JP3657748B2 - 車両制御装置及びそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御装置及びそのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナビゲーション装置を搭載した車両においては、ナビゲーション装置によって認識された車両の現在の位置、すなわち、現在位置、運転者が設定した目的地等に基づいて案内ルートが算出され、算出された案内ルートに従って車両を走行させるようになっている。そのために、車両制御装置が配設され、該車両制御装置は、データファイルから交差点データ、ノードデータ、道路データ等の道路状況を読み出し、該道路状況に従って予測制御を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の車両制御装置においては、データファイルから読み出された道路状況に従って予測制御が行われるので、前記データファイルに格納された道路状況と実際の道路状況とが異なると、例えば、シフトダウンの変速が行われる位置、タイミング等が、実際の道路状況から予測されるシフトダウンの変速が行われる位置、タイミング等と異なり、違和感を与えてしまうことがある。
【0004】
本発明は、前記従来の車両制御装置の問題点を解決して、予測制御に伴って違和感を与えてしまうことがない車両制御装置及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の車両制御装置においては、車速を検出する車速センサと、道路状況を格納する道路状況記憶手段と、前記車速及び前記道路状況に基づいて自動変速機の推奨変速段を決定する推奨変速段決定手段と、前記推奨変速段及び運転者の動作に基づいて上限の変速段を設定する上限変速段設定手段と、前記上限の変速段が出力されると変速処理を行う変速処理手段と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記道路状況記憶手段に制御禁止エリアを設定する制御禁止エリア設定手段とを有する。
【0006】
そして、前記上限変速段設定手段は、前記車両の現在位置が制御禁止エリア内にあるときに、前記推奨変速段決定手段、上限変速段設定手段及び変速処理手段の各処理による予測制御が行われるのを禁止する制御禁止手段を備える。
本発明の他の車両制御装置においては、さらに、前記制御禁止エリア設定手段は、入力部によって入力されたメモリ地点ごとに制御禁止エリアを設定する。
【0007】
本発明の記録媒体においては、車速及び道路状況に基づいて自動変速機の推奨変速段を決定し、該推奨変速段及び運転者の動作に基づいて上限の変速段を設定し、該上限の変速段が出力されると変速処理を行い、道路状況記憶手段に制御禁止エリアを設定するとともに、車両の現在位置があらかじめ設定された制御禁止エリア内にあるときに、推奨変速段の決定、上限の変速段の設定、及び上限の変速段での変速処理から成る予測制御が行われるのを禁止する車両制御装置のプログラムを記録する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における車両制御装置の機能ブロック図である。
図において、12は変速処理手段としての自動変速機制御装置、15は現在位置を検出する現在位置検出手段としての現在位置検出部、16は道路状況を格納する道路状況記憶手段としてのデータ記憶部、44は車速を検出する車速センサ、101は前記車速及び道路状況に基づいて自動変速機の推奨変速段を決定する推奨変速段決定手段、103は前記推奨変速段に基づいて上限の変速段を設定する上限変速段設定手段、105は前記データ記憶部16に制御禁止エリアを設定する制御禁止エリア設定手段、106は現在位置が制御禁止エリア内にあるときに、予測制御が行われるのを禁止する制御禁止手段である。
【0009】
図2は本発明の実施の形態における車両制御装置の概略図、図3は本発明の実施の形態における推奨車速マップを示す図、図4は本発明の実施の形態における減速線マップを示す図である。なお、図3において、横軸にノード半径を、縦軸に推奨車速VR を、図4において、横軸に車両の位置を、縦軸に車速Vを採ってある。
【0010】
図2において、10は自動変速機(A/T)、11はエンジン(E/G)、12は前記自動変速機10の全体の制御を行う自動変速機制御装置(ECU)、13は前記エンジン11の全体の制御を行うエンジン制御装置(EFI)、14はナビゲーション装置である。
また、41はウインカセンサ、42は運転者の動作を検出するアクセルセンサ、43は運転者の動作を検出するブレーキセンサ、44は車速センサ、45はスロットル開度センサ、46はROM、47は通常モードとナビモードとを選択するためのモード選択部である。
【0011】
前記ナビゲーション装置14は、現在位置検出部15、道路データが格納されたデータ記憶部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38を有する。
そして、前記現在位置検出部15は、GPS(グローバルポジショニングセンサ)21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、図示しない高度計等から成る。
【0012】
前記GPS21は、人工衛星によって発生させられた電波を受信して、地球上における車両の位置を検出し、前記地磁気センサ22は、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサ23は、道路上の所定の地点間の距離等を検出する。前記距離センサ23としては、例えば、車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を2回積分して距離を検出するもの等が使用される。
【0013】
また、前記ステアリングセンサ24は、舵(だ)角を検出するためのものであり、例えば、図示しないハンドルの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
そして、前記ビーコンセンサ25は、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して車両の位置を検出する。また、前記ジャイロセンサ26は、車両の回転角速度を検出するものであり、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。そして、前記ジャイロセンサ26によって検出された回転角速度を積分することにより、車両が向いている方位を検出することができる。
【0014】
なお、前記GPS21及びビーコンセンサ25においては、それぞれ単独で車両の位置を検出することができるが、距離センサ23の場合は、該距離センサ23によって検出された距離と、地磁気センサ22及びジャイロセンサ26によって検出された方位とを組み合わせることにより車両の位置を算出することができる。また、距離センサ23によって検出された距離と、ステアリングセンサ24によって検出された舵角とを組み合わせることによって車両の位置を算出することもできる。
【0015】
そして、データ記憶部16は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイル、写真データファイル、及び各地域のホテル、ガソリンスタンド、観光地案内等の各主地域ごとの情報が格納された他のデータファイルを備える。これら各データファイルには、経路を検索するためのデータのほか、前記表示部35の画面に、検索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするための各種のデータが格納される。なお、前記データ記憶部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するための各種のデータが格納されるとともに、拡張機能で使用される制御禁止フラグが、前記入力部34によって入力されたメモリ地点ごとに設定される。
【0016】
ところで、前記交差点データファイルには各交差点に関する交差点データが、ノードデータファイルにはノード(点)に関するノードデータが、道路データファイルには各道路に関する道路データがそれぞれ格納され、前記交差点データ、ノードデータ及び道路データによって道路状況が表される。なお、前記ノードデータは、地図データにおける各道路の位置及び形状を表す要素であり、道路上の各ノード及び各ノード間を連結するリンク(線)を示すデータから成る。そして、前記道路データによって、道路自体については、幅員、勾配(こうばい)、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等が、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等が、道路属性については、踏切、高速道路出口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別(国道、一般道、高速道等)等がそれぞれ表される。
【0017】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行うCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、及び制御プログラムのほか、目的地までの経路の検索、経路中の走行案内、特定区間の決定等を行うための各種のプログラムが格納された記録媒体としてのROM33から成るとともに、前記ナビゲーション処理部17に、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0018】
なお、前記データ処理部16及びROM33は、図示しない磁気コア、半導体メモリ等によって構成される。また、前記データ記憶部16及びROM33に代えて、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピディスク、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、ICカード、光カード等の各種の記録媒体を使用することもできる。
【0019】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムが格納され、別の記憶装置であるデータ記憶部16に各種のデータが格納されるようになっているが、各種のプログラム及び各種のデータを同じ外部の記録媒体に格納することもできる。この場合、例えば、前記ナビゲーション処理部17に図示しないフラッシュメモリを配設し、前記外部の記録媒体から前記プログラム及びデータを読み出してフラッシュメモリに書き込むこともできる。したがって、外部の記録媒体を交換することによって前記プログラム及びデータを更新することができる。また、自動変速機制御装置12の制御プログラム等を併せて外部の記録媒体に格納することもできる。このように、各種の記録媒体に格納された各種のプログラムを起動し、各種のデータに基づいて各種の処理を行うことができる。
【0020】
さらに、前記通信部38は、FM送信装置、電話回線等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、図示しない情報センサ等によって受信した渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPS21の検出誤差を提供するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。なお、本発明の機能を実現するためのプログラム及びデータの少なくとも一部を前記通信部38によって受信し、フラッシュメモリ等に格納することもできる。
【0021】
そして、前記入力部34は、走行開始時の位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、表示部35と別に配設されたキーボード、マウス、バーコードリーダ、ライトペン、遠隔操作用のリモートコントロール装置等を使用することができる。また、前記入力部34は、表示部35の画像上に表示されたキー又はメニューにタッチすることにより、入力を行うタッチパネルによって構成することもできる。
【0022】
そして、前記表示部35には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、目的地までの経路、走行する経路に沿った案内等が表示される。表示部35としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
そして、音声入力部36は、図示しないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができるようになっている。さらに、音声出力部37は、それぞれ図示しない音声合成装置及びスピーカを備え、音声合成装置によって合成された音声による案内情報をスピーカから出力する。なお、音声合成装置によって合成された音声のほかに、各種の案内情報をテープに録音しておき、前記案内情報をスピーカから出力することもできる。
【0023】
ところで、前記構成の車両制御装置において、自動変速機制御装置12は、ROM46に格納された制御プログラムに従ってシフトアップ又はシフトダウンの変速を行う。
そして、運転者がモード選択部47を操作することによって通常モードが選択されると、前記自動変速機制御装置12は、前記車速センサ44によって検出された車速V、及びスロットル開度センサ45によって検出されたスロットル開度に基づいて、ROM46内の図示しない変速マップを参照し、前記車速V及びスロットル開度に対応する変速段を選択する。
【0024】
また、運転者がモード選択部47を操作することによってナビモードが選択されると、前記ナビゲーション処理部17は、データ記憶部16から所定の道路状況が読み出され、かつ、図示しないアクセルペダルが緩められたこと等の所定の条件が満たされるときに、変速段を制限する。そして、自動変速機制御装置12は、制限された上限の変速段で変速処理を行う。なお、常時、前記ナビゲーション処理部17によって、ナビモードが選択されたときと同様の処理を行うこともできる。
【0025】
次に、ナビモードが選択されたときの前記ナビゲーション処理部17の動作について説明する。この場合、予測制御としてコーナ制御を行う場合について説明する。
まず、前記CPU31は、道路状況判断処理を行い、制御開始条件が成立したかどうかを道路状況に基づいて判断する。すなわち、予測制御としてコーナ制御を行う場合、車両がコーナに差し掛かったかどうかを道路状況に基づいて判断する。
【0026】
そして、CPU31は、現在位置を含む道路上の所定の範囲(例えば、現在位置から1〜2〔km〕)内の各ノードごとに道路の旋回角度を算出する。この場合、道路データに従って、各ノードの絶対座標、及び該ノードに隣接する二つのノードの各絶対座標に基づいて演算を行い、前記旋回角度を算出することができる。また、道路データとしてあらかじめデータ記憶部16に旋回角度を格納しておき、走行に伴って該旋回角度を読み出すこともできる。
【0027】
そして、旋回角度が設定値より大きいと、前記CPU31は制御開始条件が成立したと判断し、コーナ制御処理を開始する。
続いて、CPU31は、前記各ノードごとに道路の曲率半径、すなわち、ノード半径を算出する。この場合、道路データに従って、各ノードの絶対座標、及び該ノードに隣接する二つのノードの各絶対座標に基づいて演算を行い、前記ノード半径を算出することができる。また、道路データとしてあらかじめデータ記憶部16にノード半径を、例えば、各ノードに対応させて格納しておき、走行に伴って前記ノード半径を読み出すこともできる。なお、必要に応じて現在位置から目的地までの経路を検索し、検索した経路上のノードについて旋回角度及びノード半径を算出することもできる。
【0028】
次に、CPU31は、車両の現在位置から所定の範囲内において前記ノード半径が閾(しきい)値より小さいノードが検出されると、コーナ制御を開始し、図3の推奨車速マップを参照して、前記ノード半径に対応する推奨車速VR を読み込む。なお、前記推奨車速マップにおいては、ノード半径が小さくなると推奨車速VR が低くされ、ノード半径が大きくなると推奨車速VR が高くされる。
【0029】
次に、ナビゲーション処理部17は現在位置から各ノードまでの道路の勾配を算出する。
ところで、本実施の形態においては、車両がコーナに差し掛かると、現在位置からコーナに到達するまでに車速Vが前記推奨車速VR になるような減速が必要であると判断される。そこで、現在位置から所定距離内の各ノードのうちノード半径が閾値より小さい特定のノードが選択され、該各特定のノードについて推奨車速VR が算出され、推奨変速段が決定されるようになっている。
【0030】
続いて、CPU31は、現在位置を検出し、検出された現在位置が運転者又は操作者によってあらかじめ設定された制御禁止エリア内にあるかどうかを判断する。そして、現在位置が制御禁止エリア内にある場合は、前記推奨車速VR を推奨不可能な最大値、例えば、車両を走行させるのが不可能な200〔km/h〕に設定することによってコーナ制御が行われるのを禁止し、現在位置が制御禁止エリア外にある場合は、コーナ制御を開始する。
【0031】
次に、CPU31の推奨変速段決定手段101(図1)は、コーナを旋回するのに最適な推奨変速段を決定する。
そのために、CPU31は現在位置から各ノードまでの道路の勾配を算出する。そして、ナビゲーション処理部17は、各特定のノードについて、現在の変速段を維持することが望ましいと考えられる閾値を表す減速加速度基準値α、これ以上減速加速度(減速の度合い)が大きい場合は、変速段を3速以下にすることが望ましいと考えられる閾値を表す減速加速度基準値β1、及びこれ以上減速加速度が大きい場合は、変速段を2速以下にすることが望ましいと考えられる閾値を表す減速加速度基準値β2を設定する。
【0032】
前記各減速加速度基準値α、β1、β2は、道路の勾配も考慮して設定される。これは、平坦(たん)な道路において減速を行う場合と、登坂路又は降坂路において減速を行う場合とでは、同じ距離を走行させても減速加速度が異なるからである。例えば、登坂路において、運転者が車両を減速させようとする意思を持った場合、積極的にシフトダウンの変速を行わなくても十分な減速を行うことができる。
【0033】
また、前記各減速加速度基準値α、β1、β2を、道路の勾配に対応させて複数設定することもできる。そして、平坦な道路用として1組の減速加速度基準値α、β1、β2をあらかじめ設定しておき、算出された勾配に対応させて前記各減速加速度基準値α、β1、β2を補正することもできる。さらに、車両の総重量を算出し、乗員が1名である場合と4名である場合とで各減速加速度基準値α、β1、β2を異ならせることもできる。この場合、車両の総重量は、例えば、特定の出力軸トルクを発生させたときの加速度に基づいて計算することができる。
【0034】
続いて、CPU31は、現在位置から各ノードまでの区間距離Lを算出し、該区間距離L、前記推奨車速VR 及び前記減速加速度基準値αに基づいて、現在の車速Vnow を維持するためのホールド制御用減速線Mhを、区間距離L、前記推奨車速VR 及び減速加速度基準値β1、β2に基づいて、シフトダウンの変速を許可するための変速許可制御用減速線M1、M2をそれぞれ算出する。なお、ホールド制御用減速線Mhは、前記変速許可制御用減速線M1に対応させて、例えば、該変速許可制御用減速線M1より10〔km/h〕だけ低い値にされる。また、ホールド制御用減速線Mhを変速許可制御用減速線M1より所定距離分だけずらすこともできる。
【0035】
この場合、変速許可制御用減速線M1、M2は、区間距離Lにおいてそれぞれ減速加速度基準値β1、β2で減速が行われた場合に、推奨車速VR で各ノードを走行することができる車速Vの値を示す。
続いて、前記推奨変速段決定手段101は、現在位置に対応する第1の設定値としてのホールド制御用減速線Mhの値Vh、現在位置に対応する第2の設定値としての変速許可制御用減速線M1の値V1、及び現在位置に対応する変速許可制御用減速線M2の値V2を算出するとともに、現在の車速Vnow を読み込み、該車速Vnow と前記値Vh、V1、V2とを比較する。
【0036】
そして、車速Vnow が値Vh以上である場合、ホールド制御が開始される。該ホールド制御においては、車速Vnow が値V1に到達するまで現在の実際の変速段(以下「実変速段」という。)が保持され、実変速段より高い変速段が出力されるのが禁止される。したがって、実変速段が4速の場合、推奨変速段が4速に決定される。
【0037】
また、前記車速Vnow が値V1以上である場合、変速許可制御が開始され、推奨変速段が3速に決定される。さらに、前記車速Vnow が値V2以上である場合、変速許可制御において推奨変速段が2速に決定される。なお、前記推奨変速段は、複数の特定のノードについて決定され、そのうち、最小のものが選択される。
【0038】
また、前記ホールド制御用減速線Mh及び変速許可制御用減速線M1、M2は、いずれも演算によって算出することができるだけでなく、演算結果をマップとして格納しておき、該マップを参照することによって読み出すこともできる。
続いて、前記上限変速段設定手段103は、推奨変速段決定手段101によって決定された推奨変速段が2速、3速及び4速のいずれであるかを判断し、推奨変速段が4速である場合、上限の変速段を決定するための第1の値SS に4をセットする。そして、推奨変速段が3速である場合、踏み込まれているアクセルペダルが緩められてアクセルオン→オフになるか、踏み込まれていないブレーキペダルが踏み込まれてブレーキオフ→オンになると、前記上限変速段設定手段103は第1の値SS に3をセットする。また、推奨変速段が2速である場合、ブレーキオフ→オンになると、前記上限変速段設定手段103は第1の値SS に2をセットする。この場合、例えば、アクセルオン→オフは、アクセルセンサによって検出されたアクセルペダルの踏込量が単位時間当たり10〔%〕以上少なくなり、しかも、アクセルセンサがオフになっている状態をいう。
【0039】
なお、推奨変速段が3速であり、アクセルオン→オフにならず、ブレーキオフ→オンにもならない場合、前記上限変速段設定手段103は第1の値SS に4をセットする。また、推奨変速段が2速であり、ブレーキオフ→オンにならない場合、前記上限変速段設定手段103は第1の値SS に3をセットする。
続いて、前記上限変速段設定手段103は、ホールド制御中であるかどうかを判断し、ホールド制御中である場合、図示しない実変速段検出手段によって実変速段を検出する。そして、前記上限変速段設定手段103は、実変速段が3速以下である場合、上限の変速段を決定するための第2の値SH に3を、実変速段が3速より高い場合、第2の値SH に4をセットする。このようにして、実変速段より上限の変速段が高くなるのを防止する。また、ホールド制御中でない場合、前記上限変速段設定手段103は第2の値SH に4をセットする。
【0040】
このようにして、第1、第2の値SS 、SH が決められると、前記上限変速段設定手段103は、第1、第2の値SS 、SH のうち低い方に対応する変速段を上限の変速段として設定し、該上限の変速段を自動変速機制御装置12に対して出力する。また、上限の変速段が出力されると、自動変速機制御装置12は、上限の変速段で変速処理を行う。そして、道路のノード半径が閾値より大きくなると、コーナ制御を解除し、通常の制御を行う。
【0041】
次に、フローチャートについて説明する。
図5は本発明の実施の形態におけるナビゲーション処理部の動作を示すフローチャートである。
ステップS1 道路状況判断処理を行う。
ステップS2 推奨変速段決定処理を行う。
ステップS3 上限変速段出力処理を行う。
【0042】
次に、図5のステップS1における道路状況判断処理のサブルーチンについて説明する。
図6は本発明の実施の形態における道路状況判断処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS1−1 制御開始条件成立判断処理を行う。
ステップS1−2 データ加工処理を行う。
【0043】
次に、図6のステップS1−2におけるデータ加工処理のサブルーチンについて説明する。
図7は本発明の実施の形態におけるデータ加工処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS1−2−1 ノード半径を算出する。
ステップS1−2−2 推奨車速VR (図3)を算出する。
ステップS1−2−3 現在位置が制御禁止エリア内にあるかどうかを判断する。現在位置が制御禁止エリア内にある場合はステップS1−2−4に進み、制御禁止エリア内にない場合はリターンする。
ステップS1−2−4 推奨車速VR を最大値に設定し、リターンする。
【0044】
次に、図5のステップS2における推奨変速段決定処理のサブルーチンについて説明する。
図8は本発明の実施の形態における推奨変速段決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS2−1 現在位置から各ノードまでの道路の勾配を算出する。
ステップS2−2 減速加速度基準値α、β1、β2を設定する。
ステップS2−3 推奨値算出処理を行う。
【0045】
次に、図8のステップS2−3における推奨値算出処理のサブルーチンについて説明する。
図9は本発明の実施の形態における推奨値算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS2−3−1 現在位置から各ノードまでの区間距離Lを算出する。
ステップS2−3−2 値Vh(図4)、V1、V2を算出する。
ステップS2−3−3 現在の車速Vnow を読み込む。
ステップS2−3−4 該車速Vnow が前記値Vh以上であるかどうかを判断する。車速Vnow が値Vh以上である場合はステップS2−3−5に進み、車速Vnow が値Vhより小さい場合はリターンする。
ステップS2−3−5 前記車速Vnow が前記値V1以上であるかどうかを判断する。車速Vnow が値V1以上である場合はステップS2−3−7に、車速Vnow が値V1より小さい場合はステップS2−3−6に進む。
ステップS2−3−6 推奨変速段を4速に決定する。
ステップS2−3−7 前記車速Vnow が前記値V2以上であるかどうかを判断する。車速Vnow が値V2以上である場合はステップS2−3−9に、車速Vnow が値V2より小さい場合はステップS2−3−8に進む。
ステップS2−3−8 推奨変速段を3速に決定する。
ステップS2−3−9 推奨変速段を2速に決定する。
ステップS2−3−10 ホールド制御中であることを表すホールドフラグをオンにする。
【0046】
次に、図5のステップS3における上限変速段出力処理のサブルーチンについて説明する。
図10は本発明の実施の形態における上限変速段出力処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS3−1 推奨変速段決定手段101(図1)によって決定された推奨変速段が2速、3速及び4速のいずれであるかを判断する。推奨変速段が2速である場合はステップS3−2に、推奨変速段が3速である場合はステップS3−3に、推奨変速段が4速である場合はステップS3−6に進む。
ステップS3−2 ブレーキオフ→オンであるかどうかを判断する。ブレーキオフ→オンである場合はステップS3−4に、ブレーキオフ→オンでない場合はステップS3−5に進む。
ステップS3−3 アクセルオン→オフであるか又はブレーキオフ→オンであるかどうかを判断する。アクセルオン→オフであるか又はブレーキオフ→オンである場合ステップS3−5に、アクセルオン→オフでもなく、ブレーキオフ→オンでもない場合はステップS3−6に進む。
ステップS3−4 第1の値SS に2をセットする。
ステップS3−5 第1の値SS に3をセットする。
ステップS3−6 第1の値SS に4をセットする。
ステップS3−7 ホールドフラグがオンであるかどうかを判断する。ホールドフラグがオンである場合はステップS3−9に進み、ホールドフラグがオンでない場合はステップS3−8に進む。
ステップS3−8 実変速段を検出する。
ステップS3−9 実変速段が3速以下であるかどうかを判断する。実変速段が3速以下である場合はステップS3−11に、実変速段が3速以下でない場合はステップS3−10に進む。
ステップS3−10 第2の値SH に4をセットする。
ステップS3−11 第2の値SH に3をセットする。
ステップS3−12 第1、第2の値SS 、SH のうち低い方を上限の変速段として設定する。
ステップS3−13 上限の変速機を自動変速機制御装置12に対して出力する。
【0047】
ところで、本実施の形態においては、運転者又は操作者によってあらかじめ制御禁止エリアを設定することができるようになっていて、現在位置が制御禁止エリア内にあるときにコーナ制御が行われるのが禁止される。
そのために、前記データ記憶部16には、メモリ地点ごとに制御禁止フラグが設定され、CPU31の制御禁止エリア設定手段105は、運転者又は操作者による前記入力部34の操作に基づいて、制御禁止エリアを設定する。
【0048】
この場合、前記制御禁止エリア設定手段105は、前記入力部34の操作によって入力されたメモリ地点に基づいて制御禁止エリアの範囲を自動で決定する。該制御禁止エリアの範囲を、例えば、メモリ地点を中心とする円領域、矩(く)形領域、楕(だ)円領域等の所定の領域内の全体にしたり、該領域内の道路(ノード、リンク等)にしたりすることができる。この場合、前記制御禁止エリアの範囲を前記入力部34の操作に基づいて変更することもできる。また、制御禁止エリアの範囲を前記入力部34の操作に基づいて手動で決定することもできる。
【0049】
したがって、前記データファイルに格納された道路状況と実際の道路状況とが異なるときに、運転者又は操作者によって前記入力部34を操作し、CPU31により制御禁止エリアを設定することができる。この場合、該制御禁止エリアにおいてコーナ制御が行われるのが禁止されるので、例えば、シフトダウンの変速が行われる位置、タイミング等が、実際の道路状況から予測されるシフトダウンの変速が行われる位置、タイミング等と異なることがなくなる。その結果、違和感を与えることがなくなる。
【0050】
本実施の形態においては、前記メモリ地点において、制御禁止フラグをオンにしてメモリ地点の登録を行ったり、前記制御禁止フラグをオフにし、他のメモリ地点において制御禁止フラグをオンにしてメモリ地点の修正を行ったりすることができるようになっている。
図11は本発明の実施の形態におけるメモリ地点の登録動作を示すフローチャートである。
ステップS11 運転者又は操作者はメニューキーを押下して表示部35(図2)のメニュー画面を呼び出す。
ステップS12 メニュー画面において「メモリ地点の登録」を選択する。
ステップS13 地図を読み出し、表示部35の画面に表示する。
ステップS14 カーソルによってメモリ地点を選択する。
ステップS15 運転者又は操作者は、拡張機能として「制御禁止エリアの設定」を選択する。
ステップS16 メモリ地点において制御禁止フラグをオンにし、制御禁止エリアを設定する。
ステップS17 運転者又は操作者は完了キーを押下する。
【0051】
図12は本発明の実施の形態におけるメモリ地点の修正動作を示すフローチャートである。
ステップS21 運転者又は操作者はメニューキーを押下して表示部35(図2)のメニュー画面を呼び出す。
ステップS22 メニュー画面において「メモリ地点の修正」を選択する。
ステップS23 修正するメモリ地点を読み出し、表示部35の画面に表示する。
ステップS24 運転者又は操作者は、拡張機能として「制御禁止エリアの設定」を選択する。
ステップS25 メモリ地点において制御禁止フラグをオンにし、制御禁止エリアを設定する。
ステップS26 運転者又は操作者は完了キーを押下する。
【0052】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、車両制御装置においては、車速を検出する車速センサと、道路状況を格納する道路状況記憶手段と、前記車速及び前記道路状況に基づいて自動変速機の推奨変速段を決定する推奨変速段決定手段と、前記推奨変速段及び運転者の動作に基づいて上限の変速段を設定する上限変速段設定手段と、前記上限の変速段が出力されると変速処理を行う変速処理手段と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記道路状況記憶手段に制御禁止エリアを設定する制御禁止エリア設定手段とを有する。
【0054】
そして、前記上限変速段設定手段は、前記車両の現在位置が制御禁止エリア内にあるときに、前記推奨変速段決定手段、上限変速段設定手段及び変速処理手段の各処理による予測制御が行われるのを禁止する制御禁止手段を備える。
この場合、前記道路状況記憶手段に格納された道路状況と実際の道路状況とが異なるときに、運転者又は操作者によって入力部を操作し、制御禁止エリアを設定することができる。
【0055】
したがって、該制御禁止エリアにおいては、前記推奨変速段決定手段、上限変速段設定手段及び変速処理手段の各処理による予測制御が行われるのが禁止されるので、例えば、シフトダウンの変速が行われる位置、タイミング等が、実際の道路状況から予測されるシフトダウンの変速が行われる位置、タイミング等と異なることがなくなる。その結果、違和感を与えることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における車両制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両制御装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態における推奨車速マップを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における減速線マップを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーション処理部の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における道路状況判断処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態におけるデータ加工処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における推奨変速段決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態における推奨値算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態における上限変速段出力処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態におけるメモリ地点の登録動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態におけるメモリ地点の修正動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
12 自動変速機制御装置
15 現在位置検出部
16 データ処理部
33 ROM
44 車速センサ
101 推奨変速段決定手段
103 上限変速段設定手段
105 制御禁止エリア設定手段
106 制御禁止手段
V 車速
Claims (3)
- 車速を検出する車速センサと、道路状況を格納する道路状況記憶手段と、前記車速及び前記道路状況に基づいて自動変速機の推奨変速段を決定する推奨変速段決定手段と、前記推奨変速段及び運転者の動作に基づいて上限の変速段を設定する上限変速段設定手段と、前記上限の変速段が出力されると変速処理を行う変速処理手段と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記道路状況記憶手段に制御禁止エリアを設定する制御禁止エリア設定手段とを有するとともに、前記上限変速段設定手段は、前記車両の現在位置が制御禁止エリア内にあるときに、前記推奨変速段決定手段、上限変速段設定手段及び変速処理手段の各処理による予測制御が行われるのを禁止する制御禁止手段を備えることを特徴とする車両制御装置。
- 前記制御禁止エリア設定手段は、入力部によって入力されたメモリ地点ごとに制御禁止エリアを設定する請求項1に記載の車両制御装置。
- 車速及び道路状況に基づいて自動変速機の推奨変速段を決定し、該推奨変速段及び運転者の動作に基づいて上限の変速段を設定し、該上限の変速段が出力されると変速処理を行い、道路状況記憶手段に制御禁止エリアを設定するとともに、車両の現在位置があらかじめ設定された制御禁止エリア内にあるときに、推奨変速段の決定、上限の変速段の設定、及び上限の変速段での変速処理から成る予測制御が行われるのを禁止することを特徴とする車両制御装置のプログラムを記録した記録媒体。
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