JP3659848B2 - 船舶主機燃料加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶等の油タンク用加熱管の蒸気弁制御に使用される船舶主機燃料加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶等においては、主機等で使用する燃料油(あるいは貨物油)を油タンクに貯蔵しており、油移動時に必要な最低粘度を確保するためには、一定温度以上に加熱する必要がある。そのため、油タンク内の油を加熱するための蒸気配管を油タンク内に設けている。
【0003】
蒸気発生装置としては、主機の排ガスを利用する排ガスエコノマイザー、ボイラーが利用されている。主機の排ガスを利用する排ガスエコノマイザーは、蒸気発生に費用を必要としない。従って、排ガスエコノマイザーを主に利用し、その補助的装置としてボイラーを利用するのが一般的である。しかし、排ガスエコノマイザーによる蒸気供給能力には制限があり、それを超えて蒸気が消費されると、ボイラーが作動し蒸気を補充する。
【0004】
船舶では通常複数の燃料油タンク(あるいは貨物油タンク)を持ち、そのうち加熱が必要な油タンク(通常1〜4タンク)だけを加熱している。この時、油タンク内の油温は不明のため、その配管中の弁は常時開状態を維持している。従って、必要以上に油を加熱し、蒸気を浪費している時がある。
【0005】
また、排ガスエコノマイザーで発生する蒸気量を供給すれば、十分油を加熱・保温可能であるのに消費蒸気量を制限できる機能がないため、必要以上の蒸気を消費してしまい、補助ボイラーは作動してしまう場合が多くなる。
【0006】
このようなことから、効率的に油を加熱し、かつボイラー作動時間を減らすシステムが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、船舶主機の排ガスの熱を利用して蒸気を発生する蒸気発生器と、圧力センサーを有し,蒸気圧力が低圧側設定値以下になると作動し高圧側設定値以上になると停止する補助蒸気発生器と、使用すべき油を加熱するヒーティングタンクと、前記蒸気発生器及び補助蒸気発生器に接続する主蒸気配管と、前記ヒーティングタンクと主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管と、次回使用予定のスタンバイタンクと、このスタンバイタンクと前記主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管とを具備した構成にすることにより、蒸気の浪費を回避するとともに、効率的に油を加熱してボイラー作動時間を減少しえる船舶主機燃料加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、船舶主機の排ガスの熱を利用して蒸気を発生する蒸気発生器と、圧力センサーを有し,蒸気圧力が低圧側設定値以下になると作動し高圧側設定値以上になると停止する補助蒸気発生器と、使用すべき油を加熱するヒーティングタンクと、前記蒸気発生器及び補助蒸気発生器に接続する主蒸気配管と、前記ヒーティングタンクと主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管と、次回使用予定のスタンバイタンクと、このスタンバイタンクと前記主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管とを具備することを特徴とする船舶主機燃料加熱装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、前記ヒーティングタンクとは、現在使用(油タンク内の油を移送)中の油タンクを呼ぶ。油タンクが船の左舷・右舷に対称に配置されている時は、両舷の油タンクを同時に使用することが多いため、左舷・右舷併せて二つのヒーティングタンクがある。
【0010】
本発明において、主蒸気配管と加熱用副蒸気配管とは通常別々の配管であるが、場合によって主蒸気配管と加熱用副配管とが連結されて一体となっていてもよい。例えば、後述する実施例4や実施例6は別々に図示されているが、主蒸気配管(あるいは加熱用副配管)のみで、一体となっていてもよい。
【0011】
本発明において、ヒーティングタンクの他にスタンバイタンクを設けてもよい。ここで、スタンバイタンクとは、次回使用予定のタンク(ヒーティングタンクの次に使用する予定のタンク)を示す。油タンクが船の左舷・右舷に対称に配置されている時は、通常スタンバイタンクも左舷・右舷併せて二つになる。
【0012】
本発明において、前記主蒸気発生器は主に使用する蒸気発生器であり、主機の排ガスの熱を利用して蒸気を発生する装置を示す。ここで発生した蒸気は、油タンク内の油加熱以外にも、各種機器等へ供給されている。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1を参照する。図中の符番1は、船舶主機の排ガスの熱を利用して蒸気を発生する蒸気発生器(排ガスエコノマイザー)を示す。この蒸気発生器1で発生した蒸気は、油タンク内の油加熱以外にも、各種機器類等へ供給されている。一方、付番2は、補助蒸気発生器(補助ボイラー)を示す。この補助蒸気発生器2は、圧力センサー(図示せず)を有し、蒸気圧力が低圧側設定値以下になると作動し、高圧側設定値以上になると停止する機能を有している。
【0014】
前記蒸気発生器1及び補助蒸気発生器2には、ハイ・ローセレクター付き圧力調整弁(以下、圧力調整弁と呼ぶ)3を介装した油タンク加熱用主蒸気配管(以下、主蒸気配管と呼ぶ)4が連結されている。この主蒸気配管4には、蒸気弁5を介装した油タンク加熱用副蒸気配管(以下、第1の副蒸気配管と呼ぶ)6、蒸気弁7を介装した油タンク加熱用副蒸気配管(以下、第2の副蒸気配管と呼ぶ)8が夫々連結されている。前記主蒸気配管4、第1の副蒸気配管6、第2の副蒸気配管8は、いずれも後述するタンクを加熱するための蒸気を通すための配管である。
【0015】
前記圧力調整弁3は、主蒸気配管4内の蒸気圧力を設定圧に保持するよう開度を調整するバルブ(弁)である。蒸気圧力が設定圧力値以上になると、バルブは徐々に開状態になり、設定圧力値に達するとその開度を維持する。また、全開になっても蒸気圧力が設定圧力値以上だと、全開状態で維持する。一方、設定圧力値以下に蒸気圧力が低下すると、バルブは徐々に閉まっていき、蒸気圧力が設定値となったところで、その開度を維持する。バルブが全閉となっても、蒸気圧力が設定圧力値に達していないときは、全閉状態を維持する。
【0016】
前記圧力調整弁3は、ハイ・ロー二種類の設定圧力値を切り替える機能を有している。ここで、ハイ・ロー設定圧は、以下のように設定する。
ハイ設定圧力値>補助蒸気発生器の低圧側設定値(補助蒸気発生器作動圧力値)>ロー設定値
前記第1の副蒸気配管6は、途中で蛇行してその蛇行部分が油を収容したヒーティングタンク9に配置されている。ここで、ヒーティングタンク9とは、現在使用(油タンク内の油を移送)中の油タンクを意味する。前記第2の副蒸気配管8は、途中で蛇行してその蛇行部分が油を収容したスタンバイタンク10に配置されている。前記ヒーティングタンク9、スタンバイタンク10には、夫々温度計11が設置されている。温度計11で計測した温度情報は、図示しない制御コンピューターに送られる。
【0017】
なお、船体に設置されている油タンクの中から前記ヒーティングタンク9とスタンバイタンク10を設定しているが、これらのタンク9、10は夫々複数のタンクが選択されることもある。また、指示された2種類のタンク以外は制御対象外となり、そのタンク付きの蒸気弁5、7は常に全閉状態を維持する。
【0018】
次に、こうした構成の船舶主機燃料加熱装置の作用について説明する。
入力情報は、各タンク内の油温と、ヒーティングタンク9用の蒸気弁5の開閉の状態である。また、制御対象は、蒸気弁5、7の開閉動作と、圧力調整弁3の設定圧力値ハイ/ローの切替である。
【0019】
a)ヒーティングタンク用蒸気弁5
ヒーティングタンク9内の油の温度が、ある設定温度(Tlow)以下になると、蒸気弁5は開となる。また、ヒーティングタンク9内の温度が、ある設定温度(Thigh)以上になると、前記蒸気弁5は閉となる。こうした開閉の動作により、油の過加熱を防止し、蒸気の浪費を抑える。
【0020】
b)スタンバイタンク用蒸気弁7
前記蒸気弁5が閉の状態の時は、スタンバイタンク用蒸気弁7は開となる。また、前記蒸気弁5が開の状態の時は、前記蒸気弁7は閉となる。これは、ヒーティングタンク9が充分加熱された状態になると、蒸気発生器1が発生する蒸気を有効に活用し、スタンバイタンク10内の油も加熱する。従って、スタンバイタンク10を実際利用する時は、このタンク10内の油温は予熱されているため、必要な温度にまで加熱するのに要する蒸気は少なくなる。
【0021】
c)圧力調整弁
ヒーティングタンク9内の油温がある設定温度(TPhigh)以上になると、圧力調整弁3の設定圧はハイに切替わる。また、ヒーティングタンク9内の油温がある設定温度(TPlow)以下になると、圧力調整弁3の設定圧はローに切替わる。つまり、圧力調整弁3を設けることによって、ヒーティングタンク9が充分加熱された状態では、補助蒸気発生器2は作動せず、蒸気発生器1が発生する蒸気のみを使用してタンクの加熱をする。また、蒸気発生器1による蒸気の供給で油タンク内の油温が下がり、必要温度以下の時は、圧力調整弁3の設定圧はローに切替わり、補助蒸気発生器2は作動する。
このことにより、従来では作動していた条件でも、補助蒸気発生器2は停止するため、補助蒸気発生器2の作動時間を減少させる。
【0022】
つまり、上記実施例1は、油タンク内の温度計測に基づき蒸気配管中のバルブの開閉を制御するもので、ハイー・ローの二種類の設定圧を持った圧力調整弁3を設けて補助蒸気発生器2の作動開示・停止を制御するとともに、ヒーティングタンク9を加熱していない間にスタンバイタンク10を加熱することを特徴とする。実施例1によれば、以下に述べる効果を有する。
(1)ヒーティングタンク9内の油を、必要な温度に維持しながら、設定温度以上となった時は、蒸気弁5を閉じることによって蒸気の浪費を抑えることができる。
(2)圧力調整弁3を利用することによって、従来作動していた補助蒸気発生器2を作動させずに、ヒーティングタンク9の加熱が可能となる。
【0023】
(3)圧力調整弁3を利用することによって、補助蒸気発生器2を作動せずにスタンバイタンク10を加熱することができる。従って、蒸気発生器1から発生した利用可能な蒸気を有効利用できる。
(4)上記(1)〜(3)全ての効果の結果、補助蒸気発生器2の作動時間を減少できる。
【0024】
(実施例2)
図2を参照する。但し、図1と同部材は同符号を付して説明を省略する。
図中の付番21は、設定流量切替機能付き蒸気流量調整弁(以下、蒸気流量調整弁と呼ぶ)を示す。つまり、実施例2に係る船舶主機燃料加熱装置は、実施例1の装置の圧力調整弁の代わりに蒸気流量調整弁21を用いた点が異なるのみで他の構成は実施例1と同様である。
【0025】
前記蒸気流量調整弁21は、設定流量値を可変させる機能をもち、低流量側設定値(Flow)では補助蒸気発生器2は作動せず、高流量側設定値(Fhigh)では補助蒸気発生器2は作動するが、十分油タンクを加熱できる流量とする。それ以外の機器個々の説明は実施例1の説明済みなので、省略する。
【0026】
実施例2は、油タンク内の温度計測に基づき蒸気配管中のバルブの開閉を制御するもので、二種類(あるいはそれ以上)の設定流量を持った蒸気流量調整弁21を設けて補助蒸気発生器2の作動開示・停止を制御するとともに、ヒーティングタンク9を加熱していない間にスタンバイタンク10を加熱することを特徴とする。実施例2によれば、実施例1における圧力調整弁のハイ・ローの切替の代わりに、下記に示す蒸気流量調整弁21の設定値(Flow)と設定値(Fhigh)を切替えることにより、実施例1と同様な効果を有する。
圧力調整弁3,ハイ=蒸気流量調整弁21,(Flow
圧力調整弁3,ロー=蒸気流量調整弁21,(Fhigh
(実施例3)
図3を参照する。但し、図1と同部材は同符号を付して説明を省略する。
本実施例3は、図3に示すように、実施例1と比べ、圧力調整弁3を除いた主蒸気配管4を用いる点が異なるのみで、その他の構成、作用・効果は全く同様である。
【0027】
実施例3は、油タンク内の温度計測に基づき蒸気配管中のバルブの開閉を制御するもので、ヒーティングタンク9を加熱していない間にスタンバイタンク10を加熱することを特徴とする。
【0028】
(実施例4)
図4を参照する。但し、図1、図2と同部材は同符号を付して説明を省略する。本実施例4は、図4に示すように、実施例1と比べ、スタンバイタンク10を除くとともに、このスタンバイタンク10と主蒸気配管4とを接続する第2の副蒸気配管8を除いた点が異なるのみで、その他の構成、作用・効果は全く同様である。
【0029】
実施例4は、油タンク内の温度計測に基づき蒸気配管中のバルブの開閉を制御するもので、ハイ・ローの二種類を持った二種類の設定圧をもった圧力調整弁3を設けて補助蒸気発生器2の作動開始・停止を制御することを特徴とする。
【0030】
(実施例5)
図5を参照する。但し、図1、図2と同部材は同符号を付して説明を省略する。本実施例5は、図5に示すように、実施例2と比べ、スタンバイタンク10を除くとともに、このスタンバイタンク10と主蒸気配管4とを接続する第2の副蒸気配管8を除いた点が異なるのみで、その他の構成、作用・効果は全く同様である。
【0031】
実施例5は、油タンク内の温度計測に基づき蒸気配管中のバルブの開閉を制御するもので、二種類(あるいはそれ以上)の設定流量を持った蒸気流量調整弁21を設けて補助蒸気発生器2の作動開示・停止を制御することを特徴とする
(実施例6)
図6を参照する。但し、図1と同部材は同符号を付して説明を省略する。本実施例5は、図6に示すように、実施例3と比べ、スタンバイタンク10を除くとともに、このスタンバイタンク10と主蒸気配管4とを第2の副蒸気配管8を除いた点が異なるのみで、その他の構成、作用・効果は全く同様である。
【0032】
実施例6は、油タンク内の温度計測に基づき蒸気配管中のバルブの開閉を制御することを特徴とする。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、船舶主機の排ガスの熱を利用して蒸気を発生する蒸気発生器と、圧力センサーを有し,蒸気圧力が低圧側設定値以下になると作動し高圧側設定値以上になると停止する補助蒸気発生器と、使用すべき油を加熱するヒーティングタンクと、前記蒸気発生器及び補助蒸気発生器に接続する主蒸気配管と、前記ヒーティングタンクと主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管と、次回使用予定のスタンバイタンクと、このスタンバイタンクと前記主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管とを具備した構成にすることにより、蒸気の浪費を回避するとともに、効率的に油を加熱してボイラー作動時間を減少しえる船舶主機燃料加熱装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る船舶主機燃料加熱装置の説明図。
【図2】本発明の実施例2に係る船舶主機燃料加熱装置の説明図。
【図3】本発明の実施例3に係る船舶主機燃料加熱装置の説明図。
【図4】本発明の実施例4に係る船舶主機燃料加熱装置の説明図。
【図5】本発明の実施例5に係る船舶主機燃料加熱装置の説明図。
【図6】本発明の実施例6に係る船舶主機燃料加熱装置の説明図。
【符号の説明】
1…蒸気発生器(排ガスエコノマイザー)、
2…補助蒸気発生器(補助ボイラー)、
3…ハイ・ローセレクター付き圧力調整弁、
4…主蒸気配管、
5、7…蒸気弁、
6、8…副蒸気配管、
9…ヒーティングタンク、
10…スタンバイタンク、
11…温度計、
21…設定流量切替機能付き蒸気流量調整弁。

Claims (3)

  1. 船舶主機の排ガスの熱を利用して蒸気を発生する蒸気発生器と、圧力センサーを有し,蒸気圧力が低圧側設定値以下になると作動し高圧側設定値以上になると停止する補助蒸気発生器と、使用すべき油を加熱するヒーティングタンクと、前記蒸気発生器及び補助蒸気発生器に接続する主蒸気配管と、前記ヒーティングタンクと主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管と、次回使用予定のスタンバイタンクと、このスタンバイタンクと前記主蒸気配管とを接続する、蒸気弁を介装した油タンク加熱用副蒸気配管とを具備することを特徴とする船舶主機燃料加熱装置。
  2. 前記油タンク加熱用副蒸気配管の上流側の主蒸気配管に、ハイ・ローセレクター付き圧力調整弁が介装されていることを特徴とする請求項1記載の船舶主機燃料加熱装置。
  3. 前記油タンク加熱用副蒸気配管の上流側の主蒸気配管に、設定流量切替機能付き蒸気流量調整弁が介装されていることを特徴とする請求項1記載の船舶主機燃料加熱装置。
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