JP3657406B2 - 濾材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願発明は、濾材に関するものであり、とくにヘパ(HEPA)フィルターなどの高性能フィルターにも用いることができ、しかも有機物質から構成されているので焼却による廃棄が容易な濾材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヘパフィルターなどの高性能フィルターには直径0.1〜1μmのガラス繊維製フィルターが使用されていたが、繊維が折れやすく、脱落しやすいため加工時や使用時に問題があった。
また、ガラス繊維製フィルターは焼却できないため、廃棄物処理の点でも問題があった。更に、ガラス繊維製フィルターはホウ素を含むことが多いが、例えば半導体工業では、このホウ素が悪い影響を与えるため、特別な対策をとる必要があった。
【0003】
一方、ガラス繊維を使用しない高性能フィルターとして、ポリテトラフルオロエチレンの微孔膜を利用したフィルターが知られているが、このフィルターは高価であるため広く使用されていない。
【0004】
また、廃棄処理などを考慮して有機材料だけを利用した高性能フィルターとしてメルトブロー法などにより得られる平均繊維径数μmのポリプロピレン繊維からなるフィルターが検討されたが、捕集能力が不足し、圧力損失も高くなりすぎ、さらに自己保持性がないという問題があった。
このような問題を解決する濾材として、特開平2−104765号公報には、メルトブロー法により得られた平均繊維径数μmの有機繊維と、開繊された短繊維または長繊維とを混合し、直流電場内で捕集したエレクトレット不織布のフィルターが提案されている。
このフィルターは、エレクトレット化された繊維による静電気的な吸引力により微細な粒子を吸着できるため、微粒子を捕集することができ、しかも、解繊された短繊維または長繊維が混合されることによって圧力損失を低下させることができるという効果がある。
しかし、このエレクトレット不織布のフィルターは、長期間使用を続けると吸着したイオン性の粒子により電荷が中和されたり、使用環境によっては熱、湿気、溶剤などによって繊維の電荷が消失して、時間が経過するにしたがって捕集能力が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この出願発明者はこれらの従来技術の問題点を解決するためにいろいろ検討した結果、いわゆるヘパグレード以上の高い捕集能力を得ることができ、長期間捕集能力が低下せず、しかも、材料として有機物を使用することにより、廃棄処理の容易な高性能フィルターを開発することによって、これらの問題を解決することに成功した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この出願発明は、メルトブロー法によつて製造された平均繊維経1μm未満の極細有機繊維40〜90重量%と、平均繊維径5〜100μmの短繊維からなる熱融着性繊維60〜10重量%とを混合した繊維ウェブが、熱融着性繊維により結合されている濾材であって、該濾材のエレクトレット化されていない状態において、風速5.3cm/秒の条件下で直径0.3μmの粒子の捕集効率が99%以上であるエアフィルター用濾材に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
この出願発明の濾材は、平均繊維径1μm未満の極細有機繊維が50〜90重量%、平均繊維径5〜100μmの熱融着性繊維が50〜10重量%含まれていることが好ましい。
【0008】
また、この出願発明の濾材は、厚みが0.1〜1.5mmであることが好ましい。
【0009】
また、この出願発明の濾材は、極細有機繊維と熱融着性繊維とを混合した繊維ウェブが、熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以下の温度で、加圧処理されていることが好ましい。
【0010】
また、この出願発明の濾材は、熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以上で、しかも、極細有機繊維の融点より低い温度で、実質的に加圧せずに加熱処理されていることが好ましい。
【0011】
また、この出願発明の濾材は、メルトブロー法による極細有機繊維が、ショットがないか、あるいはショットが少ない繊維であることが好ましい。
【0012】
また、この出願発明の濾材は、風速5.3cm/秒の条件下で、直径0.3μmの粒子の捕集効率が99.97%以上であることが好ましい。
【0013】
メルトブロー法により得られる極細有機繊維の原料樹脂は、ポリプロピレン系、ポリエチレン系などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが使用されるが、細い繊維が得やすいポリプロピレン系樹脂がとくに好ましい。
また、極細有機繊維の平均繊維径は1μm未満であり、0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.6μmであることがとくに好ましい。極細有機繊維の平均繊維径が1μmより太くなると、高い捕集効率の濾材を得るのが難しくなることがある。
【0014】
この出願発明に使用する極細有機繊維はメルトブロー法により製造されるが、従来のメルトブロー法では平均繊維径が1μm未満の微細なものを作ろうとすると、紡糸時に繊維切れが生じてショット(樹脂の塊)が多数発生するという問題があった。
この出願発明では、通常よりノズルから吐出する樹脂量を大幅に少なくし、通常ではショットの数が増大するために行われていない範囲にまでノズル近傍から吹き出す加熱気流の流量を増やすことにより、驚くべきことにショットをほとんど発生させることなく平均繊維径が1μm未満の極細有機繊維を製造することができる。
例えば、メルトインデックスが500〜1000のポリプロピレン樹脂を使用して、一つのノズル孔から吐出する樹脂量を0.2cm3/分以下、好ましくは0.001〜0.15cm3/分とし、1m幅当りの加熱気流の流量を0.5Nm3/分以上、好ましくは1〜10Nm3/分とし、単位幅当りの加熱気流の量と樹脂量との重量比(A/P)を10〜1000、好ましくは30〜800とすると、平均繊維径1μm未満の繊維を実質的にショットの発生なく製造できる。
【0015】
メルトブロー法により得られるショットがないか、あるいはショットが少ない極細有機繊維を使用することにより、濾材の折り加工時などにショット周辺で生じるクラックにより、大きな空隙が濾材内に生じて、捕集効率が低下することを防止できる。
なお、この出願発明でいうショットとは、直径約10μm以上の樹脂の塊を言う。
また、ショットが発生しなくなる加熱気流の流量やノズルから吐出する樹脂量は、メルトブロー法により繊維を製造する装置の構造、樹脂の種類、及び樹脂の紡糸温度や加熱気流の温度などの製造条件などにより変動する。
【0016】
熱融着性繊維は、極細有機繊維を熱融着できるものであればよく、低融点成分の全溶融型繊維、高融点成分と低融点成分の熱融着性複合繊維などが使用できる。
熱融着性複合繊維は接着後も高融点成分の骨格が残り、濾材の空隙を保持できるのでより好ましい。
【0017】
熱融着性複合繊維は、高融点成分が芯、低融点成分が鞘となる芯鞘型複合繊維、偏芯芯鞘型複合繊維、高融点成分と低融点成分が貼り合せ構造となるサイドバイサイド型複合繊維、低融点成分の海に高融点成分の島が分布した海島型複合繊維などがとくに好ましい。
【0018】
熱融着性繊維の低融点成分は、極細有機繊維の融点よりも低いものであり、20℃以上低いものが好ましい。
20℃以上低くすることにより、熱融着性繊維の低融点成分により接着する際に、極細有機繊維が溶融したり、フィルム化が生じないため、極細有機繊維による微細な空隙を有する構造にすることができる。
【0019】
熱融着性繊維の平均繊維径は5〜100μmであり、10〜50μmであることがとくに好ましい。
熱融着性繊維の平均繊維径が5μmよりも細いと、圧力損失を低く保つことが難しくなると共に濾材の強度が不足気味となることがあり、一方、100μmよりも太いと、極細有機繊維との均質な混合が難しくなり、局所的に圧力損失の高い部分が生じたり、十分な捕集能力が得られないことがある。
【0020】
熱融着性繊維は、極細有機繊維との混合のし易さなどを考慮すると短繊維が好ましい。
また、ステープルファイバーなどの繊維製造工程で延伸処理されたものを使用すると、濾材の空隙を保持するのに十分な強度が得られるのでより好ましい。
【0021】
極細有機繊維と熱融着性繊維の配合割合(重量比)は、90:10〜50:50であることが好ましく、とくに90:10〜60:40であることが好ましい。
極細有機繊維の量が50より少ない場合には、捕集効率が低くなることがあり、一方、熱融着性繊維の量が10より少ない場合には、圧力損失が上昇したり、得られる濾材の表面耐性や強度が不足することがある。
【0022】
極細有機繊維と熱融着性繊維とを混合して繊維ウェブを形成する方法としては、例えば、メルトブロー法により形成された加熱気体流中の紡糸された繊維流に、開繊された熱融着性繊維を供給して両者を混合し、捕集体上に捕集して繊維ウェブを形成することにより製造することが好ましい。
【0023】
また、極細有機繊維と熱融着性繊維とを混合した繊維ウェブは、熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以下の温度で加圧処理することが好ましい。
具体的には、例えば、低融点成分がポリエチレン樹脂の場合には表面温度80〜120℃のプレス機やロールなどで加圧して厚みを圧縮することが好ましい。
このようにすると、極細有機繊維と熱融着性繊維のいずれをもフィルム化させることなく、繊維ウェブを緻密にできるため、得られる濾材の圧力損失を増大させずに捕集効率を向上できる。
【0024】
加圧処理することにより製造されたウェブは、熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以上で極細有機繊維を構成する樹脂の融点より低い温度で、実質的に加圧せずに加熱処理することが好ましい。
実質的に加圧せずに加熱処理するとは、加熱カレンダーロールや熱プレス機などのように加圧状態で加熱処理するものではないことを意味しており、例えば、雰囲気温度を上記の温度に調節したドライヤー内を通す方法や、上記の温度の気体を繊維ウェブ内に通過させる方法などによる無圧状態での加熱処理をいう。
具体的には、例えば、低融点成分がポリエチレン樹脂、極細有機繊維がポリプロピレン樹脂からなる場合には、熱風ドライヤーなどを用いて140〜150℃の熱風で処理することが好ましい。
このようにすると、加熱ロールなどにより接着する場合のように、接着が繊維ウェブの表層付近に偏って生じたり、ロールの接触圧などにより低融点成分がフィルム化することがなく、繊維ウェブの全体にわたって熱融着性繊維の低融点成分が他の繊維との接触点で接着するため、均質で強固な結合が得られる。
【0025】
このような条件で加圧処理及び熱風処理により製造された濾材は、内部まで均質に繊維接着されているため、薄く、表面の磨耗耐性が優れており、強度があって折り加工などができ、緻密であって微粒子の捕集性能に優れている。
しかも、繊維の接着の際に繊維がフィルム化して空隙を塞ぐことがないため、圧力損失もあまり大きくならないという効果がある。
【0026】
この出願発明の濾材は、メルトブロー法によって製造された平均繊維径1μm未満の極細有機繊維と、平均繊維径5〜100μmの熱融着性繊維とを混合した繊維ウェブが、熱融着性繊維により結合されているため、風速5.3cm/秒の条件下で、直径0.3μmの粒子の捕集効率が99.97%以上となるように調整することができる。
また、この出願発明により、有機材料のみからなり、しかも、エレクトレット化などの処理をせずにヘパフィルターのグレードの捕集効率、圧力損失を始めて実現することができる。
【0027】
なお、より高い捕集能力を要求される場合には、濾材又は濾材を構成する繊維にエレクトレット化処理を施しても良い。
【0028】
また、この出願発明の濾材の厚みは0.1〜1.5mm、とくには0.3〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。
この範囲にすることにより、折り加工などにより大きな表面積のユニットを構成できるのでとくに好ましい。
【0029】
この出願発明の濾材の製造方法の一例を以下に説明する。
図1の濾材の製造工程図に示すように、この出願発明の濾材1は、メルトブロー装置用のダイ5を用いて極細有機繊維2を形成すると共に、開繊機6により開繊した熱融着性繊維3をこの極細有機繊維と混合し、この混合した繊維をコンベヤーベルトなどの捕集体7上に捕集して繊維ウェブ4とした後、ドライヤーなどの加熱処理装置8を通して熱融着性繊維により構成繊維を結合することにより製造することができる。
【0030】
極細有機繊維2はメルトブロー装置用のダイ5を使用してメルトブロー法により形成される。図2に示すように、ダイ5には溶融樹脂を吐出するノズル51とこのノズル近傍から加熱気流を吹き出す熱気流吹出し口52とが設けられており、ノズルから押出した溶融樹脂を加熱気流により細化して極細有機繊維を形成する。
通常、ノズル51は複数個、所定間隔で直線上に並んでおり、この両側に連続したスリットの形状で熱気流吹出し口52を設ける。
また、この出願発明では溶融樹脂の吐出量を大幅に制限すると共に、加熱気流の流量を高めることにより、平均繊維径1μm未満でショットがほとんどない極細有機繊維を供給することができる。
【0031】
熱融着性繊維3は開繊機6を使用して開繊した繊維を、上記の極細有機繊維の繊維流に供給して混合する。
開繊機6としては、カード機、ガーネット機などが使用できるが、図3に示すように、複数の開繊シリンダー61をハウジング62に収納した開繊機が好ましい。
この開繊機は、シリンダーの遠心力により繊維をハウジング内壁に衝突させることにより開繊している。このため、カード機などのように繊維にクリンプがなくても開繊できる。
また、この開繊機では繊維の長さや太さなどの制約もカード機に比べて受けにくい。
【0032】
開繊された熱融着性繊維を極細有機繊維の繊維流に供給する場合には、極細有機繊維の繊維流に対して、できるだけ垂直な方向から供給した方が繊維を均質に混合しやすくなるので好ましい。
メルトブロー法による極細有機繊維の繊維流が水平方向に形成される場合には、上部より熱融着性繊維を落下させて供給しても良いが、図1のように、極細有機繊維の繊維流が垂直方向に形成される場合には、図3の開繊機6のように、エアーノズル63などを設けて熱融着性繊維を水平方向(繊維流に垂直方向)に供給することが好ましい。
【0033】
なお、必要な場合には、熱融着性繊維の供給角度を調節して、厚み方向の熱融着性繊維の分布を変えて、厚み方向に粗密構造ができるようにしても良い。
【0034】
混合された極細有機繊維2と熱融着性繊維3とをコンベヤーベルトなどの捕集体7に捕集して繊維ウェブ4を形成する。
捕集体としては、ロール、ネットなども使用できる。気体流の衝突で繊維ウェブが乱れたり、飛散したりしないように、捕集体は通気性であることが好ましく、更には捕集体の捕集面の反対側へ気体を吸引していることが好ましい。
【0035】
ついで、繊維ウェブ4を加熱処理装置8により加熱処理して、熱融着性繊維3により構成繊維を結合することにより濾材1を製造する。
この加熱処理装置8としては、ドライヤー、熱風ドライヤー、吸引付きのドライヤーなどを使用することが好ましく、実質的に加圧しない状態(無圧下)で加熱処理することが好ましい。
また、加熱条件は極細有機繊維が溶融しない融点未満の温度で、熱融着性繊維が接着する低融点成分の融点以上の温度とすることが好ましい。
このような条件下で熱融着性繊維を加熱接着させると、繊維ウェブの厚み方向に均質に接着することができ、しかも、極細有機繊維が形成する微細な空隙構造が加熱処理により潰れないので良い。
【0036】
なお、濾材1をより緻密な構造にする場合、及びより薄い厚みにする場合には、加熱処理の前に、加圧処理装置9により加圧処理することが好ましい。
この加圧処理装置9としては、加圧ロール、プレス機などが使用できるが、図1に示すような加熱装置91を内側に配置した一対の無限軌道92の間で加圧処理する装置がとくに好ましい。
この装置9では、加圧ロールなどに比べて加圧している時間が長いため、強いせん断力が繊維ウェブに加わりにくく、得られる濾材の圧力損失を上昇させにくいので良い。
加圧処理は熱融着性繊維3がフィルム化して濾材の微細な空隙を塞がないように、熱融着性繊維3の低融点成分が溶融しない融点未満の温度で行われることが好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、この出願発明を実施例により具体的に説明する。
【0038】
実施例1
図1に示す製造工程により濾材を製造した。また、メルトブロー装置用のダイとして、図2に示すダイを使用した。
ダイには、直径0.2mmのノズルが0.8mm間隔で直線状に900個設けられており、その両側にスリット状の加熱気流の吹出し口が形成されている。
ノズル近傍の温度を330℃に調整し、溶融したポリプロピレン樹脂(メルトインデックス=約600)を一つのノズル当り0.033cm3/分の樹脂量で吐出する。また、加熱気流の流量は1m幅当り2Nm3/分とする。
これにより、ダイからメルトブローされた平均繊維径0.5μmの極細有機繊維のショットが実質的に含まれない繊維流を形成する。
一方、図3に示す開繊機により、芯がポリプロピレン樹脂、鞘がポリエチレン樹脂である平均繊維径16μm、長さ51mmの熱融着性繊維を開繊し、エアーノズルにより、極細有機繊維の繊維流に略直角方向から供給し、混合した。
混合された繊維をコンベヤーベルト上に捕集して繊維ウェブを形成した。なお、ベルトはメッシュ体であって、ベルトの捕集面から裏面へと厚さ方向に吸引し、繊維ウェブの繊維の乱れを防いだ。得られた繊維ウェブには、極細有機繊維が85g/m2、熱融着性繊維が30g/m2含まれており、全体の重さは115g/m2であった。
この繊維ウェブをポリエチレン樹脂の融点より低い120℃の温度で20秒間加圧処理した後、ポリエチレン樹脂の融点より高く、ポリプロピレン樹脂の融点より低い145℃の雰囲気温度のドライヤーで、気流を繊維ウェブの厚み方向に通過させて加熱処理して、熱融着性繊維で結合し、厚み0.9mmの濾材を得た。
この濾材の初期圧力損失は、350Pa、捕集効率は99.99%で、ヘパグレードの能力を示した。なお、測定は風速5.3cm/秒の条件で行い、試験粒子としては粒径0.3μmのポリスチレン粒子を使用した。
この捕集効率は、通常の大気を3か月間通風した後も同じであり、安定した能力を示した。
また、この濾材は強度にも優れ、プリーツ加工などの折り加工を施しても問題がなく、繊維が折れたり、脱絡したりすることもなかった。更には、有機繊維だけで構成されているため、焼却が可能で廃棄の問題もない。
【0039】
比較例1
極細有機繊維の平均繊維径を2μmとし、極細有機繊維と熱融着性繊維との配合量、装置および製造工程を実施例1と同様にして濾材を作成した。
この濾材の初期圧力損失は、210Pa、捕集効率は87.9%であり、捕集能力が明らかに不足していた。
【0040】
比較例2
比較例1で得られた濾材をコロナ放電法によりエレクトレット化処理した。
得られた濾材の初期圧力損失は、210Pa、捕集効率は99%であったが、この濾材の捕集効率は通常の大気を3か月間通風した後、95%まで低下し、安定した捕集能力は得られなかった。
【0041】
実施例2
メルトブローされた平均繊維径0.3μmの極細有機繊維を50g/m2と、芯がポリプロピレン樹脂、鞘がポリエチレン樹脂からなる平均繊維径16μm、長さ51mmの熱融着性繊維を30g/m2とを使用し、実施例1と同様にして厚さ0.6mm、面密度80g/m2の濾材を作成した。
この濾材の初期圧力損失は、350Pa、捕集効率は99.99%で、ヘパグレードの能力を示した。また、捕集効率は通常の大気を3か月間通風した後も同じであり、安定した能力を示した。
また、この濾材は強度にも優れ、プリーツ加工などの折り加工を施しても問題がなく、繊維が折れたり、脱絡したりすることもなかった。更には、有機繊維だけで構成されているため、焼却が可能で廃棄の問題もない。
【0042】
実施例3
メルトブローされた平均繊維径0.5μmの極細有機繊維を45g/m2と、芯がポリプロピレン樹脂、鞘がポリエチレン樹脂からなる平均繊維径16μm、長さ51mmの熱融着性繊維を60g/m2とを使用し、実施例1と同様にして厚さ0.8mm、面密度105g/m2の濾材を作成した。
この濾材の初期圧力損失は、107Pa、捕集効率は99%であった。また、捕集効率は通常の大気を3か月間通風した後も同じであり、安定した能力を示した。
また、この濾材は強度にも優れ、プリーツ加工などの折り加工を施しても問題がなく、繊維が折れたり、脱絡したりすることもなかった。更には、有機繊維だけで構成されているため、焼却が可能で廃棄の問題もない。
【0043】
【発明の効果】
この出願発明の濾材は、メルトブロー法によって製造された平均繊維径1μm未満の極細有機繊維と、平均繊維径5〜100μmの熱融着性繊維とを混合した繊維ウェブが、熱融着性繊維により結合されているため、低い圧力損失を維持した状態で高い捕集効率を得ることができる。このため、この出願発明の濾材はエレクトレット化処理などを施さずに、ヘパグレードの捕集能力を持つ濾材を提供することもできる。
また、この濾材はエレクトレット化処理を施した濾材のように捕集能力が使用時間と共に低下することがなく、長期に亘り安定した捕集能力を有する。
さらには、有機材料のみから構成されているため焼却が可能で廃棄も容易であり、ホウ素などを含まないので、半導体工業用の濾材としても問題なく使用できる。
【0044】
とくに、平均繊維径1μm未満の極細有機繊維を50〜90重量%、平均繊維径5〜100μmの熱融着性繊維を50〜10重量%の割合で含む場合には、ヘパグレードの高い捕集効率が実現できる。
【0045】
また、この出願発明の濾材は、熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以上で、極細有機繊維の融点より低い温度で実質的に加圧せずに加熱処理されている場合、内部まで均質に繊維接着されるため、薄く、表面の耐磨耗性が優れており、強度があるので折り加工などができ、緻密であるので微粒子の捕集性能に優れている。
しかも、繊維の接着する際に繊維がフィルム化して空隙を塞ぐことがないため、初期圧力損失もあまり大きくならないという優れた効果がある。
【0046】
さらに、不織布の厚みが0.1〜1.5mmの場合には、折り加工などをすることにより大きな表面積のユニットを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 濾材の製造工程の一例を示す図
【図2】 メルトブロー装置用ダイの一例の断面模型図
【図3】 開繊機の一例の断面模型図
【符号の説明】
1 濾材
2 極細有機繊維
3 熱融着性繊維
4 繊維ウェブ
5 メルトブロー装置用ダイ
51 ノズル
52 熱気流吹き出し口
6 開繊機
61 開繊シリンダー
62 ハウジング
63 エアーノズル
7 捕集体
8 加熱処理装置
9 加圧処理装置
91 加熱装置
92 無限軌道

Claims (7)

  1. メルトブロー法によつて製造された平均繊維経1μm未満の極細有機繊維40〜90重量%と、平均繊維径5〜100μmの短繊維からなる熱融着性繊維60〜10重量%とを混合した繊維ウェブが、熱融着性繊維により結合されている濾材であって、該濾材のエレクトレット化されていない状態において、風速5.3cm/秒の条件下で直径0.3μmの粒子の捕集効率が99%以上であることを特徴とするエアフィルター用濾材。
  2. 平均繊維径1μm未満の極細有機繊維を50〜90重量%、平均繊維径5〜100μmの熱融着性繊維を50〜10重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のエアフィルター用濾材。
  3. 厚みが0.1〜1.5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルター用濾材。
  4. 極細有機繊維と熱融着性繊維とを混合した繊維ウェブが、熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以下の温度で、加圧処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
  5. 熱融着性繊維に含まれる低融点成分の融点以上で、しかも、極細有機繊維の融点より低い温度で、実質的に加圧せずに加熱処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
  6. メルトブロー法による極細有機繊維が、ショットがないか、あるいはショットが少ない繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
  7. 濾材が、風速5.3cm/秒の条件下で、直径0.3μmの粒子の捕集効率が99.97%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
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