JP3651547B2 - 半導体製造用セラミックチューブ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造用の縦型熱処理装置に使用されるセラミック製のライナーチューブ(均熱管)又はプロセスチューブ(反応管)となる半導体製造用セラミックチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の半導体製造用セラミックチューブ31は、例えば炭化珪素質(SiC,Si−SiC)等のセラミックスによって形成され、図3に示すように、筒部31aの一端部をこれと直角をなす平板状の封じ部31bによって封止した一体構造とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、半導体ウェーハの大口径化が進むことにより、当然、酸化や拡散、LP−CVD工程に用いられる縦型熱処理装置の均熱管や反応管等の大口径化が進む。又、枚葉式、バッチ式のいずれの場合でも、半導体ウェーハのスループット向上は大きな命題となり、熱処理工程においてもこれまでよりさらなる高速昇降温が求められ、均熱管や反応管も熱容量の低下(薄肉化)、偏肉の低減(均熱性の向上)が要求されている。
しかし、従来の一体構造の半導体製造用セラミックチューブでは、縦型熱処理装置の大口径化及び高速昇降温化が進むと、その昇温及び降温工程において、よりヒータ源に近い筒部と封じ部とでの温度差がこれまでより大きくなり、熱膨張差に伴う熱応力が発生する。
この熱応力が材料強度を超えた場合、クラックが発生し、半導体ウェーハ、ボート、装置等を破損するおそれがある。
かかる不具合を軽減するため、すなわち熱応力を緩和するため、図4に示すように、筒部32aの一端部を外方に向って凸の曲板状の封じ部32bによって封止した一体構造のセラミックチューブ32が知られている。
ところが、炉上部には半導体ウェーハの処理ができないデッドスペースが生じ、装置の大型化、高コスト化を招く不具合がある。
そこで、本発明は、デッドスペースを生じることなく、かつ熱応力の発生を抑制し得る半導体製造用セラミックチューブを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の半導体製造用セラミックチューブは、垂直に立設される炭化珪素質製の筒体と、筒体の上端面に気密に載置可能、かつ上端部内に一部が遊嵌可能な炭化珪素質製の円盤状の蓋体とからなることを特徴とする。
前記蓋体は、筒体の上端面に気密に載置可能、かつ上端部内に一部が遊嵌可能な円輪板状の第1部材と、第1部材の上面に載置可能、かつその穴に一部が遊嵌可能な円板状の第2部材とからなることが好ましい。
前記第1部材及び第2部材の遊嵌部の厚みは、筒体の厚みの1.5〜2.5倍であることが好ましい。
又、前記第1部材の遊嵌部の厚みは、筒体の厚みの1.5〜2.0倍、第2部材の遊嵌部の厚みは、第1部材の遊嵌部の厚みの1.2〜1.6倍、第2部材の遊嵌部の外径は、筒体の内径の0.25〜0.6倍であることが好ましい。
一方、第1部材は、同心円状の2以上の円輪板からなり、小径のものが大径のものの上面に気密に載置可能、かつ大径のものの穴に小径のものの一部が遊嵌可能に設けられていることが望ましい。
【0005】
セラミックチューブを筒体と円盤状の蓋体とから構成することにより、封じ部の高さが低くなると共に、筒体と蓋体とが相対的に摺動可能となる。
蓋体を第1部材と第2部材とから構成することにより、単一部材からなる場合よりも、製作寸法精度が向上する。
第1部材及び第2部材の遊嵌部の厚みを、筒体の厚みの1.5〜2.5倍とすることにより、蓋体からの輻射による放熱が低減する。
第1部材及び第2部材の遊嵌部の厚みが、筒体の厚みの1.5倍未満であると放熱の低減効果が無く、2.5倍を超えると蓋体の重量が大きくなりすぎ、筒体の熱変形が生じる。
又、第1部材の遊嵌部の厚みを、筒体の厚みの1.5〜2.0倍、第2部材の遊嵌部の厚みを、第1部材の遊嵌部の厚みの1.2〜1.6倍、第2部材の遊嵌部の外径を、筒体の内径の0.25〜0.6倍とすることにより、蓋体からの輻射による放熱が低減しかつ径方向でほぼ均熱となる。
第2部材の遊嵌部の厚みが、第1部材の遊嵌部の厚みの1.2倍未満で、第2部材の遊嵌部の外径が、筒体の内径の0.25倍未満であると径方向での放熱の均一化が妨げられる一方、第2部材の遊嵌部の厚みが、第1部材の遊嵌部の厚みの1.6倍を超え、第2部材の遊嵌部の外径が、筒体の内径の0.6倍を超えると蓋体の重量が大きくなりすぎ、筒体の熱変形を生じる。
一方、第1部材を、同心円状の2以上の円輪板によって構成することにより、大口径化に対処できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る半導体製造用セラミックチューブの実施の形態の一例を示す分解断面図である。
この半導体製造用セラミックチューブ1は、縦型熱処理装置の均熱管となるもので、垂直に立設される炭化珪素質製の筒体2と、筒体2の上端面に気密に載置可能で、かつ筒体2の上端部内に一部が遊嵌可能な炭化珪素質製の円盤状の蓋体3とからなり、蓋体3は、筒体2の上端面に気密に載置可能で、かつ筒体2の上端部内に一部が遊嵌可能な円輪板状の第1部材4及び第1部材4の上面に気密に載置可能で、かつその穴に一部が遊嵌可能な円板状の第2部材5によって構成されている。
そして、蓋体3は、均熱管の外周からの抵抗加熱が行われる縦型熱処理装置では、半導体ウェーハの大口径化が進み、均熱管の径が大きくなればなるほど、均熱管の上方内部が比較的低温域となるのに対処するため、図2に示すように、第1部材4の遊嵌部4aの厚みaを、筒体2の厚みbの1.5〜2.5倍、第2部材5の遊嵌部5aの厚みcを、第1部材4の遊嵌部4aの厚みaの1.2〜1.6倍、第2部材5の遊嵌部5aの外径dを、筒体2の内径eの0.25〜0.6倍とし、蓋体3からの輻射による放熱を低減しかつ径方向(図2においては左右方向)でほぼ均熱になるようにされている。
なお、第1部材4の載置部4bと第2部材5の載置部5bの厚みは、両部材4,5の自重による変形を生じない適宜の厚さ(例えば2mm)とされる。
【0007】
上記構成のセラミックチューブ1においては、高速に昇温され、筒体2が急速に昇温されて膨張されても、筒体2と蓋体3とが相対的に摺動するので、両者間の熱応力の発生が抑えられると共に、蓋体1からの輻射による放熱が低減しかつ径方向でほぼ均一となるので、均熱管の上方内部の温度低下が防止され、均熱管の内部をほぼ均一な温度とすることができる。
【0008】
ここで、外径450mm、内径442mm、長さ1100mmのシリコン含浸炭化珪素(Si−SiC)製の垂直な筒体と、筒体の上端面に載置した外径450mm、内径250mm、遊嵌部の肉厚6mmの第1部材及び第1部材の上面に載置した外径260mm、遊嵌部の外径248mm、遊嵌部の肉厚8mmの第2部材からなるSi−SiC製の円盤状の蓋体とによって分割タイプの均熱管を作製し、この均熱管を縦型熱処理装置にセットし、不活性ガス(N2 ガス)雰囲気において時間1200℃の昇温速度で加熱し、1時間保持して冷却後にその外観を調べたところ、いずれの部分にもクラックは見られなかった。
比較のため、内径442mm、肉厚4mm、長さ1100mmの従来の一端封じのSi−SiC製の均熱管を作製し、この均熱管を上述したように縦型熱処理装置にセットし、同一の条件で昇温したところ、封じ部に大きなクラックが生じた。
【0009】
なお、上述した実施の形態においては、蓋体を第1部材と第2部材とによって構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、円板状の単一の部材によって蓋体を構成し、その遊嵌部の厚みを筒体の厚みの1.5〜2.5倍としてもよく、又、第1部材を同心円状の2以上の円輪板によって構成するようにしてもよい。2以上の円輪板からなる第1部材は、小径のものが大径のものの上面に載置可能で、かつ大径のものの穴に小径のものの一部が遊嵌可能に設けられるものである。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体製造用セラミックチューブによれば、封じ部の高さが低くなると共に、筒体と蓋体とが相対的に摺動可能となるので、デッドスペースを生じることがないと共に、両者の熱膨張差によって生ずる両者間の熱応力を抑えることができる。
蓋体を第1部材と第2部材とから構成することにより、単一部材からなる場合よりも、製作寸法精度が向上するので、製作を容易に行うことができると共に、セラミックチューブの信頼性を高めることができる。
第1部材及び第2部材の遊嵌部の厚みを、筒体の厚みの1.5〜2.5倍とすることにより、蓋体からの輻射による放熱が低減するので、セラミックチューブ内の上下方向の均熱性を向上させることができる。
又、第1部材の遊嵌部の厚みを、筒体の厚みの1.5〜2.0倍、第2部材の遊嵌部の厚みを、第1部材の遊嵌部の厚みの1.2〜1.6倍、第2部材の遊嵌部の外径を、筒体の内径の0.25〜0.6倍とすることにより、蓋体からの輻射による放熱が低減しかつ径方向でほぼ均熱となるので、セラミックチューブ内の上下方向の均熱性のみならず、上方内部の径方向の均熱性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体製造用セラミックチューブの実施の形態の一例を示す分解断面図である。
【図2】図1のセラミックチューブの要部の概略を示す拡大図である。
【図3】従来の半導体製造用セラミックチューブの断面図である。
【図4】従来の他の半導体製造用セラミックチューブの断面図である。
【符号の説明】
2 筒体
3 蓋体
4 第1部材
4a 遊嵌部
5 第2部材
5b 遊嵌部

Claims (5)

  1. 垂直に立設される炭化珪素質製の筒体と、筒体の上端面に気密に載置可能、かつ上端部内に一部が遊嵌可能な炭化珪素質製の円盤状の蓋体とからなることを特徴とする半導体製造用セラミックチューブ。
  2. 前記蓋体が、筒体の上端面に気密に載置可能、かつ上端部内に一部が遊嵌可能な円輪板状の第1部材と、第1部材の上面に気密に載置可能、かつその穴に一部が遊嵌可能な円板状の第2部材とからなることを特徴とする請求項1記載の半導体製造用セラミックチューブ。
  3. 前記第1部材及び第2部材の遊嵌部の厚みが、筒体の厚みの1.5〜2.5倍であることを特徴とする請求項2記載の半導体製造用セラミックチューブ。
  4. 前記第1部材の遊嵌部の厚みが、筒体の厚みの1.5〜2.0倍、第2部材の遊嵌部の厚みが、第1部材の遊嵌部の厚みの1.2〜1.6倍、第2部材の遊嵌部の外径が、筒体の内径の0.25〜0.6倍であることを特徴とする請求項2記載の半導体製造用セラミックチューブ。
  5. 前記第1部材が、同心円状の2以上の円輪板からなり、小径のものが大径のものの上面に気密に載置可能、かつ大径のものの穴に小径のものの一部が遊嵌可能に設けられていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の半導体製造用セラミックチューブ。
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