JP3651389B2 - 電子部品の冷却構造およびこの冷却構造を有する電子回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品のはんだ接続部を利用した冷却構造および電子回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子計算機などの電子回路装置においては、多くのLSIなどの電子部品がプリント回路基板やセラミック回路基板等(以下、単に基板とよぶ)に搭載されている。電子部品の電極および基板にははんだ接続用の金属層が形成され、電子部品は基板上に、はんだによって接続される。
【0003】
このはんだを用いた電子部品と基板との接続方法には、Quad Flat Package(QFP)の接続に代表される電子部品の電極と基板の電極をリードを介してはんだ接続する方法、微細なはんだボールを用いて電子部品と回路基板の電極を直接接続するControlled Collapse Bonding(CCB)またはBall Grid Array(BGA)などが挙げられる。
【0004】
これらの電子部品の発熱が大きく、電気的な接続をとるための前述のはんだ接続部だけで電子部品の発する熱を基板に伝えるだけでは十分な冷却が出来ない場合には、電気的な接続を目的としないはんだ(以降、熱伝導はんだと呼ぶ)接続部を電子部品と基板の間に設ける方法がある。
【0005】
さらに、この冷却方法において、電子部品のリフローはんだ付けのはんだ溶融時の部品の移動を抑制して正常な位置に部品を搭載するために、熱伝導はんだを接続する基板側の金属層のパターンを正方格子状に分割する方法がある。たとえば、武広正雄、BCC、BCC++の特性と今後の技術展開、第15回ULSIパッケージ新技術シンポジウム、第26〜43頁、2000の図22などが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の熱伝導はんだを接続する基板側の金属層のパターンを正方格子状に分割する方法では、はんだ溶融時のはんだの流動を抑制して電子部品の回転など大きな移動を抑制する効果が見込める。一方、電子部品と基板の電極同士を位置合わせするためには、一般にはんだの表面張力によるセルフアライメント効果を利用することができる。この表面張力は、液体表面の曲率が大きいほど大きくなることがわかっている。セルフアライメント効果は、はんだの表面の曲率が大きいほど期待でき、したがってはんだ表面の曲率が大きいほど初期の部品搭載位置ずれマージンを大きくすることが出来る。上述の方法では、はんだの高さ方向の曲率のみによる表面張力によってセルフアライメントされるため、高精度な電子部品の位置合わせが必要となる。
【0007】
また、電子部品と基板の線膨張係数差もしくはそれらとはんだの線膨張係数差に起因する熱ひずみは、はんだの熱疲労破壊を引き起こし、この熱ひずみが大きいほど熱疲労破壊はより速く進行する。そしてはんだ接続部の中心からの距離が大きいほどこの熱ひずみは大きくなる。ただし、一般にひずみは中心からの距離に比例するわけではなく、はんだ外周近傍で顕著に大きくなり、また角部やき裂先端近傍にはひずみが集中するため特に大きな値となる。したがって、正方格子状のはんだ接続部は、中心から遠い角部でひずみが局地的に大きな値となり、まず初期き裂が発生する。そして、そこを起点として熱疲労破壊が進行し、冷却性能が徐々に低下していく。
【0008】
本発明は、電子部品の発熱を熱伝導はんだ接続部を介して基板に逃がす方法の前述のような諸問題を解決するためになされたものであり、すなわち電子部品の初期搭載ずれ許容量を増大し、なおかつ高信頼な冷却性能に優れた構造と、これを用いた電子回路装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題は、以下の手段により達成される。電子部品と基板の電気的な接続部以外に、熱伝導を目的としたはんだならびに接続用の電子部品と基板の金属層を設ける。この電子部品または基板の金属層を、3以上の部分に分割されなおかつそれぞれの1辺以上が丸みを帯びるように形成する。次に、基板金属層上にはんだペースト印刷あるいははんだ浴浸漬などによりはんだを供給し、加熱、溶融させて電子部品と基板を接続する。
【0010】
電子部品または基板の金属層を、3以上の部分に分割されなおかつそれぞれの1辺以上が丸みを帯びるように形成することにより、はんだの表面張力によるセルフアライメント効果を大きくすることができ、初期の部品搭載位置が多少ずれていても、電子部品を正常な位置に搭載することができる。また搭載後は、ひずみの集中を避けることにより初期き裂の発生を抑制でき、高信頼な冷却性能に優れた構造を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を、図1〜3を参照しながら、以下に説明する。図1が本発明の実施例の断面図、図2および図3がそのときの電子部品または基板の金属層の形状を表す。そして、図2が請求項1を、図3が請求項2をそれぞれ説明した図である。電子部品1または基板3に、電気的な接続を行うための金属層(電極)とともに、熱伝導のための金属層5を形成する。このとき、例えばめっきによりこの金属層を形成する場合、めっき用のマスクを図2あるいは図3のようなパターンで作成し、例えばNiめっき、さらにAuめっきを行う。
【0012】
次に、基板の金属層5上に、例えばSn3Agはんだペーストを印刷する。この上に電子部品を位置合わせをして搭載する。そしてN2(窒素)雰囲気炉にて、毎分10℃程度の速さで約220℃まではんだの温度を上昇させ、1分以上その状態を維持し、はんだ接続を行う。このはんだが加熱され溶融し、セルフアライメント作用で基板面内の位置が修正された後に、毎分10℃程度の速度で冷却すれば、図2あるいは図3と同様なパターンのはんだ接続が、その他の電気的はんだ接続とともに行われる。
【0013】
なお、ここでは電子部品または基板の金属層の形成方法をめっきとしたが、その他の方法でも良い。また、接続に使用するはんだはSn3Agとしたが、その他の組成であっても良い。さらには、はんだの供給方法をペースト印刷としたが、その他の方法でも良い。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明により、初期の部品搭載位置が多少ずれていても、電子部品を正常な位置に搭載することができる。また搭載後には、本発明による電子回路装置は、より高信頼な、冷却性能に優れた構造を有することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱伝導用はんだを用いた電子部品と基板の接続状態を表す断面図である。
【図2】本発明である請求項1による電子部品あるいは基板の金属層の形状を表す概念図である。
【図3】本発明である請求項2による電子部品あるいは基板の金属層の形状を表す概念図である。
【符号の説明】
1…電子部品、2…熱伝導用はんだ、3…基板、4…電気的接続用部品、5…んだ接続用金属層。
Claims (3)
- 電気的な接続を目的としないはんだ接続部を利用して電子部品の発する熱を基板に伝導させる構造において、そのはんだを接続するための電子部品の金属層または基板の金属層の形状が、部品中心あるいはそれを含む軸に対して対称に3つ以上の部分に分割され、なおかつそれぞれの部分の、部品中心から遠い部分が丸みを帯びている構造。
- 電気的な接続を目的としないはんだ接続部を利用して電子部品の発する熱を基板に伝導させる構造において、そのはんだを接続するための電子部品の金属層または基板の金属層の形状が、部品中心あるいはそれを含む軸に対して対称に3つ以上の部分に分割され、なおかつそれぞれの部分の、部品中心から遠い部分が円弧である構造。
- 前記基板と該基板に前記電気的な接続を目的としないはんだ接続部を介して搭載された前記電子部品とを備え、該基板又は該電子部品にはこれと該はんだ接続部のはんだとを接続し且つ請求項1又は請求項2に記載された構造をなす金属層が形成されている電子回路装置。
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