JP3653537B2 - シートベルト用収納ポケットの縫製方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用シートの座部に備え付けられるシートベルトをタングまたはアンカーとまとめて収納するシートベルト用収納ポケットの縫製方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車用シートにおいては、図５で示す如くタング側またはアンカー側のシートベルトＳをシートクッションＣの内部より座部面に引き出させて個々に装備することが行なわれている。そのシートベルトＳは、タングＴまたはアンカー（Ａ）とまとめて、例えばアームレストＲの下部に位置するシートバックＢの座部面に設けたスリット状の開口部ＦよりシートバックＢの内部に位置するポケット本体の内部に出入れ可能に収納するよう収納ポケット（図示せず）をシートバックＢの下部寄りに設けることも行なわれている。
【０００３】
そのシートベルト用の収納ポケットは、シートバック用のシート表皮を立体形に形成する複数枚の裁断ピースのうち、図６で示すようなアームレストの下部に位置するものでシートバックの座部面を形成する帯状ピースＰ_１と、図７で示すようなポケット本体を形成する別の帯状ピースＰ_２とを縫い合せることによりシートバック用のシート表皮に設けられている。
【０００４】
その各ピースＰ_１，Ｐ_２を用いては、帯状ピースＰ_２を二つ折りした状態で両側辺を縫い合せて袋状に形成し、収納ポケットの開口部を形成するスリットＦ_１（図６参照）を帯状ピースＰ_１の面内に設け、図８で示すように袋状の帯状ピースＰ_２を開放縁でスリットＦ_１（図７参照）の縁辺に縫い合せることから、開口部ＦよりシートバックＢの内部に位置するシートベルト用の収納ポケットＰが形成されている。
【０００５】
そのシートベルト用の収納ポケットでは、シートバックのシート表皮を立体形に形成する裁断ピースの他に、ポケット本体を形成する別ピースが必要で部品点数が多い。また、帯状ピースＰ_２を別工程で袋状に縫製した後、袋の開放縁を帯状ピースＰ_１のスリット縁に重ね合せてピース相互を縫い合せることが必要であるから縫製工数が多いばかりでなく、縫い合せにも手間が掛る。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、部品点数並びに縫製工程を削減させてポケット本体をシート表皮と共に縫製でき、また、縫い合せを容易に行えて全体的に手速く縫製可能なシートベルト用収納ポケットの縫製方法を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシートベルト用収納ポケットの縫製方法においては、シート本体を被包する立体形のシート表皮を形成する複数枚の裁断ピースのうち、シート本体の座部端面寄りに配置される帯状ピースを選択し、
上記帯状ピースは、ポケット本体を形成する中間部分と、シート本体の座部面を形成する両側の余剰部分とを連続させて一枚ものに形成し、
上記中間部分は、各余剰部分との臨界線に沿った両側の切込み辺と、該各切込み辺の内端より斜め外方に傾斜する各側辺とによる第１の切欠部分と、該側辺の傾斜端より連続する略コの字状で略中央に位置する第２の切欠部分とから左右対称の輪郭形状に形取り、
上記帯状ピースは、全体を中間部分の中央で二つ折りし、相重なる第１の切欠部分を切込み辺，側辺相互で縫い合し、次いで、第２の切欠部分をコの字の底辺で折り重ねて該底辺を第１の切欠部分の側辺の縫い合せ方向と直交方向に縫い合し、中間部分を袋状のポケット本体とし、各余剰部分をシートの座部面とし、各切込み辺の内端間に亘る中間部分と余剰部分との臨界線をシートベルトの出入れ自在な開放口として形成するよう縫製されている。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、図１〜４を参照して説明すると、図示するシートベルト用の収納ポケットは、図５で示すものと同様に、自動車用シートの座部に備えられるタング側のベルト，アンカー側のベルトを個々に収納するべく、シートバックの本体内に配置するものとして設けられている。
【０００９】
その収納ポケットは、シートバックの座部下部寄りに設けるようにできる。複数人掛けシートにおいては、車体側に備えられる三点式シートベルトのタング側を或いは中央座者用シートベルトのタング側，アンカー側を中央座部の脇側で収納するものとして設けるようにできる。
【００１０】
そのシートベルト用の収納ポケットは、シートバック用のシート表皮を立体形に形成する複数枚の裁断ピースのうち、シートバックＢの座部端面寄りに配置される帯状ピース１を用いて形成されている。この帯状ピース１は、ポケット本体を形成する中間部分１ａと、シート本体の座部面を形成する両側の余剰部分１ｂ，１ｃとを連続させて一枚ものに形成されている。また、全体を中間部分１ａの中心線Ｏで二つ折りしたとき、中間部分１ａの両側辺が左右対称の輪郭形状を呈するよう形取り裁断されている。
【００１１】
その中間部分１ａは、各余剰部分１ｂ，１ｃとの臨界線に沿った両側の切込み辺１０ａ，１０ａ′、１１ａ，１１ａ′と、各切込み辺１０ａ，１０ａ′、１１ａ，１１ａ′の内端より斜め外方に傾斜する各側辺１０ｂ，１０ｂ′、１１ｂ，１１ｂ′とによる第１の切欠部分１０，１０′、１１，１１′と、各側辺１０ｂ，１０ｂ′、１１ｂ，１１ｂ′の傾斜端より連続する略コの字状で略中央に位置する第２の切欠部分１２，１３とから形取り形成されている。
【００１２】
その帯状ピース１からシートベルトの収納ポケットを縫製するときは、まず、図２で示すように全体を中間部分１ａの中央線Ｏで二つ折りする。この二つ折りによっては、第１の切欠部分１０，１０′、１１，１１′が互いに重なり合って整合し、第２の切欠部分１２，１３が二つ折りされて各辺がＬ字状を呈するよう重なり合って整合する。
【００１３】
全体を二つ折りしてから、第１の切欠部分１０，１１（片側のみ図示）は切込み辺１０ａ，１１ａと側辺１０ｂ，１１ｂに沿って所定幅の縫着代１０ｃ，１１ｃを保つことにより縫い合せる。この際、側辺１０ｂ，１１ｂは傾斜端を第２の切欠部分１２，１３におけるコの字状の底辺角部１２ａ，１３ａに位置合せし、換言すれば、二つ折りされたＬ字の角部に合せることにより縫い合せるとよい。但し、帯状ピース１の幅方向において、切込み辺１０ａ，１１ａを除く中央部分は縫い合せない。
【００１４】
引き続いて、第２の切欠部分１２，１３をコの字状の底辺幅で第１の切欠部分１０，１０′、１１，１１′の斜辺１０ｂ，１０ｂ′、１１ｂ，１１ｂ′の縫い合せ方向と直交する方向に折って扁平に重ね合せる。この重ね合せ状態では、第１の切欠部分１０，１１の縫い代１０ｃ，１１ｃの下端寄りが第２の切欠部分１２，１３の底辺と重なり合う。
【００１５】
その重なり部分は、所定幅の縫着代を保って第１の切欠部分１０，１０′、１１，１１′の側辺１０ｂ，１０ｂ′、１１ｂ，１１ｂ′の縫い合せ方向と直交方向に縫い合す。この縫い合せによっては、略袋状の内端両角部を封止し、図３で示すように帯状ピース１の余剰部分１ｂ，１ｃをシートバックの座部面形成用とし、スリット状の開放口２を余剰部分１ｂ，１ｃとの臨界線に設けて中間部分１ａを完全袋状のポケット本体３として形成できる。ポケット本体３は、有幅，有底で奥広がりの袋状に形成することができる。
【００１６】
このように、シートベルト用の収納ポケットを縫製するときには帯状ピース１を用い、シートバックの底部面を帯状ピース１の余剰部分１ｂ，１ｃで形成できると共に、帯状ピース１の中間部分１ａからシートバックの底部面に位置する開放口２よりシートバックの本体内に位置するポケット本体３を連続させて形成することができる。
【００１７】
そのシートベルト用収納ポケットの縫製方法では、ポケット本体を縫製する別の裁断ピースが必要とされないことから、シート表皮形成用の裁断ピース以外の部品点数を削減できる。また、シート表皮用の細断ピースを縫製する以外にポケット本体を別途に縫製する必要がないので縫製工程も削減することもできる。
【００１８】
それと共に、帯状ピース１はポケット本体３を縫製する縫い代を保ち、中間部分１ａの両側辺を二つ折りしたとき相整合する所定形状に裁断するから、この裁断形状に沿って手早く容易に縫い合せできる。また、縫い代以外の余剰部分を切取り除去することからポケット本体３を形成できるため、図４で示すようにポケット本体３を所定の立体形状に保ってシートバックＢのクッションパッドＤに形成する内部空間に整合させて組み付けられる。
【００１９】
そのシートベルトの収納ポケットは、スリット状の開放口２がシートベルトをタングまたはアンカーとまとめて出入れ自在な大きさに形成され、ポケット本体３が奥広がりの有幅，有底状に形成されているため、シートベルトを容易に出入れできしかもシートバックＢの内部における収まり状態も良好に保てる。
【００２０】
上述した実施の形態では、シートベルト用の収納ポケットをシートバックの座部に設ける場合で説明したが、必要に応じてシートクッションの座部に設ける場合にも適用することができる。
【００２１】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るシートベルト用収納ポケットの縫製方法に依れば、シート本体の座部面を形成する両側の余剰部分と共に、有幅，有底袋状のポケット本体を形成する中間部分を含む一枚ものに形取った帯状ピースを縫製することから、部品点数並びに縫製工程を削減させてポケット本体をシート表皮と共に縫製でき、また、縫い合せを容易に行えて全体的に手速く縫製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のシートベルト用収納ポケットを形成するのに用いられる帯状ピースを展開状態で示す平面図である。
【図２】 同収納ポケットの縫製工程を帯状ピースの二つ折り状態で示す平面図である。
【図３】 同収納ポケットの縫製完成体を示す斜視図である。
【図４】 同収納ポケットをシート本体に組み付けて示すシート本体の部分側断面図である。
【図５】 一般例に係るシートベルト用の収納ポケットを装備したシート本体の部分斜視図である。
【図６】 従来例に係るシートベルト用の収納ポケットを装備するシート表皮形成用の裁断ピースを示す斜視図である。
【図７】 図６の裁断ピースに取り付けられるポケット本体形成用の帯状ピースを示す斜視図である。
【図８】 図６，７で示す帯状ピースから縫着成形したシートベルト用収納ポケットを示す側断面である。
【符号の説明】
Ｓ シートベルト
Ｔ（Ａ） タングまたはアンカー
１ 帯状ピース
１ａ 帯状ピースの中間部分
１ｂ，１ｃ 帯状ピースの余剰部分
２ スリット状の開放口
３ ポケット本体
１０，１１ 第１の切欠部分
１０ａ，１０ａ′、１１ａ，１１ａ′ 切込み辺
１０ｂ，１０ｂ′、１１ｂ，１１ｂ′ 側辺
１２，１３ 第２の切欠部分

Claims (1)

1. シート座部に備え付けられるシートベルトをタングまたはアンカーとまとめて出入れ自在なスリット状の開放口をシート本体の座部面に配置し、該シートベルトを収納可能なポケット本体を該開放口よりシート本体の内部に配置するようシートベルト用の収納ポケットを縫製するべく、
   シート本体を被包する立体形のシート表皮を形成する複数枚の裁断ピースのうち、シート本体の座部端面寄りに配置される帯状ピース（１）を選択し、
   上記帯状ピース（１）は、ポケット本体を形成する中間部分（１ａ）と、シート本体の座部面を形成する両側の余剰部分（１ｂ，１ｃ）とを連続させて一枚ものに形成し、
   上記中間部分（１ａ）は、各余剰部分（１ｂ，１ｃ）との臨界線に沿った両側の切込み辺（１０ａ，１１ａ、１０ａ’，１１ａ’）と、該各切込み辺（１０ａ，１１ａ、１０ａ’，１１ａ’）の内端より斜め外方に傾斜する各側辺（１０ｂ，１１ｂ、１０ｂ’，１１ｂ’）とによる第１の切欠部分（１０，１１、１０’，１１’）と、該側辺（１０ｂ，１１ｂ、１０ｂ’，１１ｂ’）の傾斜端より連続する略コの字状で略中央に位置する第２の切欠部分（１２，１３）とから左右対称の輪郭形状に形取り、
   上記帯状ピース（１）は、全体を中間部分（１ａ）の中央で二つ折りし、相重なる第１の切欠部分（１０，１０’、１１，１１’）を切込み辺（１０ａ，１０ａ’、１１ａ，１１ａ’），側辺（１０ｂ，１０ｂ’、１１ｂ，１１ｂ’）相互で縫い合し、次いで、第２の切欠部分（１２，１３）をコの字の底辺で折り重ねて該底辺を第１の切欠部分（１０，１０’、１１，１１’）の側辺（１０ｂ，１０ｂ’、１１ｂ，１１ｂ’）の縫い合せ方向と直交方向に縫い合し、中間部分（１ａ）を袋状のポケット本体（３）とし、各余剰部分（１ｂ，１ｃ）をシートの座部面とし、各切込み辺（１０ａ，１０ａ’、１１ａ，１１ａ’）の内端間に亘る中間部分（１ａ）と余剰部分（１ｂ，１ｃ）との臨界線をシートベルトの出入れ自在な開放口（２）として形成するよう縫製したことを特徴とするシートベルト用収納ポケットの縫製方法。

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