JP3651657B2 - セラミックスフィルターモジュールの製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐薬品性に優れたセラミックスフィルターモジュールの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、耐熱性が高く、高強度、高透過性セラミックスフィルターの必要性が高まっている。このようなセラミックスフィルターは例えば食品、薬品分野などにおいて使用されている。従来この分野では、有機膜が使用されてきたが、セラミックスは有機膜にはない優れた耐熱性、耐圧性、耐薬品性、高い分離能を持ち、有機膜を代替しつつある。さらに、多孔質膜は触媒担体や微生物培養担体などのバイオリアクターなどとしても使用されている。
【0003】
各種セラミックスの中でも窒化ケイ素は高強度、高靭性、高耐熱衝撃性、高耐薬品性を持つ構造用セラミックス材料であり、フィルター材質として非常に有望である。
【0004】
セラミックスフィルターはモジュールと呼ばれる構造で使用される。図1は、dead−end型モジュール構造を簡易図化したものである。原料ガス、液はフィルターで濾過されて、透過成分が外筒から取り出される。モジュールはフィルター本体と外筒、シールで構成される。外筒部はプラスチックやステンレス鋼、シール部にはガラスや樹脂等が使用されているが、これらの材質は酸やアルカリに対する耐食性が低いという欠点がある。緻密なセラミックスでできたシールも考えられる。例えば、円盤状のセラミックスに開けた円形の穴の中にフィルター差し込むという方法などが考えられるが、穴の寸法とフィルター寸法を高精度で一致させないと、シールの隙間からガスや液が漏れてしまう。このような高精度加工は現実的には不可能である。
【0005】
上記理由のために、セラミックスフィルター用いても、シール材質の問題から、セラミックスフィルターの利点を生かし切れていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セラミックスフィルターを用い、かつ、シール部の構造を改善することによって耐熱、耐食性が優れた高精度のフィルターモジュールを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の構成は、特許請求の範囲に記載したとおりのモジュールの製法である。すなわち、
(1)筒状フィルターとそれを包囲する外筒および筒状フィルターと外筒との両端の間隙を封止する環状SiC多孔体ならびに筒状フィルターの一端部を封止するSiC多孔体とからなる組立体における上記SiC多孔体に、不活性ガス中でSi融液を含浸させることによって、SiC多孔体を緻密化してシール部を形成すると共にフィルターと外筒とを固着させることを特徴とするセラミックスフィルターモジュールの製法である。
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一例を具体的に説明する。
【0009】
図1は、本発明のフィルターモジュールの縦断面図である。筒状のフィルター1とそれを包囲する外筒2があり、このフィルター1と外筒2との両端の間隙は環状のシール3で封止され、フィルター1の一端は円板状のシールで封止されている。
【0010】
外筒の一部にはフィルターを透過したガスGの出口が備えられている。
【0011】
【作用】
本発明のフィルターモジュールの作動を説明すると、原料ガスCがフィルター1の開口から流入し、フィルター1で濾過された後、透過ガスGとなってフィルター1と外筒との間を通り透過出口から流出する。
【0012】
フィルター1および外筒2の材料は、このフィルターモジュールの製造条件および使用条件によく耐えられるように耐熱性セラミックス、例えばSi3N4が好ましい。外筒は流体の漏れを防ぐために特に緻密質Si3N4が好ましい。
【0013】
次にこのフィルターモジュールの製造方法を具体的に説明すると、図2a)に示すように、まず、SiC粉末をリング状6、および円盤状7に成形し、これを焼結して多孔体とする。これにフィルター本体1を差し込んだ後、図2b)に示すように、上部のSiC多孔体上に円盤状のSi塊4を置く。下部のSiC多孔体下に同様のSi塊を置き、全体をSiの融点である約1450℃以上に加熱する。
【0014】
Siは溶融し、毛管現象によりSiC多孔体6、7内に溶浸される。これにより、SiC多孔体内はSiで充填されて緻密化すると共に、溶融Siは外筒とも接触し、強固に密着する。
【0015】
このようにすると、フィルター本体1、シール3、外筒2が強固に密着した構造ができるのである。SiCは耐熱性、耐食性に優れたセラミックスであり、SiもSiCほどではないが優れた耐熱、耐食性を持つため、複合化により優れた耐熱、耐食シールとなる。溶浸処理は不活性ガス中であればいいが、中でもN2ガス中で行うと、Siの表面部がSi3N4に転化するため、より一層耐食性が向上する。
【0016】
本モジュールを作製するには、フィルター本体、外筒共に最低でも1450℃での耐熱性が必要である。この意味では、両者は耐熱性セラミックスであることが好ましい。中でもSi3N4セラミックスが好ましい。外筒は液の漏れを防ぐために緻密質Si3N4が好ましい。溶浸温度はSiが溶融する温度以上でよいが、温度が高すぎるとSiがガス化してしまうため、1700℃程度までが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明のフィルターモジュールを更に具体的に説明する。
【0018】
実施例1
(1)モジュール
▲1▼フィルター本体
平均粒径0.5μmのα型窒化ケイ素粉末に平均粒径0.025μmのY2O3粉末を8wt%添加した混合粉末を有機バインダー、および水と混合し、押出成形により成形後、窒素中、温度1700℃、圧力5気圧で2hr焼成して、外径10mm、内径8mm、長さ100mmのフィルターを作製した。このフィルターの気孔率は50%、平均細孔径は0.05μmであった。
【0019】
▲2▼外筒
平均粒径0.5μmのα型窒化ケイ素粉末に平均粒径0.5μmのAl2O3、Y2O3粉末をそれぞれ3wt%、5wt%添加した混合粉末を有機バインダー、および水と混合し、押出成形により成形後、窒素中、温度1700℃、圧力5気圧で2hr焼成して、外径18mm、内径15mm、長さ100mmの焼結体を作製した。この焼結体の気孔率は0%であった。なお、円筒側面には予め直径5mmの穴を開けておいた。
【0020】
▲3▼シール
平均粒径50μmのSiC粉末に有機バインダーを添加して混合後、直径10mm、厚さ3mmの円盤状に、また、外径15mm、内径10mm、厚さ3mmのリング状に成形した。これらを温度2000℃で2hr、Ar中で焼成して気孔率80%のSiC多孔体を作製した。
【0021】
▲4▼Si溶浸処理
先の図2に示したように、Si3N4外筒とSi3N4フィルターとSiC多孔体を組み込み、上部に直径15mm、厚さ3mmのSi板をセットした。一方、下部は、カーボン製容器内に置いた直径20mm、厚さ10mmのSi板上に乗せ、全体を固定した。
【0022】
これらを加熱炉に入れ、1atmの窒素中、温度1700℃で24hr加熱後、冷却を経て取り出した。
【0023】
比較として、シール部のみをエポキシ樹脂、SiO2−B2O3系ガラス、Alにしたモジュールも作製した。
【0024】
(2)フィルター性能評価
5%HCl−N2ガス中に直径0.1μmのAl2O3微粒子を10ppm浮遊させたガスを室温でモジュールを通して1hr濾過した。1hr後、透過したガスを採取し、ガス中の微粒子濃度を測定した。
【0025】
次に同ガスを300℃に加熱して同様に濾過し、同様に1hr後、透過したガスを採取し、ガス中の微粒子濃度を測定した。
【0026】
結果を表1に示す。本発明のシール構造のモジュールは高温ガス中でも優れた分離性能を示した。
【0027】
【表1】
【0028】
実施例2
実施例1と同じモジュールを用いた。
【0029】
1.フィルター性能評価
水中に直径0.1μmのポリエチレン樹脂を100ppm分散させた液、1リットルを室温でモジュールを通して濾過した。濾過後、モジュールを大気中、温度700℃で焼成した。これらの工程を10回繰り返し、11回目の濾過実験の後、透過した液を採取し、液中の微粒子濃度を測定した。
【0030】
結果を表2に示す。本発明のシール構造のモジュールは切り返し再生処理(大気中焼成)後も優れた分離性能を維持した。
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】
本発明のモジュールは極めて耐熱性、耐薬品性に優れるため、腐食性のガスの分離や酸、アルカリ性液中の固形成分の分離等に使用するフィルターとして有効である。また、モジュールが全て耐熱性材質で構成されるため、使用した後にフィルター内に残存した固形成分を洗浄する手段として、焼き飛ばし処理が可能になるため、目詰まりしても何度も再使用できる極めて運転経費が安い優れたフィルターである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモジュールの一具体例の作用を示すための縦断面図。
【図2】本発明のモジュールの製造工程を示す説明図。
a)は外筒とフィルターとシール部素材を組み立てた状態の縦断面図、
b)はシール部素材にSi融液を含浸させる工程の説明図。
【図3】本発明のモジュールの完成品の説明図。
a)はb)のAA線断面図、
b)は完成品の縦断面図、
c)はb)のBB線断面図。
【符号の説明】
1 フィルター
2 外筒
3 シール
4 Si融液
5 Si融液容器
6 環状SiC多孔体(シール部素材)
7 円板状SiC多孔体(シール部素材)
C 原料ガス
G 透過ガス
Claims (1)
- 筒状フィルターとそれを包囲する外筒および筒状フィルターと外筒との両端の間隙を封止する環状SiC多孔体ならびに筒状フィルターの一端部を封止するSiC多孔体とからなる組立体における上記SiC多孔体に、不活性ガス中でSi融液を含浸させることによって、SiC多孔体を緻密化してシール部を形成すると共にフィルターと外筒とを固着させることを特徴とするセラミックスフィルターモジュールの製法。
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JP15315099A JP3651657B2 (ja) | 1999-06-01 | 1999-06-01 | セラミックスフィルターモジュールの製法 |
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JP2000334232A JP2000334232A (ja) | 2000-12-05 |
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JP15315099A Expired - Fee Related JP3651657B2 (ja) | 1999-06-01 | 1999-06-01 | セラミックスフィルターモジュールの製法 |
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JP2005046764A (ja) * | 2003-07-30 | 2005-02-24 | Asahi Glass Co Ltd | 窒化ケイ素質ハニカムフィルタ用封止材、それを用いた窒化ケイ素質ハニカムフィルタの封止法 |
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- 1999-06-01 JP JP15315099A patent/JP3651657B2/ja not_active Expired - Fee Related
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