JP3658719B2 - 楽音発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変化に富んだワンキープレイを実現することができる楽音発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、「ワンキープレイ」と呼ばれる演奏形態を実現する楽音発生装置が知られている。この「ワンキープレイ」とは、例えば、「ワンキープレイ」用に設けられた専用の演奏操作キーが操作される度に、一音づつ発音させて楽曲を演奏する形態を指す。
このような装置は、楽曲を形成する各音符の音高を表わすソングデータを各演奏パート毎にメモリ記憶しておき、キー操作がなされる度に、メモリ記憶されたソングデータを各パートについて一音づつ読み出して発音するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした従来の楽音発生装置では、ただ単にキーの押下(オン操作)に応じて発音させ、そのキーを離す(オフ操作)ことで消音させるだけである為、演奏形態が画一化して単調になるという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、変化に富んだワンキープレイを実現することができる楽音発生装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、オンオフ操作される演奏操作子と、複数の音高データと、これら音高データのいずれかに付加されるデータであって、持続発音を指示する第1の指示データとを記憶する記憶手段と、前記演奏操作子がオン操作される度に、前記記憶手段に記憶されている音高データを順次読み出す読出し手段と、この読出し手段が前記記憶手段から前記第1の指示データが付加されていない音高データを読み出した場合には、その音高データに対応する楽音を発音させ、前記演奏操作子がオフ操作された時点でその楽音を消音させる第1の楽音発生手段と、前記読出し手段が前記記憶手段から前記第1の指示データが付加されている音高データを読み出した場合には、この第1の指示データが付加された音高データに対応する楽音を発音させるとともに、前記演奏操作子がオフ操作されても持続発音させる第2の楽音発生手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
好ましい実施態様である請求項2に記載の発明によれば、前記記憶手段は、前記音高データのいずれかに付加されるデータであって、消音を指示する第2の指示データを更に記憶し、前記第2の楽音発生手段は、前記読出し手段が前記記憶手段から第2の指示データが付加されている音高データを読み出した場合には、この第2の指示データが付加された音高データと同一音高であって、かつ前記第1の指示データに従って持続発音中の楽音を消音させることを特徴とする。
【0008】
本発明では、演奏操作子がオン操作される度に、記憶手段に記憶されている音高データを読み出し、第1の指示データが付加されていない音高データを読み出した場合には、その音高データに対応する楽音を発音させ、演奏操作子がオフ操作された時点でその楽音を消音させる一方で、第1の指示データが付加されている音高データを読み出した場合には、この第1の指示データが付加された音高データに対応する楽音を発生させるとともに、演奏操作子がオフ操作されても発音を持続させる。
したがって、ただ単に演奏操作子の押下(オン操作)に応じて発音させ、その演奏操作子を離す(オフ操作)ことで消音させる従来のワンキープレイに比べ、指示データに応じた楽音をも発生し得るから、演奏形態が多様化して変化に富んだワンキープレイを実現することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による楽音発生装置は、周知の電子楽器はもとより、コンピュータを用いたデジタル楽器類やネットワークを利用した楽音発生装置等に適用され得る。以下では、本発明の実施の形態である楽音発生装置を実施例として図面を参照して説明する。
【0010】
A.実施例の構成
(1)全体構成
図1は、本発明による一実施例の構成を示すブロック図である。この図において、1は装置パネルに配設されるパネルスイッチ群であり、各種のスイッチ1a〜1hからなる。ここで、図2(イ)を参照して各種のスイッチ1a〜1hについて説明する。まず、記録スイッチ1aは、押下操作(オン操作)される度に記録モードおよびプレイモードをオルタネートに切替え設定するスイッチである。
【0011】
なお、ここで言う”記録モード”とは、ユーザー操作によりワンキープレイ用のソングデータをメモリに記憶する一連の処理動作を指し、一方、”プレイモード”とは後述するスイッチ1bの操作に応じてメモリ記憶されたソングデータを読み出してワンキープレイを行わせる一連の処理動作を指す。これら各モードの処理動作については追って述べる。
【0012】
1bはワンキープレイスイッチであり、”記録モード”下では音名選択する際の操作子として使用され、”プレイモード”下では押下操作(オン操作)される度に順次ソングデータを読み出してワンキープレイするための演奏操作子として使用される。
1cは”記録モード”下で使用されるネクストスイッチである。このスイッチ1cは、ソングデータの区切りを表わすエンドマークEMを、記録する際に使用されるスイッチである。このエンドマークEMとは、ワンキープレイスイッチ1bの1回のオン操作に対応して読み出すソングデータを区切る為の識別子である。
【0013】
1dは”記録モード”下で使用されるインサートスイッチである。インサートスイッチ1dは、”記録モード”において上述のワンキープレイスイッチ1bの操作により選択された音名の音高データ(ノートナンバ)をソングデータ記憶メモリ7(後述する)に登録する際に用いられる。
1eは”記録モード”下にてソングデータ記憶メモリ7に記憶させた直前の音高データを消去する際に使用されるデリートスイッチである。なお、このデリートスイッチ1eの操作により消された音高データについて、後述するホールドマークHMあるいはリリースマークRMが付与されている場合、それらマークも音高データと共に消去される。
【0014】
1fは、”記録モード”において、ユーザーがワンキープレイスイッチ1b等を使用して選択した音高データに対してホールドマークHM(あるいはリリースマークRM)を付与する際に使用するホールドスイッチであり、上述のインサートスイッチ1dと共に同時操作される時に機能するようになっている。
ホールドマークHMとは、従来のワンキープレイとは異なり、”プレイモード”下でワンキープレイスイッチ1bを離しても(オフ操作しても)消音させたくない音、つまり持続音となる音高データを識別するためのデータを言う。また、リリースマークRMとは、このホールドマークHMが付与された音高データ(ノートナンバ)を消音させるために付与するデータである。これらマークが意図するところについては追って説明する。
【0015】
1g,1hはそれぞれ”記録モード”下において、選択された音名に対するオクターブ域を指定する為のトランスポーズアップスイッチ、トランスポーズダウンスイッチである。トランスポーズアップスイッチ1gは、押下操作される度にオクターブ値を1インクリメントし、一方、トランスポーズダウンスイッチ1hは押下操作される度にオクターブ値を1デクリメントする。
【0016】
次に、再び図1を参照して実施例の構成について説明する。図1において、2は装置各部を制御するCPUであり、その特徴的な動作については後述する。3はCPU3のワークエリアとして使用されるRAMである。RAM3には、各種レジスタ/フラグデータを一時記憶するレジスタエリアや、ソングデータの読み出し/書込みに使用するバッファエリアを備えており、このバッファエリアの詳細については後述する。4はCPU2にロードされる各種制御プログラムや音色データ等を記憶するROMである。
【0017】
5は、前述したパネルスイッチ群1の各種スイッチ操作に対応してCPU2が発生する表示制御データに従って表示部6を駆動するドライバである。表示部6は、モードLED6a,ホールドLED6cやセグメント表示器6b等から構成されており、パネルスイッチ群1の各種スイッチ操作に対応したステイタス表示等を行う。
【0018】
ここで、図2(イ),(ロ)を参照し、表示部6を形成するモードLED6a,ホールドLED6cおよびセグメント表示器6bの表示態様について説明しておく。
図2(イ)に図示するモードLED6aは、前述した記録スイッチ1aの近傍に配設され、当該スイッチ1aの操作により”記録モード”下に設定されている時に点灯され、”プレイモード”下では消灯される。
また、ホールドLED6cは、前述したホールドスイッチ1fの近傍に配設され、前述のワンキープレイスイッチ1b等の操作によって選択された音高データ(ノートナンバ)が、既にホールドマークHM付きの場合に点灯され、リリースマーク付きの場合には消灯される。
【0019】
セグメント表示器6bは、図2(ロ)に示すように、3桁のセグメント表示部6b−1〜6b−3から形成される。セグメント表示部6b−1は前述のワンキープレイスイッチ1bの操作に応じて選択される音名(C音〜B音)を表示し、セグメント表示部6b−2は前述のトランスポーズアップスイッチ1gあるいはトランスポーズダウンスイッチ1hの操作に対応したオクターブ値を表示する。また、セグメント表示部6b−3は、音名をシャープ指定する時あるいはフラット指定する時の記号を表示する。
【0020】
さて、再び図1に戻り、実施例の構成について説明を進める。図1において、7は各演奏パート毎のソングデータを記憶するソングデータ記憶メモリである。ソングデータは、ワンキープレイスイッチ1bが押されたら(オン操作されたら)発音し、離されたら(オフ操作されたら)消音する形式、つまり従来と同様の音高データ(ノートナンバNT)が羅列される形式に加えて、図3(イ)に示すように、ホールドマークHMおよびリリースマークRMを音高データ(ノートナンバNT)に付加した形式を有する。
【0021】
図3(イ)に図示する形式によるソングデータの場合、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作に対応してホールドマークHM付きのノートナンバNTが読み出されると、当該ノートナンバNTの楽音が発音され、当該スイッチ1bが離されても(オフ操作されても)消音せずその発音が持続され、スイッチ1bの操作に対応して読み出されるソングデータが、リリースマークRM付きの同一ノートナンバNTである時に、その持続発音を消音させる態様となる。
【0022】
こうしたソングデータの具体例について説明すると、例えば、図3(ロ)に示す楽曲は、同図(ハ)に示すstep1〜step5からなるソングデータとして表現される。ここで、step1〜step5とは、ワンキープレイスイッチ1bの1回のオン操作に対応して処理されるデータ単位を指す。
したがって、例えば、step1にてホールドマークHMが付与された楽音「E2音」は、step1で発音してからstep5にて消音され、step1にてホールドマークHMが付与された楽音「B4音」はstep1で発音してからstep4にて消音される。
このように、上記ソングデータの一例から判るように、本発明によるワンキープレイでは、各パートの音符毎に発音/消音タイミングを異ならせることが可能になるので、変化に富んだ演奏を実現し得るようになっている。
【0023】
次に、再び図1を参照して実施例の構成について説明を進める。図1において、8は周知の波形メモリ読み出し方式にて構成される音源であり、CPU2から供給されるソングデータを、指定された音色の楽音データとして最大8ポリフォニックで楽音合成する。9はD/A変換器であり、音源8から供給される楽音データを楽音信号にアナログ変換して出力する。10はD/A変換器9が出力する楽音信号にノイズ除去等のフィルタリングを施した後に増幅出力するアンプであり、このアンプ10の出力はスピーカSPを介して放音される。
【0024】
(2)RAM3に配設されるバッファエリアの構成
前述したように、RAM3には、ソングデータの読み出し/書込みに使用するバッファエリアが設けられており、その主要エリアは”プレイモード”下において使用されるノートバッファNB1、”記録モード”下において使用されるノートバッファNB2および消去バッファに大別される。
【0025】
”プレイモード”下で使用されるノートバッファNB1は、図4に示すように、音源8の発音チャンネル#1〜#8毎に対応して設けられており、発音チャンネル割当て等に使用される。各チャンネル当り8ビット長のバッファエリアがアサインされ、その8ビット長のバッファエリアの内、LSB〜6SBの下位6ビットには音高データ(ノートナンバNT)がセットされ、7SBには前述したホールドマークHM付与の有無を表わすフラグHFがセットされる。
【0026】
一方、”記録モード”下において使用されるノートバッファNB2は、上記ノートバッファNB1と同様に、図5に図示する通り、音源8の発音チャンネル#1〜#8毎に対応して設けられ、ポリ数チェックやホールド/リリースマーク付加チェックに使用される。
音源8の発音チャンネル#1〜#8毎に対応して設けられたノートバッファNB2では、各チャンネル当り8ビット長のバッファエリアがアサインされ、その8ビット長のバッファエリアの内、LSB〜6SBの下位6ビットには音高データ(ノートナンバNT)がセットされ、7SBには前述したホールドマークHM付与の有無を表わすフラグHFがセットされる。
【0027】
消去バッファは、登録されるソングデータを入力履歴として一時記憶しておくものであって、一旦、ソングデータ記憶メモリ7に登録されたソングデータを削除する際にその内容を参照するために設けられている。この消去バッファが意図するところについては追って述べる。
【0028】
B.実施例の動作
次に、上記構成による実施例の動作について説明する。以下では、最初に図6を参照して概略動作(メインルーチン)について述べた後、図7〜図13を参照して記録モード処理ルーチンの動作について説明し、さらに、図14〜図17を参照してプレイモード処理ルーチンの動作について説明して行く。
【0029】
(1)概略動作(メインルーチンの動作)
まず、本実施例に電源が投入されると、CPU2はROM4から所定の制御プログラムをロードして図6に示すメインルーチンを実行し、ステップSA1に処理を進め、RAM3に設けられる各種レジスタをゼロリセットしたり、初期値セットする他、音源8に対して初期化を指示する等のイニシャライズ処理を行う。そして、イニシャライズ処理が完了すると、ステップSA2に処理を進め、記録スイッチ1a(図2参照)がオンイベントを発生したか、つまり、当該スイッチ1aが新たにオン操作されたか否かを判断する。
【0030】
ここで、記録スイッチ1aがオン操作されると、オンイベントが発生して次のステップSA3に処理を進め、一方、オンイベントが発生しない時には後述するステップSA4に処理を進める。
記録スイッチ1aのオン操作に応じてステップSA3に処理を進めると、CPU2はレジスタMFに格納されるモードフラグをビット反転させてステップSA4に処理を進める。ステップSA4では、このレジスタMFに格納されるモードフラグが「1」、つまり、”記録モード”に設定されたか否かを判断する。
【0031】
ここで、モードフラグが「1」であると、”記録モード”に設定されたと判断して判断結果が「YES」となり、ステップSA5に進む。ステップSA5では、ユーザー操作に応じて入力されるソングデータをソングデータ記憶メモリ7に登録する記録モード処理を行う。
これに対し、モードフラグが「1」でない時には、判断結果が「NO」となり、この場合、ステップSA6に進み、ワンキープレイを実行するプレイモード処理へ遷移する。
そして、ステップSA5の記録モード処理あるいはステップSA6のプレイモード処理の何れかが完了すると、CPU2はステップSA7に進み、装置の動作状態を表示部6にステイタス表示する等の、その他の処理を実行する。そして、この後、再び前述のステップSA2に処理を戻して記録スイッチ1aの操作に対応した記録モード処理もしくはプレイモード処理を実行させる。
【0032】
(2)記録モード処理ルーチンの動作
次に、図7に示す操作の一例、すなわち、図3(ハ)に図示したソングデータを入力する場合を参照しながら記録モード処理ルーチンの動作について図8〜図13を参照して説明する。
さて、記録スイッチ1aの操作に応じて記録モードにモード設定されると、CPU2はステップSA5を介して図8に図示する記録モード処理ルーチンを起動し、ステップSB1に処理を進める。
【0033】
▲1▼記録モード設定
ステップSB1では、記録モード切り替え直後か否か、つまり、プレイモード下から記録モード下への状態遷移であるかどうかを判断する。ここで、プレイモード下から記録モード下への状態遷移であると、判断結果が「YES」となり、次のステップSB2へ処理を進めるが、そうでない場合には後述するステップSB5へ処理を進める。
ステップSB2では、モード遷移に伴い、記録モードを表示すべく前述したモードLED6a(図2参照)を点灯駆動する。次いで、ステップSB3では、前述した消去バッファ中の空き領域を検索し、検索した領域のアドレス値を現アドレスとして保持する。続いて、ステップSB4では、ソングデータ記憶メモリ7の空き領域を検索し、検索した領域のアドレス値を現アドレスとして保持しておく。
【0034】
▲2▼音名表示
以上のように、ステップSB1〜SB4を経て記録モード設定が為されると、CPU2はステップSB5〜SB9にて音名表示を行う。先ずステップSB5に進むと、CPU2はワンキープレイスイッチ1b(図2参照)がオン操作されたかどうかを判断する。
ここで、例えば、ユーザーが図7に示す操作手順のstep1(a)に示すように、ワンキープレイスイッチ1bをオン操作したとする。そうすると、当該スイッチ1bに対応したオンイベントが発生して判断結果が「YES」となり、次のステップSB6へ処理を進める。ステップSB6では、ノートナンバNTに対応する値を計数するカウンタ1の値を1インクリメントしてカウントアップする。
【0035】
そして、ステップSB7に進むと、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作に従って歩進されたカウンタ1の値が「11」を超えたか、つまり、C音からB音までの12音の範囲内に収まっているかどうかを判断する。ここで、カウンタ1の値が「11」を超えた場合には、判断結果が「YES」となり、次のステップSB8に処理を進め、カウンタ1の値がC音に対応するよう、カウンタ1の値をゼロリセットする。
一方、カウンタ1の値が「11」を超えていない時には、上記ステップSB7の判断結果は「NO」となり、ステップSB9に処理を進める。ステップSB9に進むと、CPU2はカウンタ1の値に対応する音名(C音〜B音のいずれか)を、前述したセグメント表示器6b−1,6b−3(図2参照)に表示する。
【0036】
▲3▼音高指定
こうして、現在指定されている音名がセグメント表示器6b−1,6b−3に表示されている状態において、トランスポーズアップスイッチ1gもしくはトランスポーズダウンスイッチ1hが操作されると、図9に示すステップSB10〜SB19の処理により音高指定がなされる。以下、トランスポーズアップスイッチ1gもしくはトランスポーズダウンスイッチ1hの各操作に対応した処理について述べる。
【0037】
(a)トランスポーズアップスイッチ1gがオフ状態で、トランスポーズダウンスイッチ1hがオン操作された場合
この場合、ステップSB10,SB11を介してステップSB12に進み、カウンタ2の値が「0」であるか否かを判断する。ここで言うカウンタ2とは、オクターブ値に対応するカウント値を保持するものであり、最低のカウント値「0」の時に2オクターブ、カウント値「1」の時に3オクターブ、カウント値「2」の時に4オクターブ、カウント値「3」の時に5オクターブ、最高のカウント値「4」の時に6オクターブをそれぞれ指し示す。
【0038】
そして、ステップSB12において、カウンタ2の値が最低のカウント値「0」であれば、これ以上オクターブ値を下げられない為、判断結果が「YES」となり、ステップSB14に処理を進め、この最低のカウント値「0」に対応する2オクターブをセグメント表示器6b−2に表示させる。
これに対し、カウンタ2の値が最低のカウント値「0」でない場合には、判断結果が「NO」となり、ステップSB13に処理を進めて当該カウンタ2の値を1デクリメントさせ、その値に対応するオクターブ値をステップSB14にてセグメント表示させる。
【0039】
(b)トランスポーズアップスイッチ1gがオフ状態で、トランスポーズダウンスイッチ1hがオフ状態あるいはオン操作されたままの場合
この場合、上記スイッチ1g,1hの操作は無効とされ、ステップSB10,SB11を介してステップSB14に進み、現状のカウンタ2の値に対応するオクターブ値をセグメント表示する。
【0040】
(c)トランスポーズアップスイッチ1gがオン操作され、トランスポーズダウンスイッチ1hがオフ状態の場合
この場合、ステップSB10,SB15を経てステップSB16に処理を進め、カウンタ2が最高のカウント値「4」を保持しているか否かを判断する。ここで、最高のカウント値「4」を保持して場合には、判断結果が「YES」となり、ステップSB14に処理を進め、この最高のカウント値「4」に対応する6オクターブをセグメント表示器6b−2に表示させる。
これに対し、カウンタ2の値が最高のカウント値「4」でない場合には、判断結果が「NO」となり、ステップSB17に処理を進めて当該カウンタ2の値を1インクリメントさせ、その値に対応するオクターブ値をステップSB14にてセグメント表示させる。
【0041】
(d)トランスポーズアップスイッチ1gがオン状態でトランスポーズダウンスイッチ1hがオン操作された場合、あるいは両スイッチ1g,1hが共にオン操作された場合
これらの場合には、ステップSB10,SB15を介してステップSB19に進むか、あるいはステップSB10,SB18を経てステップSB19に処理を進め、カウンタ2の値を中間値(2)にセットする。ここで、中間値(2)とは、カウント値「2」を表わすので、ステップSB14では4オクターブがセグメント表示される。
【0042】
(e)トランスポーズアップスイッチ1gがオン状態で、トランスポーズダウンスイッチ1hがオン状態もしくはオフ状態の場合
この場合、上記スイッチ1g,1hの操作は無効とされ、ステップSB10,SB18を介してステップSB14に進み、現状のカウンタ2の値に対応するオクターブ値をセグメント表示する。
【0043】
▲4▼音高データの登録
以上のようにして登録すべき音高データが定まると、CPU2は図10に示すステップSB20に処理を進める。ステップSB20では、前述したノートバッファNB2内に、現在選択した音高と同一の音高データが存在するか否かを判断する。
ここで、現在選択した音高と同一の音高データが存在すると、判断結果が「YES」となり、この場合、後述するステップSB32以降に処理を進め、リリースマクRM付きの音高データもしくはマーク無しの音高データをソングデータとして登録する処理を行う。
【0044】
(a)ホールドマークHM付きの音高データをソングデータとして登録する場合一方、現在選択した音高と同一の音高データが存在しない場合、つまり、ホールドマークHM付きの音高データあるいはマーク無しの音高データをソングデータとして登録する場合には、ステップSB21以降を実行する。
まず、ステップSB21に進むと、CPU2はホールドLED6c(図2参照)を消灯させ、続くステップSB22(図11参照)では、ノートバッファNB2に空エリアが有るか否か判断する。空エリアが無ければ、後述するデリートスイッチ1eの操作に係わる処理へ移行すべく、ここでの判断結果が「NO」となるが、空エリアが有れば、判断結果が「YES」となり、次のステップSB23に進む。
【0045】
ステップSB23では、インサートスイッチ1dが新たにオン操作されたか否かを判断し、続くステップSB24では、ホールドスイッチ1fがオン状態にあるか否かを判断する。
ここで、例えば、図7に図示するstep1の操作手順(b)に示すように、インサートスイッチ1dおよびホールドスイッチ1fを共にオン操作すると、ステップSB25に処理を進め、ホールドLED6cを点灯させる。これにより、先に選択した音高データがホールドマークHM付きのソングデータとして扱われる。
【0046】
そして、ステップSB26では、ノートバッファNB2の空エリアに、先に選択した音高データを一旦ストアしておき、続くステップSB27では、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスにホールドマークHMを書き込む。次いで、ステップSB28では、ノートバッファNB2に一時記憶しておいた音高データを、上記ホールドマークHMに続けてソングデータ記憶メモリ7に登録するための準備としてアドレスを1インクリメントして歩進させ、ステップSB29に処理を進める。
ステップSB29に進むと、CPU2は、この歩進されたアドレスに従ってノートバッファNB2に一時記憶しておいた音高データを、ソングデータ記憶メモリ7に書き込む。この後、ステップSB30に進み、次のデータ登録に備えてソングデータ記憶メモリ7のアドレスを1インクリメントして歩進させておく。
【0047】
(b)マーク無しの音高データをソングデータとして登録する場合
この場合、ホールドスイッチ1fを操作せず、当該スイッチ1fがオフ状態だから、上述したステップSB24を介してステップSB31に処理を進め、ノートバッファNB2の空エリアに、選択した音高データを一旦ストアしておいた後、上述のステップSB29、SB30を実行してマーク無しの音高データをソングデータ記憶メモリ7に書込み、当該メモリ7のアドレスを歩進させる。
【0048】
(c)リリースマークRM付きの音高データをソングデータとして登録する場合
さて、リリースマークRM付きの音高データをソングデータとして登録する場合、つまり、上述の処理により登録したホールドマーク付きの音高データに対応したリリースマークRM付きの音高データを入力する場合には、前述したステップSB20(図10参照)の判断結果が「YES」となり、図10のステップSB32に処理を進める。
ステップSB32では、ノートバッファNB2中に、先に登録したホールドマーク付きの音高データの有無を判断する。ここで、ホールドマーク付きの音高データが無ければ、リリースマーク付きの音高データを登録することができないので、判断結果が「NO」となり、この場合、ホールドマーク付きの音高データを登録すべく前述のステップSB22(図11)に処理を進める。
【0049】
一方、ノートバッファNB2中にホールドマーク付きの音高データが存在していれば、ステップSB32の判断結果は「YES」となり、次のステップSB33に進み、ホールドLED6cを点灯させる。この後、CPU2は図11に示すステップSB34,SB35を経てインサートスイッチ1dおよびホールドスイッチ1fの操作状態を判別する。
ここで、例えば、図7に図示するstep5の操作手順のように、音高E2を選択した後にインサートスイッチ1dおよびホールドスイッチ1fを共にオン操作すると、ステップSB36に処理を進め、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスにリリースマークRMを書き込む。
【0050】
そして、次のステップSB37に進むと、ソングデータ記憶メモリ7のアドレスを歩進させ、続くステップSB38では、ノートバッファNB2からホールドマーク付きの同一の音高データを消去バッファへ移動させる。次いで、ステップSB39では、この消去バッファのアドレスを1インクリメントして歩進させておき、続くステップSB40ではホールドLED6cを消灯させる。
この後、上述したステップSB29,SB30を経て、ホールドマークHM付きの音高データに対応したリリースマークRM付きの音高データを、ソングデータ記憶メモリ7に書込み、当該メモリ7のアドレスを歩進させる。
【0051】
(d)ホールドマーク付きの音高データが存在する状態でマーク無しの音高データをソングデータとして登録する場合
この場合、ホールドスイッチ1fを操作せず、当該スイッチ1fがオフ状態のままなので、上述したステップSB35を介してステップSB41に処理を進め、ノートバッファNB2の空エリアの有無を判断する。そして、空エリアがあれば、判断結果が「YES」となり、ステップSB31に進む。
そして、ステップSB31では、ノートバッファNB2の空エリアに、選択した音高データを一旦ストアしてから、上述のステップSB29、SB30を実行してマーク無しの音高データをソングデータ記憶メモリ7に書込み、当該メモリ7のアドレスを歩進させる。
なお、ノートバッファNB2に空エリアが無い場合には、ステップSB41の判断結果が「NO」となり、後述するステップSB42へ処理を進める。
【0052】
(e)エンドマークEMの入力
こうして、ホールドマークHMあるいはリリースマークRM付きの音高データ、もしくはマーク無しの音高データを1ステップ分登録し終えると、エンドマークEMをソングデータ記憶メモリ7に書き込むべくネクストスイッチ1cがオン操作されたとする。そうすると、図12に示すステップSB42の判断結果が「YES」となり、ステップSB43に処理を進める。
ステップSB43では、ソングデータ記憶メモリ7の直前アドレスのデータが、ステップ終端を表わすエンドマークEMか否かを判断する。ここで、直前アドレスがステップ終端であれば、判断結果が「YES」となり、後述するデリートスイッチ1eの処理に移行するが、そうでない場合には次のステップSB44に処理を進める。
【0053】
ステップSB44では、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスが先頭アドレスであるか否かを判断し、先頭アドレスに設定されている時には後述するデリートスイッチ1eの処理に移行し、一方、そうでない場合には、ステップSB45に進み、ソングデータ記憶メモリ7および消去バッファの現アドレスにエンドマークEMを書き込む。
次に、ステップSB46に進むと、CPU2はソングデータ記憶メモリ7および消去バッファのアドレスを1インクリメントして歩進させ、続くステップSB47ではノートバッファNB2内のホールドマークHM無しの音高データを全て消去バッファへ移動させる。
【0054】
以上のように、ステップSB1〜SB42では、ワンキープレイスイッチ1bおよびトランスポーズアップ/ダウンスイッチ1g,1hを使ってソングデータとして登録する音高データを選択し、ホールドスイッチ1fおよびインサートスイッチ1dを使って、この選択した音高データにホールドマークHM(あるいはリリースマークRM)を付与してソングデータ記憶メモリ7に登録するようになっており、このような登録操作を1ステップ分し終えた時に、ネクストスイッチ1cをオン操作してステップの区切りを表わすエンドマークEMをソングデータ記憶メモリ7に書き込むようになっている。
【0055】
▲5▼ソングデータの削除
さて、ソングデータ記憶メモリ7に登録した直前のデータを削除する際にはデリートスイッチ1eをオン操作する。すると、オンイベントが発生するから、図13に示すステップSB48を介してステップSB49に処理を進め、ソングデータ記憶メモリ7にデータが記憶されているか否かを判断する。ここで、何等データが記憶されていない時には、消去し得ないので、判断結果が「NO」となり、一旦、本ルーチンを完了する。
【0056】
これに対し、何等かのデータがソングデータ記憶メモリ7に記憶されていれば、上記ステップSB49の判断結果が「YES」となり、次のステップSB50に処理を進める。ステップSB50に進むと、CPU2はソングデータ記憶メモリ7のアドレスを1デクリメントし、続くステップSB51では、この1つ戻された現アドレスのデータを消去する。
次いで、ステップSB52では、この消去したデータがエンドマークEMであるか否かを判断し、エンドマークEMである時には判断結果が「YES」となり、ステップSB53へ処理を進め、一方、そうでない場合には判断結果が「NO」となり、ステップSB60へ処理を進める。
【0057】
(a)エンドマークEMを消去した場合
エンドマークEMを消去した場合には、ステップSB53に進み、消去バッファのアドレスをデクリメントしながら、最新のエンドマークEMを検索する。そして、ステップSB54では、この検索した最新のエンドマークEMが消去バッファの先頭アドレスに達する以前のものであるかどうかを判断する。
【0058】
ここで、消去バッファの先頭アドレスに達する以前に最新のエンドマークEMが存在しない場合には、上記ステップSB54の判断結果は「NO」となり、ステップSB55に処理を進める。
ステップSB55では、消去バッファ内で、先頭アドレス迄に存在する全ての音高データをノートバッファNB2に移動退避させ、続くステップSB56では消去バッファの現アドレスを先頭アドレスに更新しておく。
【0059】
一方、消去バッファの先頭アドレスに達する以前に最新のエンドマークEMが存在する時には、上記ステップSB54の判断結果は「YES」となり、ステップSB57に処理を進める。
ステップSB57では、消去バッファ内で、最新のエンドマークEM迄の間に存在する全ての音高データをノートバッファNB2に移動退避させ、続くステップSB58では消去バッファの現アドレスを、最新のエンドマークEMに対応するアドレスに更新する。そして、ステップSB59では、消去バッファにおいて現アドレスに対応するエンドマークEMを消去する。
【0060】
(b)エンドマークEM以外を消去した場合
さて、ソングデータ記憶メモリ7にてエンドマークEM以外を消去した時には、上述したステップSB52の判断を介してステップSB60に処理を進める。ステップSB60に進むと、CPU2は、ソングデータ記憶メモリ7においてデータ消去を行った現アドレスが、先頭アドレスであるか否かを判断する。
ここで、現アドレスが先頭アドレスであると、判断結果が「YES」となり、ステップSB61に処理を進め、ノートバッファNB2内に一時記憶されている全てのデータを消去する。つまり、データ消去を行った時点で現アドレスがソングデータ記憶メモリ7の先頭アドレスであると、当該メモリ7は空状態であり、これに対応させてノートバッファNB2をオールクリアする訳である。
【0061】
これに対し、現アドレスが先頭アドレスではない場合には、上記ステップSB60の判断結果が「NO」となり、ステップSB62に進む。ステップSB62では、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスを1デクリメントした後、図14に示すステップSB63に進み、この1つ戻された現アドレスに対応するソングデータがホールドマークHMであるか否かを判断する。
【0062】
(イ)ホールドマークHM付きの音高データを消去した場合
さて、ソングデータ記憶メモリ7において、ホールドマークHM付きの音高データを消去した時には、1デクリメントされた現アドレスに対応するソングデータがホールドマークHMとなるので、上記ステップSB63の判断結果は「YES」となり、次のステップSB64に処理を進める。
【0063】
ステップSB64では、ノートバッファNB2内でホールドマークHMが付与された音高データを検索する。そして、ステップSB65では、検索されたホールドマークHM付きの音高データの内、消去した音高データと同一音高のものを探し出してそれを消去する。この後、ステップSB66に進み、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスに対応するデータ、すなわち、ホールドマークHMを消去する。
【0064】
(ロ)リリースマークRM付きの音高データを消去した場合
この場合、上述したステップSB63の判断結果が「NO」となり、ステップSB67に進む。ステップSB67では、ソングデータ記憶メモリ7において、1つ戻された現アドレスに対応するソングデータがリリースマークRMであるか否かを判断する。そして、現アドレスに対応するソングデータがリリースマークRMであると、ここでの判断結果が「YES」となり、次のステップSB68に処理を進める。
ステップSB68に進むと、CPU2は消去バッファのアドレスを1デクリメントし、続くステップSB69では、この1つ戻された現アドレスに従って消去バッファから読み出したデータをノートバッファNB2に移動退避させる。そして、ステップSB70では、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスに対応するデータ、すなわち、リリースマークRMを消去する。
【0065】
(ハ)マーク無しの音高データを消去した場合
この場合、上述したステップSB63,SB67の判断結果がいずれも「NO」となり、ステップSB71に進む。ステップSB71では、ソングデータ記憶メモリ7のアドレスを1インクリメントして歩進させて消去する以前のアドレスに戻す。そして、ステップSB72では、ノートバッファNB2内でホールドマーク無しの音高データを検索し、続くステップSB73では、検索されたホールドマーク無しの音高データの内で、消去した音高データと同一音高のものを消去する。
【0066】
(3)プレイモード処理ルーチンの動作
次に、プレイモード処理ルーチンの動作について説明する。ここでは、図15に示す操作の一例、すなわち、図3(ハ)に図示したソングデータをワンキープレイする場合を一例に挙げてプレイモード処理について詳述する。
さて、上述した一連の記録モード処理によって、ソングデータ記憶メモリ7に図3(ハ)に図示した形式のソングデータが登録された状態において、ユーザーの操作により記録モードからプレイモードに遷移したとする。そうすると、CPU2は前述したステップSA6(図6参照)を介して図16に図示するプレイモード処理ルーチンを実行し、ステップSC1に処理を進める。
【0067】
ステップSC1では、プレイモードへの切り換え直後であるか、つまり、モードフラグMFがビット反転したかどうかを判断する。ここで、プレイモードへの切り換え直後の場合には、判断結果が「YES」となり、次のステップSC2に処理を進めるが、そうでない場合には後述するステップSC4に処理を進める。
ステップSC2に進むと、CPU2はモードLED6aを消灯してプレイモードに遷移した状態を表わし、続くステップSC3では、ソングデータ記憶メモリ7のアドレスをリセットする。
【0068】
次いで、ステップSC4に進むと、ワンキープレイスイッチ1bが新たにオン操作されたか、すなわち、スイッチ操作に対応したオンイベントが発生したか否かを判断する。ここで、スイッチ操作に対応したオンイベントが発生しない場合には、一旦、本ルーチンを完了してメインルーチンに処理を戻すが、例えば、ワンキープレイスイッチ1bが押下(オン操作)されると、次のステップSC5に処理を進め、その操作のタッチ(押下速度あるいは押下強度)を検出し、検出したタッチ量に応じた音量データを生成する。
【0069】
そして、ステップSC6に進むと、CPU2はソングデータ記憶メモリ7の現アドレスにデータが有るか、すなわち、読み出すべきソングデータが記憶されているか否かを判断する。
ここで、ソングデータ記憶メモリ7にソングデータが登録されていない時には、判断結果は「NO」となり、この場合、本ルーチンを完了するが、前述した記憶モード処理によって、例えば図3(ハ)に図示したソングデータが登録されている時には、判断結果が「YES」となり、次のステップSC7に処理を進め、現アドレスに対応したソングデータをソングデータ記憶メモリ7から読み出す。続いて、ステップSC8では、この読み出したデータがエンドマークEMであるか否かを判断する。
【0070】
▲1▼ホールドマークHMを読み出した場合
ここで、例えば、図3(ハ)に図示したソングデータがワンキープレイスイッチ1bのオン操作によってソングデータ記憶メモリ7から読み出されたとする。そうすると、この場合には、ホールドマークHMが最初に読み出されるから、上記ステップSC8の判断結果は「NO」となり、図17に示すステップSC9に処理を進める。
ステップSC9では、読み出したデータがホールドマークHMであるか否かを判断し、この場合、それに該当するので、判断結果が「YES」となり、次のステップSC10に進む。
【0071】
ステップSC10では、ソングデータ記憶メモリ7の現アドレスを1インクリメントして歩進させ、続くステップSC11では、この歩進された現アドレスに従って、ホールドマークHMに対応した音高データ、すなわち、図3(ハ)に図示したソングデータの場合には、音高データE2が読み出される。
そして、ステップSC12では、読み出した音高データをノートバッファNB1の空きエリアにセットし、続くステップSC13では、このノートバッファNB1にセットされる音高データに従って音源8の各発音チャンネル毎に対応する楽音の発音を指示する。したがって、図3(ハ)に図示したソングデータの一例では、まずE2音が発音されることになる。
【0072】
この後、CPU2はステップSC14に処理を進め、ソングデータ記憶メモリ7のアドレスを1インクリメントして歩進させ、前述したステップSC6に処理を戻し、次のソングデータの読み出しを行う。
図3(ハ)に図示したソングデータの一例では、上記音高データE2に続いて再びホールドマークHMが読み出された後、これに対応する音高データB4が読み出されてノートバッファNB1にセットされることになる。
つまり、図3(ハ)に図示したソングデータ例の場合、ワンキープレイスイッチ1bの最初のオン操作によりstep1にて登録されたホールドマーク付きの音高データE2,B4がワンキープレイスイッチ1bのタッチに対応した音量で発音される。
【0073】
▲2▼エンドマークEMを読み出した場合
こうして、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作によって、図3(ハ)に図示したstep1のソングデータが発音開始した状態において、いま例えば、step1の区切りを表わすエンドマークEMが読み出されたとする。そうすると、上述したステップSC8の判断結果が「YES」となり、CPU2は図18に示すステップSC15に処理を進め、ワンキープレイスイッチ1bが離される(オフ操作される)迄待機する。
【0074】
そして、ワンキープレイスイッチ1bのオフ操作に応じてオフイベントが発生すると、上記ステップSC15を経て次のステップSC16に処理を進め、ノートバッファNB1内のホールドマークHM無しの音高データを検索する。次いで、ステップSC17では、検索されたホールドマークHM無しの音高データを、全てノートバッファNB1から消去する。この後、ステップSC18では、次のデータ読み出しに備え、ソングデータ記憶メモリ7のアドレスを1インクリメントして歩進させ、一旦、本ルーチンを完了させる。
【0075】
このように、エンドマークEMが読み出された場合には、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作に応じて発音された音の内、ホールドマークHM無しの音高データに対応する楽音がワンキープレイスイッチ1bのオフ操作と共にリリースされ、ホールドマークHM付きの音高データに対応する楽音は発音が持続されるようになっている。
【0076】
▲3▼マーク無しの音高データを読み出した場合
この場合には、前述したステップSC8(図16参照)およびステップSC9(図17参照)の判断結果が共に「NO」となり、図17に示すステップSC19に進む。ステップSC19に進むと、CPU2は、読み出したデータがリリースマークRMであるか否かを判断し、マーク無しの音高データを読み出した時には、判断結果が「NO」となり、ステップSC12に進む。
【0077】
そして、ステップSC12では、上述したように、読み出した音高データをノートバッファNB1の空きエリアにセットし、続くステップSC13では、このノートバッファNB1にセットされる音高データに従って音源8の各発音チャンネル毎に対応する楽音の発音を指示する。この後、ステップSC14を介してソングデータ記憶メモリ7のアドレスを歩進させてステップSC6(図16参照)に処理を戻す。
【0078】
▲4▼リリースマークRMを読み出した場合
一方、リリースマークRMを読み出した場合には、上述のステップSC19の判断結果が「YES」となり、ステップSC20に処理を進める。ステップSC20では、このリリースマークRMに対応した音高データを読み出すべく、ソングデータ記憶メモリ7のアドレスを1インクリメントして歩進させ、続くステップSC21にて対応する音高データを読み出す。
【0079】
そして、ステップSC22に進むと、この読み出した音高データと同一音高であって、ホールドマークHM付きの音高データを、ノートバッファNB1内で検索する。次いで、ステップSC23では、こうして検索された音高データを、ノートバッファNB1から消去し、その音高データに対応した楽音のリリース(消音)を指示した後、次のソングデータを読み出すべくステップSC14を介してソングデータ記憶メモリ7のアドレスを歩進させた後、ステップSC6に処理を戻す。
【0080】
このように、リリースマークRMを読み出すと、そのリリースマークRMが付与された音高データと同一音高の、ホールドマークHMによって持続発音されていた楽音が、リリースマークRMの読み出しに対応して消音される訳である。
【0081】
したがって、図15に図示した操作を行うと、上述した一連の処理から判るように、まず、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作すると(step1)、E2音およびB4音が発音され、これら両音はワンキープレイスイッチ1bがオフ操作されても発音を持続する。
【0082】
そして、次にワンキープレイスイッチ1bをオン操作すると(step2)、B3音が発音され、これもホールドマーク付きの楽音なので、ワンキープレイスイッチ1bがオフ操作されても発音を持続する。
次いで、ワンキープレイスイッチ1bを再びオン操作すると(step3)、G3音が発音され、これもホールドマーク付きの楽音なので、ワンキープレイスイッチ1bがオフ操作されても発音を持続する。
【0083】
続いて、ワンキープレイスイッチ1bをオン操作すると(step4)、リリースマークRM付きの音高データB4,B3およびG3が読み出され、これに応じて持続発音中にあったB4音、B3音およびG3音が消音されると同時に、新たにB3音が持続される。
そして、続いてワンキープレイスイッチ1bをオン操作すると(step5)、リリースマーク付きの音高データE2およびB3が読み出され、これに応じて持続発音中にあったE2音およびB3音が消音されると同時に、新たにマーク無しのE2音およびG3音が発音され、ワンキープレイスイッチ1bのオフ操作に従って、このマーク無しのE2音およびG3音が消音されるようになっている。
【0084】
このように、本実施例によれば、ワンキープレイスイッチ1bが押されたら(オン操作されたら)発音し、離されたら(オフ操作されたら)消音する従来のワンキープレイ態様の他、ホールドマークHMおよびリリースマークRMを有する形式の音高データをソングデータ記憶メモリ7に登録しておき、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作に対応してホールドマークHM付きの音高データが読み出された時には、当該スイッチ1bが離されても(オフ操作されても)消音せずそのまま発音を持続させ、ワンキープレイスイッチ1bのオン操作に対応してリリースマークRM付きの音高データが読み出された時には、そのリリースマークRMが付与された音高データと同一音高の、ホールドマークHMによって持続発音されていた楽音を消音させるようにしたので、ただ単にキーの押下(オン操作)に応じて発音させ、そのキーを離す(オフ操作)ことで消音させる従来のワンキープレイに比べ、演奏形態が多様化し、変化に富んだワンキープレイを実現し得る。
【0085】
なお、本実施例では、ワンキープレイにて所望の期間、持続発音させるようにする為、ホールドマークHMおよびリリースマークRMを設けたが、これに限らず、例えば、これらマーク中に音色選択するための音色指定データを含めておき、この音色指定データを参照してワンキープレイ中に音色変更させれば、更に多様な演奏態様を実現し得る。
また、音高データに付与するマーク中に効果処理の内容を指定する効果指定データを含め、この効果指定データを参照して音源が発生する楽音に所定の効果を付与することもできる。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、演奏操作子がオン操作される度に、記憶手段に記憶されている音高データを読み出し、第1の指示データが付加されていない音高データを読み出した場合には、その音高データに対応する楽音を発音させ、演奏操作子がオフ操作された時点でその楽音を消音させる一方で、第1の指示データが付加されている音高データを読み出した場合には、この第1の指示データが付加された音高データに対応する楽音を発生させるとともに、演奏操作子がオフ操作されても発音を持続させるので、ただ単に演奏操作子の押下(オン操作)に応じて発音させ、その演奏操作子を離す(オフ操作)ことで消音させる従来のワンキープレイに比べ、指示データに応じた楽音をも発生し得るから、演奏形態が多様化して変化に富んだワンキープレイを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】パネルスイッチ群1に配設される各種スイッチ1a〜1hおよび表示部6を示す図である。
【図3】ソングデータ形式およびソングデータの一例を示す図である。
【図4】ノートバッファNB1を説明するための図である。
【図5】ノートバッファNB2を説明するための図である。
【図6】メインルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図7】記録モード下での操作手順の一例を示す図である。
【図8】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図9】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図10】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図11】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図12】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図13】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図14】記録モード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図15】プレイモード下での操作手順の一例を示す図である。
【図16】プレイモード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図17】プレイモード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図18】プレイモード処理ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1b ワンキープレイスイッチ(演奏操作子)
2 CPU(読出し手段、第1の楽音発生手段、第2の楽音発生手段)
3 RAM
4 ROM
5 ドライバ
6 表示部
7 ソングデータ記憶メモリ(記憶手段)
8 音源(第1の楽音発生手段、第2の楽音発生手段)

Claims (2)

  1. オンオフ操作される演奏操作子と、
    複数の音高データと、これら音高データのいずれかに付加されるデータであって、持続発音を指示する第1の指示データとを記憶する記憶手段と、
    前記演奏操作子がオン操作される度に、前記記憶手段に記憶されている音高データを順次読み出す読出し手段と、
    この読出し手段が前記記憶手段から前記第1の指示データが付加されていない音高データを読み出した場合には、その音高データに対応する楽音を発音させ、前記演奏操作子がオフ操作された時点でその楽音を消音させる第1の楽音発生手段と、
    前記読出し手段が前記記憶手段から前記第1の指示データが付加されている音高データを読み出した場合には、この第1の指示データが付加された音高データに対応する楽音を発音させるとともに、前記演奏操作子がオフ操作されても持続発音させる第2の楽音発生手段と
    を具備することを特徴とする楽音発生装置。
  2. 前記記憶手段は、前記音高データのいずれかに付加されるデータであって、消音を指示する第2の指示データを更に記憶し、
    前記第2の楽音発生手段は、前記読出し手段が前記記憶手段から第2の指示データが付加されている音高データを読み出した場合には、この第2の指示データが付加された音高データと同一音高であって、かつ前記第1の指示データに従って持続発音中の楽音を消音させ
    ことを特徴とする請求項1記載の楽音発生装置。
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