JP3655799B2 - 制御回路付きモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部と、モータ部及び制御回路部を収容したハウジングとから成る制御回路付きモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のパワーステアリング用に使用されるモータは、従来、例えば図7に示すように、3相直流ブラシレスモータ等から成るモータ部1と、制御回路部2とが1つのハウジング3内に収容されている。
【0003】
このとき、ハウジング3の内部が隔壁4によりモータ収容部41と制御回路収容部42とに仕切られ、この隔壁4を貫通してシャフト5がハウジング3の内部に配設されている。このシャフト5は、その上部がハウジング3の上面を閉塞した閉塞板6に取り付けられた軸受7により、その中央部やや下寄りが隔壁4に取り付けられた軸受8により、それぞれ回転自在に支持されている。
【0004】
そして、モータ収容部41において、シャフト5にはロータ10が取り付けられると共に、このロータ10に対向し且つロータ10から所定のギャップを隔ててステータ11が配設されている。このステータ11は、モータ収容部41におけるハウジング3の内周に嵌着されたコア11a及びこのコア11aに巻回されたU、V、W相の各巻線11bにより構成される。
【0005】
一方、制御回路収容部42には、制御回路部2を構成する回路基板15が配設され、この回路基板15をシャフトが貫通している。更に、回路基板15には、集積回路(IC)や抵抗、コンデンサといった種々の回路部品が実装されると共に、所定の間隔で複数個のホール素子16が取り付けられ、各ホール素子16の上方に配設された支持板シャフト5に固着されると共に、支持板17の下面に取り付けられた複数個のマグネット18がホール素子16に対向するように配置され、シャフト5の回転に伴うマグネット18の回転が各ホール素子16により検出されてモータ部2のロータ10の回転位相が検出されるようになっている。
【0006】
また、制御回路部2は、図8に示すように、マイクロコンピュータ(以下マイコンと省略する)から成る制御部COと、制御部COから出力される駆動制御信号に基づきPWM制御のための駆動信号を出力する補助駆動部であるプリドライバPDと、上側3個、下側3個のスイッチング素子を備えプリドライバPDと共にモータ駆動部を構成する3相ブリッジインバータ部IVとにより構成されている。
【0007】
そして、インバータ部IVの各スイッチング素子のうち、所定の組み合わせとなる上側のスイッチング素子と下側のスイッチング素子とがスイッチングされ、車両のバッテリからモータ部1のステータ11の各巻線11bへの通電路が複数のスイッチング素子により開閉制御されてモータ部1が駆動される。
【0008】
ところで、このようにモータ部1と制御回路部2とが一体化されている場合において、制御回路部2の特にマイコンからなる制御部COが正常に動作するかどうかをチェックするには、モータ部1及び制御回路部2をハウジング3に組み込んでしまうと、チェック用のプローブをハウジング3内部に挿入してチェックすることが困難になるため、通常、モータ部1及び制御回路部2をハウジング3に組み込んで一体化する前に、次のようにしてチェックを行っている。
【0009】
即ち、独楽のような形状を有するセンサマグネットを準備し、そこのセンサマグネットのシャフトを上記したシャフト5に代えて制御回路部2を貫通するように装着され、センサマグネットを予め設定されたモータ回転数に等しい回転数で回転させ、そのとき制御回路部2の各ホール素子16により、センサマグネットの磁気を正常に検出して制御回路部2の各部が正常に動作するかどうかをチェックしているのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したような一体化前におけるチェック手法は、あくまでも仮想的な手法にすぎず、完成品として一体化された制御回路付きモータの実使用状態でのチェックとは言えず、信頼性に欠けるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、制御回路付きモータを一体化した状態においてチェックできるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、前記制御回路部は、外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、制御信号を出力する制御部と、前記制御信号に基づき前記モータ部への電流供給路を開閉して前記モータ部を駆動するモータ駆動部とを備え、前記チェックコマンドは、前記モータ部を回転させない状態において前記制御部から前記モータ駆動部への前記制御信号の出力を検査するためのセルフロックのチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、そのときに前記モータ部に流れる電流を前記通信部に出力することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、通信部により外部検査装置からのチェックコマンドを受信されると、受信されたチェックコマンドに応じた検査が実行されてその検査データが通信部を介して外部検査装置に送信される。そのため、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介して所要の検査を実行してデータを収集することができる。
【0014】
このとき、上記した通信部は既に制御回路部に設けられているものを利用するか、或いは通信部を別途設けるかのいずれであってもよく、要するに外部検査装置と通信可能なものであればよい。
【0016】
このような構成によれば、セルフロックのチェックコマンドが外部検査装置から送信されてくると、そのセルフロックのチェックコマンドに基づき、モータ部を回転させない状態において、制御部からモータ駆動部への制御信号の出力検査が実行され、検査データとして、そのときにモータ部に流れる電流が通信部を介して外部検査装置に送信される。
【0017】
そのため、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介していわゆるセルフロックの検査を実行してデータを収集することができる。
【0018】
また、本発明は、モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、前記制御回路部は、外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、制御信号を出力する制御部と、前記モータ部への電流供給路を断続して前記モータ部を駆動するインバータ部と、前記制御信号に基づき前記インバータ部をPWM制御する補助駆動部とを備え、前記チェックコマンドは、前記駆動部による前記インバータ部のPWMデューティをフルデューティの状態で前記モータ部の起動特性を検査するための無制御回転のチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、前記モータ部の起動開始から所定回転数に達するまでの起動時間を前記通信部に出力することを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、無制御回転のチェックコマンドが外部検査装置から送信されてくると、その無制御回転のチェックコマンドに基づき、補助駆動部によるインバータ部のPWMデューティをフルデューティとした状態で、モータ部の起動特性の検査が実行され、検査データとして、そのときのモータ部の起動開始から所定回転数に達するまでの起動時間が通信部を介して外部検査装置に送信される。
【0020】
そのため、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介していわゆる無制御回転の検査を実行してデータを収集することができる。
【0021】
また、本発明は、モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、前記制御回路部は、外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、制御信号を出力する制御部と、前記制御信号に基づき前記モータ部への電流供給路を開閉して前記モータ部を駆動するモータ駆動部と、前記制御部に暴走が生じたときに暴走開始から一定時間を計時して前記制御部の動作をリセットするウォッチドッグタイマとを備え、前記チェックコマンドは、前記ウォッチドッグタイマの動作を検査するウォッチドッグタイマのチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、そのときの前記ウォッチドッグタイマの計時時間を前記通信部に出力することを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、ウォッチドッグタイマのチェックコマンドが外部検査装置から送信されてくると、そのウォッチドッグタイマのチェックコマンドに基づき、制御部に暴走が生じたときに暴走開始から一定時間を計時して制御部の動作をリセットするウォッチドッグタイマの動作の検査が実行され、検査データとして、そのときのウォッチドッグタイマの計時時間が通信部を介して外部検査装置に送信される。
【0023】
そのため、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介して制御部の暴走時に動作するウォッチドッグタイマの検査を実行してデータを収集することができる。
【0024】
また、本発明は、モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、前記制御回路部は、外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、制御信号を出力する制御部と、前記制御信号に基づき前記モータ部への電流供給路を開閉して前記モータ部を駆動するモータ駆動部と、前記制御部に入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換部とを備え、前記チェックコマンドは、前記アナログ/デジタル変換部の入力を検査するアナログ/デジタル入力のチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、前記アナログ/デジタル変換部に擬似的なアナログ信号を入力したときの前記アナログ/デジタル変換部の出力信号を前記通信部に出力することを特徴としている。
【0025】
このような構成によれば、アナログ/デジタル入力のチェックコマンドが外部検査装置から送信されてくると、そのアナログ/デジタル入力のチェックコマンドに基づき、アナログ/デジタル変換部の入力の検査が実行され、検査データとして、そのときのアナログ/デジタル変換部の出力信号が通信部を介して外部検査装置に送信される。
【0026】
そのため、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介してアナログ/デジタル変換部の検査を実行してデータを収集することができる。
【0027】
また、本発明は、前記モータ部が、パワーステアリング用の直流ブラシレスモータから成ることを特徴としている。このような構成によれば、自動車のパワーステアリングに使用される直流ブラシレスモータから成るモータ部が、制御回路部と共にハウジング内に収容されて一体化された後であっても、制御回路部の各部の検査を実行することができ、パワーステアリング用モータとして信頼性の優れたものを提供することが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
この発明をパワーステアリング用に使用される制御回路付きモータに適用した場合の一実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。但し、図1はブロック図、図2及び図3は動作説明用フローチャート、図4は動作説明図、図5は一部のブロック図、図6は動作説明用フローチャートである。
【0029】
本実施形態において、1つのハウジング3内のモータ収容部41にモータ部1が、制御回路収容部42に制御回路部2がそれぞれ収容されている点、上記した従来のもの(図7参照)と同じである。但し、制御回路部2の構成が、図8に示すようものとは次のように相違している。
【0030】
図1に示すように、本実施形態における制御回路部2は、マイコンから成りアナログ/デジタル変換部(以下、アナログ/デジタルをA/Dと称する)を内蔵する制御部21と、この制御部21から出力される駆動制御信号に基づきPWM制御のための駆動信号を出力する補助駆動部であるプリドライバ22と、上側3個(U、V、W相)、下側3個(U、V、W相)のスイッチング素子を有しプリドライバ22と共にモータ駆動部を構成する3相ブリッジインバータ部23とを備えている。
【0031】
そして、制御部21からの制御信号に基づきプリドライバ22から出力される120゜ずつ位相のずれた駆動制御信号により、上側の3個のスイッチング素子が120゜ずつずれてオンし、これと同様に制御部21からの制御信号に基づきプリドライバ22から出力される120゜ずつ位相のずれた駆動制御信号により、下側の3個のスイッチング素子が120゜ずつずれてオンする。こうして、各巻線11bへの電流の通流方向が切り換えられ、ステータ11の磁極が一方向に回転してロータ10の回転力が得られる。
【0032】
ここで、制御部21は、上側の各スイッチング素子のうちオンしているスイッチング素子とは異なるアームの下側のスイッチング素子がオンするように制御信号を出力し、かつオンすべき上側のスイッチング素子と下側のスイッチング素子との組み合わせを、ホール素子17(図7参照)により検出されるモータ部1のロータ10の位置に関連して切り換える。尚、プリドライバ22からインバータ部23の例えば下側の各スイッチング素子へはPWM制御信号が出力され、このPWMにおけるデューティサイクルが制御されてモータ部1のステータ11の各巻線11bへの電流制御が行われる。
【0033】
このとき、オンすべき上側のスイッチング素子と下側のスイッチング素子との組み合わせは、例えば上側U相と下側V相、上側V相と下側W相、上側W相と下側U相の組み合わせが相当する。
【0034】
更に、図1に示すように、制御回路部2には、ホストコンピュータを備えた図示しない外部検査装置から所定の各種チェックコマンドを受信すると共に外部検査装置に検査データを送信する通信部51が設けられ、制御回路部2のマイコンから成る制御部21に、この通信部51を介したチェックコマンドが入力されることにより、そのコマンドに応じた自己検査処理を行って、例えば制御部21で得られた検査データを通信部51に出力する機能が付加されている。
【0035】
このチェックコマンドとは、具体的には、
▲1▼モータ部1を回転させない状態において制御部21からプリドライバ22への制御信号の出力を検査するためのセルフロックのチェックコマンド、
▲2▼プリドライバ22によるインバータ部23のPWMデューティをフルデューティの状態でモータ部1の起動特性を検査するための無制御回転のチェックコマンド、
▲3▼マイコンから成る制御部21に暴走が生じたときに暴走開始から一定時間を計時して制御部21の動作をリセットするために設けられたウォッチドッグタイマ25(図5参照)の動作を検査するウォッチドッグタイマのチェックコマンド、▲4▼マイコンから成る制御部21に内蔵されたアナログ/デジタル変換部(以下、アナログ/デジタルをA/Dと称する)の入力を検査するA/D入力のチェックコマンド
である。
【0036】
次に、各チェックコマンドの受信時における動作について説明する。最初に、上記した▲1▼項のセルフロックのチェックコマンドが送信された場合の動作について説明する。
【0037】
いま、図2に示すように、制御部21により通信部51を介して外部検査装置からのチェックコマンドを受信すると(S1)、その受信したチェックコマンドがセルフロックのチェックコマンドか否かの判定がなされ(S2)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、判定結果がYESであれば制御部21からの制御信号により、ステータ11の磁極を回転させずに固定した状態でインバータ部23の、例えば上側U相と下側V相の各スイッチング素子がオンされる(S3)。
【0038】
続いて、制御部21に内蔵の1秒タイマがセットされ(S4)、このタイマがタイムアップしたか否かの判定がなされ(S5)、この判定結果がNOであれば判定結果がYESになるまでこの判定が繰り返され、判定結果がYESであれば、上側U相と下側V相の各スイッチング素子への通電が1秒間継続されたことになり、その間にインバータ部23を介してモータ部1の各巻線11bに通流される電流値が検査データとして通信部51を介して外部検査装置に送信されると共に、上側U相と下側V相の各スイッチング素子がオフされる(S6)。
【0039】
その後、インバータ部23の次の組である上側V相と下側W相の各スイッチング素子について、上記したステップS3ないしS6の動作が繰り返され、更にインバータ部23の残りの組である上側W相と下側U相の各スイッチング素子について、上記したステップS3ないしS6の動作が繰り返される。
【0040】
このように、外部検査装置から通信部51にセルフロックのチェックコマンドを送信すると、モータ部1のステータ11の磁極を固定した状態でインバータ部23の上側と下側の所定組のスイッチング素子をオンし、そのときの各巻線11bを流れる電流値を測定することによって、モータ部1を回転させない状態において制御部21からプリドライバ22へ制御信号が正常に出力されているかどうかの検査が実行され、外部検査装置によりその検査結果が判断されるのである。
【0041】
次に、上記した▲2▼項の無制御回転のチェックコマンドが送信された場合の動作について説明する。
【0042】
パワーステアリングシステムでは、図示しない蛇角センサにより検出されるステアリング操作時の舵角速度に基づき、制御部21によりその舵角速度の高、低に応じてステアリングの操作トルクのアシスト量が決定され、決定されたアシストトルクを発生すべくモータ部1が駆動されるが、このときのモータ部1の起動特性が問題となり、この起動特性をモータ部1及び制御回路部2の一体に組み立てた後において検査するのが、この無制御回転のチェックコマンドによる検査である。
【0043】
いま、図3に示すように、制御部21により通信部51を介して外部検査装置からのチェックコマンドを受信すると(S11)、その受信したチェックコマンドが無制御回転のチェックコマンドか否かの判定がなされ(S12)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、判定結果がYESであれば、制御部21からの制御信号によりプリドライバ22によるPWMデューティがフルデューティの状態に設定され、この状態でモータ部1が起動され(S13)、その後動作は終了する。
【0044】
このとき、図4に示すように、通信部51を介して外部検査装置によりモータ部1の回転数をモニタしておき、モニタ中の回転数が予め定めた所定回転数Mrに達するまでの起動時間Δtが通信部51を介して外部検査装置により測定され、測定された起動時間Δtが許容範囲内にあるかどうかにより、モータ部1の起動特性の良否判断が行われる。
【0045】
続いて、上記した▲3▼項のウォッチドッグタイマのチェックコマンドが送信された場合の動作について説明する。
【0046】
ウォッチドッグタイマ25は、マイコンから成る制御部21に暴走が生じたときに、暴走開始から一定時間を計時して制御部21の動作をリセットするために設けられたものである。つまり、図5に示すように、制御部21の暴走により、制御部21からウォッチドッグタイマ25へのトリガが停止することを条件に、ウォッチドッグタイマ25が起動して計時を開始し、所定時間の計時を終了した時点でウォッチドッグタイマ25から制御部21にリセット信号が出力され、暴走していた制御部21がリセットされる。
【0047】
そして、ウォッチドッグタイマのチェックコマンドによる検査とは、このコマンドにより制御部21の暴走によるウォッチドッグタイマ25の起動条件を強制的に作り出し、ウォッチドッグタイマ25が正常に所定時間を計時して制御部21をリセットできるかどうかを、モータ部1及び制御回路部2の一体に組み立てた後において検査するというものである。
【0048】
いま、図6に示すように、制御部21により通信部51を介して外部検査装置からのチェックコマンドを受信すると(S21)、その受信したチェックコマンドがウォッチドッグタイマのチェックコマンドか否かの判定がなされ(S22)、この判定結果がNOであればスタートに戻り、判定結果がYESであれば、ウォッチドッグタイマ25へのトリガがストップされ(S23)、ウォッチドッグタイマ25のカウント値である“n”がゼロにセットされると同時に2msタイマがセットされ(S24)、2msタイマがタイムアップしたか否かの判定がなされる(S25)。
【0049】
そして、ステップS25の判定結果がNOであれば、判定結果がYESになるまでこの判定が繰り返され、判定結果がYESであれば2msの時間が計時されたことになり、カウント値である“n”が“n+2”に設定されて設定後のカウント値(=n+2)が外部検査装置に送信されると同時に、再度2msタイマがセットされ(S26)、そのまま動作を終了してよいか否かの判定がなされる(S27)。
【0050】
このステップS27の判定結果がNOであれば上記したステップS25に戻ってステップS25以降の動作が繰り返され、判定結果がYESであれば、ウォッチドッグタイマ25のカウント値が予め設定された値になっていて、ウォッチドッグタイマ25から制御部21にリセット信号が出力されるため、その後制御部21の動作が停止してウォッチドッグタイマのチェックコマンドによる検査動作は終了する。
【0051】
ここで、ステップS26、S27において、ウォッチドッグタイマ25のカウント値が予め設定された値を越えるようであれば、外部検査装置側でウォッチドッグタイマ25により計時される時間が正常ではないと判断されることから、外部検査装置から通信部51を介してストップ信号が送信され、このストップ信号に基づきウォッチドッグタイマ25が停止されて、ウォッチドッグタイマのチェックコマンドによる検査動作は終了する。
【0052】
更に、上記した▲4▼項のA/D入力のチェックコマンドが送信された場合の動作について説明する。
【0053】
このA/D入力のチェックコマンドによる検査とは、制御部21に内蔵されたA/D変換部の入力が正常かどうか、つまり所定の直流電圧を分圧回路により分圧して得られるA/D変換部への入力電圧が正常な値になっているかどうかを検査するものである。
【0054】
そして、通信部51を介して外部検査装置からA/D入力のチェックコマンドが制御部21により受信されると、A/D変換部に入力電圧を供給する上記した分圧回路に、所定の直流電圧と同じ値の擬似電圧が印加され、そのときの制御部21のA/D変換部の出力値が通信部51を介して外部検査装置により測定され、制御部21のA/D変換部の入力が正常かどうかの判断が行われる。
【0055】
従って、上記した実施形態によれば、通信部51を設けることにより、モータ部1と制御回路部2とをハウジング3内に収容して一体化した後に、いわゆるセルフロックの検査、無制御回転の検査、ウォッチドッグタイマ25の検査、制御部21に内蔵のA/D変換部の検査をそれぞれ実行してデータを収集することができる。
【0056】
また、制御回路部2の各部の検査を実行することができ、パワーステアリング用モータとして信頼性の優れたものを提供することができる。
【0057】
なお、上記した実施形態では、通信部51を制御回路部2に制御部21等とは別に設け他場合について説明しているが、通信部は、例えばマイコンから成る制御部21に既に設けられているものを利用しても構わないのはいうまでもなく、要するに外部検査装置と通信可能なものであればよい。
【0058】
また、上記した実施形態では、上記した実施形態では、セルフロックの検査、無制御回転の検査、ウォッチドッグタイマ25の検査、制御部21のA/D変換部の検査のための各チェックコマンドを、外部検査装置から通信部51に送信してこれらの検査を実行するようにした場合について説明したが、必ずしもこれらすべての検査を実行する必要はなく、少なくともセルフロックの検査及び無制御回転の検査を実行するようにしておけばよい。
【0059】
更に、上記した実施形態では、モータ部を自動車のパワーステアリングに使用される3相直流ブラシレスモータにより構成した場合について説明したが、モータ部はこのようなパワーステアリング用に限定されるものでないのは勿論であり、要するにモータ部とこれを制御する制御回路部が同一のハウジング内に収容されて一体化されたものであれば、本発明を適用することができる。
【0060】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、外部検査装置からのチェックコマンドを受信して、その受信コマンドに応じた検査の結果外部検査装置に送信する通信部を設けたため、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介して所要の検査を実行してデータを収集することができ、実使用状態に近い検査を実行することが可能になり、信頼性の高い制御回路付きモータを提供することができる。
【0062】
また、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介していわゆるセルフロックの検査を実行してデータを収集することが可能になる。
【0063】
また、請求項2に記載の発明によれば、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介していわゆる無制御回転の検査を実行してデータを収集することが可能になる。
【0064】
また、請求項3に記載の発明によれば、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介して制御部の暴走時に動作するウォッチドッグタイマの検査を実行してデータを収集することが可能になる。
【0065】
また、請求項4に記載の発明によれば、モータ部と制御回路部とをハウジング内に収容して一体化した後であっても、通信部を介してアナログ/デジタル変換部の検査を実行してデータを収集することが可能になる。
【0066】
また、請求項5に記載の発明によれば、自動車のパワーステアリングに使用される直流ブラシレスモータから成るモータ部が、制御回路部と共にハウジング内に収容されて一体化された後であっても、制御回路部の検査を実行することができ、パワーステアリング用モータとして信頼性の優れたものを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態のブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図3】この発明の一実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図4】この発明の一実施形態の動作説明図である。
【図5】この発明の一実施形態の一部のブロック図である。
【図6】この発明の一実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図7】従来例の断面図である。
【図8】従来例のブロック図である。
【符号の説明】
1 モータ部
2 制御回路部
3 ハウジング
21 制御部
22 プリドライバ(補助駆動部、モータ駆動部)
23 3相ブリッジインバータ部(モータ駆動部)
25 ウォッチドッグタイマ
51 通信部
Claims (5)
- モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、
前記制御回路部は、
外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、
制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づき前記モータ部への電流供給路を開閉して前記モータ部を駆動するモータ駆動部とを備え、
前記チェックコマンドは、前記モータ部を回転させない状態において前記制御部から前記モータ駆動部への前記制御信号の出力を検査するためのセルフロックのチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、そのときに前記モータ部に流れる電流を前記通信部に出力することを特徴とする制御回路付きモータ。 - モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、
前記制御回路部は、
外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、
制御信号を出力する制御部と、
前記モータ部への電流供給路を断続して前記モータ部を駆動するインバータ部と、
前記制御信号に基づき前記インバータ部をPWM制御する補助駆動部とを備え、
前記チェックコマンドは、前記駆動部による前記インバータ部のPWMデューティをフルデューティの状態で前記モータ部の起動特性を検査するための無制御回転のチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、前記モータ部の起動開始から所定回転数に達するまでの起動時間を前記通信部に出力することを特徴とする制御回路付きモータ。 - モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、
前記制御回路部は、
外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、
制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づき前記モータ部への電流供給路を開閉して前記モータ部を駆動するモータ駆動部と、
前記制御部に暴走が生じたときに暴走開始から一定時間を計時して前記制御部の動作をリセットするウォッチドッグタイマとを備え、
前記チェックコマンドは、前記ウォッチドッグタイマの動作を検査するウォッチドッグタイマのチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、そのときの前記ウォッチドッグタイマの計時時間を前記通信部に出力することを特徴とする制御回路付きモータ。 - モータ部と、このモータ部の動作を制御する制御回路部とを、ハウジング内に収容して一体化した制御回路付きモータにおいて、
前記制御回路部は、
外部検査装置から所定のチェックコマンドを受信すると共に前記外部検査装置にデータを送信する通信部と、
制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づき前記モータ部への電流供給路を開閉して前記モータ部を駆動するモータ駆動部と、
前記制御部に入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変 換部とを備え、
前記チェックコマンドは、前記アナログ/デジタル変換部の入力を検査するアナログ/デジタル入力のチェックコマンドであり、該チェックコマンドに応じた自己検査処理を行って、検査データとして、前記アナログ/デジタル変換部に擬似的なアナログ信号を入力したときの前記アナログ/デジタル変換部の出力信号を前記通信部に出力することを特徴とする制御回路付きモータ。 - 前記モータ部が、パワーステアリング用の直流ブラシレスモータから成ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の制御回路付きパワーステアリング用モータ。
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