JP3655878B2 - Pll回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現用系と予備系用など、複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして動作するように構成されたPLL(Phase Locked Loop) 回路に関し、特に基準クロック切換時の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種装置に複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして動作するように構成されたPLL回路が用いられる。このようなPLL回路における基準クロックの切り替え方式を図を用いて説明する。図11は、従来のPLL回路の概略構成ブロック図を示している。また図12は、図11のPLL回路における各部の波形を示すタイミングチャートである。同回路は周知の構成であり、例えば特開平3−22706号公報にも等価な回路が開示されている。
【0003】
図12では、時刻(T51)でクロック切り換え信号をアサートし、基準クロックをクロックAからクロックBに切り換えるものとする。アサート前には、PLL回路の既知機能で基準クロック(クロックA)と比較クロックは同期しており例えば時刻(T50)では基準クロックが立ち上がるとき比較クロックも立ち上がる。
【0004】
この従来の回路では、クロック切り替え信号から直接基準クロックの切り替えのみをおこなっている。このため、図12に示すように、クロック切り換え信号をアサート(T51)したとき、その直後(T52)で、比較クロックと基準クロック(クロックB)との位相差が生じてしまい、これを吸収するため、ある程度の時間、電圧制御発振器(VCXO)からの出力クロックの周波数が変動してしまう。このため、当該PLL回路を用いて処理を行っている通信データに一瞬誤りが生じることや、後続のPLLに供給されるクロックが不安定になるため、一時的に追従できなくなる等の不都合が生じることがある。
【0005】
この点を解決するためには、例えば、特開平3−22706号公報のように、基準クロックの入力部に分周器を設け、高速クロックを低速クロックに変換し、この低速クロックを基準クロックとしてPLL回路に選択回路を通して入力する構成とし、前記基準クロック入力部の分周器をリセットすることにより位相のずれを吸収する方法が提案されている。
【0006】
しかし、上述技術の場合、基準クロック入力部にも分周器が必要となる。また、複数の基準クロックを選択するためには、選択する基準クロックの数だけ分周器を設け、またそれをリセットする手段を持たなければならないため、回路構成が複雑化することが問題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PLL回路における上述した実状に鑑みなされたもので、比較クロックの位相を制御することにより、基準クロック切り替え時に基準クロックと比較クロックの位相のずれがなく切換時も安定した出力が得られ、しかも簡易な構成にて実現することができるPLL回路を提案することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
課題解決のため、請求項1の発明では、複数のクロック信号を切り替えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器を含み構成されたPLL回路において、前記基準クロックが前記複数のクロック信号の第1クロックから第2クロックに切り替わるとき、当該第2クロックがHレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行うが、もし当該第2クロックがLレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該第2クロックへの切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードする、タイミング生成器を備える。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のPLL回路において、前記複数のクロック信号は前記第1クロックと前記第2クロックとからなり、前記第1クロックは現用クロック信号であり、前記第2クロックは予備用クロック信号であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、クロック切換信号により複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器と、前記クロック切換信号および前記複数のクロック信号それぞれが入力されてクロック選択信号を前記クロック選択器に出力するタイミング生成器と、を含み構成されたPLL回路であって、前記タイミング生成回路が、前記クロック切換信号により現用クロック信号から他のクロック信号に切り替わるとき、当該他のクロック信号がHレベルであった場合、このクロック信号の次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行うが、もし当該他のクロック信号がLレベルであった場合、このクロック信号の立ち上がりのタイミングで、前記他のクロック信号への切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードすることを特徴とする
【0011】
請求項4の発明では、複数のクロック信号を切り替えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器を含み構成されたPLL回路の制御方法において、前記基準クロックが前記複数のクロック信号の第1クロックから第2クロックに切り替わるとき、当該第2クロックがHレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器をリセットし、当該第2クロックがLレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該第2クロックへの切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードする、
ことを特徴とする
【0012】
請求項5の発明では、クロック切換信号により複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器と、を含み構成されたPLL回路の制御方法において、前記クロック切換信号により現用クロック信号から他のクロック信号に切り替わるとき、当該他のクロック信号がHレベルであった場合、このクロック信号の次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行い、当該他のクロック信号がLレベルであった場合、このクロック信号の立ち上がりのタイミングで、前記他のクロック信号への切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードする、
ことを特徴とする
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして供給する切換クロック選択器と、切換指示手段と、比較クロックを生成する分周器と、を含み構成されたPLL回路において、ある基準クロックから他の基準クロックに切り替えるとき、比較クロックの位相を基準クロックに合わせることにより、PLLの出力クロックの位相変動(周波数変動)を最小限に押さることができることを特徴とする。
【0014】
このために、本発明のPLL回路では、切換指示手段からのクロック切換信号および複数のクロック信号それぞれが入力されてクロック選択信号を切換クロック選択器に出力するタイミング生成器を備え、このタイミング生成回路が、現用クロック信号から切換指示手段により指示された他のクロック信号に切り替わるとき、当該指示されたクロック信号の立ち下がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該指示されたクロック信号への切り換え、および分周器のリセットを行うようにする。
【0015】
あるいは、前記タイミング生成回路が、現用クロック信号から切換指示手段により指示された他のクロック信号に切り替わるとき、当該指示されたクロック信号がHレベルであった場合、このクロック信号の次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行うが、もし当該指示されたクロック信号がLレベルであった場合、このクロック信号の立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器による指示されたクロック信号への切り換え、および比較クロックを生成する分周器の内部カウンタに比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードするように構成する。
【0016】
また、現用クロック信号から予備用クロック信号への切り換えのみ行う用途では、クロック選択器と、比較クロックを生成する分周器を含み構成し、現用クロックから予備用クロックに切り替わるとき、当該予備用クロックの立ち下がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該予備クロックへの切り換え、および前記分周器のリセットを行うタイミング生成器を具備させる。
【0017】
或いは、タイミング生成器として、現用クロックから予備用クロックに切り替わるとき、当該予備用クロックがHレベルであった場合、次の予備用クロックの立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行うが、もし当該予備用クロックがLレベルであった場合、次の予備用クロックの立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該予備クロックへの切り換え、および比較クロックを生成する分周器の内部カウンタに比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードを行うタイミング生成器を具備させても良い。
【0018】
〔第1実施例〕以下、実施例を挙げ図面を用いて本発明につき詳細に説明する。図1に本発明のPLL回路の第1の実施例を概略ブロック図で示す。実施例のPLL回路は、PLL回路主部7と、外部から入力されるクロックA14、クロックB15を選択してPLL回路主部7に基準クロックとして入力する切換クロック選択器1(以下ではセレクタ1と記載する)、およびタイミング生成器6により構成されている。
【0019】
本実施例はクロックAを現用基準クロック、クロックBを予備用基準クロックとし、クロックAに何らかの障害が発生し、クロックBに基準クロックを切り替えることを想定している。クロックA14は現用の基準クロックとして使用され、クロックB15は予備用の基準クロックとして使用されることを前提とする。図示しないクロック異常検出部がクロックAに異常を検出すると本回路に、クロック切り替え信号を送信する。
【0020】
PLL回路主部7は、既知部分で位相比較器2および、低域通過フィルタ3および、電圧制御発振器(VCXO)4および、分周器5により構成される。PLL回路主部7に入力される比較クロック10はセレクタ1により選択される。クロックA14およびクロックB15は前記セレクタ1に入力されると共に、タイミング生成器6にも入力される。
【0021】
クロック切り替え信号13は、クロックA14の異常発生時にタイミング生成回路6をアサートする。また、前記タイミング生成器6にはクロック切り替え信号13が入力されており、クロック切り換え信号13がアサートしたとき、次のクロックB15の立ち下がりのタイミングにてクロック選択信号8をセレクタ1に、またリセット信号9を分周器5に出力する。分周器5はリセット信号9がアサートされると内部カウンタ値がクリアされ、立ち下がりから出力を開始する。すなわち、比較クロック11が立ち下がりの初めになる。
【0022】
次に、本実施例の動作を図1および図2〜図5を用いて詳細に説明する。なお、図2〜図5の各図は、図1のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャートである。セレクタ1にて選択されたクロック信号(通常はクロックA14が選択されている)は、基準クロック10としてPLL回路主部7に入力されると比較クロック11との位相差を位相比較器2により位相が比較される。位相比較器2は前記位相比較の結果、位相情報信号16を出力する。位相情報信号16は低域通過フィルタ3により平滑化され、周波数制御電圧信号17に変換される。VCXO4は入力された前記周波数制御電圧信号17の電圧に応じた周波数の出力クロック12を出力する。前記クロック信号12は分周器5にて低周波のクロック信号に分周され、比較クロック11として位相比較器2に出力される。
【0023】
PLL回路主部7は基準クロック10よりも比較クロック11の方が位相が進んでいる場合は出力クロック12の周波数を高める動作をし、遅れている場合は周波数を低める動作をする。出力クロック12の周波数が高まると、周期が短くなるため、比較クロックの位相は基準クロックに対して遅れる方向に動作する。反対に、出力クロック12の周波数が低くなると周期が長くなるため、比較クロックの位相は基準クロックに対して進む方向に動作する。
【0024】
図2のタイミングチャートに基準クロックが現用から予備用に切り替わった前後のタイミング波形例を示す。時刻T1においてはクロック切り替え信号(Hレベルのときアサート)はLレベルでネゲートしており、クロック選択信号もクロックA選択(LレベルのときクロックA選択、HレベルのときクロックB選択)を示しており、また基準クロックと比較クロックの位相が一致した定常状態である。つぎにT2において、クロック切り替え信号がアサートになる。しかし、クロック選択信号は既述したように予備用クロック信号が立ち下がるまで、すなわちT3のタイミングになるまで、クロックA選択を続ける。
【0025】
T3はクロックBの立ち下がりのタイミングである。このタイミングで、タイミング生成器6がクロック選択信号をHレベル(クロックB選択)とすることで、基準クロックにはクロックBが出力される。また、タイミング生成器6は同タイミングにてリセット信号をアサート(Lレベルのパルス)し、分周器のカウンタをクリアする。分周器のカウンタ動作は、リセット信号のパルス幅(Lレベルの時間)だけ停止しているが、これは基準クロックと比較クロックの位相比較に影響を与えない範囲の幅とする。したがって、クロックBに基づく基準クロックの立ち下がりとほぼ同時に、比較クロックが立ち下がり、分周器5のカウンタが初めから動作を開始する。基準クロックの次の立ち上がりであるT4のタイミングでは、比較クロックの立ち上がりが来るので、基準クロックの切り替え直後においても位相のずれは無い。
【0026】
図3にクロック切り替え信号13が時刻(T6)でアサートしたとき、すなわち、クロックAおよびクロックBが共にHレベルであった場合の波形例を示す。この場合においても、クロック選択信号8はクロックB(予備クロック)15の立ち下がり、つまり、T7のタイミングになったとき出力され基準信号が切り替わる。切り替えの前後、T5、T8のタイミングで基準クロックと比較クロックの位相はずれていない。
【0027】
図4にクロック切り替え信号13が時刻(T10)でアサートしたとき、すなわち、クロックAがHレベル、クロックBがLレベルであった場合の波形を示す。この場合においても、クロック選択信号8はクロックB(予備クロック)15の立ち下がり、つまり、T11のタイミングになったとき出力され基準信号が切り替わる。また、切り替えの前後、T9、T12のタイミングで位相はずれていない。
【0028】
図5にクロック切り替え信号13が時刻(T14)でアサートしたとき、すなわち、クロックAおよびクロックBが共にLレベルであった場合の波形を示す。この場合においても、クロック選択信号8はクロックB(予備クロック)15の立ち下がり、つまり、T15のタイミングになったとき出力され基準信号が切り替わる。また、切り替えの前後、T13、T16のタイミングでの位相ずれはない。
【0029】
実施例回路ではクロック切り替え信号13がアサートしてから後の最初のクロックBの立下りにおいて、クロック選択信号8および分周期リセット信号9がアサートする。このため、クロック切り替え信号13がアサートしてから最大、クロックBの1周期後にクロック選択信号および分周期リセット信号がアサートする。
【0030】
上述のように、実施例によれば、予備用クロックへの切り換えによっても基準クロックと比較クロックの位相のずれが生ぜず、切り換え後もPLL回路が安定したクロックを供給することができる。
【0031】
〔第2実施例〕続いて本発明の第2の実施例を示す。図6に本発明のPLL回路の第2の実施例を概略ブロック図で示す。本実施例の概略構成は図1の構成(第1実施例)と類似している。セレクタ20、およびPLL回路主部26を構成している位相比較器21、低域通過フィルタ22、VCXO23は第1実施例と同じであるが、分周器24およびタイミング生成器25の機能が異なる。この実施例では、第1の実施例で説明した構成に加えて、タイミング生成器25から、リセット信号だけでなく新たにロード信号27を分周器24に出力可能な構成となっている。
【0032】
分周器24は、ロード信号27がアサートされると内部カウンタに比較クロック31が立ち上がりの初めになるような値をロードし、リセット信号28がアサートされると内部カウンタ値がクリアされ、比較クロック31が立ち下がりの初めになる。
【0033】
タイミング生成器25は、クロック切り換え信号35がアサートしたとき、クロックB34がHレベルであった場合、クロックB34の立ち下がりのタイミングにてクロック選択信号29、およびリセット信号28をアサートし、クロックB34がLレベルであった場合、クロックB34の立ち上がりのタイミングにてクロック選択信号29、およびロード信号28をアサートする。
【0034】
前述第1の実施例では、クロック切り替え信号がアサートしてから実際にクロック選択が切り替わるまで、クロックBの最大1クロックかかったのに対し、本実施例では半クロック短縮することができる。
【0035】
次に本実施例の動作を図6および図7,図8を用いて説明する。本実施例においては、クロック切り換えに際しクロックB34(予備用クロック)がLレベルであった場合は、次のクロックB34の立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器によるクロックB34への切り換えが行われ、また比較クロック31を生成する分周器24の内部カウンタに比較クロックが立ち上がりの初めになるような値がロードされる。
【0036】
図7はクロック切り替え信号35がアサートしたとき、クロックAがH レベル、クロックBがLレベルであった場合の波形例を示す。この場合には、タイミング生成器25からセレクタ20のクロック選択信号29は次のクロックBの立ち上がり、つまり、T22のタイミングになったとき切り替わる。また、図8はクロック切り替え信号35がアサートしたとき、クロックAがLレベル、クロックBがLレベルであった場合の波形例を示す。この場合においても、図7と同様、クロック選択信号は次のクロックBの立ち上がり、つまり、T26のタイミングになったとき切り替わる。
【0037】
なお、クロック切り換えに際しクロックB34(予備用クロック)がHレベルであった場合は、前実施例同様に次の予備用クロックの立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行う。すなわち、クロック切り替え信号がアサートしたとき、クロックAがLレベル、クロックBがHレベルであった場合の波形は第1の実施例の場合と同様であり(図2の波形例参照)、また、クロック切り替え信号がアサートしたとき、クロックAがHレベル、クロックBがHレベルであった場合の波形は第1の実施例の波形(図3の波形例参照)と同様である。
【0038】
以上のように、第2の実施例によれば、クロック切り替え信号がアサートしてから実際にクロック選択が切り替わるまでの時間は、第1の実施例にてはクロックBの最大1クロックかかる条件下場合でも、本実施例においては半クロック短縮されるので、クロック切り替え信号がアサートしてからクロックBの最大0.5クロックで切り換えることができるという効果がある。
【0039】
〔第3実施例〕次に本発明の第3の実施例について説明する。図9に本発明のPLL回路の第3実施例を概略ブロック図で示す。この実施例は複数のクロック(クロックA〜クロックn)が入力され、全てのクロックが現用および予備になりうる場合のPLL回路である。
【0040】
この実施例では、たとえば、クロックBが現用の基準クロックであった場合、それ以外のクロックが予備のクロックになりうる。どのクロックに切り替えるかは、図示されていないクロック選択部からのクロック切り替え信号により決定されるものとする。
【0041】
本実施例回路の概略構成は前述第2実施例と類似しており、PLL回路主部46を構成している位相比較器41、低域通過フィルタ42、VCXO43、分周器44は第2実施例と同じであるが、セレクタ40およびタイミング生成器25の機能が異なる。本実施例では第2の実施例と比べると、3つ以上のクロック(クロックA〜クロックn)がセレクタ40に入力され、さらにそれぞれのクロックがタイミング生成器45にも入力されている点が異なっている。
【0042】
図9におけるタイミング生成器45は、クロック切り換え信号56の変化を検出し、変化後の選択クロック(切り換え後に選択されるクロック)の立ち下がりのタイミングで、クロック選択信号49を変化させると共にリセット信号48をアサートさせるか、または、変化後の選択クロックの立ち上がりのタイミングで、クロック選択信号49を変化させると共にロード信号47をアサートさせる。どちらの動作になるかは、後述するようにクロック切り換え信号が変化したときの、切り換え後に選択されるクロックの位相状態による。また、セレクタ40は、クロック選択信号49に基づく指示に従い入力信号を選択して基準クロックとして出力する。
【0043】
図10に第3の実施例の動作波形例を示す。図10ではクロックA〜クロックnのうちの任意のクロック3つ(クロックX,Y,Zとする)についての切り換え動作を説明する。図10によれば、T30のタイミングではクロック選択信号はクロックXを選択しており、基準クロックはクロックXに対応したタイミングである。また、比較クロックも基準クロック(クロックX)と同じ位相になっている。
次にT31のタイミングでクロック切り換え信号が、クロックX指示からクロックY指示に切りわると、この時点でクロックYはHレベルであるので、同クロックYの次の立ち下がりの時点T32のタイミングでクロック選択信号49がクロックYに切り替わり、リセット信号がアサートする。T32のタイミングで分周器がリセットされたので、つぎのT33のタイミングでは基準クロック(クロックY)と比較クロックの立ち上がりが一致する。
【0044】
次にT34のタイミングでクロック切り換え信号が、クロックYからクロックZに切りわると、クロックZはLレベルであるので、同クロックZの次の立ち上がり時点T35のタイミングでクロック選択信号49がクロックZに切り替わり、ロード信号がアサートする。T35のタイミングで分周器がロードされたので、つぎのT36のタイミングでは基準クロック(クロックZ)と比較クロックの立ち上がりが一致する。
【0045】
その他、任意のクロックから他の任意のクロックへの切り換えがクロック切り換え信号により指示された場合でも、切り換え後に選択されるクロックの極性に応じて、上述した動作のいずれかに類似の動作を行って切り換え後の基準クロックと比較クロックの位相が一致する。
【0046】
上述説明のように第3の実施例によると特定のクロックを現用クロック、予備用クロックとせず、複数のクロックのうちどのクロックからどのクロックに選択を変更したとしても、基準クロックと比較クロックの位相のずれが無く、PLLが安定したクロックを供給することができる。
【0047】
その他、説明は省略するが、タイミング生成器が複数のクロック(クロックA〜クロックn)が入力され、全てのクロックが現用および予備になりうる場合のPLL回路を、第1実施例で説明したと同様に、クロック切り換え指示後、次の立ち下がりを待ってクロック選択信号の切り替えと、リセット信号による分周器のリセットを行うのみの構成で実現することもできる。
【0048】
本発明のPLL回路は、基準クロックを変更したとしても、切り換え後も基準クロックと比較クロックの位相のずれが無く、PLLが安定したクロックを供給することができ、特に、リセットや、ロードによる位相調整を行う分周器が、比較クロック生成用の分周器1個であるため、比較的容易に実現できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればタイミング生成器からの信号で基準クロック信号としての入力クロックを切り換えるとともに既述分周器が出力する比較クロックの位相を制御することにより、切り替え時に位相のずれが発生しないPLL回路を実現することができる。特に、従来の技術と比較すると、リセット信号や、ロード信号による位相調整を行う分周器が、比較クロック生成用の分周器1個であるため、比較的容易に実現できるという実用的効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPLL回路の第1の実施例を示す概略ブロック図である。
【図2】第1実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャート(1)である。
【図3】第1実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャート(2)である。
【図4】第1実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャート(3)である。
【図5】第1実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャート(1)である。
【図6】本発明のPLL回路の第2実施例を示す概略ブロック図である。
【図7】第2実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャート(1)である。
【図8】第2実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャート(2)である。
【図9】本発明のPLL回路の第3実施例を示す概略ブロック図である。
【図10】第3実施例のPLL回路における各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
【図11】従来のPLL回路の概略構成ブロック図である。
【図12】従来のPLL回路における各部の波形を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1,20,40…切換クロック選択器(セレクタ)
2,21,41…位相比較器
3,22,42…フィルタ
4,23,43…電圧制御発振器(VCXO)
5,24,44…分周器
6,25,45…タイミング生成器
7,26,46…PLL回路主部
8,29,49…クロック選択信号
9,28,48…リセット信号
10,30,50…基準信号
11,31,51…比較信号
12,32,52…出力クロック
13,35,56…クロック切り換え信号
14,33,53…クロックA
15,34,54…クロックB
27,47…ロード信号

Claims (5)

  1. 複数のクロック信号を切り替えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器を含み構成されたPLL回路において、
    前記基準クロックが前記複数のクロック信号の第1クロックから第2クロックに切り替わるとき、当該第2クロックがHレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行うが、もし当該第2クロックがLレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該第2クロックへの切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードする、タイミング生成器を備えたことを特徴とするPLL回路。
  2. 前記複数のクロック信号は前記第1クロックと前記第2クロックとからなり、前記第1クロックは現用クロック信号であり、前記第2クロックは予備用クロック信号であることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路
  3. クロック切換信号により複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器と、前記クロック切換信号および前記複数のクロック信号それぞれが入力されてクロック選択信号を前記クロック選択器に出力するタイミング生成器と、を含み構成されたPLL回路であって、
    前記タイミング生成回路が、前記クロック切換信号により現用クロック信号から他のクロック信号に切り替わるとき、当該他のクロック信号がHレベルであった場合、このクロック信号の次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行うが、もし当該他のクロック信号がLレベルであった場合、このクロック信号の立ち上がりのタイミングで、前記他のクロック信号への切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードすることを特徴とするPLL回路。
  4. 複数のクロック信号を切り替えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器を含み構成されたPLL回路の制御方法において、
    前記基準クロックが前記複数のクロック信号の第1クロックから第2クロックに切り替わるとき、当該第2クロックがHレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器をリセットし、
    当該第2クロックがLレベルであった場合、当該第2クロックの次の立ち上がりのタイミングで、前記クロック選択器による当該第2クロックへの切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードする、
    ことを特徴とするPLL回路の制御方法。
  5. クロック切換信号により複数のクロック信号を選択し切り換えて基準クロックとして供給するクロック選択器と、比較クロックを生成する分周器と、を含み構成されたPLL回路の制御方法において、
    前記クロック切換信号により現用クロック信号から他のクロック信号に切り替わるとき、当該他のクロック信号がHレベルであった場合、このクロック信号の次の立ち下がりのタイミングで、クロック選択の切り換え、および前記分周器のリセットを行い、
    当該他のクロック信号がLレベルであった場合、このクロック信号の立ち上がりのタイミングで、前記他のクロック信号への切り換え、および前記分周器に前記比較クロックが立ち上がりの初めになるような値をロードする、
    ことを特徴とするPLL回路の制御方法。
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