JP3652757B2 - フアスナ構体用ナット - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
第１の本発明は、ネジ山を備えたボルトおよび該ボルトと螺合するファスナ構体用のナツトであって、前記ナットが、中空体と、その内方において該中空体と一体的に形成されかつその内壁軸線に対して傾斜すると共に内方に突出する少なくとも１つの突起と、該軸線と同軸に前記突起の下方に一体的に延びる軸方向突出延長部分とを有し、該突起が、弾性を有する硬質プラスチツクからなるプリズム状の断片を実質的に円筒状に繋ぎ合わせた中空体により形成され、該突起の自由端が、その内周面において前記ボルトのネジ山と螺合するネジ山を備えており、前記ボルトを接触要素を介して前記ナットに対して締付けることにより、一方で前記突起が弾性変形を生じると同時に該接触要素に向かって軸方向移動し、他方で前記ボルトが前記ナツトに対して回転可能であり、前記ボルトの軸方向に作用する締付力が前記ナツトに伝達されるフアスナ構体用ナツトに関する。
【０００２】
また、第２の本発明は、ネジ山を備えたボルトおよび該ボルトと螺合するナットから成るファスナ構体であって、前記ナットが、中空体と、その内方において該中空体と一体的に形成されかつその内壁軸線に対して傾斜すると共に内方に突出する少なくとも１つの突起と、該軸線と同軸に前記突起の下方に一体的に延びる軸方向突出延長部分とを有し、該突起が、弾性を有する硬質プラスチツクからなるプリズム状の断片を実質的に円筒状に繋ぎ合わせた中空体により形成され、該突起の自由端が、その内周面において前記ボルトのネジ山と螺合するネジ山を備えており、前記ボルトを接触要素を介して前記ナットに対して締付けることにより、一方で前記突起が弾性変形を生じると同時に該接触要素に向かって軸方向移動し、他方で前記ボルトが前記ナツトに対して回転可能であり、前記ボルトの軸方向に作用する締付力が前記ナツトに伝達されるよう成したファスナ構体に関する。
【０００３】
【従来の技術】
かかるフアスナ用の公知のナツトはそれらが多数の要素を有するという意味において要件に合わず、そのことは一方でそれらが製造するのに非常に高価でありかつ他方でそれらの機能的信頼性が保証されないということを意味する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
かかるナツトにおいて、また、それを通してネジ付きボルトを移動させるために、少なくとも１つの突起を弾力があるように具体化する要求が存在する。この弾性は、しかしながら、この突起の保持力またはその緩みに対する抵抗を非常に減少する。
【０００５】
したがつて、本発明の目的はできるだけ僅かな要素からなり、そたがつて製造を安価にしかつ少なくとも１つの突起の弾性に拘わらず緩みに対する大きな抵抗を保証するフアスナ構体用ナツトおよびフアスナ構体を創出することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
第１の本発明によれば、この目的は、前記自由端が、前記中空体の接触要素に当接する端面より後退して位置し、前記突起が、前記内壁軸線から離れる方向に屈曲して前記中空体の内壁と接触するのを制限するための少なくとも１つの半径方向に突出する半径方向延長部分を備えており、更に、前記軸方向突出延長部分が、その内部に前記ネジ付きボルトのナット内への挿入を前記内壁軸線に沿って案内するための半径方向内方に突出しかつ軸方向に延びるリブを備えていることにより達成される。
【０００７】
また第２の本発明によれば、上記の課題は、前記自由端が、前記中空体の接触要素に当接する端面より後退して位置し、前記突起が、前記内壁軸線から離れる方向に屈曲して前記中空体の内壁と接触するのを制限するための少なくとも１つの半径方向に突出する半径方向延長部分を備えており、更に、前記軸方向突出延長部分が、その内部に前記ネジ付きボルトのナット内への挿入を前記内壁軸線に沿って案内するための半径方向内方に突出しかつ軸方向に延びるリブを備えているファスナ構体により解決される。
【０００８】
【発明の実施の形態】
好ましくは、前記突起が、任意の個数に周方向に分割された実質上円錐リングとして形成されている。さらに、前記突起の傾斜面が、前記中空体の軸線に対して１０°〜５０°の間の角度で形成されている。その角度は更に好ましくは、３０°の角度である。
【０００９】
前記突起の少なくとも１つが、その自由端において、ネジ山経路の１部を形成するリブによって形成されている。そして、前記突起の少なくとも１つの自由端が、螺旋状の線に沿って延びている。前記突起の前記中空体との接続部位の壁厚が、前記突起の壁厚より薄くできている。好ましくは、前記突起の前記中空体との接続部位の壁厚が、前記突起の壁厚のほぼ半分である。前記突起の自由端が、周方向に遮断された細長い片で形成されておりかつ該細長い片が前記中空体との接続部位において、互いに接合された円錐リングを構成している。
【００１０】
前記ナツトは、熱可塑性プラスチツク、エラストマ材料、デユロマ材料、繊維補強プラスチツク、粒子補強ポリマ材料、または粒子および／または繊維補強ポリマ材料から作られる。好ましくは、前記ナットが、繊維補強プラスチック材料から作られており、その繊維が全体的にまたは優先的に軸方向に沿って配置される。
【００１１】
本発明の主題を図面に示される例示的な実施例によつて以下にさらに詳細に説明する。
【００１２】
【実施例】
図１および図２に示されるナツト１は、その上方外周面が六角形の把持部１１ａとして 形成されかつ中空体１１からなる。その縁部の１つで、前記中空体はセレーションを付けた円形台座１１ｂとして具体化される。３つの突起１２が中空体１１の内壁から突出しかつともに実質的に円錐状のリングを形成している。それらの自由端１３で、突起１２は内ネジの経路の部分を形成するネジ山１４を備えている。
【００１３】
突起１２は、ネジ付きボルトを締付けることによる接触要素の支持のために役立ちかつ軸方向突出延長部分１６から上向きに突出しかつほぼ周部方向に延び、そして、ほぼ半径方向に向けられかつ突起１２の外方屈曲を制限するために突出する半径方向延長部分１７により構成される。ネジ付きボルトを案内するのに役立つリブ１６ａがまた軸方向突出延長部分１６の内側に軸方向に設けられる。少なくとも１つの突起１２および中空体１１の軸線は１０°ないし５０°の角度、かつとくに好ましくは、ほぼ３０°の角度を形成する。
【００１４】
中空体の内壁と突起１２の接続がスリツト１５ａにより実施されるので、突起１２の必要な弾性が、ナツトに挿入されるネジ付きボルトとの、ネジ経路に対応する、ネジ山１４の歯止め係合を引き起こすために保証される。加えて、少なくとも１つの突起１２がボルトに結合される場所の壁厚は突起の壁厚より著しく少なくすることができ、かつとくに好ましくは、その壁厚のほぼ半分である。
【００１５】
本発明によるナツトはまた一体構造要素に成形することが可能である。円筒またはプリズム状の中空体として具体化される必要はないが代わりにそれから少なくとも１つの円錐状の傾斜かついずれの場合にも多数部分からなる突起１２が突出する内壁により単に実施され、その自由端１３がネジ付きボルトと螺合する。
【００１６】
かかるナツトは熱可塑性プラスチツク、エラストマ材料、デユロマ材料、繊維補強プラスチツク、粒子補強ポリマ材料、または粒子および／または繊維補強ポリマ材料から作られることができる。
【００１７】
使用方法はネジボルトが矢印Ａの方向に挿入されるようになつている。突起１２は互いに弾力的に屈するので、ネジボルトはそれが固定される筈である特定の構成要素上に載置するまでネジ山１４を通って動かされ得る。ネジ経路の方法において具体化されるネジ山１４は、その上にこのネジボルトのネジ山へ歯止め方法において錠止する。突起１２の支持が軸方向延長部分１６により引き起こされるので、このナツトは引き出されることに対する非常に高い抵抗、または言い換えれば非常に強力な保持力を有する。
【００１８】
好ましくは突起は連続の細長い片によりそれらの自由端でともに接合される。ナツトが使用されると直ぐに、この細長い片が取り壊される。結果として、何時でもナツトが新しいかまたはすでに使用されたかどうか明らかとなる。
【００１９】
フアスナ構体それ自体はボルトおよびナツトからなり、前記ボルトがネジ山を備えており、前記ナツトが孔を備えた要素により形成され、軸線に対して斜めに向けられた少なくとも１つの突起、かつとくに前記要素と一体である円錐状に具体化されたリングが前記孔の内壁から内方に突出する。突起の自由端は前記ボルトのネジ山と協働し、その結果としてネジボルトは歯止め要素の弾性変形を生じる前記ナツトに対して１方向に軸方向に移動可能でありかつナツトに対して回転可能である。結果として、力が前記ネジボルトと前記ナツトとの間で軸方向に伝達され得る。そのうえ、少なくとも１つの突起は接触要素との前記ナツトの接触面のほぼ平面に延びる軸方向に突出する延長部分を備えることができる。
【００２０】
【発明の効果】
叙上のごとく、本発明は、ネジ山を備えたボルトおよび該ボルトと螺合するファスナ構体用のナツトであって、前記ナットが、中空体と、その内方において該中空体と一体的に形成されかつその内壁軸線に対して傾斜すると共に内方に突出する少なくとも１つの突起と、該軸線と同軸に前記突起の下方に一体的に延びる軸方向突出延長部分とを有し、該突起が、弾性を有する硬質プラスチツクからなるプリズム状の断片を実質的に円筒状に繋ぎ合わせた中空体により形成され、該突起の自由端が、その内周面において前記ボルトのネジ山と螺合するネジ山を備えており、前記ボルトを接触要素を介して前記ナットに対して締付けることにより、一方で前記突起が弾性変形を生じると同時に該接触要素に向かって軸方向移動し、他方で前記ボルトが前記ナツトに対して回転可能であり、前記ボルトの軸方向に作用する締付力が前記ナツトに伝達されるフアスナ構体用ナツトにおいて、前記自由端が、前記中空体の接触要素に当接する端面より後退して位置し、前記突起が、前記内壁軸線から離れる方向に屈曲して前記中空体の内壁と接触するのを制限するための少なくとも１つの半径方向に突出する半径方向延長部分を備えており、更に、前記軸方向突出延長部分が、その内部に前記ネジ付きボルトのナット内への挿入を前記内壁軸線に沿って案内するための半径方向内方に突出しかつ軸方向に延びるリブを備えている構成としたので、できるだけ少ない構成要素からなり、かくして製造を安価にしかつ少なくとも１つの突起の弾性にも拘わらず緩みに対する大きな抵抗を保証するフアスナ構体用ナツト及びかかるナットと上記したボルトから構成されたファスナ構体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるナツトの好適な実施例を示す平面図である。
【図２】 図１の線（ＩＩ−ＩＩ）に沿うこのナツトの断面図である。
【符号の説明】
１ ナツト
１１ 中空体
１２ 突起
１３ 自由端
１４ ネジ山
１６ 上向きに突出する延長部分
１６ａ リブ
１７ 外向きに突出する延長部分

Claims (12)

1. ネジ山を備えたボルトおよび該ボルトと螺合するファスナ構体用のナツト（１）であって、
   前記ナットが、中空体（１１）と、その内方において該中空体と一体的に形成されかつその内壁軸線に対して傾斜すると共に内方に突出する少なくとも１つの突起（１２）と、該軸線と同軸に前記突起の下方に一体的に延びる軸方向突出延長部分（１６）とを有し、
   該突起が、弾性を有する硬質プラスチツクからなるプリズム状の断片を実質的に円筒状に繋ぎ合わせた中空体により形成され、
   該突起の自由端（１３）が、その内周面において前記ボルトのネジ山と螺合するネジ山を備えており、前記ボルトを接触要素を介して前記ナットに対して締付けることにより、一方で前記突起が弾性変形を生じると同時に該接触要素に向かって軸方向移動し、他方で前記ボルトが前記ナツトに対して回転可能であり、
   前記ボルトの軸方向に作用する締付力が前記ナツトに伝達されるフアスナ構体用ナツトにおいて、
   前記自由端（１３）が、前記中空体（１１）の接触要素に当接する端面より後退して位置し、
   前記突起（１２）が、前記内壁軸線から離れる方向に屈曲して前記中空体（１１）の内壁と接触するのを制限するための少なくとも１つの半径方向に突出する半径方向延長部分（１７）を備えており、
   更に、前記軸方向突出延長部分（１６）が、その内部に前記ネジ付きボルトのナット内への挿入を前記内壁軸線に沿って案内するための半径方向内方に突出しかつ軸方向に延びるリブ（１６ａ）を備えていることを特徴とするフアスナ構体用ナツト。
2. 前記突起（１２）が、任意の個数に周方向に分割された実質上円錐リングとして形成されていることを特徴とする請求項１に記載のフアスナ構体用ナツト。
3. 前記突起（１２）の傾斜面が、前記中空体（１１）の軸線に対して１０°から５０°の間の角度で形成されていることを特徴とする請求項１または２に記載のフアスナ構体用ナツト。
4. 前記突起（１２）の傾斜面が、前記中空体（１１）の軸線に対して３０°の角度で形成されていることを特徴とする請求項３に記載のフアスナ構体用ナツト。
5. 前記突起（１２）の少なくとも１つが、その自由端（１３）において、ネジ山経路の１部を形成するリブ（１４）によって形成されていることを特徴とする請求項１〜４の内の何れか１項に記載のフアスナ構体用ナツト。
6. 前記突起（１２）の少なくとも１つの自由端（１３）が、螺旋状の線に沿って延びることを特徴とする請求項１〜５の内の何れか１項に記載のフアスナ構体用ナツト。
7. 前記突起（１２）の前記中空体（１１）との接続部位の壁厚が、前記突起の壁厚より薄いことを特徴とする請求項１〜６の内の何れか１項に記載のフアスナ構体用ナツト。
8. 前記突起（１２）の前記中空体（１１）との接続部位の壁厚が、前記突起の壁厚のほぼ半分であることを特徴とする請求項７に記載のフアスナ構体用ナツト。
9. 前記突起（１２）の自由端（１３）が、周方向に遮断された細長い片で形成されておりかつ該細長い片が前記中空体（１１）との接続部位において、互いに接合された円錐リングを構成していることを特徴とする請求項１〜８の内の何れか１項に記載のフアスナ構体用ナツト。
10. 前記ナツトが熱可塑性プラスチツク、エラストマ材料、デユロマ材料、繊維補強プラスチツク、粒子補強ポリマ材料、または粒子および／または繊維補強ポリマ材料から作られることを特徴とする請求項１〜９の内の何れか１項に記載のフアスナ構体用ナツト。
11. 前記ナットが、繊維補強プラスチック材料から作られており、その繊維が全体的にまたは優先的に軸方向に沿って配置されることを特徴とする請求項１０に記載のフアスナ構体用ナツト。
12. ネジ山を備えたボルトおよび該ボルトと螺合するナット（１）から成るファスナ構体であって、
    前記ナットが、中空体（１１）と、その内方において該中空体と一体的に形成されかつその内壁軸線に対して傾斜すると共に内方に突出する少なくとも１つの突起（１２）と、該軸線と同軸に前記突起の下方に一体的に延びる軸方向突出延長部分（１６）とを有し、
    該突起が、弾性を有する硬質プラスチツクからなるプリズム状の断片を実質的に円筒状に繋ぎ合わせた中空体により形成され、
    該突起の自由端（１３）が、その内周面において前記ボルトのネジ山と螺合するネジ山を備えており、前記ボルトを接触要素を介して前記ナットに対して締付けることにより、一方で前記突起が弾性変形を生じると同時に該接触要素に向かって軸方向移動し、他方で前記ボルトが前記ナツトに対して回転可能であり、
    前記ボルトの軸方向に作用する締付力が前記ナツトに伝達されるよう成したファスナ構体において、
    前記自由端（１３）が、前記中空体（１１）の接触要素に当接する端面より後退して位置し、
    前記突起（１２）が、前記内壁軸線から離れる方向に屈曲して前記中空体（１１）の内壁と接触するのを制限するための少なくとも１つの半径方向に突出する半径方向延長部分（１７）を備えており、
    更に、前記軸方向突出延長部分（１６）が、その内部に前記ネジ付きボルトのナット内への挿入を前記内壁軸線に沿って案内するための半径方向内方に突出しかつ軸方向に延びるリブ（１６ａ）を備えていることを特徴とするフアスナ構体。

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