酸化物(NOやNO2 )の量を少なくすることができると共に、反応過程で発生するNOやNO2 が反応容器より漏洩しなくなって大気を汚染しないようにすることができる。
【0028】
また本発明では温度調節管8に冷却水或いは加熱水を流通させることによって、反応容器2内(混合溶液13)を室温から50℃以下の低温に保持して酸化反応を進行させることができる。このように低温に保持して酸化反応を進行させることによって、酸化反応の進行を促進するために温度を上げる必要がなくなって、エネルギーの消費を少なくすることができる。
【0029】
そして上記のように酸化反応温度を室温から50℃以下の低温に保持し、反応容器内を減圧状態にすることによって、酸化反応により温度が上昇して反応容器内の気体(NOやNO2 やO2 )の体積膨張がおこらないようにして反応容器内の圧力が高くならないようにすることができ、減圧状態及び製造条件の安定化を図ることができる。また窒素酸化物(NOX )や硝酸の発生を抑えることもできる。
【0030】
また本発明では、硫酸酸性溶液に窒素系酸化剤を添加することで発生するNO、及び硫酸酸性溶液に窒素系酸化剤を添加することで発生するNOと高濃度酸素とが反応して生成されるNOをエジェクターを用いて硫酸酸性溶液中に吸引したので、上記NOを酸化剤として繰り返し利用することができる。
図2には本発明の実施例が示してある。30は吸収容器、31はエジェクターであって、吸収容器30とエジェクター31とは溶液流通管32と循環管34とで接続してある。35は循環管34の途中に介在させてあるポンプである。38は一端がエジェクター31、他端が上記反応容器2にそれぞれ接続される気体分配管である。36は一端が上記気体流通管11、他端が吸収容器30にそれぞれ接続される配送管である。39a、39b、39cはバルブである。また吸収容器30内には吸収液37が貯留してある。
【0031】
この実施例にあっては、上記と同様にして混合溶液13の反応を開始し、反応過程において何らかの条件により、例えば各装置部分の故障及び異常時、また窒素系酸化剤の過剰添加等によって反応容器2内の圧力上昇がある場合に、バルブ39aを開くと共に吸収容器30側のポンプ35を駆動させて吸収液37を循環管34とエジェクター31と溶液流通管32を介して循環させるようにする。そして吸収液37がエジェクター31を通過する際に生じる吸引効果で気体分配管38を介して反応容器2内から圧力の上昇の主原因である窒素酸化物や未反応酸素をエジェクター31に吸引し、吸収液37に吸引して接触、混合、噴出される。
【0032】
このように反応容器2内で発生した余剰の窒素酸化物や未反応酸素を吸収液37に湿式吸収法にて吸収させることによって、例えば吸収液37として硫酸第一鉄溶液を用いると、NOが硫酸第一溶液に錯塩として吸収除去されてFe(NO)SOが生成されることになり、このFe(NO)SOを含有する溶液は本発明の硫酸酸性溶液等の鉄原料としてリサイクルすることができる。
【0033】
また吸収液37としてアルカリ水溶液、アルカリ性過酸化水素水、アルカリ性次亜塩素酸ナトリウム等を用いると、NOやNO2 が酸化吸収除去されて亜硝酸塩や硝酸塩を生じることになり、この亜硝酸塩や硝酸塩は窒素系酸化剤(窒素系酸化物触媒)としてリサイクルすることができる。また反応容器2内の余剰の窒素酸化物や未反応酸素を低減させることで、反応容器2内の圧力を常に減圧を保持した状態で反応容器2内の酸化反応を進行させることができる。尚、吸収液37で吸収することができなかった窒素酸化物や未反応酸素や吸収液37と窒素酸化物の反応で新たに発生する窒素酸化物は、バルブ39b、39cを配送管36を通じてエジェクター1に返送される。
【0034】
図3には本発明の他の実施例が示してあり、この装置は製造した硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液47をパージする際に用いられるガス処理装置(クローズシステム)が示してある。図中において40はパージ用容器、41はエジェクターであって、パージ用容器40とエジェクター41とは溶液流通管42と循環管43とで接続してある。44は循環管43の途中に介在させてあるポンプである。45はエジェクター41に接続されるパージ用空気供給管である。46は一端がパージ用容器40、他端が吸収装置Aのエジェクター51に接続される放出管である。48は圧力温度計である。49a、49bはバルブである。
【0035】
吸収装置Aは、濃度が5%程度の硫酸第一鉄溶液などの吸収液56が貯留される容器50と、溶液流通管52と循環管53とで容器50と接続されるエジェクター51と、循環管53の途中に介在させてあるポンプ54と、圧力温度計55と、高濃度酸素の供給管59と、循環管53の途中に設けられた排出部53aから構成されている。また容器50には上記パージ用空気供給管45と放出管46に接続される戻し管57が設けてあると共に、戻し管57には吸収装置Bのエジェクター61と接続される送り管58が接続してある。50a、50bはバルブである。
【0036】
吸収装置Bは、濃度が5%程度のアルカリ性過酸化水素水などの吸収液66が貯留される容器60と、溶液流通管62と循環管63とで容器60と接続されるエジェクター61と、循環管63の途中に介在させてあるポンプ64と、圧力温度計65と、高濃度酸素の供給管69と、循環管63の途中に設けられた排出部63aから構成されている。また容器60には上記戻し管57に接続される戻し管67が設けてあると共に、戻し管67には吸収装置Cのエジェクター71と接続される送り管68が接続してある。60a、60bはバルブである。
【0037】
吸収装置Cは、濃度が2%程度の水酸化ナトリウム溶液などの吸収液76が貯留される容器70と、溶液流通管72と循環管73とで容器70と接続されるエジェクター71と、循環管73の途中に介在させてあるポンプ74と、圧力温度計75と、高濃度酸素の供給管79と、循環管73の途中に設けられた排出部73aから構成されている。また容器70には上記戻し管67に接続される戻し管77が設けてあると共に、戻し管77には吸収装置Cから外部に排気するための排気管78が接続してある。70a、70bはバルブである。
【0038】
このような装置を用いて硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液をパージするにあたっては、バルブ49aを開くと共にポンプ44を駆動させて硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液47を昇圧し、循環管43及びエジェクター41及び溶液流通管42を介して循環させる。このように硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液47を循環させると、エジェクター41を通過する際に生じる吸引効果で、パージ用空気供給管45を介して空気がエジェクター41内に吸引され、硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液47内に空気が吸入され、硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液47中のNOやNO2 が空気により追い出され放出されることによって、窒素酸化物の含有量の少ない硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液が得られる。
【0039】
上記反応においてパージ用容器40内には放出されたNOやNO2 などの窒素酸化物が存在しているが、この窒素酸化物は吸収装置A、B、Cで吸収される。つまりバルブ49b、50b、60b、を開放すると共に各ポンプ54、64、74を駆動させて各吸収液56、66、76を循環管53、63、73と各エジェクター51、61、71と各溶液流通管52、62、72を介して循環させることによって、吸収液56、66、76が各エジェクター51、61、71を通過する際に生じる吸引効果で、パージ用容器40より放出された窒素酸化物及び酸素供給管59、69、79を介して供給される酸素を放出管46、送り管58、68を介して吸収装置A、B、Cに順送りして吸収液56、66、76で吸収処理し、最後にバルブ70bを開いて排気管78を通じて外部に放出される。
【0040】
そして1パージ(上記窒素酸化物の吸収過程の1周期)で窒素酸化物が吸収されなかった場合には、バルブ49を閉めてパージ用空気供給管45を閉鎖すると共にバルブ50a、60a、70aを開けて戻し管57、または戻し管67、或いは戻し管77を連通状態にして、1パージで吸収されなかった窒素酸化物を吸収装置A、B、Cに循環させ、上記吸収処理と同様にして窒素酸化物を吸収液56、66、76に吸収させることができる。
【0041】
このように硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液をパージする際に発生するNOやNO2 の窒素酸化物は吸収装置A、B、Cで吸収されることになり、窒素酸化物を大気中に放出することがなく、従って大気汚染の防止を図ることができる。また酸素を供給しつつ上記吸収をおこなうので、発生するNOを最も吸収効率のよいNO2 として吸収液に吸収することができる。また吸収装置A、B、Cの吸収液56、66、76はそれぞれ排出部53a、63a、73aから吸収液の種類によって鉄原料や窒素系酸化剤として取り出してリサイクルすることができる。
【0042】
尚、吸収装置の数は三台に限定されるものではなく、台数を増やすことも可能である。
次に本発明の装置による硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造例について説明する。
(製造例1)
硫酸酸性溶液としては、T−Feの濃度が190g/リットル、T−SO4
の濃度が465g/リットルの硫酸第一鉄溶液を使用した。窒素系酸化剤としては二酸化窒素ナトリウム(NaNO2 )の濃度が105g/リットルの水溶液を使用した。吸収液としてはアルカリ性過酸化水素水(NaOHの濃度が5%、H2 2 の濃度が3%)を使用した。装置としては図2に示すものを用いた。
【0043】
そして上記硫酸第一鉄溶液500リットルを供給管5を通じて反応容器2内に供給すると共に吸引管6を通じて反応容器2内の空気を抜いて絶対圧力100mmHgにした。次に窒素系酸化剤を供給管5を通じて反応容器2内に徐々に添加した。この窒素系酸化剤は40リットルを連続的に一時間で均等に添加した。次にポンプ3を駆動させて硫酸第一鉄溶液と窒素系酸化剤の混合溶液13を循環させた。これと同時にエジェクター1を介して高濃度酸素及び窒素酸化物が混合溶液13に吸入された。また反応開始時の混合溶液13(反応容器)の温度は22℃であった。
【0044】
反応開始後2時間で反応容器2内の絶対圧力が760mmHgに達したので、吸収容器30内に貯留された吸収液37をポンプ35で昇圧して循環させ、反応容器2内の窒素酸化物を吸収し、反応容器2内の絶対圧力を700mmHgに保持した。
反応開始後8時間で硫酸第一鉄溶液中の第一鉄イオンの酸化が終了した。酸化率は100%であり、Fe3+の濃度が176g/リットル、T−SO4 の濃度が430g/リットルの塩基性硫酸第二鉄溶液を得た。塩基性硫酸第二鉄溶液中のNO3 の濃度は5200mg/リットルであった。
【0045】
反応終了時の混合溶液13(反応容器)の温度は49℃であった。エジェクター1による混合溶液13の循環液量は200リットル/minであり、またエジェクター1による窒素酸化物と高濃度酸素の吸引ガス流量は100リットル/minであった。、また消費された高濃度酸素の量は10500リットルであり、必要酸素理論量の約1.1倍であった。
【0046】
(製造例2)
硫酸酸性溶液、窒素系酸化剤、吸収液、及び装置は上記製造例1と同様のものを使用した。
そして上記硫酸第一鉄溶液500リットルを供給管5を通じて反応容器2内に供給すると共に吸引管6を通じて反応容器2内の空気を抜いて減圧状態にした。次に窒素系酸化剤を供給管5を通じて反応容器2内に徐々に添加した。この窒素系酸化剤は40リットルを反応初期に60%(24リットル)、反応中期に30%(12リットル)、反応後期に10%(4リットル)を添加した。次にポンプ3を駆動させて硫酸第一鉄溶液と窒素系酸化剤の混合溶液13を循環させた。これと同時にエジェクター1を介して高濃度酸素及び窒素酸化物が混合溶液13に吸入された。また反応開始時から反応終了時まで混合溶液13(反応容器)の温度を45℃に保持した。また反応初期において絶対圧力360mmHgになるように高濃度酸素の供給量を調節し、反応中期以後は反応容器2内の圧力を610mmHgに保つように高濃度酸素の供給量を調節したり、吸収液37で窒素酸化物を吸収した。
【0047】
反応開始後7時間で硫酸第一鉄溶液中の第一鉄イオンの酸化が終了した。酸化率は100%であり、Fe3+の濃度が176g/リットル、T−SO4 の濃度が430g/リットルの塩基性硫酸第二鉄溶液を得た。塩基性硫酸第二鉄溶液中のNO3 の濃度は4200mg/リットルであった。またエジェクター1による混合溶液13の循環液量は200リットル/minであり、またエジェクター1による窒素酸化物と高濃度酸素の吸引ガス流量は100リットル/minであった。、また消費された高濃度酸素の量は10500リットルであり、必要酸素理論量の約1.1倍であった。
【0048】
(製造例3)
硫酸酸性溶液としては、T−Feの濃度が150g/リットル、T−SOの濃度が392g/リットルの硫酸第一鉄溶液を使用した。その他は製造例1と同様にして硫酸第二鉄溶液を得た。
(製造例4)
製造例2の反応終了後塩基性硫酸第二鉄溶液を排出し、反応容器2内に新たに上記と同様の硫酸第一鉄溶液を供給し、反応容器2内に残留した窒素酸化物を利用して製造例2と同様の操作をおこない、塩基性硫酸第二鉄溶液を得た。
【0049】
この製造例では残留した窒素酸化物を利用して製造例2の塩基性硫酸第二鉄溶液と同様なものが得られた。
(製造例5)
図2に示す装置2の循環管12にエジェクターをもう1基増設し、製造例2と同様の操作をおこなった。2基のエジェクターの混合溶液13の循環液量は400リットル/minであった。
【0050】
この製造例では反応時間を4時間にすることができた。
(製造例6)
上記製造例1、2で製造された塩基性硫酸第二鉄溶液を図3に示す装置でパージした。吸収液56としては硫酸第一鉄溶液(FeSO4 の濃度が5%、H2 SO4 の濃度が1%)を使用し、吸収液66としてはアルカリ性過酸化水素水(NaOHの濃度が5%、H2 2 の濃度が3%)を使用し、吸収液76としては水酸化ナトリウム溶液(NaOHの濃度が2%)を使用した。
【0051】
この製造例において排気管78から排気されるNO及びNO2 はJISの化学発光測定法を用いても検出限界値以下であり、非常に小さいものであった。、また吸収液56は鉄原料として、また吸収液66、76は亜硝酸塩及び硝酸塩としてリサイクルすることができた。
(比較例)
硫酸酸性溶液と窒素系酸化剤としては上記製造例1と同様のものを使用して、従来から用いられている装置で塩基性硫酸第二鉄溶液を製造した。
【0052】
即ち上記硫酸酸性溶液(硫酸第一鉄溶液)500リットルを反応容器に入れて80℃まで加熱し、窒素系酸化剤を50リットルを徐々に添加して20時間空気酸化をおこない、酸化率90%の塩基性硫酸第二鉄溶液を得た。
この比較例の装置で製造された塩基性硫酸第二鉄溶液について、還元蒸留−中和滴定法によって溶液中のNO3 の濃度を測定すると、8500mg/リットルであった。
【0053】
上記製造例1、2について、市販のポリ硫酸第二鉄(商品名「ポリテツ」(登録商標)日鉄鉱業(株)社製)と周知の凝集比較試験をおこなったが、製造例1、2とも市販のポリ硫酸第二鉄と同等の性能を有するものであった。また製造例1、2、比較例について単位酸素供給量当たりの酸化率を求め、次式Aより接触酸化効率を求めた。
【0054】
接触酸化効率(%)=酸化率(%)/理論酸化率(%)×100 …A
上記酸化率及び接触酸化効率の結果を表1に示すと共に図4に酸素供給量と酸化率との関係を示すグラフ、図5に酸素供給量と接触酸化効率との関係を示すグラフを示した。尚、図4において実線は理論値、細い破線は製造例1の値、太い破線は製造例2の値、一点鎖線は比較例の値を示す。また図5において実線は製造例1の値、細い破線は製造例2の値、二点鎖線は比較例の値を示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003660709
【0056】
表1において製造例1、2と比較例とを対比すると、同量の酸素供給量であっても、製造例1、2の方が比較例よりも酸化率が高く、接触酸化効率も向上しているのが判る。即ち製造例1、2の方が比較例よりも酸化を効率よく行うことができると言える。また製造例1と製造例2とを比較すると、製造例2の方が製造例1よりも酸化率及び接触酸化効率の値が良いことが判る。即ち製造例2のように窒素系酸化剤を分割供給すると第一鉄イオンの酸化率及び接触酸化効率を向上させることができると言える。
【0057】
【発明の効果】
上記のように本発明は、硫酸第一鉄溶液を含む硫酸酸性溶液を貯留する反応容器と、両端が反応容器にそれぞれ接続され硫酸酸性溶液を循環させる循環管と、硫酸酸性溶液中に窒素系酸化剤を添加する供給管と、循環管の途中に配設されるエジェクターと、一端が反応容器に他端がエジェクターに接続される気体流通管と、気体流通管に接続され気体流通管を介して高濃度酸素を供給する酸素供給管とを具備するので、硫酸酸性溶液を循環管に循環させると、エジェクターを通過する際に生じる吸引効果で、反応容器内で硫酸第一鉄溶液と窒素系酸化剤の反応によって発生するNOを含む窒素酸化物と、酸素供給管を介して供給される高濃度酸素とが気体流通管を介してエジェクター内に吸引され、窒素酸化物と高濃度酸素とが微細粒泡化されて硫酸酸性溶液と接触し、エジェクタから反応容器内の硫酸酸性溶液に混合噴出されることになり、窒素酸化物と高濃度酸素と硫酸酸性溶液中の第一鉄イオンとの接触率を高めて酸化効率を向上させることができ、短時間で第一鉄イオンの酸化反応を終了させることができるものである。また上記のように第一鉄イオンの酸化効率を高めることができるので、高価な窒素系酸化剤を多量に使う必要がなくなり、経済的な不利を受けることがないようにすることができるものである。
また本発明は、反応容器内で発生した余剰の窒素酸化物や未反応酸素を吸収する吸収液を貯留する吸収容器と、両端が吸収容器にそれぞれ接続され吸収液を循環させる循環管と、この循環管の途中に配設されるエジェクターと、一端がこのエジェクターに他端が反応容器に接続される気体分配管と、一端が気体流通管に他端が吸収容器に接続される配送管とを具備するので、反応容器内で発生した余剰の窒素酸化物や未反応酸素を吸収液に湿式吸収法にて吸収させることによって、例えば吸収液として硫酸第一鉄溶液を用いると、NOが硫酸第一鉄溶液に錯塩として吸収除去されてFe(NO)SO が生成されることになり、このFe(NO)SO を含有する溶液は本発明の硫酸酸性溶液等の鉄原料としてリサイクルすることができるものであり、また吸収液としてアルカリ水溶液、アルカリ性過酸化水素水、アルカリ性次亜塩素酸ナトリウム等を用いると、NOやNO が酸化吸収除去されて亜硝酸塩や硝酸塩を生じることになり、この亜硝酸塩や硝酸塩は窒素系酸化剤(窒素系酸化物触媒)としてリサイクルすることができるものである。さらに反応容器内の余剰の窒素酸化物や未反応酸素を低減させることで、反応容器内の圧力を常に減圧を保持した状態で反応容器内の酸化反応を進行させることができるものである。
【0058】
また本発明では、反応容器内を減圧する減圧装置を具備するので、反応容器内の酸化反応過程を減圧状態を保持した状態でおこなうことができ、硫酸第一鉄と窒素系酸化剤の反応によって発生する窒素酸化物の反応容器からの漏洩を防ぐことができ、大気汚染の防止を図ることができるものである。
また酸化反応温度を室温から50℃以下の低温で保持するための冷却水或いは加温水が流通する温度調節管を具備するので、温度上昇によって反応容器内の圧力が高くならないようにすることができ、減圧状態及び製造条件の安定化を図ることができるものである。
【0059】
また第一鉄イオンの酸化進行過程において発生する窒素酸化物、或いは硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液を空気等でパージする時に発生する窒素酸化物を吸収処理する吸収液を備えた吸収装置を具備するので、吸収装置で窒素酸化物を吸収して大気中に放出しないようにすることができると共に吸収液を鉄原料や窒素系酸化物として再利用することができ、リサイクルを促進することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例を示す概略図である。
【図2】 本発明の一実施例を示す概略図である。
【図3】 同上のさらに他の実施例を示す概略図である。
【図4】 理論及び製造例1、2及び比較例における酸素供給量と酸化率との関係を示すグラフである。
【図5】 製造例1、2及び比較例における酸素供給量と接触酸化効率との関係を示すグラフである。
【図6】 硫酸第二鉄溶液や塩基性硫酸第二鉄溶液の混合割合と、スラリー濃度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エジェクター
2 反応容器
4 酸素供給管
5 供給管
8 温度調節管
11 気体流通管
12 循環管
30 吸収容器
31 エジェクター
34 循環管
36 配送管
37 吸収液
38 気体分配管
A 吸収装置
B 吸収装置
C 吸収装置

Claims (4)

  1. 硫酸第一鉄溶液を含む硫酸酸性溶液を貯留する反応容器と、両端が反応容器にそれぞれ接続され硫酸酸性溶液を循環させる循環管と、硫酸酸性溶液中に窒素系酸化剤を添加する供給管と、循環管の途中に配設されるエジェクターと、一端が反応容器に他端がエジェクターに接続される気体流通管と、気体流通管に接続され気体流通管を介して高濃度酸素を供給する酸素供給管とを具備すると共に、反応容器内で発生した余剰の窒素酸化物や未反応酸素を吸収する吸収液を貯留する吸収容器と、両端が吸収容器にそれぞれ接続され吸収液を循環させる循環管と、この循環管の途中に配設されるエジェクターと、一端がこのエジェクターに他端が反応容器に接続される気体分配管と、一端が気体流通管に他端が吸収容器に接続される配送管とを具備して成ることを特徴とする硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置。
  2. 反応容器内を減圧する減圧装置を具備して成ることを特徴とする請求項1に記載の硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置。
  3. 酸化反応温度を室温から50℃以下の低温に保持するための冷却水或いは加温水が流通する温度調節管を具備して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置。
  4. 第一鉄イオンの酸化進行過程において発生する窒素酸化物、或いは硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液を空気等でパージする時に発生する窒素酸化物を吸収処理する吸収液を備えた吸収装置を具備して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の硫酸第二鉄溶液及び塩基性硫酸第二鉄溶液の製造装置。
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