JPH0562219U - 歯科用光重合器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一の光源を用い、光線を効率よく使うこと
により、光重合照射器を簡単な構造にする。 【構成】 ハロゲンランプ１下方に赤外光フィルター３
を配置し、赤外光を除いた可視、紫外光を略球形のケー
ス４内に入射させ、入射光を球形内壁面にて散乱させ、
全ゆる方向からの均等な光線を得、これを模型８上に被
着した光重合樹脂成形体７にあてる。 【効果】 石膏模型の中央部分等光の当り易い部位及び
歯頸部アンダーカット部等通常光の照射しにくい部位に
も均等に光が入射し、光重合樹脂を満遍なく重合硬化さ
せることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、歯科技工分野において、クラスプ等のパターン材料として使用され る光重合樹脂を重合硬化させるための歯科用光重合器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近時、クラスプ、バー、クラウンブリッジ咬合面パターンを製作するに際し、 ワックスにかわって光重合樹脂材料が使用されつつある。重合前、可塑性を有す る光重合樹脂材料を所定のパターンに成形し、これに可視光或いは紫外光を照射 して重合硬化させ、形態を固定するのである。かかる材料の硬化には、上述の如 く可視光或いは紫外光照射器が必要であり、従来この種光照射器に類似する構造 として、例えば実公平３−４２９０４号公報に開示の技術がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記公報に開示の構造は、複数の光源と、これらの光源に囲まれたターンテー ブルを備え、このターンテーブル上に光重合樹脂成形体を載置して、これを回転 させながら、光を照射することにより、樹脂の重合硬化を行うものである。

【０００４】 光重合樹脂よりなる成形体がどのような形態であっても、また歯頸部等アンダ ーカット部に位置し上方からの光照射が難しい場合であっても、完全に満遍なく 重合硬化させんとするために、上述の如き複数の光源とターンテーブルが必要な のであるが、装置が極めて複雑で大がかりなものとなってしまい、コストも高い ものになるという問題がある。

【０００５】 また上記構造において、成形体をターンテーブルで回転させても、常に光が当 たっている訳ではないから、重合硬化に時間がかかり、部分的に重合度が異なる 場合があり、内部応力による変形を生じる問題がある。

【０００６】 本考案はこのような問題を解決するためになされたもので、一個んの光源から 発光される光を効率よく使用し、種々のパターン、位置に形成された光重合樹脂 の均一な重合硬化を可能にする歯科用光重合器を提供するものである。

【０００７】

【考案が解決するための手段】

本考案に係る歯科用光重合器は、可視光及び紫外光を主光線として発光する単 一の光源と、下方が開口された椀状体であって、赤外光のみ透過し、他の光を反 射する内壁面を有する、上記光源を収納する反射鏡と、該反射鏡の下方開口部に 配置され赤外光のみ反射し他の光線を透過させる赤外光フィルと、上記反射鏡の 下方に配置され、上記光源からの光が上記フィルターを透過して入射する略球形 のケースであって、内壁面が光反射面に形成されてなる、光重合樹脂よりなる成 形体が収納されるケースとからなるものである。

【０００８】 上記ケースは、上ケースと下ケースに分割せしめられ、上記成形体は上記下ケ ース内に収納載置することができる。

【０００９】 また、上記赤外光フィルターは、凹レンズにて形成し、強度の強い中央の光を 周囲へ分散させることができる。

【００１０】 さらに上記光源の直下に、表面に光反射面を有する遮光体を配置し、最も光強 度の強い直下方向の光を遮断、分散しケース内の強度を均一させることができる 。

【００１１】

【作用】

光源からは放射された可視光、紫外光及び赤外光を含む光線は、椀状の反射鏡 にて下方に集光されて出力する。このとき赤外光の一部は、この反射鏡を透過し て上方へ放射される。反射鏡にて集光された光は、赤外光フィルターを透過して ケース内へ入射する。このときフィルターに入射した赤外光の大部分は反射され 、上記反射鏡を透過して上方へ放射される。ケース内に入射した可視光及び紫外 光を主成分とする光線は、ケース内壁面にて反射せしめられ、ケース内に収納さ れた光重合樹脂成形体に全ゆる方向から入射し、これを重合硬化させる。

【００１２】 赤外光フィルターが凹レンズにて形成される場合は、光源から放射される最も 強度の強い直下方向の光を周囲へ分散し、ケース内へ出力される光線の強度が均 一化される。

【００１３】 また光源の直下に、表面に光反射面を有する遮光体を配置した場合にも、同様 に中央部分の光強度を弱め、ケース内全体の光強度が均一化される。

【００１４】

【実施例】

図１において、１は、光源として作用する単一のハロゲンランプで、可視光及 び紫外光を主光源として放射するが、赤外光も含まれる。２は、ランプ１の基部 の固定された椀状体反射鏡で、下方に開口部を有している。この反射鏡２は、ガ ラスにて形成することができ、赤外光のみ透過し、他の光線を反射すべく蒸着等 の処置が施されている。また反射鏡２の内壁面には光を散乱するために微小な凹 凸を形成することができる。３は、ランプ１の下方であって反射鏡２の開口部に 略水平に配置された赤外光フィルターであり、耐熱ガラス製円板の表面に赤外光 を反射するコーティング処理がなされている。４は、反射鏡２の下方にこれに接 続して配置された略球形のケースで、ステンレス或いはガラスにて形成すること ができ、その内壁面は、光が散乱するよう微小な凹凸を有する光反射面に形成さ れている。このケース４内には、ランプ１からの光、即ち赤外光を遮断されて、 可視光及び紫外光のみとなった光線が入射し、球形内壁面間で乱反射し、ケース ４内では、光強度分布が略一定となっている。ケース４は略半球形の上ケース５ と同様の略半球形の下ケース６に分割され、下ケース６の底面に光重合樹脂成形 体７を被着した石膏模型８が載置される。９，９は、多数の小孔を穿設した金属 フレームで反射鏡２外周を囲繞する如く上ケース５上端に固定されている。この 金属フレーム９，９は、高温に加熱される反射鏡２に人体が触れるのを防止する とともに、放熱体として作用する。１０は、外側のフレーム９に連結されたスタ ンド１１のアームで、２つの支点１２，１３を中心に回動可能に固定されている 。１４は、スタンド１１の基台で、この上に下ケース６が載置される。アーム１ ０を上方に移動させれば、上ケース５から上方部分がともに移動し、上ケース５ と下ケース６が分割される。このアーム１０を上に上げてケース４を開いた状態 で下ケース６内に石膏模型８が載置される。１５は、ランプ１に電源を供給する コードである。

【００１５】 上記構造において、下ケース６内に光重合樹脂よりなるクラスプパターン等の 成形体７を被着した石膏模型８が収納載置された後、上下ケース５，６は重ね合 わされて密閉状態とされる。続いてハロゲンランプ１が点灯されると、ランプ１ から放射された光のうち赤外光は、直接反射鏡２を透過し、或いは赤外光フィル ター３にて反射された後、反射鏡２を透過して外部へ放射され、可視光及び紫外 光がケース４内へ入射する。この入射光は、ケース４の内壁面にて全ゆる方向へ 散乱、反射され成形体７へ入射する。かくして成形体７は重合硬化する。

【００１６】 図２は、赤外光フィルター３を凹レンズにて形成した例を示し、このレンズ表 面に赤外光反射コーティング層が形成されいる。通常この種ハロゲンランプ１は その直下において光の強度が最も高いことから、この中央部分の光を外側へ分散 させ、上ケース５内で入射する光の強度を均一にするのである。尚、前述の平板 ガラス状赤外光フィルター３を使用し、その下面に凹レンズを配置しても同様の 作用が得られる。

【００１７】 図３は、赤外光フィルター３の下方であって、ランプ１の直下に、遮光体１６ を配置した例を示す。図示の例は、金属球であって、その表面が光反射面に形成 された場合を示す。球の表面は、鏡面であってもよいし、また微小凹凸を設けた 散乱面であってもよい。また、球体のほか、算盤珠の如き形状、或いは円錐形と しても良い。かかる遮光体１６を配置すれば、ランプ１から直下に放出された強 度の高い光線はここで反射、散乱され、成形体７に入射する光は、すべてケース ４の内壁面で一旦反射された光とすることができ、成形体７に入射する全ゆる方 向からの光を略同一の強度とすることができる。尚、光の反射効率を一層よくす るために、石膏模型上にアルミフォイル等反射フィルムをかぶせ、成形体７の部 分のみ露出させる構造とすることもできる。

【００１８】 図４は、下ケース６を外し、上ケース５の赤外光フィルター３下方に内面を鏡 面とした集光体１６を取りつけ、かつこの種集光体１６下面に光ファイバー１７ を固定した例を示す。かかる構造であれば、光ファイバー１７の先端１８を手に 持ち、光重合樹脂成形体７に局所的かつ集中的に光をあてることができる。上記 集光体１６内部に凸レンズを収納すれば効率よく光ファイバー１７へ光を収束さ せることができる。

【００１９】

【考案の効果】

本考案によれば、光重合樹脂成形体が収納された略球形のケース内壁面が光反 射面に形成されてなり、かつこのケースにケース外部に配置された光源からの光 が赤外光を遮断した状態で入射するから、ケース内は加熱されずかつ全ゆる方向 の散乱光を生じさせることができる。それ故、単一の光源であっても成形体を効 率よく重合硬化させることができる。

【００２０】 また本考案によれば、反射鏡が赤外光を透過し、かつケース内に入射する光が 赤外光フィルターを透過せしめられるから、ケース内が加熱されることはなく、 従って石膏模型が加熱されることはない。それ故加熱過剰により、光重合樹脂が 焼けたり、膨潤したりする事故が生じることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案一実施例を示す断面図である。

【図２】本考案他の実施例を示す要部概略図である。

【図３】本考案更に他の実施例を示す要部概略図であ
る。

【図４】本考案の異なる使用例を示す概略図である。

【符号の説明】

１ ランプ ２ 反射鏡 ３ 赤外光フィルター ４ ケース ５ 上ケース ６ 下ケース ７ 成形体 ８ 石膏模型 ９ 金属フレーム １０ アーム １１ スタンド １４ 基台 １６ 遮光体 １７ 光ファイバー

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 可視光及び紫外光を主光線として発光す
   る単一の光源と、下方が開口された椀状体であって、赤
   外光のみ透過し、他の光を反射する内壁面を有する、上
   記光源を収納する反射鏡と、該反射鏡の下方開口部に配
   置され赤外光のみ反射し他の光線を透過させる赤外光フ
   ィルと、上記反射鏡の下方に配置され、上記光源からの
   光が上記フィルターを透過して入射する略球形のケース
   であって、内壁面が光反射面に形成されてなる、光重合
   樹脂よりなる成形体が収納されるケースと、からなる歯
   科用光重合器。
2. 【請求項２】 上記ケースが上ケースと下ケースに２分
   割せしめられ、上記成形体が上記下ケースに載置せしめ
   られる請求項１の歯科用光重合器。
3. 【請求項３】 上記赤外光フィルターが凹レンズにて形
   成される請求項１の歯科用光重合器。
4. 【請求項４】 上記光源の直下に、表面に光反射面を有
   する遮光体を配置し、直下方向の光を遮断する請求項１
   ないし３の何れかの歯科用光重合器。