JP3657662B2 - インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤成分を凝集させ、記録媒体上に飛翔させて記録を行うためのインクジェットヘッドの製造方法およびインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ技術の発達、情報化社会の進展とともに、情報出力機器の一つとして、主に液体のインクを小滴、液柱、または霧状にして空気中を飛翔させ、記録紙等の記録媒体に文字、グラフ、画像などを記録するインクジェットプリンタの開発が盛んに行われている。インクジェットプリンタの特徴としては、インクを飛翔させて記録するので基本的に非接触・ノンインパクト記録であって騒音が少なく、またインクを用いる直接記録であるため、電子写真プリンタのように現像、定着などの複雑な処理をせず、普通紙への記録が可能であり、さらにカラーインクのインク滴の重ね合せが可能であることから比較的容易に高品質のカラー記録ができる等が挙げられる。
【0003】
インクジェットプリンタの方式としては様々な方式があるが、発熱抵抗素子により瞬間的に気泡を発生させ、この気泡の圧力でインクを飛ばすバブルジェット方式(原 利民他、画像電子学会誌、vol.11,2(1982))や、圧電素子または電歪素子を用いて電気信号を機械振動に変換して圧力パルスを発生させ、この圧力パルスでインクを飛ばす方式(E.Stemme et.al.,IEEE Trans.ED20-1,p14(1973))などが代表的なものである。
【0004】
これらのインクジェットプリンタでは、何れもインクノズルを用いているが、解像度を高めるためにノズル数を多数にするなどによりインクノズルの大きさが小さくなると、溶媒の蒸発などによりインクノズルの目詰まりが発生しやすくなり、信頼性低下の大きな原因となる。例えば、バブルジェット方式では瞬間的に発生する高温度の蒸気による気泡を圧力源として用いているが、ノズルとインクとの高温による熱的あるいは化学的な反応などによる固形物のノズル壁への付着が問題になる。また、圧電素子や電歪素子を用いる方式では、インク経路などの複雑な機構により目詰まりが発生し易くなる。
【0005】
近年、さらに高解像度のプリンタのニーズが高まっているが、従来のバブルジェット方式では直径20μm以下の粒径のインク滴を形成し難く、記録媒体上では直径50μm程度の最小ドット径しか得られないという欠点があった。
【0006】
これらの問題を解決する方式として、図5に示すような薄膜状の電極と記録紙背面にある対向電極間に高電圧を印加し、静電引力により細いスリットからインク柱(滴)を引き出す方式や、図6に示すように帯電した色材成分を含むインクを用いて色材の濃度を高めて飛翔させる方式(WO93/11866:PCT/AU92/00665)などがある。前者はドット毎のノズルを必要としないスリット状ノズルのため、後者はノズルレス方式のため目詰まりの問題を低減することができると共に、微小粒径のインク滴を安定に生成して飛翔させることが可能なため、高解像度化が可能になる。
【0007】
しかし、これらの静電方式のインクジェットプリンタのヘッドは、図5および図6に示すようにヘッド基板41,51の端面に電極アレイ42,52の先端が突出するか、あるいはほぼ接して設けられているため、プリンタアッセンブリにおいて電極アレイに記録紙などが接触して破損し易いという欠点があった。またヘッド製造方法の観点からは、半導体作製プロセスで見られるような高精度の作製技術、例えばステッパ露光技術などを用いることができないため、加工精度、均一性および歩留まりなどに問題があった。特に、ヘッドの先端曲率半径を適度に小さく、均一に作製することができないため、ヘッド先端に高電圧を印加する必要があり、低電圧駆動化の妨げになると同時に、形状不均一性にも起因する異常放電の問題を抱えていた。
【0008】
さらに、インクがヘッド先端で濃縮し凝集して飛翔するためには、ヘッド先端にインク層が毛管現象などにより安定して形成していることが必要であるが、上述したヘッド基板端面に形成したヘッドの先端では、重力の影響がヘッド先端で等価でないなどの理由でインク層を安定して形成することが困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の静電力で液状インクの中の色材成分を飛翔させるインクジェットプリンタヘッドは、ヘッド基板の端面に電極アレイが位置しているため、プリンタアッセンブリにおいて電極アレイに記録紙などが接触して破損し易く、またヘッド製造上、半導体作製プロセスで見られるような高精度の作製技術を用いることができないため、加工精度、均一性および歩留まりなどに問題があった。特に、ヘッドの先端曲率半径を適度に小さく、均一に作製することができないため、ヘッド先端に高電圧を印加する必要があり、低電圧駆動化の妨げになると同時に、形状不均一性にも起因する異常放電の問題があり、さらにインクがヘッド先端で濃縮し凝集して飛翔するためには、ヘッド先端にインク層が毛管現象などにより安定して形成していることが必要であるが、ヘッド基板端面に形成すると、重力の影響がヘッド先端で等価でないなどの理由でインク層を安定して形成することが困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は上記の問題点を解消すべくなされたもので、静電力を用いてインク中の色剤成分を凝集させ記録媒体に飛翔させてインクジェット記録を行う際にヘッドの損傷を防止すると共に、均一性が良好でばらつきが少なく同一形状のヘッドを多数設けることが可能であり、またヘッド先端に安定なインク層を形成して高品質の記録を可能とし、しかも高集積化が容易で、且つ生産性に富んだインクジェットヘッドの製造方法およびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、第1の基板の第1主面上に凹部を設ける工程と、この凹部を含む前記第1主面上にエッチング停止層を形成する工程と、この凹部内のエッチング停止層上に凹部の深さ方向に沿って少なくとも一つの筋状の凸部を形成する工程と、エッチング停止層の凹部内を埋めるようにエッチング停止層上に電極層を形成する工程と、この電極層上に第2の基板を設ける工程と、第1の基板を除去する工程と、エッチング停止層および凸部を除去して電極層を露出させることにより凸部に対応した溝を有する凸状電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るインクジェット記録装置は、溶媒中に色剤を分散させたインク中の色剤成分を凝集させて記録媒体上に飛翔させることにより記録を行うインクジェット記録装置であって、記録媒体に対向して設けられるヘッド基板上に、その壁面に底部から先端部に向かって形成された溝を有する凸状電極を形成し、ヘッド基板上の少なくとも凸状電極の付近にインクを供給して、該インク中の少なくとも色剤成分を少なくとも溝に沿って先端部に向けて搬送することにより該先端部から記録媒体に向けて飛翔させることを特徴とする。
【0014】
より具体的には、本発明に係るインクジェット記録装置は、記録媒体に対向して設けられるヘッド基板と、このヘッド基板上に設けられ、その壁面に底部から先端部に向かって形成された溝を有する凸状電極と、ヘッド基板上の少なくとも凸状電極の付近にインクを供給するインク供給手段と、このインク供給手段によりヘッド基板上に供給されるインク中の少なくとも色剤成分を凸状電極の先端部から記録媒体に向けて飛翔させるための画像信号に応じた電圧を凸状電極に印加する電圧印加手段とを有することを特徴とする。
【0015】
さらに具体的には、本発明に係るインクジェット記録装置は所定極性に帯電した色剤を分散させたインク中の色剤成分を凝集させて記録媒体上に飛翔させることにより記録を行うインクジェット記録装置であって、記録媒体に対向して設けられるヘッド基板と、このヘッド基板上に設けられ、その壁面に底部から先端部に向かって形成された溝を有する凸状電極と、ヘッド基板上の少なくとも凸状電極の付近にインクを供給するインク供給手段と、このインク供給手段によりヘッド基板上に供給されるインク中の少なくとも色剤成分を凸状電極の先端部から記録媒体に向けて飛翔させるための色剤の帯電極性と同一極性の画像信号に応じた電圧を前記凸状電極に印加する電圧印加手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明において、凸状電極の形状としては、四角錐や円錐、紡錘型などの他、四角錐の先端を切り取ったメキシカンピラミッドなど、毛管現象や凸状電極への電圧印加によって凸状電極の先端がインクで安定して濡れた状態となり、かつインクの凝集および飛翔のための電界が十分に印加できる形状であればよく、必ずしも先端が先鋭である必要はない。また、この凸状電極に形成される溝の断面形状は、半球形状、台形状およびV形状など、インクが毛管現象により凸状電極の先端に十分供給される形状であれば種々選択することができる。また、この溝の幅は平均して0.1μm以上であることが好ましい。
【0017】
一方、筋状の凸部を構成する層はレジスト、ガラスまたはヘッド導電材料と選択エッチング可能な金属等が好適である。さらに、エッチング停止層としては例えば第1の基板にシリコン単結晶基板を用いた場合、その凹部内を含む表面を熱酸化で形成してもよく、あるいは他の方法により形成してもよい。特に、熱酸化法を用いた場合は、一般的な半導体製造工程等とのプロセス整合性や工程の簡易化を図ることもできるので好ましい。
【0018】
このように本発明においては、ヘッド基板上に壁面に底部から先端部に向かって形成された溝を有する凸状電極を形成してインクジェットヘッドを構成し、ヘッド基板上の少なくとも凸状電極の付近に溶媒中に色剤を分散させたインクを供給して、インク中の少なくとも色剤成分をヘッド基板上、つまり基板の主面から記録媒体に向けて飛翔させることで記録を行うため、ヘッド基板端面に形成されたヘッドを持つ従来のインクジェットヘッドのようなヘッドアッセンブリにおけるヘッド先端の損傷が防止される。
【0019】
また、ヘッド基板の表面にヘッド先端である凸状電極が設けられているため、ヘッド基板の端面にヘッド先端を設ける従来の技術では用いることができなかった高精度の半導体加工プロセスを利用した製造方法により、均一性が良好でばらつきが少なく、同一形状の凸状電極を多数形成したラインヘッドなどのマルチヘッドの実現が容易となる。特に、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法によると、ヘッド先端曲率半径を適度に小さく、均一に作製できるため、ヘッド先端に高電圧を印加する必要がなく、低電圧駆動化が可能となると同時に、形状不均一性に起因する異常放電を防止することが可能となる。
【0020】
また、インク中の色剤成分が凝集して飛翔するためには、ヘッド先端にインク層が毛管現象などにより安定して形成していることが必要であり、また色剤成分が凝集して飛翔するためには、ヘッド先端にインク層が毛管現象などにより安定して形成されることが必要であるが、本発明ではヘッド先端である凸状電極の壁面に底部から先端部に向かって溝が形成されていることにより、この先端に十分に到達するインク層を安定して形成することが可能となり、高性能・高分解能のインクジェット記録装置を実現することができる。
【0021】
さらに、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法においては、フォトリソグラフィ、異方性エッチングなどを用いて形成した凹部および凹部内面の正確な形状に沿って形成されたエッチング停止層および筋状の凸部を原型として用いて、これに電極層を充填することによりヘッドが作成されるので、凹部形状の溝を含めて凸状電極の形状を高精度に均一に、かつ微細に形成することができる。また、エッチング停止層を熱酸化法で形成した絶縁層とすれば、第1の凹部内に形成された熱酸化絶縁層の第1の凹部内への成長作用により、第1の凹部先端が鋭くなるため、ヘッド先端部を先鋭に、しかも均一な形状にすることができる。このようにして作製されるインクジェットヘッドによると、インク射出性能、信頼性が大幅に向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。同図において、ヘッド基板101は例えばガラス基板などの絶縁性の基板であり、このヘッド基板101上に凸状電極102とその引き出し電極104が形成されている。ここで、凸状電極102には壁面に底部から先端部に向けて形成されたインク案内溝103が設けられている。なお、引き出し電極103の凸状電極102に接続された側と反対側の端部は外部に露出している。また、ヘッド基板101の上方には、凸状電極102に対応する位置にインク滴吐出口105を有する上部カバー106が配置されている。
【0023】
図2は、ラインヘッドなどのマルチヘッドを構成した場合の図1の一部を拡大して示す図であり、ヘッド基板101上に主走査方向Xに沿って複数の凸状電極102が設けられている。また、同図にも示されるように本実施形態では凸状電極102の形状はピラミッド状であり、その先端は尖鋭となっている。そして、凸状電極102のピラミッドの各壁面にインク案内溝103が形成されている。また、この例ではインク案内溝103は底部から先端部に近付くにつれて幅狭の形状となっている。
【0024】
本実施形態で用いるインク107は、例えば108 Ωcm以上の絶縁性の溶媒中にコロイド状に例えばプラス帯電性の色剤を帯電制御材やバインダ等とともに分散させたものであり、色剤はプラス極性に帯電されているものとする。このインク107は、インクタンクおよびポンプを含むインク還流機構108により、インク流路109を介してインク供給口110からヘッド基板101上に供給される。
【0025】
ヘッド基板101上に供給されたインク107は、ヘッド基板101の表面を副走査方向Y(記録媒体の相対移動方向)に沿って流れ、一部は凸状電極102に到達する。凸状電極102に到達したインク107は、凸状電極102の壁面に形成されたインク案内溝103に沿って毛管現象により上昇し、インク滴の飛翔ポイントである凸状電極102の先端に到達する。ヘッド基板104上に供給されたインク107のうち、凸状電極102に到達しなかったインクはインク回収口111からインク流路109を介して還流機構108により回収される。
【0026】
上述したヘッド基板101、インク案内溝103を有する凸状電極102、引き出し電極104、インク滴吐出孔105を有する上部カバー106、インク還流機構108、およびインク吐出口110とインク排出口111を有するインク流路109によって、インクジェットヘッドが構成される。
【0027】
引き出し電極104には、駆動回路112および直流バイアス電源113が直列に接続されている。駆動回路112は、記録すべき画像信号に応じてオン・オフする例えば200Vのプラス極性の信号パルス電圧を発生し、これが直流バイアス電源113から供給される例えばDC1kVのバイアス電圧に重畳され、引き出し電極103を介して凸状電極102に印加される。
【0028】
すなわち、凸状電極102にはインク107中の色剤の帯電極性と同一極性の電圧が印加される。従って、凸状電極102の先端に達したインク107中の凝集した色剤成分が静電反発力によってヘッド基板101の表面に対しほぼ垂直方向にインク滴114として射出される。この射出されたインク滴114は、上部カバー106に設けられたインク滴吐出孔105を通過し、ヘッド基板101に上部カバー106を介して対向して配置された記録媒体である記録紙115に向けて、記録紙115の背面に設けられた接地電位の対向電極116に引っ張られて飛翔することによって記録紙115上に到達する。これにより、記録紙115上に画像が記録される。
【0029】
このように本実施形態のインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドにおいて記録紙115に対向するヘッド先端をなす凸状電極102をヘッド基板101の端面でなく主面上に設けることができるため、記録紙115との接触などによる凸状電極102の破損のおそれは非常に少ない。
【0030】
また、凸状電極102の壁面にインク案内溝103が設けられているため、凸状電極102の先端部に毛管現象等によりインクが案内されることにより、容易に安定してインク層が形成され、高性能・高品質のインクジェット記録装置を実現することができる。
【0031】
なお、凸状電極102の表面の一部または全部をインク案内溝103の溝形状を維持しつつ絶縁層で覆ってもよく、要はインク107が凝集され飛翔するに十分な電界をインク107に与えることが可能であればよい。また、インク107中の色剤はマイナス極性に帯電されていてもよく、その場合には引き出し電極104を介して凸状電極102に印加する電圧の極性をマイナスにすればよい。
【0032】
次に、本実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法について説明する。図3は、インクジェットヘッドの製造工程を示す断面図であり、特に1個の凸状電極102およびインク溜り105の形成プロセスを示している。また、マルチヘッドの場合、図3は図2の主走査方向Xと直交する断面、すなわち副走査方向Yの断面を示している。
【0033】
まず、Si単結晶基板201の第1主面側に、凸状電極102の形状に対応した、例えば逆ピラミッド状の凹部を形成する。このような凹部を形成する方法としては、例えばSi単結晶基板の異方性エッチングを利用することができる。すなわち、まず図3(a)に示すように、p型で(100)結晶面方位のSi単結晶基板201上に、厚さ0.1μmのSiO2 熱酸化層202をドライ酸化法により形成し、その上にレジスト203をスピンコート法により塗布する。次に、図3(b)に示すように、例えばステッパを用いて10μm角の正方形状の開口部204が得られるよう露光、現像等によりパターニングした後、NH4 F・HF混合溶液により、SiO2 熱酸化層202のエッチングを行う。そして、残ったレジストを除去した後、例えば30wt%のKOH水溶液を用いて異方性エッチングを行い、図3(c)に示すように、深さ7.1μmの逆ピラミッド状の凹部205をSi単結晶基板201上に形成する。
【0034】
次に、NH4 F・HF混合溶液を用いて、SiO2 酸化層202を一旦除去した後、図3(d)に示すように、凹部205内を含むSi単結晶基板201上に凹部205内ではその内面に沿って窪んだ形状となるように、SiO2 熱酸化絶縁層をエッチング停止層206として形成する。本実施形態では、SiO2 熱酸化絶縁層からなるエッチング停止層206を厚さが0.3μm程度となるようにWet酸化法により形成した。この場合、エッチング層206は凹部205の内面上で図3(d)に示すように凹部205の深さ方向の中央部が膨らんだ構造となることにより、後述のようにして形成されるヘッド先端である凸状電極102の先端部を先鋭にすることができる。これにより凸状電極102の先端への電界集中効果を高め、高解像度化と同時に低電圧駆動化を促進することが可能となる。
【0035】
次いで、図3(e)に示すように、凹部205の内面上に筋状の凸部207を例えばガラスを用いて気相堆積法により形成する。次いで、SiO2 熱酸化絶縁層からなるエッチング停止層206および筋状の凸部207上に、凸状電極102および引き出し電極104となる電極層208として、例えばモリブデン層、タンタル層やクロム層を凹部205を埋めるように形成する。本実施形態では、電極層208としてスパッタリング法によりモリブデン層を厚さ5μmとなるように形成した。この際、副走査方向においては電極層208がほぼ個別電極102および引き出し電極104となる部分に選択的に形成されるように、マスクを用いてスパッタリングを行う。なお、電極層208の材質や導電性によっては、インクとの濡れ性などを考慮して、さらにITO層のような導電層を積層して形成してもよい。
【0036】
なお、凸状電極102の形状を大きくすることが要求される場合、すなわち凹部205の開口の大きさや深さが大きくなった場合には、電極層208を十分に厚く形成して凹部内205を完全に埋めることが困難となることがある。そのような場合には、電極層208上にSi単結晶基板201の第1主面側から他の単数または複数の材料からなる芯材層を形成して凹部205内を埋めればよい。
【0037】
次に、電極層208の上に図3(f)に示すように、電極層208間を跨ぐようにパイレックスガラス基板209を例えば静電接着法を用いて、Si単結晶基板201と電極層208を介するように接着する。そして、このパイレックスガラス基板209をそのままヘッド基板101とするか、またはこれに比較的厚いガラス基板を接着してヘッド基板101とする。
【0038】
なお、電極層208の厚さが十分に厚く、構造材としての強度が十分に得られる場合には、図3(g)の工程を省いて、電極層208を直接ヘッド基板101に接着することも可能である。
【0039】
次に、図3(g)に示すように、エチレンジアミン、ピロカテコールおよびピラジンの混合水溶液でSi単結晶基板201をエッチング除去し、次いで熱酸化層および筋状の凸部ガラスをNH4 F・HF等の各種混酸またはHF水溶液を用いて除去する。これによって図3(g)に示すように、電極層208に凹部形状の溝210が形成され、図1および図2に示したようなインク案内溝103を有するピラミッド状の凸状電極102が形成される。
【0040】
このように実施形態に係るインクジェットヘッドは、異方性エッチングにより形成された凹部205を有するSi単結晶基板201上にSiO2 熱酸化絶縁層からなるエッチング層206を形成した後、電極層208を凹部205内に充填することによって凸状電極102を形成している。従って、凹部205の形状に応じて均一性・再現性に優れた凸状電極102を形成することができる。
【0041】
さらに、異方性エッチングによる凹部205の形状再現性および凹部205内へのエッチング停止層206となるSiO2 熱酸化絶縁層の成長作用により、凹部205の底部形状を良好に尖らせた逆ピラミッド状とすることもできるため、先端への電界集中効果を大幅に高めた凸状電極102を安定して形成することができる。その結果、従来のようにヘッド先端である凸状電極102に高電圧を印加する必要がなく、低電圧駆動化が可能となる同時に、形状不均一性にも起因する異常放電を防止することが可能となる。また、熱酸化法は一般的な半導体製造工程とのプロセス整合性が良いため、工程の簡易化を図ることもできる。
【0042】
また、インク滴が凝集して飛翔するためには、ヘッド先端である凸状電極102の先端部にインク層が毛管現象などにより安定して形成されることが必要であるが、凸状電極102の壁面に凹部形状のインク案内溝103を形成したため、毛管現象によりヘッド基板102上のインクが凸状電極102の先端へ登り、その先端でインク層を安定して形成することが可能となるため、インク射出性能、信頼性を大幅に向上させることができる。
【0043】
なお、上記実施形態ではピラミッド形状の凸状電極102の広い壁面上にインク案内溝103を設けたが、図4(a)に示すようにピラミッドの稜線を形成する位置にインク案内溝103を形成してもよい。また、凸状電極102の形状はピラミッド形状である必要はなく、例えば図4(b)に示すようなコーン形状とし、このコーンの壁面にインク案内溝103を形成してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によればヘッド基板上に、壁面に底部から先端部に向かって形成された溝を有する凸状電極を形成し、ヘッド基板上の少なくとも前記凸状電極の付近に前記インクを供給して、インク中の少なくとも色剤成分を少なくともインク案内溝に沿って先端部に向けて搬送し該先端部から記録媒体に向けて飛翔させることで記録を行うため、ヘッド基板端面に形成されたヘッドを持つ従来のインクジェットヘッドのようなヘッドアッセンブリにおけるヘッド先端の損傷が防止される。
【0045】
また、本発明ではヘッド基板の表面にヘッド先端である凸状電極が設けられているため、ヘッド基板端面にヘッド先端である凸状電極が設けられていたために従来用いることができなかった高精度の半導体加工プロセスを利用した製造方法により、均一性が良好でばらつきが少なく同一形状の凸状電極を多数形成したマルチヘッドの実現が容易となる。特に、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法によると、ヘッド先端曲率半径を適度に小さく、均一に作製できるため、ヘッド先端に高電圧を印加する必要がなく、低電圧駆動化が可能となると同時に、形状不均一性に起因する異常放電を防止することが可能となる。
【0046】
また、インク中の色剤成分が凝集してインク滴として飛翔するためには、凸状電極の先端にインク層が安定して形成されることが必要であるが、本発明では凸状電極の壁面にインク案内溝があるため、毛管現象により凸状電極の先端へインクが確実に供給され、インク層を安定して形成することが可能となるため、高性能・高分解能のインクジェット記録装置を実現できる。
【0047】
さらに、本発明によるインクジェットヘッドの製造方法によれば、フォトリソグラフィ、異方性エッチングなどを用いて形成した凹部および凹部内面の正確な形状に沿って形成されたエッチング停止層および筋状の凸部を原型として用いて、これに電極層を充填することによりヘッドが作成されるので、凹部形状の溝を含めて凸状電極の形状を高精度に均一に、かつ微細に形成することができる。また、エッチング停止層を熱酸化法で形成した絶縁層とすれば、第1の凹部内に形成された熱酸化絶縁層の第1の凹部内への成長作用により、第1の凹部先端が鋭くなるため、ヘッド先端部を先鋭に、しかも均一な形状にすることができる。このようにして作製されるインクジェットヘッドによると、インク射出性能、信頼性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図
【図2】同実施形態に係るインクジェットヘッドの主要部の構成を示す斜視図
【図3】同実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法を説明するための工程断面図
【図4】本発明の他の実施形態に係るインクジェットヘッドにおける凸状電極の構成を示す図
【図5】第1の従来例に係るインクジェットヘッドの要部の構成を示す斜視図
【図6】第2の従来例に係るインクジェットヘッドの要部の構成を示す斜視図
【符号の説明】
101…ヘッド基板
102…凸状電極
103…インク案内溝
104…引き出し電極
105…インク滴吐出孔
106…上カバー
107…インク
108…インク還流機構
109…インク流路
110…インク供給口
111…インク回収孔
112…駆動回路
113…バイアス電源
115…記録紙
116…対向電極
201…Si単結晶基板(第1の基板)
202…熱酸化層
203…レジスト
204…矩形開口部
205…凹部
206…エッチング停止層
207…筋状凸部
208…電極層
209…ガラスパイレックス基板(第2の基板)
210…溝

Claims (2)

  1. 第1の基板の第1主面上に凹部を設ける工程と、
    前記凹部を含む前記第1主面上にエッチング停止層を形成する工程と、
    前記凹部内の前記エッチング停止層上に前記凹部の深さ方向に沿って少なくとも一つの筋状の凸部を形成する工程と、
    前記エッチング停止層の前記凹部内を埋めるように前記エッチング停止層上に電極層を形成する工程と、
    前記電極層上に第2の基板を設ける工程と、
    前記第1の基板を除去する工程と、
    前記エッチング停止層および前記凸部を除去して前記電極層を露出させることにより前記凸部に対応した溝を有する凸状電極を形成する工程
    とを有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. インクを用いて記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置において、
    記録媒体に対向して設けられるヘッド基板と、
    前記ヘッド基板上に設けられ、その壁面に底部から先端部に向かって形成された溝を有する凸状電極と、
    前記ヘッド基板上の少なくとも前記凸状電極の付近に所定極性に帯電された色剤成分を有するインクを供給するインク供給手段と、
    前記インク供給手段により前記ヘッド基板上に供給されるインク中の少なくとも色剤成分を前記凸状電極の先端部から前記記録媒体に向けて飛翔させるための前記色剤の帯電極性と同一極性の画像信号に応じた電圧を前記凸状電極に印加する電圧印加手段
    とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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