JP3656131B2 - 光ヘッド装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、ビデオディスク等の光ディスクおよび光磁気ディスク等に光学的情報を書き込んだり、光学的情報を読み取るための光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスク等に光学的情報を書き込んだり、光学的情報を読み取る光ヘッド装置において、CDおよびCD−ROMとDVDディスクのように、異なった厚さの光記録媒体に対して、信号の読み書きを1つの光ヘッド装置で行うことがしばしば必要になる。
【0003】
このような目的の光ヘッド装置を実現するために、従来は例えばレンズの表面にフレネルレンズタイプのブレーズホログラムを形成したレンズ素子を用いていた。半導体レーザからレンズ素子に入射した光のうち、例えば約半分をブレーズホログラムによってビームが拡がる方向に回折し、残り半分はそのまま透過せしめる。その後レンズ素子本体によって各々を収束せしめることによって、2つの焦点を持つ光を一つの光ヘッド装置によって発生させることが行われてきた。
【0004】
また、レンズは従来と同様の形状とし、ブレーズホログラムをプレート上に形成したフレネルレンズホログラムプレートを別途分離して設置させることも試みられている。
【0005】
しかし、これらの方式の大きな欠点は、上記ブレーズホログラムによって、光の1回の通過で光量が半分になることである。したがって、往方向(光源側から光記録媒体側へ向かう方向)と復方向(光記録媒体側から光源側および光検出器側へ向かう方向)の2回の通過で光量が1/4になる問題がある。このため、特に大きな出力を得るのが困難である赤色の半導体レーザを利用した光ヘッド装置の場合、大出力を得ようとして光源に対する負荷が大きくなり、コストの上昇、信頼性の低下をもたらすことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題を解消し、光の利用効率を高め、安価に製造できる、2重焦点レンズ効果を有する光変調素子を備える光ヘッド装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源からの光を回折素子を通して光記録媒体に照射することにより、情報を読み取りおよび/または書き込む光ヘッド装置において、前記回折素子は、略平行な2つの透明基板とその間に挟持される液晶とを備え、少なくとも一方の透明基板の液晶側の面の中心部が同心円状のフレネルレンズホログラムとして機能するブレーズ形状とされ、2つの透明基板の液晶側の面に電極および配向膜が形成され、液晶は電界非印加時には配向方向が透明基板に対して略平行であり、電界印加時には配向方向が透明基板に対して略垂直であって2重焦点レンズ効果を有し、また液晶の常光屈折率、異常光屈折率のいずれか一方が透明基板の屈折率にほぼ等しい光変調素子であることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
【0008】
本発明における光変調素子は、液晶の常光屈折率、異常光屈折率のいずれか一方が透明基板の屈折率にほぼ等しいことである。このような構成により、液晶の常光屈折率が透明基板の屈折率にほぼ等しい場合、液晶の常光屈折率の方向に偏光した光に対してはフレネルレンズホログラムとして機能せず、液晶の異常光屈折率の方向に偏光した光に対してはフレネルレンズホログラムとして機能する。液晶の異常光屈折率が透明基板の屈折率にほぼ等しい場合は、液晶の常光屈折率の方向に偏光した光に対してはフレネルレンズホログラムとして機能し、液晶の異常光屈折率の方向に偏光した光に対してはフレネルレンズホログラムとして機能しない。したがって、偏光選択性を有するフレネルレンズホログラムを構成できる。
【0009】
本発明はまた、前記光変調素子は液晶の常光屈折率と透明基板の屈折率とがほぼ等しく、前記ブレーズ形状の凹凸部の深さと、液晶の異常光屈折率と透明基板の屈折率との差(Δn)との積が入射する光の真空中の波長に等しい上記の光ヘッド装置を提供する
【0010】
本発明の光ヘッド装置は、非球面レンズ(対物レンズ)と分離され、液晶によって形成されたフレネルレンズホログラムプレートからなる光変調素子を有し、光変調素子に設けられた電極に電圧を印加することにより、2つの焦点を切り替えることができ、光利用効率の高い光ヘッド装置とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における光変調素子を上からみた平面図を図2に示す。ただし、図2では中心部から6周期分の同心円状のブレーズ形状を示し、それ以上は省略してある。前記ブレーズ形状は、階段状の疑似ブレーズ形状であってもフレネルレンズ機能を付与できる。フレネルレンズ機能を付与するために、ブレーズの周期は中心部から周辺部に向かって小さくすることが好ましい。
【0012】
図2のA1−A2線で切った部分側断面図を図1に示す。ここで、液晶4は電界非印加時には紙面に略平行で透明基板1、11に略平行(A1−A2線に略平行)に配向しているとし、液晶4の常光屈折率が透明基板1、11の屈折率にほぼ等しいとする。電界非印加時には、紙面に略平行で透明基板1、11に略平行に偏光した光に対しては、透明基板1、11と液晶4の異常光屈折率が異なるため、光変調素子はフレネルレンズとして機能する。ブレーズ形状の凹凸部の深さ(高さ)を、液晶4の異常光屈折率と透明基板1、11の屈折率との差(Δn)に応じて適切な大きさにすると、入射光を高い割合で、原理的にはほぼ100%回折させることができる。具体的には、電界非印加時にΔn×(凹凸の深さ)=(真空中の光の波長)のとき、ほぼ100%の回折効率が得られる。
【0013】
一方電界印加時には、液晶4は透明基板1、11に対してほぼ垂直に配向し、液晶4と透明基板1、11の屈折率が等しくなり液晶4はフレネルレンズとして機能せず、光は全て透過する。
【0014】
このような光変調素子7を図3のように配置し、光ヘッド装置を構成する。電界印加時には、液晶の常光屈折率と透明基板の屈折率が等しいため全ての光がそのまま透過し、光ディスク5面の近いところに焦点を結ぶ。反射光はそのままの経路を戻りやはり100%通過する。
【0015】
電界非印加時には、光変調素子7の中心部のフレネルレンズホログラム構造8の部分を通過した光(液晶の配向方向に偏光した光)の大部分は、液晶の異常光屈折率と透明基板の屈折率が異なるためフレネルレンズ効果により回折し拡がり、非球面レンズ6によって光ディスク5面の遠いところに焦点を結ぶ。反射光も同じ経路を戻り、同じく大部分がフレネルレンズホログラム構造の部分で回折され元の光路に戻る。
【0016】
液晶の配向の制御は、透明基板の表面にポリイミド膜を形成し、ラビング処理することによって行うことができる。
【0017】
本発明における光源としては半導体レーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、He−Ne等の気体レーザが使用でき、半導体レーザが小型軽量化、連続発振、保守点検等の点で好ましい。また、光源部に半導体レーザ等と非線形光学素子を組み込んだ高調波発生装置(SHG)を使用し、青色レーザ等の短波長レーザを用いると、高密度の情報の読み取りおよび/または書き込みができる。
【0018】
本発明における光記録媒体は、光により情報を読み取りおよび/または書き込みできる媒体である。その例としてはCD(コンパクト ディスク)、CD−ROM、ビデオディスク、DVD(デジタル ビデオ ディスク)等の光ディスク、および光磁気ディスク、相変化型光ディスク等が使用できる。
【0019】
【実施例】
本発明の実施例を図1〜図3を用いて以下に説明する。厚さ0.5mm、10mm×10mm角で、屈折率1.50のポリオレフィン樹脂を、その表面に同心円状のブレーズ形状を有するように成形し、透明基板1とした。ブレーズの深さは約3μmとした。その後、その液晶4側の面にITO膜の透明電極3を形成し、さらにその上にポリイミド膜2を形成しラビング処理した。ここで、フレネルレンズホログラム構造を形成したのは、透明基板1の中心部の直径2.5mmの円形部分である。このとき、中心部分での1周期(1ブレーズ)は285μm、最周辺部分での1周期は33μmであった。
【0020】
ポリオレフィン樹脂を成形した、もう1枚の平坦な透明基板11の液晶4側の面に、ITO膜の透明電極3とポリイミド膜2を形成し、表面をラビング処理した。
【0021】
液晶注入用の開口部を除いて周辺部にシール部を印刷した、2枚の透明基板1、11をポリイミド膜2が対面するようにし、セルギャップが約10μmになるようにして重ね合わせた。その後、液晶注入用の開口部から液晶4(メルク社製商品名PL−008、ネマチック液晶、常光屈折率=1.525、異常光屈折率=1.771)を真空注入した。その後、液晶注入用の開口部をエポキシ樹脂で封止し、光変調素子7を作製した。
【0022】
図3に示すように、半導体レーザ(図示せず)、フレネルレンズホログラム構造8を有する光変調素子7、非球面レンズ(対物レンズ)6、光ディスク5を設けて光ヘッド装置を作製した。電界非印加時には焦点距離は短くなり、半導体レーザからの波長780nmの入射光に対して、往方向の回折効率は約60%で、復方向の回折効率は約60%で、往復効率は約36%であった。
【0023】
一方、電界印加時(電圧5V印加)には焦点距離は長くなり、往方向の回折効率は約90%で、復方向の回折効率も約90%で、約81%の往復効率が得られた。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、光の利用効率が高く、安価に製造できる2重焦点レンズ効果を有する光変調素子を備えた光ヘッド装置が得られた。2重焦点レンズ効果を有することにより、CDおよびCD−ROMとDVDディスクのように、異なった厚さの光ディスクに対して信号の読み書きを1つの光ヘッド装置で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、図2のA1−A2線における光変調素子の部分側断面図。
【図2】本発明の実施例を示し、光変調素子の中心部の平面図。
【図3】本発明の実施例を示し、光ヘッド装置の側面図。
【符号の説明】
1:透明基板
2:ポリイミド膜
3:透明電極
4:液晶
5:光ディスク
6:非球面レンズ
7:光変調素子
8:フレネルレンズホログラム構造
11:透明基板

Claims (2)

  1. 光源からの光を回折素子を通して光記録媒体に照射することにより、情報を読み取りおよび/または書き込む光ヘッド装置において、前記回折素子は、略平行な2つの透明基板とその間に挟持される液晶とを備え、少なくとも一方の透明基板の液晶側の面の中心部が同心円状のフレネルレンズホログラムとして機能するブレーズ形状とされ、2つの透明基板の液晶側の面に電極および配向膜が形成され、液晶は電界非印加時には配向方向が透明基板に対して略平行であり、電界印加時には配向方向が透明基板に対して略垂直であって2重焦点レンズ効果を有し、また液晶の常光屈折率、異常光屈折率のいずれか一方が透明基板の屈折率にほぼ等しい光変調素子であることを特徴とする光ヘッド装置
  2. 前記光変調素子は液晶の常光屈折率と透明基板の屈折率とがほぼ等しく、前記ブレーズ形状の凹凸部の深さと、液晶の異常光屈折率と透明基板の屈折率との差(Δn)との積が入射する光の真空中の波長に等しい請求項1に記載の光ヘッド装置
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