JP3655800B2 - フィルタ固定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の空調設備等に使用され、空気を濾過するためのフィルタを空気流路に固定するフィルタ固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
保守などの観点から、設備現場において上述のフィルタは個々に着脱自在とすることが望ましいが、この種のフィルタ固定装置を備えたフィルタ装置が例えば特開平11−33331号公報に開示されている。このフィルタ装置は複数枚のフィルタをケーシング内に屏風状に配置しており、フィルタをケーシング内にガイドレールを介して案内した後に、フィルタの前端部と後端部のフィルタ同士の合わせ目を棒状の枠により閉止し、フィルタ間から空気が漏洩しないようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例においては、棒状の枠の上部と下部にそれぞれ設けた爪を、ケーシングに設けた小孔に係合することにより、フィルタの挿脱の際には棒状の枠をケーシングに取り外し、取り付け作業が伴うので、枠をケーシングから取り外した場合に、例えば高所においては枠を作業し易い位置に保持することが困難であるという作業性の問題がある。
【0004】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、フィルタを1枚ずつ容易に挿脱し得るフィルタ固定装置を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、空気を円滑にフィルタに流通させ得るフィルタ固定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るフィルタ固定装置は、可撓性を有する板体形状の複数枚のフィルタパックを空気流路に固定したフィルタ固定装置において、前記フィルタパックを個々に固定するための複数個の固定枠を屏風状に連結し、これらの固定枠の前記空気流路の上流側の対面間に剛性と通風性を備えた案内兼押さえ手段を配置し、前記フィルタパックを撓ませながら前記固定枠と前記案内兼押さえ手段の片面との間に押し込むことにより前記固定枠に取り付け、前記フィルタパックの挿脱側の前記固定枠の端部に前記フィルタパックを個々に係止するための扉状の係止部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は第1の実施例の分解斜視図であり、フィルタ装置1は空気を濾過する複数枚のフィルタパック2と、これらのフィルタパック2を収容するフィルタ枠3と、フィルタパック2をフィルタ枠3内に屏風状に固定する複数組の固定機構4とから構成され、固定機構4には扉状に開閉すると共にフィルタパック2の前部を係止する係止部材5が備えられている。フィルタ枠3は上下壁3aと左右壁3bとから角筒状に形成され、上下壁3aの前縁側には固定機構4の係止部材5との間にヒンジの一部を構成する複数の小孔3cが形成されている。
【0008】
図2はフィルタパック2の斜視図、図3は部分拡大平面図、図4は部分拡大側面図であり、実施例における空気の流通する方向を矢印で示している。フィルタパック2はフィルタ枠3に収容した状態で、プリーツの稜線が上下方向となるようにプリーツ加工され、その稜線と直交する方向に可撓性を有している。即ち、フィルタパック2の濾紙11はガラス又は樹脂繊維等から形成され、プリーツ状に折り返された状態で連続するリボンスペーサ12により保持され、実施例では濾紙11の下流側の面の上端部側面と下端部側面にはパッキン13が貼付されている。なお、図5に示すように濾紙11の前端面と後端面にカバー14を被着したフィルタパック2’とすれば、フィルタパック2をフィルタ枠3に収容する際に濾紙11が直接的に押圧されることが防止される。
【0009】
図6は固定機構4の拡大斜視図、図7はフィルタ枠3に設置した固定機構4の水平断面図、図8は固定機構4の拡大斜視図である。図6において、フィルタパック2の案内手段であって共働してフィルタパック2を屏風状に保持する金網21とガイド22が、フィルタ枠3の上下壁3aにそれぞれ固定されている。ガイド22の後端面は、フィルタ枠3の上下壁3aの間に立設されてフィルタパック2の後面を押さえる後方押さえ部材23に固定されている。ガイド22の前端面は、フィルタ枠3の上下壁3aの間に立設されてフィルタパック2の前面の一部を押さえる前方押さえ部材24に固定されている。
【0010】
後方押さえ部材23には、ガイド22の後端面に当接する1対の当接部23aと、フィルタパック2の後端面を押さえる1対の押さえ部23bとが一体に形成され、フィルタパック2の後端部同士の間を空気流通方向に対して閉塞している。前方押さえ部材24には、ガイド22の前端面に当接する当接部24aと、フィルタパック2の前端面の略半分を押さえる押さえ部24bとがそれぞれ設けられている。前後の押さえ部材23、24の間隔は、フィルタパック2の前後方向の長さはよりも例えば10〜20mm小さくされ、フィルタパック2は押さえ部材23、24の間に圧入されるようになっている。そして、隣接する固定機構4の前方押さえ部材24は一体とされ、フィルタパック2の前端部同士の間を空気流通方向に対して閉塞している。
【0011】
ここで、金網21は案内手段と押さえ手段を兼ね、空気を円滑に流通させるに十分な通風性と、フィルタパック2の側面を押さえることのできる剛性とが与えられ、フィルタ枠3の上下壁3aに固定された上下1対の固定部材25により固定されている。金網21の固定には、剛性が確保できれば固定部材25を用いなくともよい。金網21にはガイド22に平行な平行面21aと、双方の平行面21aの前部を連結してフィルタパック2を案内する案内面21bとが設けられている。案内面21bの頂部は、フィルタ枠3の前後方向の略中間に配置されている。そして、上下のガイド22の略中間には、フィルタパック2の外面を押さえるステー26が、前後の押さえ部材23、24の間に水平に架設されている。
【0012】
また、フィルタ装置1が作動した際には、フィルタパック2は風圧により風下側に押圧されるので、設計的に金網21に押さえ手段としての機能を与えなくてもよい場合があり、この場合には金網21をフィルタ枠3の上下壁3aに連結しなくとも支障はない。また、金網21に案内手段としての機能を与えるときは、フィルタパック2を押さえ得る寸法の固定部材25をフィルタ枠3の上下壁3aにそれぞれ設けるだけでよい。この場合には、固定部材25の案内面やその頂部の構成は金網21と同様にする必要がある。
【0013】
係止部材5には、前方押さえ部材24の押さえ部24bに当接する当接部5aと、フィルタパック2の前部内面を係止する係止部5bと、当接部5aの上下端部から水平に延在して、フィルタ枠3の上下壁3aに摺接する摺接部5cとが設けられている。そして、係止部材5の摺接部5cには、フィルタ枠3の小孔3cに嵌合してヒンジの他部を構成する回転軸27が固定され、係止部材5は実線で示す閉位置と破線で示す開位置の間で扉状に開閉可能とされている。
【0014】
この際に、係止部材5を閉じた状態に維持するために、図9に示すようにフィルタ枠3に突起3dを形成すると共に、係止部材5に係合孔5dを設けるか、或いは係止部材5を閉位置に付勢するための図示しない捻りコイルばねを設けてもよいが、何れの場合でも係止部材5によって空気の流通を確実に阻止すると共に、その状態を維持することが大切となる。
【0015】
フィルタパック2をフィルタ枠3に固定する際には、図10に示すように係止部材5を開いて、フィルタパック2を金網21とガイド22の間に押し込む。このとき、図11に示すようにフィルタパック2の前部は金網21とガイド22に倣うように撓みながら前進し、図12に示すようにフィルタパック2の前端面が後方押さえ部材23の押さえ部23bに当接してフィルタパック2の前進が停止する。そして、フィルタパック2の前面を押圧しながら前方押さえ部材24の押さえ部24bの内側に押し込み、その後に係止部材5を閉じる。
【0016】
これにより、前方押さえ部材24の押さえ部24bがフィルタパック2の前端面の略半部を押さえると共に、係止部材5の係止部5bがフィルタパック2の前部内面を係止する。このとき、金網21の平行面21aがフィルタパック2の内側つまり上流側の面を押さえると共に、ガイド22とステー26がフィルタパック2の外側つまり下流側の面を押さえ、搬送や風圧によるフィルタパック2の変形を防止する。
【0017】
このように、第1の実施例では固定機構4にフィルタパック2の前端部を係止する係止部材5を開閉自在に扉状に設けたので、係止部材5を開くだけでフィルタパック2を挿脱でき、フィルタパック2を挿脱する際の労力を削減できる。また、従来のように係止部材5をフィルタ枠3から取り外すことがないので、係止部材5の紛失や取り付け忘れを防止でき、作業性を向上させることができる。更には、1対のフィルタ2を屏風状に固定する複数組の固定機構4から構成したので、部品の共通化が可能となり、製造コストを削減できる。
【0018】
そして、フィルタパック2の内面を金網21によって押さえることにより、金網21には空気を円滑に流通させる通風性と、フィルタパック2の側面を押さえる剛性とを与えたので、空気をフィルタパック2に円滑に流通させることができ、風圧損失を低減してフィルタ効率を向上させることができる。
【0019】
更に、フィルタパック2は軽量である上に柔軟性を有するので、フィルタパック2をフィルタ枠3に撓ませながら挿脱でき、フィルタパック2の交換作業性を向上させることができる。また、フィルタパック2は圧縮や切断が容易であるので、フィルタパック2を容易に減容して廃棄できる。
【0020】
なお、上述の第1の実施例では固定機構4の金網21の断面形状を図7に示すようにしたが、図13に示すような断面形状の金網21’を有する固定機構4’とすれば、空気をより円滑に流通させることができる。また、前方押さえ部材24と係止部材5を有する固定機構4の代りに、図14に示すような形状の前方押さえ部材24’と係止部材5’を有する固定機構4”とすることができる。即ち、前方押さえ部材24’には当接部24aのみが設けられ、係止部材5’にはフィルタパック2の前部側面を係止する係止部5bを設けると共に、閉じる際にフィルタパック2の前端面を圧縮するように摺動する曲面5eと、閉じた後にフィルタパック2の前端面の大部分を係止する第2の係止部5fとが設けられている。
【0021】
図15は第2の実施例の分解斜視図、図16は組立水平断面図であり、フィルタ装置1’にはフィルタパック2の上流側に配置されて空気中の比較的に大きい塵埃を除去するプレフィルタ6と、このプレフィルタ6を保持するための保持部材7とが追加されている。このようなフィルタ装置1’は空調システムの取付枠8にボルト9とナット10を介して取り付けられている。
【0022】
保持部材7には、ボルト9を挿通させる孔を有するボルト支持部7aが左右に形成されている。また、プレフィルタ6の濾材6aの有効利用を可能とするチャンバ7bと、空気の流通とフィルタパック2の挿脱を可能とする開口7cと、プレフィルタ6を襖状に支持するフィルタ支持部7dとが設けられている。
【0023】
フィルタ装置1’を取付枠8に取り付ける際には、図17に示すように先ずフィルタ枠3を取付枠8に嵌合する。次に、取付枠8に予め設けてあるボルト9を保持部材7のボルト支持部7aの孔に挿通するようにして、保持部材7をフィルタ枠3の前部に配置し、ナット10をボルト9に螺合して締め付ける。その後に係止部材5を開き、フィルタパック2を第1の実施例と同様に金網21とガイド22の間に押し込む。そして、図18に示すようにフィルタパック2を所定位置に押し込んだ後に、係止部材5を閉止する。最後に、図19の側面図にも示すようにプレフィルタ6を保持部材7のフィルタ支持部7dに嵌め込み、フィルタ装置1’を完成する。
【0024】
この第2の実施例では、プレフィルタ6の濾材を有効に使用できると共に、フィルタ枠3を改造することなく、取付枠8に取り付けたままフィルタパック2を交換できるので、第1の実施例と同様な効果が得られる。
【0025】
なお、上述の第1、第2の実施例では、係止部材5、5’をフィルタ枠3の前部に設けたが、押さえ部材24は開閉することなく後部押さえ部材23に係止部材5、5’を設け、フィルタパック2の交換は後方から行うことも可能である。また、フィルタパック2の内面を押さえるために金網21を使用したが、通風性と剛性を有するその他の手段を適用できることは云うまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るフィルタ固定装置は、上流側又は下流側においてフィルタを係止するための係止部材を扉状に設けたので、係止部材を開いてフィルタを個々に容易に抜き挿しできると共に、挿入したフィルタは係止部材を閉じるだけで容易に固定できる。
【0027】
また、剛性と通風性を有する案内部材によりフィルタの側面を押さえれば、フィルタの変形を防止できる上に空気の円滑な流通性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の斜視図である。
【図2】フィルタパックの斜視図である。
【図3】フィルタパックの部分拡大平面図である。
【図4】フィルタパックの部分拡大側面図である。
【図5】フィルタパックの変形例の斜視図である。
【図6】固定機構の斜視図である。
【図7】フィルタ枠に設置した固定機構の水平断面図である。
【図8】金網を省いた状態の固定機構の斜視図である。
【図9】係止部材の開き防止構造を説明する部分拡大断面図である。
【図10】フィルタパックの挿入工程の説明図である。
【図11】フィルタパックの挿入工程の説明図である。
【図12】フィルタパックの挿入工程の説明図である。
【図13】固定機構材の変形例の水平断面図である。
【図14】係止部材の変形例の水平断面図である。
【図15】第2の実施例の分解斜視図である。
【図16】フィルタ枠と保持部材を取付枠に取り付けた状態の水平断面図である。
【図17】フィルタパックの挿入工程の説明図である。
【図18】フィルタパックの挿入工程の説明図である。
【図19】フィルタ装置を取付枠に取り付けた状態の側面図である。
【符号の説明】
1、1’ フィルタ装置
2、2’ フィルタパック
3 フィルタ枠
4、4’、4” 固定機構
5、5’ 係止部材
6 プレフィルタ
7 保持部材
8 取付枠
9 ボルト
10 ナット
21 金網
22 ガイド
23 後方押さえ部材
24 前方押さえ部材
25 固定部材
26 ステー

Claims (5)

  1. 可撓性を有する板体形状の複数枚のフィルタパックを空気流路に固定したフィルタ固定装置において、前記フィルタパックを個々に固定するための複数個の固定枠を屏風状に連結し、これらの固定枠の前記空気流路の上流側の対面間に剛性と通風性を備えた案内兼押さえ手段を配置し、前記フィルタパックを撓ませながら前記固定枠と前記案内兼押さえ手段の片面との間に押し込むことにより前記固定枠に取り付け、前記フィルタパックの挿脱側の前記固定枠の端部に前記フィルタパックを個々に係止するための扉状の係止部材を設けたことを特徴とするフィルタ固定装置。
  2. 前記案内兼押さえ手段は前記通風性のために金網を取り付けた請求項1に記載のフィルタ固定装置。
  3. 前記案内兼押さえ手段の前端面は前記固定枠の前後方向の約中間位置に位置する請求項1に記載のフィルタ固定装置。
  4. 前記案内兼押さえ手段の両側面に前記フィルタパックを案内すると共に押さえ付ける面を設けた請求項に記載のフィルタ固定装置。
  5. 空気中の比較的に大きい塵埃を捕捉するプレフィルタと、該プレフィルタを前記固定枠の前方に保持するプレフィルタ保持手段とを備えた請求項に記載のフィルタ固定装置。
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