JP3654226B2 - 蓄熱床暖房パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、袋体からなる放熱制御アクチュエーターを有する蓄熱床暖房パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、蓄熱床暖房パネルの放熱制御アクチュエーターは、蓄熱床暖房パネルを連接する際に各々がエアジョイントで接続されていた。
【0003】
これにより、エアジョイントを通じて空気を出し入れすることで可能となり放熱制御アクチュエーターを容易に膨らましたり、萎めたりすることができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術においては、エアジョイントがしっかりと接続されなくて空気が漏れ出してしまったり、エアジョイントの接続の際に接続口が損傷してしまたりという問題が生じていた。
【0005】
上記の様な問題は蓄熱床暖房パネルだからこそ発生しやすいものであった。蓄熱床暖房パネルは、その性格上施工誤差が生じてしまいしっかりと接続するのが困難なケースが多々あった。又、連接して配される為に接続口同士がぶつかって損傷してしまうこともあった。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、確実に放熱制御アクチュエアーターの空気の出し入れを行うことができる蓄熱床暖房パネルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の蓄熱床暖房パネルにあっては、請求項1に記載したように、ヒーターの上に蓄熱材を積層し、蓄熱材の上に空気を出し入れすることにより膨張収縮する袋体よりなり且つ膨張収縮により蓄熱材から放熱される放熱量を制御する放熱制御アクチュエーターを積層し、放熱制御アクチュエーターの上方に床面板を貼ってパネル化した蓄熱床暖房パネルにおいて、一方に接続方向に沿って前後に段違いとなる一対の接続口を有し、他方に前記一対の接続口と略L字型の通風経路で繋れた第2の接続口を有し、一対の接続口の両側に接続方向を長軸とする長孔を有する固定用鍔部を備えたエアジョイントを設けるに際し、第2の接続口を放熱制御アクチュエーターの上面に対して接続し、固定用鍔部の長孔に固定釘を貫通させて床面板に対して固定している。
【0008】
これにより、連接される蓄熱床暖房パネルの各放熱制御アクチュエーターを確実に接続できる。このことは各蓄熱床暖房パネルを連動させて制御できることを指す。即ち、各蓄熱床暖房パネルの放熱制御アクチュエーターをエアジョイントを介して接続すれば、各放熱制御アクチュエーター内の空気を連動させて制御することができるようになる。各放熱制御アクチュエーターが繋がることで、その中の一つだけが異常に空気量を蓄えたり、逆にその中の一つだけが異常に空気量を減少させたりしてしまうのを防ぐことができる。本願請求項1に係る発明は、その接続を確実なものとすることで上記のような性能を確実に引出すのに成功している。
【0009】
エアジョイントは、その一方の接続口を一対の接続口で形成し、尚且つ接続方向に沿って前後に段違いとなるようにしているので、対向させて接続する際には一対の接続口のうち出っ張った側の接続口と、対向する一対の接続口のうち引っ込んだ側の接続口とを接続することができる。又、これに加えて固定用鍔部に接続方向に沿った長孔を備えているので、接続方向を前後として、前後にスライド自在に調節することができる。この2つの特徴により、エアジョイントは出っ張った側の接続口を必要以上に出っ張らせることなくその機能を果たすことができる。接続する相手が引っ込んでいることだけでも充分に出っ張りを小さくすることが可能なのであるが、それに加えて前後にスライドさせることができるので、その出っ張りは小さく且つその接続は簡単なものとすることができる。又、出っ張りが少ない分、蓄熱床暖房パネルを取回す際、エアジョイントがなにかにぶつかってしまうのをある程度防止することができる。
【0010】
このように、本願請求項1に係る発明は、蓄熱床暖房パネルが連接して配設される点、建築現場の施工者によって配設される点、に対して有効な効果を奏しているといえる。
【0011】
又、従来、床材に袋体を内蔵させたものは殆ど存在せず、本願請求項1に係るような特別のエアジョイントを設ける技術的思想の存在は無いと思われる。本願請求項1に係る発明の着眼点は出っ張りをなくす為に、前後に段違いとなる一対の接続口を備え、尚且つ前後にスライド自在としたことにある。特に前後に段違いとなる一対の接続口については、一対の接続口を形成する周辺の側壁に、対向して配設される一対の接続口を形成する側壁を当接させることで位置決めを行うことができ、建築現場の施工者に対して確実な接続を期待するのに充分な機能を生み出すことに成功しているといえる。側壁同士を当接させながら、長孔によって前後調整をすれば良くたいへん簡単な施工手順とすることができる。
【0012】
又、本発明の蓄熱床暖房パネルにあっては、請求項2に記載したように、固定用鍔部を一対の接続口の上端縁と略同レベルに配置すると共に、床面板に段付きの凹部を設け、段の上面に対して固定用鍔部を載置することで、エアジョイント上面と床面板上面とを略同レベルにしても良い。
【0013】
この場合、床面板上面がフラットになり、床として良質なものとすることができる。又、凹部の段については、その上部を糊溜りとして活用することができる為、床面板の上に化粧板を敷設する際などには、化粧板を敷設する為の接着剤が放熱制御アクチュエーター側に侵入してくるのを未然に防ぐことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1乃至6、8、9は本発明の請求項1、2に対応する一実施の蓄熱床暖房パネルを示す説明図である。又、図7はその比較例を示す。
【0015】
本実施の形態の蓄熱床暖房パネルは、請求項1に記載したように、ヒーター(1)の上に蓄熱材(2)を積層し、蓄熱材(2)の上に空気を出し入れすることにより膨張収縮する袋体よりなり且つ膨張収縮により蓄熱材から放熱される放熱量を制御する放熱制御アクチュエーター(3)を積層し、放熱制御アクチュエーター(3)の上方に床面板(4)を貼ってパネル化した蓄熱床暖房パネルにおいて、一方に接続方向に沿って前後に段違いとなる一対の接続口(5)を有し、他方に前記一対の接続口(5)と略L字型の通風経路(14)で繋れた第2の接続口(6)を有し、一対の接続口(5)の両側に接続方向を長軸とする長孔(7)を有する固定用鍔部(8)を備えたエアジョイント(9)を設けるに際し、第2の接続口(6)を放熱制御アクチュエーター(3)の上面に対して接続し、固定用鍔部(8)の長孔(7)に固定釘(10)を貫通させて床面板(4)に対して固定した。
【0016】
又、該実施の形態の蓄熱床暖房パネルは、請求項2に記載したように、固定用鍔部(8)を一対の接続口(5)の上端縁と略同レベルに配置すると共に、床面板(4)に段付きの凹部を設け、段の上面に対して固定用鍔部(8)を載置することで、エアジョイント(9)上面と床面板(4)上面とを略同レベルにした。
【0017】
本実施の形態の蓄熱床暖房パネルにおいては、ヒーター(1)と、蓄熱材(2)と放熱制御アクチュエーター(3)とを格納した蓄熱ボード(11)と、床面板(4)と、を備えている。又、放熱制御アクチュエーター(3)にはエアジョイント(9)が設けられている。
【0018】
ヒーター(1)は面状のもので、床面板(4)に埋設された電気配線(12)からの電源供給によって発熱する電気式のものとする。
【0019】
蓄熱ボード(11)は扁平な矩形箱状のもので、内部が充填空間となった筐体で形成されている。このもののの下面にはヒーター(1)が粘着又は機械的方法で固定される。材質は主としてポリプロピレンのような合成樹脂にて形成される。
【0020】
蓄熱材(2)は、蓄熱ボード(11)の充填空間内に充填してある。
【0021】
放熱制御アクチュエーター(3)は、蓄熱ボード(11)内に格納され、且つ蓄熱材(2)の上側に積層される。このものは袋体であり、内部の空気を出し入れすることで床面板(4)の温度を制御する。
【0022】
放熱制御アクチュエーター(3)の上面には、エアジョイント(9)の第2の接続口(6)が接続されている。エアジョイント(9)には接続口が2種類存在し、一方が一対となる接続口で他方が第2の接続口となる。本願においては、一対となる接続口を一対の接続口(5)と呼び、他方の接続口を第2の接続口(6)と呼んでいる。本実施の形態においては、接続口を放熱制御アクチュエーター(3)の上面で接続することで、放熱制御アクチュエーター(3)内の空気を円滑に出し入れするのに成功している。即ち、仮に放熱制御アクチュエーター(3)の側端部にエアジョイント(9)を接続すると、図7に示すように排気の際に端部に空気溜り(13)が生じてしまい、確実な排気が難しくなってしまう。
【0023】
エアジョイント(9)は、図2乃至4に示すように、平面外形は略T字型となり、T字の真中の辺に相当する部位に通風経路(14)が設けられている。この通風経路(14)は断面が略L字型で形成される。又、一辺の先端に相当する部位には一対の接続口(5)が設けられ、他辺の先端に相当する部位に第2の接続口(6)が設けられる。
【0024】
一対の接続口(5)は接続方向、ここでいう前後方向で段違いとなった状態で並列に設けられる。一対の接続口(5)の開口形状は長方型をしている。これにより、一対の接続口(5)周囲の側壁を略垂直な立壁で形成しても、その肉厚を一定に保つことができる。立壁は対向して配設されるエアジョイント(9’)を接続する際にお互いに当接することで位置決めをする為に必要なものであり、この部位を略垂直な立壁で形成し、尚且つ肉厚を一定にするには前述した通り、開口形状を長方形とするのが一番適しいているといえる。肉厚を一定にすることにより、例えばエアジョイント(9)を金型によって成形する際に、肉厚の違いによるゆがみ等の発生を未然に防ぐことができる。
【0025】
第2の接続口(6)は、一対の接続口(5)の後方で合流する1つの通風口によって形成される。このものの開口形状は、一対の接続口(5)の開口面積を足した程度のものとしている。これにより、内部を流れる空気に余分な圧力がかかるのを防いでいる。
【0026】
エアジョイント(9)には、その他にも固定用鍔部(8)が設けられている。この固定用鍔部(8)には接続方向を長軸とした長孔(7)が備えられている。長孔(7)はエアジョイント同士(9)(9’)を接続する際にエアジョイント(9)(9’)を前後にスライド自在とする為に設けられている。長孔(7)の長軸方向に沿ってスライドさせるのである。又、固定用鍔部(8)は一対の接続口(5)の側方上側に設けられる。
【0027】
固定釘(10)は、本願においてビス、ネジ、リベット等を包含するものであり、釘だけに限定したものではない。
【0028】
床面板(4)は、蓄熱ボード(11)の上に配設される。床面板(4)と蓄熱ボード(11)との固定は蓄熱ボード(11)の周縁部に設けた取り付け片を床面板(4)にビス固定することによって行われる。床面板(4)は段付きの凹部を備えており、段の上面に対して上記固定用鍔部(8)が載置されることで、床面板(4)上面とエアジョイント(9)上面とが略同レベルとなるようにしている。これにより、床のレベルを段差の無い状態に仕上げることができる。又、化粧板を床面板(4)の上面に敷設する際には、化粧板を固定する為の接着剤が放熱制御アクチュエーター(3)側に侵入してしまうのを防ぐことができる。
【0029】
又、図8、9に示したように蓄熱床暖房パネルを連接して敷設する際には、電気配線(12)は床面板(4)に設けた貫通する溝部(15)の中に埋設される。この溝部(15)は、床面板(4)を横断するもので、その開口近傍は幅広に形成される。これは、電気配線(12)の余長を幅広とした部分で吸収する為である。このような工夫を施すことで、電気配線(12)はコネクタとジョイントする部位において電気配線(12)の余分を吸収する為のスペースを設ける必要がなくなる。電気配線(12)の先端に設けたジョイント具(16)と、コネクタ(17)とがジョイントされる部位の溝部は、一般的に電気配線(12)の余長を見込んで形成される。ところが、本実施の形態においては、そのような余長は溝部(15)の開口近傍で吸収し、コネクタ(17)とジョイント具(16)とがジョイントする部位においては、嵌合が確かなものとなるように、ジョイント具(16)とコネクタ(17)とが完全に嵌合した状態で納まる程度の空間しか設けていない。この場合、コネクタ(17)とショント具(16)との嵌合は少々難しくなるものの、嵌合不良を起すことがなくなるので結果的に良いものとなる。
【0030】
このように、以上説明した蓄熱床暖房パネルによると、連接される蓄熱床暖房パネルの各放熱制御アクチュエーター(3)を確実に接続できる。このことは各蓄熱床暖房パネルを連動させて制御できることを指す。即ち、各蓄熱床暖房パネルの放熱制御アクチュエーター(3)をエアジョイント(9)を介して接続すれば、各放熱制御アクチュエーター(3)内の空気を連動させて制御することができるようになる。各放熱制御アクチュエーター(3)が繋がることで、その中の一つだけが異常に空気量を蓄えたり、逆にその中の一つだけが異常に空気量を減少させたりしてしまうのを防ぐことができる。本願請求項1に係る発明は、その接続を確実なものとすることで上記のような性能を確実に引出すのに成功している。
【0031】
エアジョイント(9)は、その一方の接続口を一対の接続口(5)で形成し、尚且つ接続方向に沿って前後に段違いとなるようにしているので、対向させて接続する際には一対の接続口(5)のうち出っ張った側の接続口と、対向する一対の接続口(5’)のうち引っ込んだ側の接続口とを接続することができる。又、これに加えて固定用鍔部(8)に接続方向に沿った長孔(7)を備えているので、接続方向を前後として、前後にスライド自在に調節することができる。この2つの特徴により、エアジョイント(9)は出っ張った側の接続口を必要以上に出っ張らせることなくその機能を果たすことができる。接続する相手が引っ込んでいることだけでも充分に出っ張りを小さくすることが可能なのであるが、それに加えて前後にスライドさせることができるので、その出っ張りは小さく且つその接続は簡単なものとすることができる。又、出っ張りが少ない分、蓄熱床暖房パネルを取回す際、エアジョイント(9)がなにかにぶつかってしまうのをある程度防止することができる。
【0032】
このように、本願請求項1に係る発明は、蓄熱床暖房パネルが連接して配設される点、建築現場の施工者によって配設される点、に対して有効な効果を奏しているといえる。
【0033】
又、従来、床材に袋体を内蔵させたものは殆ど存在せず、本願請求項1に係るような特別のエアジョイント(9)を設ける技術的思想の存在は無いと思われる。本願請求項1に係る発明の着眼点は出っ張りをなくす為に、前後に段違いとなる一対の接続口(5)を備え、尚且つ前後にスライド自在としたことにある。特に前後に段違いとなる一対の接続口(5)については、一対の接続口(5)を形成する側壁に、対向して配設される一対の接続口(5’)を形成する周辺の側壁を当接させることで位置決めを行うことができ、建築現場の施工者に対して確実な接続を期待するのに充分な機能を生み出すことに成功しているといえる。側壁同士を当接させながら、長孔(7)によって前後調整をすれば良くたいへん簡単な施工手順とすることができる。
【0034】
又、床面板(4)上面がフラットになり、床として良質なものとすることができる。又、凹部の段については、その上部を糊溜りとして活用することができる為、床面板(4)の上に化粧板を敷設する際などには、化粧板を敷設する為の接着剤が放熱制御アクチュエーター(3)側に侵入してくるのを未然に防ぐことができる。
【0035】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1記載の発明によれば、連接される蓄熱床暖房パネルの各放熱制御アクチュエーターを確実に接続できる。
【0036】
そして、請求項2記載の発明によれば、床面板上面がフラットになり、床として良質なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である蓄熱床暖房パネルを示す斜視図である。
【図2】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルのエアジョイントを示す平面図である。
【図3】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルのエアジョイントを示す断面図である。
【図4】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルのエアジョイントを示す正面図である。
【図5】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルの要部を示す正面図である。
【図6】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルの要部を示す正面図である。
【図7】(a)(b)(c)は該実施の形態である蓄熱床暖房パネルの比較例を示す断面図である。
【図8】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルが連接された状態を示す平面図である。
【図9】該実施の形態である蓄熱床暖房パネルが連接された状態を示す図8の要部を説明する為の説明図である。
【符号の説明】
1 ヒーター
2 蓄熱材
3 放熱制御アクチュエーター
4 床面板
5 一対の接続口
6 第2の接続口
7 長孔
8 固定用鍔部
9 エアジョイント
10 固定釘
14 通風経路
Claims (2)
- ヒーターの上に蓄熱材を積層し、蓄熱材の上に空気を出し入れすることにより膨張収縮する袋体よりなり且つ膨張収縮により蓄熱材から放熱される放熱量を制御する放熱制御アクチュエーターを積層し、放熱制御アクチュエーターの上方に床面板を貼ってパネル化した蓄熱床暖房パネルにおいて、一方に接続方向に沿って前後に段違いとなる一対の接続口を有し、他方に前記一対の接続口と略L字型の通風経路で繋れた第2の接続口を有し、一対の接続口の両側に接続方向を長軸とする長孔を有する固定用鍔部を備えたエアジョイントを設けるに際し、第2の接続口を放熱制御アクチュエーターの上面に対して接続し、固定用鍔部の長孔に固定釘を貫通させて床面板に対して固定したことを特徴とする蓄熱床暖房パネル。
- 固定用鍔部を一対の接続口の上端縁と略同レベルに配置すると共に、床面板に段付きの凹部を設け、段の上面に対して固定用鍔部を載置することで、エアジョイント上面と床面板上面とを略同レベルにしたことを特徴とする請求項1記載の蓄熱床暖房パネル。
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