JP3654241B2 - 位相調整回路及びそれに用いる位相調整方法 - Google Patents

位相調整回路及びそれに用いる位相調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は位相調整回路及びそれに用いる位相調整方法に関し、特に複数のVC(Virtual Container)−3が多重された信号において、複数のVC−3チャネルで構成されるバーチャルコンカチネーション(Virtual Concatenation)において、ある経由する回線の断やMFI(Multi Frame Indicator)値のビットエラー等によってMFIの同期が外れた場合の位相調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のVC−3が48チャネル多重されたSTM(Synchronous Transfer Mode)−48のフレームフォーマットを図13に示す。STM−48フレームは、監視制御系のデータを転送するためのセクションオーバヘッド110と多重されたVC−3の先頭を示すポインタ情報を格納するための領域111とペイロード114とから構成されている。
【0003】
ペイロード114には、VC−3(112−1〜112−48)が48チャネル多重され、各VC−3(112−1〜112−48)については監視制御系のデータを転送するためのパスオーバヘッド115が設けられている。
【0004】
複数のVC−3(112−1〜112−48)を1つのデータ転送領域として確保するものとして、バーチャルコンカチネーションがITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector)のG.707/G.783にて標準化されている。
【0005】
例えば、2つのVC−3をバーチャルコンカチネーションとして扱い、図14におけるノード21からノード26に転送する場合について考える。個々のVC−3は経路201と経路202とを用いて転送される場合がある。その時、経由するノード22,23,24の装置内遅延や経路長差による遅延によって、それぞれのVC−3を受信するノード26においては位相差が生じることになる。そのため、バーチャルコンカチネーションを終端するところでこの位相差を吸収する仕組みが必要となる。
【0006】
バーチャルコンカチネーションでは、上記の位相差を検出して処理を行うための仕組みとして、図15に示す各VC−3のパスオーバヘッドのH4バイトに各VC−3の順序関係を示す番号であるMFI(Multi Frame Indicator)を格納している。
【0007】
図16を用いてデータ列を二つのVC−3にマッピングして転送した場合の位相差について説明する。データ列をVC−3 #1とVC−3 #2とを用いて転送する場合、VC−3 #1に1バイト目を、VC−3 #2に2バイト目を、というようにバイト毎に交互にマッピングを行う。
【0008】
順序関係を示すMFI値については、同一のSDH(SynchronousDigital Hierarchy)フレームのVC−3については、同一のMFI値を割り振るようにする。MFI値はSDHフレーム毎に1ずつ増加していき、4095(12ビットのMFIの最大値)で0に戻る。
【0009】
これらVC−3はSDH網において、別経路を用いて転送されることがあるため、途中の遅延等によって、ノード26においてSDHフレーム内のVC−3のMFI値が異なる場合がある。図16では同一のSDHフレーム内にMFIが0と4095(最大値)とのものが存在している場合について示している。
【0010】
この例では、VC−3 #1とVC−3 #2との間に1フレーム分の位相差があることになる。このままの状態でそれぞれのVC−3から1バイトずつデータを取り出して復元したとしても、元のデータ列に戻すことができない。したがって、図17に示すように、位相が早い(VC−3 #1)ものについてはメモリ等を使用して待たせておき、位相を揃えてからデータ列を復元する必要がある。
【0011】
バーチャルコンカチネーションを用いたデータ伝送を行う場合、データ列を復元する側において位相調整を行う仕組みが必要となる。バーチャルコンカチネーションを構成するVC−3はSDH網内では個別の経路を使用することがある。
【0012】
例えば、図14における経路201,202を使用していた場合に、ノード22とノード23との間のリンク断やノード22の装置障害等によって、経路が切替わり、MFI値の連続性が失われる場合(MFI同期はずれ)がある。この場合、そのまま処理を続けると正常なデータを復元できなくなるため、位相が早いVC−3を検出して再度位相調整を行う必要がある。
【0013】
MFI値の連続性が失われた場合の位相調整を行う方法について、VC−3 #1〜VC−3 #3でバーチャルコンカチネーションが構成される場合を例に説明する。VC−3 #2のMFI値の連続性が失われたとすると、VC−3 #2についてMFI値の検出を行う。検出されたMFI値と、VC−3 #1及びVC−3 #3のMFI値から、一番早く到着しているVC−3の判定を行う。
【0014】
検出されたMFI値がVC−3 #1,VC−3 #2,VC−3 #3について、それぞれ“3”,“2”,“5”であった場合、VC−3 #3が一番早く到着していることになり、VC−3 #3については位相調整メモリへの書込みを開始する。残りのVC−3 #1,VC−3 #2については、MFI値“5”の受信を検出する。VC−3 #1,VC−3 #2それぞれにおいてMFI値“5”を受信した場合には、位相調整メモリからの読出しを開始する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の位相調整方法では、VC−3 #2のMFI値の連続性が失われた場合にも、VC−3 #1,VC−3 #3では正常なMFI値を持ったデータを受信しており、そのMFI値を使用することなく、VC−3 #2の再度検出したMFI値を使用して位相調整を行うため、MFI値の連続性が失われて、再度位相調整を行う時に位相調整が完了するまでに遅延が発生するという問題がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、高速に位相調整を完了してデータの読出しを再開することができる位相調整回路及びそれに用いる位相調整方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による位相調整回路は、バーチャルコンカチネーションによって複数のバーチャルコンテナで1つの帯域を提供するような入力データにおいて、前記複数のバーチャルコンテナにおいてその時間的な並びを管理するためのMFI(Multi Frame Indicator)値の連続性が失われた場合に位相調整を行う位相調整回路であって、MFI同期アラームが検出されていない正常なバーチャルコンテナについて位相調整メモリに書込む手段と、前記位相調整メモリ内部に書込まれたデータのMFI値を管理する手段と、再検出されたMFI値と管理しているMFI値とを用いて位相調整を行う手段とを備えている。
とを備えている。
【0018】
本発明による位相調整方法は、バーチャルコンカチネーションによって複数のバーチャルコンテナで1つの帯域を提供するような入力データにおいて、前記複数のバーチャルコンテナにおいてその時間的な並びを管理するためのMFI(Multi Frame Indicator)値の連続性が失われた場合に位相調整を行う位相調整方法であって、MFI同期アラームが検出されていない正常なバーチャルコンテナについて位相調整メモリに書込み、前記位相調整メモリ内部に書込まれたデータのMFI値を管理するとともに、再検出されたMFI値と管理しているMFI値とを用いて位相調整を行うようにしている。
【0019】
すなわち、本発明の位相調整回路は、バーチャルコンカチネーション(Virtual Concatenation)によって複数のVC(VirtualContainer)−3またはVC−4で1つの帯域を提供するような入力データにおいて、バーチャルコンカチネーションを構成するあるVC−3においてMFI(Multi Frame Indicator)値の連続性が失われた場合(MFI同期はずれ)に、高速に位相調整を行うことを特徴としている。
【0020】
より具体的に説明すると、本発明の位相調整回路は、バーチャルコンカチネーションを構成するVC−3の時間的な並びを管理するためのMFI(MultiFrame Indicator)情報を検出するために、受信したデータからフレームの先頭を検出し、ポインタ情報から多重されたVC−3の先頭を検出するSDH(Synchronous Digital Hierarchy)終端処理部と、多重されたVC−3の先頭情報から固定位置にあるH4バイトからMFI値を検出するMFI検出部と、MFI値の連続性を判定してMFIの同期を管理するMFI同期管理部と、検出されたMFI値を基にバーチャルコンカチネーションを構成するVC−3における基準VC−3を検出する位相調整部と、基準VC−3を基に位相調整メモリへの書込みを行う書込み制御部と、基準VC−3を決定したMFI値と同じMFI値を持つVC−3の書込みがバーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3において完了した場合に位相調整メモリからの読出しを行う読出し制御部と、多重されたVC−3毎の領域に分割された位相調整メモリの先頭アドレス及び最終アドレスを管理するアドレス管理部と、位相調整メモリに格納されているVC−3のMFI値を管理してMFI同期管理部から通知されるMFI同期はずれアラームによって位相調整を再度行う再位相調整部とを有している。
【0021】
上記の構成において、SDH終端処理部は受信したデータのフレーム先頭位置を検出し、フレーム先頭位置情報から多重されたVC−3の先頭位置を示すポインタを検出し、多重されたVC−3の先頭を検出する。
【0022】
MFI検出部は検出したVC−3の先頭から固定位置にあるH4バイトに格納されたMFI値を検出する。MFI同期管理部はMFI検出部で検出されたMFI値について、同期状態の管理を行う。位相調整部はバーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3についてMFI同期管理部において同期が確立した時に、一番早く到着しているVC−3(基準VC−3)を決定する。
【0023】
書込み制御部は位相調整部において基準VC−3が決定されると、基準VC−3から位相調整メモリへの書込みを開始する。バーチャルコンカチネーションを構成する他のVC−3については、基準VC−3を決定したMFI値と同じMFI値を持つVC−3を受信する毎に書込みを開始する。上記のMFI値を持ったVC−3の書込みが、バーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3について完了した場合には、読出制御部に読出し許可信号を通知して読出しを開始する。
【0024】
アドレス管理部は多重されたVC−3毎に設けられた領域の先頭アドレス及び最終アドレスを管理する。再位相調整部は書込み制御部及び読出し制御部から位相調整メモリへ書込まれたVC−3のMFI値情報及び位相調整メモリから読出されたVC−3のMFI値情報を受信して、位相調整メモリ内に格納されているVC−3のMFI値の管理を行う。
【0025】
また、再位相調整部はMFI同期管理部からMFI同期はずれと、同期はずれが発生したVC−3情報とを受信して該当するバーチャルコンカチネーションについて、管理されているMFI値を基に再度位相調整を行う。
【0026】
再位相調整部において、位相調整メモリに格納されているVC−3のMFI値を管理することによって、バーチャルコンカチネーションを構成するVC−3にMFI同期アラームが発生した場合、位相調整用メモリに格納されているVC−3のMFI値と同期はずれが発生したVC−3で再検出されたMFI値とを用いて位相調整を行うことによって、高速な位相調整を行うことが可能となる。つまり、複数のVC−3が多重された信号における複数のVC−3チャネルで構成されるバーチャルコンカチネーションにおいて、ある経由する回線の断やMFI値のビットエラー等によってMFIの同期が外れた場合に即座に位相調整を行い、回復することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による位相調整回路の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による位相調整回路はSDH(Synchronous Digital Hierarchy)終端処理部1と、MFI(Multi FrameIndicator)検出部2と、MFI同期管理部3と、位相調整部4と、書込み制御部5と、位相調整メモリ6と、アドレス管理部7と、再位相調整部8と、読出し制御部9とから構成されている。
【0028】
SDH終端処理部1はバーチャルコンカチネーション(Virtual Concatenation)を構成するVC(Virtual Container)−3の時間的な並びを管理するためのMFI情報を検出するために、受信したデータからフレームの先頭位置を検出し、フレーム先頭位置情報から多重されたVC−3の先頭位置を示すポインタを検出し、そのポインタ情報から多重されたVC−3の先頭を検出する。
【0029】
MFI検出部2は多重されたVC−3の先頭情報を基に固定位置にあるH4バイトからMFI値を検出する。MFI同期管理部3はMFI値の連続性を判定してMFIの同期の管理、つまりMFI検出部2で検出されたMFI値について、同期状態の管理を行う。
【0030】
位相調整部4は検出されたMFI値を基にバーチャルコンカチネーションを構成するVC−3における基準VC−3を検出する。つまり、位相調整部4はバーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3について、MFI同期管理部3において同期が確立した時に、一番早く到着しているVC−3(基準VC−3)を決定する。
【0031】
書込み制御部5は基準VC−3を基に位相調整メモリ6への書込みを行う。つまり、書込制御部5は位相調整部4において基準VC−3が決定されると、基準VC−3から位相調整メモリ6への書込みを開始する。バーチャルコンカチネーションを構成する他のVC−3については、基準VC−3を決定したMFI値と同じMFI値を持つVC−3を受信する毎に書込みを開始する。上記のMFI値を持ったVC−3の書込みが、バーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3について完了した場合には、読出し制御部9に読出し許可信号を通知して読出しを開始する。
【0032】
読出し制御部9は基準VC−3を決定したMFI値と同じMFI値を持つVC−3の書込みがバーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3において完了した場合に位相調整メモリ6からの読出しを行う。アドレス管理部7は多重されたVC−3毎の領域に分割された位相調整メモリ6の先頭アドレス及び最終アドレスを管理する。
【0033】
再位相調整部8は位相調整メモリ6に格納されているVC−3のMFI値を管理してMFI同期管理部3から通知されるMFI同期はずれアラームによって位相調整を再度行う。つまり、再位相調整部8は位相調整メモリ6へ書込まれたVC−3のMFI値情報を書込み制御部5から受信し、位相調整メモリ6から読出されたVC−3のMFI値情報を読出し制御部9から受信し、位相調整メモリ6内に格納されているVC−3のMFI値の管理を行う。また、再位相調整部8はMFI同期管理部3からMFI同期はずれと、同期はずれが発生したVC−3情報とを受信して該当するバーチャルコンカチネーションについて、管理されているMFI値を基に再度位相調整を行う。
【0034】
再位相調整部8において、位相調整メモリ6に格納されているVC−3のMFI値を管理することによって、バーチャルコンカチネーションを構成するVC−3にMFI同期アラームが発生した場合、位相調整メモリ6に格納されているVC−3のMFI値と同期はずれが発生したVC−3で再検出されたMFI値とを用いて位相調整を行うことで、高速な位相調整を行うことが可能となる。
【0035】
図2は図1の再位相調整部8の構成を示すブロック図である。図2において、再位相調整部8は受信MFI判定処理部81と、書込完了フラグ更新処理部82と、書込みMFI値管理メモリ83と、書込みMFI値更新処理部84とから構成されている。
【0036】
受信MFI判定処理部81はMFI同期はずれアラームが発生したVC−3について、MFI値が再度検出された場合に、そのMFI値と書込みMFI値管理メモリ83に管理されているMFI値とによって、同期はずれアラームが発生したバーチャルコンカチネーションについて、再度、基準VC−3を決定する。
【0037】
書込みMFI値更新処理部84は書込み制御部5及び読出し制御部9から通知される書込み/読出しMFI値と、同期はずれアラームの発生したVC−3情報と、再度検出されたMFI値とから位相調整メモリ6に格納されているMFI値情報を更新する。書込完了フラグ更新処理部82は位相調整メモリ6にデータが格納されたかどうかを管理する。
【0038】
図3は図1に示す位相調整メモリ6においてSTM(SynchronousTransfer Mode)−48にVC−3が多重されたデータを処理する場合の構成を示す図であり、図4は図2に示す書込みMFI値管理メモリ83の構成を示す図である。
【0039】
図5は図2に示す書込みMFI値管理メモリ83の有効/無効を示すビットの一例を示す図であり、図6は本発明の一実施例による位相調整回路の動作を示すフローチャートである。これら図1〜図6を参照して本発明の一実施例による位相調整回路の動作について説明する。
【0040】
SDH終端処理部1は受信したデータのフレーム先頭位置を検出し、フレーム先頭位置情報から多重されたVC−3の先頭位置を示すポインタを検出し、多重されたVC−3の先頭を検出する。
【0041】
MFI検出部2はVC−3の先頭から固定位置にあるH4バイトからMFI値の検出を行う。MFI値は、図15に示すように、8ビットのH4バイトに格納されている。H4バイトのbit5〜bit8(MFI1)はSDHのフレーム単位に増加していき、16フレームで一巡する。
【0042】
(bit5,bit6,bit7,bit8)=(0,0,0,0)の時、MFI2のbit1〜bit4がH4バイトのbit1〜bit4に格納されており、(bit5,bit6,bit7,bit8)=(0,0,0,1)の時、MFI2のbit5〜bit8がH4バイトのbit1〜bit4に格納されている。
【0043】
MFI1(4ビット)とMFI2(8ビット)とからMFI値(12ビット)が構成される。検出されたMFI値はn回の受信において連続性が確認された時に、MFI同期状態となる(保護段数n段)。
【0044】
バーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3において、MFIの同期状態が確立した場合、位相調整部4において一番早く到着しているVC−3(基準VC−3)と、その時のMFI値とを決定する。基準VC−3が決定すると、書込み制御部5は基準VC−3から位相調整メモリ6への書込みを開始する。
【0045】
書込み制御部5は基準VC−3以外のバーチャルコンカチネーションを構成するVC−3は、上記の決定されたMFI値を持つVC−3を受信した場合に、位相調整メモリ6への書込みを順次開始する。位相調整メモリ6への書込みを行った場合には、アドレス管理部7において管理されている最終アドレスを更新するとともに、再位相調整部8で管理されている書込みMFI値を更新する。
【0046】
書込み制御部5はバーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3について、位相調整メモリ6への書込みが完了した場合に、読出し制御部9へ読出し許可を通知する。読出し制御部9は読出し許可を受けて、位相調整メモリ6からの読出しを開始する。位相調整メモリ6からの読出しを行った場合には、アドレス管理部7において管理されている先頭アドレスを更新するとともに、再位相調整部8で管理されている書込みMFI値を更新する。
【0047】
図3に、STM−48にVC−3が多重されたデータを処理する場合の位相調整メモリ6の構成例を示す。位相調整メモリ6はVC−3 #1〜VC−3 #48の48の領域に分割され、各VC−3用の領域はSDHフレーム単位に確保されている。MFI値は0〜4095までであるため、格納できるフレーム数は4096の約数とする。例えば、64フレーム分のバッファを持つようにすると、書込みが開始され、読出し制御部9で読出しが開始されない状況で65フレーム以上のデータを受信すると、順次上書きされて行くことになる。
【0048】
再位相調整部8で管理される書込みMFI値管理メモリは、図4に示すように、VC−3毎に有効/無効を示すビットと、先頭MFI値と、最終MFI値とが管理されている。最初の書込みが発生した場合には、まず有効/無効ビットを有効にして、先頭MFI値と最終MFI値とを書込みが発生したMFI値にする。次の書込みが発生した場合には、最終MFI値を更新する。上記の上書きが発生する状況においては、先頭MFI値と最終MFI値との両方を更新することになる。
【0049】
位相調整が完了して、正常に読出しが行われている時に、MFI同期管理部3においてMFI同期はずれアラームが検出されると(図6ステップS1)、該当するVC−3が属するバーチャルコンカチネーションの読出しを停止する(図6ステップS2)。但し、正常なVC−3については、書込みが通常時と同様に継続される。
【0050】
さらに、書込みMFI値更新処理部84へアラームの発生したVC−3情報が通知され、該当のVC−3について書込みMFI値管理メモリ83の有効/無効ビットを無効にし、アラームが発生したVC−3が属するバーチャルコンカチネーションすべての書込み完了フラグを“0”に設定する(図6ステップS3)。以後、書込みMFI値更新処理部84は書込みMFI値及び読出しMFI値を受信して書込みMFI値管理メモリ83の更新処理を行う。
【0051】
アラームが検出されたVC−3において、再度、MFI同期が確立された場合には(図6ステップS4)、検出されたMFI値が受信MFI判定処理部81へ通知され、タイマ(図示せず)が起動される(図6ステップS5,S6)。
【0052】
受信MFI判定処理部81では2つの処理が並行して動作する。一つ目の処理は、アラームが検出されたVC−3が再度検出されたMFI値について、バーチャルコンカチネーションを構成する他の正常なVC−3の先頭MFI値を書込みMFI値管理メモリ83から読出して比較を行う処理である(図6ステップS7〜S9)。位相調整後の先頭MFI値はすべて同一であるため、バーチャルコンカチネーションを構成するVC−3の中で正常なもののから任意に選べばよい。
【0053】
二つ目の処理は、アラームが検出されたVC−3において、再度検出されたMFI値を保持しておき、他の正常なVC−3においてMFI値のデータが位相調整メモリ6に書込まれたかどうかを判断する処理である(図6ステップS7,S8,S12)。MFI値のデータが位相調整メモリ6に書込まれた場合には、書込み完了フラグ更新処理部82へ通知する。書込み完了フラグ更新処理部82は書込み完了フラグの更新処理を行うとともに、再度検出されたMFI値を持ったVC−3の書込みがバーチャルコンカチネーションを構成するすべてのVC−3について完了したかどうかを、書込み完了フラグに“1”が設定されているかどうかで判定する。
【0054】
これら二つの処理は同時に条件を満たすことはなく、条件を満たす場合には、どちらか一方である。また、どちらの処理でも、ある一定時間内に条件を満たすことがない場合には(図6ステップS8)、位相調整メモリ6において位相調整を行える範囲の位相差を超えていることになり、位相調整を行うことが不可能であることを示す位相調整アラームを発出する(図6ステップS15)。
【0055】
前者の処理で条件が満たされた場合、書込みMFI値管理メモリ83のアラームの発生したVC−3の先頭MFI値を、正常なVC−3の先頭MFI値へと更新し、アドレス管理部7で管理される先頭アドレスを、アラームが発生したVC−3を含むバーチャルコンカチネーションを構成するVC−3について、先頭MFI値を持つVC−3が格納される先頭のアドレスに更新する。そして、タイマを停止して(図6ステップS10)、先頭MFI値が格納されている領域から位相調整メモリ6の読出しを開始する(図6ステップS11)。
【0056】
後者の処理で条件が満たされた場合、アラームが発生したVC−3を含むバーチャルコンカチネーションを構成するVC−3の先頭MFI値を、アラームが発生して再度検出されたMFI値に更新し、アドレス管理部7で管理される先頭アドレスを、アラームが発生したVC−3を含むバーチャルコンカチネーションを構成するVC−3について、アラーム発生後に再度検出されたMFI値を持つVC−3が格納される先頭のアドレスに更新する。そして、タイマを停止して(図6ステップS13)、アラーム発生後に再度検出されたMFI値が格納されている領域から位相調整メモリ6の読出しを開始する(図6ステップS14)。
【0057】
図7は本発明の一実施例におけるVC−3 #1〜VC−3 #3によってバーチャルコンカチネーションを構成する場合のSDHフレーム受信時のMFI値の遷移を示す図であり、図8〜図11は図2に示す書込みMFI値管理メモリ83及び書込み完了フラグの状態を示す図である。これら図7〜図11に示す具体例を用いて本実施例の動作について説明する。以下の説明では3フレーム目を受信した場合に、VC−3 #3のMFI同期はずれアラームを検出し、5フレーム目に再度MFI値を検出するものと仮定する。
【0058】
1フレーム目はすでに位相調整が完了し、位相調整メモリ6からの読出しが開始されていると仮定しているため、先頭MFI値はすべて同一である。本実施例の説明では、先頭MFI値を「2」と仮定する。また、書込み完了フラグもVC−3 #1〜VC−3 #3まですべて“1”が設定されている。
【0059】
1フレーム目ではVC−3 #1〜VC−3 #3がMFI値「5」,「7」,「4」を受信するため,最終MFI値をこれらの値に更新する。2フレーム目では位相調整メモリ6からの読出しが行われるため、先頭MFI値の更新(「2」→「3」)が行われるとともに、最終MFI値を受信したMFI値6,8,5に更新する。
【0060】
3フレーム目ではVC−3 #3においてMFI同期はずれアラームを検出するため、書込みMFI値管理メモリ83のVC−3 #3の有効/無効ビットを無効に設定する。VC−3 #1,VC−3 #2については、2フレーム目の処理と同等である。4フレーム目については、VC−3 #3においてMFI値が再検出されていないため、VC−3 #3に関連する処理は実行されない。VC−3 #1,VC−3 #2については、2フレーム目の処理と同様である(図8参照)。
【0061】
5フレーム目のVC−3 #3におけるMFIの再検出した値が、「2」,「10」,「12」の3つ場合について説明する。再検出したMFI値が「2」である場合、VC−3 #3の有効/無効ビットを有効に設定し、受信したMFI値「2」を書込みMFI値管理メモリ83の先頭/最終MFI値に設定する。書込み完了フラグは、アラームを検出したVC−3 #3を除いたVC−3 #1,VC−3 #2に書込み完了を設定する。
【0062】
以後、アラームを検出したVC−3 #3について、MFI値「3」の受信を監視する。このMFI値「3」は、正常なVC−3 #1及びVC−3 #2の先頭MFI値であり、どちらか一方を選択して使用する。VC−3 #1及びVC−3 #2の処理については2フレーム目と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
6フレーム目はVC−3 #3においてMFI値「3」を受信したため、最終MFI値を「3」に更新し、VC−3 #3の書込み完了フラグに“1”を設定する。VC−3 #1〜VC−3 #3の書込み完了フラグがすべて“1”になったため、書込み完了信号を送出して位相調整メモリ6からの読出しを開始する。その時、読出しアドレスがMFI値「3」を持つVC−3が格納されている領域を示すよう、アドレス管理部7へ通知し、VC−3 #1〜VC−3 #3の読出しアドレスの更新を行う。VC−3 #3の先頭MFI値も「3」に更新する(図9参照)。
【0064】
再検出したMFI値が「10」である場合、VC−3 #3の有効/無効ビットを有効に設定し、受信したMFI値「10」を書込みMFI値管理メモリ83の先頭/最終MFI値に設定する。VC−3 #2については、先頭MFI値が「3」であり、最終MFI値が「11」であるため、MFI値「10」を受信していることになる。したがって、書込み完了フラグはVC−3 #2及びVC−3 #3に“1”をセットする。VC−3 #1及びVC−3 #2の書込みMFI値管理メモリ83の処理については2フレーム目を受信した場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0065】
6フレーム目を受信した場合、各VC−3について書込みMFI値管理メモリ83の更新処理を行い、VC−3 #1においてMFI値「10」を受信したため、書込み完了フラグに“1”を設定する。この時、VC−3 #1〜VC−3#3について書込み完了フラグが設定されたため、書込み完了信号を送出して位相調整メモリ6からの読出しを開始する。
【0066】
その時、読出しアドレスがMFI値「10」を持つVC−3が格納されている領域を示すよう、アドレス管理部7へ通知し、VC−3 #1〜VC−3 #3の読出アドレスの更新を行う。書込みMFI値管理メモリのVC−3 #1及びVC−3 #2の先頭MFI値も「10」に更新する(図10参照)。
【0067】
再検出したMFI値が「12」である場合、VC−3 #3の有効/無効ビットを有効に設定し、受信したMFI値「12」を書込みMFI値管理メモリ83の先頭/最終MFI値に設定する。VC−3 #1及びVC−3 #2について、MFI値「12」を受信しているかどうかを確認すると、それぞれの先頭MFI値と最終MFI値とが(「3」,「9」)、(「3」,「11」)であるため、書込み完了フラグはVC−3 #3のみに設定を行う。
【0068】
6フレーム目は書込みMFI値管理メモリ83の更新処理のみを行う。7フレーム目はVC−3 #2においてMFI値「12」を受信したため、書込み完了フラグに設定を行う。VC−3 #1〜VC−3 #3のすべてに書込み完了フラグが設定されていないため、位相調整メモリ6からの読出しは開始しない。
【0069】
8フレーム目はVC−3#1において、MFI値「12」を受信したため、書込み完了フラグを設定する。書込み完了フラグにすべて設定されたため、読出しアドレスがMFI値「12」を持つVC−3が格納されている領域を示すよう、アドレス管理部7へ通知し、VC−3 #1〜VC−3 #3の読出しアドレスの更新を行う。書込みMFI値管理メモリ83のVC−3 #1及びVC−3 #2の先頭MFI値も「12」に更新する(図11参照)。
【0070】
本実施例ではSTM−48にVC−3が多重された形態について説明したが、これらに限定するものではなく、STM−48はSTM−12やSTM−3等に、VC−3はVC−4等に置換えることができる。
【0071】
このように、従来、バーチャルコンカチネーションを構成する、あるVC−3でMFI同期アラームが検出された場合、MFIが再検出された時の各VC−3のMFI値を基に位相調整を開始していたのに対し、本実施例ではMFI同期アラームが検出されていない正常なVC−3について、位相調整メモリ6に書込むとともに、位相調整メモリ6内部に書込まれたデータのMFI値を管理し、再検出されたMFI値と管理しているMFI値とを用いて位相調整を行うようにしているので、バーチャルコンカチネーションを構成する、あるVC−3についてMFI同期アラームを検出した場合に、従来の技術と比較して、高速に位相調整を完了し、データの読出しを再開することができる。
【0072】
図12は本発明の他の実施例による位相調整回路の再位相調整部の構成を示すブロック図である。図12において、本発明の他の実施例による再位相調整部10はMFIエラー検出部101と位相判定部102とを設けた以外は図2に示す本発明の一実施例による再位相調整部8と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の一実施例と同様である。
【0073】
MFIエラー検出部101はMFI同期アラームを検出して再位相調整を行っている間に、他のVC−3においてMFI同期アラームが発生したかどうかを検出する。位相判定部102は複数のVC−3でアラームが発生した場合に、それらVC−3の再検出されたMFI値を使用して、アラームが発生したVC−3の中で一番早く到着しているVC−3を決定する。
【0074】
この図12を参照して本発明の他の実施例による再位相調整部10の動作について説明する。尚、MFI同期はずれアラームを検出して、再度位相調整を行う処理は、上述した本発明の一実施例と同様であるため、その説明を省略する。
【0075】
再度位相調整を行っている間に、別のVC−3でMFI同期はずれアラームが検出された場合、MFIエラー検出部101はそれまでの位相調整処理を中断し、位相判定部102へ最初にMFI同期アラームが発生したVC−3のMFI値と次にMFI同期アラームが発生したVC−3のMFI値とを通知する。
【0076】
位相判定部102では上記の二つのMFI値を参照して、どちらが早く到着しているかを判断する。例えば、VC−3 #1のMFI値がA、VC−3 #2のMFI値がBとすると(A>B)、A−B<位相調整可能範囲であれば、VC−3 #1が早く到着していることになり、B+4096−A<位相調整可能範囲であれば、VC−3 #2が早く到着していることになる。AとBとが等しい場合には、同じタイミングで到着していることになる。上記の条件のどれにも当てはまらない場合には、位相調整可能な範囲でないため、位相調整エラーを発出して処理を終了する。
【0077】
位相判定部102の処理の後は、MFI同期はずれアラームが検出されたVC−3について、正常なVC−3の先頭MFI値との比較処理(図6ステップS9)と、位相判定部102で判定された位相が早いVC−3のMFI値と、それ以外のチャネル(CH)とが上記のMFI値を受信したかどうかを判定する処理(図6ステップS12)とを並行して行う。
【0078】
本実施例では、MFI同期アラームを検出して再位相調整を行っている間に、他のVC−3におけるMFI同期アラームの発生を監視しておき、アラームが検出された場合に位相調整処理を中断し、アラームの発生した複数のVC−3についてどのVC−3が早く到着しているかを判定して、位相調整処理を再開することによって、複数のVC−3で位相同期アラームが発生した場合に位相調整を従来の技術と比較して高速に行うことができるという新たな効果が得られる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、MFI同期アラームが検出されていない正常なVC−3について、位相調整メモリに書込むとともに、位相調整メモリ内部に書込まれたデータのMFI値を管理し、再検出されたMFI値と管理しているMFI値とを用いて位相調整を行うことによって、高速に位相調整を完了してデータの読出しを再開することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による位相調整回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の再位相調整部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す位相調整メモリにおいてSTM−48にVC−3が多重されたデータを処理する場合の構成を示す図である。
【図4】図2に示す書込みMFI値管理メモリの構成を示す図である。
【図5】図2に示す書込みMFI値管理メモリの有効/無効を示すビットの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による位相調整回路の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例におけるVC−3 #1〜VC−3 #3によってバーチャルコンカチネーションを構成する場合のSDHフレーム受信時のMFI値の遷移を示す図である。
【図8】図2に示す書込みMFI値管理メモリ及び書込み完了フラグの状態を示す図である。
【図9】図2に示す書込みMFI値管理メモリ及び書込み完了フラグの状態を示す図である。
【図10】図2に示す書込みMFI値管理メモリ及び書込み完了フラグの状態を示す図である。
【図11】図2に示す書込みMFI値管理メモリ及び書込み完了フラグの状態を示す図である。
【図12】本発明の他の実施例による位相調整回路の再位相調整部の構成を示すブロック図である。
【図13】VC−3が48チャネル多重されたSTM−48のフレームフォーマットを示す図である。
【図14】従来のバーチャルコンカチネーションの転送経路を示す図である。
【図15】VC−3のパスオーバヘッドのフォーマットを示す図である。
【図16】データ列を二つのVC−3にマッピングして転送した場合の位相差を示す図である。
【図17】データ列を二つのVC−3にマッピングして転送した場合の位相差を示す図である。
【符号の説明】
1 SDH終端処理部
2 MFI検出部
3 MFI同期管理部
4 位相調整部
5 書込み制御部
6 位相調整メモリ
7 アドレス管理部
8,10 再位相調整部
9 読出し制御部
81 受信MFI判定処理部
82 書込完了フラグ更新処理部
83 書込みMFI値管理メモリ
84 書込みMFI値更新処理部
101 MFIエラー検出部
102 位相判定部

Claims (6)

  1. バーチャルコンカチネーションによって複数のバーチャルコンテナで1つの帯域を提供するような入力データにおいて、前記複数のバーチャルコンテナにおいてその時間的な並びを管理するためのMFI(Multi Frame Indicator)値の連続性が失われた場合に位相調整を行う位相調整回路であって、MFI同期アラームが検出されていない正常なバーチャルコンテナについて位相調整メモリに書込む手段と、前記位相調整メモリ内部に書込まれたデータのMFI値を管理する手段と、再検出されたMFI値と管理しているMFI値とを用いて位相調整を行う手段とを有することを特徴とする位相調整回路。
  2. 前記MFI同期アラームを検出して再位相調整を行っている間に他のバーチャルコンテナにおける前記MFI同期アラームの発生を監視する手段と、前記MFI同期アラームが検出された時に前記位相調整処理を中断しかつ前記MFI同期アラームの発生した複数のバーチャルコンテナについてどのバーチャルコンテナが早く到着しているかを判定して位相調整処理を再開する手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の位相調整回路。
  3. 前記バーチャルコンテナは、VC(Virtual Container)−3及びVC−4のいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の位相調整回路。
  4. バーチャルコンカチネーションによって複数のバーチャルコンテナで1つの帯域を提供するような入力データにおいて、前記複数のバーチャルコンテナにおいてその時間的な並びを管理するためのMFI(Multi Frame Indicator)値の連続性が失われた場合に位相調整を行う位相調整方法であって、MFI同期アラームが検出されていない正常なバーチャルコンテナについて位相調整メモリに書込み、前記位相調整メモリ内部に書込まれたデータのMFI値を管理するとともに、再検出されたMFI値と管理しているMFI値とを用いて位相調整を行うようにしたことを特徴とする位相調整方法。
  5. 前記MFI同期アラームを検出して再位相調整を行っている間に他のバーチャルコンテナにおける前記MFI同期アラームの発生を監視し、前記MFI同期アラームが検出された時に前記位相調整処理を中断しかつ前記MFI同期アラームの発生した複数のバーチャルコンテナについてどのバーチャルコンテナが早く到着しているかを判定して位相調整処理を再開するようにしたことを特徴とする請求項4記載の位相調整方法。
  6. 前記バーチャルコンテナは、VC(Virtual Container)−3及びVC−4のいずれかであることを特徴とする請求項4または請求項5記載の位相調整方法。
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