JP3651764B2 - 半導体レーザの波長制御方法および光装置 - Google Patents

半導体レーザの波長制御方法および光装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体レーザの波長制御方法および光装置(例えば、光周波数掃引光源、注入同期フィルタ、波長切替光源)に関する。
【0002】
【従来の技術】
将来の波長多重(WDM)通信システムでは、伝送容量増大の要求に応えるため、波長の多重数並びに波長多重の密度が増し、WDMチャネルの波長間隔が狭くなると考えられる。また、波長選択性を有する素子(例えば、アレイ導波路格子)を用いることで、波長によるキャリア光の行路(光パス)切替が実現され、効率的な通信システムの構築が可能となる。チャネル波長間隔の減少並びに波長を用いた光パス切替を実現するためには、チャネル光波長(光周波数)の厳密な制御がますます重要となるため、光源波長の厳密な制御が不可欠となる。
【0003】
これまでに、高精度な任意光周波数の発生手段として、光リング回路を用いたWDM用光源の研究開発(例えば、「K. Shimizu et al., "Frequency translation of light waves by propagation around an optical ring circuit containing a frequency shifter: I. Experiment," Appl. Opt. 32, 6718-6726(1993).」)が行われてきている。この方法は、基準とする光源の光を、繰り返し周波数変換することで多くの波長(光周波数)の光を得る方法であり、周波数変換器によって周波数変換された光を再び周波数変換器に戻すためにリング状の光回路を組んでいることから、光リング回路と呼ばれる(図4参照)。また、出力光の周波数が、光リング回路の周回時間間隔毎に受ける周波数シフトの回数に比例して変化するため、光周波数スイーパ(掃引器)とも呼ばれる。
【0004】
上記の方法では、出力光の周波数精度は、基準光源が持つ光周波数の絶対精度と、周波数変換器が持つ変換周波数の精度により決定される。ここで使用される基準光源は、非常に高精度な波長基準となるガスの吸収線を用いて波長安定化をはかることで、高い精度が実現されている。一方、周波数変換器は、電気的なフィードバック制御により、非常に高い周波数変換精度を有している。これらを用いることで、光リング回路では、非常に高い光周波数精度を有した光を作り出すことが可能となるのである。
【0005】
図4に光周波数掃引光源の従来例を示す。この光源は、基準光源1、光スイッチ3、光合分波器4、光周波数シフタ5、帯域通過型光フィルタ14、光増幅器15、光遅延線8及びこれらを結合する光ファイバ2からなる。
【0006】
図4において、基準光源1からの光は光スイッチ3で切り出され、光合分波器4を通じて光リング回路に導入される。光リング回路は光周波数シフタ5、帯域通過型光フィルタ14、光増幅器15、光遅延線8及び光ファイバ2を含む。光リング回路に導入された光は、光周波数シフタ5により或る量の周波数シフトを受ける。周波数シフト受けた光は、帯域通過型光フィルタ14を介して光増幅器15で増幅された後、光遅延線8において遅延時間を与えられる。その後、光合分波器4を通じて、一部は光リング回路外に出力され、残りは再び光リング回路中を周回することになる。光リング回路中を周回する光は、再び光周波数シフタ5で周波数シフトを受け、光リング回路を周回する。
【0007】
しかしながら、図4のように、光リング回路中の損失補償にファイバーアンプ等の光増幅器15を用いると、光増幅器15から発生する増幅された自然放出光雑音が光の周回につれて蓄積し、出力光の信号/雑音強度比(S/N比)が劣化するという問題があった。
【0008】
この自然放出光雑音蓄積の問題を解決する方法として、図4のように、帯域通過型光フィルタ14が用いられてきた。帯域通過型光フィルタ14には、狭帯域性、高速波長可変性という特性が求められる。
【0009】
これら狭帯域性、高速波長可変性という要求を満たし、さらには増幅特性をも兼備する帯域通過型光フィルタとして、特願平11−43368号で提案したように、波長可変レーザへの注入同期現象を利用した増幅・フィルタ機構(以下、注入同期フィルタ)が用いられるようになってきた(図5参照、詳細後述)。
【0010】
同期注入とは、図6(a)のように或る自走周波数(fFR) で発振しているレーザに、図6(b)のように自走周波数近傍(fML) の光を入射すると、レーザの発振周波数が入射光周波数(fin) に引き込まれてこれに一致する現象である。このように、発振しているレーザを用いることから、注入同期フィルタは、狭帯域、定出力光強度、定偏波という特性を実現している。
【0011】
図5に示す注入同期を応用した光リング回路型光源を説明する。これは、基準光源1、光スイッチ3、光合分波器4、光周波数シフタ5、レンズ6、半導体レーザ7、レンズ6、光遅延線8及びこれらを結合する光ファイバ2からなる。
【0012】
図5において、基準光源1からの光は、光スイッチ3で切り出され、光合分波器4を通じて光リング回路に導入される。光リング回路は光周波数シフタ5、レンズ6、半導体レーザ7、光遅延線8及び光ファイバ2を含む。光リング回路に導入された光は、光周波数シフタ5により或る量の周波数シフトを受ける。周波数シフト受けた光は、レンズ6を介して半導体レーザ7に入射される。半導体レーザ7は、制御装置(図示省略)により予め入射光周波数付近に周波数制御されており、入射光に注入同期される。この半導体レーザ7の出力光は、レンズ6を経て光遅延線8を通過した後、光合分波器4を通じて、一部は光リング回路外に出力され、残りは再び光リング回路中を周回することになる。光リング回路中を周回する光は、再び光周波数シフタ5で周波数シフトを受け、光リング回路を周回する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、注入同期が起こるために許容される周波数誤差、すなわち、自走発振時の光周波数 fFRと入射光周波数 finとの差は、数GHzと狭い範囲に限られる。そのため、注入同期を受ける半導体レーザ7の自走周波数 fFRは、光リング回路中を周波数シフトしながら周回する信号光周波数に対して、常に許容周波数誤差の範囲を保つように追従制御する必要がある。
【0014】
半導体レーザ7の光周波数制御の方法としては、キャリア密度変動に起因する屈折率変化を利用するもの、あるいは、温度による屈折率変化を利用するもの等があるが、応答速度と制御のしやすさの点から、電流注入によりキャリア密度を変化させて光周波数制御を行う前者の方法(電流注入法)が便利である。
【0015】
しかし、電流注入法による光周波数制御は、同時に半導体レーザ7に発熱状態の変化をもたらし、温度による周波数変化(遅い変化)をも引き起こしてしまうという問題を有している。そのため、キャリア密度変動に伴う光周波数切替が完了して後も、熱平衡状態に達するまでの間は光周波数のドリフトが継続し、最終的な光周波数安定までの時間は、熱平衡状態までの時定数で支配されていた。
【0016】
上記では2波長(光周波数)間での光周波数切替に関して議論してきたが、次々と光周波数が切り替えられてゆく注入同期フィルタ中の半導体レーザ7について、以下に検討する。
(1) 光周波数切替の間隔が温度変化の時定数に比べて短いため、注入同期フィルタ中の半導体レーザ7は常に熱的に見て過渡状態にある。
(2) このため、継続的な注入同期を実現するためには、熱的な影響を考慮に入れて半導体レーザ7の自走周波数を制御する必要がある。
(3) しかしながら、光周波数の瞬時厳密測定は困難であるため、光周波数の制御に用いられる電流値は、定常状態での制御電流−光周波数特性の測定結果を用いて決定されていた。
(4) したがって、半導体レーザ7の自走周波数に熱応答による遅れが生じ、許容される周波数誤差範囲から外れてしまう。その結果、注入同期の継続が阻害されるという問題を有していた。
【0017】
本発明の目的は、定常状態の測定で得られた制御電流と熱応答関数をもとに、半導体レーザの光周波数を高速かつ高精度に制御することができる、半導体レーザの波長制御方法および光装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は上記目的を達成する半導体レーザの波長制御方法であり、半導体レーザの光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を周期的に印加して、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を測定し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1工程と、
k回目(k=1,2,3,・・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値ferror,0 (t)=0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2工程と、
k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3工程と、
k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数H tran (ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数I k (ω ) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数F error,k-1 (ω)から、F error,k (ω)=H tran (ω)・Ik (ω ) −F error,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数F error,k (ω)を求め、このスペクトル関数F error,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4工程とを含み、
k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を制御パラメータとして、前記光周波数制御電極に制御信号を印加し、所定範囲内でなければ前記第2工程、第3工程および第4工程によりk+1回目の処理を行うことを特徴とする。
【0019】
この場合、請求項2記載の発明のように、前記半導体レーザの熱応答の時定数より短い時間間隔で、波長制御を行うこと、
あるいは、請求項3記載の発明のように、前記第1工程では、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) のうち熱的に過渡的な成分 fref,tran(t) をそれぞれスペクトル関数Iref (ω) とFref,tran(ω) にフーリエ変換し、各周波数成分毎に前記スペクトル関数Fref,tran(ω) を前記スペクトル関数Iref (ω) で除算することにより、前記伝達関数Htran(ω)を求めること、
あるいは、請求項4記載の発明のように、前記第1工程では、前記印加信号 iref (t) と、前記応答 fref (t) と、前記応答 fref (t) のうち熱的に定常状態の成分 fref,stat(t) をそれぞれスペクトル関数Iref (ω) と、Fref (ω) と、Fref,stat(ω) にフーリエ変換し、各周波数成分毎に、前記スペクトル関数Fref (ω) と前記スペクトル関数Fref,stat(ω) との差を前記スペクトル関数Iref (ω) で除算することにより、前記伝達関数Htran(ω)を求めることが可能である。
【0021】
請求項に係る発明の光装置は上記目的を達成する光周波数掃引光源であり、光合波手段、光周波数を変換する光周波数変換手段、半導体レーザおよび時間遅延手段がリング状に接続されてなる光リング回路と、基準光源と、前記基準光源と前記光合波手段の間に接続される光スイッチ手段と、前記半導体レーザの光周波数制御電極に制御信号を印加する制御電源と、前記制御電源の制御信号を変化させて前記半導体レーザの波長を制御する波長制御手段を具備すること、
前記波長制御手段は、前記光リング回路から前記光合波手段を通して取り出される光を入射する光分波手段と、前記光分波手段に接続された時間分解光スペクトル測定手段と、処理手段を有すること、
前記処理手段は、前記制御電源を制御して前記光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を前記時間分解光スペクトル測定手段から入力し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1手段と、k回目(k=1,2,3,・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値ferror,0 (t)=0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2手段と、k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3手段と、k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数H tran (ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数I k (ω ) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数F error,k-1 (ω)から、F error,k (ω)=H tran (ω)・Ik (ω ) −F error,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数F error,k (ω)を求め、このスペクトル関数F error,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4手段とを含み、k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を光周波数誤差が所定範囲内となる制御パラメータとして、前記制御電源から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ前記第2手段、第3手段および第4手段によりk+1回目の処理を行うものであることを特徴とする。
【0022】
請求項6に係る発明の光装置は上記目的を達成する同期フィルタであり、外部光を入射する半導体レーザと、この半導体レーザの光周波数制御電極に制御信号を印加する制御電源と、前記制御電源の制御信号を変化させて前記半導体レーザの波長を制御する波長制御手段を具備すること、
前記波長制御手段は、前記半導体レーザの出力光を入射する光分波手段と、この光分波手段に接続された時間分解光スペクトル測定手段と、処理手段を有すること、
前記処理手段は、前記制御電源を制御して前記光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を前記時間分解光スペクトル測定手段から入力し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1手段と、k回目(k=1,2,3・・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値 ferror, (t) =0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2手段と、k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3手段と、k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数Ik (ω) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数Ferror,k-1 (ω)から、Ferror,k (ω)=Htran(ω)・Ik (ω) −Ferror,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数Ferror,k (ω)を求め、このスペクトル関数Ferror,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4手段とを含み、k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を光周波数誤差が所定範囲内となる制御パラメータとして、前記制御電源から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ前記第2手段、第3手段および第4手段によりk+1回目の処理を行うものであることを特徴とする。
【0023】
請求項に係る発明の光装置は上記目的を達成する波長切替光源であり、半導体レーザと、この半導体レーザの光周波数制御電極に制御信号を印加する制御電源と、前記制御電源の制御信号を変化させて前記半導体レーザの波長を制御する波長制御手段を具備すること、
前記波長制御手段は、前記半導体レーザの出力光を入射する光分波手段と、この光分波手段に接続された時間分解光スペクトル測定手段と、処理手段を有すること、
前記処理手段は、前記制御電源を制御して前記光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を前記時間分解光スペクトル測定手段から入力し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1手段と、k回目(k=1,2,3,・・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値ferror,0 (t)=0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2手段と、k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3手段と、k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数H tran (ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数I k (ω ) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数F error,k-1 (ω)から、F error,k (ω)=H tran (ω)・Ik (ω ) −F error,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数F error,k (ω)を求め、このスペクトル関数F error,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4手段とを含み、k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を光周波数誤差が所定範囲内となる制御パラメータとして、前記制御電源から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ前記第2手段、第3手段および第4手段によりk+1回目の処理を行うものであることを特徴とする。
【0024】
請求項に係る発明の光装置は上記光周波数掃引光源あるいは同期注入フィルタあるいは波長切替光源光装置において、前記第2手段は定常状態の下で測定した光周波数と制御信号とのマップ、あるいは、定常状態下での測定を基に作成された光周波数と制御信号との変換テーブル、あるいは、定常状態における光周波数と制御信号との関係の近似式に基づいて、前記制御データ列 ik (t) を作成することを特徴とし、
請求項に係る発明の光装置は上記光周波数掃引光源あるいは同期注入フィルタあるいは波長切替光源光装置において、前記波長制御手段は定常状態における光周波数と制御信号との関係を記述したデータベースを有すること、前記第2手段は前記データベースの内容に基づいて、前記制御データ列 ik (t) を作成することに基づいて作成することを特徴とし、
請求項10に係る発明の光装置は上記光周波数掃引光源あるいは同期注入フィルタあるいは波長切替光源光装置において、前記半導体レーザは光周波数領域として位相調整領域と分布ブラッグ反射器(DBR)領域を有する3電極分布ブラッグ反射器(DBR)レーザであり、前記制御電源は位相調整領域と分布ブラッグ反射器(DBR)領域の両方の光周波数制御電極に制御信号を印加するものであり、前記波長制御手段は位相調整領域と分布ブラッグ反射器(DBR)領域の両方について前記制御電源の制御信号を変化させるものであることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明では、以下の手段を講じる。
▲1▼電流制御もしくは電圧制御による波長切替光源(波長切替半導体レーザ)及びその制御法においては、波長切替時の熱応答の伝達関数を用い、熱の時定数よりも短い時間刻みで、制御電流もしくは制御電圧を直接制御して過渡応答成分の補正を行う。
▲2▼また、注入同期フィルタ及びその制御法においては、上記▲1▼の制御法で制御される波長切替半導体レーザに外部からの入射光を導入し、その注入光周波数に出力光を同期させる。
▲3▼更に、光周波数掃引光源及びその制御法においては、上記▲2▼の制御法で制御される注入同期フィルタを光リング回路中に備えて、自然放出光雑音蓄積の問題を解決する。
【0027】
以下に説明する本発明の実施の形態では、前提として、下記の2つの条件を仮定する。
(1) 光周波数を注入電流により制御する場合は、扱う制御電流の範囲内では、熱による影響が制御電流の変化分に比例すると仮定する。すなわち、発熱が電流に比例し、かつ、温度と光周波数の変化分とが比例すると考えて差し支えない。
(2) 光周波数制御を印加電圧で行う場合は、扱う印加電圧の範囲内では、熱による影響が印加電圧の変化分に比例すると仮定する。すなわち、発熱が電圧に比例し、かつ、温度と光周波数の変化分とが比例すると考えて差し支えない。
【0028】
以下の説明では、注入電流による光周波数制御の場合について記載しているが、電圧制御の場合にも、単に、電流を電圧と読み替えることで、同様の議論が可能となる。
【0029】
[第1実施形態例:半導体レーザの波長制御方法]
図9に概略を示すように、熱過度応答補正の流れは、以下の工程▲1▼〜▲4▼のようになる。
▲1▼レーザの熱応答関数の測定・計算(図9中、ステップS1)。
▲2▼定常状態における光周波数−制御電流のテーブル等を用いた、定常状態における制御電流データ列の作成(図9中、ステップS2)。
▲3▼熱過度応答の計算(図9中、ステップS3)。
▲4▼周波数誤差の見積り(図9中、ステップS4)。
【0030】
これらの各工程▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼について、以下、順を追って説明する。
【0031】
[工程▲1▼:レーザの熱応答関数の測定・計算]
最初に、レーザの熱応答関数の測定・計算を行う工程を説明する。
まず、半導体レーザの周波数制御電流電極に、ステップ関数またはインパルス等、多くの周波数成分を含む電流を周期的に印加し、印加電流に対する出力光周波数の応答を測定する。
【0032】
ここで、印加電流の時間関数を iref (t)と表記し、この印加電流に対する出力光周波数の応答の時間関数をfref (t)と表記する。また、これらの時間関数iref (t)、fref (t)をフーリエ変換して得られる周波数スペクトルをそれぞれIref (ω)、Fref (ω)と表記する。
【0033】
これらの周波数スペクトルから、当該制御電流に対する光周波数誤差の伝達関数H(ω)は式(1) のように求められる。
H(ω)=Fref (ω)/Iref (ω) …式(1)
【0034】
さらに、目的とする光周波数の時間変化をftarget(t)と、そのスペクトル関数をFtarget(ω)と表記すると、このスペクトル関数Ftarget(ω)は、所望の周波数変化を与える制御電流のスペクトル関数Itarget(ω)、および、前式(1) と同じ伝達関数H(ω)を用いて、式(2) と書ける。
target(ω)=H(ω)・Itarget(ω) …式(2)
【0035】
したがって、所望の周波数変化を与える制御電流のスペクトル関数Itarget(ω)は式(3) と表され、これを逆フーリエ変換することにより、所望の周波数変化を与える制御電流の時間関数itarget(t)が求められる。
target(ω)=Ftarget(ω)/H(ω) …式(3)
【0036】
しかしながら、周波数制御電流の増分と光周波数の変化量とは線形関係にないため、前式(3) から求まる電流では、所望の周波数制御を実現できない。これは、注入キャリア量とそれに伴う周波数変化が比例しないことに起因している。
【0037】
そこで、印加電流に対する出力光周波数の応答fref (t)を、熱的に安定な状態すなわち定常状態での周波数fref,stat (t)と、過渡的な成分fref,tran(t) とに分け、影響を分離して考える。検討する時間領域において、過渡的な成分は熱に依っている。さらに、熱による非定常項は、前提条件として挙げたように注入電流に対して線形であるから、過渡的な成分 fref ,tran(t)は注入電流に対し線形応答を示す。
【0038】
このとき、印加電流iref (t)に対する出力光周波数の応答fref (t)と、この応答fref (t)のうち、定常状態での周波数fref,stat(t) と、過渡的な成分fref,tran(t) との関係は、式(4a)となる。また、定常状態での周波数成分fref,stat(t) のスペクトル関数をFref,stat(ω)と表記し、過渡的な成分fref,tran(t) のスペクトル関数をFref,tran(ω)と表記すると、印加電流に対する出力光周波数のスペクトル関数Href (ω)は式(4b)となる。
ref (t)=fref,stat (t)+fref,tran(t) …式(4a)
ref (ω)=Fref,stat(ω)+Fref,tran(ω) …式(4b)
【0039】
したがって、伝達関数H(ω)は、式(5) に示されるように、定常項Hstatと、非定常項Htran(ω)に分解できる。
Figure 0003651764
ただし、Hstat=Fref,stat(ω)/Iref (ω)、
tran(ω)=Fref,tran(ω)/Iref (ω)である。
【0040】
なお、伝達関数H(ω)の定常項Hstatは厳密にはキャリア効果等の非線形応答を除外して考えなければならないが、ここでは、形式的に非線形項も含めた定常項として用いる。
【0041】
ここで、前式(5) 中の伝達関数Htran(ω)は伝達関数H(ω)の非定常項であるから、式(6) により、伝達関数の非定常項Htran(ω)が求められる。
tran(ω)=H(ω)|ω≠0 …式(6)
【0042】
また、非定常項Htran(ω)は、前式(4b)よりFref,tran(ω)=Href (ω)−Fref,stat(ω)であるので、式(7) と表される。この式(7) より、非定常項Htran(ω)を、周波数の過渡応答項の測定結果fref,tran(t) から、求めることも可能である。
Figure 0003651764
【0043】
以上により求めた伝達関数を用いて、必要精度が得られるまで、▲2▼▲3▼▲4▼の工程の操作を整数k回(k=1,2,3,…)繰り返す。
【0044】
ここで、所望とする光周波数の時間変化をftarget(t)と表記し、k回目(k=1,2,3,…)の計算においてターゲット
(目的)とする光周波数の時間変化をftarget,k(t)と表記し、定常状態においてこの時間変化ftarget,k(t)を与える制御データをik (t)と表記する。
【0045】
この制御データik (t)を用いて半導体レーザを駆動した時の出力光周波数の時間変化をfk (t)と表記し、ターゲットとする光周波数の時間変化ftarget(t)に対するこの時間変化fk (t)の誤差ferror,k (t)を式(8) で定義する。
error,k (t)=fk (t)−ftarget(t) …式(8)
ここで、k=0のときは誤差0、つまり、ferror,k (t)|k=0 =0である。
【0046】
[工程▲2▼:定常状態における制御電流データ列の作成]
次に、定常状態における光周波数−制御電流テーブルを用いて、制御電流データ列の作成を行う工程を説明する。
【0047】
この工程では、k回目の計算におけるターゲット周波数変化関数ftarget,k(t)を決定する。このターゲット周波数変化関数ftarget,k(t)は、所望とする周波数変化ftarget(t)とk−1回目の計算における周波数誤差ferror,k-1 (t)とを用いて、式(9) で表される。
target,k(t =ftarget(t)− error,k-1 (t …式(9)
【0048】
そして、定常状態の下で測定した光周波数−制御電流のマップや、測定を基に作成した光周波数から制御電流への変換テーブル、あるいは、光周波数と制御電流との関係の近似式等を用いて、所望の光周波数変化ftarget(t)を与える制御電流データ列ik (t)を生成する。
【0049】
この電流制御データ列ik (t)を用いて、次に、熱過渡応答の計算を行う。
【0050】
[工程▲3▼:熱過渡応答の計算]
次に、熱過渡応答の計算を行う工程を説明する。
【0051】
制御電流データ列ik (t)とそれによって実現される光周波数変化fk (t)に関して、それぞれのスペクトル関数Ik (ω)、Fk (ω)の間には式(10)が成り立つ。
Figure 0003651764
【0052】
ここで、ik (t)は定常状態においてftarget,k(t)を与える制御電流であるから、式(11)が成り立つ。
stat,k(ω)=Ftarget,k(ω) …式(11)
【0053】
したがって、前式(10)は、式(12)となる。
k (ω)=Ftarget,k(ω)+Ftran,k(ω) …式(12)
【0054】
[工程▲4▼:周波数誤差の見積り]
次に、光周波数誤差の見積りを行う工程を説明する。
【0055】
前式(8) をフーリエ変換して求められる出力光周波数の誤差スペクトルFerror,k (ω)は、前式(9) と前式(12)を用いて、式(13)で表される。
Ferror,k (ω)=Fk (ω)− target (ω)
={Ftarget,k(ω)+Ftran,k(ω)}
−{Ftarget,k(ω)+Ferror,k-1 (ω)}
=Ftran,k(ω)−Ferror,k-1 (ω)
=Htran(ω)・Ik (ω)−Ferror,k-1 (ω)…式(13)
【0056】
この誤差スペクトルFerror,k (ω)を逆フーリエ変換することにより、光周波数誤差ferror,k (t)が式(14)のように求められる。
error,k (t)=ftran,k (t )−ferror,k-1 f(t) …式(14)
【0057】
光周波数誤差ferror,k (t)が制御の繰り返し周期内の全ての期間において、所定の範囲内であれば、制御電流データik (t)を制御パラメータとして採用し、レーザに電流を印加する。一方、所定の範囲を超える場合には、計算回数kに1を加え、上述の[工程▲2▼:定常状態における制御電流データ列の作成]に戻り、光周波数誤差の絶対値が所定の範囲以下となるまで、工程▲2▼〜▲4▼の操作を繰り返す。
【0058】
[第2実施形態例:光周波数掃引光源]
図1に本発明の第2実施形態例に係る光装置として、光周波数掃引光源の構成例を示し、これを説明する。
【0059】
本例の光周波数掃引光源は、等時間間隔で光周波数が変化する基準参照光を作り出す部分と、系の熱応答を測定して注入電流または印加電圧のデータを補正する部分からなる。本例では、光リング回路を用いた光周波数掃引光源が実現されている。光リング回路は、光合分波器4、光周波数シフタ(光周波数変換手段)5、レンズ6、半導体レーザ7、レンズ6、光遅延線8およびそれらを結合する光ファイバ2からなる。等時間間隔で光周波数が変化する出力光は、前記の光リング回路と、基準光源1と、同基準光源1の制御を行う光スイッチ3とで作られる。符号9は半導体レーザ7の制御電源である。図1〜図3中の各構成要素において、同符号を付したものは、同じ構成を示している。
【0060】
図1において、基準光源1からの光は、光スイッチ3で光リング回路を1周するのに要する時間(以下、周回時間Δt)以下の時間幅で切り出され、光合分波器4を通じて光リング回路に導入される。光リング回路に導入された光は、光周波数シフタ5により或る一定周波数(Δf とする)の周波数シフトを受ける。周波数シフト受けた光は、レンズ6を介して半導体レーザ7に入射される。半導体レーザ7は、制御電流のデータに基づいて制御電源9により予め入射光周波数付近に周波数制御されており、入射光に注入同期される。この半導体レーザ7の出力光はレンズ6を通して光遅延線8に入射され、この光遅延線8で時間遅延を与えられた後、光合分波器4を通じて、一部は光リング回路外に出力され、残りは再び光リング回路中を周回することになる。光リング回路を周回する光は、再び光周波数シフタ5でΔfの周波数シフトを受け、光リング回路中を周回する。
【0061】
以上のように、光リング回路中を光が繰り返し周回することにより、等周波数間隔(Δf)かつ等時間間隔(Δt)を持った基準参照光が生成される。
【0062】
一方、系の熱応答を測定し、制御データの補正を行う部分は、光分波器10、時間分解光スペクトル測定装置11、処理装置12および制御電流データベース13からなる。本例では、処理装置12および制御電流データベース13として、パーソナルコンピュータを用いている。
【0063】
波長制御のために処理装置12から制御電源9に制御電流データが送られるが、熱応答の補正が可能となるように、処理装置12は熱応答の時定数に比べて十分短い時間間隔で電流を制御するように設定している。
【0064】
処理装置12は、図示しないが、基本的には、
制御電源9を制御して半導体レーザ7の光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を時間分解光スペクトル測定装置11から入力し、印加信号 iref (t) と、応答 fref (t) との間の熱応答成分の伝達関数Htran(ω)を求める第1工程を処理する第1機能部と、
k回目の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2工程を処理する第2機能部と、
k回目の処理で得られた制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3工程を処理する第3機能部と、
k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、k回目の処理で得られた光周波数変化 fk (t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) より求める第4工程を処理する第4機能部とを含んでおり、
k回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた制御データ列 sk (t) を制御パラメータとして、制御電源9から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ第2機能部、第3機能部および第4機能部によりk+1回目の処理を行うものである。
【0065】
以下では、半導体レーザ7として、光周波数制御領域を2つ有する3電極分布ブラッグ反射器(DBR)レーザの場合を例として説明する。3電極分布ブラッグ反射器(DBR)レーザの場合は、出力光周波数は、位相調整領域とDBR(分布ブラッグ反射器)領域に加えられる2電流の組によって決定される。そこで、処理装置12は位相調整領域における熱過渡応答補正とDBR領域における熱過渡応答補正の双方を加味して行い、双方の補正後の光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればそのときの各領域に対する制御データ列 sk (t) を制御パラメータとして、制御電源9から各領域の光周波数制御電極に制御信号を印加させる。
【0066】
以下、図1において、系の熱応答を測定し、制御データの補正を行う部分の説明を行う。
【0067】
[▲1▼第1機能部:レーザの熱応答関数測定・計算]
初めに、位相調整領域とDBR領域に対する熱過渡応答の伝達関数を求める。まず、処理装置12により、半導体レーザ7の制御電源9に、多周波数成分を含む電流として、図7(a)に例示したようなステップ状の繰り返し電流を加える。このときの電流値は、半導体レーザ7への印加電流値範囲中から任意に選択する。
【0068】
上記電流条件において駆動した半導体レーザ7の出力光は、光分波器10を経て時間分解光スペクトル測定装置11で測定され、その測定データは処理装置12に集録される。その1例を、図7(b)に示す。
【0069】
ここで、位相調整領域への印加電流をiPC,ref (t)と表記し、この印加電流に対するレーザ出力光の周波数とその過渡応答成分をそれぞれ、fPC,ref (t)、ΔfPC,ref (t)と表記する。また、これらをフーリエ変換したスペクトル関数をそれぞれIPC,ref(ω)、FPC,ref(ω)、ΔFPC,ref(ω)と表記する。
【0070】
このとき、前式(8) から、位相調整領域における熱応答の伝達関数の過渡応答項は、式(15)の関係を満たしている。
PC,tran (ω)=ΔFPC,ref(ω)/IPC,ref(ω) …式(15)
【0071】
そこで、測定した出力光周波数の過渡応答成分ΔfPC,ref (t)と、印加した電流iPC,ref (t)とを処理装置12で高速フーリエ変換(FFT)し、各周波数成分について式(15)のように除算し、伝達関数HPC,tran (ω)を求めている。
【0072】
同様に、DBR領域についても、DBR領域への印加電流をiDBR,ref (t) と表記し、この印加電流に対するレーザ出力光の周波数とその過渡応答成分をそれぞれ、fDBR,ref (t) 、ΔfDBR,ref (t) と表記し、これらをフーリエ変換したスペクトル関数をそれぞれIDBR,ref (ω)、FDBR,ref (ω)、ΔFDBR,ref (ω)と表記すれば、DBR領域における熱応答の伝達関数の過渡応答項は、式(16)の関係を満たしている。
DBR,tran(ω)=ΔFDBR,ref (ω)/IDBR,ref (ω) …式(16)
【0073】
そこで、測定した出力光周波数の過渡応答成分ΔfDBR,ref (t) と、印加した電流iDBR,ref (t) とを処理装置12で高速フーリエ変換し、各周波数成分について式(16)のように除算し、伝達関数HDBR,tran(ω)を求めている。
【0074】
以上の処理▲1▼により求めた伝達関数HPC,tran (ω)、HDBR,tran(ω)を用いて、必要な精度が達成されるまで、整数k(k=1,2,3…)に対して以下の処理▲2▼〜▲4▼の操作を繰り返す。
【0075】
[▲2▼第2機能部:定常状態における光周波数−制御電流テーブルを用いた制御電流データ列の作成]
次に、処理装置12は、定常状態における半導体レーザ7の制御電流と出力光周波数との関係をテーブル化して記述した制御電流データベース13を基に、ターゲットとする光周波数の列に対する制御電流のデータ列を作成する。
【0076】
k回目の計算におけるターゲット光周波数ftarget,k(t)は、前式(9) より、ftarget,k(t)=ftarget(t)− error,k-1 (t と書ける。ここで、k=1のときはftarget,0(t)=0であるから、ftarget,1(t)=ftarget(t)である。
【0077】
処理装置12は、データベース13からデータを抽出し、このターゲット光周波数ftarget,k(t)を定常状態において満足する制御電流のデータ列を位相調整領域とDBR領域それぞれについて作成する。ここで作成された、位相調整領域とDBR領域への印加電流をそれぞれiPC,k (t)、iDBR,k (t) とし、それぞれのスペクトル関数をIPC,k(ω)、IDBR,k (ω)とする。
【0078】
[▲3▼第3機能部:熱過渡応答の計算]
次に、位相調整領域、DBR領域に加える電流入力に対する出力光周波数の過渡応答スペクトルを計算する。つまり、位相調整領域とDBR領域に加える電流による出力光周波数の過渡応答成分ftran,k (t )を求める。
【0079】
この過渡応答成分ftran,k (t)のフーリエスペクトルFtran,k(ω)は、前式(15)、(16)で求めた伝達関数の過渡応答項HPC,tran (ω)、HDBR,tran(ω)を用いて、式(17)により計算される。
Figure 0003651764
【0080】
処理装置12は、式(17)によりFtran,k(ω)を得、これを逆高速フーリエ変換して、出力光周波数の過渡応答成分ftran,k (t)を得ている。
【0081】
[▲4▼第4機能部:周波数誤差の見積り]
最後に、処理装置12は、出力光周波数誤差の見積りを行い、次にすべき処理を決定する。
【0082】
即ち、処理装置12は、前式(14)を用いて、出力光周波数の誤差ferror,k (t) を計算し、その値が制御の繰り返し周期内の全ての期間において、予め規定した範囲内であれば、▲2▼〜▲4▼のループ処理から抜け出す。誤差周波数が規定範囲内にない場合は、処理▲2▼に戻り、▲2▼〜▲4▼のループ処理を実行する。
【0083】
このようにして、誤差周波数が規定範囲内となるように作成された制御電流データiPC,k (t)、iDBR,k (t) を、処理装置12は制御パラメータとして採用して制御電源9に送り、DBRレーザ7を周波数制御する。
【0084】
これによって、光リング回路内部を周回する信号光の周波数に追従した、DBRレーザ7の自走光周波数出力が実現される。従って、信号光と自走周波数光との周波数誤差が注入同期の許容範囲内に収まり、安定かつ広波長域での光周波数掃引が可能となった。
【0085】
図8に、熱の補正を行わなかった場合(a)と、補正した場合(b)のそれぞれにおける、制御電流およびそれに対応する出力光周波数の時間スペクトルを示す。熱補正を行っていない図8(a)では、各制御電流は単一セグメントにおいて単調減少している。そして、位相調整領域での電流の不連続点(DBRレーザのモード切替点)において、出力光周波数に大きな不連続が生じている。これに対し、熱補正を行った図8(b)では、制御電流は、熱応答の遅れを補正するために、不連続点の立ち上がりを鈍らせた形となっている。この補正を加えることにより、出力光周波数は制御電流の不連続点においても疑似連続的に接続されている。
【0086】
本第2実施形態例においてはフーリエ変換等の計算を行う処理装置12および光周波数−制御電流の変換データを保存しているデータベース13としてパーソナルコンピュータを用いているとしてが、処理装置12としてマイコン(マイクロコンピュータ)を用いたり、高速フーリエ変換(FFT)の計算やその逆変換等にディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を用いたり、データベース13として変換テーブルを書き込んだROM、RAM等の記憶装置を使用することも可能である。また、本例においては、波長可変のレーザ7として3電極のDBRレーザを用いているが、他の半導体レーザ、例えば、より波長可変領域の広い超周期グレーティングDBRレーザ(SSG−DBRレーザ)を用いた構成も可能である。
【0087】
[第3実施形態例:注入同期フィルタ]
図2に本発明の第3実施形態例の光装置として、注入同期フィルタの構成例を示し、これを説明する。図2中の各構成要素において、図1と同符号を付したものは、同じ要素である。
【0088】
本例の注入同期フィルタは、外部からの入力光周波数に追従した周波数の出力光を出射する部分(DBR半導体レーザ7と、制御電源9および入出射側各レンズ6)と、系の熱応答を測定して注入電流または印加電圧のデータを補正する部分(光分波器10、時間分解光スペクトル測定装置11、処理装置12および制御電流データベース13)からなる。2は接続用光ファイバを示す。
【0089】
図2において、DBR半導体レーザ7には、外部から、予め決まってい入力光周波数がレンズ6を介して入射される。このDBRレーザ7は、制御電流のデータに基づいて制御電源9により予め入射光周波数付近に周波数制御されており、入射光に注入同期される。このDBRレーザ7の出力光はレンズ6を通して外部に出力される。つまり、ターゲットとなる光周波数ftarget(t) が外部からの入射光周波数である。
【0090】
一方、系の熱応答を測定し、制御データの補正を行う部分は、光分波器10、時間分解光スペクトル測定装置11、処理装置12および制御電流データベース13からなる。この測定・補正部分は、図1に示したものに比べ、光分波器10が光リング回路からではなく、DBRレーザ7の出力光の一部を取り出す点が異なり、他は構成、制御動作とも同様である。従って、重複する説明は省略する。また同様に、波長制御のために処理装置12から制御電源9に制御電流データが送られるが、熱応答の補正が可能となるように、処理装置12は熱応答の時定数に比べて十分短い時間間隔で電流を制御するように設定している。
【0091】
従って、図2に示す注入同期フィルタでは、熱の影響を補正したことにより、予め決まっている入力光周波数に追従したDBRレーザ7の自走周波数制御が可能となり、継続的なフィルタ機能が実現された。
【0092】
[第4実施形態例:波長切替光源]
図3に本発明の第4実施形態例の光装置として、波長切替光源の構成例を示し、これを説明する。図3中の各構成要素において、図1、図2と同符号を付したものは、同じ要素である。
【0093】
本例の波長切替光源は、所望とする出力光周波数を出射する部分(DBR半導体レーザ7と、制御電源9および出射側レンズ6)と、系の熱応答を測定して注入電流または印加電圧のデータを補正する部分(光分波器10、時間分解光スペクトル測定装置11、処理装置12および制御電流データベース13)からなる。2は接続用光ファイバを示す。
【0094】
図3において、DBR半導体レーザ7は、ターゲットとなる光周波数ftarget(t) が外部からの入力光周波数ではなく、制御電流のデータに基づいて制御電源9を介して所望の出力光周波数に変更することができるものであり、レンズ6を介して外部に出力される。
【0095】
一方、系の熱応答を測定し、制御データの補正を行う部分は、光分波器10、時間分解光スペクトル測定装置11、処理装置12および制御電流データベース13からなる。この測定・補正部分は、図2に示したものと同じ構成、制御動作であり、また、図1に示したものに比べれば、光分波器10が光リング回路からではなく、DBRレーザ7の出力光の一部を取り出す点が異なり、他は構成、制御動作とも同様である。従って、重複する説明は省略する。また同様に、波長制御のために処理装置12から制御電源9に制御電流データが送られるが、熱応答の補正が可能となるように、処理装置12は熱応答の時定数に比べて十分短い時間間隔で電流を制御するように設定している。
【0096】
従って、図3に示す波長切替光源では、熱の影響を補正した、任意の高速な光周波数切替が実現された。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、波長切替レーザの熱過渡応答によって生じる出力光周波数の誤差を補正し、高速な光周波数切替が実現される。また、注入同期フィルタを用いるレーザでは、自走周波数の設定誤差が補正されて継続的な注入同期が実現でき、光波長領域で安定な多光周波数光源が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例として、光リング回路型の光周波数掃引光源を示す図。
【図2】本発明の実施形態例として、注入同期フィルタを示す図。
【図3】本発明の実施形態例として、波長切替光源を示す図。
【図4】光リング回路型光源の従来例を示す図。
【図5】注入同期フィルタを応用した光リング回路を示す図。
【図6】注入同期の模式図。
【図7】制御電流と出力光周波数応答の関係を示す図。
【図8】熱補正の効果を示すタイムチャート。
【図9】半導体レーザの波長制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 基準光源
2 光ファイバ
3 光スイッチ
4 光合分波器
5 光周波数シフタ
6 レンズ
7 半導体レーザ
8 光遅延線
9 制御電源
10 光分波器
11 時間分解光スペクトル測定装置
12 処理装置
13 制御電流データベース

Claims (10)

  1. 半導体レーザの光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を周期的に印加して、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を測定し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1工程と、
    k回目(k=1,2,3,・・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値ferror,0 (t)=0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2工程と、
    k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3工程と、
    k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数H tran (ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数I k (ω ) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数F error,k-1 (ω)から、F error,k (ω)=H tran (ω)・Ik (ω ) −F error,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数F error,k (ω)を求め、このスペクトル関数F error,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4工程とを含み、
    k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を制御パラメータとして、前記光周波数制御電極に制御信号を印加し、所定範囲内でなければ前記第2工程、第3工程および第4工程によりk+1回目の処理を行うこと
    を特徴とする半導体レーザの波長制御方法。
  2. 請求項1において、
    前記半導体レーザの熱応答の時定数より短い時間間隔で、波長制御を行うことを特徴とする半導体レーザの波長制御方法。
  3. 請求項1において、
    前記第1工程では、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) のうち熱的に過渡的な成分 fref,tran(t) をそれぞれスペクトル関数Iref (ω) とFref,tran(ω) にフーリエ変換し、各周波数成分毎に前記スペクトル関数Fref,tran(ω) を前記スペクトル関数Iref (ω) で除算することにより、前記伝達関数Htran(ω)を求めること
    を特徴とする半導体レーザの波長制御方法。
  4. 請求項1において、
    前記第1工程では、前記印加信号 iref (t) と、前記応答 fref (t) と、前記応答 fref (t) のうち熱的に定常状態の成分 fref,stat(t) をそれぞれスペクトル関数Iref (ω) と、Fref (ω) と、Fref,stat(ω) にフーリエ変換し、各周波数成分毎に、前記スペクトル関数Fref (ω) と前記スペクトル関数Fref,stat(ω) との差を前記スペクトル関数Iref (ω) で除算することにより、前記伝達関数Htran(ω)を求めること
    を特徴とする半導体レーザの波長制御方法。
  5. 光合波手段、光周波数を変換する光周波数変換手段、半導体レーザおよび時間遅延手段がリング状に接続されてなる光リング回路と、基準光源と、前記基準光源と前記光合波手段の間に接続される光スイッチ手段と、前記半導体レーザの光周波数制御電極に制御信号を印加する制御電源と、前記制御電源の制御信号を変化させて前記半導体レーザの波長を制御する波長制御手段を具備すること、
    前記波長制御手段は、前記光リング回路から前記光合波手段を通して取り出される光を入射する光分波手段と、前記光分波手段に接続された時間分解光スペクトル測定手段と、処理手段を有すること、
    前記処理手段は、前記制御電源を制御して前記光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を前記時間分解光スペクトル測定手段から入力し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1手段と、k回目(k=1,2,3,・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値ferror,0 (t)=0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2手段と、k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3手段と、k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数H tran (ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数I k (ω ) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数F error,k-1 (ω)から、F error,k (ω)=H tran (ω)・Ik (ω ) −F error,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数F error,k (ω)を求め、このスペクトル関数F error,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4手段とを含み、k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を光周波数誤差が所定範囲内となる制御パラメータとして、前記制御電源から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ前記第2手段、第3手段および第4手段によりk+1回目の処理を行うものであること
    を特徴とする光装置。
  6. 外部光を入射する半導体レーザと、この半導体レーザの光周波数制御電極に制御信号を印加する制御電源と、前記制御電源の制御信号を変化させて前記半導体レーザの波長を制御する波長制御手段を具備すること、
    前記波長制御手段は、前記半導体レーザの出力光を入射する光分波手段と、この光分波手段に接続された時間分解光スペクトル測定手段と、処理手段を有すること、
    前記処理手段は、前記制御電源を制御して前記光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を前記時間分解光スペクトル測定手段から入力し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1手段と、k回目(k=1,2,3・・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値 ferror, (t) =0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2手段と、k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3手段と、k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数Ik (ω) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数Ferror,k-1 (ω)から、Ferror,k (ω)=Htran(ω)・Ik (ω) −Ferror,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数Ferror,k (ω)を求め、このスペクトル関数Ferror,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4手段とを含み、k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を光周波数誤差が所定範囲内となる制御パラメータとして、前記制御電源から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ前記第2手段、第3手段および第4手段によりk+1回目の処理を行うものであること
    を特徴とする光装置。
  7. 半導体レーザと、この半導体レーザの光周波数制御電極に制御信号を印加する制御電源と、前記制御電源の制御信号を変化させて前記半導体レーザの波長を制御する波長制御手段を具備すること、
    前記波長制御手段は、前記半導体レーザの出力光を入射する光分波手段と、この光分波手段に接続された時間分解光スペクトル測定手段と、処理手段を有すること、
    前記処理手段は、前記制御電源を制御して前記光周波数制御電極に複数の周波数成分を含む電流または電圧の信号 iref (t) を印加させ、この印加信号 iref (t) に対する出力光周波数の応答 fref (t) を前記時間分解光スペクトル測定手段から入力し、前記印加信号 iref (t) と前記応答 fref (t) の過渡的成分との間の伝達関数Htran(ω)を求める第1手段と、k回目(k=1,2,3,・・・)の処理におけるターゲット光周波数変化関数 ftarget,k(t) を、所望とする光周波数変化 ftarget(t) とk−1回目の処理で得られた光周波数誤差 ferror,k-1 (t) もしくはその初期値ferror,0 (t)=0の差分より求め、前記ターゲット周波数変化関数 ftarget,k(t) を与える制御データ列 ik (t) を、定常状態における光周波数と制御信号との関係に基づいて作成する第2手段と、k回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) に対応する光周波数の変化 fk (t) を、前記伝達関数Htran(ω)と同制御データ列 ik (t) より求める第3手段と、k回目の処理における光周波数誤差 ferror,k (t) を、前記伝達関数H tran (ω)と、前記制御データ列 ik (t) のスペクトル関数I k (ω ) と、k−1回目の処理で得られる前記光周波数誤差 ferror,k-1 (t) のスペクトル関数F error,k-1 (ω)から、F error,k (ω)=H tran (ω)・Ik (ω ) −F error,k-1 (ω)の計算によりスペクトル関数F error,k (ω)を求め、このスペクトル関数F error,k (ω)を逆フーリエ変換することにより求める第4手段とを含み、k回目の処理で得られた前記光周波数誤差 ferror,k (t) が所定範囲内であればk回目の処理で得られた前記制御データ列 ik (t) を光周波数誤差が所定範囲内となる制御パラメータとして、前記制御電源から光周波数制御電極に制御信号を印加させ、所定範囲内でなければ前記第2手段、第3手段および第4手段によりk+1回目の処理を行うものであること
    を特徴とする光装置。
  8. 請求項またはまたは記載の光装置において、
    前記第2手段は定常状態の下で測定した光周波数と制御信号とのマップ、あるいは、定常状態下での測定を基に作成された光周波数と制御信号との変換テーブル、あるいは、定常状態における光周波数と制御信号との関係の近似式に基づいて、前記制御データ列 ik (t) を作成すること
    を特徴とする光装置。
  9. 請求項またはまたは記載の光装置において、
    前記波長制御手段は定常状態における光周波数と制御信号との関係を記述したデータベースを有すること、
    前記第2手段は前記データベースの内容に基づいて、前記制御データ列 ik (t) を作成すること
    を特徴とする光装置。
  10. 請求項またはまたは記載の光装置において、
    前記半導体レーザは光周波数領域として位相調整領域と分布ブラッグ反射器(DBR)領域を有する分布ブラッグ反射器(DBR)レーザであり、
    前記制御電源は位相調整領域と分布ブラッグ反射器(DBR)領域の両方の光周波数制御電極に制御信号を印加するものであり、
    前記波長制御手段は位相調整領域と分布ブラッグ反射器(DBR)領域の両方について前記制御電源の制御信号を変化させるものであること
    を特徴とする光装置。
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