JP4642481B2 - 金属材料の押出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム若しくはその合金等の金属材料の押出方法に係り、特に、ビレット温度とコンテナ温度とラム速度とを制御して、ダイスから押し出される押出製品の温度が一定となるようにすることによって、かかる押出製品の品質を、高度に、且つ安定して維持することの出来る等温押出方法に関するものである。
従来から、アルミニウム等の金属材料(ビレット)をダイスから押し出して、所望の断面形状とした押出製品が、各種の用途において用いられてきているが、そのような金属材料の押出加工においては、ダイス出側となる押出機プラテン出側の製品温度が、その押出方向たる長手方向において変化して、温度差が生じてしまうことが認められている。例えば、均一に加熱した金属ビレットを用いて押出加工を行なった場合において、その押出が進むにつれて、ダイス出側の製品温度が上昇するようになることが多いのである。これは、押出加工中に、コンテナ内に収容されたビレットに対して押出のための圧力がラムを介して加えられることによって惹起される加工発熱が蓄熱されるためであり、そして、押出工程の後半になる程、その蓄熱量が多くなるところから、プラテン出側(ダイス出側)の製品温度も、押出が進むにつれて上昇するようになる。
そこで、従来においては、かかる押出加工のために、コンテナ内に収容されるビレットの加熱に際して、誘導加熱炉等を用いて、ビレットの押出方向における後部側(ラム側)の温度を前部側(ダイス側)の温度よりも予め低く加熱するテーパ加熱手法を採用して、ビレット温度がダイス側からラム側に向かって漸次低下する傾斜温度パターンを、ビレットに付与することにより、押出工程中の製品温度の上昇を抑制するという手段が、広く採用されてきているのである。
しかしながら、そのような押出加工中のダイス出側の製品温度の上昇を抑えるためにテーパ加熱したビレットを用いても、ビレットの前部と後部の温度差(テーパ量)は、ビレットの100mm長当たり10℃といったように一律に決められていることが多く、各押出条件に応じたビレット温度分布(テーパ量)が与えられていないために、実際には、押出中に製品温度が上昇する場合や減少する場合が殆どであり、押出工程中の製品温度が常に一定になるような等温押出となることは、稀なことであった。
尤も、各製品に応じて最適なテーパ量を設定して、テーパ加熱したビレットを用いることにより、押出製品温度が等温となるようにする手法も考えられるのではあるが、ビレットのテーパ加熱に際して、そのテーパ量を自在に設定することは、技術的に難しく、また、誘導加熱ビレットヒータ等を用いてテーパ量を最適値にしたとしても、加熱直後から、ビレットが搬送されて、コンテナ内に挿入されるまでの経過時間により、ビレット内の熱伝導によって、そのテーパ量が減少してしまうこともあるところから、このテーパ量による製品温度調節には、大きな困難が内在しているのである。
また、かかるテーパ加熱ビレットを使用することによって、ビレット後部の温度が前部の設定温度よりも著しく低くなり、ビレットとコンテナとの間の剪断変形抵抗が増大するようになるところから、同じ設定温度(同じビレット前部加熱温度)の均一加熱のビレットよりも、テーパ加熱ビレットを用いる方が、最大押出力が高くなってしまい、押出機の能力が不足する場合も生じ、そしてそのような場合にあっては、ビレットの加熱温度を高く設定する必要があり、その結果、製品温度が上昇するのを防ぐために、押出速度を減少させなければならず、押出能率が低下する等といった弊害もある。
さらに、そのようなテーパ加熱ビレットを用いる場合には、押出工程中のコンテナ内のダイス近辺のビレット温度が一定となり難く、ダイス面に加わる圧力が押出工程中に変化して、ダイスの撓み量が変化し、以てダイス孔の断面積が変化することにより、得られる押出製品の寸法が押出工程中に変化してしまうという問題も内在するものであった。
一方、均一に加熱されたビレットを用いた押出加工において、その押出が進むにつれて、製品温度が上昇するという問題を解決する手段として、押出加工中の押出速度を変化させる手法の採用も考えることが出来る。一定速度で押出を行なった場合には、製品温度が上昇するようになるところから、押出が進むにつれて押出速度を下げて、加工発熱量を減少せしめ、以て等温押出加工を実現しようとする考え方である。しかしながら、そのような手法では、押出速度が一定でないところから、押出製品の表面性状、例えば光沢等が変化したり、ダイス面圧が変化して、押出製品の長手方向における寸法誤差が大きくなったりする等の問題があり、実用上、採用することの出来る手法と考えることは出来ない。
ところで、特開2002−192222号公報等には、押出温度制御の一つの手法が提案されている。具体的には、金属押出機において、軸方向および径方向における温度が均一となるよう加熱された均一加熱ビレットを用いる一方、理論モデルから導かれる押出力計算式と押出温度計算式に基づいて、コンテナとビレット間のせん断変形による発生熱量と、ビレットからコンテナへの流出熱量とが等しくなるように、ビレットの加熱温度とコンテナ温度と押出速度が設定されているのである。
しかしながら、かかる特開2002−192222号公報等において採用されている計算モデルは複雑なものであって、そこでは、材料の変形抵抗、押出材料から工具への熱伝達率等の計算式に用いられる変数を、各材料、各押出機毎に調べる必要があり、目的とする等温押出加工を実現するには、多くの基礎実験が必要となる、等といった問題が内在している。
特開2002−192222号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、金属材料の押出加工に際して、押出中のダイス出側の押出製品の温度が、押出工程中において常に一定となるように、押出機における押出条件を簡単に設定することの出来る手法を提供することにあり、また、他の解決課題とするところは、押出製品の品質を、その押出方向である長手方向において、高度に且つ安定して維持することの出来る手法を提供することにある。
そして、そのような課題を解決するために、本発明にあっては、コンテナ内に収容した金属ビレットを、ラムを介しての圧力の作用によって、ダイス出側の押出製品温度が一定となるように、ダイスを通じて押し出すに際し、前記金属ビレットとして、コンテナ挿入直前の軸方向及び径方向における温度が、それぞれ、設定温度の±20℃以内となるように、加熱されたビレットを用いる一方、ラム速度、コンテナ温度、ビレット温度の3つの押出条件を変数とした計算式を解くことにより、押出中の製品温度が常に一定温度となるようなビレット温度、コンテナ温度、ラム速度を設定して、押出加工操作を実施することにより、ダイス出側の押出製品温度を一定と為し、押出加工中において、該製品温度が変化しないようにしたのである。
要するに、かくの如き本発明に従う金属材料の等温押出方法においては、前記計算式として、次式(1):
Tb=α×Vβ+Tc ・・・(1)
[但し、Tb:ビレット温度(℃)
V:ラム速度(mm/sec)
Tc:コンテナ温度(℃)
α、β:補正係数]
が採用されるのであり、この計算式を解くことによって、例えば、ビレット温度(Tb)が求められることとなる。そして、このようにして求められたビレット温度(Tb)を用いて加熱制御されたビレットをコンテナに挿入して、押出加工を行うことにより、目的とする押出製品の温度をより一層有利に一定と為し得ることとなるのである。
従って、このような本発明手法によれば、複雑な計算を行うための制御システムを構築することなく、簡単な計算により、または、その簡単な計算を行う演算装置によって、押出中の製品温度が常に一定となるようなビレット温度設定値を求めることが出来るのであり、その結果、作業者の技量によることなく、常に高品質の押出製品を得ることが出来るのである。
なお、かかる本発明手法においては、等温押出条件となるビレット温度だけを求めることが出来るというわけではなく、ビレット温度、コンテナ温度、及びラム速度のうち、二つの条件を決めた後、等温押出とするための残りの一つの条件を求めることが出来るというものである。従って、何等かの理由で、ビレット温度設定値とラム速度が固定値となる場合には、コンテナ温度を制御して、等温押出を実現することとなるのである。また、ビレット温度とコンテナ温度とが固定値となる場合には、ラム速度を制御して、等温押出を実現するようにするのである。
ところで、この本発明に従う金属材料の等温押出方法の好ましい態様の一つによれば、前記(1)式における補正係数:α、βは、それぞれ、ダイス出側の押出製品温度の実測値に基づいて、演算装置により自動的に調節されることが望ましく、これによって、本発明の目的が、より一層よく達成され得ることとなる。
かかる本発明に従う金属材料の等温押出方法によれば、ダイス出側の押出製品温度が、押出工程中において一定の温度に効果的に維持され得て、押出加工中において製品温度が変化しないようにされ、以て、かかる押出製品の長手方向(押出方向)における強度等の機械的性質の変動が有利に抑制され得て、その品質を、高度に、且つ安定して維持することが出来る等という特徴が発揮され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う金属材料の等温押出方法の一実施形態としての金属押出機のシステムの全体が、概略的に示されている。そこにおいて、金属押出機は、コンテナ10内に収容されたアルミニウム若しくはその合金等の金属ビレット12を、その背後から、油圧シリンダ14によって駆動されるラム16の前進作動にて、ダミーブロック18を介して押圧することにより、ダイス20を通じて、所定の断面形状を有する押出製品(形材)22が、連続的に押し出され得るように構成されている。また、押出材料としてのビレット12は、ビレットヒータ24にて、所定の設定温度に加熱され、よく知られているように、コンテナ10内に収容された後、ラム16をコンテナ10内に押し込むことにより、コンテナ10内に収容されたビレット12を、コンテナ10に装着された、製品形状のダイス孔を有するダイス20を通じて、目的とする形状の押出製品22が成形され得るようになっているのである。更に、ここで用いられるビレット12は、コンテナ10挿入直前において、その軸方向及び径方向における温度が設定温度の±20℃以内となるように加熱されてなる、軸方向及び径方向における温度が一定となるように加熱された均熱加熱ビレットである。
そして、このような金属押出機においては、押出製品22の温度が押出工程中において常に一定となるように、ビレットヒータ24によるビレット12の加熱温度(Tb:℃)と、コンテナヒータ26によるコンテナ10の加熱温度(Tc:℃)と、油圧シリンダ14によって駆動されるラム16の速度(V:mm/sec)とが、前記(1)式によって決定され、また、それらが適当な制御手段を用いて制御せしめられ得るようになっているのである。なお、ダイス20を支持するプラテン32の出側には、ダイス20から押し出される押出製品22の製品温度を検出するための、放射温度計等の温度計34が設置されており、この温度計34による出側製品温度実測値に基づいて、前記(1)式における補正係数:αとβの値が、調節され得るようになっている。
また、ここでは、等温押出条件となる、ビレット温度(Tb)、ラム速度(V)、及びコンテナ温度(Tc)を決定する前記(1)式の計算を行う演算機能を有する制御装置30が設けられており、この制御装置30によって、それぞれの設定値となるように、ビレット12の加熱温度、ラム16による押出速度(ラム速度)、コンテナ10の温度が制御されて、目的とする等温押出しが実現され得るようになっているのである。なお、このような制御装置30における演算に代えて、前記(1)式の計算を手計算で行い、手動設定して、制御装置30による制御を実行することも可能である。
ここにおいて、本発明に従って等温押出条件を決定する上記(1)式を求めるに際しては、先ず、出側製品温度計算式として、例えば、次式によって表される押出し時の熱量移動のモデルに基づく計算式が、好適に採用されることとなるのである。
出側製品の熱量=(ビレットの熱量)
+(ダイス付近の変形による発生熱量)
+(ビレットとコンテナとの間の剪断変形による発生熱量)
−(ビレットからコンテナへの流出熱量)
ところで、押出工程中における出側製品温度の変化に対しては、上式における項目のうち、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形による発生熱量と、ビレット12からコンテナ10への流出熱量とが及ぼす影響が最も大きいのである。例えば、ラム速度が比較的速い場合等には、押出工程中に、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形による発生熱量が蓄積されていくことから、押出工程中にビレット温度が増加するようになるのであり、その結果、ダイス孔を通過した後の製品温度も、押出工程中に増加してしまうのである。また、逆に、ラム速度が比較的遅くて、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形による発生熱量が少なく、ビレット12の加熱温度がコンテナ温度よりも高い場合等には、押出工程中に、ビレット12からコンテナ10へ熱量が流出して、押出工程中にビレット温度が低下していき、その結果、ダイス孔を通過した後の製品温度も低下してしまうのである。
また、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形による発生熱量に最も影響を及ぼす押出条件は、ラム速度であり、このラム速度が速い程、剪断変形による発生熱量が増加するようになる。更に、ビレット12からコンテナ10への流出熱量に影響を及ぼす押出条件は、ビレット温度とコンテナ温度の温度差であり、コンテナ温度がビレット温度よりも低い程、ビレット12からコンテナ10への流出熱量が増加することとなる。
従って、ビレット温度とコンテナ温度との温度差が決まっておれば、ビレット12からコンテナ10への流出熱量が決まることとなる。この流出熱量と同等の熱量がビレット12とコンテナ10との間の剪断変形により発生するような、ラム速度にて押出加工を行うこととするならば、両者の熱量がバランスされ、結果として、コンテナ10内のビレット温度は変化することなく、押出加工を行うことが出来ることとなる。その結果、ダイス孔に流入する材料温度が一定となり、従って、ダイス孔を通過した後の製品温度も一定となるのである。そうすると、(ビレットとコンテナとの間の剪断変形による発生熱量)=(ビレットからコンテナへの流出熱量)となるように、ビレット温度等の押出条件を設定すれば、等温押出が可能となるのである。
ところで、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形力:Fは、押出し力計算式の一つであるSiebelの計算式を用いれば、以下の(2)式にて表されることとなる。
F=Y・π・D・μ・L ・・・(2)
[但し、Y:ビレットの変形抵抗(N/mm2
D:ビレットの直径(mm)
μ:ビレットとコンテナとの間の摩擦係数
L:ビレット長さ(mm)]
従って、ビレット12とコンテナ10との間の剪断変形による発生熱量:Q1 (N・mm)は、ビレット12の平均移動距離がL/2であることから、下記の(3)式のようになる。
Q1=F・(L/2) ・・・(3)
また、かかる(3)式に対して、前記(2)式にて規定されるF値を代入することにより、下記(4)式を導くことが出来る。
Q1=Y・π・D・μ・L・(L/2) ・・・(4)
ここにおいて、ビレット12からコンテナ10への流出熱量:Q2 (N・mm)は、ビレット12とコンテナ10との間の熱伝達率をh(KW/m2 /℃)とすると、以下の(5)式で表すことが出来る。
Q2=h・(Tb−Tc)・L/V・D・π・(L/2) ・・・(5)
そうすると、押出中の押出製品の温度を一定とするには、上記の発熱量:Q1 と流出熱量:Q2 とが等しければよいところから、上記の(4)式と(5)式より、下記の(6)式を導くことが出来るのである。
Y・π・D・μ・L・(L/2)=h・(Tb−Tc)・L/V・D・π・(L/2) ・・・(6)
そして、この(6)式を整理することにより、押出中の製品温度を一定とするビレット温度は、以下のような(7)式にて求めることが出来ることとなる。
Tb−Tc=Y・μ/h・V ・・・(7)
ところで、この(7)式から、例えばコンテナ温度Tcを固定値とすれば、等温押出し条件となるラム速度Vとビレット温度Tbが一組求まることがわかる。ただし、摩擦係数μと熱伝達係数hは定数であるが、ビレット12の熱間における変形抵抗Yは、温度とひずみ速度に依存する関数である。また、ひずみ速度はラム速度の関数となる。従って、押出し加工時の変形抵抗Yを、コンテナ10内のビレット温度とラム速度の関数として表す必要がある。しかしながら、押出し加工時のコンテナ10内のビレット12の流れは、複雑であり、ビレット12の部位により、ひずみ速度は様々であるから、あるラム速度におけるひずみ速度を求めることは、困難である。従って、変形抵抗Yをビレット温度とラム速度の関数で表すことは難しい。
ここで、押出し実験により、等温押出し条件式を算出する方法を説明する。コンテナ温度を、例えば420℃に固定する。そして、ビレット温度を、例えば440℃の均一加熱とし、ラム速度を例えば1mm/secとして、押出し加工を実施する。その時のダイス出側の製品温度を測定し、押出し中の温度変化を測定する。そして、ダイス出側の製品温度が上昇すれば、次回の押出しではラム速度を上げて、例えばラム速度2mm/secで押し出す。また逆に、ダイス出側の製品温度が減少する場合は、次回の押出しではラム速度を下げて、例えばラム速度0.5mm/secで押し出す。そして、製品温度の変化が許容範囲内に収まるまで、ラム速度の調節を繰り返す。このようにして、例えばコンテナ温度420℃、ビレット温度440℃の場合に、等温押出しが実現するラム速度条件は、3mm/secということがわかる。
次に、ビレット温度を、例えば450℃の均一加熱とし、同様に、ラム速度を調整しながら、等温押出し条件となるラム速度を特定する。その結果、例えばビレット温度450℃、コンテナ温度420℃の場合に、等温押出しが実現するラム速度は、8mm/secということがわかる。
また、ビレット温度がコンテナ温度と同じく420℃の場合は、コンテナ10内のビレット温度が一定となる条件は、ラム速度が0mm/secの場合である。
従って、コンテナ温度が420℃の場合の、等温押出し条件となる場合の、ビレット12とコンテナ10の温度差とラム速度の条件は、以下の3つを含むことがわかる。
(ビレット温度−コンテナ温度(℃),ラム速度(mm/sec))= (0,0),(20,3),(30,8)
従って,等温押出し条件となるビレット温度とコンテナ温度の差は、ラム速度の指数関数で近似する場合に、次式:
Tb-Tc=12.74×V0.41 ・・・(8)
にて表すことができる。なお、この(8)式をグラフ化したものを図2に示すが、等温条件を示す近似式は、指数関数式に限られない。例えば、図2に示す破線のように直線近似してもよい。
そして、上記の(8)式において,α=12.74、β=0.41とすれば、
Tb-Tc=α×Vβ ・・・(9)
と表すことができるのである。
ここで、上式における補正係数:α、βの値は、押出機の特性、金属材料の材質等によって異なった値をとるものであるから、各押出機、各材料種ごとに、数値を求めておく必要がある。この補正係数:α、βは、上述したように、押出実験により算出する方法と、FEMシミュレーション等による数値計算から算出する方法等がある。また、この補正係数:α、βの値を、図1に示される如き温度計34を用いて測定して得られる出側製品温度実測値に基づいて、自動的に調節する方法も、好適に採用されることとなる。なお、ここでは、0<β<1とする。
また、補正係数:α、βを出側製品温度の実測値により自動的に調節する方法においては、はじめに、かかる補正係数:α、βにデフォルトの値、例えば、α=12.74、β=0.41を入力しておき、次に、そのα、βの値に基づいて計算されたビレット温度等の押出条件で実際に押出加工を行い、その時の出側製品温度を、図1における温度計34等にて測定するのである。ラム速度が設定値に達した直後の押出初期の出側製品温度と、ラムが停止する直前の押出終期の出側製品温度との差を、演算装置30等により計算し、その数値に基づいて、補正係数:α、βの補正を行うのである。そして、出側製品温度の差が許容範囲内に収まった時のα、βの値を、材質と併せて、演算装置(制御装置30)に格納して、計算に用いるのである。なお、初めての材質を押し出す場合には、補正係数:α、βは、デフォルト値を使用するが、2回目以降の押出加工には、前回の押出加工において調整した補正係数:α、βの値が使用されることとなる。
なお、補正係数:α、βの調整を行う演算式としては、例えば、以下に示される式が採用されることとなるのである。
また、(9)式の性質上、ラム速度Vが1mm/secの時は、βの値に関わらず、αの値が決まるので、まず、ラム速度1mm/secで押し出し、出側製品温度を測定する。そして、等温押出しとなるまで、下式により、αを調整する。
補正係数αの調整を行う式:
αi=αi-1×γ
−C(℃)<ΔT<C(℃)の場合 ・・・ γ=1
−C(℃)>ΔT の場合 ・・・ γ=0.9
C(℃)<ΔT の場合 ・・・ γ=1.1
但し、ΔT:出側製品終期温度−出側製品初期温度。
C:許容される出側製品温度差で、例えばC=5℃。
γ:補正係数αの調整量であり、−C(℃)>ΔTの場合、αが現状よりも 小さくなればよく、C(℃)<ΔTの場合は、αが現状よりも大きくな ればよく、上式のみに限定されるものではない。
i:αを調整するための計算回数。
1回目の押出しはi=1であり、α1=α0×γ(α0=初期値)となる。
2回目の押出しではi=2となり、α2=α1×γとなる。
さらに、αの値が決定したあと、ラム速度1mm/sec以外の速度で押出し、出側製品温度を測定する。そして、等温押出しとなるまで、下式により、βを調整する。
補正係数βの調整を行う式:
βi=βi-1×δ
−D(℃)<ΔT<D(℃)の場合 ・・・ δ=1
−D(℃)>ΔT の場合 ・・・ δ=0.9
D(℃)<ΔT の場合 ・・・ δ=1.1
但し、ΔT:出側製品終期温度−出側製品初期温度。
D:許容される出側製品温度差で、例えばD=5℃。
δ:補正係数βの調整量であり、−D(℃)>ΔTの場合、βが現状よりも 小さくなればよく、D(℃)<ΔTの場合は、βが現状よりも大きくな ればよく、上式のみに限定されるものではない。
i:βを調整するための計算回数。
1回目の押出しはi=1であり、β1=β0×γ(β0=初期値)となる。
2回目の押出しではi=2となり、β2=β1×γとなる。
以上のように、本発明にあっては、所定の計算式に基づいて、ダイス出側、具体的には押出機プラテン出側の製品温度が一定となるように、ビレット温度やコンテナ温度、ラム速度を算出し、そしてそのような温度に、ビレット12やコンテナ10を設定して、更にラム速度を設定して、押出加工操作を実施することにより、得られる押出製品の長手方向(押出方向)における耐力等の機械的性質の変動を効果的に抑制せしめ、以て、その品質を、高度に、且つ安定して維持せしめ得ることとなったのであり、そこに、本発明の特徴的な技術的意義が存するのであるが、それら本発明の特徴的な作用・効果は、また、以下の実施例からも明らかなところである。
前記した図1に示される如き構成の金属押出機システムを用い、前記(1)式にて示される等温押出計算式にて得られる押出条件を、制御装置30にて実現しつつ、実際に、6000系アルミニウム合金からなるアルミニウムビレット12の押出加工を行い、目的とする中実材22を得た。なお、押出条件は、コンテナ温度:430℃、ビレット温度:449℃、ラム速度:9.0mm/sec、α=7.42、β=0.43であった。そして、かかる押出加工に際しての、製品温度の押出時間経過に伴う変化の実測値を、図3に示した。
一方、比較例として実施された、同様なアルミニウムビレット12を用いて、同様な押出製品を、同じ押出機を用いて、従来と同様な設定条件の下に押出加工する従来法において、得られた押出製品の製品温度の実測値の押出時間の経過に伴う変化を、図4に示した。なお、押出条件は、コンテナ温度:430℃、ビレット温度:450℃テーパー加熱、ラム速度:9.0mm/secであった。
そして、それらの図3、4の対比から明らかなように、従来の押出条件を採用した押出加工手法では、押出加工中に、製品温度が11℃も低下しているのに対して、本発明手法によれば、押出工程中の製品温度の変動は、約3℃しか無く、略一定に制御され得ていることが、認められる。
また、図5は、実施例において得られた、本発明方法における押出製品の長手方向(押出方向)における耐力値の変動を示すグラフと、比較例である従来の押出加工手法を採用した場合における押出製品の長手方向(押出方向)における耐力値の変動を示すグラフの比較である。従来の押出条件を採用した押出加工手法では、押出加工中に、耐力値の変動が7MPaもあるのに対して、本発明手法によれば、耐力値の変動は2MPaしか無く、略一定に制御され得ていることが、認められる。
本発明に従う金属材料の等温押出方法の一実施形態としての金属押出機の全体構成を概略的に示す説明図である。 本発明方法において得られた、等温押出し条件となるビレットとコンテナの温度差とラム速度の対応を示すグラフである。 実施例において得られた、本発明方法における製品温度の押出時間に対する変化を示すグラフである。 実施例において得られた、比較例である従来の押出加工手法を採用した場合における製品温度の押出時間に伴う変化を示すグラフである。 実施例において得られた、本発明方法における押出製品の長手方向(押出方向)における耐力値の変動を示すグラフと、比較例である従来の押出加工手法を採用した場合における押出製品の長手方向(押出方向)における耐力値の変動を示すグラフの比較である。
符号の説明
10 コンテナ
12 金属ビレット
14 油圧シリンダ
16 ラム
18 ダミーブロック
20 ダイス
22 押出製品
24 ビレットヒータ
26 コンテナヒータ
30 制御装置
32 プラテン
34 温度計

Claims (2)

  1. コンテナ内に収容した金属ビレットに対し、ラムを介して圧力を加えることにより、かかるビレットを、ダイス出側の押出製品温度が一定となるようにして、ダイスを通じて押し出す方法にして、
    前記金属ビレットとして、コンテナ挿入直前のビレットの軸方向及び径方向における温度が設定温度の±20℃以内に加熱されたビレットを用いる一方、かかるビレットの加熱温度(Tb:℃)とラム速度(V:mm/sec)とコンテナ温度(Tc:℃)とが、次式:
    Tb=α×Vβ+Tc(但し、α、β:補正係数)
    を満足するように設定して、押出加工操作を実施することにより、ダイス出側の押出製品温度を一定と為しつつ、押出加工中において該製品温度が変化しないようにしたことを特徴とする金属材料の押出方法。
  2. 前記式における補正係数:α、βが、それぞれ、ダイス出側の押出製品温度の実測値に基づいて、演算装置により自動的に調節される請求項1に記載の金属材料の押出方法。

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