JP3660472B2 - インターフェログラム補正方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインターフェログラム補正方法、特にMCT検出器により採取されたインターフェログラムのソフト的補正方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
赤外フーリエ分光法の代表的な検出器の一つとして広く用いられているMCT(Mercury Cadmium Telluride)検出器は、入射光量の増加に従って非線形応答を示すことが知られている。また、入射光量と無関係に、検出器の直列バイアス抵抗が非線形性を引き起こすことも指摘されている。このようなプリアンプ部も含めた検出器の非線形応答特性は、一般にインターフェログラムのセンターバースト信号を圧縮し、本来検出器の感度のない0〜500cm-1付近の低波数域に"non-physical energy"として知られる疑似ピークを発生させ、同時にスペクトルの形状にも歪みを与えてしまう。その理由は、検出器の非線形性によって真のインターフェログラムが振幅変調され、従ってスペクトル領域では真のスペクトルと変調関数のフーリエ変換とのコンボリューションによって測定スペクトルが与えられるためである。
【0003】
この問題を回避するためには、検出器の線形応答領域に入射光量を制限する必要がある。しかし、入射光量の低下に呼応してスペクトルのSN比の低下も招いてしまう。透過率100%ラインからの微少な吸収測定を行う場合にも、故意に入射光量を制限してSN比の悪い条件下で行わなければならなくなってしまう。AD変換器のダイナミックレンジの問題までをも含めたハードウエアによる解決策の一つは、KuehlとGriffithsによって提案されたダブルビームFT−IRである。
【0004】
一方、シングルビームFT−IRでは各種の非線形補正回路(リニアライザー)や検出器の定電圧駆動方法が報告されている。しかし、これらの手法は個別のMCT検出器ごとに微妙な調整を必要とするし、ダイナミックレンジもさほど広くはとれない。微弱な入射光量に対してはかえってSN比の低下を招いてしまうことも経験的に知られている。
【0005】
そのため、ソフト的な補正方法も各種検討されている。もっとも直接的な方法は、各入射光レベルに対する検出器出力の補正テーブルを予め作成しておく方法である。しかし、やはり個別の検出器ごとにそのような操作が必要である。
その他の方法としては、検出器の応答モデルを仮定する方法がある(特開昭63−44131号公報など)。基本的な手順は、検出器の入射光量に対する応答曲線の適当なモデルを仮定し、測定したインターフェログラムをスペクトルに変換した際、疑似ピークが消滅するようにモデルを補正する。Schindlerらは、折り返し周波数の半分以下の帯域のスペクトルに対して良好な補正が可能であることを示した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したような補正方法にあっても、検出器に入射する光の直流レベルを試行錯誤的に探す必要があった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は検出器に入射する光の直流レベルは直接考慮せず、前記光導電型MCT検出器の非線形性の問題に対しフルバンドのスペクトルに対応できるインターフェログラム補正方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかるインターフェログラム補正方法は、
MCT検出器にて採取された測定インターフェログラムの波形の最小値をx軸と接するように置き、y軸に検出器出力をとり、
検出器応答を線形部分と非線形部分に分離し、
前記非線形部分についてのみ、測定インターフェログラムをスペクトル変換した際の疑似ピークが消失するように指数関数的な応答曲線を設定し、該応答曲線に対応した測定インターフェログラムの補正を行うことを特徴とする。
【0008】
なお、前記方法において、前記指数関数的応答曲線は、
【数4】
y=x (0≦x≦a)
y=a+(b−a){1−exp[−(x−a)/(b−a)]}(x>a)…(1)
(上記式(1)において、パラメータaは線形部と非線形部の接続点、bは非線形応答の上限値である。)
で表されることが好適である。
【0009】
また、前記方法において、a,bはブランク測定により得ることが好適である。
また、前記方法において、ブランク測定により得たa,bに関し、実試料測定時の補正パラメータa’,b’を
【数5】
a’=a+α
b’=b+α
(αは正の定数)
により得ることが好適である。
【0010】
また、前記方法において、MCT検出器出力は直流成分阻止用の交流結合回路を介して増幅されており、
測定インターフェログラムデータのフーリエ変換によって振幅スペクトルと位相スペクトルを求め、
遮断周波数fcの交流結合回路の振幅及び位相周波数特性を下記(2)式にて演算し、
【数6】
G(f)=[j(f/fc)]/[j(f/fc)+1] …(2)
(なお、上記(2)式において、jは虚数単位、fは周波数である)
測定振幅スペクトルを交流結合回路の振幅により除算し、
測定位相スペクトルより交流結合回路の位相周波数特性を減算し、
得られたスペクトルを逆フーリエ変換して修正インターフェログラムを得、
修正インターフェログラムの波形の最小値をx軸と接するように置き、y軸に検出器出力をとり、
検出器応答を線形部分と非線形部分に分離し、
前記非線形部分についてのみ、修正インターフェログラムをスペクトル変換した際の疑似ピークが消失するように指数関数的な応答曲線を設定し、該応答曲線に対応して測定インターフェログラムの補正を行うことが好適である。
【0011】
【発明の実施形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。
図1には一般的な赤外フーリエ分光測定装置10の概略構成が示されており、赤外光源12から出射した赤外光は、マイケルソン干渉計などの干渉計14にて赤外干渉光に変換される。そして、該赤外干渉光が試料16に照射され、その反射光ないし透過光がMCT検出器18により検出される。MCT検出器18により光電変換されたインターフェログラム情報は、交流結合回路20にて直流成分が除去され交流成分(本来のインターフェログラム)のみが抽出される。そして、交流成分が増幅器22にて増幅され、A/D変換器24にてデジタル信号に変換された後、コンピュータ26により解析が行われる。
【0012】
そして、本発明者らは、MCT検出器そのものの入射光量に対する物理的な応答モデルを直接仮定することはせずに、測定したインターフェログラムの交流部分(インターフェログラムは本来交流部分をさすが)が強度に応じて非線形に歪んでいるモデルを数学的に仮定した。そして、その数学的な非線形モデルを二つのパラメータで表現し、スペクトルの補正の問題を上述した疑似ピークの面積がゼロになるという判定基準を用いて非線形最適化問題として取り扱った。その際、最適化のためにはMCT検出器とプリアンプ部に設けられている直流阻止用の交流結合回路(微分回路)の周波数特性も考慮しなければならないことを見いだした。
【0013】
図2には本発明の一実施形態にかかるインターフェログラム補正方法の工程が示されている。
同図に示す工程においては、
▲1▼交流結合回路の周波数特性の補正(S100)
▲2▼バックグラウンドインターフェログラムの解析による非線形部分のパラメータの算出(S104)
▲3▼非線形補正したパックグラウンドスペクトルの算出(S106)
▲4▼試料インターフェログラムの解析による非線形部分のパラメータの算出(S110)
▲5▼非線形補正した試料スペクトルの算出(S112)
▲6▼前記補正バックグラウンドスペクトルと補正試料スペクトルの対比による非線形補正した吸収スペクトルの算出(S114)
により行われる。
前記各工程のうち、▲3▼、▲5▼、▲6▼はそれぞれ定法により処理可能である。
【0014】
以下に、本発明において特徴的な工程について説明する。
▲1▼交流結合回路の周波数特性の補正
フーリエ分光器ではインターフェログラムの交流成分だけが意味をもつため、通常は検出器とプリアンプとの間に直流成分阻止用の交流結合(微分)回路が設けられている。その低域遮断周波数(fc)はインターフェログラムの最小変調周波数成分が通過するように設計される。例えば通常のマイケルソン干渉計では、移動鏡の走査速度v=4mm/sec、最小波数をσ=500cm-1とすると、fmin=2vσ=400Hzとなるので、fc<400Hzである。ここで前述した方法によって検出器の非線形性の補正を実行するためには、この微分回路の周波数特性を考慮することが好適であることを見いだした。
【0015】
測定したインターフェログラムは検出器からの時間的なインターフェログラム出力と微分回路の時間応答特性のコンボリューションで与えられる。従って、既知の微分回路の特性で測定したインターフェログラムのでデコンボリューションを行う。デコンボリューションはスペクトル面で行う。まず測定したインターフェログラムデータのフーリエ変換によって振幅(絶対値)スペクトルと位相スペクトルを求める。次に遮断周波数fcの微分回路の振幅及び位相周波数特性を計算する。そして、前者を後者で、振幅については除算、位相については減算を行った後、再び逆フーリエ変換を施してインターフェログラムデータに戻す。
【0016】
微分回路の周波数特性G(f)は式(2)により与えられる。
【数7】
G(f)=[j(f/fc)]/[j(f/fc)+1] …(2)
ここで、jは虚数単位、fc=16Hzのときの(2)式の振幅と位相を波数σの関数として図3(a),(b)に示す。表示波数域は−600〜600cm-1とし、負周波数部は点線で示した。ここで、周波数fと波数σの間にはf=2vσの関係がある。デコンボリューション処理において、図3(a)の特性の逆数はf=0のときに発散してしまうので、実際の計算においては十分に大きな値でこれを置き換える。前記非線形性補正はこのデコンボリューション処理後に行う。
【0017】
▲2▼バックグラウンドインターフェログラムの解析による非線形部分のパラメータの算出
非線形モデル
光導電型MCT検出器の入射光量に対する応答は、入射光量が大きい場合には入射光量の1/3乗に比例する。しかし、一方で個々の検出器ごとに特性が少しずつ異なり、後段のプリアンプなどを含む電気系の影響も考慮しなければならない。このような事情から、本発明者らは測定したインターフェログラムデータのうち、ある一定強度までは入射光量に対して線形であり、それ以上は非線形の影響を受けているという簡単な数学的モデルを仮定した。ここで、測定したインターフェログラムとは直流成分を除去した本来のインターフェログラムを指す。非線形部の関数型としては種々の形状が考えられるが、本発明者らは経験的にある一定値に漸近する単純な指数関数でも十分な結果が得られることを見いだした。
【0018】
真のインターフェログラムをIT、測定インターフェログラムをIMとし、それぞれの縦軸をx,yとすると、非線形モデルは次式で与えられる。
【数8】
y=x (0≦x≦a)
y=a+(b−a){1−exp[−(x−a)/(b−a)]}(x>a)…(1)
ここで、aは応答の線形部と非線形部の接続点であり、x=aにおいて曲線は連続である。
【0019】
一方、bは非線形応答の上限値である。この関係を図4に示す。ここでITおよびIMの最小値はそれぞれy軸、x軸に接するように置く。これは検出器に入射する光の直流成分を直接には考慮しないことを意味する。a=0の時検出器の特性はすべて指数関数的な非線形性を有する。一定のaに対してbを増加させると、特性は非線形から線形なものに変化する。逆に(b−a)を小さくすると非線形の程度が著しくなる。従って非線形性補正の問題は、適当な判定基準の元で二つのパラメータa,bを変化させてIMからITを推定するという数学的な非線形最適化問題となる。
【0020】
最適化判定基準
最適化の具体的な手順はいろいろなa,bの値の組に対して前記式(1)の逆関数を求めてIMからITを推定し、それをフーリエ変換する。このとき、a,bの値が適当でないと0〜500cm-1に疑似ピークが生じるので、最小の疑似ピークの面積を与えるようなa,bの値を探す。従って、疑似ピークの面積をゼロとするのが最適化判定基準である。a,bの探索領域は0≦a≦IP,a≦b≦10IPとし、それぞれ0.02IP単位で全領域検査を行った。ここで、IPはインターフェログラムデータの最大振幅である。最適化アルゴリズムとしては、全検査法以外にも種々の有力な方法が考えられる。しかし、全検査法は計算時間はかかるものの局所解に陥ることがなく、もっとも確実である。しかし、計算時間の短縮が必要な場合には、インターフェログラムのセンターバーストを含む中心部512点のデータに対して、スペクトル分解能を落として最適化を行う。以上のようにして最適化パラメータa,bを求めた後、全点数のインターフェログラムデータに対してIMからITの推定を行った。
【0021】
▲4▼試料インターフェログラムの解析による非線形部分のパラメータの算出(S110)
吸収スペクトルの取り扱い
シングルビームFT−IRでは吸収スペクトル測定のためにバックグラウンド(ブランク)スペクトルと試料スペクトルの2回の測定が必要である。この場合検出器の非線形性の補正は、厳密にはそれぞれのスペクトルに対して別途に行う必要があり、計算時間は2倍になる。しかし、試料スペクトルはバックグラウンドスペクトルと比較して検出器に入射する光量が相対的に減少していることを考慮すると、試料による光の吸収が微弱な場合には近似的にバックグラウンドスペクトルに対して得られた非線形補正のパラメータa,bをそのまま用いて補正でき、試料による光の吸収が大きい場合には補正の操作が必ずしも必要ないことがわかる。この判断は前述の疑似ピークの大きさを見て測定者が行う。その中間の程度の光の吸収がある場合には、近似的な方法ではあるが次式に従って補正パラメータa’,b’が求められる。
【数9】
a’=a+α
b’=b+α
【0022】
ここで、αは正の適当な定数である。この式はバックグラウンドスペクトルに対して得られた補正曲線の形状は変化させずに、試料インターフェログラムが非線形の影響をあまり受けなくなるようにαだけシフトさせることを意味する。最適化はバックグラウンドスペクトルに対して得られた補正パラメータa,bに対してαを少しずつ変化させながら行う。
【0023】
なお、このような指数関数のパラメータに対する補正定数αの要否は、図2右欄に示すように、
1.疑似ピークが大(試料吸収が小)である場合には、バックグラウンドインターフェログラムに対するパラメータa,bをそのまま使用する。
2.疑似ピークが中の場合には、前述した補正定数αを用いたパラメータa’,b’を用いる。
3.疑似ピークが小(試料吸収が大)の場合には、試料インターフェログラムの補正を行わない。
というように、疑似ピークの大小に応じて適宜対応することが好適である。
【0024】
【実施例】
本発明による非線形性の補正結果とハードウェアによる補正結果の比較を行うために、赤外フーリエ分光器の検出器部にリニアライザプリアンプ付MCT検出器を用いたものを標準とし、同一のMCT検出器に対してリニアライザ機能を有さないプリアンプに切り替えたものにより各種データを採取した。
このプリアンプの低域遮断周波数はfc=16Hz、ゲインは60dBである。測定は干渉計の可動鏡の走査速度v=4mm/sec、スペクトル分解能4cm-1で行った。検出器への入射光利用は平行光束部に光量絞りを挿入し、その径を段階的に変化させて調整した。
【0025】
バックグラウンドスペクトルの補正
まず、最初にリニアライザプリアンプ付MCT検出器を用いて低波数域の疑似ピークが発生しない範囲内で最大の入射光量が検出器に入射するようにアパーチャ径の調整を行った。そのようにして得たバックグラウンドスペクトルを図5(a)に示す。次にその状態でプリアンプを通常のものに切り替えた。そのときのスペクトルを図5(b)に示す。リニアライザ機能がないプリアンプでは低波数部に疑似ピークが発生している。また、同図からは判別しにくいが、各吸収線の幅は若干拡がり、切れ込みを浅くなっている。このスペクトルに対して本発明にかかる方法によって検出器の非線形性の補正を行った結果を図5(c)に示す。補正によって図5(a)と同等の結果が得られている。また、図5(d)には交流結合回路の周波数特性を考慮せずに非線形性の補正を試みた結果を示す。前記図5(b)に比較すれば大幅な改善が認められるが、低波数部の疑似ピークは完全には消失せず、高度な補正のためには交流結合回路の周波数特性の考慮が必要であることを示している。
【0026】
また、図6には図5(c)で用いたパラメータa,bの探索結果を示す。ここで、Sの値は疑似ピークの面積の相対値を表しており、矢印の点がこの場合の最適パラメータを示す。
検量線の直線性
シクロヘキサン(試薬特級;和光純薬)の3450cm-1の振動ピークに対し、セル厚を変えて検量線を作成した。使用したセルは0.5,1.0,2.0,3.0mm厚のKBr窓の赤外吸収用セルである。結果を図7に示す。X印は補正前、●印は補正後である。これにより本発明によれば検量線の直線性が改善されいることがわかる。
【0027】
入射光量の透過率に与える影響
無雑音の系では試料の透過率は入射光量の強弱には依存しないはずである。しかし、入射光量が大きくなり検出器の非線形性の影響が大きくなると見かけ上、透過率が減少する。この点を確認するため厚さ50μmのポリスチレンフィルムの透過率スペクトルを、入射光量を段階的に3段階変化させながら測定した。結果を図8に示す。(a)が補正前、(b)が補正後である。(a),(b)の矢印部分を比較すると、補正を施すことによって入射光量に依存した吸収ピークのばらつきがなくなり、吸収ピークの切れ込みも深くなっていることがわかる。本実験では補正可能な入射光量の上限は検出器ではなくプリアンプの飽和で制限された。しかし、この時点で補正しない場合と比較して約5倍強い入射光量に対応できていることを確認した。
【0028】
以上のように本発明にかかる補正によれば、インターフェログラムがその強度に応じてある一定値までは線形であるが、それ以上のレベルに対しては指数関数的な非線形性を受けていると仮定し、その特性を二つのパラメータからなる簡単な数学的モデルで表現して非線形最適化の問題として取り扱った。最適化判定基準は本来検出器の感度のない低波数域に生じる疑似ピークの面積をゼロにするというものである。その際、検出器とプリアンプ部の交流結合回路の周波数特性を考慮しなければならないことを新たに見いだした。実際の試料に対して、リニアライザ付プリアンプを使用した場合と比較したところ、良好な補正が行われていることが確認された。また補正を行わない場合と比較して約5倍の入射光量まで対応できることを確認した。ただし、この上限値は現状では検出器そのものではなく装置的な要因で決まってしまうため、さらに改善できる余地がある。
【0029】
なお、本発明は光導電型MCT検出器を対象として説明を行なったが、発明の主旨はこれにとどまらず、例えば起電力型MCT検出器の非線形性補正の目的にも適用できる。
また、本発明では、非線形性補正のために指数関数応答曲線を仮定したが、計算時間のことを考慮しなければその他のより適切な関数形を選択することも勿論可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかるインターフェログラム補正方法によれば、MCT検出器により得られた測定インターフェログラムの波形の最小値をx軸と接するように置き、y軸に検出器出力をとり、検出器出力の非線形部分にのみ指数関数的応答曲線を設定することとしたので、検出出力の直流成分を考慮することなく、出力の非線形性に由来する波形のひずみを除去することができる。
また、交流結合回路の影響を除去することにより、より良好にひずみを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な赤外フーリエ分光光度計の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる補正方法の工程説明図である。
【図3】交流結合回路の振幅及び位相の説明図である。
【図4】本発明における検出器出力と測定インターフェログラム及び真のインターフェログラムの関係の説明図である。
【図5】本発明を適用した場合と適用しない場合のバックグラウンドスペクトルの比較図である。
【図6】図4は図3で用いたパラメータa,bの探索結果の説明図である。
【図7】本発明による検量線の直線性改善状態の説明図である。
【図8】入射光量の透過率に与える影響と本発明の補正効果の説明図である。

Claims (5)

  1. MCT検出器にて測定されたインターフェログラムの非線形性補正方法であって、
    測定インターフェログラムの波形の最小値をx軸と接するように置き、y軸に検出器出力をとり、
    検出器応答を線形部分と非線形部分に分離し、
    前記非線形部分についてのみ、測定インターフェログラムをスペクトル変換した際の疑似ピークが消失するように指数関数的な応答曲線を設定し、該応答曲線に対応して測定インターフェログラムの補正を行うことを特徴とするインターフェログラム補正方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記応答曲線は、
    Figure 0003660472
    (上記数1において、パラメータaは線形部と非線形部の接続点、bは非線形応答の上限値である。)
    で表されることを特徴とするインターフェログラム補正方法。
  3. 請求項2記載の方法において、パラメータa,bはブランク測定により得ることを特徴とするインターフェログラム補正方法。
  4. 請求項3記載の方法において、ブランク測定により得たa,bに関し、実試料測定時の補正パラメータa’,b’を
    Figure 0003660472
    (αは正の定数)
    により得ることを特徴とするインターフェログラム補正方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法において、MCT検出器出力は直流成分阻止用の交流結合回路を介して増幅されており、
    測定インターフェログラムデータのフーリエ変換によって振幅スペクトルと位相スペクトルを求め、
    遮断周波数fcの交流結合回路の振幅及び位相周波数特性を下記数3にて演算し、
    Figure 0003660472
    (なお、上記数3において、jは虚数単位、fは周波数である)
    測定振幅スペクトルを交流結合回路の振幅により除算し、
    測定位相スペクトルより交流結合回路の位相周波数特性を減算し、
    得られたスペクトルを逆フーリエ変換して修正インターフェログラムを得、
    修正インターフェログラムの波形の最小値をx軸と接するように置き、y軸に検出器出力をとり、
    検出器応答を線形部分と非線形部分に分離し、
    前記非線形部分についてのみ、修正インターフェログラムをスペクトル変換した際の疑似ピークが消失するように指数関数的な応答曲線を設定し、該応答曲線に対応して測定インターフェログラムの補正を行うことを特徴とするインターフェログラム補正方法。
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