JP3653767B2 - 可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置 - Google Patents

可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は光硬化性樹脂からなる歯科修復部材に光照射し、重合硬化させるための光重合装置に関し、特に、テーブル上の可視光重合性歯科修復部材に可視光線を均一にかつ全体に照射して重合硬化するごとくした可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、損傷した義歯床面等に光重合性歯科修復部材を塗布して重合硬化する修復作業においては、塗布された光重合性樹脂プレポリマーよりなる修復部材に光照射をしてそれを重合硬化することが広く実施されている。そして、最近では照射光として人体に有害な紫外線に代えて可視光線を用いることが行われている。実施に際しては、可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブルの真上の最上位置に、球面反射鏡付きの発光ランプを下向きに設置し、さらにその下に赤外線除去フィルターを介在配置して、前記最下位置に配置された可視光重合性歯科修復部材に可視光線を照射させている。
しかしながら、テーブル上面の可視光重合性歯科修復部材には上方からの可視光は完全に照射されるものの、歯科修復部材の側部には上方からの可視光は照射され難く、歯科修復部材全体の可視光照射による重合硬化が達成されなかった。また、前記の発光ランプからの発射光線は、フィルターを介在させても赤外線を十分に除去しきれず、かつ光分布が不均一となって局部発熱を起こし、可視光重合性樹脂の重合硬化にむらが発生し、製品の成形精度・材質特性を劣化させていた。
また、発光ランプからの発射光は均等な平行光線でなく、発光ランプから歯科修復部材の光重合性樹脂までの距離を精密に調節しないと照射光むらが生じてしまう問題があった。
さらに、装置はテーブル−フィルター−レンズ−発光ランプが一直線状に上下に配置された状態であるため、背丈の高いものとなって転倒する恐れもあり、十分な安定性が保証されていなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく研究の結果、下記のとおりの本発明の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置を開発するに至った。
(1)装置筐体内の上方から可視光を照射して、下方部に設置された可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8面上の可視光重合性歯科修復部材を重合硬化する可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置において、上記可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8上に、内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17を載設し、テーブル8面上の可視光重合性歯科修復部材7に対する可視光照射を、上方からの照射と上記可視光反射性のリング体17のテーパ内面により側方へ屈折される照射とで行い、かつ通風による冷却を確保しつつ歯科修復部材7全体をむらなく重合硬化できるごとくしたことを特徴とする可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(2)装置筐体内の下方部に設置された可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8の上方に、凸レンズ6を水平配置し、さらにその上方に赤外線透過・可視光線反射型の反射鏡4を傾設し、また該反射鏡の側方には発射光源である発光ランプ2を反射鏡4面に向けて配設し、かつ前記凸レンズ6と反射鏡4と発光ランプ2との配設位置関係は発光ランプ2からの発射光線が反射鏡4面に集射され、同反射鏡4からの反射可視光線が拡射光線となって下方の前記凸レンズ6に入射し、さらに同凸レンズ6から下方へ導出される通過光線は均等な平行光線となるような位置関係に配設され、そしてまた上記可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8上には、内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17を載設して構成され、上記平行光線化された可視光線が下方部テーブル8上の可視光重合性歯科修復部材7を均一に光照射し、それをむらなく重合硬化し、また可視光反射性のリング体のテーパ内面により屈折される可視光をテーブル8上の可視光重合性歯科修復部材7の側部に光照射し、かつ通風による冷却を確保しつつ歯科修復部材7全体をむらなく重合硬化できるごとくしたことを特徴とする可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(3)テーブルが、ターンテーブル8であることを特徴とする(1)又は(2)記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(4)内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が、メッシュ材で構成されてなることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(5)内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が、パンチングメタル材で構成されてなることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(6)内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が、テーパ内面が鏡面仕上げされてなることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(7)球面反射鏡2a付きの発光ランプ2が、発光ランプ内に球面反射膜を形成してなるものであることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
(8)テーパ面の俯角が、60〜45度であることを特徴とする(1)ないし(7)のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
【0004】
【作用】
本発明装置においては、上方から下方へ照射される可視光、特にテーブル8外周部の可視光が、テーブル8面上の通気性の可視光反射性リング体17のテーパ面にあたって屈折され、テーブル8面上の可視光重合性歯科修復部材8の側部に照射される。その結果、テーブル面上の歯科修復部材8は上方からの垂直光線照射と下部における側方からの横方向照射とを受け、全体的に可視光照射を受けるため、歯科修復部材はむらなく完全に重合硬化される。また、可視光照射時において可視光重合性歯科修復部材が発熱しても、リング体が通気性であるため、良好な通風によって十分に冷却される。
また、第2の発明によれば、発光ランプ2からの発射光線が反射鏡4面に集射され、同反射鏡4からの反射光線が拡射光線となって下方の前記凸レンズ6に入射し、さらに同凸レンズ6から下方へは均等な平行光線となって照射され、したがって、前記平行光線化された均等な可視光線が下方のテーブル8上の可視光重合性歯科修復部材8を均一に光照射し、それをむらなく重合硬化できる。
凸レンズ6から下方への通過光線は均等な平行光線であるため、テーブル8上の光重合性歯科修復部材8の高さはどの高さ位置にあっても、光重合性歯科修復部材に均一な照射可視光線が照射されるので、従来技術のように歯科修復部材の高さを精密に調節する必要はなくなる。
また、傾設した反射鏡を用い、発光ランプを横方向に配置したため、装置の背丈を低下でき、コンパクトで設置安定性も十分に確保できる。
【0005】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の実施例を詳説する。
図1は本発明の実施例装置の断面図(図2のY−Y’断面図)、図2は図1のX−X’断面図、図3はテーブル面上に可視光反射性のリング体が載設されてなる状態の要部斜視図、図4はリング体が固定されている状態の斜視図を示す。
図中、1は装置本体、2は発光ランプ、2aは球面反射鏡、3は隔離板、3aは通気穴、3bは給気気流調整用傾斜板、4は傾設の赤外線透過・可視光線反射型の(平面)反射鏡、5は赤外線の放熱板、6は凸レンズ、7は可視光重合性歯科修復部材、8は(ターン)テーブル、9は給排気装置、9aは排気装置、9bは給気装置、10は駆動装置(モータ)、11は制御機器収容室、12は前蓋、13は引出把手、14はガイドレール、15は塵埃除去フィルタ、16は引出型支持体、17は内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体である。
本実施例装置1の筐体内の下方部には、ターンテーブル8面に載置された可視光重合性樹脂プレポリマーからなる歯科修復部材7が配置されており、またターンテーブル8面上には内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が載設されている。図3に示すごとく、リング体17は網等のメッシュ体やパンチングメタル材で構成されており、冷却用の空気が十分に流通し、内側に配置されている可視光重合性の歯科修復部材7の過熱を防止できるようになっており、ターンテーブル8面上に歯科修復部材7を取り囲むようにして単に載置してもよいが、リング体17の底部をターンテーブル8の外周部に一部嵌合するごとく構成して安定的に載設するようにすることが好ましい外周付近に固定してもよい。
リング体17のテーパ面は可視光反射性とするが、金属メッシュ材を鏡面仕上げするか、白色塗料を塗布するなどにより行うことができる。
なお、リング体17のテーパ面の角度は、俯角で60〜45度が好ましい。
その結果、上方から降下する可視光は、歯科修復部材7の表面に照射されるとともに、リング体17内面のテーパ面により屈折されて歯科修復部材7の側部にも照射され、全体として良好な可視光照射がなされる。
本例では、テーブル8は下方の駆動装置10により回転されるターンテーブル構造となっているので、歯科修復部材7に対する可視光線照射むらは完全に防止できる。
【0006】
装置1内の上方部には、前記ターンテーブル8の上方に赤外線透過・可視光線反射型の平面反射鏡4が角度45°で前下方へ傾斜して設置されている。該平面反射鏡4の背面には放熱板5が取付けられ、発光ランプ2からの光線照射による発熱を回避している。 また、傾設平面反射鏡4に対してその下方には、凸レンズ6が水平状態で配設されている。
さらに、前記平面反射鏡4に対してその側方には、発射光源である球面反射鏡2a付きの発光ランプ2が同平面反射鏡4面に向けて配設されている。
発光ランプ2は可視光重合性樹脂プレポリマーの重合硬化用の光源であるから、光量の大きいランプ、例えばハロゲンランプが使用される。
該発光ランプ2はランプ背面が球面反射鏡2aでカバーされており、該発光ランプ2から各方面に放射される発射光線のうちの大部分を前方に集射させる構造となっている。
なお、上記の球面反射鏡2a付きの発光ランプ2に代えて発光ランプ2内に球面反射膜を金属蒸着により形成したものとしてよい。
【0007】
上記構成の光重合装置において、発光ランプ2の発光点は球面反射鏡2aの焦点より外側で、その球心より内側に設定されているから、反射光線は横方向の光軸に沿って集光され、前記45°傾設平面反射鏡4の鏡面に凝縮して集射される。
該反射鏡4では赤外線は透過して、背面の赤外線の放熱板5によって除去され、可視光線が屈折反射され、拡射光線となって下方の凸レンズ6に投射される。また、前記反射鏡4からの拡射光線は凸レンズ6を通過して平行光線化されて下方へ照射される。
発光ランプ2から球面鏡2aを介さず直接に放射された発射光線は、平面反射鏡4で屈折反射され、前記設置位置の下方の凸レンズ6に投射され、通過して、平行光線となって下方の可視光重合性歯科修復部材7に照射される。
上記のごとく、凸レンズ6を通過した通過光線は、均等な平行光線として下方へ照射されるから、下方の光重合性歯科修復部材はどのような高さ位置にあっても、各高さ位置において均等な可視光線が照射される。
【0008】
また、9は給排気装置で、9aは排気装置、9bは給気装置であり、まず外気は塵埃除去フィルタ15を通って給気装置装置9bにより装置筐体内に導入され、導入された空気は矢印指示の気流となって、ターンテーブル8上の可視光重合性歯科修復部材を冷却し、次いで凸レンズ6と前蓋12との間の間隙部30を通過上昇して赤外線の放熱板5を冷却し、さらに、上方の隔離板3に穿設された通気穴3a、3aを通過して、発光ランプ2を冷却し、その後排気装置9aにより外側へ吸引されて、熱気となって外部へ排出される。
この際、隔離板3と凸レンズ6等により筐体内は上下2室に略二分されており、かつ気流は前記のごとく下方室から上方室へと流通するため、高熱の上部室の熱は、可視光重合性歯科修復部材の昇温を望まなく比較的低温保持を必要とする下部室へ流れ込むことがない。さらに、隔離板3端部から斜め下方へ給気気流調整用傾斜板3bを延設することによって、給気装置9bにより室内へ導入された空気気流を可視光重合性歯科修復部材7へ集中的に送給することを可能とし得る。
なお、ターンテーブル8の下部は引出型支持体16となっており、その中に駆動装置(モータ)10が収納され、また前方には引出握手13が設けられている。該引出型支持体16は、ガイドレール14に案内されて装置外へ引出すことができ、その引出位置でターンテーブル8上に歯科修復部材7を載置したり、取り出したりすることができる。
また、本装置を自動的に作動される各種タイマ、温度センサー、半導体集積回路等の制御装置は、制御機器収容室11に収納されている。
【0009】
【発明の効果】
本発明の可視光重合性歯科修復部材用光重合装置によれば、垂直方向の可視光線及び下部の側方からの横方向の可視光線がターンテーブル上の可視光重合性歯科修復部材に照射し、かつ通風による冷却を確保しつつ全体としてそれをむらなく重合硬化できる。
また、下方への通過光線を均等な平行光線として照射するようにした場合の発明にあっては、ターンテーブル上の光重合性歯科修復部材の高さはどの高さ位置にあっても、光重合性歯科修復部材に均一な照射可視光線を照射することができ歯科修復部材の高さを精密に調節する必要はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例装置の断面図(図2のY−Y’断面図)。
【図2】図1のX−X’断面図。
【図3】テーブル面上に可視光反射性のリング体が載設されてなる状態の要部斜視図
【図4】 リング体が固定されている状態の斜視図
【符号の説明】
1:装置本体
2:発光ランプ
2a:球面反射鏡
3:隔離板
3a:通気穴
3b:給気気流調整用傾斜板
4:傾設の赤外線透過・可視光線反射型の(平面)反射鏡
5:赤外線の放熱板
6:凸レンズ
7:可視光重合性歯科修復部材
8:ターンテーブル
9:給排気装置
9a:排気装置
9b:給気装置
10:駆動装置(モータ)
11:制御機器収容室
12:前蓋
13:引出把手
14:ガイドレール
15:塵埃除去フィルタ
16:引出型支持体
17:可視光反射性のリング体
30:間隙

Claims (8)

  1. 装置筐体内の上方から可視光を照射して、下方部に設置された可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8面上の可視光重合性歯科修復部材を重合硬化する可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置において、上記テーブル8上に、内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17を載設し、同テーブル8面上の可視光重合性歯科修復部材7に対する可視光照射を、上方からの照射と上記可視光反射性のリング体17のテーパ内面により側方へ屈折される照射とで行い、かつ通風による冷却を確保しつつ歯科修復部材7全体をむらなく重合硬化できるごとくしたことを特徴とする可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  2. 装置筐体内の下方部に設置された可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8の上方に、凸レンズ6を水平配置し、さらにその上方に赤外線透過・可視光線反射型の反射鏡4を傾設し、また該反射鏡の側方には発射光源である発光ランプ2を反射鏡4面に向けて配設し、かつ前記凸レンズ6と反射鏡4と発光ランプ2との配設位置関係は発光ランプ2からの発射光線が反射鏡4面に集射され、同反射鏡4からの反射可視光線が拡射光線となって下方の前記凸レンズ6に入射し、さらに同凸レンズ6から下方へ導出される通過光線は均等な平行光線となるような位置関係に配設され、そしてまた上記可視光重合性歯科修復部材載置用のテーブル8上には、内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17を載設して構成され、上記平行光線化された可視光線が下方部テーブル8上の可視光重合性歯科修復部材7を均一に光照射し、それをむらなく重合硬化し、また可視光反射性のリング体のテーパ内面により屈折される可視光をテーブル8上の可視光重合性歯科修復部材7の側部に光照射し、かつ通風による冷却を確保しつつ歯科修復部材7全体をむらなく重合硬化できるごとくしたことを特徴とする可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  3. テーブルが、ターンテーブル8であることを特徴とする請求項1又は2記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  4. 内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が、メッシュ材で構成されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  5. 内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が、パンチングメタル材で構成されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  6. 内側下方へ縮径するテーパ内面を有する通気性で可視光反射性のリング体17が、テーパ内面が鏡面仕上げされてなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  7. 球面反射鏡2a付きの発光ランプ2が、発光ランプ内に球面反射膜を形成してなるものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
  8. テーパ面の俯角が、60〜45度であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の可視光重合性歯科修復部材硬化用の光重合装置。
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