JP3656803B2 - 畦塗り機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受けて駆動する前処理体及び整畦体を備え、前処理体及び整畦体による整畦と同時に畦の内側に溝を形成する畦塗り機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体、及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体を備え、前記前処理体及び整畦体による畦成形と同時に溝を形成する溝切り装置を設けた畦塗り機が周知である。
【0003】
上記畦塗り機による整畦作業は、春先に行われる圃場の耕耘・代掻作業の前、あるいは圃場に湛水する前に行われるのが一般的であるが、整畦作業−耕耘・代掻作業−田植作業の連続を、短期間に集中して行わなければならないので、農家は多忙をきわめる。そこで、稲を収穫して後、秋から冬にかけての農閑期に整畦作業を済ませておく地域、作業体系がある。この場合、圃場は排水しておいて、土壌を乾燥させること(乾土効果)が望ましく、このため、整畦後に畦の内側に溝切り専用機を用いて排水溝を形成して、圃場の排水性が良好となるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、畦塗り機による整畦作業とは別に、溝切り専用機により排水溝を形成する作業を行っているので、畦塗り機と溝切り専用機を必要とするばかりでなく、畦塗り機による整畦作業と、溝切り専用機による排水溝形成作業を2行程に行う手間を必要とする、といった問題点があった。本発明は、このような問題点を解決することを目的になされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、
A.走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体を備え、前記前処理体及び整畦体による畦成形と同時に溝を形成する溝切り装置を設けた畦塗り機において、
上記溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方で、整畦体のドラムの内端部に対向して設けられ、前処理体により耕耘された耕耘跡を下方に切削するコールタと、このコールタと整畦体のドラムの内端部との間の土壌を外側に排出して溝を形成する排土板とを設け、畦の内側に溝を形成することを特徴としている。
【0006】
B.上記溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方において、整畦体のドラムに近接して、ドラムにより整形された畦の基部を填圧する填圧ローラと、この填圧ローラの内側の前処理体により耕耘された土壌を排出して溝を形成する排土板とを設け、畦の内側に溝を形成することを特徴としている。
【0007】
【作用】
上記の構成により本発明の畦塗り機は、以下の作用を行う。
上記A.の構成によって、溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方で、整畦体のドラムの内端部に対向して設けられ、前処理体により耕耘された耕耘跡を下方に切削するコールタと、このコールタと整畦体のドラムの内端部との間の土壌を外側に排出して溝を形成する排土板とを設けることで、前処理体により耕耘された土壌を整畦体が回転しながら整畦し、この整畦と同時にコールタよって前処理体により耕耘された耕耘跡を下方に切削し、このコールタによる切削位置と整畦体のドラムの内端部との間の土壌を排土板により外側に排出して畦の内側に溝を形成する。
【0008】
上記B.の構成によって、溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方において、整畦体のドラムに近接して、ドラムにより整形された畦の基部を填圧する填圧ローラと、この填圧ローラの内側の前処理体により耕耘された土壌を排出して溝を形成する排土板とを設けることで、前処理体により耕耘された土壌を整畦体が回転しながら整畦し、この整畦と同時に整形された畦の基部を填圧ローラにより填圧し、この填圧ローラによる填圧位置の内側の土壌を排土板により排出して畦の内側に溝を形成する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1及び図2に示す第1実施例において、符号1は図示しないトラクタの後部に設けられたトップリンク及びロアリンクからなる三点リンク連結機構に連結されて、整畦作業を行う畦塗り機である。この畦塗り機1は、図示しない前部フレームに、前方に向け突出し、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント及び伝動軸を介して動力を受ける入力軸を有する入力部を設け、また、上方に突出するトップリンク連結部を設けると共に、左右にロアリンク連結部を設け、トラクタの三点リンク連結機構に連結するようにしている。
【0010】
上記入力部から後方に突出した出力軸(図示せず)から、両端にユニバーサルジョイントを装着した伝動軸を介して、本体フレームを兼ねる伝動フレーム2の前側に突出した入力軸3に動力が伝達される。この伝動フレーム2の一側から、前処理体伝動ケース4を介して元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げるロータリ耕耘装置からなる前処理体5の耕耘軸6に動力が伝達される。耕耘軸6の軸周には、放射方向に多数の耕耘爪7が取付けられている。
【0011】
前処理体5の後方に位置して、前処理体5により耕耘された土壌を畦に成形する多角円錐状ドラム11からなる整畦体10が偏心回転するように設けられ、その回転軸9に、伝動フレーム2から整畦体伝動ケース8を介して動力が伝達される。整畦体10の回転中心部の外側部には、水平筒状体12が一体的に連結されて設けられ、多角円錐状ドラム11と共に回転して、多角円錐状ドラム11により成形された畦の頂部を平らに成形するようにしている。なお、上記耕耘軸6及び回転軸9は、機体の進行方向に対してほぼ直交する方向に延びているが、これらの軸方向を変更可能にしてもよく、また、前処理体5、整畦体10及び後述する溝切り装置13、ゲージホイール16等をトラクタからの左右オフセット量を調節可能にしてもよいものである。また、前処理体5の後方には、耕耘されて放擲される土壌を元畦の方向に案内する土壌案内板が設けられている。
【0012】
前処理体5及び整畦体10の後方で、整畦体10の多角円錐ドラム11の内端部に接近して、前処理体5及び整畦体10による畦成形と同時に、形成された畦の内側に溝を形成する溝切り装置13を設けている。この溝切り装置13は、前処理体5により耕耘された耕耘跡を填圧して溝を形成する溝整形ローラ14を、上下調節装置15により軸支し、上下調節装置15によって上下調節可能にしている。この溝切り装置13は、自転ばかりでなく、強制駆動する構成にしてもよい。
【0013】
伝動ケース9の他側(図面で左側)には、三角ディスク状のゲージホイール16が上下調節装置17により上下調節可能に支持されている。このゲージホイール16は、上下調節装置17により上下調節することにより、畦塗り機1の接地高さが調節され、前処理体5、整畦体10及び溝切り装置13の作用深さが調節されて、形成される畦の高さ、溝の深さを変えることができる。また、整畦体10は、その伝動ケース8の基部が上下方向に回動可能になっており、上下調節装置18により上下調節することによって、整畦体10の作用高さが調節可能となっている。
【0014】
このような構成の第1実施例の畦塗り機1においては、トラクタの後部に三点リンク連結機構を介して連結され、トラクタから入力部に動力を受けて伝動軸を介して入力軸3に伝達され、伝動フレーム2から伝動ケース4及び8を介して前処理体5及び整畦体10を駆動してトラクタの走行と共に整畦作業を行うと同時に、溝切り装置13により排水溝が形成される。整畦体10及び溝整形ローラ14においては、予め上下調整装置15,18により上下調節しておくが、前処理体5、整畦体10及び溝切り装置13等の全体の作用深さを調節するときは、上下調節装置17によりゲージホイール16を上下調節することにより行う。
【0015】
前処理体5では元畦の一部及び圃場を耕耘して土壌案内板により元畦側に対して畦状に盛り上げ、その盛り上げられた土壌を整畦体10が回転してその多角円錐状ドラム11によって畦法面を叩いて目的とする畦に成形する。この畦に成形と同時に、畦の内側に溝整形ローラ14によって、前処理体5により耕耘された土壌を填圧して所定幅及び深さの排水溝が形成される。この排水溝は、圃場内の水を圃場外に排出するのに用いられ、土壌を乾燥して乾土効果を高める。
【0016】
図3及び図4に示す本発明の第2実施例のものでは、溝切り装置13を、前処理体5及び整畦体10の後方において、整畦体10の多角円錐ドラム11の内端部に対向して、前処理体5により耕耘された耕耘跡を下方に切削するコールタ19を上下調整装置15に軸支して設け、このコールタ19と多角円錐ドラム11の内端部との間の土壌を外側に排出して溝を形成する排土板20を設けている。そして、前処理体5により耕耘された土壌を整畦体10が回転しながら整畦し、この整畦と同時にコールタ19によって前処理体5により耕耘された耕耘跡を下方に切削し、このコールタ19による切削位置と多角円錐ドラム11の内端部との間の土壌を排土板20により外側に排出して排水溝を形成する。
【0017】
図5及び図6に示す本発明の第3実施例のものでは、溝切り装置13を、前処理体5及び整畦体10の後方において、整畦体10の多角円錐ドラム11に近接して、多角円錐ドラム11により整形された畦の基部を填圧する填圧ローラ21を上下調整装置15に軸支して設けると共に、この填圧ローラ21の内側の前処理体5により耕耘された土壌を排出して溝を形成する排土板22を設けている。そして、前処理体5により耕耘された土壌を整畦体10が回転しながら整畦し、この整畦と同時に整形された畦の基部を填圧ローラ21により填圧し、この填圧ローラ21による填圧位置の内側の土壌を排土板22により排出して排水溝を形成する。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の畦塗り機によれば、以下の効果を奏することができる。
【0019】
イ.溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方で、整畦体のドラムの内端部に対向して設けられ、前処理体により耕耘された耕耘跡を下方に切削するコールタと、このコールタと整畦体のドラムの内端部との間の土壌を外側に排出して溝を形成する排土板とを設けたので、前処理体により耕耘された土壌を整畦体が回転しながら整畦し、この整畦と同時にコールタよって前処理体により耕耘された耕耘跡を下方に切削し、このコールタによる切削位置と整畦体の多角円錐ドラムの内端部との間の土壌を排土板により外側に排出して、余分な土壌が残らないきれいな溝を畦の内側に形成することができる。
【0020】
ロ.溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方において、整畦体のドラムに近接して、ドラムにより整形された畦の基部を填圧する填圧ローラと、この填圧ローラの内側の前処理体により耕耘された土壌を排出して溝を形成する排土板とを設けたので、前処理体により耕耘された土壌を整畦体が回転しながら整畦し、この整畦と同時に整形された畦の基部を填圧ローラにより填圧することで畦の基部が崩れ難く、排土板により土壌を排出して余分な土壌が残らないきれいな溝を畦の内側に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による畦塗り機の第1実施例の背面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】本発明による畦塗り機の第2実施例の背面図である。
【図4】同平面図である。
【図5】本発明による畦塗り機の第3実施例の背面図である。
【図6】同平面図である。
【符号の説明】
1 畦塗り機
2 伝動フレーム(本体フレーム)
3 入力軸
4 前処理体伝動ケース
5 前処理体
6 耕耘軸
7 耕耘爪
8 整畦体伝動ケース
9 回転軸
10 整畦体
11 多角円錐状ドラム
12 水平筒状体
13 溝切り装置
14 溝整形ローラ
15,17,18 上下調整装置
16 ゲージホイール
19 コールタ
20,22 排土板
21 填圧ローラ
Claims (2)
- 走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体を備え、前記前処理体及び整畦体による畦成形と同時に溝を形成する溝切り装置を設けた畦塗り機において、
上記溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方で、整畦体のドラムの内端部に対向して設けられ、前処理体により耕耘された耕耘跡を下方に切削するコールタと、このコールタと整畦体のドラムの内端部との間の土壌を外側に排出して溝を形成する排土板とを設け、畦の内側に溝を形成することを特徴とする畦塗り機。 - 走行機体の後部に装着され、該走行機体から動力を受け、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体及びこの前処理体により耕耘された土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体を備え、前記前処理体及び整畦体による畦成形と同時に溝を形成する溝切り装置を設けた畦塗り機において、
上記溝切り装置は、前処理体及び整畦体の後方において、整畦体のドラムに近接して、ドラムにより整形された畦の基部を填圧する填圧ローラと、この填圧ローラの内側の前処理体により耕耘された土壌を排出して溝を形成する排土板とを設け、畦の内側に溝を形成することを特徴とする畦塗り機。
Priority Applications (1)
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