JP3659070B2 - 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法 - Google Patents
転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3659070B2 JP3659070B2 JP17988399A JP17988399A JP3659070B2 JP 3659070 B2 JP3659070 B2 JP 3659070B2 JP 17988399 A JP17988399 A JP 17988399A JP 17988399 A JP17988399 A JP 17988399A JP 3659070 B2 JP3659070 B2 JP 3659070B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon concentration
- molten steel
- temperature
- blowing
- steel temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転炉吹錬時、特に吹錬終了時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法と、それを用いた転炉吹錬法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
転炉吹錬では、一般的に、吹錬開始前の静的制御と吹錬時の動的制御とが行われてきた。静的制御とは、吹錬開始前に、溶銑状況および吹錬終了目標値から吹込酸素量、投入媒溶剤量および吹錬パターン等を設定し、これらの設定値に基づいて吹錬制御を行うことである。一方、動的制御とは、吹錬時に、例えばサブランスによって溶鋼温度および炭素濃度を測定し、終点目標温度および炭素濃度に到達するまでの酸素量および媒溶剤量を制御することである。近年、転炉耐火物の溶損防止や後工程との時間的制約等により、転炉出鋼の迅速化に対する必要性が非常に高まっている。このため、動的制御の精度向上が強く要請されている。
【0003】
従来より、この動的制御に用いる溶鋼温度および炭素濃度の推定式、すなわち脱炭反応式が多数知られている。例えば特許第2621613 号には、吹錬末期における鋼中炭素濃度計測時点から吹錬終点までに吹き込むべき酸素量と実測鋼中炭素濃度とを対応づける数式に基づいて終点炭素濃度を制御する際に、溶鋼温度と炭素含有量との計測データに基づいて酸素供給量および冷却材投入量を同時に制御することにより、出鋼した溶鋼の的中精度を向上する発明が提案されている。この技術では、酸素消費速度式中に定数を用いる。このため、吹錬時に、溶鋼温度が目標値を下回ると推定された場合には、終点目標炭素濃度以下に吹き下げることにより溶鋼温度を目標温度まで上昇させる。
【0004】
しかし、この技術により、溶鋼温度および炭素濃度を推定しようとすると、操業条件の変動によって酸素消費速度式中に用いる定数が適正な範囲から逸脱したまま、溶鋼温度および炭素濃度の推定計算を行ってしまうことがあった。このため、溶鋼温度および炭素濃度の推定値の誤差が大きくなってしまい、取鍋において、安定した溶鋼温度および炭素濃度を得ることができなかった。また、酸素消費速度式中に用いる定数が適正な範囲から逸脱しなくとも適正な範囲の境界付近にある場合には、やはり推定精度の低下は免れないという問題もあった。
【0005】
したがって、この技術によって溶鋼温度が目標値を下回ると推定された場合に、出鋼目標温度および炭素濃度に応じて決定された合金鉄銘柄を決定された量だけ取鍋に投入しても、溶鋼温度および炭素濃度の推定値の誤差が大きいために、取鍋に収容された溶鋼の温度および炭素濃度をいずれも目標値にすることができず、低炭素Fe−Mnや低炭素Fe−Crといった高価な低炭素含有合金鉄を使用する必要が生じてしまう。
【0006】
このように、既に知られている脱炭反応式を用いても、式中の係数調整が煩雑であるとともに、得られる溶鋼温度および炭素濃度の推定精度が芳しくないという問題があった。そこで、取鍋への抜熱や後工程までのキリング、さらには出鋼時の合金添加による温度降下等を考慮して、終点目標温度および炭素濃度を補正して推定する方法が提案されている。例えば特開平6−41626 号公報には、転炉吹錬の動的制御に、出鋼中に取鍋に添加する合金鉄の温度降下量を加味した終点温度補正を行うことにより、出鋼した溶鋼の的中精度を向上する発明が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平6−41626 号公報により開示された発明では、コストの抑制を勘案せずに、合金銘柄選択およびその投入量、さらには吹錬終了までの酸素量を決定してしまうため、出鋼時に投入する合金鉄の銘柄や投入量を、コスト上昇を抑制できるように再設定することができない。このため、安定的かつ安価に、取鍋に収容された溶鋼の温度および炭素、マンガン、その他の合金成分の濃度を、目標値に制御することができない。
【0008】
本発明の目的は、転炉出鋼時の溶鋼温度および炭素濃度のバラツキを抑制することにより、安定かつ安価に取鍋に収容された溶鋼の温度および炭素、マンガン、その他の合金成分の濃度を、目標値に制御することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度を測定し、これらの測定値と、転炉吹錬時の操業条件に基づいて推定される脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度とを用いて、目標の溶鋼温度および炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度を推定することを特徴とする転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法である。
【0010】
また、別の観点からは、本発明は、転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度を測定し、これらの測定値と、転炉吹錬時の操業条件に基づいて推定される脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度とを用いて、目標の溶鋼温度および炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度を推定し、推定した溶鋼温度および炭素濃度と転炉出鋼時における温度降下量とに基づいて、吹錬終了時の出鋼目標温度および目標炭素濃度を補正することを特徴とする転炉吹錬法である。
【0011】
本発明によれば、吹錬終了までの送酸、冷材の投入、および出鋼時に添加する合金の投入のそれぞれに要するコストの総和を抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、転炉10による吹錬時の状況を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、転炉10の内部には溶湯12が収容され、吹錬が行われている。転炉10の内部の底部には、管16に接続された底吹きノズル14が配置される。管16の途中には流量計18が設けられており、底吹きノズル14から溶湯12に吹き込まれる不活性ガスの流量が制御される。流量計18は、後述するプロセスコンピュータ30からの制御信号により、配管16内を流れる不活性ガスの流量を制御する。
【0014】
転炉10の上部から、ランス20とサブランス22とが転炉10の内部に垂下される。ランス20には流量計24が接続される。流量計24は、後述するプロセスコンピュータ30からの制御信号により、ランス20から溶湯12に吹き込まれる酸素ガスの流量を制御する。また、サブランス22には溶鋼温度計および炭素濃度計が取り付けられており、プロセスコンピュータ30からの制御信号により、吹錬時の溶湯12の温度および炭素濃度を測定する。また、測定後には、測定値をプロセスコンピュータ30に入力する。
【0015】
なお、符号26は転炉10の上部開口を覆うダクトを示し、符号28は秤量器およびシュータを示し、符号30はプロセスコンピュータを示す。さらに、符号32は合金鉄秤量器およびシュータを示し、符号34は溶湯12が注がれる取鍋を示す。
この図1を参照しながら、本実施形態の転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法を、経時的に説明する。
【0016】
〔溶鋼温度および炭素濃度の測定〕
図1に示すように、転炉10の吹錬末期において、転炉10に収容された溶湯12の脱炭が進行すると、プロセスコンピュータ30からの制御信号によりサブランス22は転炉10の内部に降下し、転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度をそれぞれ測定する。
これらの測定値は、プロセスコンピュータ30に入力される。このようにして、転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度がいずれも測定される。
【0017】
〔転炉吹錬時の操業条件〕
サブランス22からプロセスコンピュータ30へ測定された炭素濃度および溶鋼温度が入力された段階で、ランス20からの上吹き酸素量、ランス20の高さ (ランス湯面間距離) 、底吹きノズル14の使用本数、各底吹きノズル14の底吹きガス流量、秤量器およびシュータ28からの副原料の成分および投入量それぞれの検出値が、プロセスコンピュータ30へ入力される。
【0018】
また、吹錬前の溶銑12の成分および量、炉回数、取鍋目標成分および目標温度が、プロセスコンピュータ30へ入力される。
このように、プロセスコンピュータ30には、転炉吹錬時のこれらの各種操業条件が入力される。
【0019】
〔脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度の推定〕
プロセスコンピュータ30では、吹錬時に測定した溶鋼温度および炭素濃度それぞれの入力値と転炉吹錬時の操業条件の入力値とに基づいて、脱炭速度定数K1 (%/Nm3/ トン) 、脱炭速度遷移炭素濃度 (臨界炭素) 濃度Cb( %) および脱炭限界炭素濃度 (脱炭限界炭素濃度)Cr(%) を求める。なお、本明細書においては、特にことわりがない限り「%」は「重量%」を示す。
【0020】
図2は、脱炭速度定数K1と溶鋼炭素濃度 (%) との関係を示すグラフである。同図に示すように、溶鋼中の炭素濃度が、脱炭速度遷移炭素濃度Cbから脱炭限界炭素濃度Crまで低下する間、脱炭速度定数K1は線形の関係を維持したまま低下する。そこで、プロセスコンピュータ30では、転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度それぞれの測定値と転炉吹錬時の操業条件とに基づいて、下記▲1▼式、▲2▼式および▲3▼式より、脱炭速度定数K1 (%/Nm3/ トン) 、脱炭速度遷移炭素濃度 (臨界炭素濃度)Cb(%) および脱炭限界炭素濃度 (脱炭限界炭素濃度)Cr(%) を推定する。
【0021】
【数1】
K1=Σαi ×Xi+FBc ・・・・・・・ ▲1▼
Cb=Σβi ×Xi+FBc ・・・・・・・ ▲2▼
Cr=Σγi ×Xi+FBc ・・・・・・・ ▲3▼
ただし、▲1▼式〜▲3▼式において、符号Xiは操業条件因子 (例えばスラグボリューム、上底吹きガス流量、ランス湯面間距離等) を示し、符号αi,βi,γi は操業因子係数を示し、符号FBc はフィードバック補正項 (例えば、モデル誤差の指数平滑した値) を示す。
〔目標の溶鋼温度および炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度の推定〕。
【0022】
次に、推定した脱炭速度定数K1、脱炭速度遷移炭素濃度Cbおよび脱炭限界炭素濃度Crを用い、▲4▼式 (酸素バランス式) および▲5▼式 (温度バランス式) から、目標の溶鋼温度および炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度を、簡便かつ高精度で推定する。
【0023】
【数2】
ただし、▲4▼式において、符号Csl は動浴計測時の溶鋼の炭素濃度(%) を示し、符号F02 は動浴計測時から目標炭素濃度となるまでの酸素消費量(Nm3/ トン) を示し、符号ηは副原料持ち込み酸素効率を示し、符号Wsub,jは副原料jの投入量を示し、符号02,jは副原料jの酸素含有量(Nm3/min/ トン) を示す。
【0024】
【数3】
T-Tsl=bO×(FO2+ηΣWsub,j×O2,j)+γΣWsub,j×Tsub,j
bO=Σki×Xi+FBt ・・・・・・・▲5▼
ただし、▲5▼式において、符号bOは温度バランス式係数を示し、符号Tsl は動浴測定時の溶鋼温度を示し、符号γは冷却材の冷却効率を示し、符号kiは操業要因係数を示し、符号Tsub,jは副原料jの冷却量 (℃/kg/トン) を示し、符号FBt はフィードバック補正項 (例えば、モデル誤差の指数平滑した値) を示す。
〔吹錬終了時の出鋼目標温度および炭素濃度の補正と、吹錬終了までの送酸量、冷材投入量、出鋼時に添加する合金銘柄およびその投入量の決定〕。
【0025】
このようにして、▲4▼式および▲5▼式により、溶鋼温度−溶鋼炭素濃度の推定軌道を決定する。図3は、決定された溶鋼温度−溶鋼炭素濃度の推定軌道R の一例を示すグラフである。
【0026】
この推定軌道R に示すように、A点において溶鋼温度、炭素濃度が Cslのときに溶鋼温度および炭素濃度を測定された溶鋼は、吹錬の進行すなわち炭素濃度の低下に伴って、温度が上昇する。そして、B点である目標溶鋼温度および炭素濃度領域 (溶鋼炭素濃度 Caim ) に到達する。
【0027】
ここで、図3にグラフで示すように、溶鋼温度−溶鋼炭素濃度の推定軌道R に対して、目標炭素濃度Caimでの推定温度が目標温度Taimを下回っている場合には、転炉出鋼時の温度降下量を考慮した▲6▼式により目標温度Bに対する補正量および出鋼時の温度降下に対する補正量を推定し、B' 点である新たな目標溶鋼温度Taim' および炭素濃度Caim' に、自動的にそれぞれ補正して、吹錬終了までの送酸量および冷材投入量および合金添加量を指示する。
【0028】
【数4】
T=ΣTi(C) ・・・・・・・▲6▼
ただし、符号Tは補正温度 (℃) を示し、符号Cは目標炭素濃度 (%) を示し、符号Tiは熱ロス因子 (出鋼時に投入するMn、Cr系合金鉄、取鍋への抜熱、後工程までのキリング等) を示す。
【0029】
ここに、合金添加量の指示に際して行う合金計算では、併せて、▲7▼式による成分計算、▲8▼式によるコスト計算および▲9▼式による制約条件を勘案し、最適な合金鉄銘柄とその投入量計算とを行う。
【0030】
【数5】
Ei=[Wst×Eaim/100+Σ(Wgj×Egi,j/100×Ygj/100)] /[Wst+Σ(Wgj×Ygi/100)] ・・・・・・・▲7▼
ただし、▲7▼式における符号Eiはi番目の成分の鋼中成分値を示し、符号Wst は出鋼量を示し、符号Eaimは出鋼成分値を示し、符号Wgj はj番目の銘柄の合金投入量を示し、符号Egi,j はj番目の銘柄のi番目の成分の含有量を示し、符号Ygi はi番目の成分の歩留りを示す。
【0031】
【数6】
C=Σ(Wgj×Cj) ・・・・・・・▲8▼
ただし、▲8▼式における符号Cはトータルコストを示し、符号Wgj はj番目の銘柄の合金投入量を示し、符号Cjはj番目の銘柄の合金投入コストを示す。
【0032】
【数7】
Ei≦Emaxi ・・・・・・・▲9▼
ただし、▲9▼式において、符号Eiはi番目の成分の鋼中成分値を示し、符号Emaxi はi番目の銘柄の成分上限規格を示す。
【0033】
これにより、転炉出鋼時の温度降下量およびコストミニマムとなる合金銘柄およびその投入量を加味して、吹錬終了までの送酸量および出鋼時に添加する合金鉄に要するコストが最小となる合金鉄銘柄およびその投入量が指示される。
【0034】
送酸量および冷材投入量についても、同様な操作でもって行えばよい。
このように、本発明によれば取鍋溶鋼の目標値が補正されて設定されることから、それを実現するための操業を最も効果的に行うことができる。
【0035】
すなわち、本実施形態の転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法によれば、脱炭速度定数K1、脱炭速度遷移炭素濃度Cbおよび脱炭限界炭素濃度Crといった、操業因子 (例えばスラグボリューム、上底吹きガス流量、ランス湯面間距離等) に左右され易い係数を定式化することにより、吹錬終点における溶鋼温度および炭素濃度の推定精度を向上することができる。
【0036】
また、転炉出鋼時の温度降下量を考慮し、吹錬終了時の出鋼目標温度および炭素濃度を自動的に補正し、吹錬終了までの送酸量、冷材投入量、合金銘柄およびその投入量を指示することにより、コストの上昇をできるだけ抑制することもできる。
【0037】
このため、本実施形態によれば、転炉出鋼時の温度および炭素濃度のバラツキを抑制し、安定かつ安価に取鍋に収容された溶鋼の温度および炭素、マンガン、その他の合金成分の濃度を目標値に効果的に制御することができる。
【0038】
【実施例】
図1に示す転炉 (160 トン上底吹き転炉)10 を用いて、溶銑予備処理された炭素濃度が3.5 〜4.5 重量%の溶銑12に対して、スラグボリューム=25〜35kg/ トン、底吹きガス流量=0.09〜0.14Nm3/min/トン、上吹き酸素ジェットによる凹み深さと浴深の比(L/Lo)=0.18〜0.20、送酸速度=1.80〜2.50Nm3/min/ton の条件により、転炉吹錬を行った。
【0039】
表1には、転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の測定値と転炉吹錬時の操業条件に基づいて推定される脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度とを用いて、溶鋼温度および炭素濃度を推定する本発明法を満足する条件で吹錬を行ったものを本発明例1〜本発明例3として示し、脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度を用いずに、これらを定数化することにより吹錬を行ったものを従来法1〜従来法3として示した。なお、表1における推定 [C] レンジとは、出鋼時の炭素の目標範囲を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から、例えば、吹止目標炭素濃度が0.10%未満の場合、従来の方法による炭素濃度推定精度の偏差σが0.017 %であったのに対し、本発明によれば偏差σを0.005 %にまで大幅に向上することができた。さらに、本発明によれば、操業の変化に対しても再現性があることが判明した。また、表1から、吹止目標炭素濃度が0.20%未満の場合、0.20%以上の場合にも、同様に推定精度が大幅に向上したことがわかる。
このように、本発明によれば、取鍋目標成分および温度のバラツキがともに抑制され、成分調整に必要な合金鉄の使用コストを、約10%低減することができた。
【0042】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度測定値と操業条件とから推定される脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度を用いて、任意の目標温度−炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度の推定値を、簡便に精度よく推定することができた。
【0043】
また、本発明によれば、このようにして求めた溶鋼温度および炭素濃度の推定値に基づいて、転炉出鋼時の温度降下量を考慮し、吹錬終了時の出鋼目標温度および炭素、マンガン、その他の濃度を自動的に補正し、吹錬終了までの送酸量、冷材投入量およびコストミニマムとなる合金銘柄選択および投入量を指示するため、安定かつ安価に吹錬を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転炉による吹錬時の状況を模式的に示す説明図である。
【図2】脱炭速度定数と溶鋼炭素濃度との関係を示すグラフである。
【図3】決定された溶鋼温度−溶鋼炭素濃度の推定軌道の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 転炉
12 溶湯
14 底吹きノズル
16 管
18 流量計
20 ランス
22 サブランス
24 流量計
26 ダクト
28 秤量器及びシュータ
30 プロセスコンピュータ
32 合金鉄用秤量器及びシュータ
34 取鍋
Claims (2)
- 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度を測定し、これらの測定値と、前記転炉吹錬時の操業条件に基づいて推定される脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度とを用いて、目標の溶鋼温度および炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度を推定することを特徴とする転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法。
- 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度を測定し、これらの測定値と、前記転炉吹錬時の操業条件に基づいて推定される脱炭速度定数、脱炭速度遷移炭素濃度および脱炭限界炭素濃度とを用いて、目標の溶鋼温度および炭素濃度領域における溶鋼温度および炭素濃度を推定し、推定した前記溶鋼温度および炭素濃度と転炉出鋼時における温度降下量とに基づいて、吹錬終了時の出鋼目標温度および目標炭素濃度を補正することを特徴とする転炉吹錬法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17988399A JP3659070B2 (ja) | 1999-06-25 | 1999-06-25 | 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17988399A JP3659070B2 (ja) | 1999-06-25 | 1999-06-25 | 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001011521A JP2001011521A (ja) | 2001-01-16 |
JP3659070B2 true JP3659070B2 (ja) | 2005-06-15 |
Family
ID=16073576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17988399A Expired - Fee Related JP3659070B2 (ja) | 1999-06-25 | 1999-06-25 | 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3659070B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101008072B1 (ko) | 2003-09-05 | 2011-01-13 | 주식회사 포스코 | 전로정련방법 |
JP2005206877A (ja) * | 2004-01-22 | 2005-08-04 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 転炉吹錬時の炭素濃度の推定方法 |
JP5527180B2 (ja) * | 2010-11-29 | 2014-06-18 | 新日鐵住金株式会社 | 転炉吹錬方法及び転炉吹錬システム |
JP6235197B2 (ja) * | 2012-06-01 | 2017-11-22 | 新日鐵住金株式会社 | 転炉操業方法 |
KR101400052B1 (ko) | 2012-06-28 | 2014-05-27 | 현대제철 주식회사 | 전로 정련 방법 |
KR20230013096A (ko) * | 2020-07-01 | 2023-01-26 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 전로 취련 제어 방법 및 전로 취련 제어 시스템 |
-
1999
- 1999-06-25 JP JP17988399A patent/JP3659070B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001011521A (ja) | 2001-01-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6583594B1 (ja) | 溶湯成分推定装置、溶湯成分推定方法、及び溶湯の製造方法 | |
JP5225308B2 (ja) | 含クロム溶鋼の減圧脱炭精錬方法 | |
JP3659070B2 (ja) | 転炉吹錬時の溶鋼温度および炭素濃度の推定法、および転炉吹錬法 | |
JP2012136767A (ja) | 転炉りん濃度推定方法 | |
CN113416816B (zh) | 一种两步法确定rh精炼炉冶炼if钢吹氧量的方法及模型 | |
JP5493997B2 (ja) | 転炉精錬方法 | |
CN107502704A (zh) | 一种降低半钢炼钢铸坯中氧化铝夹杂的方法 | |
CN104087705A (zh) | 控制高氮钢氮含量的方法 | |
KR20090062187A (ko) | 탄소를 저감하기 위한 고크롬 페라이트계 스테인리스강의정련 방법 | |
CN115335537A (zh) | 减压下的钢液的脱碳精炼方法 | |
KR102168833B1 (ko) | 저탄소강의 정련방법 | |
JP6766673B2 (ja) | 溶鋼の昇温方法 | |
US4810286A (en) | Method for reducing dissolved oxygen and carbon contents in molten steel | |
JP2985643B2 (ja) | Rh型真空槽による溶鋼中炭素濃度の推定方法 | |
KR100554143B1 (ko) | 크롬산화를 억제하는 에이오디 조업방법 | |
JP4110676B2 (ja) | 転炉吹錬制御方法及び転炉吹錬制御装置 | |
CN115074482B (zh) | 一种利用转炉钒渣生产hrb400e热轧带肋钢筋的方法 | |
CN102888490B (zh) | 包晶钢氩站弱脱磷方法 | |
JPS6225726B2 (ja) | ||
JP5463797B2 (ja) | 高マンガン極低炭素鋼の溶製方法 | |
JP2005206877A (ja) | 転炉吹錬時の炭素濃度の推定方法 | |
JP4277819B2 (ja) | 溶鋼の加熱方法 | |
JP3725312B2 (ja) | 含クロム溶鋼の精錬方法 | |
JP3145258B2 (ja) | 溶鋼の処理方法 | |
JPS6246606B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041001 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050222 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050307 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3659070 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080325 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090325 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100325 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100325 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110325 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120325 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130325 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130325 Year of fee payment: 8 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130325 Year of fee payment: 8 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |