JP3656783B2 - クレーンの旋回減速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーンの旋回減速制御装置に係わり、特に、クレーン車両の旋回体を安全領域内の所定の旋回位置に自動的に荷振れがなく停止させるときの旋回減速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、クレーン車両では転倒防止等のため、吊り荷重、アウトリガ装置の張り出し、およびブームの旋回半径に応じて転倒しないように所定の限界作業領域内で停止するように安全領域が設定されている。また、所定の位置で停止するときに、吊り荷が振れていることなく停止することが求められている。このため、安全領域の範囲内で確実に停止し、かつ、このとき荷振れがなく停止する提案が、特公平8−5623号公報でなされている。同公報によれば、荷振れを残さずにブームを限界作業領域内で停止させるのに必要な角度が算出され、この必要角度を残り角度が下回らない間に制動が開始されることにより、荷振れを残すことなくブームが限界作業領域内で安全に停止できる。このとき、吊り荷が荷振れがなく、かつ、ブームと吊り荷がともに所定の角速度で旋回している状態からブームを所定の計算式にしたがって等角加速度で制動した場合、ブームの角加速度および吊り荷の角加速度との間には、図5に示すごとく所定の関係にある。すなわち、制動を開始してから時間t=nTでブームが完全停止するように等角加速度停止制御を行った場合、ブームの角加速度は直線的に減少するのに対して、吊り荷の角加速度は制動開始直後と停止直後と停止直前では緩やかに、中間領域では急激に減少する。吊り荷の角速度は、完全停止時までに1周期のn倍分の振動をしており、制動を開始してから時間t=T/2を経過した時点でブームの角速度と等しくなる。しかも、この時点で吊り荷の角加速度はブームの角加速度の2倍となる。また、実際には旋回制動開始時に吊り荷が触れている場合があり、このような振れがあると、制動中の吊り荷の角加速度はブームの角加速度の2倍を越えることになることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術では、減速開始して停止するまで一定角速度で減速制御するものであり、以下の問題点がある。
(1)減速制御は減速開始時に荷振れが無く、かつ、等速度であることを前提に停止時の残存荷振れを無くするように制御しているが、実際のクレーン作業において、必ずしもその前提の条件を満たしていない。よって、クレーンのオペレータは停止寸前に荷振れの修正操作を行おうとするが、従来技術では制御指令速度以下(図5の角速度以下)のマニアル介入しかゆるしておらず、停止寸前の荷振れ修正のための操作(追い合わせ操作)がやりづらいという問題がある。
(2)停止寸前の外乱や制御弁の精度により旋回体が停止点直前で停止した場合、所望の停止位置に移行するため、オペレータが再起動を開始しても、吊り荷の周期によってきめられた時間の制御パターンによって旋回速度が制限されてしまい停止位置までの旋回時間が大幅に増えてしまう問題がある。
(3)従来技術では、(1)の制動角速度で制動停止させるための所要角度を算出して、減速停止制御を行うが、旋回体の傾斜や、荷物の重量、ブームの慣性負荷等の旋回体の旋回負荷により停止位置がバラツキ易く、停止位置を本来の停止位置よりも余裕をもって決めざるを得ない。したがって、所望の停止位置で停止できずにその前で停止することが多くなり、(2)項の吊り荷の周期によってきめられた時間の制御パターンによって旋回速度が制限されてしまい所望の停止位置に移行するまでの旋回時間が大幅に増えてしまう問題が発生する。
【0004】
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、クレーンの旋回減速制御装置およびその制御方法に係わり、特に、クレーン車両の旋回体を安全領域内の所定の旋回位置に自動的に荷振れがなく停止させるとともに、所望の位置からズレて停止したときにオペレータの操作により短時間で安全に移動できる旋回減速制御装置およびその制御方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的達成のため、本発明に係るクレーンの旋回減速制御装置の発明においては、旋回体に伸縮・揺動自在のブームの長さ、ブームの揺動角度、およびブームに装着されたフックの吊り荷の重量等を検出して、フックの作業半径を検出する作業半径検出手段と、走行体に対する旋回体の旋回角度を検出する旋回角検出手段と、旋回体の旋回角速度を検出する旋回角速度検出手段と、アウトリガの張出し量をアウトリガ張出量検出手段と、アウトリガの張出し量に応じたクレーンの安定限界域を演算し設定する限界域設定手段と、クレーンのシーブから吊り荷までのロープの長さを検出するロープ長検出手段と、ロープの長さに応じた吊り荷の振れの周期を演算する吊荷周期算出手段と、吊り荷の振れ周期に基づき、減速終了時に荷の振れを残さずに旋回体を一定加速度で制動させるための所要時間を演算する減速所要時間算出手段と、旋回体を一定加速度で制動し、減速所要時間内に荷の振れを残さずに制動させる旋回体制動手段と、停止位置で旋回体を停止させる旋回体停止手段とを有し、クレーンの限界域を越える手前で旋回体を制動するとともに、吊り荷を振らさずに旋回を減速し、旋回体を停止させる直前に一定の微速速度で旋回する定常微速旋回域を設け、停止位置で旋回体を停止させることを特徴とする。上記構成により、旋回体は限界位置で停止する直前に定常微速旋回域の間を一定の微速速度で旋回するため、この間で旋回停止位置および吊り荷の振れの調整が可能となり、限界位置で確実に停止できるとともに、旋回停止位置で吊り荷の振れを無くすことができる。また、一定の微速速度で旋回している定常微速旋回域の間にオペレータは残存荷振れの修正もできる。また、減速パターンが実際のオペレータの減速操作パターンに近いため、制御中のオペレータに違和感を与えることが少なく操作がし易く、旋回体の制動手段と停止手段とを区別し、かつ、旋回体制動手段と旋回体停止手段は別の停止装置により作動するため停止位置で確実に停止するとともに、制動手段の故障時においても停止できるため安全性が向上する。
【0008】
また、クレーンの旋回減速制御装置において、旋回体に伸縮・揺動自在のブームの長さ、ブームの揺動角度、およびブームに装着されたフックの吊り荷の重量等を検出して、フックの作業半径を検出する作業半径検出手段と、走行体に対する旋回体の旋回角度を検出する旋回角検出手段と、旋回体の旋回角速度を検出する旋回角速度検出手段と、アウトリガの張出し量をアウトリガ張出量検出手段と、アウトリガの張出し量に応じたクレーンの安定限界域を演算し設定する限界域設定手段と、クレーンのシーブから吊り荷までのロープの長さを検出するロープ長検出手段と、ロープの長さに応じた吊り荷の振れの周期を演算する吊荷周期算出手段と、吊り荷の振れ周期に基づき、減速終了時に荷の振れを残さずに旋回体を一定加速度で制動させるための所要時間を演算する減速所要時間算出手段と、および、旋回体を一定加速度で制動する旋回体制動手段とを有し、クレーンの限界域を越える手前で旋回体を制動するとともに、吊り荷を振らさずに旋回を減速し停止させ、旋回体を停止させる直前に一定の微速速度で旋回する定常微速旋回域を設け、定常微速旋回域および速度を作業半径に応じて変更することを特徴とする。上記構成により、旋回体は限界位置で停止する直前に定常微速旋回域の間を一定の微速速度で旋回するため、この間で旋回停止位置および吊り荷の振れの調整が可能となり、限界位置で確実に停止できるとともに、旋回停止位置で吊り荷の振れを無くすことができる。また、一定の微速速度で旋回している定常微速旋回域の間にオペレータは残存荷振れの修正もできる。また、減速パターンが実際のオペレータの減速操作パターンに近いため、制御中のオペレータに違和感を与えることが少なく操作がし易く、定常微速旋回域の微速速度の速さ、あるいは、旋回角度の大きさを作業半径に応じて変更するため、オペレータの実際の操作の減速操作パターンに近く設定でき、操作がし易くなる。また、停止点付近の微速速度の速さを大きくすることにより、所望の停止位置からズレたときの補正の時間を短くできる。
【0009】
また、定常微速旋回域および定常微速旋回域から停止位置までに警告音を発生し、かつ、定常微速旋回域と定常微速旋回域から停止位置とで音圧、音色を区別する警告音発生手段を設けることを特徴とする。
上記構成により、定常微速旋回域および定常微速旋回域から停止位置のそれぞれの間で警報ブザー等の警告音が発生手段から発っせられるため、減速制御パターンの認識が容易になる。また、定常微速旋回域に達すると警報ブザー等の警告音が鳴りだすため減速の停止が容易に判別できるとともに、荷振れの調整の開始を容易に判別できる。
【0011】
【実施例】
以下に、本発明に係るクレーンの旋回減速制御装置およびその制御方法の実施例について、図面を参照して詳述する。
図3はクレーン車両1の側面図、図4は平面図であり、下部走行体2には旋回自在に旋回体3が取着され、旋回体3にはブームシリンダ4により揺動自在で、かつ、伸縮自在な多段ブーム5(以下、ブーム5という)が取着されている。ブーム5の先端部にはシーブ6が回転自在に取着され、図示しないウインチからのロープ7を導出している。ロープ7の先端にはフック8が取着され、荷物9を吊っている。また、下部走行体2にはアウトリガ11が配設され、アウトリガ11は作業時には車体の外方に張り出され、吊り荷時の車体の安定を図っている。
【0012】
クレーン車両1には、図1に示すような、クレーンの旋回減速制御装置20が配設されている。ブーム長検出センサ21は伸縮自在なブーム5の長さ(La)を検出する。ブーム揺動角度検出センサ22は旋回体3に対するブーム揺動角度(θa)を検出する。ブーム圧力センサ23はブームシリンダ4に作用する圧力(Pa)を測定し、その測定結果より、荷物9とブーム5の重量の加算値を検出する。このブーム長検出センサ21、ブーム揺動角度検出センサ22、および、ブーム圧力センサ23より旋回中心(Oa)からのフック8の作業半径(R)を検出する作業半径検出手段24が構成されている。旋回角検出センサ25は下部走行体2に対する旋回体3、すなわち、ブーム5の旋回角度(γn)を検出する。旋回角速度検出センサ26は旋回体3の旋回角速度ωを検出する。アウトリガ張出量検出センサ27(以下、張出量検出センサ27という)はアウトリガ11の張出し量(Sa)を検出する。ロープ長検出センサ28はクレーンのシーブ6から荷物9までのロープ7の長さ(Ma)を検出する。
【0013】
上記のいずれものセンサはコントローラ等の制御部30に接続されている。また、制御部30には、旋回体3を停止する旋回体停止装置41、旋回体3を制動する旋回体制動装置42、および、警報音を出力する警報出力装置43が接続されている。旋回体停止装置41は、図示しない油圧モータからの出力を停止するブレーキ装置あるいは油圧モータへの圧油を停止する閉止弁等により、また、旋回体制動装置42は、図示しない油圧モータへの圧油を給排する操作弁あるいはカウンタバランス弁等により構成されている。また、警報出力装置43は音を発するブザー等により構成されている。
【0014】
次に、作動について、図2、図3を用いて説明する。
オペレータは作業を開始する前に作業現場に合わせてアウトリガ11を張り出す。この張出し量Saは張出量検出センサ27で検出され、検出された信号は制御部30に送信される。制御部30の限界域設定手段31はアウトリガ11の張出し量Saに応じて、車両が転倒する等の危険領域である限界領域Acを演算して設定する。この限界域設定手段31は限界領域Acの両端部の旋回角度θcを停止位置として設定するとともに、許容作業半径Raを制御部30の記憶装置より呼び出し設定する。許容作業半径Raは作業半径検出手段24により求められる。すなわち、許容作業半径Rは、アウトリガ11の張出し量Saに応じて、ブーム長検出センサ21からの長さL、ブーム揺動角度検出センサ21からのブーム角度θ、および、ブーム圧力センサ23からの圧力Pの相関関係より求め、制御部30の記憶装置に記憶されている。
【0015】
次に、オペレータが荷物9を吊り上げ旋回体3を旋回させる際の動作について説明する。先ず、オペレータは荷物9の位置に旋回体3を旋回させるとともに、荷物9の大きさ、および、重量に合わせてブーム5の長さLaとブーム5の揺動のブーム角度θaを適宜調整してフック8を荷物9の位置に合わせる。フック8に荷物9を掛けたら、図示しないウインチからロープ7を繰り出し、フック8で荷物9を吊るとともに、所定の高さまで吊り上げる。このとき、ブーム長検出センサ21は伸長したブーム5の長さLaを、ブーム揺動角度検出センサ21はブーム揺動角度(θa)を、また、ブーム圧力センサ23はブームシリンダ4に作用する圧力(Pa)を測定し制御部30に送信する。また、ロープ長検出センサ28はウインチからロープ7を繰り出した量を制御部30に送信する。
【0016】
制御部30の吊荷周期算出手段32は、ロープ7の繰り出した量とブーム5の長さの差とにより、シーブ6から荷物9までのロープ7の長さ(Ma)を算出する。また、吊荷周期算出手段32は、ロープの長さMaに応じた吊っている荷物9の振れの周期Taを演算する。
【0017】
定常微速旋回速度算出手段33は、吊荷周期算出手段32からの振れの周期Taと、ブーム長検出センサ21からのブーム5の長さLaと、および、旋回角速度検出センサ26からの旋回中の旋回角速度ωo とを受けて、定常微速旋回速度ωx と、定常微速旋回時間t2 と、及び微速終了から停止までの時間t3 とを求めるとともに、その合計時間ta(ta=t2 +t3 )を求める。この定常微速旋回速度ωx は、旋回体3、ブーム5、ロープ7、および、荷物9の振子運動の動特性により求めるとともに、ブーム5が停止位置γdから外れた場合でも速やかに補正できる速さに設定する。
【0018】
減速所要時間算出手段34は、旋回角速度検出センサ26からの旋回中の旋回角速度ωo と、吊荷周期算出手段32からの振れの周期Taとを受けて、減速制御時間t1 を求めるとともに、その合計時間tb(tb=t1 +t2 +t3 )を演算する。この減速制御時間t1 は、振れの周期Taの倍数により求める。(詳細は、本出願人が提案した特開平7−76490号公報による。)これにより、図2に示す時間tに対する目標旋回角速度ωのパターンを形成する。
【0019】
減速角度算出手段35は、上記で求めた図2のパターンに従ったときの必要な旋回角度を数1で求め、図2、図4に示す減速開始位置γaから停止位置γdまでの所要の旋回角度θra-rd を決定する。
【数1】
θra-rd =Σ∫ω dt
【0020】
次に、図2、図4に示す減速から停止までについて説明する。
先ず、減速開始から減速終了までについて説明する。図2、図4において、減速開始位置γaは停止位置γdに大して所要の旋回角度θra-rd だけ手前の角度に旋回体3が到達した位置で、旋回中の旋回体3の一定の旋回角速度ωo からの減速の開始位置である。減速の開始位置までの旋回体3の一定の旋回角速度ωo は、オペレータの所望の旋回角速度であり、この所望の旋回角速度は図示しない旋回体3を旋回させる操作レバーの操作量により決定される。減速終了位置γbは旋回体3が一定加速度ωctで減速しているのが終了する位置である。
【0021】
この減速開始位置γaから減速終了位置γbまでの旋回減速領域θeは前記のように振れの周期Taの倍数で求められ、この旋回減速領域θeでの減速は、旋回角速度制御演算手段36からの信号により、減速制御時間t1 後の旋回体3の旋回角速度が図2のパターンの定常微速旋回速度ωx となるように旋回体制動装置42が作動して旋回体3を一定加速度ωctで制動する。すなわち、旋回角速度制御演算手段36は、旋回角検出センサ25からのブーム5の旋回角度γの信号を受けて、旋回角度γが限界領域Acの旋回角度θc、あるいは、減速角度算出手段35からの所要の旋回角度θra-rd に達したか、否かを検出しつつ、旋回角速度検出センサ26からの旋回中の旋回角速度ωを受けて、図2のパターンの一定加速度ωctで減速するように、旋回体制動装置42に指令を出力している。具体的には、図示しない旋回モータへの流量を制御する流量制御弁に対して、旋回角速度制御演算手段36が指令を出力し、油圧モータへの供給量を流量制御弁により減少して行う。
【0022】
次に、減速終了から定常微速旋回速度ωx を経て停止までについて説明する。減速終了位置γbを越えた位置より旋回体3は微速の一定速度の定常旋回速度ωx に入る。この定常微速旋回速度ωx は停止位置γdの直前の定常微速旋回終了位置γcまで行われる。この減速終了位置γbから定常微速旋回終了位置γcまでの定常微速旋回領域θgは、減速終了位置γbを越えたときに、荷物9に振れが残ってもオペレータの操作により荷振れを吸収できる範囲、あるいは、図2に示すように旋回体3が減速終了位置γbの直前の位置θiに停止した場合に旋回体3を再起動して、一点鎖線(Ya)で示すように速やかに停止位置γdに旋回できる範囲により設定する。
【0023】
また、定常微速旋回速度ωx は、定常微速旋回速度算出手段33により、旋回体3、ブーム5、ロープ7、および、荷物9の振子運動の動特性により求め、旋回体3を停止した際に吊り荷に振れを残さない範囲に設定される。上記設定に基づき、旋回角速度制御演算手段36は、旋回減速領域θeでの減速に加えて、定常微速旋回速度算出手段33からの定常微速旋回速度ωx の信号と、減速所要時間算出手段34からの合計時間tbを受けて、図2のパターンの定常微速旋回速度ωx を経て、停止位置γdで停止するように、旋回体制動装置42に指令を出力している。しかし、このときに外乱等により旋回体3の停止が、図2に示すように減速終了位置γbの直前の位置θiに停止した場合でも、定常微速旋回速度ωx を早くすることにより、オペレータは従来よりも速やかに停止位置γdまで旋回できる。
【0024】
また、定常微速旋回終了位置γcを過ぎると、旋回停止演算手段37は旋回体停止装置41に信号を出力して旋回体3を停止位置γdで確実に停止する。すなわち、旋回停止演算手段37は、旋回角検出センサ25からのブーム5の旋回角度γの信号を受けて、旋回角度γが限界領域Acの旋回角度θc、あるいは、減速角度算出手段35からの所要の旋回角度θra-rd に達したか、否かを検出しつつ、所要の旋回角度θra-rd に達した場合に、旋回体停止装置41に信号を出力して旋回体3を停止する。具体的には、旋回停止演算手段37は、図示しない旋回モータに付設してある図示しない閉止弁あるいはブレーキ装置に指令を出力し、図示しない旋回モータの回転を停止する。
【0025】
なお、上記において、警報出力装置43はブーム5が減速終了位置γbに達すると間欠の警報音の発生を始め、定常微速旋回終了位置γcに達すると連続の警報音の発生を始める。したがって、オペレータは、間欠の警報音を聞くことにより、定常微速旋回に入ったこと、および、連続の警報音の聞くことにより間もなく停止することを判別でき、操作性が向上する。
【0026】
上記のごとく、設定されている制御部30は、フック8で荷物9を所定の高さまで吊り上げたとき、作業半径Rnを求めるとともに、許容作業半径Raと比較する。この求めた作業半径Rnが許容作業半径Raよりも小さい場合には、限界領域Acが無く、全旋回範囲が可能となる。この場合には、オペレータは、全旋回範囲のどの位置にも荷物を下ろすことができる。作業半径Rnが許容作業半径Raよりも大きい場合には、この制御により荷物9を振ることなく限界領域Acの手前で停止できる。すなわち、オペレータは減速開始位置γaの近傍で旋回体3を旋回するための図示しない旋回用操作レバーを限界領域Acの回転方向に操作する。これにともない、制御部30は旋回体3を制動する旋回体制動装置42に指令を出力し、旋回体3を一定加速度ωctで減速する。
【0027】
この減速は、減速終了位置γbまで制御部30の指令により行われる。旋回角検出センサ25からの信号により旋回体3が振れの周期Taの倍数にある減速終了位置γbに達すると、制御部30は図示しない旋回モータを制御する流量制御弁に指令を出力し、旋回体3を定常微速旋回速度ωx にする。このとき、荷物9の振れは殆どなくなる。もし、定常微速旋回速度ωx に入っても、荷物9の振れがあると、オペレータは、図示しない旋回用操作レバーを操作して、荷物9の振れがなくなるように操作しながら、旋回体停止装置41により旋回体3を停止位置γdで停止する。したがって、停止位置γdでは荷物9に荷振れがなく安全に停止することができる。
【0028】
また、この求めた作業半径Rnが許容作業半径Raよりも小さい場合にも、ブーム5の伏せと、伸ばしとを同時操作中の場合では限界領域Acが存在する。図4において、ブーム5が安全領域(Ra以下)の位置Baにあり、旋回減速制御時間tr 後にブーム5がブーム伏せにより旋回減速領域θe(Ra以上)の位置Bbへ矢印方向に侵入する場合には、旋回体3を一定加速度ωctで減速する。この減速は、減速終了位置γbまで制御部30の指令により行われる。旋回角検出センサ25からの信号により旋回体3が振れの周期Taの倍数にある減速終了位置γbに達すると、制御部30は図示しない旋回モータを制御する流量制御弁に指令を出力し、旋回体3を定常微速旋回速度ωx にする。
【0029】
このとき、作業半径Rnが許容作業半径Raよりも大きい場合には、制御部30は旋回体停止装置41に信号を出力して旋回体3を停止位置γdで停止する。もし、作業半径Rnが許容作業半径Raよりも小さい場合には、限界領域Acの許容作業半径Raに到達してブーム5が停止した後でも、定常微速旋回速度ωx を維持して停止する。このため、許容作業半径Ra上では旋回ができる。したがって、本発明では、ブームの伏せ、ブームの伸ばし時にも危険域に接近する場合に減速制御が作動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーンの旋回減速制御装置のブロック図である。
【図2】本発明のクレーンの旋回角度と旋回速度との関係を説明する図である。
【図3】クレーンの作業姿勢を示す側面図である。
【図4】クレーンの作業姿勢を示す平面図である。
【図5】吊り荷の角速度およびブームの角速度の変化の特性を示す図である。
【符号の説明】
1…クレーン車両、2…下部走行体、3…旋回体、4…ブームシリンダ、5…ブーム、6…シーブ、7…ロープ、8…フック、9…荷物、11…アウトリガ、21…ブーム長検出センサ、22…ブーム揺動角度検出センサ、23…ブーム圧力センサ、24…作業半径検出手段、26…旋回角速度検出センサ、27…アウトリガ張出量検出センサ、28…ロープ長検出センサ、30…制御部、41…旋回体停止装置、42…旋回体制動装置、43…警報出力装置。
Claims (3)
- クレーンの旋回減速制御装置において、旋回体に伸縮・揺動自在のブームの長さ、ブームの揺動角度、およびブームに装着されたフックの吊り荷の重量等を検出して、フックの作業半径を検出する作業半径検出手段と、走行体に対する旋回体の旋回角度を検出する旋回角検出手段と、旋回体の旋回角速度を検出する旋回角速度検出手段と、アウトリガの張出し量をアウトリガ張出量検出手段と、アウトリガの張出し量に応じたクレーンの安定限界域を演算し設定する限界域設定手段と、クレーンのシーブから吊り荷までのロープの長さを検出するロープ長検出手段と、ロープの長さに応じた吊り荷の振れの周期を演算する吊荷周期算出手段と、吊り荷の振れ周期に基づき、減速終了時に荷の振れを残さずに旋回体を一定加速度で制動させるための所要時間を演算する減速所要時間算出手段と、旋回体を一定加速度で制動し、減速所要時間内に荷の振れを残さずに制動させる旋回体制動手段と、停止位置で旋回体を停止させる旋回体停止手段とを有し、クレーンの限界域を越える手前で旋回体を制動するとともに、吊り荷を振らさずに旋回を減速し、旋回体を停止させる直前に一定の微速速度で旋回する定常微速旋回域を設け、停止位置で旋回体を停止させることを特徴とするクレーンの旋回減速制御装置。
- クレーンの旋回減速制御装置において、旋回体に伸縮・揺動自在のブームの長さ、ブームの揺動角度、およびブームに装着されたフックの吊り荷の重量等を検出して、フックの作業半径を検出する作業半径検出手段と、走行体に対する旋回体の旋回角度を検出する旋回角検出手段と、旋回体の旋回角速度を検出する旋回角速度検出手段と、アウトリガの張出し量をアウトリガ張出量検出手段と、アウトリガの張出し量に応じたクレーンの安定限界域を演算し設定する限界域設定手段と、クレーンのシーブから吊り荷までのロープの長さを検出するロープ長検出手段と、ロープの長さに応じた吊り荷の振れの周期を演算する吊荷周期算出手段と、吊り荷の振れ周期に基づき、減速終了時に荷の振れを残さずに旋回体を一定加速度で制動させるための所要時間を演算する減速所要時間算出手段と、および、旋回体を一定加速度で制動する旋回体制動手段とを有し、クレーンの限界域を越える手前で旋回体を制動するとともに、吊り荷を振らさずに旋回を減速し停止させ、旋回体を停止させる直前に一定の微速速度で旋回する定常微速旋回域を設け、定常微速旋回域および速度を作業半径に応じて変更することを特徴とするクレーンの旋回減速制御装置。
- 定常微速旋回域および定常微速旋回域から停止位置までに警告音を発生し、かつ、定常微速旋回域と定常微速旋回域から停止位置とで音圧、音色を区別する警告音発生手段を設けることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のクレーンの旋回減速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33272896A JP3656783B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | クレーンの旋回減速制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP33272896A JP3656783B2 (ja) | 1996-11-28 | 1996-11-28 | クレーンの旋回減速制御装置 |
Publications (2)
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