JP3651379B2 - シロッコファン及びそれを用いた加湿ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シロッコファンと、そのシロッコファンを用いた加湿ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シロッコファンとして、図3に示すようなものがある。このシロッコファンは、吸込口51と吹出口52を有するケーシング53内に、図示しない羽根車を収納している。このシロッコファンを動作すると、羽根車の回転軸方向に開口するケーシング53の吸込口51から矢印Cで示すように空気を吸い込み、この吸い込んだ空気を羽根車の周方向に開口するケーシング53の吹出口52から矢印Dで示すように吹き出す。
【0003】
なお、上記ケーシング53の吸込口51は、上記羽根車の回転軸と同心の円形状をなしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシロッコファンは、高負荷運転の際に、図4に示すように、吸込口51から矢印Cで示すように吸い込まれた空気の一部が、再び吸込口51から矢印Eで示すように吹き出て、吸込口51に逆流領域Fが生じるという問題がある。この逆流領域Fが生じると、大きな騒音が生じ、かつ、吹出口52から吹き出る空気の量が減ってシロッコファンの送風効率が悪化するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、高負荷運転時でも、吸込口から空気が逆流することがなくて、騒音の発生を防止でき、かつ、効率が良好なシロッコファンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、図4に示す従来のシロッコファンの吸込口51において、上記逆流領域Fが、吹出口52から空気が吹き出る方向に平行な直径で分割した吹出口52の反対側に生じることを発見した。この発見に基づいて、上記シロッコファンの吸込口51を羽根車の回転軸に対して偏心させて形成し、そのシロッコファンを実際に運転して実験を行った。その結果、上記吸込口に逆流領域が殆ど生じることなく、吸込口から吸入した空気を略全て吹出口から吹き出すことができることを確認した。この実験結果に基づいて本発明がなされた。
【0007】
請求項1の発明によるシロッコファンは、吸込口と吹出口を有するケーシングと、このケーシング内に設けた羽根車とを有するシロッコファンにおいて、
上記吸込口は、上記羽根車の回転軸に対して、上記吹出口から空気が吹き出る方向に平行な上記羽根車の直径よりも、上記吹出口側に偏心しており、かつ、上記直径よりも吹出口側にのみ位置していて、高負荷運転時でも上記吸込口に逆流領域が生じないことを特徴としている。
【0008】
請求項1のシロッコファンによれば、吸入口が羽根車の回転軸に対して、上記吹出口から空気が吹き出る方向に平行な上記羽根車の直径よりも、上記吹出口側に偏心しており、かつ、上記直径よりも吹出口側にのみ位置していて、上記吸込口に、高負荷運転時でも、逆流領域が生じない。したがって、吸込口における空気の流れに擾乱が生じることがなくて、騒音が防止される。また、吸入口から吸入された空気が略全て吹出口から吹き出されるから、シロッコファンの送風効率が向上する。
【0009】
請求項2の発明によるシロッコファンは、請求項1によるシロッコファンにおいて、
上記吸込口は、直線と円弧からなることを特徴としている。
【0010】
請求項2のシロッコファンによれば、吸込口が直線と円弧から構成されるので、吸込口の加工が容易であり、簡単・安価にシロッコファンが製造される。
【0011】
請求項3の発明によるシロッコファンは、請求項1または2によるシロッコファンにおいて、
上記吸込口は、交差する2つの直線と、円弧とからなることを特徴としている。
【0012】
請求項3のシロッコファンによれば、上記吸込口は、交差する2つの直線と円弧とから構成されるので、空気が逆流しない吸込口の最適な形状が、容易に形成される。
【0013】
請求項4による加湿ユニットは、請求項1乃至3のいずれか1つによるシロッコファンを、加湿ファンとして用いる。
【0014】
請求項4の加湿ユニットによれば、騒音が少なく、かつ、送風効率が高い上記シロッコファンを加湿ファンとして用いるので、騒音が少なく、かつ、加湿効率が高い加湿ユニットが得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態としてのシロッコファンを示す斜視図である。このシロッコファン1は、多数の羽根を回転軸周りに備える羽根車と、この羽根車を収納するケーシング3とからなる。上記ケーシング3は扁平な円筒形状部分と、この円筒形状部分の側面から周方向に向って延びる矩形断面の吹出部分とを有する。上記円筒形状部分の図1における上側面には、空気の吸込口5が開口していて、上記吹出部分の端部には、空気の吹出口4が開口している。上記円筒形状部分の図1における下側面には、図示しないボス穴が設けられていて、このボス穴を貫通する図示しないモータの駆動軸が、上記円筒形状部分の内側に配置された羽根車の回転軸に連結されている。
【0017】
上記吸込口5は、略直角に交差する2つの直線5a,5aと、上記羽根車の回転軸と略同心の円弧5bとからなる扇形をなしている。この吸込口5は、上記羽根車の回転軸に対して偏心して形成されている。
【0018】
上記構成のシロッコファン1において、上記モータを起動して羽根車を回転駆動する。そうすると、上記吸込口5から矢印Aで示すように空気が吸い込まれて、この吸い込まれた空気が上記羽根車によって加速されて、吹出口4から矢印Bで示すように吹出される。上記モータの回転数が増大して、シロッコファン1が高負荷運転になった場合においても、上記吸込口5が、羽根車の回転軸に対して偏心しているので、吸込口5に空気の逆流領域が生じない。したがって、このシロッコファン1は、高負荷運転時においても吸込口における空気の流れに擾乱が生じることがなくて、騒音が防止される。また、吸込口5から吸い込まれた空気は、逆流することなく吹出口4から吹出されるから、シロッコファン1の送風効率が低下することがない。
【0019】
また、上記吸込口5は、略直角に交差する2つの直線5a,5aと、上記羽根車の回転軸と略同心の円弧5bとからなる比較的簡単な形状であるので、シロッコファン1の製造工程において、吸込口5を比較的容易に形成できる。
【0020】
なお、上記吸込口5は、略直角に交差する2つの直線5a,5aと、上記羽根車の回転軸と略同心の円弧5bとからなるが、1つの直線と1つの円弧で形成してもよく、あるいは、楕円形状等であってもよい。要は、上記吸込口5が上記羽根車の回転軸に偏心して、逆流領域が生じないようになっていればよい。
【0021】
図2(a)は、本発明による加湿ユニットを示す平面図であり、図2(b)は側面図である。この加湿ユニットは、直方体形状のケーシング10内に、シリカゲルやゼオライト等の吸着材からなる円板状の加湿ロータ12と、吸湿ファン13と、本発明によるシロッコファンからなる加湿ファン15と、電気ヒータ16と、吸湿ダクト17と、電装品箱18を配置している。
【0022】
上記加湿ファン15は、加湿ファン15の吸込口15aが、略直角に交差する2つの直線と、円弧とからなる扇形をなし、かつ、加湿ファン15の図示しない羽根車の回転軸に偏心して形成されている。この加湿ファン15は、上記吸込口15aを、上記加湿ロータ12の図2(b)における下側面に対向させて配置されている。この加湿ファン15によって、加湿ロータ12からの空気を吸引して、図2(b)において加湿ファン15の下側に開口する吹出口15bから吹き出すようにしている。
【0023】
上記加湿ユニットを動作すると、図2(a),(b)において、矢印Xに示すように、吸湿通路Xを空気が流れて、まず、加湿ロータ12が外気から吸湿し、この吸湿された空気は、吸湿ダクト17を通って吸湿ファン13から外部に放出される。一方、矢印Yに示すように、加湿通路Yを空気が流れて、まず、外気は、回転している加湿ロータ12の採熱領域を通って予熱された後、電気ヒータ16でさらに加熱される。この加熱された空気は、加湿ロータ12の水分を含んだ加湿領域を通って加湿されて加湿空気となリ、この加湿空気が加湿ロータ12の下方の加湿ファン15に吸引されて室内に供給される。
【0024】
上記加湿ファン15は、上記吸込口15aが、2つの直線と円弧からなる扇形をなし、かつ、上記羽根車の回転軸に対して偏心しているので、この吸込口15aに空気の逆流領域が生じない。したがって、上記吸込口15aにおいて空気の流れに擾乱が生じないから、騒音が生じることがない。その結果、加湿ユニットを低騒音にできる。また、上記吸込口15aから吸い込まれた加湿空気は、吸込口15aから逆流することなく略全て吹出口15bから吹出されるから、加湿ファン15は送風効率が良く、そのため、加湿ユニットを高効率にできる。
【0025】
なお、上記吸込口15aは、2つの直線と円弧とからなるが、1つの直線と1つの円弧で形成してもよく、あるいは、楕円形状等であってもよい。要は、上記吸込口15aが加湿ファン15の羽根車の回転軸に偏心して、逆流領域が生じないようになっていればよい。
【0026】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明のシロッコファンは、吸込口が、上記羽根車の回転軸に対して、上記吹出口から空気が吹き出る方向に平行な上記羽根車の直径よりも、上記吹出口側に偏心しており、かつ、上記直径よりも吹出口側にのみ位置していて、高負荷運転時でも上記吸込口に逆流領域が殆ど生じないので、吸込口における空気の流れに擾乱が生じないから、シロッコファンを低騒音にできる。また、吸込口から吸い込まれた空気は、吹出口から略全て吹き出されるので、シロッコファンの送風効率を高くできる。
【0027】
請求項2の発明のシロッコファンは、請求項1によるシロッコファンにおいて、上記吸込口は、直線と円弧からなるので、容易に吸込口を加工できて、シロッコファンの製造を容易にできる。
【0028】
請求項3の発明のシロッコファンは、請求項1または2によるシロッコファンにおいて、上記吸込口は、交差する2つの直線と、円弧とからなるので、吸込口に逆流領域が生じない最適な形状を容易に形成でき、低騒音かつ高効率のシロッコファンを安価に製造できる。
【0029】
請求項4の発明の加湿ユニットは、請求項1乃至3のいずれか1つによるシロッコファンを加湿ファンとして用いるので、低騒音かつ高効率の加湿ユニットにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態のシロッコファンを示す斜視図である。
【図2】 図2(a)は、この発明によるシロッコファンを加湿ファンとして用いた加湿ユニットを示す平面図であり、図2(b)は、上記加湿ユニットの側面図である。
【図3】 従来のシロッコファンを示す斜視図である。
【図4】 従来のシロッコファンにおいて、吸込口に逆流領域が生じる様子を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 シロッコファン
3 ケーシング
4 吹出口
5 吸込口
5a 吸込口の直線部分
5b 吸込口の円弧部分
Claims (4)
- 吸込口(5)と吹出口(4)を有するケーシング(3)と、このケーシング(3)内に設けた羽根車とを有するシロッコファンにおいて、
上記吸込口(5)は、上記羽根車の回転軸に対して、上記吹出口(4)から空気が吹き出る方向に平行な上記羽根車の直径よりも、上記吹出口(4)側に偏心しており、かつ、上記直径よりも吹出口側にのみ位置していて、高負荷運転時でも上記吸込口(5)に逆流領域が生じないことを特徴とするシロッコファン。 - 請求項1によるシロッコファンにおいて、
上記吸込口は、直線(5a,5a)と円弧(5b)からなることを特徴とするシロッコファン。 - 請求項1または2によるシロッコファンにおいて、
上記吸込口は、交差する2つの直線(5a,5a)と、円弧(5b)とからなることを特徴とするシロッコファン。 - 請求項1乃至3のいずれか1つによるシロッコファンを、加湿ファン(15)として用いた加湿ユニット。
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