JP3656667B2 - 電子写真方式の像担持体及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真方式の像担持体及びこれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、ビデオプリンター、ファクシミリ、複写機、ディスプレー等の画像形成装置に関する。また、その装置に用いられる像担持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、像担持体ベルトの内部に弾性層を隙間なく詰め込んだ構成の像担持体が特開昭59−192260号公報に提案されている。また、像担持体ベルトの内部にローラを挿入した構成の像担持体とその像担持体を用いる画像形成装置が特開平6−27859号公報に提案されている。
【0003】
まず、特開昭59−192260号公報に開示される像担持体は、軸と、感光層が形成された可撓性を有す像担持体ベルトと、軸と像担持体ベルトとの間に実質的に隙間なく充填された弾性層とからなっている。
【0004】
次に、特開平6−27859号公報に開示される像担持体は、感光層が形成された可撓性を有す像担持体ベルト内部に、像担持体ベルト内径より外径の小さいローラを挿入した形態の像担持体である。また、像担持体ベルトの一部をローラに当接させ、像担持体ベルトとローラとの径の差分によって生じる像担持体ベルトの弛み部に現像ローラを接触させる構成の画像形成装置である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開昭59−192260号公報に開示される像担持体を製造する方法は、1)像担持体ベルトと軸とを所定間隔になるように設定し、その空間に弾性層の材料を流し込み、弾性層を形成する方法と、2)弾性層の外径より像担持体ベルトの内径を小さくし、弾性層を径方向に圧縮した状態で像担持体ベルトに挿入する方法とが挙げられる。
【0006】
しかし、上記1)の方法の場合、像担持体ベルトに感光層を形成した後、その内部に弾性層を作製すると、光、熱等により感光体特性が劣化したり、表面に傷、異物(弾性層材料等の異物)付着等を起こすという課題がある。また、感光層形成前に弾性層を作製すると、感光層塗工時の洗浄液、塗工液により弾性層が膨潤もしくは溶解もしくは硬化し、その結果弾性層としての機能が低下するという課題がある。従って、上記1)の方法では所望の像担持体ベルトを作製できない。
【0007】
また、上記2)の方法の場合、弾性層が圧縮状態から解放され、像担持体ベルトに向け膨張する過程で、軸と像担持体ベルトとの同軸度を保証できない。そのため、軸を回転した場合、像担持体ベルトの振れが非常に大きくなるという課題がある。画像形成装置においては、像担持体周囲にクリーナー、帯電器、現像器、転写器等(以降、当接部材とする)が当接する。振れの大きな像担持体を搭載した画像形成装置では、当接部材の像担持体への接触状態が不安定になる。そのため、像担持体周期で画像ムラが発生するという課題が発生する。
【0008】
一方、前述の特開平6−27859号公報に開示される画像形成装置において使用される像担持体は、装置もしくはカートリッジに装着するまでベルトの状態であり、ハンドリング性が悪いという課題がある。また、装置もしくはカートリッジに装着しても現像ローラ当接位置近傍でベルトとローラとの間に空間が形成されている。そのため、現像ローラが像担持体ベルトを摺擦する際に発生する振動音や、蛇行防止用部材とベルト端面との摺動により発生する振動音が響き易いという課題がある。さらに、蛇行防止用部材との摺動によりベルト端部はビビるので、端部に折れ、割れ、感光層の剥がれ等が発生する。これにより、像担時体ベルトは端部から破壊する、もしくは破壊までは至らないが重大な画像欠陥を引き起こすという課題がある。さらに、装置内で浮遊しているトナー、トナーの外添剤、紙粉等の異物が像担持体ベルトとローラとの隙間に入り易い構成であり、異物の進入により、像担時体ベルトとローラとの摩擦力が低下し、像担持体がローラによって駆動できなくなるという課題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、振れの少ない像担持体を提供することにある。また、ハンドリング性に優れ、かつ、容易に製造可能な像担持体を提供することにある。また、端部に折れ、割れ、感光層の剥がれ等発生し難い構成の像担持体を提供することにある。また、ベルトが摺擦を受けて発生する振動音が響き難い構成の像担持体を提供することにある。また、像担持体ベルトとローラとの間に異物が進入し難い構成の像担持体を提供することにある。
【0010】
そして、像担持体端部を破壊することなく、長期にわたって安定に像担持体を駆動可能な画像形成装置を提供することにある。また、騒音の発生が少ない画像形成装置を提供することにある。また、現像ローラを像担持体に低圧接力で当接でき、高品質な画像形成可能な画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明はこのような課題を達成するために、請求項1の発明の電子写真方式の像担持体は、可撓性を有し潜像が形成されるベルトと、前記ベルトの両端内面を保持する弾性層と、前記ベルトの内部にあってベルトの内径よりも外径が小さく、かつ前記ベルトが接触してこのベルトを回転するローラと、前記ローラと独立に回転可能で、前記弾性層を支持する支持部材とからなることを特徴とする。
また、請求項2の発明の像担持体は、前記弾性層が、その外径が前記ベルトの内径よりも大きく、表面から加圧した時はローラの外面以下まで弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
更に、請求項3の発明の像担持体は、前記弾性層がフォームもしくはスキン層を持つフォームからなることを特徴とする。
更に、請求項4の発明の像担持体は、前記ベルトの内面もしくは前記ローラの表面の少なくとも一方に、高摩擦係数の材質を形成したことを特徴とする。
更に、請求項5の発明の像担持体は、前記支持部材の回転中心と前記ローラの回転中心とが異なることを特徴とする。
更に、請求項6の発明の像担持体は、前記支持部材に、前記ベルトの縁に接触するフランジ部が形成されていることを特徴とする。
更に、請求項7の発明の像担持体は、前記ベルトが感光体ベルトであることを特徴とする。
【0012】
一方、請求項8の発明の電子写真方式の画像形成装置は、感光層が形成された可撓性を有し潜像が形成されるベルトと、前記ベルトの両端内面を保持する弾性層と、前記ベルトの内部にあってベルトの内径よりも外径の小さく、かつ前記ベルトが接触してこのベルトを回転するローラと、前記ローラと独立に回転可能で、前記弾性層を支持する支持部材とからなる像担持体を備え、前記像担持体の、前記ベルトと前記ローラの径の差分によって生じるベルトの弛み部に現像ローラを接触させることを特徴とする。
また、請求項9の発明の画像形成装置は、前記ベルトの潜像形成位置下流側に前記ベルト表面を前記ローラ方向に押圧する第1の押圧部材を配設したことを特徴とする。
更に、請求項10の発明の画像形成装置は、前記ベルトの転写位置もしくは前記転写位置上流側に前記ベルト表面を前記ローラ方向に押圧する第2の押圧部材を配設したことを特徴とする。
更に、請求項11の発明の画像形成装置は、前記ベルトの表面に接触する接触部材のうち少なくとも1つの接触部材は、前記弾性層で保持されていない前記ベルト部分と前記弾性層で保持された前記ベルト部分との両方に接触していることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の像担持体の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお本実施例においては、像担持体を電子写真方式の画像形成装置に搭載される感光体を例として説明する。
【0014】
図1〜図3は、本発明に係わる感光体の第1の実施形態を示す図である。図1は感光体を正面から見た時の断面図、図2は斜視図、図3は部分斜視図である。図中、X、Y、Zは座標軸を示し、各図で共通である。
【0015】
符号1は、可撓性を有する基材上に感光層を形成した感光体ベルトである。符号2は、感光体ベルト1の内部に配置され、かつ、感光体ベルト1の内径よりも外径の小さいローラである。符号3は感光体ベルト1の端部内面を保持する弾性層である。
【0016】
図4は、本発明に係わる画像形成装置の第1の実施形態を示す図であり、図1で示す感光体を搭載した時の断面模式図である。接触部材の1つであるクリーニングブレード102を感光体ベルト1の表面からローラ2に向けて当接させ、感光体ベルト1とローラ2とを接触させる。一方、感光体ベルト1の内径とローラ2の外径との差分によって生じる感光体ベルト1の弛み部5に現像ローラ106を接触させる。この状態で、ローラ2を駆動し、ローラ2と感光体ベルト1との接触面で働く摩擦力によって、感光体ベルト1を回転させるものである。なお、詳細は後述する。
【0017】
本発明の像担持体は、感光体ベルト1の端部を弾性層3で保持している。つまり、感光体ベルト1の端部は弾性層3により補強されているため、異常な変形を起こし難く、端部から破壊されることがない。また、端部の弾性層3は減音、遮音効果を有するし、さらに、装置内に浮遊している異物の感光体内部への進入を防止する効果もある。そして、一度感光体を構成してしまえば、アルミニウム基材上に感光層を形成した感光体ドラムのようにハンドリングできるため、組立作業性が大幅に向上する。
【0018】
それでは、第1の実施形態の感光体の各構成要素について、その動作、機能を含め詳細に説明する。
【0019】
まず、ローラ2は、金属製の芯金23と同軸になるよう円筒状スリーブ21を端部支持部材22で支持した構成である。そして、円筒状スリーブ21を回転駆動することによって、感光体ベルト1を回転させる。そのためには、感光体ベルト1と円筒状スリーブ21の接触面で充分な摩擦力が発生する必要がある。充分な摩擦力とは、クリーニングブレード102と感光体ベルト1との接触箇所で働く摩擦力よりも大きいことである。充分な摩擦力を得るための構成要素からのアプローチとしては、感光体ベルト1の内面もしくは円筒状スリーブ21の表面の一方もしくは両方を高摩擦係数の材質から形成する、あるいは、微細な凹凸を形成することである。ここで、高摩擦係数の材質からなる円筒状スリーブ21を得るには、金属製あるいは樹脂製スリーブ上に、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等のゴムライクな樹脂、あるいは、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂をコーテイングする、あるいは、シリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴムをライニングすることで得られる。一方、微細な凹凸を有する円筒状スリーブ21を得るには、金属製あるいは樹脂製のスリーブの表面をエッチング処理、ブラスト処理、スリーブ表面に砥粒を樹脂層で固定、もしくはスリーブ表面を溶射する、いずれかの方法によって得られる。ここで、好ましい微細な凹凸は、日本工業規格JISB0601で定義される十点平均粗さ(以降、Rzとする)が、0.5μm≦Rz≦20μmであり、さらに望ましくは、1μm≦Rz≦10μmである。また、凹凸の形状は凸部先端を鋭利な形状とすることが好ましく、さらに鋸歯状形状とすることが好ましい。そして、円筒状スリーブ21の表面のみならず、感光体ベルト1の内面にも微細な凹凸を形成する方が望ましい。このように両者に微細な凹凸を形成する理由は、凹部と凸部とがお互いに噛み合い、回転駆動時の摩擦力を向上させるためである。さらに、高摩擦係数の材質を両者の表面に形成した場合、粘着性が増加する恐れがあるが、その場合は他方の部材表面に微細な凹凸を形成すると粘着性を減じることができる。そして、円筒状スリーブ21は、クリーニングブレード102が当接することによって容易に弾性変形しないようにする。
【0020】
次に、感光体ベルト1は、可撓性を有する基材上に感光層を形成している。可撓性を有する基材、感光層については公知のものを使用できる。ここで、感光層としていわゆるOPC(有機感光体)をディッピング法で形成すると、塗工液を基材内面に回り込ませるようにしてディッピングでき、感光層塗工と同時に感光体ベルト1の内面に高摩擦係数の材質をコートできるので好ましい。また、基材として電鋳法にて作製した、例えばニッケルシームレス管を用いると、電鋳時の母型の表面に凹凸を形成しておくだけでその凹凸が管内面に転写され、内面に微細な凹凸が形成できるので好ましい。一方、ニッケルシームレス管上に感光層を形成した感光体ベルトの場合、その柔軟さは基材の厚みと径とで決まり、望ましい柔軟さの範囲は、基材厚み20〜200μm、さらに望ましくは30〜70μm、基材直径10〜300mm、さらに望ましくは20〜200mmである。そして、OPCは主として樹脂からなるので、可撓性の面では優れるが、基材との密着性を確保し、レーザー光の干渉対策を施すために、基材とOPCとの間に下引き層を形成した方がよい。下引き層としては、酸化亜鉛、酸化チタン等のレーザー光を吸収可能な粒子をナイロン樹脂等の樹脂に分散させた層が好適である。なお、管内面に感光層を形成する場合は、管内面も下引き層を形成した方が密着性を確保できるので好ましい。
【0021】
次に、弾性層3は、フリーな状態で感光体ベルト1の内径より大きな外径を有し、表面から加圧した時は円筒状スリーブ21の円筒面以下まで弾性変形可能に構成され、さらに、弾性層3の外周両端を面取りした形状であって、感光体ベルト1に装着された時、ローラ2の端部支持部材22とは隙間を隔てて配設され、感光体ベルト1の端部の内面を保持するように構成される。このように構成することによって、弾性層3を容易に感光体ベルト1に装着でき、また弾性層3により感光体ベルトを確実に保持することができる。さらに、弾性層3で保持される感光体ベルト1の箇所と弾性層3で保持されない箇所とにまたがって接触部材を感光体ベルト1に当接させると、弾性層3で保持される箇所の感光体ベルト1も、弾性層3で保持されない箇所の感光体ベルト1と同様に円筒状スリーブ21の円筒面まで変位する。従って、接触部材の当接箇所近傍、ならびに弾性層3で保持される箇所と弾性層3で保持されない箇所との境界近傍で感光体ベルト1は異常変形しない。そして弾性層3は外周端部を面取りしかつ弾性層3とローラ2の端部支持部材22とに隙間を有するため、接触部材が当接した際に弾性層3が円筒状スリーブ21と感光体ベルト1との間にはみ出さないし、弾性層3の圧縮により弾性層3が端部支持部材21と摺擦することがなく弾性層3が削れることがないので好ましい。ちなみに、弾性層3及びその削れカスが円筒状スリーブ21と感光体ベルト1との間に進入もしくは混入すると、両者の間に働く摩擦力が変化するので好ましくない。
【0022】
このような弾性層3としては、ソリッド、フォーム、スキン層を持つフォーム等のゴムが好適である。なお、ソリッド層を表面に持つフォームは、機能的にはスキン層を表面に持つフォームと同一であるから、スキン層を持つフォームの範疇であるとみなす。ここで、弾性層3をスキン層を外周に持つフォームで構成すると、感光体ベルト1が変形する時、感光体ベルト1の内面に圧接しているスキン層は感光体ベルト1内面に密着したままで、フォームが変形(圧縮、伸張)する。すなわち、弾性層3と感光体ベルト1とには隙間ができない。そのため、スキン層と感光体ベルト1とを接着する必要がないので好ましい。ただし、弾性層3により感光体ベルト1を密封した場合、外部の気圧と感光体ベルト1内部の気圧とが大きくずれると、気圧差により感光体ベルト1が膨張、圧縮を起こす可能性がある。そこで、弾性層3は、浮遊物、異物は通さず、空気のみを通すように、連泡のフォームからなることが好ましく、内外周にスキン層を持つ連泡のフォームからなることがさらに好ましい。
【0023】
次に、符号31は、弾性層3が形成される、円筒状スリーブ21の外径よりも小さな径の円筒面32と、感光体を組み上げた時に感光体ベルト1の縁が接触するフランジ部33とから構成される支持部材である。この円筒面32に弾性層3を形成することで、弾性層3は表面から加圧した時に円筒状スリーブ21の円筒面まで弾性変形可能となり、弾性層3で保持される感光体ベルト1の箇所と弾性層3で保持されない箇所とにまたがって接触部材を接触させた時に、弾性層3で保持される箇所と保持されない箇所との境界近傍での感光体ベルト1の異常変形を防止できる。そして、フランジ部33は感光体ベルト1のスラスト方向への移動を防止し、かつ感光体ベルト1の縁を保護する役目をなす。ここで、ローラ2の円筒状スリーブ21との摩擦力によって感光体ベルト1は回転するので、円筒状スリーブ21の周速度と感光体ベルト1の周速度は等しいが、両者の径が異なるため角速度が異なる。弾性層3は外周面で感光体ベルト1の端部内面を保持し、内周面でローラ2の芯金23に取付られる支持部材31に接触している。弾性層3の破壊防止のため、外周面と内周面とでは角速度差が生じないように構成する必要がある。そのため、第1の実施形態においては、弾性層3の外周面は感光体ベルト1の内面に密着させ、内周面は支持部材31上に形成し、そしてこの支持部材31を偏心軸受け34と滑る構成にした。なお、弾性層3の内外周での角速度差の発生防止のためには、弾性層3の外周面と感光体ベルト1の内面とを滑らせる、あるいは、弾性層3の内周面と弾性層3の支持部材31とを滑らせる構成を取ってもよい。
【0024】
そして、支持部材31は偏心軸受け34を介してローラ2の芯金23に取り付けられる。ちなみに、図1〜図3において、支持部材31の回転中心を円筒状スリーブ21の回転中心からY方向の正の向きに偏心させた図で示してある。
【0025】
この偏心軸受け34は、支持部材31の回転中心を円筒状スリーブ21の回転中心から感光体ベルト1の弛み部5の側に偏心させる構成であって、ローラ2が回転しても回転しないように図示していない固定手段によって固定されている。ここで、円筒状スリーブ21の外径をD、感光体ベルト1の内径をdとした時、支持部材31の回転中心を円筒状スリーブ21の回転中心に対しクリーニングブレード102の当接位置と反対側に、偏心量、(d−D)/2で偏心させると、クリーニングブレード102の当接予定位置近傍では、感光体ベルト1は円筒状スリーブ21に近接する。従って、クリーニングブレード102の軸方向の当接長さを弾性層3で保持されない感光体ベルト1の範囲としても、当接端近傍、ならびに弾性層3で保持される箇所と弾性層3で保持されない箇所との境界近傍で感光体ベルト1は異常変形しない。また、クリーニングブレード102の当接箇所から少し離れた周面箇所においても、感光体ベルト1は円筒状スリーブ21に近接するので、接触部材を当接することで容易にその周辺の感光体ベルト1を円筒状スリーブ21に接触させることができる。そのため、感光体ベルト1とローラ2との間の接触面が大きく広がり、従って感光体ベルト1とローラ2との間に充分な摩擦力が発生する。さらに、クリーニングブレード102の当接箇所近傍の弾性層3の変形量と、感光体ベルト1の弛み部5の近傍の弾性層3の変形量との差が少ないから、回転による弾性層3の弾性変形(圧縮、伸張)の度合いを大幅に減ずることができ、弾性層3の疲労劣化、破壊が生じ難くなる。そして、偏心軸受け34は、ポリアセタール等の滑り軸受けとして好適な材質で形成される。なお、ローラ2の端部支持部材22と支持部材31はその接触面で摺動するので、その接触面も滑り易い材質からなる方が望ましい。
【0026】
さらに、この偏心軸受け34によって支持部材31(つまりフランジ部33)の回転中心は概ね感光体ベルト1の回転中心に一致するので、弾性層3の回転による変形は極微量であり、そして、感光体ベルト1とフランジ部33とは同一角速度で回転する。その結果、感光体ベルト1の縁と、フランジ部33の当接箇所との相対位置ズレが小さい。すなわち、感光体ベルト1の縁とフランジ部33との摺動は極微少なので、ビビリ音の発生が少なく、かつ、感光体ベルト1の端部に折れ、割れ、感光層の剥がれ等が発生し難い。また、図1に示すように、弾性層3は端部の面取りを施しているので、感光体ベルト1に装着し易く、かつ、装着した後フランジ部33から表面にはみ出すことがない。
【0027】
ところで、図5、図6は、本発明に係わる感光体の他の実施形態を示す部分断面図である。
【0028】
図5に示す実施形態は、弾性層3を支持する支持部材35を偏心軸受けを介さずに直接、ローラ2の円筒面25に配置した構成である。ここで、ローラ2は、感光体ベルト1と接触する円筒面24と、それより径が小さく弾性層3が形成される円筒面25と、さらに、その端部に回転軸26が形成されている。そして、フランジ36が回転軸26に挿入され、ネジ37によりローラ2の側面に固定されている。また、弾性層3の外周面は感光体ベルト1の内面に密着し感光体ベルト1と共に回転し、支持部材35が円筒面25と滑るように構成される。弾性層3の側面はローラ2の側面ならびにフランジ34の側面に接触しないよう距離を隔てて配置される。そして図5に示す実施形態の感光体は、クリーニングブレード(図示せず)を感光体ベルト1に当接し、感光体ベルト1と円筒面25とを接触させた状態で、駆動手段(図示せず)により回転軸36を駆動し、円筒面25を回転させ、そして、クリーニングブレード当接箇所の円筒面25と感光体ベルト1との間に働く摩擦力により感光体ベルト1を回転させる。
【0029】
このように、図5に示す実施形態の感光体は、感光体ベルト1の端部を弾性層3により補強し、かつ縁をフランジ36で保護しているため、異常な変形を起こし難く、端部から破壊されることがない。また、端部の弾性層3は減音、遮音効果を有するし、さらに、装置内に浮遊している異物の感光体内部への進入を防止する効果もある。そして、一度感光体を構成してしまえば、アルミニウム基材上に感光層を形成した感光体ドラムのようにハンドリングできるため、組立作業性が大幅に向上する。なお、図5で示す実施形態は、偏心軸受けを用いていないため、クリーニングブレード当接箇所近傍においても感光体ベルト1と円筒面24とには隙間ができる。従って、クリーニングブレード当接端近傍、ならびに弾性層3で保持される箇所と弾性層3で保持されない箇所との境界近傍での感光体ベルト1の異常変形を防止するために、クリーニングブレードは弾性層3で保持される感光体ベルト1まで当接する方が望ましい。なお、クリーニングブレードを弾性層3で保持されない感光体ベルト1のみに当接する場合、感光体ベルト1の異常変形を防止するために、以下のようにクリーニングブレードの軸方向の当接長さを設定する。円筒面24の外径をD1、感光体ベルト1の内径をd、軸方向のクリーニングブレード当接端から弾性層3までの距離をsとした時、式、2.5×(d−D1)<sを満たす。
【0030】
一方、図6に示す実施形態は、感光体ベルト1と同一幅の円筒面27を有するローラ2の端部に直接弾性層3が形成され、そして回転軸28に挿入されたフランジ36がネジ37によりローラ2の側面に固定された構成である。また、弾性層3の外周面は感光体ベルト1の内面とは滑るように、表面にフッ素系樹脂等の低摩擦係数材からなるシートを粘着してある(図示せず)。そして弾性層3の側面はフランジ36の側面に接触しないように距離を隔てて構成される。図6に示す実施形態の感光体も、クリーニングブレード(図示せず)により感光体ベルト1と円筒面27とを接触させ、駆動手段(図示せず)により円筒面27を回転させ、そしてクリーニングブレード当接箇所の円筒面27と感光体ベルト1との間に働く摩擦力により感光体ベルト1を回転させる。ただし、この構成では、接触部材を当接させても弾性層3は円筒面27まで変形できない。そのため、感光体ベルト1と円筒面27とを確実に接触させるために、クリーニングブレードの軸方向の当接長さは、弾性層3で保持されない感光体ベルト1の範囲内にあることが望まれる。さらに、上述の如く、式、2.5×(d−D1)<sを満足すればさらに望ましい。
【0031】
このように、図6に示す実施形態の感光体は、感光体ベルト1の端部を弾性層3により補強し、かつ縁をフランジ36で保護しているため、異常な変形を起こし難く、端部から破壊されることがない。また、端部の弾性層3は減音、遮音効果を有するし、さらに、装置内に浮遊している異物の感光体内部への進入を防止する効果もある。そして、一度感光体を構成してしまえば、アルミニウム基材上に感光層を形成した感光体ドラムのようにハンドリングできるため、組立作業性が大幅に向上する。さらに部品点数が少なく、コストダウンが図れるので好ましい。
【0032】
次に、図7は本発明に関わる感光体の感光体ベルトの端部内面を保持する弾性層と弾性層を支持する支持部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【0033】
図7(a)において、符号3aは感光体ベルトの端部内面を保持する弾性層であって、金属等の薄肉円筒からなる部材41上にソリッド、フォーム、スキン層を持つフォームからなる弾性体42を形成し、周面の一端部から他端に向け切り欠きを形成した構成である。この状態の弾性層3aの外径は感光体ベルトの内径よりも小さい。そして符号31aは、弾性層3aを支持する支持部材であって、斜面43、円筒面44、フランジ部45とからなる。ここで、斜面43の最小外径は部材41の内径よりも小さく、かつ、円筒面44の外径は部材41の内径よりも大きく、ローラの内径よりも小さい。この支持部材31aを弾性層3aの内部に装着していく過程で、斜面43により弾性層3aの切り欠きを形成した箇所は外側に膨む。そして、支持部材31aを完全に装着すると、弾性層3aの切り欠きを形成した箇所の一部は感光体ベルトの内周面を圧接する。このようにして、弾性層により感光体ベルトを保持する。この構成は、弾性層を感光体ベルトに装着するのがより容易になり、組立能率が向上するという利点がある。
【0034】
一方、図7(b)において、符号3bは感光体ベルト1の端部内面を保持する弾性層であって、金属等の薄肉円筒からなる部材46をシャトル形状に形成し、さらに部材46を伸縮自在のシート47で覆ったものである。なお、シート47は、装置内部に浮遊している異物の感光体内部への進入を防止するために配置されるものである。この状態で弾性層3bの羽根部最外径は感光体ベルトの内径よりも大きく、羽根部でない箇所の外径は感光体ベルトの内径より小さい。そして、符号31bは、弾性層3bを支持する支持部材であって、弾性層3bが接着される円筒面48とフランジ部49とからなる。この支持部材31bに弾性層3bを接着した後、感光体ベルトに装着することで、弾性層3bの羽根部により、感光体ベルトを保持する。この構成は、弾性層を感光体ベルトに装着するのがより容易になり、組立能率が向上するという利点がある。
【0035】
以上、本発明に関わる像担持体として、感光体の実施形態を述べてきたが、本発明は上記実施形態のみに限定されない。例えば、弾性層として繊維を織り込んで形成したブラシ、あるいは、Oリングのようなゴムリングを用いてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態では像担持体として感光体の例を示してきたが、静電記録装置、例えばイオノグラフィーに用いられる潜像を担持する像担持体や、電子写真装置等に用いられる中間転写媒体等の転写媒体、記録紙を担持し移動しながら転写動作を行ういわゆる転写ドラム等の転写媒体等のトナー像を担持する像担持体に幅広く応用可能である。
【0037】
次に、本発明に係わる画像形成装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0038】
図4は、本発明に係わる画像形成装置の第1の実施形態を示す図であり、前述の第1の実施形態(即ち、図1)で示す感光体を画像形成装置に搭載した時の断面模式図である。
【0039】
符号101は転写ローラ、符号102はクリーニングブレード、符号103は除電光、符号104は帯電ローラ、符号105はレーザー光、符号106は現像ローラ、符号110はレーザー光照射位置ズレを防止するための押さえローラである。そして、図示していない駆動手段によりローラ2を駆動し、ローラ2と感光体ベルト1との間で働く摩擦力によって感光体ベルト1を回転させる。
【0040】
感光体ベルト1を安定に回転させるためには、感光体ベルト1と円筒状スリーブ21の接触面で充分な摩擦力が発生する必要がある。充分な摩擦力とは、クリーニングブレード102と感光体ベルト1との接触箇所で働く摩擦力よりも大きいことである。充分な摩擦力を得るための装置側からのアプローチとしては、クリーニングブレード102と感光体ベルト1との摩擦係数を感光体ベルト1とローラ2との摩擦係数よりも小さくすること、あるいは、感光体ベルト1とローラ2との接触面積を大きくすること、が挙げられる。前述した如く感光体は、偏心軸受けによりローラ2の回転中心と感光体ベルト1の回転中心とが偏心している。この偏心によってローラ2と感光体ベルト1とが近接する箇所がクリーニングブレード102の当接位置近傍、あるいは、クリーニングブレード102からレーザー光104照射位置に至る間に存在するように感光体を設置してある。そして、感光体の回りに配置される接触部材のうち、転写ローラ101、クリーニングブレード102、帯電ローラ103を感光体ベルト1がローラ2に接触するよう、感光体ベルト1の表面に圧接する。さらに、レーザー光104が照射される位置より下流側に押さえローラ110を感光体ベルト1がローラ2に接触するよう、感光体ベルト1の表面に圧接する。このようにして、感光体ベルト1に接触部材を圧接することでローラ2との接触面積を大きくできる。さらに、感光体ベルト1を転写ローラ101の当接箇所から押さえローラ110の当接箇所に至る領域で、ローラ2の表面に沿わせるようにした後、上述の当接部材を圧接させることで、転写ローラ101の当接箇所から押さえローラ110の当接箇所に至る領域で感光体ベルト1をローラ2に沿って密着させることができる。このようにすると、感光体ベルト1とローラ2との接触面積をさらに大きくできる。
【0041】
一方、感光体ベルト1の内径とローラ2の外径との差分によって生じる感光体ベルト1の弛み部5を押さえローラ110から転写ローラ101に至る間に形成させ、この弛み部5に現像ローラ106を接触させる。ここで、現像ローラ106の感光体ベルト1への当接荷重は現像ローラ106の感光体ベルト1へのくい込み量で変化し、くい込み量が大きくなる程大きくなる。そのため、なるべく浅くくい込ませる方がよく、くい込み量は0.1mmから2mm、望ましくは、0.2mmから0.8mmの範囲に設定される。なお、このような範囲内にくい込み量を設定すれば、現像ローラ106を位置固定で配置することができ、予圧手段等の部品を削減できるので好ましい。
【0042】
上述の画像形成装置では、少なくともクリーニングブレード102の当接箇所近傍において、感光体ベルト1はローラ2に密着している。そのため、クリーニング性能を左右する、クリーニングブレード102の当接圧、当接角を適正に設定でき、性能を確保できる。また、転写ローラ101の当接位置、帯電ローラ104の当接位置、押さえローラ110の当接位置においても、感光体ベルト1はローラ2に密着している。そのため、感光体ベルト1とローラ2との接触面を広く取れ、感光体ベルト1と円筒状スリーブ21の接触面で充分な摩擦力が発生し、安定して感光体ベルト1を回転できる。さらに、転写位置に感光体ベルト1をローラ2に当接させつつ転写動作を行う転写ローラ101を配設すると共に、レーザー光104照射位置より下流側に押さえローラ110を配設したので、現像ローラ106の感光体ベルト1への摺擦による感光体ベルト1の振動による転写位置ズレ、レーザー光照射位置ズレが発生しない。従って、良好な画像を得ることができる。また、現像箇所において、感光体ベルト1は弛み部5を形成しているため、硬質な現像ローラを低圧接力で、ローラ全幅にわたり感光体ベルト1に接触させることができる。
【0043】
このような構成の画像形成装置は、画像形成中に現像ローラ106の離接動作を行うような装置、例えば、複数の現像ローラを感光体ベルトの弛み部の回りに配置し、現像ローラを切り換える(感光体ベルトの弛み部は変化させずに、現像ローラの離接を行うことで現像ローラを切り換える)ことでカラー画像を形成する画像形成装置に用いると、離接動作に伴う感光体ベルト1の弛み部5の形状変化は押さえローラ105から転写ローラ101に至る間で生じるものの、その変化は転写箇所およびレーザー光照射箇所には及ばない。従って、静電潜像形成中もしくは転写動作中に現像ローラを切り換える動作(離接動作)を行っても、ドットズレ、ぼやけ等の画像欠陥を発生することがない。よって、高速で画像形成が行えるという利点がある。
【0044】
一方、図示していないが、感光体ベルト1の端部内面は弾性層で保持されている。つまり、感光体ベルト1の端部は弾性層により補強されているため、異常な変形を起こし難く、端部から破壊されることがない。また、端部の弾性層は減音、遮音効果を有するので現像ローラ106の摺擦により発生する振動音を実質的に気にならないレベルにできる。さらに、装置内に浮遊している異物の感光体内部への進入を防止でき、従って、感光体ベルト1とローラ2との間で働く摩擦力の変化がなく安定して感光体ベルト1が回転する。
【0045】
それでは、図4に示す画像形成装置の動作を説明する。
【0046】
図示していない駆動装置によりローラ2を矢印120方向に回転させる。ローラ2と感光体ベルト1との接触面で働く摩擦力によって、感光体ベルト1はローラ2の周速度と同一の周速度で矢印120方向に回転する。そして、図示していない電源から、感光体の帯電極性と同一極性で、感光体の放電開始電圧以上の直流電圧を感光体ベルト1に従動回転している帯電ローラ104に印加する。それによって感光体は表面電位V0に帯電する。その後、画像データに対応しオンオフされた、レーザー光105が照射され、感光体上に静電潜像が形成される。その静電潜像を現像ローラ106上に搬送されるトナーにより現像する。そして、図示していない搬送手段により矢印121方向に搬送される記録紙107を、転写ローラ101と感光体ベルト1との間の転写領域に搬送する。図示していない電源から、トナーの帯電極性と逆極性の電圧を転写ローラ101に印加し、感光体ベルト1上のトナーを記録紙107上に静電転写する。記録紙107上に転写されたトナーは図示していない定着手段により記録紙上に固定され、装置外に排出される。なお、転写が終了した感光体ベルト1上の残留トナーはクリーニングブレード102で除去され、また、残留電荷は除電光103で除電される。
【0047】
これら一連の動作によって、記録紙上に画像が形成される。
【0048】
ここで、押さえローラ110は、前述の如くレーザー光104照射位置における感光体ベルト1の相対位置ズレを防止するためのものである。ここで、押さえローラ110は、金属あるいは樹脂製のシャフト上に、ゴム層を形成したものであり、さらに必要に応じ表面に樹脂層が形成される。また、押さえローラ105の感光体ベルト1の押圧力は、線圧で1〜200g/cm、望ましくは20〜100g/cmである。そして、押さえローラ105は感光体ベルト1に従動回転させても、感光体ベルト1の周速度かそれより早い周速度(周速比1〜1.1程度)で回転させてもよい。ここで、感光体ベルト1の周速度より早い周速度で回転させると、クリーニングブレード102から押さえローラ110に至る感光体ベルト1を弛ませずにローラ2に密着できるので好ましい。ただしこの場合、押さえローラ110が感光体ベルト1の周速度に影響を与えるといけないので、トルクリミッタを配設し、押さえローラ110の駆動トルクを感光体ベルト1の周速度に影響を与えない程度のトルクに抑えるようにした方がよい。
【0049】
次に、感光体の回りに配置される部材の幅について説明する。
【0050】
感光体ベルト1は円筒状スリーブ21と接触する部分と、弾性層3に保持される部分とを有す。ここで、感光体ベルト1に接触する接触部材のうち、感光体ベルト1と円筒状スリーブ21との間隔が大きい場所に当接する部材は、円筒状スリーブ21と弾性層3とにまたがるように感光体ベルト1に接触させる。前述の如く、本実施形態の感光体は、偏心軸受けを用い、クリーニングブレード102の当接箇所近傍で感光体ベルト1は円筒状スリーブ21に近接する。そのため、クリーニングブレード102を円筒状スリーブ21と弾性層3とにまたがるように感光体ベルト1に接触させる必要はない。ところが、押さえローラ110ならびに転写ローラ101の当接箇所近傍では、感光体ベルト1と円筒状スリーブ21との間隔が大きい。そのため、当接端近傍、ならびに弾性層3で保持される箇所と弾性層3で保持されない箇所との境界近傍での感光体ベルト1の異常変形を防止するために、押さえローラ110ならびに転写ローラ101は、円筒状スリーブ21と弾性層3とにまたがるように感光体ベルト1に接触させる方が望ましい。
【0051】
一方、押さえローラ110はレーザー光105照射領域の下流側で感光体ベルト1に圧接される。そのため、レーザー光105照射領域より外周側の感光体ベルト1に接触させる。しかし、以下のように押さえローラ110を構成することで、押さえローラ110を軸方向にわたって感光体ベルトに当接させることができる。
【0052】
ア)導電性基材上に高抵抗部材もしくは絶縁部材からなるローラを形成し、基材をフロートもしくは感光体ベルト1の基材と同電位となす。
【0053】
イ)導電性基材上にゴム層を形成し、さらにその上に高抵抗部材もしくは絶縁部材を形成したローラとし、基材をフロートもしくは感光体ベルト1の基材と同電位となす。
【0054】
さて、図8は、本発明に係わる画像形成装置の第2の実施形態を示す図である。
【0055】
第2の実施形態における画像形成装置は、第1の実施形態において、転写ローラ101をコロナ転写器112に変更したものである。
【0056】
符号102はクリーニングブレード、符号103は除電光、符号104は帯電ローラ、符号105はレーザー光、符号106は現像ローラ、符号110はレーザー光照射位置ズレを防止するための押さえ部材110である。また、符号111は、転写位置ズレを防止するために、現像ローラ106からコロナ転写器112の間に配置される第2の押さえローラである。そして、ローラ2と感光体ベルト1とが近接する箇所がクリーニングブレード102の当接位置近傍、あるいは、クリーニングブレード102からレーザー光105照射位置に至る間にあるように偏心位置を調節した感光体を設置し、押さえローラ110から第2の押さえローラ111に至る間に感光体ベルト1の弛み部5を形成する。そして、図示していない駆動手段によりローラ2を駆動し、ローラ2と感光体ベルト1との間で働く摩擦力によって感光体ベルト1を回転させる。
【0057】
このような構成の画像形成装置は、画像形成中に現像ローラ106の離接動作を行うような装置、例えば、前述のカラー画像を形成する画像形成装置に用いると、離接動作に伴う感光体ベルト1の弛み部5の形状変化は押さえローラ110から第2の押さえローラ111に至る間で生じるものの、その変化は転写位置およびレーザー光照射位置には及ばない。従って、静電潜像形成中もしくは転写動作中に現像ローラを切り換える動作(離接動作)を行っても、ドットズレ、ぼやけ等の画像欠陥を発生することがない。よって、高速で画像形成が行えるという利点がある。
【0058】
なお、現像から転写に至る領域においては感光体ベルト1上にトナー像が存在するので、第2の押さえローラ111は、レーザー光104照射領域より外周側で感光体ベルト1に当接するよう構成する。
【0059】
また、図9は、本発明に係わる画像形成装置の第3の実施形態を示す図であり、第1の実施形態で示す感光体を画像形成装置に搭載した時の断面模式図である。この装置は感光体上に形成したトナー像を中間転写媒体113上で重ね合わせ、図示していない記録紙に中間転写媒体113上のトナー像を一括転写してカラー画像を形成する画像形成装置である。
【0060】
符号102はクリーニングブレード、符号103は除電光、符号104は帯電ローラ、符号105はレーザー光、符号106aは第1色目の現像ローラ、符号106bは第2色目の現像ローラ、符号110aはレーザー光105照射箇所から第1色目の現像ローラ106aの当接位置に至る間に設置される押さえローラ、符号111は第2色目の現像ローラ106bから転写位置に至る間に設置される第2の押さえローラ、符号114は第1の転写ローラである。
【0061】
そして、ローラ2と感光体ベルト1とが近接する箇所がクリーニングブレード102の当接位置近傍、あるいは、クリーニングブレード102からレーザー光105照射位置に至る間にあるように偏心位置を調節した感光体を設置し、押さえローラ110aから第2の押さえローラ111aに至る間に、感光体ベルト1の内径とローラ2の外径との差分によって生じる感光体ベルト1の弛み部を形成し、かかる弛み部に現像ローラを当接させる。ここで、押さえローラ110a、第2の押さえローラ111aは、図示していない移動手段により、第1の当接位置G1、H1と第2の当接位置G2、H2とを移動可能に構成されている。押さえローラ110aと第2の押さえローラ111aの当接位置を変えることで、感光体ベルト1の弛み部の形状を変え、それによって、現像ローラの選択を行うものである。
【0062】
図9(a)は、第1色目の現像ローラ106aを選択した時の、同図(b)は第2色目の現像ローラ106bを選択した時の、画像形成装置の断面概略図である。
【0063】
第1色目の現像ローラ106aを選択する場合は、押さえローラ110aを位置G1に、第2の押さえローラ109aを位置H1に配置し、第2色目の現像ローラ106bを選択する場合は、押さえローラ110aを位置G2に、第2の押さえローラ111aを位置H2に配置する。これにより、現像ローラを移動することなしに、現像ローラの選択、現像ローラの感光体ベルト1への離接動作を行うことができる。
【0064】
第3の実施形態の画像形成装置では、押さえローラ110a、第2の押さえローラ111aの移動によって感光体ベルト1の弛み部の形状は変化するが、感光体ベルト1はその弛み部のみが変形し、押さえローラ110aより上流側、及び、第2の押さえローラ111aより下流側の感光体ベルト1は変形しない。従って、現像ローラ選択によるレーザー光照射位置ズレ、転写位置ズレが発生しない。従って、良好な画像を得ることができる。また、第1色目のトナー像の中間転写媒体110上への転写中に、押さえローラ110a、第2の押さえローラ111aの移動を行えるので、高速で画像形成が行えるという利点がある。
【0065】
なお、第3の実施形態においては、押さえローラ110a、第2の押さえローラ111aで感光体ベルト1の弛み部5の形状を変化させたが、例えば、押さえローラ110aのみを配置し、それを移動することで、押さえローラ110aから第1の転写ローラ111に至る感光体ベルトの弛み部を変化させる構成でもよい。この場合、部品点数を減じられるという利点がある。
【0066】
さらに、図10は、本発明に係わる画像形成装置の第4の実施形態を示す図である。第4の実施形態における画像形成装置は、第1の実施形態の画像形成装置の押さえローラ110を押さえ部材115に変更したものである。この押さえ部材115は、感光体ベルト1の弾性層で保持された箇所と保持されない箇所とにまたがって、かつ、転写ローラ101の接触位置の上流点からレーザー光105照射位置の下流点に至る間で、感光体ベルト1の表面をローラ2に図示していない押圧手段によって押圧するように構成されている。そして、この押さえ部材115は、ソリッド、フォーム、スキン層を持つフォーム等のゴム、ナイロン樹脂等の樹脂シート等で構成される。そのため、感光体ベルト1は転写ローラ101の接触位置の上流側からレーザー光105照射位置の下流側にかけて幅広く円筒状スリーブに接触し、レーザー光105照射位置の下流側から転写ローラ101の接触位置の上流側に至る間で弛み部を形成する。この弛み部に現像ローラ106を接触させる。そして、ローラを回転させることで、ローラの円筒状スリーブと感光体ベルト1との接触面で働く摩擦力によって、感光体ベルト1を回転させる。ここで、感光体ベルト1を安定に回転させるためには、押さえ部材115と感光体ベルト1との間で働く摩擦力よりも、円筒状スリーブと感光体ベルト1との接触面で働く摩擦力の方を大きくする必要がある。そのためには、押さえ部材115と感光体ベルト1との摩擦係数を小さくする、あるいは、押さえ部材115の感光体ベルト1への当接力を小さくする、あるいは、押さえ部材115と感光体ベルト1との接触面積を小さくするが挙げられる。
【0067】
そして、感光体ベルト1に接触する、クリーニングブレード、帯電ローラ、転写ローラ等は、感光体ベルト1の両端部に設置される押さえ部材115より内側に配置される。
【0068】
このように感光体ベルト1の周面を押さえ部材115で押さえる構成は、押さえ部材で押さえた感光体ベルト1の領域全体がそれに内挿されるローラの表面に接触するので、ローラと感光体ベルト1との接触面で充分な摩擦力が働き、感光体ベルト1を安定に回転させることができ、好ましい。なお、この押さえ部材115は、偏心軸受けにより弾性層を支持する支持部材の回転中心をローラ2の回転中心を感光体ベルトの弛み部側に偏心させた構成の感光体との組み合わせで用いると、押さえ部材115の感光体ベルト1の弾性層で保持された箇所と保持されない箇所とにまたがる幅を小さくしても、感光体ベルト1は転写ローラ101の接触位置の上流側からレーザー光105の照射位置の下流側にかけて幅広く円筒状スリーブに接触するので好ましい。
【0069】
以上、画像形成装置の実施形態を4例述べてきたが、本発明は上記実施形態のみに限定されない。
【0070】
また、本実施形態では感光体を像担持体として用いる画像形成装置を例として示してきたが、静電記録装置、例えばイオノグラフィーに用いられる像担持体等の潜像担持体、あるいは、電子写真装置等に用いられる転写媒体、特に中間転写媒体や、記録紙を担持し移動しながら転写動作を行ういわゆる転写ドラム等のトナー像担持体を搭載する画像形成装置に幅広く応用可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の電子写真方式の像担持体は、可撓性を有するベルトと、前記ベルトの両端内面を保持する弾性層と、前記ベルトの内部にあってベルトの内径よりも外径の小さいローラとから構成したので、ベルトの端部は弾性層により補強されるためベルト端部から破壊されることなく、しかも弾性層は減音、遮音効果を発現し、さらに装置内に浮遊している異物の感光体内部への進入を防止できる。そして、一度像担持体を構成してしまえば、アルミニウム基材上に感光層を形成した感光体ドラムのようにハンドリングできるため、組立作業性を大幅に向上させることができる。
【0072】
さらに、弾性層は、その外径がベルトの内径よりも大きく、表面から加圧した時はローラの外面以下まで弾性変形可能に構成されているので、弾性層により確実にベルトを保持することができる。そして、弾性層はローラの円筒面まで変位できるので、弾性層の保持されるベルト箇所までの当接長さを有する当接部材を当接した際、弾性層で保持されるベルト箇所と保持されないベルト箇所との境界近傍のベルトは異常変形せず、従ってベルト寿命を大幅に向上できる。
【0073】
さらに、ベルトの内面もしくはローラの表面の少なくとも一方に、高摩擦係数の材質を形成したので、ベルトとローラとの接触面で、ベルトと接触部材との間で働く摩擦力に打ち勝つだけの充分な摩擦力を得ることができ、従って、ローラを回転駆動することによって、安定にベルトを回転させることができる。
【0074】
さらに、ローラと独立に回転可能で、弾性層を支持する支持部材を配設したので、ローラとベルトの径の差により発生する角速度差を解消でき、従って、弾性層の破壊防止が図られる。
【0075】
さらに、支持部材の回転中心とローラの回転中心とを異ならせたので、クリーニングブレードの当接箇所から少し離れたベルト周面箇所も接触部材を当接することでローラに接触するので、ベルトとローラとの間の接触面積が大きくなり、従って、ベルトをより安定に回転できる。また、クリーニングブレードの当接箇所近傍の弾性層の変形量と、ベルトの弛み部の近傍の弾性層の変形量との差を少なくでき、従って、弾性層の破壊防止が図られる。
【0076】
さらにまた、支持部材が、ベルトの縁と接触するフランジ部を形成しているので、ベルトがスラスト方向へ蛇行するのをを防止できる。支持部材の回転中心とローラの回転中心とを違えてあるので、ベルトの縁とフランジ部との相対位置ズレを小さく押えることができる。したがって、ベルトの縁とフランジ部との摺動は極微少となり、従って、ビビリ音の発生が少なく、かつ、ベルト端部の折れ、割れ、感光層の剥がれが防止できる。
【0077】
また、本発明の電子写真方式の画像形成装置は、感光層が形成された可撓性を有すベルトと、前記ベルトの両端内面を保持する弾性層と、ベルトの内部にあってベルトの内径よりも外径の小さいローラとからなる像担持体の、前記ベルトと前記ローラの径の差分によって生じるベルトの弛み部に現像ローラを接触させるので、像担持体端部を破壊することなく、長期にわたって安定に像担持体を駆動可能で、騒音の発生を少なくでき、現像ローラを像担持体に低圧接力で当接でき、さらに、高品質な画像形成が可能となる。
【0078】
さらに、ベルトの潜像形成位置下流側にベルト表面をローラ方向に押圧する第1の押圧部材を配設したので、現像ローラのベルトへの摺擦によるベルトの振動によるレーザー光照射位置ズレを防止でき、従って、良好な画像を得ることができる。
【0079】
さらに、ベルトの転写位置もしくは前記転写位置上流側にベルト表面をローラ方向に押圧する第2の押圧部材を配設したので、現像ローラのベルトへの摺擦によるベルトの振動による転写位置ズレを防止でき、従って、良好な画像を得ることができる。
【0080】
さらにまた、ベルトの表面に接触する接触部材のうち少なくとも1つの接触部材は、弾性層で保持されていないベルト部分と弾性層で保持されたベルト部分との両方に接触しているので、接触部材の当接端近傍、ならびに弾性層で保持される箇所と弾性層で保持されない箇所との境界近傍でのベルト1の異常変形が防止され、弾性層の寿命が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】像担持体の例として感光体を用い、本発明の第1の実施形態を示した断面図である。
【図2】同上感光体の斜視図である。
【図3】同上感光体の部分斜視図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第1の実施形態を示した断面模式図である。
【図5】像担持体の例として感光体を用い、本発明の他の実施形態を示した断面図である。
【図6】像担持体の例として感光体を用い、本発明のさらに他の実施形態を示した断面図である。
【図7】(a)、(b)は弾性層と弾性層を支持する支持部材の他の実施形態の斜視図である。
【図8】本発明の画像形成装置の第2の実施形態を示した断面模式図である。
【図9】本発明の画像形成装置の第3の実施形態を示した断面模式図であり、(a)は第1の現像ローラを選択した時を、(b)は第2の現像ローラを選択した時を示す図である。
【図10】本発明の画像形成装置の第4の実施形態を示した断面模式図である。
【符号の説明】
1 感光体ベルト
2 ローラ
3、3a、3b 弾性層
5 弛み部
31、31a、31b 支持部材
33、45、49 フランジ部
34 偏心軸受け
102 クリーニングブレード
106 現像ローラ
106a 第1色目の現像ローラ
106b 第2色目の現像ローラ
110、110a 押さえローラ
111、111a 第2の押さえローラ
115 押さえ部材

Claims (11)

  1. 可撓性を有し潜像が形成されるベルトと、前記ベルトの両端内面を保持する弾性層と、前記ベルトの内部にあってベルトの内径よりも外径が小さく、かつ前記ベルトが接触してこのベルトを回転するローラと、前記ローラと独立に回転可能で、前記弾性層を支持する支持部材とからなることを特徴とする電子写真方式の像担持体。
  2. 前記弾性層は、その外径が前記ベルトの内径よりも大きく、表面から加圧した時はローラの外面以下まで弾性変形可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子写真方式の像担持体。
  3. 前記弾性層がフォームもしくはスキン層を持つフォームからなることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真方式の像担持体。
  4. 前記ベルトの内面もしくは前記ローラの表面の少なくとも一方に、高摩擦係数の材質を形成したことを特徴とする請求項1記載の電子写真方式の像担持体。
  5. 前記支持部材の回転中心と前記ローラの回転中心とが異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の電子写真方式の像担持体。
  6. 前記支持部材に、前記ベルトの縁に接触するフランジ部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1記載の電子写真方式の像担持体。
  7. 前記ベルトが感光体ベルトであることを特徴とする請求項1ないし6記載の電子写真方式の像担持体。
  8. 感光層が形成された可撓性を有し潜像が形成されるベルトと、前記ベルトの両端内面を保持する弾性層と、前記ベルトの内部にあってベルトの内径よりも外径の小さく、かつ前記ベルトが接触してこのベルトを回転するローラと、前記ローラと独立に回転可能で、前記弾性層を支持する支持部材とからなる像担持体を備え、前記像担持体の、前記ベルトと前記ローラの径の差分によって生じるベルトの弛み部に現像ローラを接触させることを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
  9. 前記ベルトの潜像形成位置下流側に前記ベルト表面を前記ローラ方向に押圧する第1の押圧部材を配設したことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 前記ベルトの転写位置もしくは前記転写位置上流側に前記ベルト表面を前記ローラ方向に押圧する第2の押圧部材を配設したことを特徴とする請求項8または9記載の電子写真方式の画像形成装置。
  11. 前記ベルトの表面に接触する接触部材のうち少なくとも1つの接触部材は、前記弾性層で保持されていない前記ベルト部分と前記弾性層で保持された前記ベルト部分との両方に接触していることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1記載の電子写真方式の画像形成装置。
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