JP3654834B2 - 金属材料の等温押出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、アルミニウム等の金属材料の等温押出方法に係り、特に、ビレット温度またはビレット温度とコンテナ温度を制御して、ダイスから押し出される押出製品の温度が一定となるようにすることによって、かかる押出製品の品質を高度に且つ安定して維持することの出来る等温押出方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、アルミニウム等の金属材料(ビレット)をダイスから押し出して、所望の断面形状とした押出製品が、各種の用途において用いられてきているが、そのような金属材料の押出加工においては、ダイス出側となる押出機プラテン出側の製品温度が、その押出方向たる長手方向において変化して、温度差が生じてしまうことが認められている。例えば、均一に加熱した金属ビレットを用いて押出を行なった場合において、その押出が進むにつれて、ダイス出側の製品温度が上昇するようになることが多いのである。これは、押出中に、コンテナ内に収容されたビレットに対して押出のための圧力がラムを介して加えられることによって惹起される加工発熱が蓄熱されるためであり、そして、押出工程の後半になる程、その蓄熱量が多くなるところから、プラテン出側(ダイス出側)の製品温度も、押出が進むにつれて上昇するようになる。
【0003】
そこで、従来においては、かかる押出のために、コンテナ内に収容されるビレットの加熱に際して、誘導加熱炉等を用いて、ビレットの押出方向における後部側(ラム側)の温度を前部側(ダイス側)の温度よりも予め低く加熱するテーパ加熱手法を採用して、ビレット温度がダイス側からラム側に向かって漸次低下する傾斜温度パターンを、ビレットに付与することにより、押出工程中の製品温度の上昇を抑制するという手段が、広く採用されてきているのである。
【0004】
しかしながら、そのような押出中のダイス出側の製品温度の上昇を抑えるためにテーパ加熱したビレットを用いても、ビレット前部と後部の温度差(テーパ量)は、ビレットの100mm長当たり10℃といったように一律に決められていることが多く、各押出条件に応じたビレット温度分布(テーパ量)が与えられていないために、実際には、押出中に製品温度が上昇する場合や減少する場合が殆どであり、押出中の製品温度が常に一定になるような等温押出となることは、稀なことであった。
【0005】
尤も、各製品に応じて最適なテーパ量を設定して、テーパ加熱したビレットを用いることにより、押出製品温度が等温となるようにする手法も考えられるのではあるが、ビレットのテーパ加熱に際して、そのテーパ量を自在に設定することは、技術的に難しく、また、誘導加熱ビレットヒータ等を用いてテーパ量を最適値にしたとしても、加熱直後からビレットが搬送されて、コンテナ内に挿入されるまでの経過時間により、ビレット内の熱伝導によって、そのテーパ量が減少してしまうこともあり、このテーパ量による製品温度調節には、大きな困難が内在しているのである。
【0006】
また、かかるテーパ加熱ビレットを使用することによって、ビレット後部の温度が前部の設定温度よりも著しく低くなり、ビレットとコンテナとの間の剪断変形抵抗が増大するようになるところから、同じ設定温度(同じビレット前部加熱温度)の均一加熱のビレットよりも、テーパ加熱ビレットを用いる方が、最大押出力が高くなってしまい、押出機の能力が不足する場合も生じ、そしてそのような場合にあっては、ビレットの加熱温度を高く設定する必要があり、その結果、製品温度が増加するのを防ぐために、押出速度を減少させなければならず、押出能率が低下する等といった弊害もある。
【0007】
さらに、そのようなテーパ加熱ビレットを用いる場合には、押出中のコンテナ内のダイス近辺のビレット温度が一定となり難く、ダイス面に加わる圧力が押出中に変化して、ダイスの撓み量が変化し、以てダイス孔の断面積が変化することにより、得られる押出製品の寸法が押出中に変化してしまうという問題も内在するものであった。
【0008】
一方、均一に加熱されたビレットを用いた押出加工において、その押出が進むにつれて、製品温度が上昇するという問題を解決する手段として、押出中の押出速度を変化させる手法の採用も考えることが出来る。一定速度で押出を行なった場合には、製品温度が上昇するようになるところから、押出が進むにつれて押出速度を下げて、加工発熱量を減少せしめ、以て等温押出を実現しようとする考え方である。しかしながら、そのような手法では、押出速度が一定でないところから、押出製品の表面性状、例えば光沢等が変化したり、ダイス面圧が変化して、押出製品の長手方向における寸法誤差が大きくなったりする等の問題があり、実用上、採用することの出来る手法と考えることは出来ない。
【0009】
ところで、特開2000−117323号公報や特開平10−12843号公報には、また、押出温度制御の一つの手法が提案されている。具体的には、特開2000−117323号公報では、金属押出機において、目標とする押出機プラテン出側の製品温度が得られるように、理論モデルから導かれた押出温度計算式と押出力計算式を連立させて解くことにより、ビレット温度及び押出速度を設定する手法が明らかにされ、その結果、押出能率は20%程度向上し、且つ押出機プラテン出側の製品温度も、目標温度の±20℃以内に制御され得るようになっている。また、特開平10−12843号公報では、金属押出機において、押出機プラテン出側の製品温度が上限を越えないように、押出力実測値を用いて、理論モデルから導かれた押出温度計算式を解くことにより、ビレット温度が設定されている。
【0010】
しかしながら、それら提案された押出温度制御方式の何れにあっても、ビレット温度分布を適切に調整し、ダイス出側たる押出機プラテン出側の製品温度の長手方向(押出方向)における温度差を解消する機能はなく、かかる長手方向の製品温度の最高温度を許容範囲以下に制御したり、或いは長手方向の製品温度の平均温度を目標温度に制御する機能しかなく、そのために、押出工程中においてダイス出側の製品温度が変化して、押出製品の押出方向における品質が安定せず、例えば、強度が押出製品の押出初期の部位と押出終期の部位との間において変動する等という問題が、内在しているのである。
【0011】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、金属材料の押出加工に際して、得られるダイス出側の押出製品の温度が、押出中において常に一定となるように等温押出する有効な手法を提供することにあり、また、他の課題とするところは、押出製品の品質を、その押出方向である長手方向において、高度に且つ安定して維持することの出来る手法を提供することにある。
【0012】
【解決手段】
そして、そのような課題を解決するために、本発明にあっては、コンテナ内に収容した金属ビレットを、ダイス出側の押出製品温度が一定となるように、ダイスを通じて等速にて押し出す方法にして、前記金属ビレットとして、軸方向及び径方向における温度が均一となるように加熱された均熱加熱ビレットを用いる一方、理論モデルから導かれる押出力計算式と押出温度計算式に基づいて、コンテナとビレットとの間の剪断変形による発生熱量とビレットからコンテナへの流出熱量とが等しくなるように、前記ビレットの加熱温度を設定して、前記コンテナ内に収容せしめることにより、ダイス出側の押出製品温度を一定と為し、押出加工中において該製品温度が変化しないようにしたことを特徴とする金属材料の等温押出方法を、その要旨とするものである。
【0013】
要するに、このような本発明に従う金属材料の等温押出方法によれば、理論モデルから導かれた押出力計算式と押出温度計算式に基づく計算によって、押出中の製品温度が常に一定となるようなビレット温度設定値を求めることが出来、そして、そのようにして求められたビレット温度設定値に基づいて、ビレット温度を制御することによって、作業者の技量によることなく、強度等の機械的性質が押出初期と押出終期において殆ど変化することのない、高品質な押出製品を安定して得ることが出来るのである。
【0014】
しかも、かかる本発明に従う等温押出手法によれば、押出工程中において、ビレットを介して、ラム荷重のうち、ダイス面に直接加わるダイス荷重が一定となるのであって、これにより、押出製品の寸法精度を効果的に高め得て、押出製品の押出方向における部位に基づくところの寸法変化を効果的に低減せしめ得るのである。
【0015】
なお、かくの如き本発明に従う金属材料の等温押出方法の好ましい態様によれば、前記ビレット温度(Tb;℃)は、次式:
Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
[但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
V :ビレットの押出速度(mm/min)
J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
Tc:コンテナ温度(℃)
に基づいて求められることとなる。そして、このようにして求められたビレット温度(Tb)を用いて加熱制御されたビレットをコンテナに挿入して、押出加工を行なうことにより、目的とする押出製品の温度をより一層有利に一定と為し得ることとなるのである。
【0016】
また、本発明に従う金属材料の等温押出方法においては、ダイス出側の押出製品温度を任意の目標値に容易に設定し得るようにすべく、コンテナ内に収容した金属ビレットを、ダイス出側の押出製品温度が一定となるように、ダイスを通じて等速にて押し出す方法にして、前記金属ビレットとして、軸方向及び径方向における温度が均一となるように加熱された均熱加熱ビレットを用いる一方、理論モデルから導かれる押出力計算式と押出温度計算式に基づいて、コンテナとビレットとの間の剪断変形による発生熱量とビレットからコンテナへの流出熱量とが等しくなるように、且つ押出製品の熱量がビレットの熱量とダイス付近の押出仕事による発生熱量との和に等しくなるように、前記コンテナ内に収容されるビレットの加熱温度と該コンテナの温度とを設定することにより、ダイス出側の押出製品温度を目標とする一定の温度と為し、押出加工中において該製品温度が変化しないようにしたことを特徴とする金属材料の等温押出方法が、有利に採用されることとなる。
【0017】
そして、そのような金属材料の等温押出方法では、前記押出製品が中実材であって、且つ該中実材が、前記ビレットのダイス孔からの押出によって、形成されるに際して、有利には、前記ビレット温度(Tb;℃)と前記コンテナ温度(Tc;℃)とが、次式:
Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
Tb=Te−Y・[β+ln(A/E)]/(J・c・ρ)
[但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
V :ビレットの押出速度(mm/min)
J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
Te:目標製品温度(℃)
β :押出製品の形状パラメータ(無次元)
A :ビレットの断面積(mm 2
E :押出製品の断面積(mm 2
c :ビレットの比重(kg/mm 3
ρ :ビレットの比熱{kcal/(kg・℃)}
に基づいて求められることとなる。
【0018】
また、前記押出製品が中実材であって、且つ該中実材が、前記ビレットをフローガイドに流入させた後、ダイス孔に流入せしめて、押し出される場合においては、前記ビレット温度(Tb;℃)と前記コンテナ温度(Tc;℃)とが、有利には、次式:
Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
Tb=Te−Y・[A・ln(A/G)+G・ln(G/E)]
/(J・c・ρ・A)
[但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
V :ビレットの押出速度(mm/min)
J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
Te:目標製品温度(℃)
β :押出製品の形状パラメータ(無次元)
A :ビレットの断面積(mm 2
G :フローガイドの断面積(mm 2
E :押出製品の断面積(mm 2
c :ビレットの比重(kg/mm 3
ρ :ビレットの比熱{kcal/(kg・℃)}
に基づいて求められるのである。
【0019】
さらに、かかる本発明において、有利には、前記押出製品が中空材であって、該中空材が、前記ビレットをポートホールに流入させた後、ダイス孔に流入せしめて、押し出される場合においては、前記ビレット温度(Tb;℃)と前記コンテナ温度(Tc;℃)とが、次式:
Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
Tb=Te−Y・[A・ln(A/P)+P・ln(P/E)]
/(J・c・ρ・A)
[但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
V :ビレットの押出速度(mm/min)
J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
Te:目標製品温度(℃)
β :押出製品の形状パラメータ(無次元)
A :ビレットの断面積(mm 2
P :ポートホールの断面積(mm 2
E :押出製品の断面積(mm 2
c :ビレットの比重(kg/mm 3
ρ :ビレットの比熱{kcal/(kg・℃)}
に基づいて求められることとなるのである。
【0020】
このようにして、押出温度計算式だけでなく、押出力計算式も採用し、それらを連立的に解くことにより、押出製品の形状等も充分に考慮して、目標製品温度となるようなビレット温度(Tb)とコンテナ温度(Tc)とが、効果的に設定されることとなるのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0022】
先ず、図1には、本発明に従う金属材料の等温押出方法の一実施形態としての温度制御装置を備えた金属押出機のシステムの全体が、概略的に示されている。そこにおいて、金属押出機は、コンテナ10内に収容されたアルミニウム等の金属ビレット12を、その背後から、油圧シリンダ14によって駆動されるラム16の前進作動にて、ダミーブロック18を介して押圧することにより、ダイス20を通じて、所定の断面形状を有する押出製品(型材)22が、連続的に押し出され得るように構成されている。また、押出材料としてのビレット12は、ビレットヒータ24にて設定温度に加熱され、よく知られているように、コンテナ10内に収容された後、ラム16をコンテナ10内に押し込むことにより、コンテナ10内に収容されたビレット12を、コンテナ10に装着された製品形状のダイス孔を有するダイス20を通じて、目的とする形状の押出製品22が成形され得るようになっているのである。そして、そのような押出機においては、押出製品22の温度が押出中において常に一定となるようにビレットヒータ24によるビレット12の加熱温度とコンテナヒータ26によるコンテナ10の加熱温度とが、それぞれ、温度制御装置30にて調節され得るようになっているのである。なお、28は、ダイス20を支持するプラテン27に取り付けられた、ダイス出側の製品温度を検出するための、放射温度計等の温度計である。
【0023】
より具体的には、この実施形態における温度制御装置30は、押出速度(ラム速度)の如き押出条件、目標製品温度、ビレット12及び押出製品22における形状や材質等の情報を用いて、押出加工のモデルから理論的に導かれた計算式に基づいて、押出製品22の押出中の温度が常に一定となるように、ビレットヒータ24によるビレット12の加熱温度の設定値とコンテナヒータ26によるコンテナ10の加熱温度の設定値とを、それぞれ、求める演算装置を備えているのである。
【0024】
そして、そこにおいて、そのような演算装置で採用される押出力計算式としては、例えば、Siebelの押出力計算式に基づくものが、好適に採用されることとなる。このSiebelの押出力計算式では、ビレット12の断面積をA(mm 2 、ビレット12の変形抵抗をY(kgf/mm 2 、押出製品22の断面積をE(mm 2 、ビレット12とコンテナ10との間の摩擦係数をμ(無次元)、ビレット12の直径をD(mm)、ビレット12の長さ(押出開始時)をL(mm)とすれば、押出力:Fは、ダイス20の近辺におけるビレット12の変形力(Fa)を示す下記(1)式と、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形力(Fb)を示す下記(2)式との和として、下記(3)式にて表わされることとなる。
Fa=A・Y・ln(A/E) ・・・(1)
Fb=Y・π・D・μ・L ・・・(2)
F=Fa+Fb=Y・[A・ln(A/E)+π・D・μ・L]
・・・(3)
【0025】
尤も、かかるSiebelの押出式そのものを用いて押出力を計算しても、その計算値と、様々な形状の製品を押し出す実操業での押出力実測値とを一致させることは、極めて困難である。そこで、押出製品22の形状や押出形態乃至はダイス近辺におけるビレット流れ等を考慮して、押出製品22が中実材の場合で、ビレット12が直接にダイス20のダイス孔内に流入するような押出の場合(フローガイドが設けられていても、それがデッドメタル領域に存在しているときには、押出力に影響をもたらすようなことがないために、この押出の場合に含まれる)においては、下記(4)式を用い、また、後述するように、フローガイド(32)を用い、ビレット12をフローガイドからダイス20のダイス孔に流入せしめるに際し、そのようなフローガイドがデッドメタル領域からビレット流れ内に入り込んで押出力に影響をもたらすような押出形式の場合においては、下記(5)式を用い、また押出製品22が中空材の場合で、ビレット12がポートホールダイス(34)を通じてダイス20のダイス孔から、中空形態において押し出されるときには、下記(6)式を用いて、変形力:Faを計算する必要がある。また、中実材で下記(5)式を採用する場合には、下記の(7)式を用いて、フローガイド内の剪断変形力:Fgも計算されることとなる。更に、中空材の場合には、下記の(8)式を用いて、ポートホールダイス内の剪断変形力:Fpも計算される。なお、Fbについては、中実材及び中空材共に、前記(2)式が採用されることとなる。
Fa=A・Y・[β+ln(A/E)] ・・・(4)
Fa=Y・[A・ln(A/G)+G・ln(G/E)] ・・・(5)
Fa=Y・[A/ln(A/P)+P・ln(P/E)] ・・・(6)
Fg=Y・μ・Ga ・・・(7)
Fp=Y・μ・Pa ・・・(8)
【0026】
なお、上記の(4)式において、βは押出製品の形状を数値的に表わすパラメータ(無次元)であり、押出製品の周長等の関数であって、統計的に求められ、また(5)式において、Gはフローガイドのガイド孔の断面積(mm 2 であり、更に(7)式において、Gaはフローガイドのガイド孔とビレットとの接触面積(mm 2 である。加えて、上記の(6)式において、Pはポートホールダイスにおける全ポートホールの断面積(mm 2 であり、また上記(8)式において、Paは、ポートホールダイスにおける全ポートホールとビレットとの接触面積(mm 2 である。
【0027】
ここで、中実材の押出加工の模式図を図2に、また中空材の押出加工の模式図を図3に、それぞれ、示すこととする。それらの図の中、図2は、フローガイド32を介して、ビレット12の押出を行ない、目的とする中実材22aを得る例を示しており、そこでは、コンテナ10内のビレット12が、ラム16の前進による押出作用を受けて、先ずフローガイド32のガイド孔33内に流入し、次いで、ダイス20のダイス孔内に流入せしめられて、押し出されることにより、かかるダイス孔の形状に対応した形状を有する押出製品22たる中実材22aが得られるのである。なお、この中実材22aの押出において、例示の如きフローガイド32を使用しない場合があり、その場合には、ビレット12は、コンテナ10内から直接にダイス20のダイス孔内に流入せしめられて押し出され、目的とする押出製品(22a)を得ることが出来る。
【0028】
また、図3に示される中空材22bたる押出製品22の押出成形に際しては、かかる中空材22bに中空部23を形成する必要があるところから、雌ダイスとしてのダイス20と共に、雄ダイスであるポートホールダイス34が、チャンバ形成部材36を間にして組み合わせて用いられ、コンテナ10内に収容されたビレット12が、ラム16の前進による押圧作用によって、ひとまず、ポートホールダイス34のポートホール35と呼ばれる数カ所の孔に分割して流入せしめられ、更に、チャンバ形成部材36にて形成されるチャンバと呼ばれる空間に流入させられ、そして中空部分が形成されるように構成されたダイス20のダイス孔内に流入せしめられて押し出されることにより、目的とする中空部23を有する押出製品22(22b)が成形されるようになっているのである。
【0029】
そうすると、前記した押出力:Fの計算式たる(3)式に対して、押出製品22の形状に応じて、上記の変形力(Fa)を表わす(4)式〜(6)式を代入することにより、Siebelの押出力計算式に基づく実際の押出力計算式は、中実材22aの場合にあっては、下記(9)式または(10)式、中空材22bの場合にあっては、下記(11)式にて表わすことが出来る。
Figure 0003654834
【0030】
一方、図1に示される如き温度制御装置30において設けられた演算装置で採用される中実材の押出温度計算式としては、例えば、次式によって表わされる、押出時の熱量移動のモデルに基づく製品温度計算式が、好適に採用されることとなる。
中実材の押出製品の熱量=(ビレットの熱量)+(ダイス付近の変形による発生熱量)+(ビレットとコンテナとの間の剪断変形による発生熱量)−(ビレットからコンテナへの流出熱量)−(ビレットからダイスへの流出熱量)−(ビレットからダミーブロックへの流出熱量)
【0031】
ここにおいて、押出中における製品温度の変化に対して、上式の項目のうちで、ビレット12とコンテナ10間の剪断変形による発生熱量と、ビレット12からコンテナ10への流出熱量が及ぼす影響が最も大きい。例えば、ラム速度が比較的速い場合等には、押出中にビレット12とコンテナ10間の剪断変形による発生熱量が蓄積されていくところから、押出中にビレット温度が増加していき、その結果、ダイス孔を通過した後の製品温度も押出中に増加してしまうのである。また、逆に、ラム速度が比較的遅くて、ビレット12とコンテナ10間の剪断変形による発生熱量が少なく、ビレット12の加熱温度がコンテナ10の温度よりも高い場合等には、押出中にビレット12からコンテナ10へ熱量が流出して、押出中にビレット温度が低下していき、その結果、ダイス孔を通過した後の製品温度も低下してしまうのである。
【0032】
また、コンテナ10の熱容量に比べて、ダイス20とダミーブロック18の熱容量は小さく、押出中にビレット温度に近付くようになる。従って、ダイス20とダミーブロック18への熱伝達も考慮して、より正確な温度計算をする場合には、ビレット12の領域を分割し、各領域毎の熱伝導も考慮した計算を行なう必要があるが、トラブルによる装置の停止等で、ダイス20やダミーブロック18が著しく低い温度になっていない限りにおいて、ダイス20やダミーブロック18への流出熱量は省略しても、出側製品温度が一定となるビレット温度の計算には、支障はないのである。
【0033】
そうすると、前記した押出時の熱量移動のモデルに基づく製品温度計算式は、下式の如くなり、そのような式に基づいて、押出中の製品温度を一定とするようなビレット温度が、計算により、求められ得るのである。
中実材の押出製品の熱量=(ビレットの熱量)+(ダイス付近の変形による発生熱量)+(ビレットとコンテナとの間の剪断変形による発生熱量)−(ビレットからコンテナへの流出熱量)
【0034】
ところで、ダイス孔付近で加工発熱により高温になるメタルは、次々にダイス20のダイス孔から押し出されて、流失していくところから、ダイス20付近の発生熱量のビレット12後方への熱伝導は殆ど無視することが出来ることが、シミュレーションの結果から判明しており、そのために、上式において、押出中のビレット温度が一定となる条件は、コンテナ10とビレット12との間の剪断変形による発熱量が、ビレット12からコンテナ10への流出熱量に等しい場合であり、そしてその場合においては、上記の押出製品温度計算式は、下式の如くなる。
押出製品の熱量=(ビレットの熱量)+(ダイス付近の押出仕事による発生熱量)
【0035】
ここで、ビレット温度は、一定となるために、材料の変形抵抗が一定となるところから、ダイス20付近の押出仕事による発生熱量も一定となるのであり、その結果、押出製品22の温度も一定値となるのである。
【0036】
また、コンテナ10とビレット12との間の剪断変形による発熱量:Qmは、熱の仕事当量をJ(kgf・mm/kcal)とすれば、下記(12)式にて表わされる。
Qm=Fb・(L/4)/J ・・・(12)
【0037】
そして、この(12)式に対して、前記(2)式にて規定されるFb値を代入することにより、下式(13)の如く表わすことが出来る。
Qm=Y・π・D・μ・L・(L/4)/J ・・・(13)
【0038】
ここにおいて、ビレット12から、その加熱温度よりも低い温度に維持されているコンテナ10への流出熱量:Qcは、ビレット温度をTb(℃)、コンテナ温度をTc(℃)、ビレット12とコンテナ10との間の熱伝達率をh[kcal/(mm 2 ・min・℃)]、ラム16の駆動速度(押出速度)をV(mm/min)とすれば、熱伝達率(h)と、ビレットとコンテナの温度差(Tb−Tc)と、押出時間(=ビレット長さ/ラム速度=L/V)と、ビレットとコンテナの接触面積との積として考えられ、以下の(14)式にて表わすことが出来る。なお、ここで、ビレットとコンテナの接触面積は、ビレットが短くなるにつれて減少するところから、ビレット周長にビレットの平均長さ:L/2を乗算した値としている。
Qc=h・(Tb−Tc)・L/V・D・π・(L/2)・・・(14)
【0039】
そうすると、押出中の押出製品22の温度を一定とするには、上記の発熱量:Qmと、流出熱量:Qcとが等しければよいところから、上記の(13)式と(14)式より、下記の(15)式を導くことが出来るのである。
Y・π・D・μ・L・(L/4)/J=h・(Tb−Tc)・L/V・D・π・(L/2) ・・・(15)
【0040】
そして、かかる(15)式を整理することにより、押出中の製品温度を一定とするビレット温度は、以下のような(16)式にて求められ得るのである。
Tb=Y・μ・V/(2・J・h)+Tc ・・・(16)
【0041】
また、押出中の製品温度を一定に維持しつつ、更に製品温度を目標温度と為す場合にあっては、上記したコンテナ10とビレット12との間の剪断変形による発熱量とビレット12からコンテナ10への流出熱量とが等しくなる関係を満たした上で、更に、押出製品22の目標製品温度の熱量が、ビレット12の熱量とダイス20付近の変形による発生熱量との和に等しくなるように、計算にて求められるビレット温度を採用する必要があるのであり、またそのようにして計算されたビレット温度に基づいて、前記の関係より、コンテナ温度を調整(設定)する必要があるのである。
【0042】
具体的には、例えば、押出製品22が中実材22aの場合で、Faとして、前記(4)式を使用したとき(フローガイドを用いることなく、ビレットを直接にダイスのダイス孔から押し出す場合、及びフローガイドを用いても、それがデッドメタル領域に存在して、押出力に影響をもたらすことなく、押出が行なわれる場合)、ビレット12の比重をc(kg/mm 3 、ビレット12の比熱をρ[kcal/(kg・℃)]、目標製品温度をTe(℃)とすると、目標製品温度となるビレット温度計算式は、下記の(17)式となる。
c・ρ・A・L・Te=c・ρ・A・L・Tb+Y・A・
[β+ln(A/E)]・L/J ・・・(17)
【0043】
従って、かかる(17)式を整理することにより、ビレット温度(Tb;℃)は、以下の(18)式にて表わされることとなるのである。
Tb=Te−Y・[β+ln(A/E)]/(J・c・ρ)
・・・(18)
【0044】
また、押出製品22が、中実材22aの場合であっても、その押出に際して、図2に示される如きフローガイド32を用いて、その押出を行なう場合(フローガイドがデッドメタル領域からビレット流れの中に入り込み、押出力に影響を与える)にあっては、Faとしては、前記(5)式を用いる必要があり、その場合にあっては、前記(17)式は、下記の(19)式となり、また前記(18)は、下記の(20)式となって、ビレット温度は、そのような(20)式にて、求められることとなる。
Figure 0003654834
【0045】
さらに、押出製品22が、図3に示される如きポートホールダイス34を用いた押出手法にて、中空材22bを得る場合にあっては、Faとしては、前記(6)式を用いて、目標製品温度となるビレット温度計算式は、下記の(21)式にて表わされ、そしてそれを整理することによって、ビレット温度(Tb;℃)は、下記の(22)式にて求められるのである。
c・ρ・A・L・Te=c・ρ・A・L・Tb+Y・[A・ln(A/P)
+P・ln(P/E)]・L/J・・・(21)
Tb=Te−Y・[A・ln(A/P)+P・ln(P/E)]
/(J・c・ρ・A) ・・・(22)
【0046】
なお、温度制御装置30における演算装置で採用される中空材22bの押出温度計算式としては、例えば、下式によって表わされる、押出時の熱量移動のモデルに基づく製品温度計算式が、好適に採用されることとなる。
中空材たる押出製品の熱量=(ビレットの熱量)+(ビレットがポートホール内からダイス孔へ流入する際に発生する変形による発生熱量)+(ビレットとコンテナ間の剪断変形による発生熱量)−(ビレットからコンテナへの流出熱量)−(ビレットからダイスへの流出熱量)−(ビレットからダミーブロックへの流出熱量)+(ポートホール内の剪断変形による発生熱量)−(ビレットからポートホールへの流出熱量)+(ビレットがコンテナ内からポートホールへ流入する際に発生する変形による発生熱量)
【0047】
そして、かかる計算項目のうち、押出中の製品温度変化に大きく影響するものは、前記した中実材22aの場合と同じく、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形による発生熱量とビレット12からコンテナ10への流出熱量であるところから、押出中の製品温度を一定とするビレット温度の計算式は、前記した中実材の場合と同様に、前記の(16)式を使用すればよいのである。
【0048】
ところで、中空材22bの場合において、目標製品温度となるビレット温度の計算は、分割モデルを利用すれば可能であるが、中空材の製品温度レベルをビレット温度設定値を変化させて制御することは、困難であることが、分割モデルによるシミュレーションにおいても、また実機押出機によるテストでも、明らかとなっている。
【0049】
要するに、中空材22bの場合、ビレット12がポートホール(34)を通過した後、ダイス孔を通過する二段階の加工となるのであり、ビレット12がポートホール(34)を通過する際に、ポートホール(34)との熱伝達により、ビレット12の温度が、ポートホール温度と略同等になる。従って、中実材22aの場合と比較すると、ダイス孔流入前のビレット温度が、各製品間で差が少ない、つまり、中空材で製品温度を変化させるためには、中実材に比べて、大きくビレット温度を変化させる必要があるのである。そして、そのためには、押出機の余力が大きくなければ不可能であって、且つ押出中にビレット温度が変化しないように、各製品毎にコンテナ温度を大きく変化させる必要があるのであり、実用的ではないのである。逆に、中空材の場合は、ビレット温度を制御しなくても、略一定の製品温度を得ることが出来るとも言うことが出来る。従って、中空材の場合には、押出中に製品温度が一定となるビレット温度の設定のみ行ない、製品温度レベルを変化させる場合には、ダイス冷却等の方法を採用することも可能である。
【0050】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、本発明が、上述した具体的な記載、及び以下に記述する実施例によって、何等限定的に解釈されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた形態において実施され得るものであり、またそのような実施形態が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【0051】
例えば、押出製品22たる中実材22aの製品温度が押出中に常に一定となるビレット温度の計算式は、前記(15)式が用いられているが、ビレット12の領域を数個に分けた分割モデルや、有限要素法(FEM)等による詳細なモデル計算を用いて、コンテナ10とビレット12との間の剪断変形による発熱量とビレット12からコンテナ10への流出熱量とが等しくなるように計算して、ビレット温度条件を求めるようにすることも可能である。
【0052】
また、ビレット12の領域を数個に分けた分割モデルや、有限要素法(FEM)等による詳細なモデル計算を用いて、単純な温度計算モデルでは考慮するのが困難であった、ビレット12からダイス20への流出熱量、ビレット12からダミーブロック18への流出熱量等を計算項に入れるようにすることも、可能である。
【0053】
以上のように、本発明にあっては、所定の計算式に基づいて、ダイス出側、具体的には押出機プラテン出側の製品温度が一定となるようにビレット温度やコンテナ温度を算出し、そしてそのような温度に、ビレット12やコンテナ10を設定して、押出を行なうことにより、得られる押出製品22の長手方向(押出方向)における強度等の機械的性質の変動を効果的に抑制して、その品質を高度に、安定して維持せしめ得ることとなったのであり、また、そのような押出製品22の等温押出によって、ビレット12から作用するダイス荷重を一定に保持することが出来、更にそれによって、押出製品22の寸法精度も著しく向上せしめられ得ることとなったのであって、そこに、本発明の特徴的な技術的意義が存するのであるが、それら本発明の特徴的な作用・効果は、また、以下の実施例からも明らかなところである。
【0054】
実 施 例
前記した図1に示される如き温度制御システムを有し、且つ前記(9)式、(10)式、(11)式で示される押出力計算式と、前記(16)式、(18)式で示される押出温度計算式を採用する演算装置を有する温度制御装置30を用いて、実際に、アルミニウムビレットの押出加工を行ない、目的とする中実材22aを得た。そして、この押出加工に際しての製品温度とラム速度と押出力の実測値を、図4に、またコンテナ10への挿入前(ビレットヒータ24にて加熱後)のビレット12の温度の実測値を、図5に、それぞれ示した。
【0055】
一方、比較例として実施された、同様なアルミニウムビレットを用いて、同様な押出製品を、同じ押出機を用いて押出加工する従来法において、その押出加工された製品温度と製品速度の実測値を、図6に、またコンテナ10への挿入前のテーパ加熱されたビレット温度の実測値を、図7に、それぞれ示した。
【0056】
そして、それらの図の対比から明らかなように、従来のテーパ加熱されたビレット12を用いた押出加工では、押出中に、製品温度が約8℃低下しているのに対して、本発明手法によれば、押出中の製品温度の低下は、2℃以下に止まり、略一定に制御され得ていることを認めることが出来る。また、ラム速度に関しては、従来手法では、製品温度の上限等で速度が規定され、390mm/minであったものが、本発明手法に従えば、製品温度レベルも下がり、そのため製品速度を770mm/minまで増加させることが出来、押出効率の大幅な向上を達成し得ることが認められる。
【0057】
また、ビレット温度は、図7に示されるような従来の500℃のテーパ加熱から、本発明手法にあっては、図5に示されるように、480℃の均熱加熱となるのであり、そこでは、ビレット温度の設定温度自体は下がっているものの、480℃均熱加熱ビレットは、従来の500℃テーパ加熱ビレットと比較して、ビレット後部の温度が高いところから、結果として、最大押出ラム圧力は、共に、約270kgf/cm2 と、殆ど変わっていない。つまり、ビレット温度を従来設定値よりも下げて且つ押出ラム速度を上昇させても、押出力は増加せず、しかも製品温度は一定となり、製品温度の最大値も、従来より下がっていることが認められるのである。従って、本発明方法によれば、押出能率の向上と等温押出が同時に実現された理想的な押出となっていることが認められる。
【0058】
さらに、かくの如き二つの手法に従って押出加工された中実材からなる押出製品22の強度について、その長手方向(押出方向)において、それぞれ調査したところ、テーパ加熱ビレットを用いた比較例としての従来法に従う押出手法にあっては、図8に示されるように、押出中の製品強度が大きく変化しているのである。これに対して、本発明に従って、均熱加熱のビレット12を用いて、押出中の製品温度を一定に制御して得られた押出製品の強度は、図9に示されるように、押出中、略一定値に制御されていることが認められ、品質が高度に安定した製品となっていることを認めた。
【0059】
そして、上記の本発明に従う等温押出条件と比較例のテーパ加熱押出条件とを採用した場合におけるダイス荷重について、それぞれ、シミュレーションした結果、本発明に従う等温押出条件を採用した場合にあっては、ダイス荷重は一定となるのに対して、比較例のテーパ加熱押出条件を採用した場合にあっては、押出しが進むに従って、ダイス荷重が上昇するようになることを認めた。また、そのようなシミュレーション結果に基づき、平板(幅:30mm、厚さ:4mm)の等温押出とテーパ加熱押出実験を行ない、その長手方向における板幅を測定し、その結果を図10(a)及び(b)に示すが、本発明に従う等温押出手法を採用した場合にあっては、押出板材の板幅変化は、0.025mmであったのに対して、従来のテーパ加熱押出手法にて得られたものにあっては、板幅変化は0.053mmとなり、大きな長手方向における板幅変化を示し、寸法精度が悪化することを認めた。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う金属材料の等温押出方法によれば、ダイス出側の押出製品温度が、押出工程中において一定の温度に効果的に維持され得て、押出加工中において製品温度が変化しないようにされ、以てかかる押出製品の長手方向(押出方向)における強度等の機械的性質の変動が有利に抑制され得て、その品質を高度に且つ安定して維持し得ることが出来るのであり、また、寸法精度のバラツキも効果的に抑制され得た押出製品を有利に得ることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての温度制御装置を備えた押出システムの全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】中実材の押出加工の状態を示す要部断面説明図である。
【図3】中空材の押出加工の状態を示す要部断面説明図である。
【図4】実施例において得られた、本発明方法における製品温度とラム速度と押出力の実測値を示すグラフである。
【図5】実施例において得られた、本発明方法におけるコンテナ挿入前のビレット長さ方向におけるビレット温度の実測値を示す図である。
【図6】実施例において得られた、比較例である従来の押出加工手法を採用した場合における製品温度と製品速度の実測値を示すグラフである。
【図7】実施例において得られた、従来の押出加工手法におけるコンテナ挿入前のビレット長手方向におけるビレット温度の実測値を示す図である。
【図8】実施例において得られた、従来の押出加工手法における製品の強度分布を示す図である。
【図9】実施例において得られた、本発明方法に従う製品の強度分布を示す図である。
【図10】実施例において得られた、押出長さと板幅との関係を示す図であって、(a)は本発明に従う押出製品の板幅の変動を示す図であり、(b)は従来の方法によって得られた押出製品の板幅の変動を示す図である。
【符合の説明】
10 コンテナ 12 ビレット
14 油圧シリンダ 16 ラム
18 ダミーブロック 20 ダイス
22 押出製品 22a 中実材
22b 中空材 24 ビレットヒータ
26 コンテナヒータ 27 プラテン
28 温度計 30 温度制御装置
32 フローガイド 33 ガイド孔
34 ポートホールダイス 35 ポートホール
36 チャンバ形成部材

Claims (6)

  1. コンテナ内に収容した金属ビレットを、ダイス出側の押出製品温度が一定となるように、ダイスを通じて等速にて押し出す方法にして、
    前記金属ビレットとして、軸方向及び径方向における温度が均一となるように加熱された均熱加熱ビレットを用いる一方、理論モデルから導かれる押出力計算式と押出温度計算式に基づいて、コンテナとビレットとの間の剪断変形による発生熱量とビレットからコンテナへの流出熱量とが等しくなるように、前記ビレットの加熱温度を設定して、前記コンテナ内に収容せしめることにより、ダイス出側の押出製品温度を一定と為し、押出加工中において該製品温度が変化しないようにしたことを特徴とする金属材料の等温押出方法。
  2. 前記ビレット温度(Tb;℃)が、次式:
    Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
    [但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
    μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
    V :ビレットの押出速度(mm/min)
    J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
    h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
    Tc:コンテナ温度(℃)
    に基づいて求められる請求項1に記載の金属材料の等温押出方法。
  3. コンテナ内に収容した金属ビレットを、ダイス出側の押出製品温度が一定となるように、ダイスを通じて等速にて押し出す方法にして、
    前記金属ビレットとして、軸方向及び径方向における温度が均一となるように加熱された均熱加熱ビレットを用いる一方、理論モデルから導かれる押出力計算式と押出温度計算式に基づいて、コンテナとビレットとの間の剪断変形による発生熱量とビレットからコンテナへの流出熱量とが等しくなるように、且つ押出製品の熱量がビレットの熱量とダイス付近の押出仕事による発生熱量との和に等しくなるように、前記コンテナ内に収容されるビレットの加熱温度と該コンテナの温度とを設定することにより、ダイス出側の押出製品温度を目標とする一定の温度と為し、押出加工中において該製品温度が変化しないようにしたことを特徴とする金属材料の等温押出方法。
  4. 前記押出製品が中実材であって、且つ該中実材が、前記ビレットのダイス孔からの押出によって、形成されるに際して、前記ビレット温度(Tb;℃)と前記コンテナ温度(Tc;℃)とが、次式:
    Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
    Tb=Te−Y・[β+ln(A/E)]/(J・c・ρ)
    [但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
    μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
    V :ビレットの押出速度(mm/min)
    J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
    h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
    Te:目標製品温度(℃)
    β :押出製品の形状パラメータ(無次元)
    A :ビレットの断面積(mm 2
    E :押出製品の断面積(mm 2
    c :ビレットの比重(kg/mm 3
    ρ :ビレットの比熱{kcal/(kg・℃)}
    に基づいて求められる請求項3に記載の金属材料の等温押出方法。
  5. 前記押出製品が中実材であって、且つ該中実材が、前記ビレットをフローガイドに流入させた後、ダイス孔に流入せしめて、押し出される場合において、前記ビレット温度(Tb;℃)と前記コンテナ温度(Tc;℃)とが、次式:
    Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
    Tb=Te−Y・[A・ln(A/G)+G・ln(G/E)]
    /(J・c・ρ・A)
    [但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
    μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
    V :ビレットの押出速度(mm/min)
    J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
    h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
    Te:目標製品温度(℃)
    β :押出製品の形状パラメータ(無次元)
    A :ビレットの断面積(mm 2
    G :フローガイドの断面積(mm 2
    E :押出製品の断面積(mm 2
    c :ビレットの比重(kg/mm 3
    ρ :ビレットの比熱{kcal/(kg・℃)}
    に基づいて求められる請求項3に記載の金属材料の等温押出方法。
  6. 前記押出製品が中空材であって、該中空材が、前記ビレットをポートホールに流入させた後、ダイス孔に流入せしめて、押し出される場合において、前記ビレット温度(Tb;℃)と前記コンテナ温度(Tc;℃)とが、次式:
    Tb=Y・μ・V/(2J・h)+Tc
    Tb=Te−Y・[A・ln(A/P)+P・ln(P/E)]
    /(J・c・ρ・A)
    [但し、Y :ビレットの変形抵抗(kgf/mm 2
    μ :ビレットとコンテナとの間の摩擦係数(無次元)
    V :ビレットの押出速度(mm/min)
    J :熱の仕事当量(kgf・mm/kcal)
    h :ビレットとコンテナとの間の熱伝達率{kcal/(mm 2 ・min・ ℃)}
    Te:目標製品温度(℃)
    β :押出製品の形状パラメータ(無次元)
    A :ビレットの断面積(mm 2
    P :ポートホールの断面積(mm 2
    E :押出製品の断面積(mm 2
    c :ビレットの比重(kg/mm 3
    ρ :ビレットの比熱{kcal/(kg・℃)}
    に基づいて求められる請求項3に記載の金属材料の等温押出方法。
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