JP3651027B2 - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、LSI等の電子部品の実装基板として用いられる多層配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、LSI等の電子部品を実装する回路基板において、高密度化・高速度化の要請が高まっている。これを実現するために、フォトリソグラフィーの技術を用いて回路配線を形成し、層間絶縁膜には低誘電率の有機高分子材料を用い、バイアホールによって層間を接続する多層配線の形成方法が実施されている。このバイアホールの形成には、層間絶縁膜をドライおよびウエットのエッチングをする方法や、感光性の層間絶縁膜を露光、現像する方法が採用されている。その中で、特に微細な配線を形成しようとするときには、配線形成にポジ型のフォトレジストを用いる場合が多い。
【0003】
以下、感光性の有機高分子材料を層間絶縁膜に用い、ポジ型のフォトレジストを用いてセミアディティブ法により配線を形成する多層配線基板の製造方法を図面に基づき説明する。図2は多層配線基板の製造工程を示す断面図である。
【0004】
まず、図2(a)に示すように、基板1上の有機高分子材料からなる絶縁膜2の上に1層目の下地導体膜3aを形成し、その上にポジ型のフォトレジスト層4を形成した後、1層目用のポジ型のフォトマスク5aを用いて1層目の配線パターンを露光する。次に、これを現像して1層目の配線パターンを得た後、露出した下地導体膜3aの上に電解めっき膜を析出させて1層目の導体6aを形成する(セミアディティブ法)。その後、フォトレジスト層4、および下地導体膜3aのうちで導体6aが形成されていない部分を除去して、図2(b)に示す1層目の配線を得る。
【0005】
次に、図2(c)に示すように、ネガ型の感光性の有機高分子材料からなる層間絶縁膜7を形成した後、ネガ型のフォトマスク5bを用いてバイアホールのパターンを露光する。その後、これを現像して、図2(d)に示すバイアホール8を形成する。
【0006】
その後、同様にして、図2(e)に示すように、2層目の下地導体膜3bを形成し、その上にポジ型のフォトレジスト層4を形成した後、2層目用のポジ型のフォトマスク5cを用いて2層目の配線パターンを露光する。次に、図2(f)に示すように、多重露光用のポジ型のフォトマスク5dを用いてバイアホールの部分をさらに露光し、バイアホール内のフォトレジストに光を照射する。その後、これを現像して、図2(g)に示す通り、2層目配線パターンを得る。
【0007】
次に、露出した2層目の下地導体膜上に電解めっき膜を析出させて2層目の導体6bを形成する。その後、フォトレジスト4、および下地導体膜3bのうちで導体6bが形成されていない部分を除去して、図2(h)に示す2層配線基板を得る。さらに多層化する場合は、以降同じ操作を繰り返す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の多層配線基板の製造方法の問題点を、図面に基づき説明する。図3(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ多層配線基板の製造工程を示す断面図である図2(d)、(f)、(g)、(h)に対応する詳細断面図である。図3において、8a、8b、8c、8dはそれぞれ断面形状の異なるバイアホール、Xはバイアホールの設計径、Yは照射光、Zは露光径、4aはポジ型のフォトレジスト層の光が照射されない部分、4bは現像後バイアホール内に残るポジ型のフォトレジスト層である。その他の部分は図2と同一であるので、同一番号を付して、説明は省略する。
【0009】
従来の多層配線基板の製造方法においては、2層目以降の配線形成において、フォトレジスト4で配線パターンを形成する際、感光性の有機高分子材料からなる層間絶縁膜7に形成されたバイアホール8a、8b、8c、8dは、層間絶縁膜7の表面部より一段深くなっているため、最深部まで光が到達しにくい。このためバイアホール8a、8b、8c、8dの部分を別に長時間露光し、バイアホール8a、8b、8c、8dの中にフォトレジスト4が残るのを防ぐ工夫がなされている(多重露光)。
【0010】
しかしながら、感光性の有機高分子材料からなる層間絶縁膜7が厚くなるにつれて、形成されるバイアホールは、図3(a)に示すように、バイアホールの設計径Xに対して縦穴の上部が大きくなるテーパー型のバイアホール8b、逆に縦穴の下部が大きくなる逆テーパー型のバイアホール8c、穴の中央部が膨らむ紡錘型のバイアホール8d等となり、垂直型のバイアホール8aが形成されにくくなる。これは、層間絶縁膜の厚みが厚くなるにしたがって、層間絶縁膜内での照射光の散乱等が無視できなくなって、実質的な露光範囲が特に層間絶縁膜の厚み方向で変動するためと考えられる。
【0011】
また、有機高分子材料からなる層間絶縁膜をドライまたはウエットのエッチング法によってバイアホールを形成する場合においても、層間絶縁膜の厚みが厚くなるにしたがって、実質的なエッチング範囲が層間絶縁膜の厚み方向で変動するため、垂直型のバイアホールは形成されにくくなる。
【0012】
したがって、従来のように、配線パターンの露光に引き続き多重露光を行なうとき、3(b)に示すように多重露光の露光径Zをバイアホールの設計径Xと同じ大きさとした場合には、ポジ型のフォトレジスト層4に光の照射されない部分4aが生じ、図3(c)に示すように、現像後その部分にフォトレジスト層4bが残る。したがって、その部分には電解メッキが析出せず、図3(d)に示すように、2層目の導体6bが1層目の導体6aにつながらないものが発生するという問題点を有していた。
【0013】
そこで、本発明の目的は、有機高分子材料を層間絶縁膜として用いた多層配線基板の製造において、バイアホール内部にフォトレジストが残るのを防止して、層間接続の歩留まりを向上させる製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の多層配線基板の製造方法は次の工程よりなる。
(a)基板上に有機高分子材料からなる絶縁膜を形成した後、該絶縁膜上に1層目の配線を形成する工程
(b)1層目の配線を形成した基板上に、有機高分子材料からなる層間絶縁膜を形成する工程
(c)層間絶縁膜にバイアホールを形成する工程
(d)層間絶縁膜およびバイアホール部分に下地導体膜を形成した後、ポジ型のフォトレジスト層を形成する工程
(e)ポジ型のフォトレジスト層にフォトマスクを用いて配線パターンを露光する工程
(f)バイアホール部分をバイアホール設計径よりも大きい露光径を有するフォトマスクを用いてさらに露光する工程
(g)ポジ型のフォトレジスト層を現像して配線パターンを形成し、露出した下地導体膜上に導体を形成して2層目の配線を形成する工程
(h)フォトレジスト、および導体の形成されていない下地導体膜を除去する工程。
【0015】
また、バイアホールは、感光性の有機高分子材料からなる層間絶縁膜を露光、現像して形成するか、または、有機高分子材料からなる層間絶縁膜をドライまたはウエットのエッチングをして形成することを特徴とする。
【0016】
また、配線はセミアディティブ法またはフルアディティブ法で形成することを特徴とする。
【0017】
そして、バイアホール部分のポジ型フォトレジストの露光を行なうときの露光径は、該バイアホールの設計径より1%〜50%大きいことを特徴とする。
【0018】
さらに、層間絶縁膜は、膜厚5μm〜100μmの感光性ポリイミドであることを特徴とする。
【0019】
【作用】
本発明の多層基板の製造方法によれば、バイアホール部分のフォトレジストを多重露光するときの露光径をバイアホールの設計径よりも大きくすることにより、従来は露光することができなかった、テーパー型、逆テーパー型、紡錘型等のバイアホール内のフォトレジストの部分についても露光することができる。したがって、バイアホール内のフォトレジストを、現像によりほぼ完全に除去することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の多層配線基板の製造方法の実施例を図面に基づいて説明する。図1(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ多層配線基板の製造工程を示す断面図である図2(d)、(f)、(g)、(h)に対応する詳細断面図である。同図において、各部分は図3と同一であるので、同一番号を付して説明は省略する。
【0021】
まず、従来の方法と同様の方法で1層目の配線を形成した。即ち、純度99.5%のアルミナ製の基板1の上に、ポリイミド(例えば、東レ社製フォトニース:商品名)からなり硬化後の膜厚が20μmの絶縁膜2を形成した。その後、ヒドラジンで表面処理しパラジウムで触媒活性化処理を行なった絶縁膜2の表面に、硫酸銅めっき液を用いて膜厚500オングストロームの無電解Cuめっき膜を下地導体膜3aとして形成した。
【0022】
次に、下地導体膜3aの上に、ポジ型のフォトレジスト層(例えば、ヘキスト社製AZ4620:商品名)を形成した後、1層目用のポジ型のフォトマスクを用いて1層目配線パターンを露光した。次に、これを現像して1層目の配線パターンを得た後、硫酸Cuめっき液を用いた電解Cuめっきを用い、露出した下地導体膜3aの上に膜厚約5μmの電解めっき膜を析出させて導体6aを形成した。その後、フォトレジスト層4、および下地導体膜3aのうち導体6aが形成されていない部分を除去して1層目の配線を得た。
【0023】
次に、膜厚20μmのネガ型の感光性の有機高分子材料であるポリイミドからなる層間絶縁膜7を形成した後、ネガ型のフォトマスクを用いてバイアホールのパターンを露光した。その後、これを現像して図1(a)に示すバイアホール8a、8b、8c、8dを形成した。なお、得られたバイアホールの形状は、バイアホールの設計径Xに対して縦穴の上部が大きくなるテーパー型のバイアホール8b、逆に縦穴の下部が大きくなる逆テーパー型のバイアホール8c、穴の中央部が膨らむ紡錘型のバイアホール8d等の層間絶縁膜内での照射光の散乱の影響等を受けたと考えられるものがほとんどであり、垂直型のバイアホール8aはごくわずかであった。
【0024】
その後、同様にして、2層目の下地導体膜3bを形成し、その上にポジ型のフォトレジスト層4を形成した後、2層目用のポジ型のフォトマスク(図示せず)を用いて設計径がXのバイアホールおよび2層目の配線パターンを露光した。引き続き、図1(b)に示すように、バイアホールの設計径Xよりも12.5〜50%大きい露光径Zを有するポジ型のフォトマスク5dを用いてバイアホール8a、8b、8c、8dの部分をさらに露光(多重露光)した。すなわち、従来、テーパー型のバイアホール8b、逆テーパー型のバイアホール8cあるいは紡錘型のバイアホール8dの内部の露光させることのできなかった部分についても光を照射した。その後、これを現像して、図1(c)に示す通り、2層目の配線パターンを得た。次に、露出した2層目の下地導体膜上に電解めっき膜を析出させて2層目の導体6bを形成した。その後、フォトレジスト4および下地導体膜3bのうち導体6bが形成されていない部分を除去して図1(d)に示す2層配線基板を得た。
【0025】
以上の方法により、1配線に6個のバイアホールを直列に有する2層配線基板を作製した。このときのバイアホールの設計径に対する多重露光径と配線歩留まり(良品配線数/配線数)の関係を表1に示す。なお、配線歩留まりの良否判定は、配線の導通有無で行なった。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示す通り、多重露光径をバイアホールの設計径より大きくすることにより、良品配線数が急増し、配線の歩留まりが大幅に向上した。
【0028】
なお、上記実施例において、基板として純度99.5%のアルミナ基板を用いているが、これに限定されることはなく、平滑性の得られるものであれば種々の材質のものを用いることができる。
【0029】
また、有機高分子層の上に形成する下地導体膜として、無電解Cuめっき膜を用いているが、これに限定されることはなく、スパッタあるいは蒸着によって形成した金属薄膜等の選択的な剥離が可能な種々のものを用いることができる。
【0030】
また、層間絶縁膜として、感光性の有機高分子材料であるポリイミドを用いそれを露光、現像してバイアホールを形成しているが、感光性を有しない有機高分子材料を用いて、フォトレジストによるバイアホールパターンの形成とドライまたはウエットのエッチングによってバイアホールを形成することもできる。
【0031】
さらに、上記実施例において、多重露光径を大きくする範囲は、バイアホールの設計径に対して12.5〜50%としたが、バイアホール径のばらつきが小さい場合には、狭くすることができる。通常、バイアホールの設計径が大きくなればなるほど、垂直に近い形状のバイアホールが得られる。また、層間絶縁膜としての有機高分子層の膜厚が薄ければ薄いほど、垂直に近い形状のバイアホールが得られる。
【0032】
上記実施例においては、有機高分子層の膜厚を20μmとしたが、5〜100μmの範囲で本製造方法の効果が期待できる。したがって、多重露光径をバイアホールの設計径より大きくする範囲の下限値については1%以上で、上限値については配線回路の高密度化に影響を与えない程度であれば制限はない。例えば、ライン幅/スペース幅=1:1で多重露光径をバイアホールの設計径の2倍にすると、隣接する配線とショートしてしまう部分がでてくる。したがって、バイアホールの大きさにもよるが、上限値を小さくする方が配線回路を高密度化できる。
【0033】
また、上記実施例において、電解めっきとして電解Cuめっきを用いているが、これに限定されることなく、NiあるいはAu等の導体として公知のものを適宜用いることができる。
【0034】
また、第1層の配線形成方法として無電解めっきの上に電解めっき配線をするセミアディティブ法を用いているが、無電解めっきで配線するアディティブ法によることも可能である。即ち、有機高分子層の表面の触媒活性化処理を行なった後、無電解めっき膜を所望の膜厚まで成長させて導体を形成させればよい。
【0035】
さらに、本発明の多層配線基板の製造方法は、設計径よりも大きく形成された垂直型のバイアホールの内部のフォトレジストを除去するのにも有効である。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の多層配線基板の製造方法によれば、バイアホール部分のフォトレジストを露光するときの多重露光径をバイアホールの設計径よりも大きくすることにより、バイアホールの形状がテーパー型、逆テーパー型、紡錘型等のように垂直に形成されていない場合にも、バイアホール内のフォトレジスト全体を露光することができる。したがって、バイアホール内のフォトレジストを現像によりほぼ完全に除去することができ、バイアホール内に上下の導体層に連続しためっき配線を形成することができ、多層配線基板の層間の接続の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の製造工程を示す詳細断面図である。
【図2】多層配線基板の製造工程を示す断面図である。
【図3】従来の多層配線基板の製造工程を示す詳細断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 絶縁膜
3a、3b 下地導体膜
4、4a、4b ポジ型のフォトレジスト層
5a、5b、5c、5d フォトマスク
6a、6b 導体
7 層間絶縁膜
8、8a、8b、8c、8d バイアホール
X バイアホールの設計径
Y 照射光
Z 露光径
Claims (8)
- 次の工程よりなる多層配線基板の製造方法。
(a)基板上に有機高分子材料からなる絶縁膜を形成した後、該絶縁膜上に1層目の配線を形成する工程
(b)1層目の配線を形成した基板上に、有機高分子材料からなる層間絶縁膜を形成する工程
(c)層間絶縁膜にバイアホールを形成する工程
(d)層間絶縁膜およびバイアホール部分に下地導体膜を形成した後、ポジ型のフォトレジスト層を形成する工程
(e)ポジ型のフォトレジスト層にフォトマスクを用いて配線パターンを露光する工程
(f)バイアホール部分をバイアホール設計径よりも大きい露光径を有するフォトマスクを用いてさらに露光する工程
(g)ポジ型のフォトレジスト層を現像して配線パターンを形成し、露出した下地導体膜上に導体を形成して2層目の配線を形成する工程
(h)フォトレジスト、および導体の形成されていない下地導体膜を除去する工程 - 感光性の有機高分子材料からなる層間絶縁膜を露光、現像してバイアホールを形成することを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- 有機高分子材料からなる層間絶縁膜をドライまたはウエットのエッチングをしてバイアホールを形成することを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- セミアディティブ法により配線を形成することを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- フルアディティブ法により配線を形成することを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- バイアホール部分のポジ型フォトレジストの露光を行なうときの露光径は、該バイアホールの設計径より1%〜50%大きいことを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- 層間絶縁膜の膜厚は5μm〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
- 層間絶縁膜は感光性ポリイミドであることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
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