JP3656086B2 - 廃材の溶融処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、火力発電所等において使用されているケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等の軽比重の廃材の溶融処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所、化学プラント、製油所等においては、ケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等の軽比重の保温材が使用されており、点検や補修工事の際には撤去された廃材が大量に発生する。従来、このような廃材はビニール袋に入れたうえ、産業廃棄物として埋め立て処分されている。
【0003】
ところが、この種の軽比重の廃材はかさ容積が大きいため、埋め立て処分場までの運搬と処分には多大な費用が必要とされている。また埋め立て処分には広い場所を必要とするが、最終処分場は近年用地確保が困難となっており、大きな社会問題となっている。
【0004】
なお、廃材のうち吹き付けアスベスト廃材については、これをガラスの小片とともに溶融炉に投入し、ガラスの重みによりアスベスト廃材を溶融液中に押し込み溶融させる方法が特開平2-251289号公報等により提案されている。ところがこの方法では多量のガラスが助剤として必要となり、処理コストの上昇や最終処理物の重量増加を招くという問題がある。しかもケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等はボード状等に成形されているものが多く、吹き付けアスベスト廃材のようにそのまま溶融炉に自動投入することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、ケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等の軽比重の廃材を効率的に溶融処理することができる廃材の溶融処理方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の廃材の溶融処理方法は、ケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等の軽比重の廃材を、破砕した後、圧縮下に造粒して、少なくとも0.6トン/m 3 の密度に高密度化したうえで溶融炉にて溶融して、炉外に溶融物として取り出すことを特徴とするものである。なお、破砕された廃材を5〜30mmの粒径に圧縮下に造粒して、少なくとも0.6トン/m 3 の密度に高密度化したうえ、溶融炉に投入することが好ましい。また、破砕された廃材に溶融助剤として5〜10重量%の水ガラスを添加して廃材の表面を濡らした後、圧縮下に造粒して溶融することもできる。
【0007】
【作用】
本発明によれば、軽比重の廃材を破砕した後、圧縮下に造粒して、粒状化したうえで溶融する。このためハンドリングが容易となり、溶融炉の溶湯表面への均一供給が行い易くなり、溶湯表面からの熱放散を防止できるうえ、粉塵の飛散やこぼれによる作業環境の悪化が防止される。また本発明では軽比重の廃材を圧縮下に造粒して、少なくとも0.6トン/m 3 の密度に高密度化したうえで溶融炉に投入するので、投入された廃材が溶湯表面に浮かぶことなく沈降し、速やかに溶融される。
【0008】
このように本発明によればケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等の軽比重の廃材を効率よく溶融処理することができ、従来のように埋め立て処分場までの運搬と処分に要する費用を必要とせず、また埋め立て処分場の不足の問題を解決することができる。なお、水ガラス等の溶融助剤を添加すれば、溶融促進効果を高めることができるとともに、廃材の表面を濡らすことにより粉塵飛散抑制効果を高めることができる利点がある。
【0009】
【実施例】
以下に本発明を図示の実施例とともに更に詳細に説明する。
〔実施例1〕
図1に示すように、ケイ酸カルシウム等の軽比重の廃材はまず剪断式の破砕機1により破砕され、更に造粒機2に送られる。実施例の造粒機2はブリケッティングマシンと呼ばれるもので、テーパ状のスクリュー羽根3によって廃材を圧縮しつつ下方へ送り、一対の高圧ロール4、4の間で加圧して造粒するとともに高密度化する装置である。造粒物の粒径は5〜30mm程度とすることが好ましい。
【0010】
破砕機1により破砕しただけの軽比重の廃材は、密度が0.08〜0.1 トン/m3 であるが、造粒機2により高密度化することによって、密度を0.6 〜1.0 トン/m3 と約10倍程度まで高めることができる。密度を更に高めたい場合には、水分を5〜10%程度添加するとよい。
【0011】
次に造粒され高密度化された廃材は、分配器5を介して溶融炉6へ投入される。実施例の溶融炉6は、電極7、7を液面下に挿入したサブマージアーク炉と呼ばれる形式の電気溶融炉であり、電極7、7間に通電してそのジュール熱により廃材を1400〜1700℃の高温で溶融する。このとき、造粒された廃材を溶湯面上に均一に分散させて熱の放散を防ぐことが好ましく、前記したように粒径を5〜30mmとしておけばそのハンドリングが容易となるとともに、粉塵の飛散が抑制される。なお、溶融炉の種類は実施例のサブマージアーク炉に限定されるものではなく、例えばキュポラ等の他の種類の炉を使用することもできる。またケイ酸カルシウム保温材を溶融する際に、ロックウール保温材を20%程度まで添加して溶融することも可能である。
【0012】
溶融された廃材は、図2に示すように溶融炉6の出湯口8から細流として炉外に導かれる。本実施例では、溶融物は繊維化装置9により繊維化される。実施例の繊維化装置9は7000〜8500rpm の高速で回転する円盤状又は円筒状の回転体10、10上に溶融物を流下させ、遠心力で繊維化する遠心法を利用した装置である。このほか、繊維化装置9としては特殊な形状のノズルから噴出させた圧縮空気により溶融物を吹き飛ばし、繊維化するブローイング法を利用した装置を用いることもできる。なお、これらの繊維化装置9自体は、従来からロックウールやセラミックウールの製造に使用されているものをそのまま使用することができる。
【0013】
11は繊維化装置9の出口側に配置された集綿装置であり、製造されたケイ酸カルシウム繊維のみを排風器12でコンベヤ13上に吸引して回収する。回収された繊維は公知のボード化装置などの成形装置 (図示せず) により成形されて焼き固められ、再び保温材としたり、吸音材として再利用される。
【0014】
このほか、溶融炉6の出湯口8から流出させた溶融物を水中に投入して水砕スラグとしたり、型に鋳込んでブロック等を成形したり、ファイバーを製造することもできる。これらの方法によれば容積を非常に小さくすることができ、埋め立て処分することとなってもコストを低減させることができる。
【0015】
〔実施例2〕
上記の実施例1では、破砕して高密度化した廃材を単独で溶融炉6に投入したが、本実施例では廃材に水ガラス(ケイ酸ソーダ)等の溶融助剤を5〜10重量%添加して溶融する。このように溶融助剤を添加することにより、溶融速度を高めることができるとともに、廃材の表面を濡らすことにより粉塵飛散を抑制し、作業環境を向上させることができる。
【0016】
例えば、保温廃材を破砕しただけの場合の溶融速度は40kWの電気溶融炉を使用した場合は25〜30kg/hであったが、保温廃材を破砕した後、10重量%の水ガラスを添加し、高密度化すれば47〜55kg/hまで溶融速度を高めることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の廃材の溶融処理方法によれば、廃材をそのまま埋め立て処分していた従来法とは異なり、埋め立て処分コストを大幅に削減することができる。また本発明によれば廃材を破砕して高密度化したうえで溶融炉に投入するので、溶湯中への沈降が早く、迅速に溶融させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す前半の工程図である。
【図2】本発明の実施例を示す後半の工程図である。
【符号の説明】
1 破砕機、2 造粒機、3 テーパ状のスクリュー羽根、4 高圧ロール、5 分配器、6 溶融炉、7 電極、8 出湯口、9 繊維化装置、10 回転体、11 集綿装置、12 排風器、13 コンベヤ
Claims (3)
- ケイ酸カルシウム保温材、ロックウール保温材、ガラスウール保温材等の軽比重の廃材を、破砕した後、圧縮下に造粒して、少なくとも0.6トン/m 3 の密度に高密度化したうえで溶融炉にて溶融して、炉外に溶融物として取り出すことを特徴とする廃材の溶融処理方法。
- 破砕された廃材を5〜30mmの粒径に圧縮下に造粒して、少なくとも0.6トン/m 3 の密度に高密度化したうえ、溶融する請求項1に記載の廃材の溶融処理方法。
- 破砕された廃材に溶融助剤として5〜10重量%の水ガラスを添加して廃材の表面を濡らした後、圧縮下に造粒し溶融する請求項1または2に記載の廃材の溶融処理方法。
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JP06555795A JP3656086B2 (ja) | 1995-03-24 | 1995-03-24 | 廃材の溶融処理方法 |
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1995
- 1995-03-24 JP JP06555795A patent/JP3656086B2/ja not_active Expired - Fee Related
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