JP3659574B2 - 不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材およびポンプ圧送方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不定形耐火物のポンプ圧送に先立って、圧送ポンプから配管・ホース内を流通させる先送り材に関するものであり、さらに、先送り材を用いる不定形耐火物のポンプ圧送方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不定形耐火物は、施工の省力化や自動化が容易なため、鉄鋼業をはじめ各種の高温窯炉での使用が増加している。
不定形耐火物の施工方法としては、最近、低セメント化された緻密質不定形耐火物を流し込み材としてポンプ圧送により施工場所へ移送し、前記耐火物の流し込みを行う“流し込み施工”、あるいは、低セメント化された緻密質不定形耐火物を湿式吹付材としてポンプ圧送により施工場所へ移送し、ノズルを介して(該ノズル部で凝集・硬化剤を添加する)前記耐火物の吹付けを行う“湿式吹付施工”が増加している。ここで、“ポンプ圧送”とは、ポンプ圧を利用して不定形耐火物を該耐火物の供給場所から施工場所まで移送することを意味し、供給場所と施工場所とは金属配管やフレキシブルホースなどの配管・ホースによって連通されるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、施工時において、いきなり不定形耐火物をポンプ圧送すると、不定形耐火物のうち、特に、不定形耐火物の結合剤成分を含む微粉構成物が、金属配管やフレキシブルホースの内面に付着したり、あるいは配管やホースの連結部の隙間に充填することによって不定形耐火物の組成が変化し、これにより不定形耐火物本来の流動性や吹付時の付着性が得られなくなるばかりか、圧送ポンプから施工場所までの距離が長くなるにつれて、不定形耐火物から微粉構成物が消費される絶対量が多くなり、ついには配管内で閉塞を生じるという問題が生じる。
【0004】
土木建築の分野でのコンクリートのポンプ圧送においては、粗骨材を含有しない、コンクリートの微粉部である細骨材とセメントとからなるいわゆる通常のモルタル(先送りモルタルと呼ばれる)を、コンクリートのポンプ圧送に先立ってポンプ圧送し、コンクリートの成分変化を抑えることにより、配管の閉塞が防止されている。
コンクリートの分野で使用される先送りモルタルとしては、特開平7−291697号公報、特開平8−1643号公報、特開平10−339035号公報などの提案があるが、いずれも不定形耐火物のポンプ圧送において、応用できるものではない。
【0005】
そのため、不定形耐火物のポンプ圧送施工では、不定形耐火物のポンプ圧送に先立って、通常は、配管・ホース内に水を通して湿らしたり、液状の油脂を通して潤滑性を与えて、不定形耐火物の組成変化に起因する配管・ホースの閉塞を防止しようという試みが知られている。
しかしながら、配管・ホース内に水を通して湿らしたり、液状の油脂を通して潤滑性を与える方法では、安定したポンプ圧送を行うことが困難であり、しばしば配管内やホースの曲がり部分あるいは連結部で閉塞が生じたり、施工初期の施工体に、微粉部構成物の不足などに起因すると思われる、硬化不良や充填不良が見られる。
【0006】
また、コンクリートのポンプ圧送においては、コンクリートの微粉部だけを取り出し、この微粉部を先送り材(施工に供される材料に先立って移送される材料)として使用することが知られており、これと同様に、不定形耐火物のポンプ圧送においても、不定形耐火物の微粉部だけを取り出して、これを先送り材として使用する方法が知られている。
【0007】
しかしながら、このような不定形耐火物の微粉部を先送り材として使用すると、この先送り材は結合剤成分をもともとの不定形耐火物中における比率よりも多く含んでいることになるので、不定形耐火物が使用されるような高温下では収縮が非常に大きく、亀裂を伴いやすいだけでなく、配管・ホースの内壁で硬化しやすいので、本来圧送すべき不定形耐火物の吐出量が低下したり、あるいはかえって閉塞を招きやすくなることがある。
【0008】
そして、不定形耐火物のポンプ圧送は、コンクリートのポンプ圧送と比較して以下の(1)〜(5)の点で、特に、配管・ホースの閉塞が生じ易い。
(1)不定形耐火物のポンプ圧送においては、通常、30〜60mm程度の内径の配管・ホースが使用される。配管内径は時間当たりの材料吐出量と深い関係にある。コンクリートのポンプ圧送では内径100〜150mmの配管が使用されることも多いが、不定形耐火物の施工ではコンクリートと比べて、より精密な施工が要求されるため、細めの配管が使用されている。
(2)流し込みや湿式吹付などに供される不定形耐火物では、できるだけ施工のための添加水分量を少なくして、密度を向上させるよう配合設計されている。
(3)特に最近は、耐火物としての耐スラグ侵食性を向上するため、低セメントで、超微粉の分散・凝集作用による緻密な施工体が求められている。
(4)また、施工工程の時間短縮のために、例えば流し込み材の場合、1時間以内に施工枠の脱枠ができるようにあるいは加熱乾燥工程に入れるように、硬化時間が厳密に設定されており、時間内に施工体が硬化するよう調整されている。
(5)不定形耐火物の原料の多くは、耐火物原料を破砕して粒度調整されたものであり、個々の粒子は尖っていることが多い。そのため、粒子同士のすべりが悪く、配管内での動きが良くない場合が多い。
【0009】
このような不定形耐火物として好ましい条件は、ポンプ圧送において配管内での閉塞を起こしやすくしているといえる。特に、硬化時間を短く設定している不定形耐火物が圧送中に閉塞してしまうと、短時間で配管内に詰まっている不定形耐火物が硬化してしまい、配管全てを交換しなければならなくなるという問題がある。
従って、ポンプ圧送用には不定形耐火物の本来の特性を多少犠牲にしてでも、圧送性状を改善して使用せざるを得ない状況であった。
加えて、不定形耐火物をポンプ圧送するための効果的な事前処理方法が他にないので、配管・ホース内の閉塞のたびに、配管全体を水洗いして後、再度ポンプ圧送施工を初めからやり直すしかなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のように不定形耐火物のポンプ圧送上の問題点を解消することを目的になされたものである。
詳細には、不定形耐火物の使用される高温度域において不定形耐火物の本来の性能を低下させることなく、ポンプ圧送時に、不定形耐火物が配管、ホース、連結部などにおいて閉塞するという問題を解消することのできる不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材およびポンプ圧送方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材は、可塑性材料を含有する耐火材料からなり、粒径が0.3mm以下の粒子を50重量%以上、且つ、粒径が45μm以下の微粉を25重量%以上含有し、常温で硬化する結合剤を含有しないことを特徴としており、これによって従来の問題点を解消した。また、本発明に係る不定形耐火物のポンプ圧送方法は、不定形耐火物の圧送に先立って、配管内の長さ2m以上を充満できる量の上記先送り材を、圧送ポンプ又はポンプ出口部に挿入充填し、続いて不定形耐火物を圧送することを特徴としており、これによって従来の問題点を解消した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材(単に、“先送り材”ともいう)は、水を加えて混練され、泥漿状にして使用される。水を加えて混練するのは、先送り材の製造工場内でも良いし、ポンプ圧送が行われる現場でもよい。
本発明の先送り材は、可塑性材料を含有していなければならない。先送り材に可塑性を与えることで、水分を多めに加えたやわらかい材料としても、適度な保形性を有するため、配管内壁、ホースの曲がり部、連結部などによく追随することができ、且つ内壁面や連結部の隙間などに水分を蓄えた薄い皮膜を形成し残留することができるようになる。
これによって、その後続いて圧送される不定形耐火物と配管内壁面との摩擦が抑制され、閉塞を生じなくなるものと考えられる。
【0013】
可塑性材料としては、カオリナイトやモンモリロナイトなどの粘土鉱物や、セリサイトなどの雲母類、長石類、あるいはセピオライトなどの蛇紋岩類のような、可塑性を示す無機鉱物のほか、澱粉,デキストリン,アラビアゴム,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ポリビニルアルコールや各種多糖類などの有機系添加剤を挙げることができ、有機系添加剤については、耐火材料の微粉に添加されることによって、見かけ上の可塑性を示すようになる。これら有機系添加剤の中には乾燥されると硬化し強度を発現するものもあるが、先送り材としての使用では乾燥されることはなく、硬化することはない。
これらの可塑性材料は、通常各種の耐火物に使用されるものであり、耐火性など耐火物の本来の性能を大きく阻害するものではない。
【0014】
可塑性材料の含有量は、耐火材料の比重や粒度によって調整されるべきであるが、通常、先送り材100重量部中の0.01〜30重量部であることが、材料の可塑性を確保しスムーズな圧送性を与え、且つ、配管内壁面への付着性や連結部隙間への充填性の点で好ましい。
カオリナイトやモンモリロナイトのような粘土鉱物あるいはセピオライトなどの無機鉱物の使用量は、先送り材100重量部中1〜30重量%がよく、より好ましくは3〜20重量%である。
一方、澱粉、セルロースのような有機系添加剤の使用量は、0.01〜3重量%がよく、より好ましくは0.02〜2重量%である。
【0015】
これらの可塑性材料は、先送り材の性状を整えるために、前記例示物の2種以上を適宜混合して使用するのが良い。
圧送時の配管内でのスベリ性を確保するためには、カオリナイトやモンモリロナイトのような粘土鉱物あるいはセピオライトなどの無機鉱物を使用することが好ましい。配管内壁の薄い皮膜形成を保形性や保水性で調整するには有機系添加剤が効果的である。
【0016】
本発明の先送り材に使用される耐火材料は、続いて圧送される不定形耐火物と同種の成分の材料がもっとも好ましい。
しかしながら、異なる種類の不定形耐火物を圧送する毎に、先送り材の種類を変えることは作業が煩雑になる。種々検討した結果、酸性不定形耐火物、例えばシリカを60重量%以上含有する不定形耐火物には、塩基性材料、例えばマグネシアやカルシアなどを60重量%以上含有する耐火材料で構成される先送り材は、不定形耐火物の高温特性を著しく損ねる場合があるので好ましくない。逆に、マグネシアなどの塩基性原料を60重量%以上含有する不定形耐火物には、シリカなどの酸性材料を60重量%以上含有する耐火材料で構成される先送り材は、同様の理由で好ましくない。
これら以外の組み合わせであれば、通常耐火物に使用される化学組成の耐火材料は、実用上まったく不定形耐火物の特性を損ねることがなく、問題なく先送り材の耐火材料として使用することができる。
特に、アルミナなどの中性の耐火材料は、あらゆる組成の不定形耐火物をポンプ圧送するための先送り材として好適である。
実用上は、原料の入手の容易さやコスト、汎用性の面で、アルミナ−シリカ系の耐火材料、もしくはマグネシア系の耐火材料が好ましい。
また、耐火材料には、使用後に回収された耐火物、または製造上発生するくずや下品などを粉砕したものを用いてもよい。
【0017】
先送り材の粒径は重要であり、本発明の先送り材は、粒径が0.3mm以下の粒子を50重量%以上、且つ、粒径が45μm以下の微粉を25重量%以上含有するものでなければならない。
【0018】
先送り材は、不定形耐火物の圧送に先立って、ポンプからレデューサー、金属配管、フレキシブルホースを通り、出口端までの全ての内壁面に接触し、且つ内壁面表面を濡らして薄い皮膜を形成し、その後に続いて圧送される不定形耐火物と前記内壁面の表面との摩擦抵抗を減少させる緩衝材として働くことによって、不定形耐火物の閉塞を防止する効果が得られるものと考えられるから、ポンプから出口端までの内壁面を濡らして薄い皮膜を形成するに足るものでなければならない。
【0019】
粒径が0.3mm以下の粒子が50重量%未満であると、先送り材全体としての可塑性が不十分になり変形能力に乏しく、保水性も低下するので好ましくない。粒径が0.3mm以下の粒子を65重量%以上含有するのがより好ましい。
先送り材の機能としてポンプから出口端までの内壁面を濡らして薄い皮膜を形成することが重要であり、薄い皮膜は微粉によって形成されるものであるから、先送り材は、十分な量の微粉を含有していなければならない。薄い皮膜の形成には粒径が45μm以下の細かさの微粉が好適である。
粒径が45μm以下の微粉が25重量%未満であると内壁面全体を濡らして薄い皮膜を形成することができないことがある。より好ましくは、粒径が45μm以下の微粉を35重量%以上含有しているほうが良い。
【0020】
本発明の先送り材は、粒径が45μm以下の微粉を25重量%以上含有すれば、粒径が0.3mm以下の粒子が100重量%であってもなんの差し支えもない。また、45μm以下の微粉が100重量%であっても、先送り材の機能と効果には問題はなく、適用が可能である。
本発明の先送り材では、0.3mm以上の粒子であっても10mmを超えるような粗粒子は、閉塞の原因となりやすいので、使用すべきではない。5mm以下の粒子で構成されることが、より好ましい。
【0021】
さらに、本発明の先送り材は、常温で硬化する結合剤を含有してはいけない。
先送り材は、前述のように配管内壁面を濡らして薄い皮膜を形成するのであるが、これが自ら硬化してしまうと、不定形耐火物と内壁面表面との摩擦抵抗を減少させる緩衝材として機能しなくなるので、先送り材は、自ら硬化するような結合剤、例えばセメント類のようなものを含有しないものでなければならない。
【0022】
先送り材は、圧送施工において最初に配管内を通過する材料であり、その後続いて本来の圧送物である不定形耐火物が圧送される。先送り材は、少なくとも不定形耐火物の圧送作業が終了するまでの間、即ち、圧送作業の初めから終了までの全期間に渡って硬化してはならないのである。
圧送終了までの時間は、不定形耐火物の圧送施工量に依存し、施工量が大量であると圧送時間は長くなる。(例えば、8ton/hourのポンプ圧送速度で圧送するとき、50tonの施工なら6時間以上を要する。)
【0023】
また、先送り材には、それ自体に強度を求められることはないので、結合剤や硬化剤を含有する必要がない。
ここで、一般に、不定形耐火物には各種の結合剤、硬化剤、分散剤、凝集剤、その他の調整剤が用いられている。そのため場合によっては、先送り材に使用された添加剤が、不定形耐火物に使用された結合剤、調整剤などの添加剤と反応を生じることもあり得るが、あらゆる組み合わせでの反応性を明らかにしておくことは困難である。従って、実用上は圧送施工の前に、不定形耐火物と先送り材とを混合、放置して、ポンプ圧送施工に必要な時間内に反応によって硬化することがないことを確認しておくことが好ましい。
【0024】
なお、本発明の先送り材には、必要に応じて、その他の添加物を使用することも可能である。
例えば、微粉が団子状になるのを防ぐため適度な分散性を与えるための分散剤や、粘度を高めるための増粘剤など、耐火物に通常使用されている添加剤を、先送り材の性状調整のために使用してもよい。
【0025】
次に、本発明の不定形耐火物のポンプ圧送方法(単に、圧送方法ともいう)の実施形態(手順)を説明する。
第1の実施形態(手順)は、本発明の先送り材を圧送ポンプのホッパーに投入し、ポンプを少し作動させて、ホッパーから先送り材がポンプに吸い込まれて(あるいは送り込まれて)から、不定形耐火物をホッパーに投入し、ポンプ圧送を開始する。
第2の実施形態(手順)は、圧送ポンプ出口部、即ち、圧送ポンプ出口に連結される配管の最初の部分に本発明の先送り材を挿入し、配管をポンプに連結し、圧送ポンプホッパー内の不定形耐火物のポンプ圧送を開始する。
【0026】
これらの2つの実施形態(手順)は、いずれも実質的には同じことであって、不定形耐火物が圧送されるに先立って、本発明の先送り材が先行して圧送されることにより、配管内壁面表面を濡らして薄い皮膜を形成し、その後に続いて圧送される不定形耐火物と配管内壁面との摩擦抵抗を減少させる緩衝材として働くことによって、不定形耐火物の閉塞を防止する効果が得られるのである。
【0027】
本発明の不定形耐火物のポンプ圧送方法では、本発明の先送り材の使用量は、配管内部を2m以上に渡って充満でき得る量が必要である。
圧送ポンプから最初に連結される配管は、圧送ポンプの出口部の径と施工配管・ホースの径とを合わせるために、レデューサーと呼ばれる、テーパー管が使用されることが多い。しかし、先送り材の必要量の算出は、レデューサー部ではなく、均一径の部分で求めるほうがよい。均一径になった所での配管内径から、配管内の長さ2m以上を充満するための体積を求め、これに先送り材の比重を乗じて必要重量を求めればよい。
【0028】
先送り材の使用量が、配管内の長さ2m以上を充満できる量より少ないと、配管全長が長い場合配管の最終端までの内壁全てを濡らして薄い皮膜を形成するに不足となることがある。より好ましくは配管内の長さ3m以上を充満できる量を挿入充填すれば、通常は不足することはない。
先送り材の使用量が多くても、先送り材の効果に影響することはないが、例えば配管内の長さ10mを超えて大量に充填しても効果が増すわけではなく無駄である。
【0029】
本発明の不定形耐火物のポンプ圧送方法では、先送り材の挿入量は少なく、先送り材だけを予め圧送するのではなく、先送り材に続いて不定形耐火物を圧送することによって、その先端部分を先送り材が圧送されていくのである。
本発明の先送り材を本発明の圧送方法で使用すれば、基本的に圧送性に種々問題を抱える不定形耐火物であっても、前述したように本発明の先送り材の機能と効果によって、閉塞などの問題を解消できる。
【0030】
本発明の方法に基づく、不定形耐火物の施工を行う場合の実際の手順は、例えば湿式吹付施工では、配管内を圧送されてきた材料が、配管ホースの出口端から吐出し始めるとき、先ず最初に先送り材が吐出し続いて湿式吹付材が吐出する。先送り材は、施工対象の不定形耐火物ではないので、施工される部位とは別の缶などに排出される。続いて湿式吹付材である不定形耐火物が吐出してきたところで、一旦ポンプ圧送を止め、配管出口端に吹付のためのノズルを取り付け、ポンプ圧送を再開して吹付が開始される。従って、先送り材は不定形耐火物とは別に廃却される。
ポンプ圧送中に先送り材と不定形耐火物との接触部分で、両者が混ざる領域が生じるが、本発明の先送り材であれば不定形耐火物中に多少の先送り材が混在していたとしても、不定形耐火物の高温下での特性を大きく損なうことはなく、実用上問題が生じない。
【0031】
【実施例】
表1に示した組成に基づき、実施例1〜3及び比較例1の先送り材を作製した。すなわち、表1に示した耐火材料、可塑性材料及び添加剤をそれぞれ表中に示す重量比率で配合した。いずれも常温硬化性のある結合剤は使用していない。
【0032】
【表1】
・ボールクレーはカオリナイトを主体とする。ベントナイトはモンモリロナイトを主体とする。
・アルキル硫酸エステルナトリウム塩は分散作用を与える。クエン酸は安定剤として使用。
・粒径は、振動篩を用いて測定した配合物の値である。
・化学成分は、耐火材料、可塑性材料及び添加剤各々の組成から計算で求めた値である。100%にならないのは、表記以外の不純成分及び強熱減量が含まれるからである。
・実施例1〜3の先送り材は、本発明で特定する可塑性材料を含有する耐火材料からなり、かつ、該耐火材料の粒径が0.3mm以下の粒子を50重量%以上、且つ、粒径が45μm以下の微粉を25重量%以上含有する例である。一方、比較例1の先送り材は、可塑性材料を含有せず、また粒径が0.3mm以下の粒子および粒径が45μm以下の微粉が少ないものである。
【0033】
実施例1〜3および比較例1の先送り材(表1に掲げたように水分が添加されている)を15分間以上混練することで、泥漿状態とし、表2に示す組成の不定形耐火物に先立って、この泥漿状態の先送り材をポンプ圧送することにより、先送り材の圧送性試験・評価を行った。
【0034】
以下に、圧送性試験・評価の条件を示す。
・圧送テストに用いた圧送ポンプには、最大吐出量10m3/hour、最大吐出圧力10.4MPa、ピストン口径80mmのダブルピストンポンプを使用した。
・圧送ポンプの出口からレデューサーを使用して径を絞り込み、内径40mmの配管(金属配管部とフレキシブルホースからなる。3箇所に曲がり部を設けた。)を60m接続して、先送り材及び圧送する不定形耐火物を変えて圧送し、不定形耐火物の圧送状態、閉塞の有無を確認した。
・先送り材は、圧送ポンプ出口に連結されるレデューサー部に挿入充填した。
・不定形耐火物は、表2に示す水分を添加しミキサーで混練した後、圧送ポンプのホッパーに投入した。
・異なる材料をテストするごとに、ポンプ出口から配管の最終端までの全てを、多量の水で清掃して、先送り材や不定形耐火物が配管内に残留するのを防止した。
【0035】
【表2】
【0036】
圧送性評価は2つに分けて行った。1つは、上記60mの配管を用いた場合の先送り材料の圧送性評価である。
本発明の先送り材(実施例1〜3)を用いた本発明の圧送方法(実施例A〜F)では、いずれも何の問題もなく良好な圧送を行うことができ、閉塞は見られず、60mの曲がり部を設けた配管を通過させることができた。
一方、比較例Aの圧送方法では、実施例Bの圧送方法で使用した不定形耐火物の同様のものを圧送したが、圧送ポンプの出口から約33mの位置で閉塞した。
【0037】
比較例Bの圧送方法では、圧送する不定形耐火物、即ち、湿式吹付材を0.5mmで篩い分けし、ふるい通過した物を先送り材として使用した。従って、これには湿式吹付材に含有されている結合剤としてのアルミナセメントが含まれている。この場合、圧送ポンプの出口から約17mの位置で閉塞が生じた。
【0038】
比較例C,Dの圧送方法は、圧送に先立って配管内に機械油を通過させた場合と、事前に水で洗浄しただけで全く先送り材を通さなかった場合である。良好に圧送可能であった実施例C,Dの圧送方法で使用した不定形耐火物と同様のものの圧送であったが、いずれも圧送は不可能な状態であった。本発明の先送り材の効果が明白である。
【0039】
また、圧送性評価のもう一つは、配管の接続を15mにして、不定形耐火物の施工体について調査することにより行った。
不定形耐火物が流し込み材である場合は、配管の出口端で、細かい粒子だけで構成されている先送り材が吐出されたのを目視で確認して、続いて圧送されてくる不定形耐火物が吐出されるのを試料用型枠に取り、6時間放置し、硬化してから施工体内部組織を観察した。
一方、不定形耐火物が湿式吹付材である場合は、同様に配管の出口端で、細かい粒子だけで構成されている先送り材が吐出されたのを目視で確認して、一旦ポンプ圧送を止めて配管終端に吹付ノズルを接続し、再度ポンプ圧送を開始するとともにノズルに圧縮エアーと凝集硬化剤を供給し、パネル面に吹付施工し、6時間放置後同様に施工体内部組織を観察した。
【0040】
本発明の圧送方法(実施例A〜F)によれば、表2に示すように、いずれも良好な施工体が得られた。一方、比較例Aの圧送方法により得られた施工体には、その内部に気泡が多く存在するとともに、微粉と粗粒の偏在が観察されたことから、耐火物の耐食性や耐熱衝撃に対して好ましくないものであることが確認された。また、比較例Bの圧送方法により得られた施工体には、部分的に空隙が見られ、耐火物の耐食性、耐スラグ浸潤性を低下させるものであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材によれば、不定形耐火物の使用される高温度域において不定形耐火物の本来の性能を低下させることなく、ポンプ圧送時に、不定形耐火物が配管、ホース、連結部などにおいて閉塞するという問題を解消することのできる不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材を提供できる。
また、本発明に係る不定形耐火物のポンプ圧送方法によれば、不定形耐火物が配管内において閉塞しないので、施工を中断して、配管を清掃したり、不定形耐火物が硬化してしまって配管を廃却することもなく、作業負荷の少ない、且つ無駄な資材消費もない、安定した不定形耐火物のポンプ圧送施工が可能なポンプ圧送方法を提供できる。
なお、本発明に係る先送り材として、特に、アルミナなどの中性の耐火材料よりなる先送り材を準備しておけば、ほとんどすべての化学組成の異なる不定形耐火物のポンプ圧送に対応することができ、また、不定形耐火物の本来の特性を損なうこともない。
Claims (2)
- 可塑性材料を含有する耐火材料からなり、粒径が0.3mm以下の粒子を50重量%以上、且つ、粒径が45μm以下の微粉を25重量%以上含有し、常温で硬化する結合剤を含有しないことを特徴とする不定形耐火物のポンプ圧送用先送り材。
- 不定形耐火物の圧送に先立って、配管内の長さ2m以上を充満できる量の請求項1に記載したポンプ圧送用先送り材を、圧送ポンプ又はポンプ出口部に挿入充填し、続いて不定形耐火物を圧送することを特徴とする不定形耐火物のポンプ圧送方法。
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