JP3656992B2 - 成形物の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光ディスク基板などになる成形物を冷却すると共に、反りを低減する処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、DVD基板やコンパクトディスク基板のような光ディスク基板は射出成形される。ディスク基板の成形について、図3により説明すると、一対の金型10、11内にディスク基板となる樹脂材料が射出され、成形ディスク基板1’が成形される。このとき、成形ディスク基板1’の一方の面に所定の情報が記録される。次に、同図(B)に示すように金型10、11が両側に開き、取り出し機構(図示せず)の取り出しアーム12が前進して金型10と11との間に入り、温度が高くて未だ柔らかい成形ディスク基板1’を吸着保持すると後退し、金型10、11外に取り出す。
【0003】
次に、同図(C)に示すように、金型10、11外に取り出された成形ディスク基板1’は、ある位置で直接搬送機構の搬送アーム13に吸着保持され、搬送アーム13によって次の冷却用ステージ14に搬送される。この点についてもう少し詳しく説明すると、金型10、11外に取り出され、取り出しアーム12の先端部の吸着部12aに吸着保持されている成形ディスク基板1’は、取り出しアーム12に吸着保持された面とは反対の面を、搬送アーム13の先端部に設けられた吸着保持部13aにより吸着される。このとき、ほぼ同時に取り出しアーム12の吸着部12aは吸着を解除する。しかる後、搬送アーム13は成形ディスク基板1’を吸着保持した状態でほぼ180度旋回し、成形ディスク基板1’を冷却用ステージ14に移載する。成形ディスク基板1’は冷却用ステージ14で冷却され、その樹脂材料は固化して、ディスク基板1となる。例えば、その固化温度は90℃程度である。
【0004】
前述のように、成形機の金型から取り出された直後の成形ディスク基板1’は温度が高く、十分に柔らかい状態にあるため、冷却されてその樹脂材料が固化し、ディスク基板1となる過程でかなりの変形、つまり反りが発生することが分かっている。この反りを低減するために、従来では金型の温度を調整したり、あるいは金型10と金型11間に温度差を付けて低減したり、又は樹脂材料を射出する際の圧力を調整するなど、射出成形時の種々の条件を調整していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述のようにして反りの小さい成形ディスク基板1’が得られたとしても、成形機の金型から取り出された直後の成形ディスク基板1’は温度が高く、十分に柔らかい状態にあるため、成形ディスク基板1’を金型から取り出すとき、及び搬送機構により冷却用ステージに搬送する過程で反ってしまうという問題があることが分かった。また、冷却過程でも反りが大きくなる。この点について図4を用いて説明する。図4(A)は、成形機の金型から成形ディスク基板1’を取り出すために、取り出しアーム12の吸着部12aが成形ディスク基板1’を吸着保持したとき、又は搬送アーム13の吸着保持部13aが成形ディスク基板1’を吸着保持したときを示す。成形ディスク基板1’は温度が高く、十分に柔らかい状態にあるため、成形ディスク基板1’の中央部を吸着するとき、その吸着力で吸着側とは反対方向に曲がってしまうことを確認した。特に、DVDでは厚みが0.6mm程度と薄いので、厚みが1.2mmのコンパクトディスクに比べて、前述の湾曲の大きさが顕著になる。また、図4(B)に示すように、取り出しアーム12や搬送アーム13が成形ディスク基板1’を吸着保持した状態で比較的高速で旋回したり、移動することにより、そのときの風圧で反りが発生することも確認された。さらに、図4(C)に示すように、成形ディスク基板1’が冷却用ステージ14のディスク受台15に載置され冷却されている期間に、その自重で反りが発生する場合があることも確認した。さらにまた、成形ディスク基板1’が冷却用ステージで冷却されるとき、冷却用ステージの構造によっては成形ディスク基板1’が部分的に変形することもあった。
【0006】
以上の反りは、成形ディスク基板1’が有する中央穴(図示せず)を中心に放射外方向にほぼ対称的に生じる反りであるが、その中央穴を通る1〜3本の線に対してほぼ対照的に左右に曲がる反りもあり、そしてこの反りは、ディスク基板の製造サイクルタイムが短縮するのに伴い顕著に現れ、ディスク基板の反りを大きくしてしまうという問題もある。
本発明はこのような従来の問題点を解決するため、成形物の状態、つまり成形機から取り出した柔らかい状態の成形物の温度ができる限り低下しない内に高速回転させて遠心力を働かせ、反りや変形を低減すると同時に冷却することにより、反りや変形が許容範囲内の小さな、あるいは実質的に反りや変形の無い成形物を得ると共に、冷却ラインを短くすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、請求項1の発明は、成形機から取り出された温度の高い円形板状の基板からなる成形物を処理する方法において、前記成形物の板状面の方向を変えることなく同一方向に向けたままの状態で、前記成形物を前記成形機から回転機構に搬送し、前記回転機構において、前記成形物の前記板状面の方向を前記搬送時と同じ方向に向けた状態で、前記成形物を3000rpm以上の回転速度で高速回転させ、その遠心力で前記成形物の反りを低減、及び/又は冷却することを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を提案するものである。この発明によれば、成形物を早期に高速回転できるので、柔らかい状態の成形物に遠心力による引っ張り力を与えて反りを低減すると共に、効率良く冷却を行える。
【0008】
請求項2の発明は、上記課題を解決するため、請求項1において、前記成形物の前記板状面を鉛直方向に向けて前記成形物を高速回転させることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を提案するものである。請求項2によれば、成形機に合わせて、成形物を早期に高速回転でき、成形物の低減と冷却を効率良く行える。
【0009】
請求項3の発明は、上記課題を解決するため、請求項1又は請求項2において、前記成形物が軟化している間に前記高速回転を行うことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を提案するものである。請求項3によれば、確実に成形物の低減と冷却を効率良く行える。
【0010】
請求項4の発明は、上記課題を解決するため、請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記高速回転は、好ましくは4,000rpm以上であることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を提案するものである。成形ディスク基板を4,000rpm以上で高速回転させるので、冷却は勿論のこと、有効に反りを低減できる遠心力を与えることが可能である。
【0011】
請求項5の発明では、上記課題を解決するため、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記成形物を、固化しない内に回転させ、固化した後に前記高速回転を停止することを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を特徴とする成形物の処理方法を提案するものである。請求項5によれば、確実に成形物の低減と冷却を効率良く行える。
【0012】
請求項6の発明は、上記課題を解決するため、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前記成形物の前記板状面に沿ってその板状面と平行に気体の気流を流すことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を提案するものである。請求項6によれば、回転中における成形物が波打つのを防ぐことができ、より品質の高い光ディスクが得られることにつながる。
【0013】
請求項7の発明は、上記課題を解決するため、請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前記成形物が前記高速回転された後に、前記成形物の前記板状面の方向を変更することを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法を提案するものである。成形物が固化した後に方向変更するので、その方向変更時に反りが発生することはない。
【0014】
請求項8の発明は、上記課題を解決するため、成形機から温度の高い円形板状の基板からなる成形物を取り出す搬送機構と、前記成形物を高速回転させる回転機構とを備える装置において、前記搬送機構は、前記成形機から取り出された前記成形物の板状面の方向を変えることなく同一方向に向けたままの状態で、前記成形物を前記回転機構まで搬送し、前記回転機構は、前記成形物の前記板状面の方向を前記搬送機構による搬送時と同じ方向に向けた状態で、前記成形物を3000rpm以上の回転速度で高速回転させることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置を提案するものである。この発明によれば、成形物を早期に高速回転できるので、柔らかい状態の成形物に遠心力による引っ張り力を与えて反りを低減すると共に、効率良く冷却を行える。
【0015】
請求項9の発明は、上記課題を解決するため、請求項8において、前記搬送機構は、平面又は立体方向に駆動可能な駆動アーム部と、該駆動アームの先端部に取り付けられて2本のアームを有する搬送アーム部と、これら各搬送アームの先端部に備えられた前記成形物を保持するための保持具とを備え、前記回転機構は、2個以上の成形物受台と、該成形物受台を高速回転させるための回転駆動装置とを備え、一方の前記搬送アームの前記保持具が前記成形物受台から冷却された前記成形物を受け取って別の成形物受台に載置すると同時に、その成形物受台に他方の前記搬送アームの前記保持具が保持している冷却前の前記成形物を受け渡すことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置を提案するものである。請求項9の発明では、効率良く成形物を十分に高速回転させることができるので、成形物の反りの低減と冷却を十分に行える。
【0016】
請求項10の発明は、上記課題を解決するため、請求項9において、前記各搬送アームの前記保持具の中心点間の距離と、前記回転機構の前記成形物受台の中心点と前記別の成形物受台の中心点との間の距離とが実質的に等しいことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置を提案する。請求項10によれば、成形物の高速搬送が可能であり、また装置の簡略化が図れる。
【0017】
請求項11の発明は、上記課題を解決するため、請求項8ないし請求項10のいずれかにおいて、前記成形物の前記板状面に沿ってその板状面と平行に気体の気流を流す気体供給手段を備えたことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置を提案するものである。請求項11によれば、回転中における成形物が波打つのを防ぐことができ、より品質の高い光ディスクが得られることにつながる。
【0018】
請求項12の発明は、上記課題を解決するため、請求項8ないし請求項11のいずれかにおいて、前記成形物が前記高速回転された後に、前記成形物の前記板状面の方向を変更する方向変更機構を備えることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置を特徴とする成形物の処理装置を提案するものである。請求項12によれば、成形物が固化した後に方向変更するので、その方向変更時に反りが発生することはない。
【0019】
【発明の実施の形態及び実施例】
前述のように成形機の金型から取り出された直後の成形物は温度が高く、十分に柔らかい状態にあるため、特に製造のサイクルタイムが速くなると、図3、図4に示したように成形物の円周方向の反りが搬送時の風圧、吸着保持による応力、成形時の応力、あるいは自重により大きくなる。したがって、本発明は、成形機から成形物を搬送するときに従来のように風圧などの力を成形物にできるだけ与えないことと、及び図1に示すように成形物1が高温の状態、つまりその成形材料の温度ができる限り高い状態で高速回転させるため、前記成形機から取り出された成形物の方向を変えることなく、その取り出したままの方向で高速回転させるところに大きな特徴がある。
【0020】
図1において、2は不図示の成形機の金型で成形されたばかりの成形物1を取り出す取り出しアームであり、取り出しアーム2はその成形機の動作と同期して動作する。3は多軸ロボットのような搬送機構であり、制御・駆動部3a、ベースアーム部3bの支点軸3cを中心に所定の範囲の角度で回転する第1の駆動アーム部3d、第1の駆動アーム部3dの支点軸3eを中心に所定の範囲の角度で回転する第2の駆動アーム部3f、第2の駆動アーム部3fの支点軸3gを中心に180°正逆方向に回転すると共に、紙面の表裏方向に動く回動部3h、回動部3hにより180°正逆方向に回転すると共に、紙面の表裏方向に動くことができる搬送アーム部3iなどからなる。ここで、搬送アーム部3iは、回動部3hを中心に逆方向に延びる一対のアームA、Bを備え、各アームA、Bの先端部分には成形物1を吸着保持する保持具3j、3kを有する。
【0021】
次に、4は成形機から取り出されたばかりの成形物1を高速回転させて、冷却すると同時に反りを低減する高速回転機構であり、鉛直面をもつベース部4a、そのベース部4aの鉛直面に取り付けられて高速回転を行う一対の成形物受台4b、4c、一対の成形物受台4b、4cの中間におけるベース部4aの鉛直面に設けられた隔壁部4dなどからなる。ここで、高速回転機構の一対の成形物受台4b、4cのそれぞれの中心点と成形物受台6の中心点との間の距離は等しく、それらの距離は、搬送機構3の保持具3j、3kのそれぞれの中心点と中心点との間の距離と等しくなっており、保持具3j、3kは成形物受台4b、4cのいずれか一方に載置されている成形物を受け取ると同時に、成形物受台4b、4cの空いている他方に成形物を引き渡すことができるようになっている。なお、図示していないが、成形物受台4b、4cはそれぞれ成形物1を吸着保持する吸着部を備え、それらは不図示の回転シャフトを通して真空ポンプ機構(図示せず)に結合されている。
【0022】
5は高速回転機構4のベース部4aの鉛直面に設けられた方向変更機構であり、方向変更機構5には基本位置、つまり成形物受台4b又は4cから成形物1を受け取る位置では成形物受台4b、4cと同方向に向いた成形物受台6が固定されており、先ず鉛直方向に成形物1を保持した状態で鎖線で示すように水平方向に90°だけ回転し、更に鉛直方向に90°だけ回転して成形物1を水平方向に向け、不図示のターンテーブルなどの成形物受台に載置する。
【0023】
図2をも用いて高速回転機構4について更に説明すると、ベース部4aには二つの成形物受台4b、4cをそれぞれ高速回転させるモータのような回転駆動装置4e、4fが取り付けられている。また、成形物受台4b、4cの斜め下方向には気体噴出ノズル7、8が位置しており、これら気体噴出ノズルもベース部4aに取り付けられている。気体噴出ノズル7、8はそれぞれの成形物受台4b、4cの円筒部分に斜め下側から斜め上方向に気体を吹き付け、成形物受台4b、4cの下面及びそれに吸着保持された成形物1の下面に沿って平行に気体を流すためのものである。成形物受台4b、4cを3,000rpmを越える回転数まで上昇させる過程で、成形物1がディスク基板のような合成樹脂製の薄い板の場合には波打つことがあり、成形物1の下面に沿って平行に気体を流すと、前記波打つのを防止又は低減することができと同時に、冷却効果を向上させることができる。
【0024】
次に、この処理装置の動作について説明する。この実施例では、成形物1を後の貼り合わせ工程で互いに貼り合わされる、又は光透過層となる透明はフィルムと貼り合わされて光ディスクを形成する0.6mmの厚みのディスク基板として説明する。搬送機構3が取り出しアーム2のディスク基板1を受け取るときには、保持具3j、3kのいずれにもディスク基板1は保持されておらず、空の状態である。また、このとき、高速回転機構4の成形物受台4b、4cのいずれか一方はディスク基板1を吸着保持しており、他方は吸着保持していない、つまり空の状態にある。
【0025】
不図示の成形機の金型で成形されたばかりのディスク基板1は、前記金型が開いたときに取り出す取り出しアーム2により取り出され、所定位置で搬送機構3の保持具3jに受け渡される。搬送機構3は多軸ロボットからなり、制御・駆動部3aは予め設定された制御手順、制御量などに従って、支点軸3c、3eを中心に第1の駆動アーム部3d、及び第2の駆動アーム部3fのそれぞれを設定角度だけ回転させると共に、支点軸3gを中心に回動部3hを設定角度だけ回転させると同時に紙面表裏方向に所定距離だけ移動させることにより、搬送アーム部3iを予め決められた角度と所定距離だけ動かす。
【0026】
このような動作を行って取り出しアーム2からディスク基板1を保持具3jに受け取った搬送アーム部3iは、前述のような多軸ロボットの動作によって、保持具3jを高速回転機構4の一方の成形物受台4bに、また保持具3kを成形物受台4cに合わせ、回動部3hが紙面裏方向に動くことにより、保持具3jに吸着保持されたディスク基板1を成形物受台4bに受け渡すと同時に、保持具3kが高速回転機構4の他方の成形物受台4cに吸着保持された冷却済のディスク基板1を吸着保持する。そして、搬送機構3は所定の動作を行って、保持具3kに吸着保持された冷却済のディスク基板1を方向変更機構5に固定された成形物受台6に受け渡す。方向変更機構5は先ず鉛直方向にディスク基板1を保持した状態で鎖線で示すように水平方向に90°だけ回転し、更に鉛直方向に90°だけ回転してディスク基板1を水平方向に向ける。
【0027】
高速回転機構4の回転駆動装置4e、4fは、成形物受台4b、成形物受台4cを、例えば10,000rpmまで回転させる能力を有する。本件出願人の先の出願、特願2001−197738号の記載によれば、ディスク基板1の回転数が4,000rpm程度まで上昇するのに伴い、ディスク基板1の反りはますます低減されるが、回転数が4,000rpm程度を超えると、ディスク基板1の反りはほとんど低減されず、一定のままとなる。したがって、ディスク基板1の回転数は4,000rpm程度又はそれ以上の速度で回転させれば、反りを実質的に最も小さくできることになる。
【0028】
しかし、ディスク基板1の回転数が4,000rpmよりも低い場合にも、ディスク基板1の反りは低減されるので、反りの低減や冷却という面では回転数は4,000rpm程度以下でも十分な効果を得ることができる。気体噴出ノズル7、8が存在しない場合には、ディスク基板1の回転数が3,000rpmよりも小さい場合には、ディスク基板1が回転中に上下に波打ち、水平に安定して回転しないが、気体噴出ノズル7、8の働きによりディスク基板1が回転中に上下に波打つことがなく、全体的な反りは低減される。貼り合わせてなるDVDの反り角の許容値は0.3度であり、1枚のディスク基板については反り角の制限は無いが、回転数が3,000rpm程度では反り角は0.2以下とかなり小さく、これらを貼り合わせても許容値の0.3度よりも小さいDVDが得られるので、ディスク基板1の回転数は3,000rpm程度以上が好ましく、更には4,000rpm程度、あるいはそれ以上であることが好ましい。
【0029】
ここで、ディスク基板1はその回転によって強制空冷されることになるので、ディスク基板1の温度は自然放置による冷却に比べて急激に低下する。一例として、室温中で回転数が5,000rpmのとき、その樹脂材料が固化の開始する90℃程度の温度まで低下するのに2秒程度である。ディスク基板1の温度が90℃程度よりも下がると、5,000rpmの回転数によっても反りが実質的に低減されず、このことから90℃程度がこの実施例で用いたディスク基板1の樹脂材料が固化する温度であることが分かる。
【0030】
この実施例で重要なのは、第1点として、成形されたばかりの温度の高い柔らかいディスク基板1は、不図示の成形機から取り出された方向のまま、搬送機構3により高速回転機構4の成形物受台4b、4cに搬送され、その方向のまま高速回転させるので、その高速回転により冷却されると同時に、その遠心力でディスク基板1の反りを低減できるところにある。したがって、ディスク基板1の温度が高く柔らかい状態では方向変更をしないので、温度が高く柔らかいディスク基板1を早期に高速搬送でき、反りをより小さくできる。このことは、温度が高く柔らかいディスク基板1の搬送速度を大きくでき、またディスク基板1の反りを低減でき、品質の高い光ディスクを得ることができることにつながる。
【0031】
第2点として、単一の搬送機構3で、高速回転機構4の二つの成形物受台4b、4cのいずれか一方に温度が高く柔らかい状態のディスク基板1を渡すと同時に、成形物受台4b、4cのいずれか他方の冷却済のディスク基板1を受け取ることができるので、温度が高く柔らかい状態のディスク基板1を冷却し、反りを低減する時間を十分に取ることができ、しかも搬送機構3と高速回転機構4の動作を簡易なものにでき、搬送の高速化が可能になるために、単一の搬送機構3で成形物受台6までディスク基板1を搬送できる。
【0032】
以上の具体的説明では、成形物1をディスク基板として説明したが、合成樹脂材料、金属材料、それらの混合材料などを成形してなる他の成形物でも勿論よく、また、搬送機構も取り出しアーム2の成形物1をそれぞれが成形物受台4b、4cに搬送する搬送機構を二つ組み合わせたものでも良い。さらに以上の実施例では、冷却時間を十分に確保するために、高速回転機構4に2個の成形物受台4b、4cを備えたが、反りの低減を主目的とする場合には1個でも良く、一方、更に長い冷却時間を確保したい場合には3個以上の成形物受台を、成形物受台4b、4cと同等な条件下で備えても良い。なお、成形物が柔らかい状態で高速回転を行ったとき、成形物が材質によって放射外方向に延びることがあるような場合には、先ず成形物を影響のない程度の低い回転数で回転させて冷却、固化させ、しかる後に高速回転させても良い。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、反りの小さい又は反りの無い成形物を得ることができ、また成形物を効率良く冷却できるので、冷却ラインや冷却時間を短くでき、さらに成形物受台への成形物の搬送、成形物受台から成形物の他への搬送を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形物の処理装置の一実施例を説明するための図である。
【図2】本発明の装置に用いられる高速回転機構の側面を示す図である。
【図3】従来のディスク基板の反りについて説明するための図である。
【図4】従来のディスク基板の反りについて説明するための図である。
【符号の説明】
1−成形物
2−取り出しアーム
3−搬送機構
3a−制御・駆動部 3b−ベースアーム部
3c、3e、3g−支点軸 3d、3f−第1、第2の駆動アーム部
3h−回動部 3i−搬送ア−ム部
4−高速回転機構
4a−ベース部 4b、4c−成形物受台
4d−隔壁部 4e、4f−回転駆動部
5−方向変更機構
6−成形物受台
7、8−気体噴出ノズル
Claims (12)
- 成形機から取り出された温度の高い円形板状の基板からなる成形物を処理する方法において、
前記成形物の板状面の方向を変えることなく同一方向に向けたままの状態で、前記成形物を前記成形機から回転機構に搬送し、
前記回転機構において、前記成形物の前記板状面の方向を前記搬送時と同じ方向に向けた状態で、前記成形物を3000rpm以上の回転速度で高速回転させ、その遠心力で前記成形物の反りを低減、及び/又は冷却することを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 請求項1において、
前記成形物の前記板状面を鉛直方向に向けて前記成形物を高速回転させることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 請求項1又は請求項2において、
前記成形物が軟化している間に前記高速回転を行うことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
前記高速回転は、好ましくは4,000rpm以上であることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、
前記成形物を、固化しない内に回転させ、固化した後に前記高速回転を停止することを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記成形物の前記板状面に沿ってその板状面と平行に気体の気流を流すことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記成形物が前記高速回転された後に、前記成形物の前記板状面の方向を変更することを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理方法。 - 成形機から温度の高い円形板状の基板からなる成形物を取り出す搬送機構と、前記成形物を高速回転させる回転機構とを備える装置において、
前記搬送機構は、前記成形機から取り出された前記成形物の板状面の方向を変えることなく同一方向に向けたままの状態で、前記成形物を前記回転機構まで搬送し、
前記回転機構は、前記成形物の前記板状面の方向を前記搬送機構による搬送時と同じ方向に向けた状態で、前記成形物を3000rpm以上の回転速度で高速回転させることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置。 - 請求項8において、
前記搬送機構は、平面又は立体方向に駆動可能な駆動アーム部と、該駆動アームの先端部に取り付けられて2本のアームを有する搬送アーム部と、これら各搬送アームの先端部に備えられた前記成形物を保持するための保持具とを備え、
前記回転機構は、2個以上の成形物受台と、該成形物受台を高速回転させるための回転駆動装置とを備え、
一方の前記搬送アームの前記保持具が前記成形物受台から冷却された前記成形物を受け取って別の成形物受台に載置すると同時に、その成形物受台に他方の前記搬送アームの前記保持具が保持している冷却前の前記成形物を受け渡すことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置。 - 請求項9において、
前記各搬送アームの前記保持具の中心点間の距離と、前記回転機構の前記成形物受台の中心点と前記別の成形物受台の中心点との間の距離とが実質的に等しいことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置。 - 請求項8ないし請求項10のいずれかにおいて、
前記成形物の前記板状面に沿ってその板状面と平行に気体の気流を流す気体供給手段を備えたことを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置。 - 請求項8ないし請求項11のいずれかにおいて、
前記成形物が前記高速回転された後に、前記成形物の前記板状面の方向を変更する方向変更機構を備えることを特徴とする円形板状の基板からなる成形物の処理装置。
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