JP3655550B2 - Rasの標的蛋白質に特異的に結合し得る核酸 - Google Patents

Rasの標的蛋白質に特異的に結合し得る核酸 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、Rasの標的蛋白質に特異的に結合する新規な核酸(アプタマー)に関する。より好ましくは、本発明は、Raf−1に特異的に結合する新規なRNAアプタマーに関する。また、本発明は、本発明の核酸を使用する細胞の増殖や分化をひきおこすシグナル伝達の制御、及び、これを用いた医薬組成物に関する。
背景技術
Rasはグアニンヌクレオチド結合蛋白質であり、細胞のシグナル伝達に関与している。細胞のレセプターが活性化されると、細胞内の「GDP結合型Ras」が「GTP結合型Ras」となる。
この「GTP結合型Ras」が、Raf−1、B−Raf、RGL、Ral GDS、MEKK、P13Kなどの「Rasの標的蛋白質」に結合する。これらの「Rasの標的蛋白質」には、GTP結合型Rasが結合し得るRas結合ドメイン(RBD)があり、GTP結合型Rasはこれらの「Rasの標的蛋白質」のこのドメインに結合して、必要なシグナルを細胞内に伝達してゆく。
このようにRasは、細胞内のシグナル伝達のキーとなる蛋白質であり、Raf−1などの「Rasの標的蛋白質」は、Rasからのシグナルをその種類に応じて伝達してゆく細胞内シグナル伝達系の中枢となるものである。
したがって、「Rasの標的蛋白質」におけるGTP結合型Rasとの結合ドメインを特異的にブロックし得る物質があれば、細胞内のRasによるシグナル伝達系を特異的に阻害することが可能となり、当該シグナル伝達に起因する各種疾患の治療や予防に有用になる。例えば、がん細胞においては、「Rasの標的蛋白質」による増殖や分化をひきおこすシグナル伝達の制御を特異的に阻害することにより、がん細胞の増殖や分化を停止させて、がんの治療や転移を防止することができるようになる。
ところで、「Rasの標的蛋白質」のひとつであるRaf−1は、細胞質に存在するセリン/スレオニンプロテインキナーゼであり、GTP結合型Rasと相互作用することにより活性が誘導される。活性化されたRaf−1は、MEK(MAPK/ERK kinase)をリン酸化する。そしてこのMEKがERKをリン酸化することにより、核内にシグナルが伝達される(Daum, G., et al.,(1994)Trends Biochem. Sci. 19,474-480.;Avruch, J., et al.,(1994)Trends Biochem. Sci. 19,279-283.)。
このようなRaf−1の細胞内のシグナル伝達系を解明するために、Ras又はRaf−1の機能を選択的に阻害する方法が利用されてきた(deVries-Smits, A.M., et al.,(1992)Nature 357, 602-604.)。これらの研究には、キナーゼ活性を有しないRaf−1変異体によるRas機能の阻害(Kolch, W., et al.,(1991)Nature 349, 426-428.)や、Raf−1のキナーゼドメインに結合する抗体によるRaf−1キナーゼの阻害(Kolch, W., et al.,(1996)Oncogene 13, 1305-1314.)などが含まれている。
しかしながら、これらの阻害作用は、RasやRaf−1によるシグナル伝達系の特定の一部を特異的に阻害するものではなく、Rasとの結合機能やキナーゼ機能などの多数の機能を同時に多面的に阻害することから、阻害されるシグナル伝達系を特定することはできず、シグナル伝達系の個々の特定のメカニズムを充分に解明することはできなかった。
したがって、Raf−1へのRasの結合を特異的に阻害し得る分子種の開発が、シグナル伝達系の役割を解明してゆくために重要となってきている。
現在のところ、Rasの下流のシグナル伝達経路は完全には解明されてはいないが、このような分子種が開発されれば、特定の一部の経路を特異的に阻害することができる分子種を用いることによって、Rasが関わるシグナル伝達の経路を解明し、Rasの標的蛋白質によるシグナル伝達経路を詳細に解明することができるばかりでなく、細胞内でのシグナルの伝達を制御することができることになり、腫瘍などの細胞内のシグナル伝達に関与している各種疾患の治療、予防が可能となる。
一方、このようなRasが関わる細胞内のシグナル伝達の経路の中の「Rasの標的蛋白質」の構造解析も行われてきており、そのひとつであるRaf−1のRas結合ドメイン(RBD)は、Raf−1のN末端からの51−131位であることが知られてきている(Vojtek, A.B., et al., (1993)Cell 74, 205-214.;Chuang, E., et al.,(1994)Mol. Cell. Biol. 14, 5318-5325.)。
また、非核酸分子種に結合する蛋白質などのある種のターゲットに対して、高親和性を有するRNA又はDNAなどの核酸分子種(アプタマー類)が、「インビトロセレクション」(in vitro selection)法(Ellington, A.D. et al.,(1990)Nature 346, 818-822.;Tuerk, C. et al.,(1990)Science 249, 505-510.)により単離されてきている(Bock, L.C., et al., (1992)Nature 355, 564-566.;Qiu Qiu,Y.L., et al.,(1994)Nucleic Acids Res. 22, 5229-5234.;Gal, S.W., et al.,(1998)Eur. J. Biochem. 252, 553-562.;Bell, S.D., et al.,(1998)J. Biol. Chem. 273, 14309-14314.)。したがって、RNAとの相互作用が知られていないRaf−1に対して、この手法を用いることにより特異的にRaf−1に結合するRNAが得られる可能性もある。
発明の開示
本発明は、Raf−1、B−Raf、RGL、Ral GDS、MEKK、P13Kなどの「Rasの標的蛋白質」のRas結合ドメイン(RBD)に特異的に結合して、「GTP結合型Ras」との結合を特異的に阻害することができる核酸分子種を提供するものである。
Rasの標的蛋白質が関与するシグナル伝達の経路の解明およびシグナル伝達の阻害がもたらす生理作用を解明するためには、Rasの標的蛋白質、より詳細にはRaf−1に特異的に結合することにより、Raf−1と特に細胞内で重要な役割をになうRasとの結合を特異的に阻害し、かつ強力な作用を有する物質の開発が求められている。本発明者らは、インビトロセレクション(In vitro selection)法を用いることにより、「Rasの標的蛋白質」のRas結合ドメインに特異的に結合する核酸分子種を得ることができることを見出した。例えば、この手法により「Rasの標的蛋白質」のひとつであるRaf−1のRas結合ドメイン(RBD)をターゲットとした新規なRNAアプタマーを得、そのRNA配列を決定することができた。このRNAアプタマーは、RasとRaf−1の結合を特異的に阻害することができる。
したがって、本発明は、「Rasの標的蛋白質」、特にそのRas結合ドメイン(RBD)に特異的に結合する新規な核酸分子種、当該核酸分子種を用いたシグナル伝達系の制御剤、その制御方法、及び、それを含有してなる医薬組成物を提供するものである。
より詳細には、本発明は、「Rasの標的蛋白質」、特にそのRBDに特異的に結合する新規なRNAアプタマー、および、当該RNAアプタマーを用いたシグナル伝達系の制御剤、その制御方法、及び、それを含有してなる医薬組成物を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のインビトロセレクションにおける当初のRNAの配列とPCRプライマーの配列を示すものである。
第2図は、21回の処理におけるRNAプールから得られた24種のRNAの配列を示す。図中では、ランダム約60塩基の配列部分を示している。全体の配列は、第1図で定義されている5’−及び3’−末端の配列を含んでいる。クローン1と同種の配列となっているものを「グループ1」としている。他のものを「グループ2」としている。なお、注(a)は各々の単離されたリガンドのクローンの数をカッコ内に示しており、注(b)はクローン21.08は、各々に定義された配列にそれぞれ2つの変異を有しているものであり、注(c)のRNAリガンドのGST−RBDへの結合のパーセントは、ニトロセルロースフィルター結合アッセイにより測定した値に基づいている。
第3図は、RNAリガンドのGST−RBD蛋白質への結合を示す。RNAリガンドのGST−RBDへの結合のパーセントは、ニトロセルロースフィルター結合アッセイにより測定した値に基づいている。第3図中の黒丸印は配列番号1のRNAを、黒四角印は配列番号7のRNAを、黒三角印は配列番号11のRNAを用いたものである。
第4図は、RNAアプタマーによる、RasとGST−RBDとの相互作用の阻害を示す図面に代わる写真である。抗Ras抗体RAS004によるイミュブロッティングより測定した、GST−RBDに結合したRas蛋白質の量を上段に示す。クマシーブルーでの染色によるGST−RBDの量を下段に示す。GDP結合型(D)又はGTPγS結合型(T)の2pmolのRas、及び、25pmolのGST−RBDを、種々の量のRNAの存在下にインキュベートした。Aは第2図の21.01リガンド、Bは第2図の21.07リガンド、Cは第2図の21.11リガンド、Dは第2図の21.12リガンドを使用した。
発明を実施するための最良の形態
本発明の「Rasの標的蛋白質」とは、細胞のシグナル伝達に関与しているRas蛋白質、好ましくはGTP結合型Ras蛋白質と結合して細胞内のシグナル伝達系を形成する一群の蛋白質をいう。本発明の「Rasの標的蛋白質」としては、例えば、Raf−1、B−Raf、RGL、Ral GDS、MEKK、P13Kなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。本発明の好ましい「Rasの標的蛋白質」としてはRaf−1などが挙げられる。
本発明は、前記した「Rasの標的蛋白質」に特異的に結合し得る核酸分子種が存在することを明らかにしたものであり、したがって、本発明の「Rasの標的蛋白質」と特異的に結合する核酸としては、RNAであってもDNAであってもよく、これらのRNA又はDNAが「Rasの標的蛋白質」に特異的に結合するものであれば特に制限はない。また、本発明の核酸は、ひとつの「Rasの標的蛋白質」にのみ特異的に結合するものであってもよいが、2種以上の「Rasの標的蛋白質」に特異的に結合するものであってもよい。
本発明の核酸分子種の塩基の長さは、「Rasの標的蛋白質」に特異的に結合できるに充分な長さを有するものであれば特に制限はないが、20〜300塩基、好ましくは20〜150塩基、より好ましくは30〜150塩基、さらに好ましくは50〜150塩基のものがよい。結合の特異性を強調する場合には、長いものが好ましいが、合成方法などの入手手段の簡便性からは短いものが好ましい。
本発明の核酸分子種を例示すれば、配列表の配列番号1〜28、好ましくは配列番号1〜8又は配列番号25〜28のいずれかひとつの塩基配列を含有してなるRNAが挙げられる。
本発明の前記配列番号で示されるRNAは、「Rasの標的蛋白質」への結合能を有するものであり、より詳細にはRaf−1のRas結合ドメイン(RBD)に特異的に結合することを特徴とするものであり、本発明の核酸分子種は前記した配列番号1〜28で示される塩基配列に限定されるものではなく、「Rasの標的蛋白質」への結合能を有するものであれば、配列表の前記配列番号1〜28のいずれかひとつの塩基又は1個以上の塩基が欠失し、他の塩基で置換され、及び/又は他の塩基が付加されてなる塩基配列を有するものであってもよい。
本発明の核酸分子種は、これらの塩基配列を分子の全部又は一部において含有するものであればよく、例えば、配列表の配列番号1〜28に示される塩基配列を有する核酸分子種に「Rasの標的蛋白質」への結合能を阻害しない範囲においてさらに塩基配列や他の分子種が付加されていてもよい。
本発明のこれらのRNAは、必要により逆転写して、前記したRNAと相補的な塩基配列を有するDNAとすることもできる。したがって、本発明は、配列表の配列番号1〜28のいずれかひとつの塩基配列、又は、そのうちの1個以上の塩基が欠失し、他の塩基で置換され、及び/若しくは1個以上の塩基が付加されてなる塩基配列を含有するRNA又はDNAなどの核酸分子種に関する。
本発明における「アプタマー」とは、蛋白質の特定のドメインに結合し得る核酸分子種のことをいい、当該核酸としてはRNAでもDNAでもよい。RNAからなるアプタマーを「RNAアプタマー」という。したがって、本発明においては、本発明における核酸分子種のことを「アプタマー」とも称し、当該核酸がRNAである場合には「RNAアプタマー」という。
なお、配列表の配列番号29〜52で示される約60塩基からなるRNAは、配列番号1〜24で示されるRNAの中心部の約60塩基からなる塩基配列を示したものである。また、配列表の配列番号53及び54で示される約45塩基からなるRNAは、配列番号25〜28で示されるRNAの中心部の45塩基からなる塩基配列を示したものである。さらに、配列表の配列番号55〜60は、本発明の具体例において使用されたプライマーの塩基配列を例示したものである。
本発明の核酸(アプタマー)は、種々の方法で製造することができる。アプタマーの塩基配列がわかっている場合には、これを合成することもできる。
本発明のアプタマーの配列がわからない場合には、公知の「インビトロセレクション」(in vitro selection)法(Ellington, A.D. et al.,(1990)Nature 346, 818-822.;Tuerk, C. et al.,(1990)Science 249, 505-510.)によりアプタマーを選別してくることができる。本発明における「インビトロセレクション」法を説明する。
まず、20〜300塩基、好ましくは30〜100塩基、より好ましくは30〜70塩基のランダムな塩基配列のRNA類を調製する。これらのRNAはランダムな配列を含む合成DNAからの転写反応によって調製される。
このランダムな配列を有するDNA類の5’端及び3’端に、PCR法におけるプライマーとなるべき塩基配列をつける。この場合のプライマーとしては、特に制限はないが、後にこのプライマー部分を切断できるように制限酵素による切断配列を有するものが好ましい。プライマーとなる部分の長さにも特に制限はないが、約20〜50塩基、好ましくは20〜30塩基程度である。さらに、5’端のプライマーには、T7RNAポリメラーゼのプロモーター配列を加えて、DNAからRNAへの転写反応が可能となるように設計してもよい。
このようにして両端にプライマーとしての塩基配列を有し、中央部にランダムな塩基配列を有するRNA群(RNAプール)をDNAから転写反応によって調製する。
次いで、このRNAプール中のRNAと、「Rasの標的蛋白質」、例えば、Raf−1、又は、その結合ドメインからなるペプチドを接触させて、「Rasの標的蛋白質」に結合するRNAを分離する。得られたRNAを逆転写してcDNAとし、前記のプライマーを用いてPCR法により増幅する。増幅されたDNAを転写してRNAとし、これを前記したRNAプールへ戻す。
以上の、RNAプールの中での「Rasの標的蛋白質」との接触、結合したRNAの分離、逆転写、PCR法による増幅、及び、増幅されたRNAの元のRNAプールへの注入からなるサイクルを「ラウンド」と称する。即ち、1ラウンドとは前記のラウンドを1回行うことをいう。
RNAプールを用いた前記したラウンドを行うと、RNAプール中の「Rasの標的蛋白質」に結合するRNAの量が増加し、しかも特異的に結合する塩基配列を有するRNAの量が増加してくるので、ラウンド繰り返し行うことによりより特異的に結合するRNAを選別することができるようになる。
こようなラウンドは、5〜50ラウンド、好ましくは5〜30ラウンド行われる。
前記してきた「インビトロセレクション」法により選別されてきたRNAは、常法によりその塩基配列を決定し、常法により逆転写してcDNAとすることもできる。また、必要により前記したプライマーとして使用された部分を切断することもできる。このようにして、本発明のアプタマーを得ることもできる。
本発明の「インビトロセレクション」法を、「Rasの標的蛋白質」としてRaf−1を例にしてさらに詳細に詳細に説明する。
本発明者らは、Raf−1のRas結合ドメイン(RBD)に結合するRNA類を選定するために、ランダムな約60塩基からなるRNAのプールを用意した。そして、これらの約60塩基からなるRNAの3’−末端及び5’−末端には第1図に示される塩基配列を結合させた。このRNAプールには、約8×1019種のRNAが存在していると推定された。
アプタマーのセレクションを行う前に、このRNAプールとRaf−1−RBDの結合に対する塩濃度の効果を調べた。低塩濃度下ではRNAがRaf−1−RBDに非特異的に結合してしまったが、塩濃度を高くすることによって(150mM程度まで)、この非特異的な結合が抑えられることがわかった。そこで、本発明者らは、セレクションのための緩衝溶液として、137mMの食塩を含むリン酸緩衝液(以下、「結合バッファー」という。)を使用することにした。
最初から13ラウンドまでのセレクションは、グルタチオン−セファロース4Bマトリックスを用いて、グルタチオン、S−トランスフェラーゼ(GST)とRaf−1の51〜131までのペプチド(RBD)との融合蛋白質(以下、「GST−RBD」という。)とRNA類との結合により行われた。この13ラウンドで、RNAプールとの結合能(binding ratio)は、当初の0.16%から0.36%にわずか上昇した。
これに引き続いて、前記のマトリックスに代えてニトロセルロースフィルターを用いたセレクションを8回(8ラウンド)行った。21回目のラウンドにおいて、RNAプールの結合能は22%を示し、蛋白質GST−RBDに対するプールのKd値は290nMとなった。
21ラウンドを終えたRNAプールから33個のクローンの配列を決定した。その結果、24種類の異なる配列が得られた。この24種のクローンの約60塩基の部分の配列を第2図に示す。大別して、その配列同士に高いホモロジーを有するクローン(このグループを「グループ1」という。)とその他の互いにホモロジーが認められないクローン(これらを「グループ2」とする。)に分けられた。
グループ1の8種類のRNA(第2図の21.01〜21.08)の全長(約100塩基)の配列を配列番号1〜8に示す。
これらのうちの10種のRNAとGST−RBDとの相互作用を、ニトロセルロースフィルターを用いた結合アッセイにより検討した。その結果を第2図の右欄にRNA結合(%)として示した。この結果、グループ1のRNAはGST−RBDと充分な結合を示したのに対して、グループ2のRNAは充分な結合を示さなかった。配列番号1(第2図の21.01)及び配列番号7(第2図の21.07)に示されるRNAのKd値は両者共300nMであったのに対して、配列番号11(第2図の21.11)のRNAのそれはマイクロモル単位であった(第3図参照)。第3図は、配列番号1(黒丸印)、7(黒四角印)、及び、11(黒三角印)のRNAを種々の濃度(nM)で使用した場合のGST−RBDへの結合のパーセントを示している。
さらに、これらのRNAリガンドは、GSTそれ自身には結合しなかった。このことは、これらのRNAはGST部分よりもGST−RBDのRBD部分に結合するものであることを示している。
次に、前記のグループ1のRNAアプタマーがRasとRBDの相互作用を阻害するか否かを検討した(第4図参照)。配列番号1(第4図のA)、7(第4図のB)、11(第4図のC)、及び12(第4図のD)(それぞれ第2図中の21.01、21.07、21.11及び21.12に対応する。)の各々のRNAを0から12.5μMの濃度で試験した。セファロースマトリックスに担持されたGST−RBDと、GTPγS又はGDP中のRasと共にインキュベートした。これらのRNAが存在する場合(第4図中のレーン3、4及び5。レーン3はRNA20pmol、レーン4はRNA200pmol、レーン5はRNA2000pmol。)とRNAが存在しない場合(第4図中の各レーン1及び2。レーン1はGDPの存在下で、レーン2〜5はGTP存在下である。)における、GST−RBDとRasとの結合を抗Ras抗体RAS004によるイミュノブロッティングにより検出した。
第4図中の「Ras」は、RasとGST−RBDの結合したものを示し、「GST−RBD」はGST−RBDが単独で存在していることをバックグラウンドとして示している。前述したようにGST−RBDとほとんど結合しない配列番号12(第4図のD)のRNAは、濃度を12.5μMしてもGST−RBDへのRasの結合を阻害しなかった。kd値がマイクロモル単位であった配列番号11(第4図のC)のRNAも同様であった。
これに対して、グループ1の中の配列番号1(第4図のA)及び7(第4図のB)のRNAは、RasとRBDの相互作用を効果的に阻害した。このことは、これらのRNAがRBDへ結合したためと考えられる。そして、GTP結合型のRasとRaf−1のRBDとのkd値は18nM(Hermann,C., et al., J. Biol. Chem., 270,2901-2905(1995))であり、配列番号1及び7のRNAはその10倍も結合能が低いにもかかわらず、これらのRNAはRasとRaf−1との相互作用を阻害する。
これらのRNAは、Rasやセファロースマトリックスに対しては親和性を有していないのであるから、これらのRNAがRasやセファロースマトリックスに結合して、マトリックス上のGST−RBDとRasとの結合を阻害するという可能性はない。以上のことから、これらのRNAアプタマーのRBDに対する特異性が示された。
同様な方法を、5’末端に5'- ggtaa tacga ctcac tatag ggagt ggagg aattc atcga ggcat -3'、3’末端に5'- catat gcctt agcga cagca agctt ctgc -3'の配列を有し、その中間にランダムな45塩基を含む一本鎖DNAプール(200pmol、1.2x1014分子)を合成し、この一本鎖DNAのプールを、PCRで二本鎖のDNAのプールを用いて行った。
この結果、Raf−1RBDに結合する新規なRNAアタマーを得ることができた。これらの配列は以下の通りであり、配列表の配列番号25〜28に示す。
配列25
Figure 0003655550
配列26
Figure 0003655550
配列27
Figure 0003655550
配列28
Figure 0003655550
これらのRNAのうち配列番号25、26、28に示すRNAのGST−RBDとのKd値はそれぞれ次のとおりであった。
配列25のRNA:124nM
配列26のRNA:295nM
配列28のRNA:176nM
そして、配列25〜28のRNAは全て用量依存的にRasとRaf−1RBDとの結合を阻害した。
配列番号25、27及び28は3’末端の長さが相違するものであることから、配列25の3’側より1塩基づつ減少し配列28に至るまでの99〜81塩基のRNA(90塩基が配列27に相当する)も活性を有することが推測される。
これらの塩基配列からプライマーとして機能している部分を除いた45塩基の配列を配列番号53及び54に示した。
ここに得られた配列25〜28のRNAアプタマーは、合成DNAより転写により得ることが可能でありまた合成して得ることも可能である。
これらのRNAアプタマーは前記の約60塩基からなるRNAアプタマーに比べてその結合活性が強く、かつRNAの塩基数はより少なくなっていることから、より有用なRNAアプタマーであると考えられる。
キナーゼ活性を有しないRaf−1変異体やRaf−1のキナーゼドメインに結合する抗体が、細胞のシグナル伝達系におけるRasやRaf−1の役割を研究するために使用されてきた(Kolch, W., et al.,(1991)Nature 349, 426-428.;Kolch, W., et al.,(1996)Oncogene 13, 1305-1314.)。
キナーゼ活性を有さずにRasに結合し得るRaf−1変異体は、Ras依存のRaf−1活性を阻害するのみならず、Rasを含む広範囲なシグナル伝達系をブロックする。これは、この変異体がRaf−1の結合を阻害するのと同様に、GTP結合型Rasの種々の下流のエフェクターへも影響を与えるからである。
同様に、Raf−1のキナーゼドメインのエピトープに結合するモノクローナル抗体は、Raf−1含む全てのシグナル伝達系を阻害する。これは、Raf−1は、GTP結合型のRasによって活性化されるのみならず、Rasとは無関係な経路によって活性化されるからである(Kolch, W., et al.,(1996)Oncogene 13, 1305-1314.)。
このような観点からみても、本発明のRBDに対するRNAアプタマーは、RasやRaf−1のキナーゼ活性に何等の影響を与えることなく、RasとRaf−1との結合を特異的に阻害できるものであるといえる。
さらに、本発明のRNAアプタマーは細胞内において発現させることが可能であり(Good, P.D., et al.,(1997)Gene Ther. 4,45-54.)、広範囲な分野に適用可能なものである。
このように、本発明のRNAアプタマーは、「Rasの標的蛋白質」、より好ましくはRaf−1のRBDを特異的にブロックするものであり、細胞内のシグナル伝達を制御剤又は細胞のシグナル伝達を制御する方法に使用できるのみならず、シグナル伝達系が関与する各種の疾患の治療、予防又は診断の分野への適用に特に適しているものである。
本発明の核酸分子種を細胞のシグナル伝達系の制御に使用する場合には、本発明の核酸と直接目的とする細胞へ導入してもよいが、これをウイルスなどに組み込んで細胞に導入することもできる。
また、RNAを直接導入するのではなく、DNAの形で導入することもできる。
本発明の核酸分子種を医薬組成物として使用する場合には、これをこのまま非経口投与することもできるが、ウイルスやDNAの形で各種ベクターに組み込んで投与することもできる。これらの投与形態においては、製薬上許容される担体を用いて医薬組成物とすることもできる。
本発明の医薬組成物は、細胞のシグナル伝達系に関与する各種疾患、特に悪性腫瘍や炎症の治療、予防又は診断に有用である。
実施例
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(蛋白質の精製)
グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)並びにRBD(Raf−1の51−131アミノ酸部分)とGSTとの融合タンパク質(以下、GST−RBDという。)とを、各々大腸菌株BL21、BL21DE3より発現させ、グルタチオン−セファロース4B(アメルシァム ファーマシア バイオテク社製)及びHQプロス(パーセブティブ)のカラムを用いてクロマトグラフィーにより精製した(Shirouzu.M., et al., J. Biol. Chem., 273, 7737-7742(1998))。
野生型Ha−Ras蛋白は、大腸菌株BL21から得られたものを、DEAE−セファセル、セファデックスG−75及びリソースQFPLC(アメルシャム ファーマシア バイオテク社製)のカラムクロマトグラフィーにて精製した(Shirouzu.M., et al., J. Biol. Chem., 273, 7737-7742(1998);Shirouzu.M., et al., Oncogene, 7, 475-480(1992);Ito, Y., et al., Biochemistry, 36, 9109-9119(1997))。
これらの蛋白質の純度は、クマシーブルー及び/又は銀、染色によるSDS−PAGEで確認した。精製された蛋白は、−30℃で50%グリセロース中で保存された。
実施例2(インビトロセレクション)
ランダムな60塩基を含むDNAのプールを調製した。これらのDNAはその両端に5’−GCCGGAATTCTAATACGACTCACTATAGGGAGATCAGAATAAACGCTCAA−3’、及び、5’−TTCGACATGAGGCCCCTGCAGGGCG−3’の配列をインビトロでの転写およびPCRによる増幅のために有している。
75℃で3分間加温され、その後氷冷されたこれらのRNA類は、GST−RBD及びグルタチオン−セファロース4Bビーズを含有する結合バッファー(5mM MgCl2含有リン酸緩衝生理食塩水)中で4℃で1時間インキュベートされた。GST−RBDが結合したRNA類をグルタチオン−セファロースビーズにより回収した。ビーズを洗浄バッファー(20mM トリス−HCl pH7.5、5mM MgCl2及び150mM NaCl)で洗浄し、ビーズ上のRNA類を沸騰水で溶出した。
第1ラウンドから第13ラウンドまではこの手順で行った。但し、GST及び/又はビーズのみに結合しているRNA類を除去するために、GST−RBDとのインキュベーションの前(第3ラウンドから第13ラウンド)及び溶出の後(第7ラウンドから第13ラウンド)に、RNA類をGSTのみを担持しているグルタチオン−セファロースビーズに通した。
溶出物を逆転写し、PCRで増幅した。次のラウンドのRNAプールを、増幅されたcDNAからのインビトロでの転写により調製した。セレクションの第13ラウンド以降は、フィルター結合法により行った。RNAプール(75℃で3分間加温し、室温まで冷却した。)及びGST−RBDを、37℃で1時間結合バッファー中でインキュベーションした。GST−RBDと結合したRNA類を、ニトロセルロースフィルターに結合させて分離し、RNA類を7M尿素を含むバッファーで溶出した(Hirao, I., et al., Mol. Diversity,(印刷中))。フィルターに結合しているRNA類を除くために、増幅の前にRNA類をフィルターに通した。
実施例3 (ニトロセルロース フィルター 結合アッセイ)
[α−32P]UTPを用いてT7RNAポリメラーゼによりインビトロで転写してRNA類を得た。RNA(0.8μM)及びその蛋白質とを、37℃で1時間、50μlの結合バッファー中でインキュベートした。その溶液の一部(50μl)をフィルター上に移し、200μlの洗浄バッファーで3回洗浄した。
解離定数を決定するために、1.6nMの5’−末端が[γ−32P]ATPでラベルされたRNA及び種々の濃度のGST−RBDとをインキュベートした。フィルター上の放射線量を、富士BAS2500バイオイメージングアナライザーを用いて測定した。
実施例4 (阻害活性)
0.05%トリトンX−100を含有する結合バッファー160μl中のGST−RBD1μgを、リン酸緩衝生理食塩水中のグルタチオン−セファロースビーズ懸濁液10μlに混合した。混合物を4℃で30分間インキュベートした。軽く遠心分離した後、上澄み液を捨てた。残ったビーズへ、40ngのRas(このものは、GTPγS又はGDPで結合化されていることは文献記載のとおりである(Koide, H., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 8683-8686(1993))。)、及び、160μlのRNAを含む結合バッファー溶液が加えられ、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの後、ビーズを500μlの洗浄バッファーで洗浄した。結合した蛋白質をラエムリのバッファー(Laemmli’s buffer)を用いた脱結合によりビーズから溶出させ、15%SDS−PAGEに展開した。抗Ras抗体RAS004(Moodie, S.A., et al., Science, 260, 1658-1661(1993))を用いてイミュノブロットし、これをECL免疫検出装置(アメルシャム ファーマシア バイオテク社製)により視覚化した。
実施例5(RNAプールの作成)
5'末端に5'- ggtaa tacga ctcac tatag、ggagt ggagg aattc atcga ggcat -3'、3'末端に5'- catat gcctt agcga cagca agctt ctgc -3'の配列を有するランダムな45塩基を含む一本鎖DNA(200pmol、1.2x1014分子)を5'- ggtaa tacga ctcac tatag ggagt ggagg aattc atcg-3'および5'- gcaga agctt gctgt cgcta aggc -3'の2本のプライマーを用いてPCRを行い、次いでT7RNAポリメラーゼで転写し最初のRNAプールとした。
実施例6(Raf−1RBDに結合するRNAの選別)
75℃で3分間加温後氷冷したRNAプール3μM(1800pmol)およびGST−RBD1μM(600pmol)を結合バッファー600μl中37℃で1時間インキュベートした。ニトロセルロースフィルターでろ過し、フィルターを洗浄バッファー300μlで3回洗浄後フィルター上のRNAを7M尿素を含むバッファーで溶出した。逆転写後PCRを12サイクル行った。
ここで用いた試薬類は次のとおりである。
GST−RBD:RBD(Raf−1の51〜131アミノ酸部分)とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質は文献(Shirouzu, M., et al.,(1998)J. Biol. Chem. 273, 7737-7742.)に記載されている。
結合バッファー:5mM MgCl2含有リン酸緩衝生理食塩水。
洗浄バッファー:20mM Tris−HCl pH7.5、5mM MgCl2および150mM NaCl。
実施例7(配列番号25および26のRNA)
実施例6の最初のRNAプールよりRaf−1RBDに結合するRNAの選別、RNAよりDNAへの逆転写、増幅、DNAよりRNAへの転写を10回繰り返し配列表の配列番号25および26のRNAを得た。
実施例8(配列番号27および28のRNA)
配列25のRNAの相補的な配列を有するDNAをプライマー5'- ggtaa tacga ctcac tatag ggagt ggagg aattc atcg -3'とプライマー5'- gctgt cgcta aggca tatgc taaaa c -3'あるいは5'- aggca tatgc taaaa ccaat ttata ac-3'を用いてPCRにより3’末端側を短くしたDNAを得、これより配列表の配列番号27および28のRNAを得た。
実施例9(クローニングと配列の決定)
DNAはTOPO TAクローニングキットを用いてクローニングし、自動DNAシーケンサーで配列を決定した。
実施例10(Kd値の測定)
4nMの5’末端をラベルしたRNAと50〜1,250nMのGST−RBDを結合バッファー600μl中37℃で30分間インキュベートした。ニトロセルロースフィルターでろ過し、フィルター上の放射活性を測定した。Kd値はソフトウェア:カレイダーグラフを用いて計算した(Bell, S.D., et al.,(1998)J. Biol. Chem. 273, 14309-14314.)。
実施例11(結合阻害実験)
0.05%トリトン(Triton)X−100を含有する結合バッファー160μl中のGST−RBD20pmolと10μlのグルタチオン−セファローズ4Bビーズを含むリン酸バッファー生理食塩水とを混合し4℃で30分間インキュベートした。ビーズを分離し20pmolのRasおよびRNA(0、20、100、200pmol)と結合バッファー(5mM、MgCl2含有リン酸緩衝生理食塩水)160μl中で4℃で30分間インキュベートした。ビーズを洗浄後結合している蛋白質をラエムリのバッファーで溶出させ、SDS−PAGE後、抗Ras抗体RAS004(Kanai, T., et al.,(1987)Jpn. J. Cancer Res. 78, 1314-1318.)を用いてイミュノブロットしECL免疫検出装置で視覚化した。
配列番号25〜28のRNAはRNA量に応じRasの量の低下が認められた。
産業上の利用可能性
本発明は、Raf−1などのRasの標的蛋白質に特異的に結合し、さらにはRasとの結合を阻害するRNAが得られたことであり、これらのRNAを用いた細胞内のシグナル伝達経路の特異的阻害方法を提供するものである。本発明により、細胞の特定の経路によりシグナル伝達経路を解明することが出来るのみならず、副作用の少ない医薬組成物を提供することが出来る。
【配列表】
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Claims (4)

  1. 配列表の配列番号1〜8、25〜36もしくは53〜54に表されるいずれかの塩基配列、該塩基配列において1個または2個の塩基が欠失、置換、及び/若しくは付加されてなる塩基配列、または配列番号25に表される塩基配列の3’末端より1塩基ずつ減少することで得られる81〜99塩基からなる塩基配列より選ばれる少なくとも一つの塩基配列を含む、Rasの標的蛋白質であるRaf−1に特異的に結合し得るRNA。
  2. Raf−1のRas結合ドメインに特異的に結合する、請求項1に記載のRNA
  3. 請求項1に記載のRNAに相補的な塩基配列を有する核酸。
  4. 請求項1に記載のRNAもしくは請求項3に記載の核酸からなる細胞のシグナル伝達の制御剤。
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