JP3659444B2 - 熱可逆記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱層の温度による可逆的な透明度変化を利用して、画像の形成及び消去を何度でも繰り返して行なうことのできる熱可逆記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的な画像表示を行なうことができ、不要となったときにはその画像の消去ができ、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を有する熱可逆記録媒体が注目されている。その代表的なものとしては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のような樹脂母材中に高級脂肪酸のような有機低分子物質と分散した熱可逆記録媒体が知られている(特開昭55−154198号公報)。しかし、これらの従来の熱可逆記録媒体は、透光・透明性を示す温度範囲の幅が2〜4℃と狭い欠点があり、透光・透明性や遮光・白濁性を利用して画像を形成する際の温度制御に難があった。
【0003】
この点に考慮して、本発明者らは特開平2−1363号公報及び特開平3−2089号公報等において高級脂肪酸と脂肪族ジカルボン酸を混合して用いることにより、透明になる温度範囲を20℃前後まで広げ、画像を容易に消去(透明化)することを提案したが、周囲の環境温度が大きく変化する場合には未だ十分なものではなかった。
また、特開平4−358878号公報には、高級ケトンと脂肪族ジカルボン酸を混合して用いることにより、透明になる温度範囲を40℃前後まで広げることが可能になることが開示されているが、透明になる温度が低温側にシフトするため、画像耐熱性が低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような現状に鑑み、透明化する温度幅を広げ、環境温度が変化しても十分な透明性ひいては十分なコントラストが得られ、かつ画像耐熱性に優れた熱可逆記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題は、本発明の(1)「支持体上に、樹脂母材及び樹脂母材中に分散された有機低分子物質を主成分とし、温度に依存して透明度が可逆的に変化する感熱層を設けた熱可逆記録媒体において、該有機低分子物質として少なくとも下記一般式で表わされる長鎖ジオールを1種又は2種以上用いることを特徴とする熱可逆記録媒体、
【0006】
【化2】
(2)「前記長鎖ジオールの融点が60℃以上であることを特徴とする前記(1)項に記載の熱可逆記録媒体」、(3)「前記有機低分子物質として、前記長鎖ジオール及び該長鎖ジオールと20℃以上異なる融点を有し、かつ長鎖構造を有する有機低分子物質を混合して用いることを特徴とする前記(1)又は(2)項に記載の熱可逆記録媒体」、(4)「前記長鎖ジオールと該長鎖ジオールと20℃以上異なる融点を有し、かつ長鎖構造を有する有機低分子物質の混合比が8:2〜1:9であることを特徴とする前記(3)項に記載の熱可逆記録媒体」、(5)「前記長鎖ジオールと混合して用いる有機低分子物質が、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸エステル、高級アルキル基を有するケトン、脂肪酸モノアミド、脂肪族ビスアミドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記(3)又は(4)項に記載の熱可逆記録媒体」によって解決される。
【0007】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の熱可逆記録媒体は、前記の如き透明度変化(透明状態、白濁不透明状態)を利用するものであるが、この透明状態と白濁不透明状態との違いは、次のように推測される。
すなわち、(i)透明の場合には、樹脂母材中に分散された有機低分子物質の粒子と樹脂母材は隙間なく密着しており、また、粒子内部にも空隙はなく、片側から入射した光は散乱されることなく反対側に透過するため透明に見えること、また、(ii)白濁の場合には、有機低分子物質の粒子は有機低分子物質の微細な結晶が集合した多結晶で構成され、結晶の界面若しくは粒子と樹脂母材の界面に空隙ができ、片側から入射した光は空隙と結晶、空隙と樹脂の界面で屈折、反射し、散乱されるため白く見えること、等に由来している。
【0008】
図1において、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散された有機低分子物質とを主成分とする感熱層は、例えばT0以下の常温では白濁不透明状態にある。
これを加熱していくと温度T1から徐々に透明になり始め、温度T2〜T3に加熱すると透明となりこの状態で再びT0以下の常温に戻しても透明のままである。
これは温度T1付近から樹脂が軟化し始め軟化が進むにつれ、樹脂が例えば収縮し樹脂と有機低分子物質粒子との界面若しくは粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を溶融した有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されることにより、比較的高温で結晶化し、その際樹脂がまだ軟化状態のため、結晶化に伴う粒子の体積変化に樹脂が追随しないため空隙ができず、透明状態が維持されるためと考えられる。
【0009】
更にT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態になる。次に、この温度を下げて行くと、再び透明状態をとることなく最初の白濁不透明状態に戻る。
これは温度T4以上で有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となり、T0より少し高い温度で結晶化し、その際、樹脂が結晶化に伴う体積変化に追随できず、空隙が発生するためであると思われる。
ただし、図1に示した温度−透明度変化曲線は代表的な例を示しただけであり、材料を変えることにより各状態の透明度等はその材料に応じて変化が生じることがある。
【0010】
長鎖ジオールは例えば、α,ω−ジオール、1,2−ジオール、対称型ジオール等があり、それぞれ下記一般式(I)、(II)、(III)で表わされる。本発明においては、一般式(I)(但し、式中、n≧8)で表わされる長鎖ジオールを用いる。
【0011】
【化3】
HO−(CH2)n−OH 一般式(I)
(nは8以上が好ましく、10以上が更に好ましく、12以上が特に好ましい。また、nは30以下が好ましく、24以下が更に好ましく、22以下が特に好ましい。nが小さくなると繰り返し耐久性が低下する。この長鎖ジオールの融点は60℃以上が好ましく、80℃以上が更に好ましい。融点がこの温度より低くなると画像の耐熱性が低下する。)
【0012】
【化4】
HOCH2CH(OH)(CH2)m-2H 一般式(II)
(mは12以上が好ましく、16以上が更に好ましい。mが小さくなると繰り返し耐久性が低下する。また、mは30以下が好ましく、24以下が更に好ましい。この長鎖ジオールの融点は60℃以上が好ましく、70℃以上が更に好ましい。融点がこの温度より低くなると画像の耐熱性が低下する。)
【0013】
【化5】
R−CH(OH)CH(OH)R 一般式(III)
(Rはアルキル基を表わす。このアルキル基の炭素数は5以上が好ましい。また、24以下が好ましい。この長鎖ジオールの融点は110℃以上が好ましく、120℃以上が更に好ましく、130℃以上が特に好ましい。炭素数が4以下となると、繰り返し耐久性が低下する。融点がこの温度より低くなると、透明化温度幅が狭くなり、処理速度が速くなると透明化しにくくなり、コントラストが低下する。)
【0014】
これらの中でも、一般式(I)のα,ω−ジオールが好ましい。α,ω−ジオールは両端に水酸基を持ち側鎖を有しないシンプルな構造であるため、結晶性が良好であり、白濁度及び透明度が高く、高コントラストな画像が得られるという利点がある。
長鎖ジオールの具体例を以下に示す。
一般式(I)の例
【0015】
【表1】
一般式(II)の例
【0016】
【表2】
一般式(III)の例
【0017】
【表3】
【0018】
上記のような長鎖ジオールと、長鎖ジオールの融点と20℃以上異なる融点を有し、かつ長鎖構造を有する有機低分子物質を混合して用いることが好ましい。このことにより、透明化温度幅を拡大することが可能となり、書換装置での厳密な温度制御を行なわなくても高い透明度が得られるようになり、高コントラストが得られるようになる。この有機低分子物質の長鎖ジオールとの融点の差は30℃以上がさらに好ましく、40℃以上が特に好ましい。融点差が広がるにつれ、書換装置の温度制御をより簡易にすることができる。
【0019】
融点差は100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることが更に好ましく、60℃以下であることが特に好ましい。融点差が広がりすぎると、高温側に透明化温度範囲が広がった場合には白濁化温度が高くなり、白濁画像形成の熱感度が低下するという欠点があり、低温側に広がった場合には画像の耐熱性が低下するという欠点がある。これらを混合する場合、長鎖ジオールも長鎖ジオールと混合する有機低分子物質も1種類でなく2種以上用いてもよい。
【0020】
長鎖ジオールと混合する有機低分子物質の融点は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが更に好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。融点が高くなると、画像耐熱性が向上するという利点がある。融点が低くなると、透明化温度幅が拡大でき、高コントラストが得られやすくなるという利点がある。この融点は180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることが更に好ましく、150℃以下であることが特に好ましい。
【0021】
また、用いられる長鎖ジオールの融点によっても混合して用いられる有機低分子物質の好ましい融点は変わってくる。長鎖ジオールの融点が90℃以下の場合、混合する有機低分子物質の融点は、110℃以上が好ましく、120℃以上が更に好ましく、130℃以上が特に好ましく、140℃以上がもっと好ましい。長鎖ジオールの融点が110℃以上の場合、混合する有機低分子物質の融点は90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることが更に好ましく、70℃以下であることが特に好ましい。
【0022】
長鎖ジオールと混合する有機低分子物質を混合する場合の長鎖ジオールの重量比は、長鎖ジオールと混合物の合計を100%とすると、10%以上が好ましく、15%以上が更に好ましく、20%以上が特に好ましく、30%以上がもっと好ましい。混合する有機低分子物質の重量比は、5%以上が好ましく、10%以上が更に好ましく、20%以上が特に好ましく、30%以上がもっと好ましい。
【0023】
長鎖ジオールと混合して用いる有機低分子物質としては、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸エステル、高級アルキル基を有するケトン、脂肪酸モノアミド、脂肪族ビスアミドから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
以下に具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
【0025】
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸等が挙げられる。
【0026】
脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、ラウリン酸オクタデシル、ラウリン酸ドコシル、ミリスチン酸ドコシル、パルミチン酸ドデシル、パルミチン酸テトラデシル、パルミチン酸ペンタデシル、パルミチン酸ヘキサデシル、パルミチン酸オクタデシル、パルミチン酸トリアコンチル、パルミチン酸オクタデシル、パルミチン酸ドコシル、ステアリン酸ビニル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ヘプタデシル、ステアリン酸オクタデシル、ステアリン酸ドコシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸トリアコンチル、ベヘン酸ドデシル、ベヘン酸オクタデシル、ベヘン酸ドコシル、リグノセリン酸トラコシル、メリシン酸ミリシル等が挙げられる。
【0027】
高級アルキル基を有するケトンの具体例としては、例えば、8−ペンタデカノン、9−ヘプタデカノン、10−ノナデカノン、11−ヘンエイコサノン、12−トリコサノン、14−ヘプタコサノン、16−ヘントリアコンタノン、18−ペンタトリアコンタノン、22−トリテトラコンタノン、2−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、2−ヘプタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン等が挙げられる。
【0028】
脂肪酸モノアミドの具体例としては、例えば次式で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化6】
R1−CONH−R2
(ここで、R1は炭素数1〜25の直鎖炭化水素鎖、R2は水素、炭素数1〜26の直鎖炭化水素鎖、またはメチロール基であり、R1、R2の少なくともどちらか一方が炭素数10以上の直鎖炭化水素鎖である。)
これらの例としては、ノナンアミド、デカンアミド、ウンデカンアミド、ドデカンアミド、トリデカンアミド、テトラデカンアミド、ヘキサデカンアミド、オクタデカンアミド、イコサンアミド、ドコサンアミド、トリコサンアミド、ヘキサコサンアミド、オクタコサンアミド等を挙げることができる。
【0030】
脂肪族ビスアミドの具体例としては、例えば次の2つの式で示されるものが挙げられる。
【0031】
【化7】
(R3−CONH)2(CH2)n
(ここでR3は炭素数10〜25の直鎖炭化水素鎖、nは1〜8である。)、
【0032】
【化8】
(R4−NHCO)2(CH2)n
(ここで、R4は炭素数10〜25の直鎖炭化水素鎖、nは1〜8である。)、
これらの例としては、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N−ジステアリルエイコサンジ酸アミド、ヘキサメチレンジアミンモンタン酸ビスアミド、N,N−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N−ジラウリルデカンジ酸アミド、N,N−ジラウリルエイコサンジ酸アミド等を挙げることができる。
【0033】
感熱層に使用される樹脂母材は有機低分子物質を均一に分散保持した層を形成すると共に、最大透明時の透明度に影響を与える材料である。このため樹脂母材は透明性が良く、機械的に安定で、且つ成膜性の良い樹脂が好ましい。このような樹脂としてはポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート或いはアクリレート−メタクリレート共重合体;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で或いは2種以上混合して使用して良いことはもちろんである。
【0034】
これらの樹脂を架橋することが好ましい。架橋した媒体の繰り返し耐久性が向上する。
架橋の方法としては、熱架橋、UVやEBの照射による方法があり、イソシアネートや各種アクリル系架橋剤を添加し架橋することが好ましい。
【0035】
本発明の熱可逆記録媒体の感熱層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜20μmが更に好ましい。4〜15μmが特に好ましい。記録層が厚すぎると層内での熱の分布が発生し均一に透明化することが困難となる。また、感熱層が薄すぎると白濁度が低下し、コントラストが低くなる。なお、記録層中の脂肪酸の量を増加させると白濁度を増すことができる。なお、感熱層中の有機低分子物質と樹脂(架橋構造を有する樹脂)との割合は、重量比で2:1〜1:16程度が好ましく、1:2〜1:8が更に好ましく、1:2〜1:5が特に好ましく、1:2〜1:3がもっと好ましい。樹脂の比率がこれ以下になると、有機低分子物質を樹脂中に保持した膜に形成することが困難となり、またこれ以上になると、有機低分子物質の量が少ないため、不透明化が困難になる。
【0036】
また、感熱層上には感熱層を保護するために保護層を設けることができる。感熱層上に積層する保護層(厚さ0.1〜5μm)材料としては、シリコーン系ゴム、シリコーン樹脂(特開昭63−221087号公報に記載)、ポリシロキサングラフトポリマー(特願昭62−152550号に記載)や紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂(特願昭63−310600号に記載)等が挙げられる。いずれの場合も、塗布時に溶剤を用いるが、その溶剤は、感熱層の樹脂並びに有機低分子物質を溶解しにくいほうが望ましい。感熱層の樹脂及び有機低分子物質を溶解しにくい溶剤としてはn−ヘキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、特にアルコール系の溶剤がコスト面から望ましい。
【0037】
更にまた、保護層形成液の溶剤やモノマー成分等から感熱層を保護するために、保護層と感熱層との間に中間層を設けることができる(特開平1−133781号公報に記載)。中間層の材料としては感熱層中の樹脂母材として挙げたものの他に下記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂が使用可能である。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。中間層の厚さは0.1〜2μmくらいが好ましい。これ以下になると、保護効果が下がり、これ以上になると熱感度が低下する。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。各例中「部」は重量部を表す。
実施例1〜14
約100μm厚の透明なPETシート上に約400ÅのAlを真空蒸着した。その上に、
1,16−ヘキサデカンジオール(東京化成社製試薬) 8部
エイコサン2酸(岡村製油社製 SL−20−99) 2部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 28部
(電気化学工業社製 デンカビニール #1000MT)
テトラヒドロフラン 150部
トルエン 20部
よりなる溶液を塗布し、加熱乾燥して約10μm厚の感熱層を設けた。その上に、
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の 10部
75%酢酸ブチル溶液
(大日本インキ化学工業社製:ユニディック C7−157)
イソプロピルアルコール 10部
よりなる溶液をワイヤーバーで塗布し、加熱乾燥後、80w/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化させ、約3μm厚のオーバーコート層を設け、熱可逆記録媒体を作成した。
表4のようにジオールとエイコサン2酸の比率及びジオールの種類を変更し、各種媒体を作成した。
【0039】
比較例
ジオールをなくし、ベヘン酸(東京化成試薬)を5部とし、エイコサン2酸を5部とする以外は、実施例1と同様にして熱可逆記録媒体を作成した。
このようにして作成した媒体を熱傾斜試験機(東洋精器製)を用い、温度を変え、1秒間加熱し、マクベス反射濃度計RD914で濃度を測定した。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明においては、樹脂母材中に分散される有機低分子物質として少なくとも長鎖ジオールを1種又は2種以上用いることにより、熱可逆記録媒体が透明化する温度の幅を著しく拡げることが可能となり、書換装置の温度制御をより簡易化することができるという極めて優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる記録層の熱による透明度の変化を表わした図である。
Claims (5)
- 前記長鎖ジオールの融点が60℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可逆記録媒体。
- 前記有機低分子物質として、前記長鎖ジオール及び該長鎖ジオールと20℃以上異なる融点を有し、かつ長鎖構造を有する有機低分子物質を混合して用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可逆記録媒体。
- 前記長鎖ジオールと該長鎖ジオールと20℃以上異なる融点を有し、かつ長鎖構造を有する有機低分子物質の混合比が8:2〜1:9であることを特徴とする請求項3に記載の熱可逆記録媒体。
- 前記長鎖ジオールと混合して用いる有機低分子物質が、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸エステル、高級アルキル基を有するケトン、脂肪酸モノアミド、脂肪族ビスアミドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項3又は4に記載の熱可逆記録媒体。
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