JP3654174B2 - 自動加工機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外周に加工具が設けられた加工回転板に対して、加工テーブルに設置された被加工部材を一方向に沿って相対移動させることにより、前記加工具に前記被加工部材を接触させて加工を行う自動加工機械に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、時計には、時針が示す時刻を表す数字が記された文字板が設けられている。このような文字板としては、数字が印刷されたものの他、普及品に比べて価格の高い中級あるいは高級時計の文字板としては、時刻を示す数字として、細長い棒状の多面体からなる略字が設けられたものがある。
このような略字は、文字板の所定部分をプレス加工で絞り出す一体式のもの、および、予め製作しておいた植字を植え込む植設式のものとが、文字板に利用されている。
また、文字板が時計の顔となる部分であり、また、略字が文字板を装飾する装飾物にもなるので、略字には、意匠的に優れた外観を付与する必要がある。このため、多面体からなる略字は、角部を切削する面取加工等により、形が整えられる。この際、略字を切削するのに、各面が鏡面仕上げとなるとともに、各面の境界線がシャープに表れる切削方法であるダイヤカット加工が採用される。
【0003】
植設式の略字にダイヤカットを施すにあたり、文字板に植え込む前に、旋盤用の治具である円筒状のドラムに多数の植字を固定し、このドラムを旋盤にかけて、これらの植字にまとめてダイヤカット加工を施している。
この際、旋盤のダイヤモンドバイトに対して所定の角度をなすように、植字をドラムに固定して切削を行い、ダイヤカットによるダイヤカット面を各植字に一面ずつ形成している。そして、植字に形成すべきダイヤカット面の数だけ、ドラムへの固定作業および切削作業を繰り返し行い、必要な数のダイヤカット面を形成している。
このような植字式の略字は、切削作業を何回も繰り返す必要があるので、製造に手間がかかるが、文字板に大きな凹凸を形成できるうえ、大きく豪華なダイヤカット面が形成できるので、文字板に立体感や高級感を付与でき、時計のうちでも、高級品に利用されている。
【0004】
一体式の略字は、最初から文字板と一体化されているので、文字板をプレス加工して略字を絞り出した後、文字板を専用の切削装置にかけて、ダイヤカット加工を施している。
ここで、ダイヤカット加工を行う切削装置としては、外周にダイヤモンドバイトが設けられた加工回転板を備え、被加工部材がセットされた加工テーブルを加工回転板の回転軸に向かって接近させることにより、加工回転板のダイヤモンドバイトで被加工部材を切削するものが採用できる。
このような切削装置を採用すれば、ダイヤモンドバイトの移動痕が切削面に形成されず、研磨加工を行わなくとも切削加工だけで、切削面を鏡面仕上げとすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような切削装置では、加工回転板の外周縁に沿って切削面が形成されるので、被加工部材に形成される切削面の方向が限定され、文字板の12箇所に形成される切削面の位置および方向が異なるので、これらの箇所を一度にダイヤカット加工することができない。
一方、文字板の12箇所に対し、順次ダイヤカット加工を施そうとすると、一箇所の切削を終えるたびに、被加工部材の姿勢や位置を変更する必要があるので、被加工部材の加工テーブルへのセットを何回もやり直す必要があり、切削作業が面倒となるうえ、切削作業を自動化するのが難しいという問題がある。
ここで、被加工部材の切削加工を施す箇所に応じて加工回転板を複数設け、被加工部材を加工テーブルに一度セットすれば、被加工部材のセットをやり直さなくとも、複数箇所に対してダイヤカット加工を行えるようにすることが考えられるが、これでは、切削装置が著しく複雑になるという問題が生じる。
このような問題は、ダイヤカット加工を行う切削装置だけでなく、被加工部材に向きの異なる複数の加工面を形成する切削加工および研削加工、ならびに、前述の向きの異なる加工面を研磨する研磨加工等を行う際にも課題となっている。
【0006】
本発明の目的は、向きの異なる複数の加工面が加工対象となる被加工部材でも、簡単な構造で加工の自動化が図れる自動加工機械を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外周に加工具が設けられた加工回転板に対して、加工テーブルに設置された被加工部材を一方向に沿って相対移動させることにより、前記加工具に前記被加工部材を接触させて加工を行う自動加工機械であって、互いに直交する三方向に沿って、前記加工テーブルおよび前記加工回転板を相対的に移動させることにより、前記被加工部材の加工位置を設定する三次元位置決め手段と、前記加工テーブルを回転可能に支持するとともに当該加工テーブルの回転角度位置を設定する回転支持手段とを備え、前記三次元位置決め手段は、前記加工回転板を水平面に含まれるX軸方向に沿って移動するX軸移動機構と、前記加工回転板を水平面に含まれるとともに前記X軸と直交するY軸方向に沿って移動するY軸移動機構と、前記加工テーブルを鉛直方向に沿ったZ軸方向に沿って移動するZ軸移動機構とを備え、前記Z軸移動機構には、前記加工回転板に対して前記加工テーブルを鉛直方向に沿って進退駆動する切り込み装置が設けられ、この切り込み装置には、前記加工回転板に対して前記加工テーブルを前進させた際に、前記回転支持手段が設定した前記加工テーブルの回転角度位置を固定するロック機構が設けられ、前記ロック機構は、前記加工テーブルに設けられた第1制動面と、前記加工テーブルおよび前記切り込み装置の間に介装されるとともに、前記第1制動面に接触させる第2制動面を有する制動部材と、この制動部材を前記切り込み装置側へ付勢する弾性部材とを備え、前記切り込み装置が前記加工テーブルを前記加工回転板に対して前進させることにより、前記加工テーブルの前記第1制動面と、前記制動部材の前記第2制動面とが互いに接触して前記加工テーブルの回転角度位置を固定するものであることを特徴とする。
このようにすれば、回転支持手段により、加工すべき加工面の向きに応じて、加工テーブルの回転角度位置を設定することが可能となるうえ、三次元位置決め手段で加工テーブルおよび加工回転板を相対移動することにより、加工すべき加工面の位置に応じて、加工テーブルの加工回転板に対する位置を設定することが可能となるので、被加工部材を加工テーブルに一度セットすれば、被加工部材のセットをやり直さなくとも、複数箇所に対して加工を行えるようになり、加工の自動化が容易に図れるようになる。
この際、回転支持手段としては、加工テーブルを回転駆動するサーボモータを採用する等により、簡単な構造で実現することが可能なので、回転支持手段を設けても、自動加工機械の構造が複雑になることがない。
そして、水平方向の任意の位置に加工回転板を配置できるようになるので、加工テーブルにセットした被加工部材は、どの平面位置に対しても加工が行えるようになるうえ、加工テーブルの平面位置が固定されるようになるので、未加工の被加工部材を加工テーブルに供給する給材作業、および、加工済の被加工部材を加工テーブルから取り除く除材作業を自動化するにあたり、給材作業および除材作業を行う装置の制御が容易となり、この点からも、加工の自動化が容易に図れるようになる。
また、被加工部材の高さ寸法や厚さ寸法に応じて、Z軸移動機構で加工テーブルの高さレベルを調節することにより、被加工部材の加工開始位置が適宜設定されるので、切り込み装置は、加工テーブルを進退させるための僅かなストロークが確保されていればよく、構造の簡単なものが採用可能となり、Z軸移動機構全体を小型化できる。
しかも、時計の文字板のように、平たい円盤状の外周縁に沿って所定の角度毎に加工箇所が複数ある被加工部材を加工する場合には、一旦、Z軸移動機構で高さレベルを設定し、この後、切り込み装置による加工テーブルの進退動作と、回転支持手段による加工テーブルの回転角度位置変更動作とを交互に繰り返せば、Z軸移動機構を作動させずに、被加工部材の複数の加工箇所に対し迅速に加工が行える。このため、切削加工時には、Z軸移動機構を作動させる必要がなく、回転支持手段の位置制御のみを行えばよいので、切削加工時における自動制御が容易となり、この点からも、加工の自動化が容易に図れるようになる。
回転支持手段で所定の角度位置に固定された加工回転板に外力が加わると、当該外力は、サーボモータで回転角度位置を割り出す回転支持手段のサーボ機構の外乱となり、この 外乱となる外力により、回転支持手段のサーボ機構がハンチングし、加工テーブルが割り出された回転角度位置の近傍で振動するおそれがある。
このような振動が加工テーブルに生じると、被加工部材の加工面に不具合が生じる。例えば、ダイヤカット加工の場合には、加工テーブルの振動により、加工面に傷や歪みが生じるので、美しい鏡面に仕上げることができなくなる。
そこで、前述のように、加工テーブルの回転角度位置を固定するロック機構を設ければ、加工時に加工回転板が被加工部材に加える回転駆動力が回転支持手段のサーボ機構にとって好ましくない外力となっても、加工テーブルの回転角度位置は、ロック機構によって固定されるので、加工テーブルが振動することがなくなり、被加工部材の加工面への不具合の発生が未然に防止される。
さらに、切り込み装置が加工テーブルを前進させることにより、加工テーブルの回転角度位置が自動的に固定されるので、加工テーブルを固定するためのブレーキ機構、このブレーキ機構を駆動するアクチュエータ、および、このアクチュエータを制御する制御機構が何ら必要なく、切り込み装置の構造が簡単なものになり、その小型化が図れる。
【0008】
以上のような自動加工機械においては、前記回転支持手段には、前記加工テーブルを回転駆動するとともに当該加工テーブルの回転角度位置を割り出すことが可能なサーボモータが設けられていることが好ましい。
このようにすれば、サーボモータのみで回転支持手段の主たる構成要素が形成されるので、前述したように、回転支持手段を設けても、自動加工機械を形成する部品が増えず、自動加工機械の構造が簡単となるうえ、その小型化を容易に図ることが可能となる。
【0011】
そして、前記切り込み装置には、前記加工回転板に対して近接離隔可能に設けられた前記加工テーブルと係合するカムと、このカムを回転駆動するとともに回転速度が自在に調節可能となったサーボモータとが設けられていることが望ましい。
このように、回転数制御が容易なサーボモータでカムを回転駆動することで、加工テーブルの近接離隔動作を行えば、加工テーブルの移動速度調節は、デジタルシーケンサ等でソフトウェア処理により行うことが可能となるので、被加工部材の材質等に応じた細かい制御が行えるうえ、移動速度を制御するにあたり、変速機等の機械的要素を何ら必要としないので、全体の構造が複雑にならず、加工の自動化が一層容易に図れるようになる。
【0014】
また、前述の自動加工機械において、前記加工回転板は、その外周に設けられた加工具としてダイヤモンドバイトを備えたものであり、前記ダイヤモンドバイトで前記加工テーブルに設置された被加工部材を切削するダイヤカット加工を行うものであることが好ましい。
このように、ダイヤカット加工を行う切削加工機械に適用すれば、平面形状が五角形等の多角形状箇所に面取り加工が必要な被加工部材であっても、回転支持手段の動作により、前記多角形状箇所の各辺を加工回転板と平行となる回転角度まで移動できるうえ、三次元位置決め手段の動作により、加工対象となる辺を加工回転板で加工が行える平面位置まで移動できるので、多角形状箇所のすべての辺に対してダイヤカット加工で面取りが行え、従来、ダイヤカット加工を行うにあたり、加工テーブルへの被加工部材のセッティング作業を2回以上行なっていたのが、一回のセッティング作業でダイヤカット加工が行えるようになり、加工時間が短縮され、加工精度も向上される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本実施形態に係る自動加工機械1が示されている。まずこの自動加工機械1全体の概要について説明し、次いで、自動加工機械1の各部について順次説明する。
【0016】
[全体概要]
図1および図2において、自動加工機械1は、時計に用いられる文字板等が被加工部材2としてセットされ、文字板の略字にダイヤカットを施す切削加工機械である。この自動加工機械1には、加工前の被加工部材2を複数ストックする第1マガジン3と、被加工部材2の切削を行う加工装置4と、加工後の被加工部材2を複数ストックする第2マガジン5と、第1マガジン3から加工装置4への被加工部材2の搬送および加工装置4から第2マガジン5への被加工部材2の搬送を行う搬送装置6と、被加工部材2が設置されるとともに、その上で当該被加工部材2の加工が行われる二つの加工テーブル装置7とが設けられている。
なお、自動加工機械1を構成している前述の構成物3〜7は、デスク状の基台1Aに支持されている。
【0017】
第1マガジン3には、当該第1マガジン3から被加工部材2を取り出すための取出装置30が設けられている。この取出装置30は、被加工部材2を把持する取出用ロボットハンド31と、取出用ロボットハンド31を互いに直交する三方向、具体的には、X軸、Y軸およびZ軸に沿って移動させる取出用移動機構32とを備えたものとなっている。
第2マガジン5には、当該第2マガジン5に被加工部材2を格納するための格納装置50が設けられている。この格納装置50は、被加工部材2を把持する格納用ロボットハンド51と、格納用ロボットハンド51を互いに直交する三方向、すなわち、X軸、Y軸およびZ軸に沿って移動させる格納用移動機構52とを備えたものとなっている。
【0018】
搬送装置6は、被加工部材を把持する二つの搬送用ロボットハンド61と、搬送用ロボットハンド61を互いに直交する三方向、すなわち、X軸、Y軸およびZ軸に沿って移動させる搬送用移動機構62とを備えたものとなっている。搬送装置6の搬送用ロボットハンド61としては、加工テーブル装置7に加工前の被加工部材2を供給する給材ハンド61A と、加工テーブル装置7から加工後の被加工部材2を取り除く除材ハンド61B とが近接して設けられている。
【0019】
ここで、第1マガジン3から加工装置4を経由して第2マガジン5に至る被加工部材2の搬送経路において、取出装置30と搬送装置6との間には、第1マガジン3から取り出した被加工部材2が一時的に載置される第1アイドルテーブル8が設けられ、格納装置50と搬送装置6との間には、搬送装置6が搬送してきた加工後の被加工部材2が一時的に載置される第2アイドルテーブル9が設けられている。
また、加工テーブル装置7の加工テーブル70、第1アイドルテーブル8および第2アイドルテーブル9の各々には、図示されてはいないが、先端が尖った円錐状に形成された位置決め用のパイロットピンが立設されている。
一方、被加工部材2には、やはり図示されてはいないが、加工テーブル70、第1アイドルテーブル8および第2アイドルテーブル9の各パイロットピンを挿通させる位置決め用のパイロット孔が設けられている。
被加工部材2のパイロット孔にパイロットピンを挿通させることにより、加工テーブル70、第1アイドルテーブル8および第2アイドルテーブル9の各々の所定位置に被加工部材2が正確にセットされるようになっている。
【0020】
以下に自動加工機械1の加工装置4、加工テーブル装置7、第1マガジン3、第2マガジン5および搬送装置6について順次説明する。
[加工装置]
図3には、加工装置4が拡大されて示されている。図3において、加工装置4は、図示しないダイヤモンドバイトで略字を切削する切削機構40と、この切削機構40を互いに直交する二方向、すなわち、X軸およびY軸に沿って移動させる移動機構41とを備えたものとなっている。
【0021】
切削機構40には、所定の角度をおいて複数のダイヤモンドバイトが取り付けられた切削用回転板42と、切削用回転板42を回転駆動する電動機43と、切削用回転板42の回転軸を受ける軸受部44と、電動機43の回転駆動力を減速して切削用回転板42の回転軸に伝達する減速機45とが設けられている。
このうち、切削用回転板42は、外周に加工具であるダイヤモンドバイトが設けられた加工回転板となっている。
移動機構41には、自動加工機械1の基台1Aに敷設されるとともにY軸方向に延びる一対のY軸レール46と、これらのY軸レール46に沿って摺動するY軸スライダ47と、X軸方向に延びるとともにY軸スライダ47の上に敷設された一対のX軸レール48(一方のみ図示)と、これらのX軸レール48に沿って摺動するX軸スライダ49とが設けられている。
ここにおいて、Y軸レール46およびY軸スライダ47が、切削用回転板42をY軸に沿って移動するY軸移動機構とされ、X軸レール48およびX軸スライダ49が、切削用回転板42をX軸に沿って移動するX軸移動機構となっている。
【0022】
なお、移動機構41には、図3には示されていないが、Y軸スライダ47を駆動するために、基台1A側に取り付けられた送りねじ装置および電動機と、X軸スライダ49を駆動するために、Y軸スライダ47に取り付けられた送りねじ装置および電動機とが設けられている。
このような移動機構41により、加工装置4の切削機構40は、X軸およびY軸に沿って移動可能とされ、移動機構41で移動することにより、Y軸に沿った所定位置、換言すると、所定の高さレベルにおいて、X軸およびY軸を含む水平面の任意の箇所に対して切削加工が行えるようになっている。
【0023】
[加工テーブル装置]
図4および図5には、加工テーブル装置7が拡大されて示されている。この加工テーブル装置7は、加工テーブル70の上に載置された被加工部材2を、加工装置4の切削用回転板42に向かって上昇させ、回転する切削用回転板42に被加工部材2を接触させることにより、加工装置4に被加工部材2の切削を行わせるものとなっている。
このために、加工テーブル装置7には、加工テーブル70を加工装置4の切削用回転板42に向かって上昇させる上昇駆動機構71(図5にのみ示す)が設けられている。
また、加工テーブル装置7には、加工装置4の切削用回転板42に対する加工テーブル70の角度位置θを任意に設定するための角度調節機構72と、被加工部材2の切削を行うために上昇するにあたり、加工テーブル70が上昇を開始する高さレベルを任意に設定するための上昇始点設定機構73(図5にのみ示す)とが設けられている。
このうち、角度調節機構72は、加工テーブル70を回転可能に支持するものとなっている。また、上昇駆動機構71は、切削用回転板42に対して加工テーブル70を鉛直(Z軸)方向に沿って進退駆動する切り込み装置となっている。さらに、上昇始点設定機構73は、加工テーブル70をZ軸に沿って移動するZ軸移動機構となっている。
【0024】
具体的に説明すると、図4に示されるように、加工テーブル装置7の下方には、自動加工機械1の基台1Aに固定された下部筐体74が設けられている。この下部筐体74の上面には、Z軸方向に延びる図示しない複数のZ軸レールと、図5に示されるように、送りねじ装置75とが立設されている。
下部筐体74の上方には、Z軸レールに沿って摺動可能となったZ軸スライダ76が設けられている。下部筐体74の内部には、送りねじ装置75を駆動するサーボモータ77が設けられている。これらの送りねじ装置75およびサーボモータ77を含んで、加工テーブル70を昇降させる上昇始点設定機構73が形成されている。
【0025】
Z軸スライダ76の内部には、加工テーブル70を回転自在に支持する側面コ字形状の昇降基部711 と、この昇降基部711 をZ軸方向に沿って案内するZ軸レール712 と、昇降基部711 を昇降駆動するためのサーボモータ713 と、昇降基部711 およびサーボモータ713 の間を水平に仕切る仕切部714Aを備えた断面L字形のブラケット714 とが設けられている。
サーボモータ713 の出力軸713Aには、カム715 が設けられ、昇降基部711 には、仕切部714Aを貫通してサーボモータ713 のカム715 に達するプッシュロッド716 が設けられている。
プッシュロッド716 の先端には、カム715 に接触する車輪716Aが回転自在に設けられ、プッシュロッド716 の中間部分には、径方向に広がる鍔部716Bが設けられている。鍔部716Bと仕切部714Aとの間には、コイルスプリング717 が介装されている。
コイルスプリング717 は、プッシュロッド716 の先端の車輪716Aが常にカム715 に接触するように、プッシュロッド716 をカム715 に向かって付勢するものである。これにより、サーボモータ713 がカム715 を回転駆動すると、カム715 のプロフィールに追従してプッシュロッドが駆動され、加工テーブル70が昇降するようになっている。これらの部品711 〜717 を含んで、加工テーブル70を上昇させる上昇駆動機構71が上昇始点設定機構73に形成されている。
なお、カム715 としては、例えば、アルキメデスカムが採用できる。ここで、カム715 を回転駆動するサーボモータ713 の回転速度は、被加工部材2の材質などに応じて、図示しないデジタルシーケンサ等のソフトウェアで制御され、これにより、加工テーブル70の上昇速度等が可変とされ、同一プロフィールのカム715 により、様々な加工条件で切削加工が行えるようになっている。
【0026】
側面コ字形状の昇降基部711 の上面には、ボールベアリング721 を介して加工テーブル70が載置され、昇降基部711 の内部には、加工テーブル70を回転駆動するとともに、加工テーブル70の角度位置θを割り出すサーボモータ722 が設けられている。このサーボモータ722 により、加工テーブル70は、その回転角度位置が任意の角度位置θにセットできるようになっており、これらのボールベアリング721 およびサーボモータ722 を含んで角度調節機構72が形成されている。
ここで、角度調節機構72には、サーボモータ722 によって角度位置θにセットされた加工テーブル70を、その回転角度位置に固定するロック機構78が設けられている。
すなわち、加工テーブル70は、中間部分に縮径された縮径部781 を有する円柱状の部材となっている。縮径部781 の上方は、被加工部材2を載置させる加工ステージ70A を備えた円盤部70B となっており、縮径部781 の下方は、Z軸スライダ76の内部に隠蔽された基部782 となっている。
基部782 の周囲には、当該基部782 を囲む筒状の制動部材783 が設けられている。制動部材783 の図中上方の端部には、円盤部70B と基部782 との間を通って縮径部781 の側面近傍まで延びる制動鍔部784 が設けられている。制動部材783 の図中下方の端部には、Z軸スライダ76の側壁76A に向かって延びる鍔部785 が設けられている。
ここで、基部782 の制動鍔部784 と対向する面(図中下方の面)が第1制動面782Aとされ、制動鍔部784 の基部782 側(図中上方)の面が、前述の第1制動面782Aと接触する第2制動面784Aとなっている。
【0027】
一方、Z軸スライダ76には、側壁76A の図中上方の端部から制動部材783 に向かって延びる鍔部786 が設けられている。この鍔部785 とZ軸スライダ76の鍔部786 との間には、弾性部材としてのコイルスプリング787 が介装されている。このコイルスプリング787 により、制動部材783 は、図中下方へ付勢されている。また、制動部材783 は、図中下方の端部がブラケット714 の上端部に掛止されることで、それよりも下方へ移動することが不可能となっている。
そして、角度調節機構72が加工テーブル70の回転角度位置を角度位置θにセットし、上昇駆動機構71が加工テーブル70を上昇させると、図6に示されるように、加工テーブル70に形成された基部782 の上面が制動部材783 に形成された制動鍔部784 の下面に押し当てられ、第1制動面782Aと第2制動面784Aとが相互に接触し、加工テーブル70の回転角度位置が角度位置θに固定されるようになっている。これらの部品781 〜787 を含んで、加工テーブル70の回転角度位置をロックするロック機構78が形成されている。
ここにおいて、前述の切削機構40をX軸およびY軸に沿って移動させる移動機構41と、加工テーブル70を昇降させる、すなわち、Z軸に沿って移動させる上昇始点設定機構73とにより、互いに直交する三方向に沿って、加工テーブル70および切削用回転板42を相対的に移動させて被加工部材2の加工位置を設定する三次元位置決め手段が構成されている。
【0028】
[第1マガジン]
図7には、第1マガジン3および取出装置30が拡大されて示されている。このうち、第1マガジン3は、厚さの薄い平板状の被加工部材2を、その厚さ方向に多数配列させて格納するものとなっている。
すなわち、図8(A)に示されるように、第1マガジン3は、複数配列された被加工部材2の両側に立設された複数の側壁部301 を備えたものである。これらの側壁部301 の互いに対向する側面には、それぞれに被加工部材2を挿通させる複数の挿通溝302 が所定のピッチで設けられている。これらの挿通溝302 は、互いに対向するもの同士が、被加工部材2を挿入させるスロット303 の一つひとつを形成するものとなっている。
【0029】
また、複数の側壁部301 の図中左右(左側のみ図示する)には、一対の連結用側壁部304 が対向配置されている。これらの連結用側壁部304 により、複数の側壁部301 の端部同士が相互に連結されている。また、対向は位置された連結用側壁部304 の底部同士は、図8(B)に示されるように、平板状の底面材305 により相互に連結されている。これにより、第1マガジン3は、全体が箱状に形成されている。
なお、箱状に形成された第1マガジン3の深さ寸法Dは、縦に起こされた被加工部材2の高さ寸法Hとほぼ等しく寸法であるが、底面材305 の上に嵩上げ部材306 が設けられている。
これにより、被加工部材2を取り出す際に、取出用ロボットハンド31が被加工部材2を把持しやすいように、被加工部材2の上端縁が第1マガジン3の上端縁よりも上方へ突出するようになっている。
【0030】
また、挿通溝302 の上端部分には、上方に開いたのテーパー部302Aが設けられている。テーパー部302Aの下方は、挿通溝302 の両端縁が平行となったストレート部302Bとなっている。
このテーパー部302Aにより、被加工部材2をスロット303 に挿入する際に、被加工部材2の中心軸とスロット303 の中心軸とが多少ずれていても、被加工部材2の下端縁がテーパー部302Aに案内されるので、被加工部材2の挿入が容易に行えるようになっている。
【0031】
図7に戻って、取出装置30の取出用移動機構32は、第1マガジン3から被加工部材2を取り出すための取出用ロボットハンド31を支持するロボットアーム311 と、このロボットアーム311 を回動可能に支持するZ軸スライダ312 と、このZ軸スライダ312 をZ軸方向に沿って摺動可能に支持するZ軸送りねじ装置313 と、このZ軸送りねじ装置313 をY軸方向に沿って摺動可能に支持するY軸送りねじ装置314 と、このY軸送りねじ装置314 をX軸方向に沿って摺動可能に支持するX軸送りねじ装置315 とを備えたものとなっている。
ここで、取出用ロボットハンド31は、ロボットアーム311 の回動により、把持した被加工部材2が鉛直となる鉛直位置Pと、把持した被加工部材2が水平となる水平位置Qとの二位置間を揺動可能となっている。
【0032】
また、取出用ロボットハンド31は、図9に示されるように、ロボットアーム311 に接合される第1接合部33A と、取出用ロボットハンド31が接合される第2接合部33B とを有する連結部材33を介して、ロボットアーム311 に取り付けられている。
連結部材33は、第1接合部33A と第2接合部33B との位置関係が所定の範囲で変位自在なフリー状態、ならびに、第1接合部33A と第2接合部33B とが所定の位置関係に固定される固定状態の二つの状態の一方から他方へ切換可能なコンプライアンスモジュールとされている。
なお、コンプライアンスモジュールとしては、圧搾空気で作動するSMC株式会社製の型番XT355−35等が採用できる。
そして、連結部材33がフリー状態となっている場合には、取出用ロボットハンド31は、X軸およびY軸の両方向に沿って所定の範囲内で移動自在とされ、かつ、当該取出用ロボットハンド31の中心線に沿った軸Rを中心にして、所定の範囲内で回転自在となっている。
一方、連結部材33がフリー状態から固定状態に移行すると、取出用ロボットハンド31は、その軸Rの位置がX軸およびY軸を含む平面における所定位置に戻されて固定されるとともに、回転角度位置も所定の位置に戻されて固定されるようになっている。
【0033】
取出用ロボットハンド31には、被加工部材2の端縁を両側から挟む一対の挟持指34が設けられている。
これらの挟持指34の各々は、開いた位置Aおよび閉じた位置Bの二位置間を移動可能となっている。挟持指34の互いに対向する面は、全体が被加工部材2の端縁と当接する当接部34A とされている。ただし、挟持指34が被加工部材2と当接する寸法は、被加工部材2の第1マガジン3からの突出量、すなわち、被加工部材2の高さ寸法Hによって異なっている。
各当接部34A には、被加工部材2の端縁に沿って延びる断面V字形の溝34B が設けられている。
【0034】
このような挟持指34の近傍には、スロット303 に挿入されている被加工部材2に当接することにより、当該被加工部材2を一対の挟持指34で挟持できる姿勢に矯正する姿勢矯正部材である板バネ35が設けられている。
板バネ35は、クランク状に折れ曲がった側面形状を有するものであり、基端35A が一対の挟持指34に挟まれる領域から外れた位置に設けられている。板バネ35の先端には、被加工部材2の両端縁近傍に当接させる一対の当接部35B が設けられている。これらの当接部35B は、一対の挟持指34に挟まれる領域の内側の位置に設けられている。
【0035】
以下に、取出用ロボットハンド31の取出動作を簡単に説明する。
連結部材33を固定状態にした後、図10(A)に示されるように、第1マガジン3のスロット303 に挿入されている被加工部材2に対し、取出用ロボットハンド31をY軸のプラス方向から近づけ、さらに、取出用ロボットハンド31をY軸のマイナス方向へ進ませ、板バネ35の当接部35B を被加工部材2の両端縁近傍に当接させ、図10(B)に示されるように、被加工部材2の姿勢を矯正する。
これにより、図10(A)の如く、被加工部材2がスロット303 に対して斜めに挿入されていても、図10(B)の如く、板バネ35により、被加工部材2の姿勢がスロット303 に沿うように矯正される。
ここで、第1マガジン3のスロット303 の成形精度や寸法精度が充分でないために、一対の挟持指34に挟まれる領域の外側に被加工部材2がずれていても、連結部材33をフリー状態にすると、板バネ35の弾性力による反力で、取出用ロボットハンド31の位置が修正され、一対の挟持指34に挟まれる領域の内側に被加工部材2が完全に納まる。
【0036】
この状態で、一対の挟持指34を接近させ、図10(C)に示されるように、これらの挟持指34に被加工部材2を挟持させる。
この後、取出用ロボットハンド31を上昇させ、スロット303 から被加工部材2を抜き出す。
この際、連結部材33がフリー状態となっているので、抜き出される被加工部材2の位置が自由に変位し、被加工部材2が第1マガジン3の側壁部301 と強く擦れ合うことがなく、被加工部材2に傷が付くことがない。
被加工部材2をスロット303 から完全に抜き出した後、連結部材33を再度固定状態にし、この状態で、被加工部材2を第1アイドルテーブル8まで運び、取出用ロボットハンド31の取出動作が完了する。
【0037】
[第2マガジン]
図11には、第2マガジン5および格納装置50が拡大されて示されている。このうち、第2マガジン5は、前述の第1マガジン3から嵩上げ部材306 を省略したものであり、これ以外は、第1マガジン3と同一構造であるので、その説明を省略する。
格納装置50の格納用移動機構52は、第2マガジン5に被加工部材2を格納するための格納用ロボットハンド51を支持するロボットアーム511 と、このロボットアーム511 を回動可能に支持するZ軸スライダ512 と、このZ軸スライダ512 をZ軸方向に沿って摺動可能に支持するZ軸送りねじ装置513 と、このZ軸送りねじ装置513 をY軸方向に沿って摺動可能に支持するY軸送りねじ装置514 と、このY軸送りねじ装置514 をX軸方向に沿って摺動可能に支持するX軸送りねじ装置515 とを備えたものとなっている。
ここで、格納用ロボットハンド51は、ロボットアーム511 の回動により、把持した被加工部材2が鉛直となる鉛直位置Pと、把持した被加工部材2が水平となる水平位置Qとの二位置間を揺動可能となっている。
【0038】
また、格納用ロボットハンド51は、図12に示されるように、ロボットアーム511 に接合される第1接合部53A と、格納用ロボットハンド51が接合される第2接合部53B とを有する連結部材53を介して、ロボットアーム511 に取り付けられている。
連結部材53は、前述の連結部材33と同様に、第1接合部53A と第2接合部53B との位置関係が所定の範囲で変位自在なフリー状態、ならびに、第1接合部53A と第2接合部53B とが所定の位置関係に固定される固定状態の二つの状態の一方から他方へ切換可能なコンプライアンスモジュールとされている。
そして、連結部材53がフリー状態となっている場合には、格納用ロボットハンド51は、X軸およびY軸の両方向に沿って所定の範囲内で移動自在とされ、かつ、当該格納用ロボットハンド51の中心線に沿った軸Rを中心にして、所定の範囲内で回転自在となっている。
一方、連結部材53がフリー状態から固定状態に移行すると、格納用ロボットハンド51は、その軸Rの位置がX軸およびY軸を含む平面における所定位置に戻されて固定されるとともに、回転角度位置も所定の位置に戻されて固定されるようになっている。
【0039】
格納用ロボットハンド51には、被加工部材2の端縁を両側から挟む一対の挟持指54が設けられている。
これらの挟持指54の各々は、開いた位置Aおよび閉じた位置Bの二位置間を移動可能となっている。挟持指54の互いに対向する面は、全体が被加工部材2の端縁と当接する当接部54A とされている。そして、各当接部54A には、被加工部材2の端縁に沿って延びる断面V字形の溝54B が設けられている。
【0040】
このような挟持指54の下方には、被加工部材2を挿入すべきスロット303 の隣のスロット303 に挿入されるとともに、隣のスロット303 と係合して格納用ロボットハンド51の位置を決める一対のパイロット爪55が設けられている。
これらのパイロット爪55の各々は、閉じた位置Cおよび開いた位置Dの二位置間を移動可能となっている。
ここで、各パイロット爪55の平断面形状は、図13(C)に示されるように、第2マガジン5の挿通溝302 の平面形状に応じるとともに、挿通溝302 側に等辺がなす頂点を有する二等辺三角形状となっている。
【0041】
また、パイロット爪55の各々は、側面形状が台形状に形成された一対のブラケット55A にそれぞれ固定され、これらのブラケット55A は、格納用ロボットハンド51の筐体51A に接合された箱状フレーム55B の底面に摺動可能に支持されている。これにより、挟持指54およびパイロット爪55の水平方向における位置関係が、被加工部材2を挿入すべきスロット303 と、その隣のスロット303 との位置関係、すなわち、スロット303 のピッチに対応したものとなっている。
【0042】
以下に、格納用ロボットハンド51の格納動作を簡単に説明する。
連結部材53を固定状態にし、この状態で、第2アイドルテーブル9に載置された被加工部材2を把持し、第2アイドルテーブル9から被加工部材2を持ち上げた後、格納用ロボットハンド51を第2マガジン5に移動させる。
格納用ロボットハンド51が被加工部材2を挿入すべきスロット303 の真上に到達したら、格納用ロボットハンド51を停止させる。この際、図13(A)の如く、被加工部材2を挿入すべきスロット303 の隣のスロット303 の中心線とパイロット爪55の中心線とが多少ずれていてもよい。
この後、図13(B)に示されるように、パイロット爪55がスロット303 の上端よりも低い高さレベルとなる位置まで、格納用ロボットハンド51を降下させる。この状態では、図13(C)に示されるように、一対のパイロット爪55は、閉じた状態にあり、スロット303 とは係合していない。
【0043】
次いで、連結部材53をフリー状態にし、一対のパイロット爪55を開いてスロット303 に係合させる。すると、図14(D)に示されるように、格納用ロボットハンド51の位置が修正され、格納用ロボットハンド51の挟持指54に挟持された被加工部材2が、挿入すべきスロット303 の直上の位置に配置される。
この状態で、格納用ロボットハンド51の挟持指54を開くと、被加工部材2は、図14(E)に示されるように、挿入すべきスロット303 に向かって落下し、当該スロット303 に挿入される。この後、パイロット爪55を閉じて格納用ロボットハンド51を上昇させると、格納用ロボットハンド51の格納動作が完了する。
【0044】
[搬送装置]
図15には、搬送装置6が拡大されて示されている。搬送装置6の搬送用移動機構62は、加工テーブル70に対して給材および除材のそれぞれを行う給材ハンド61A および除材ハンド61B を支持するとともにZ軸送りねじ装置を内蔵したZ軸スライダ611 と、このZ軸スライダ611 をZ軸方向に沿って案内するZ軸レール612 を有するX軸スライダ613 と、このX軸スライダ613 をX軸方向に沿って摺動可能に支持するX軸送りねじ装置614 と、このX軸送りねじ装置614 をY軸方向に沿って摺動可能に支持するY軸送りねじ装置615 とを備えたものとなっている。
ここで、Z軸スライダ611 の上部には、給材ハンド61A および除材ハンド61B を支持するための上部構面材610 が設けられている。そして、給材ハンド61A および除材ハンド61B としての搬送用ロボットハンド61は、図16に示されるように、上部構面材610 に接合される第1接合部63A と、搬送用ロボットハンド61が接合される第2接合部63B とを有する連結部材63を介して、Z軸スライダ611 に取り付けられている。
【0045】
連結部材63は、前述の連結部材33, 53と同様に、第1接合部63A と第2接合部63B との位置関係が所定の範囲で変位自在なフリー状態、ならびに、第1接合部63A と第2接合部63B とが所定の位置関係に固定される固定状態の二つの状態の一方から他方へ切換可能なコンプライアンスモジュールとされている。
そして、連結部材63がフリー状態となっている場合には、搬送用ロボットハンド61は、X軸およびY軸の両方向に沿って所定の範囲内で移動自在とされ、かつ、当該搬送用ロボットハンド61の中心線に沿った回転軸を中心にして、所定の範囲内で回転自在となっている。
一方、連結部材63がフリー状態から固定状態に移行すると、搬送用ロボットハンド61は、その回転軸の位置がX軸およびY軸を含む平面における所定位置に戻されて固定されるとともに、回転角度位置も所定の位置に戻されて固定されるようになっている。
【0046】
また、搬送用ロボットハンド61は、底部が開口された筐体611Aと、この筐体611Aに支持される駆動部611Bと、この駆動部611Bの両端縁部分から下方に延びる一対の固定指611Cとを備えたものとなっている。
このうち、固定指611Cは、加工テーブル70、第1アイドルテーブル8および第2アイドルテーブル9に形成された位置決め孔64の位置に応じて搬送用ロボットハンド61に設けられ、その底面には、位置決め孔64に挿通させる位置決めピン65が設けられている。この位置決めピン65の先端部分には、先端側ほど外径が小さくなったテーパー部65A が形成されている。
【0047】
また、固定指611Cの内部には、テーブル70,8,9に載置された被加工部材2の端縁から裏側の面まで回り込むように延びる鉤型に形成されるとともに、互いに近接離隔可能に設けられた一対の支持爪66と、これらの支持爪66に向かって付勢された状態で配置されるとともに、支持爪66との間に挟み込むことにより、被加工部材2を把持する押圧部材67とが設けられている。
具体的には、支持爪66は、全体が略J字型の爪部材66A の一部であり、この爪部材66A が駆動部611Bに内蔵された図示しないアクチュエータによって駆動されることにより、開いた位置Aおよび閉じた位置Bの二位置間を移動可能となっている。
【0048】
押圧部材67は、被加工部材2と接触する面とは反対側の面から駆動部611Bに向かって延びる三本のロッド68を備えたものである。これらのロッド68は、駆動部611Bを図中上下に貫通する貫通孔68C に挿通されている。
このうち、両端に配置されたロッド68A は、貫通孔68C の内周面と係合することにより、押圧部材67が直線的に移動するように案内するガイドロッドとなっている。
中央に配置されたロッド68B は、駆動部611Bおよび押圧部材67の間に介装されたコイルスプリング69の内部に挿通されている。コイルスプリング69により、支持爪66に向かって押圧部材67が付勢されるようになっている。
ロッド68B の図中上端には、当該ロッド68B が貫通孔68C から抜けないように、貫通孔68C の内径よりも大きな外径を有する抜止部69A が設けられている。
【0049】
以下に、搬送用ロボットハンド61による、加工テーブル70および第1アイドルテーブル8からの除材動作を簡単に説明する。
図17(A)に示されるように、搬送用ロボットハンド61がテーブル70, 8の直上に到達したら、搬送用ロボットハンド61を下降させ、図17(B)に示されるように、搬送用ロボットハンド61の位置決めピン65をテーブル70, 8の位置決め孔64に挿通させる。この際、位置決めピン65の位置と位置決め孔64の位置とがずれていると、位置決めピン65を位置決め孔64に挿通できない場合がある。この場合には、連結部材63をフリー状態にし、搬送用ロボットハンド61をさらに下降させると、位置決めピン65の先端部分に設けたテーパー部65A が案内することにより、搬送用ロボットハンド61の位置が修正され、位置決めピン65が位置決め孔64に挿通される。
ここで、搬送用ロボットハンド61の下降開始からの経過時間を計測する時限装置と、搬送用ロボットハンド61が所定の高さレベルまで下降したことを検出するリミットスイッチ等の位置検出装置とを設ければ、所定時間が経過しても、位置決めピン65が位置決め孔64に挿通されず、搬送用ロボットハンド61が所定の高さレベルまで下降しないことが検出可能となり、これにより、連結部材63のフリー状態への切換動作が自動的に行えるようになる。
【0050】
この後、押圧部材67を被加工部材2に押し付け、コイルスプリング69の弾性力に抗して、さらに、搬送用ロボットハンド61を下降させ、支持爪66がテーブル70, 8の上面よりも低い位置に達したら、一対の支持爪66を近接させた後、搬送用ロボットハンド61をゆっくりと上昇させる。すると、図17(C)に示されるように、コイルスプリング69に付勢された押圧部材67が支持爪66との間に被加工部材2を挟持したまま上昇する。
これにより、搬送用ロボットハンド61は、被加工部材2を把持した状態でテーブル70, 8から持ち上げ、連結部材63を固定状態にさせると、テーブル70, 8から被加工部材2を取り除く除材作業が完了する。
【0051】
なお、搬送用ロボットハンド61による、加工テーブル70および第2アイドルテーブル9への給材動作は、以上の除材動作とは逆の動作となる。
すなわち、搬送用ロボットハンド61がテーブル70, 9の直上に到達したら、搬送用ロボットハンド61を下降させ、搬送用ロボットハンド61の位置決めピン65をテーブル70, 8の位置決め孔64に挿通させる。
この際、位置決めピン65が位置決め孔64に挿通されないときには、連結部材63がフリー状態となり、搬送用ロボットハンド61がさらに下降し、位置決めピン65のテーパー部65A の作用により、搬送用ロボットハンド61の位置を修正させ、位置決めピン65の位置決め孔64への挿通を可能とする。
【0052】
そして、位置決めピン65が位置決め孔64に挿通されたら、押圧部材67を被加工部材2に押し付け、コイルスプリング69の弾性力に抗して、さらに、搬送用ロボットハンド61を下降させ、支持爪66がテーブル70, 9の上面よりも低い位置に達したら、一対の支持爪66を離隔させた後、搬送用ロボットハンド61をゆっくりと上昇させる。すると、支持爪66が離隔状態にあるので、被加工部材2は、テーブル70, 9に載置されたまま残り、搬送用ロボットハンド61は、何も把持しない状態でテーブル70, 9から離れて上昇する。
この後、連結部材63を固定状態にさせると、テーブル70, 9に被加工部材2を載置する給材作業が完了する。
【0053】
[全体の動作]
次に、本実施形態の自動加工機械1全体の動作を簡単に説明する。
図18(A)に示されるように、自動加工機械1の加工装置4は、図中左側の加工テーブル70の被加工部材2に対しての加工を完了すると、X軸をプラス方向へ移動し、加工テーブル70から離れる。
加工テーブル70から加工装置4が完全に離脱すると、搬送装置6の除材ハンド61B がX軸をプラス方向へ移動し、加工テーブル70の直上に到達し、加工を終えた被加工部材2を加工テーブル70から取り除く。
【0054】
次いで、図18(B)に示されるように、搬送装置6の除材ハンド61B が加工テーブル70から離れるとともに、除材ハンド61B に近接設置された給材ハンド61A が加工テーブル70の直上に到達し、未加工の被加工部材2を加工テーブル70に載置する。
【0055】
この後、除材ハンド61B および給材ハンド61A は、X軸をマイナス方向へ移動して加工テーブル70から離れ、さらに、Y軸をプラス方向へ移動し、除材ハンド61B のY軸に沿った位置が、図18(C)に示されるように、第2アイドルテーブル9と同じ位置に達すると、移動方向をX軸のプラス方向に変える。
この頃までには、加工装置4は、図中右側の加工テーブル70の直上に達し、加工テーブル70の上に載置された被加工部材2に対して加工を行っている。
そして、図18(D)に示されるように、除材ハンド61B が第2アイドルテーブル9の直上に達したら、除材ハンド61B は、第2アイドルテーブル9の上に加工を終えた被加工部材2を載置する。
第2アイドルテーブル9への被加工部材2の載置が完了し、除材ハンド61B がX軸をマイナス方向へ移動し、第2アイドルテーブル9から完全に離れると、第2マガジン5の格納装置50は、次に除材ハンド61B が第2アイドルテーブル9に到達する前までに、第2アイドルテーブル9から加工を終えた被加工部材2を取り除き、取り除いた被加工部材2を第2マガジン5に格納する。
【0056】
一方、第2アイドルテーブル9から離れた除材ハンド61B および給材ハンド61A は、Y軸をマイナス方向へ移動し、給材ハンド61A のY軸に沿った位置が、図19(E)に示されるように、第1アイドルテーブル8と同じ位置に達すると、移動方向をX軸のプラス方向に変える。
そして、図19(F)に示されるように、給材ハンド61A が第1アイドルテーブル8の直上に達したら、給材ハンド61A は、第1アイドルテーブル8の上に載置してある未加工の被加工部材2を把持する。
第1アイドルテーブル8の被加工部材2を把持したら、給材ハンド61A は、X軸をマイナス方向へ移動し、給材ハンド61A が第1アイドルテーブル8から完全に離れると、第1マガジン3の取出装置30は、次に給材ハンド61A が第1アイドルテーブル8に到達する前までに、次の被加工部材2を第1マガジン3から取り出し、取り出した被加工部材2を第1アイドルテーブル8に載置する。
【0057】
一方、第1アイドルテーブル8から離れた除材ハンド61B および給材ハンド61A は、Y軸をプラス方向へ移動し、除材ハンド61B のY軸に沿った位置が、図19(G)に示されるように、図中右側の加工テーブル70と同じ位置に達する頃までには、加工装置4は、図中右側の加工テーブル70に載置された被加工部材2に対する加工を完了している。
【0058】
加工装置4は、図19(H)に示されるように、図中右側の加工テーブル70の被加工部材2に対する加工を完了すると、X軸をプラス方向へ移動し、加工テーブル70から離れる。
加工テーブル70から加工装置4が完全に離脱すると、除材ハンド61B がX軸をプラス方向へ移動し、加工テーブル70の直上に到達し、加工を終えた被加工部材2を加工テーブル70から取り除く。
【0059】
このように、自動加工機械1は、二つの加工テーブルに対して、被加工部材2の給除材作業および加工処理とを交互に繰り返し行うものとなっている。
ここで、加工装置4が一つの被加工部材2の加工に要するサイクルタイム、搬送装置6が被加工部材2を交換する交換作業に要するサイクルタイム、取出装置30が第1マガジン3から取り出した被加工部材2を第1アイドルテーブル8に載置するサイクルタイム、および、格納装置50が第2アイドルテーブル9に載置された被加工部材2を第2マガジン5に格納するサイクルタイムは、ほぼ同じとされ、加工装置4、搬送装置6、取出装置30および格納装置50の待ち時間が殆どないように設定されている。
【0060】
[切削動作]
続いて、本実施形態における切削動作を簡単に説明する。
ここで、切削動作を説明するに先立ち、本実施形態における被加工部材2の説明を行う。図20には、被加工部材2である時計に用いられる略字20が示されている。この略字20は、時計の文字板の12時位置等に植設される五角形状のものである。
また、略字20は、ダイヤカット加工を行う前は、平面形が五角形となった平板状のものである。
一方、切削用回転板42のダイヤモンドバイトは、側面台形状のものが採用され、台形の斜辺で面取り鏡面加工が行え、台形の上辺で鏡面加工が行えるようになっている。
このようなダイヤモンドバイトの斜辺で、略字20の五角形のすべての辺を面取り加工し、これにより、略字20には、図20(A)に示されるように、その各辺に沿った加工面21〜25が形成さている。また、ダイヤモンドバイトの上辺で、略字20の上面を鏡面加工し、これにより、略字20の上面は、鏡面加工された加工面26となっている。
【0061】
そして、略字20は、複数まとめてダイヤカット加工される。具体的には、複数の略字20は、図20(B)に示されるように、時計の文字板状に形成された治具200 の1時位置から12時位置までの各位置に配置され、この状態で、ダイヤカット加工が施される。なお、図20には、加工後の略字20が示されている。
【0062】
このような治具200 に取り付けられた略字20にダイヤカット加工を施するにあたり、治具200 が加工テーブル70にセットされると、治具200 および略字20の厚さ寸法に応じた高さレベルに当該治具200 が配置されるように、上昇始点設定機構73が動作し、図21(A)に示されるように、治具200 の12時位置に配置された略字20の角度位置θが所定角度aとなるように、角度調節機構72が動作し、さらに、略字20の加工面21の直上に切削用回転板42に設けられたダイヤモンドバイトの斜辺がくるように、移動機構41が動作する。
この状態で、上昇駆動機構71が加工テーブル70を前進させ、略字20を切削加工し、加工面21を形成する。
この後、角度調節機構72が加工テーブル70を30度ずつ回転駆動させる回転角度位置の変更動作と、上昇駆動機構71が加工テーブル70を進退させる切削動作とが交互に繰り返されることにより、12時位置から11時位置までに配置された略字20の各加工面21の形成が順次行われる。
【0063】
治具200 に配置された全略字20について加工面21の形成が完了すると、図21(B)の如く、12時位置に配置された略字20の角度位置θが所定角度bとなるように、角度調節機構72が動作し、さらに、略字20の加工面22の直上に切削用回転板42に設けられたダイヤモンドバイトの斜辺がくるように、移動機構41が動作する。
この状態で、上昇駆動機構71が加工テーブル70を前進させ、略字20を切削加工し、加工面22を形成する。
この後、角度調節機構72が加工テーブル70を30度ずつ回転駆動させる回転角度位置の変更動作と、上昇駆動機構71が加工テーブル70を進退させる切削動作とが交互に繰り返されることにより、12時位置から11時位置までに配置された略字20の各加工面22の形成が順次行われる。
【0064】
治具200 に配置された全略字20について加工面22の形成が完了すると、図21(C)に示されるように、12時位置の略字20の角度位置θが所定角度cとなるように、角度調節機構72が動作し、さらに、略字20の加工面23の直上に切削用回転板42に設けられたダイヤモンドバイトの斜辺がくるように、移動機構41が動作する。
この状態で、上昇駆動機構71が加工テーブル70を前進させ、略字20を切削加工し、加工面23を形成する。
この後、角度調節機構72が加工テーブル70を30度ずつ回転駆動させる回転角度位置の変更動作と、上昇駆動機構71が加工テーブル70を進退させる切削動作とが交互に繰り返されることにより、12時位置から11時位置までに配置された略字20の各加工面23の形成が順次行われる。
【0065】
治具200 に配置された全略字20について加工面23の形成が完了すると、図21(D)に示されるように、12時位置の略字20の角度位置θが所定角度dとなるように、角度調節機構72が動作し、さらに、略字20の加工面24の直上に切削用回転板42に設けられたダイヤモンドバイトの斜辺がくるように、移動機構41が動作する。
この状態で、上昇駆動機構71が加工テーブル70を前進させ、略字20を切削加工し、加工面24を形成する。
この後、角度調節機構72が加工テーブル70を30度ずつ回転駆動させる回転角度位置の変更動作と、上昇駆動機構71が加工テーブル70を進退させる切削動作とが交互に繰り返されることにより、12時位置から11時位置までに配置された略字20の各加工面24の形成が順次行われる。
【0066】
治具200 に配置された全略字20について加工面24の形成が完了すると、図21(E)に示されるように、12時位置の略字20の角度位置θが所定角度eとなるように、角度調節機構72が動作し、さらに、略字20の加工面25の直上に切削用回転板42に設けられたダイヤモンドバイトの斜辺がくるように、移動機構41が動作する。
この状態で、上昇駆動機構71が加工テーブル70を前進させ、略字20を切削加工し、加工面25を形成する。
この後、角度調節機構72が加工テーブル70を30度ずつ回転駆動させる回転角度位置の変更動作と、上昇駆動機構71が加工テーブル70を進退させる切削動作とが交互に繰り返されることにより、12時位置から11時位置までに配置された略字20の各加工面25の形成が順次行われる。
【0067】
治具200 に配置された全略字20について加工面25の形成が完了すると、図21(F)に示されるように、12時位置の略字20の角度位置θが所定角度fとなるように、角度調節機構72が動作し、さらに、略字20の加工面26の直上に切削用回転板42に設けられたダイヤモンドバイトの上辺がくるように、移動機構41が動作する。
この状態で、上昇駆動機構71が加工テーブル70を前進させ、略字20を切削加工し、加工面26を形成する。
この後、角度調節機構72が加工テーブル70を30度ずつ回転駆動させる回転角度位置の変更動作と、上昇駆動機構71が加工テーブル70を進退させる切削動作とが交互に繰り返されることにより、12時位置から11時位置までに配置された略字20の各加工面26の形成が順次行われる。治具200 に配置された全略字20について加工面26の形成が完了すると、当該略字20の切削加工が完了する。
【0068】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、加工テーブル70を回転可能に支持するとともに加工テーブル70の回転角度位置を設定する角度調節機構72を設け、被加工部材2に設定された加工すべき加工面の向きに応じて、加工テーブル70の回転角度位置を設定できるようにし、かつ、切削用回転板42をX軸およびY軸方向に移動する移動機構41と、加工テーブル70をZ軸方向に移動する上昇始点設定機構73とを設け、被加工部材2の加工面の位置に応じて、加工テーブル70の切削用回転板42に対する位置を設定できるようにしたので、被加工部材2を加工テーブル70に一度セットすれば、被加工部材70のセットをやり直さなくとも、被加工部材70の複数箇所に対して加工を行えるようになり、加工の自動化を容易に実現できる。
【0069】
また、角度調節機構72に、加工テーブル70を回転駆動するとともに、加工テーブル70の回転角度位置を割り出すことが可能なサーボモータ722 を設け、サーボモータ722 のみで角度調節機構72の主たる構成要素を形成するようにしたので、角度調節機構72を設けても、自動加工機械1を形成する部品が増えず、自動加工機械1の構造を簡単とできるうえ、その小型化を容易に実現できる。
【0070】
さらに、切削用回転板42をX軸およびY軸方向に移動する移動機構41と、加工テーブル70をZ軸方向に移動する上昇始点設定機構73とにより、三次元位置決め手段を形成し、水平方向の任意の位置に切削用回転板42を配置できるようにしたので、加工テーブル70にセットした被加工部材2は、どの平面位置に対しても加工を行うことができる。しかも、加工テーブル70の平面位置が固定されるようになるので、未加工の被加工部材2を加工テーブル70に供給する給材作業、および、加工済の被加工部材2を加工テーブル70から取り除く除材作業を自動化するにあたり、給材作業および除材作業を行う装置の制御が容易となり、この点からも、加工の自動化を容易に実現できる。
【0071】
また、切削用回転板42に対して加工テーブル70を進退駆動する上昇駆動機構71を上昇始点設定機構73に設け、被加工部材2の高さ寸法や厚さ寸法に応じて、上昇始点設定機構73で加工テーブル70の高さレベルを調節することにより、被加工部材2の加工開始位置を適宜設定できるようにしたので、上昇駆動機構71は、加工テーブル70を進退させるための僅かなストロークが確保されていればよく、構造の簡単なものが採用可能となり、全体を小型化できる。
しかも、平たい円盤状の外周縁に沿って所定の角度毎に加工箇所が複数ある時計の文字板が被加工部材2であり、一旦、上昇始点設定機構73で高さレベルを設定し、この後、上昇駆動機構71による加工テーブル70の進退動作と、角度調節機構72による加工テーブル70の回転角度位置変更動作とを交互に繰り返せば、上昇駆動機構71を作動させる必要がなくなり、被加工部材2の複数の加工箇所に対し迅速に加工を行うことができる。
そして、切削加工時には、上昇始点設定機構73の作動を不要としたので、角度調節機構72の位置制御のみを行えばよくなり、切削加工時におかる自動制御が容易に行え、この点からも、加工の自動化を容易に実現できる。
【0072】
また、切削用回転板42に対して近接離隔可能に設けられた加工テーブル70と係合するカム715 と、このカム715 を回転駆動するとともに、回転速度が自在に調節可能となったサーボモータ713 とを含んで上昇駆動機構71を形成し、サーボモータ713 の回転数制御をデジタルシーケンサ等のソフトウェアで行うようにしたので、加工テーブル70の切削用回転板42への接近速度を、被加工部材2の材質等に応じて細かく制御することが可能となり、被加工部材2の切削加工を確実に行うことができるうえ、接近速度を制御するにあたり、変速機等の機械的要素を何ら必要としないので、上昇駆動機構71全体の構造が複雑にならず、加工の自動化を一層容易に実現できる。
【0073】
さらに、切削用回転板42に対して加工テーブル70を前進させた際に、角度調節機構72が設定した加工テーブル70の回転角度位置を固定するロック機構78を上昇駆動機構71に設け、切削加工時に加工テーブル70が振動しないようにしたので、加工された被加工部材2の加工面には何ら不具合が生じことがない。
特に、ダイヤカット加工の場合には、加工テーブル70が振動すると、加工面に傷や歪みが生じるが、加工テーブル70が振動しないので、加工面を美しい鏡面に仕上げることができる。
【0074】
また、加工テーブル70および上昇駆動機構71の間に制動部材783 を介装し、加工テーブル70の基部782 に第1制動面782Aを設け、第1制動面782Aに接触させる第2制動面784Aを制動部材783 に設け、上昇駆動機構71が加工テーブル70を切削用回転板42に対して前進させると、加工テーブル70の第1制動面782Aと、制動部材783 の第2制動面784Aとが接触して、加工テーブル70の回転角度位置を固定するようにしたので、上昇駆動機構71の作動により、加工テーブル70の回転角度位置が自動的に固定されるようになり、加工テーブル70を固定するためのブレーキ機構、このブレーキ機構を駆動するアクチュエータ、および、このアクチュエータを制御する制御機構が何ら必要なく、上昇駆動機構71の構造を簡単なものとすることができ、その小型化を実現することができる。
【0075】
さらに、時計の文字板等の薄板状の装飾物を被加工部材とする自動加工機械1に適用したので、多角形状箇所の面取り加工を行うにあたり、角度調節機構72の動作により、多角形状箇所の各辺を切削用回転板42と平行となる回転角度まで移動できるうえ、移動機構41の動作により、加工対象となる辺を切削用回転板42で加工が行える平面位置まで移動できるので、多角形状箇所のすべての辺に対してダイヤカット加工で面取りを行うことができる。
これにより、従来、ダイヤカット加工を行うにあたり、加工テーブル70への被加工部材2のセッティング作業を2回以上行なっていたのが、セッティング作業を一回行えば、ダイヤカット加工が完了するまで、再度セッティング作業を行う必要がなくなるので、ダイヤカット加工に要する加工時間を短縮できるうえ、加工精度も向上することができる。
【0076】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、被加工部材としての略字としては、平面形状が五角形となったものに限らず、六角形や四角形のものでもよく、さらに、文字板に植設されるものに限らず、文字板の表面から突出するように、プレス機械で半抜き加工されることにより、文字板に一体成形されるものでもよい。
文字板に一体成形された略字でも、前記実施形態における治具200 の代わりに、略字が一体成形された文字板を加工テーブル70に載置すれば、植設用の略字と同様にダイヤカット加工を施すことができる。
【0077】
また、加工テーブル装置の上昇駆動機構としては、サーボモータの回転速度を調節して、被加工部材の材質等に応じた加工条件で切削加工を行うものに限らず、プロフィールの異なる多数種類のカムを用意し、切削加工を行う被加工部材の材質等に応じたプロフィールのカムを選択し、これにより、様々な加工条件で切削加工を行うようにしたものでもよい。
【0078】
さらに、加工装置としては、加工回転板の回転軸が水平に固定された加工装置4に限らず、図22に示されるように、加工回転板42の回転軸42A が揺動可能に設けられた加工装置4Aでもよい。
この際、切削機構40の軸受部44と、この軸受部44を支持するX軸スライダ49とを連結する支軸401 と、加工回転板42の回転軸42A の揺動角度の変更するためのアクチュエータ402 とを備えた揺動機構400 を採用することができる。そして、アクチュエータ402 としては、油圧シリンダ装置や送りねじ装置を採用するのが好ましい。
【0079】
また、自動加工機械が行う加工としては、ダイヤカット加工等の切削加工に限らず、被加工部材に向きの異なる複数の加工面を形成する研削加工、または、前述の向きの異なる加工面を研磨するダイヤモンドやサファイヤガラス等の研磨加工でもよい。
【0080】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、向きの異なる複数の加工面が加工対象となる被加工部材でも、簡単な構造で加工の自動化が図れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の一形態の全体を示す斜視図である。
【図2】前記実施形態の全体を示す平面図である。
【図3】前記実施形態の加工装置を示す斜視図である。
【図4】前記実施形態の加工テーブル装置を示す斜視図である。
【図5】前記実施形態の加工テーブル装置を示す断面図である。
【図6】前記実施形態の加工テーブル装置の異なる状態を示す断面図である。
【図7】前記実施形態の第1マガジンの全体を示す斜視図である。
【図8】前記実施形態の第1マガジンの要部を示す平面図および縦断面図である。
【図9】前記実施形態の取出用ロボットハンドを示す斜視図である。
【図10】前記実施形態の取出用ロボットハンドの動作を説明するための図である。
【図11】前記実施形態の第2マガジンの全体を示す斜視図である。
【図12】前記実施形態の格納用ロボットハンドを示す斜視図である。
【図13】前記実施形態の格納用ロボットハンドの動作を説明するための図である。
【図14】前記実施形態の図13に続く動作を説明するための図である。
【図15】前記実施形態の搬送装置の全体を示す斜視図である。
【図16】前記実施形態の搬送用ロボットハンドを示す一部破断した正面図である。
【図17】前記実施形態の搬送用ロボットハンドの動作を説明するための図である。
【図18】前記実施形態の全体の動作を説明するための図である。
【図19】前記実施形態の図18に続く動作を説明するための図である。
【図20】前記実施形態の被加工部材および加工用治具を示す平面図である。
【図21】前記実施形態の被加工部材の加工手順を説明するための図である。
【図22】本発明の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 自動加工機械
2 被加工部材
20 被加工部材としての略字
42 加工回転板(切削用回転板)
46 三次元位置決め装置のY軸移動機構となるY軸レール
47 三次元位置決め装置のY軸移動機構となるY軸スライダ
48 三次元位置決め装置のX軸移動機構となるX軸レール
49 三次元位置決め装置のX軸移動機構となるX軸スライダ
70 加工テーブル
71 切り込み装置としての上昇駆動手段
72 回転支持手段としての角度調節機構
73 三次元位置決め装置のZ軸移動機構としての上昇始点設定機構
78 ロック機構
713 切り込み装置のサーボモータ
715 切り込み装置のカム
722 回転支持手段のサーボモータ
782A 第1制動面
784A 第2制動面
784 制動部材
787 弾性部材としてのコイルスプリング

Claims (4)

  1. 外周に加工具が設けられた加工回転板に対して、加工テーブルに設置された被加工部材を一方向に沿って相対移動させることにより、前記加工具に前記被加工部材を接触させて加工を行う自動加工機械であって、
    互いに直交する三方向に沿って、前記加工テーブルおよび前記加工回転板を相対的に移動させることにより、前記被加工部材の加工位置を設定する三次元位置決め手段と、前記加工テーブルを回転可能に支持するとともに当該加工テーブルの回転角度位置を設定する回転支持手段とを備え、
    前記三次元位置決め手段は、前記加工回転板を水平面に含まれるX軸方向に沿って移動するX軸移動機構と、前記加工回転板を水平面に含まれるとともに前記X軸と直交するY軸方向に沿って移動するY軸移動機構と、前記加工テーブルを鉛直方向に沿ったZ軸方向に沿って移動するZ軸移動機構とを備え、
    前記Z軸移動機構には、前記加工回転板に対して前記加工テーブルを鉛直方向に沿って進退駆動する切り込み装置が設けられ、
    この切り込み装置には、前記加工回転板に対して前記加工テーブルを前進させた際に、前記回転支持手段が設定した前記加工テーブルの回転角度位置を固定するロック機構が設けられ、
    前記ロック機構は、前記加工テーブルに設けられた第1制動面と、前記加工テーブルおよび前記切り込み装置の間に介装されるとともに、前記第1制動面に接触させる第2制動面を有する制動部材と、この制動部材を前記切り込み装置側へ付勢する弾性部材とを備え、前記切り込み装置が前記加工テーブルを前記加工回転板に対して前進させることにより、前記加工テーブルの前記第1制動面と、前記制動部材の前記第2制動面とが互いに接触して前記加工テーブルの回転角度位置を固定するものであることを特徴とする自動加工機械。
  2. 請求項1に記載の自動加工機械において、前記回転支持手段には、前記加工テーブルを回転駆動するとともに当該加工テーブルの回転角度位置を割り出すことが可能なサーボモータが設けられていることを特徴とする自動加工機械。
  3. 請求項1または請求項2に記載の自動加工機械において、前記切り込み装置には、前記加工回転板に対して近接離隔可能に設けられた前記加工テーブルと係合するカムと、このカムを回転駆動するとともに回転速度が自在に調節可能となったサーボモータとが設けられていることを特徴とする自動加工機械。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の自動加工機械において、前記加工回転板は、その外周に設けられた加工具としてダイヤモンドバイトを備えたものであり、前記ダイヤモンドバイトで前記加工テーブルに設置された被加工部材を切削するダイヤカット加工を行うものであることを特徴とする自動加工機械。
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