JP3650927B2 - 石英管ヒータ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石英製の中空管内に配置させた熱源を介して薬液等を加熱させる石英管ヒータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
信号等の増幅、計算、記憶、電力変換、光電変換機能その他に用いられる半導体デバイスが家電、民生機器、自動車、精密機器、工場ロボット用等の電子部品として組み込まれ使用されている。半導体デバイスのうち、例えば、LSI等の製造に際しては、単結晶インゴットをスライスして得られるウェーハの研磨を含むウェーハ材料工程や回路パターン設計後の酸化、拡散、リソグラフィ、エッチング、イオン注入CVD、メタライズ処理等を含むウェーハプロセス等において、その都度、洗浄等の工程を行なっている。
【0003】
従来、上記のような基板の製造工程中において例えば塩酸、硫酸、硝酸等の酸系薬液や、アンモニア水系を用いたアルカリ系薬液を用いるウェーハやペレットの洗浄工程が設けられている。そして、効率の良い洗浄効果を得るためにこのような薬液を加熱させた状態で例えば薄く切り出したウェーハ等を搭載したキャリアボートを加熱させた薬液内に投入して洗浄させている。
【0004】
図7は、従来のウェーハの洗浄装置を略示するものであり、図において、酸系薬液またはアンモニア水、過酸化水素水の混合液等の薬液Lが入れられた洗浄槽100内にL形のヒータ装置Dが配置されている。ヒータ装置Dは、耐食性の点から外管として中空円筒状の石英管10を用い、この内部に熱源としてのカンタル線12等を螺旋状に巻いて管の長さに沿って配置させ、これに通電させることによる発熱を利用して管全体を熱し、その熱放射と伝導により薬液を加熱し、この状態でウェーハを配列させたキャリアボート等を槽内に浸け込んで所要の時間加熱洗浄させるようにしている。また、図示してはいないが、必要に応じ超音波等を用い、洗浄効果を上げることも行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のヒータ装置Dでは、熱源としてのカンタル線が石英管と接触し、局部的に高温となっていた。このため、薬液を収容した洗浄槽100内の、石英管を配置させた局部的な部分においてエッチングが進行し、このために石英管の管痩せを生じ、局部的に管厚がしだいに薄くなって最終的にピンホール等を生じさせることとなり、薬液が石英管内に浸入し熱源を電気的にショートさせて熱源を早期に損傷させてしまうという問題があった。その結果、石英管内に浸入した鉄、クロム、ニッケル、銅、銀等の重金属イオンを含む薬液が槽内に流出入し、異常が検知されるまで洗浄処理が続けられることとなる。この処理を受けた作業ロットについては、すべてのウェーハが金属汚染で不良品となり大きな損失を生じさせる恐れがあった。これに対し、石英管を二重管にし、内管側に熱源としてのカンタル線を収納させる方法が考えられるが、二重管は製作コストが増大し、また、管自体が大型化して洗浄槽100内の占有スペースが大きくなり、そのぶんウェーハの洗浄効率を低下させるという問題があった。また、石英管10は単に薬液を収容させた洗浄槽100内において、槽100の底部内壁100aと熱源(12)との間隙部分での熱蓄積で槽100の底壁側からの突沸が生じ、石英管を振動させる結果、同石英管を破損させてしまうおそれがあった。さらに、槽100の底壁側に熱がこもってしまうこととなり、薬液加熱用の熱的なロスが生じ、熱効率が劣るという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、極めて簡単な構成により石英管ヒータの製品寿命を大幅に向上させることのできる石英管ヒータ装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、洗浄槽内の石英管ヒータを安定的に静止状態で保持させ石英管の早期破損を防止し得る石英管ヒータ装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、ヒータによる熱放射効率を向上させて薬液洗浄工程の作業精度を大幅に向上させるとともに、電力コストを低減させ、作業効率を向上させることのできる石英管ヒータ装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の石英管ヒータ装置は、熱源12を石英管10内部に収納させ洗浄槽100内に配置される石英管ヒータであり、薬液槽100の底壁内面100a側に配置され石英管内に熱源を配置させた加熱部36を有し、加熱部36の石英管内底壁に熱源を直接接触させないようにし、かつ熱源からの熱を石英管内底壁から薬液槽内側に反射させるべく熱源12と石英管内壁37との間に1個又は複数の断熱反射板38を配置させてなる石英管ヒータ装置1から構成される。尚、断熱反射板として断熱性反射板を用いるとよい。
【0008】
また、加熱部36は石英管10の直状管部(16)であり、断熱反射板38は直状管部の長手方向に沿って長く設けられた長板部材であることとしてもよい。
【0009】
また、断熱反射板38は断面円弧状に形成されてなることとしてもよい。さらに、断熱反射板は熱源と石英管内底壁との間において上面に熱源を載置させるように非固定で配置させるようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しつつ本発明による石英管ヒータ装置1の好適な実施形態を詳細に説明するが、従来の石英管ヒータと同一の部材には同一の符号を付して説明する。図1には、本発明に係る石英管ヒータ装置1の概略構成が示されており、図において石英管ヒータ装置1は、中空円筒形状の石英管10内に発熱体としての熱源12を内蔵させて構成されている。
【0011】
この実施の形態において石英管10は、横管部16と縦管部18とによりL型形状に曲げられて形成され、さらに、縦管部18には接続用横管部20が横方向に曲げられて連通されている。これらの横管部16、縦管部18及び接続用横管部20は内部の中空部分が連通するように一体成型されている。横管部16の先端部は端壁により閉鎖されている。実施の形態において、石英管の大きさは例えば横管部16の長さが約400mm、縦管部18の高さが約350mmに設定されている。
【0012】
この石英管ヒータ装置10は図4に示すように内部に例えば酸系薬液またはアンモニア過酸化水素水の混合溶液等の薬液Lを容量の半分以上を投入させた洗浄槽100の中に浸漬するように配置させて使用されるものであり、その際には同石英管ヒータ装置10の横管部16を洗浄槽100の底部内壁100aに配置し、縦管部18を洗浄槽100の側部内壁側に略密接させるようにして洗浄槽100内への被洗浄用のワーク(例えば半導体ウェーハ)の洗浄用スペースを槽内において十分の大きさに確保しうるように配置される。
【0013】
図5、図6において、石英管10の内部、詳細には横管部16の内部には例えばカンタル線からなる熱源12が螺旋巻きされてさらに大きな螺旋を形成しながら横管部16内においてその長さ全体にわたって直線状に配置されている。図において、カンタル線は、中央に通線管22を置き、その周囲に螺旋状ガイド24を形成させた石英製の通線ガイド26の同螺旋状ガイド24にガイドされながら巻着され、線の延長部分は通線管22内に通係されて電気的にショートしないように電源側に延長されている。熱源12は、例えばカンタル線、ニクロム線、ニッケル線、タングステン線、それらを素材とする合金、その他の発熱体材料が用いられ、電流を流すとジュール熱により発熱し、電気を熱に変換させるヒータ用抵抗材料が用いられる。また、図1において30は通電用のニッケル製等のリード線であり、碍子32を介して電気的な短絡を生じさせないようにし、外部引出側の線はテフロン被覆銅線として図示しない外部の電源に接続され、通電される。接続用横管部20の端部は封止材34により内部を封止している。
【0014】
これらの熱源12を配置させた横管部16が洗浄槽100の底部内壁100aに載置されるものであり、実施の形態においてこの横管部16が加熱部36とされる。この発明の1つの特徴的なことは、加熱部36の石英管内に収納された熱源12と石英管内壁37との間に1個又は複数の断熱反射板38を配置させたことである。
【0015】
図1、2において、横管部16はL字状の石英管の一部をなす直状管部であり、捲回された熱源12としてのカンタル線と加熱部36部分の石英管の内壁37との間に断熱反射板38が載置状に配置されている。断熱反射板は、熱源12と石英管内壁37との間に配置され、熱源12が石英管内壁37部分、特にその底部内壁側に直接に接触しないようにし、熱源12からの熱を断熱するとともに反射させて、同石英管を保護すると同時に熱反射により薬液L側に向けて熱拡散を促し、熱ロスを防止しつつ熱放射効率を向上させるものである。
【0016】
この実施の形態において、断熱反射板38は、直状管部すなわち横管部16の長手方向に沿って長く設けられた長板状の部材からなり、さらに、その長板状の部材は断面円弧状に一体形成されている。これによって、横管部16の長手方向全長にわたり確実に熱源12と石英管内壁37部分との断熱及び熱反射を行なえる。また、断面円弧状としているので石英管の横管部16内壁と同断熱反射板38、及び断熱反射板38と熱源としてのカンタル線との密着性が良好となり、薬液の局部的な加熱沸騰によるガタツキ状の振動衝突が少なくなり、石英管の破損を生じさせないようにし得る。断熱反射板38は石英管側あるいは熱源側のいずれにも固定することなく、単に石英管10内に載置させ、さらにその上に熱源12を載置させるだけの構成であり、構造が極めて簡単で製造コストは低廉に維持させることができる。なお、図中33は、断熱反射板38の下面側に設けた支持脚であり、断熱反射板38の底面と石英管内壁37との間にわずかな間隙を形成させながら石英管内壁37からわずかに浮かせた状態で断熱反射板38を安定的に支持している。
【0017】
支持脚33は必ずしも設けることなく、1個の円弧長板あるいは間隔を置いて複数配置させた板片状の断熱反射板38を熱源12と石英管(底部)内壁との間に中間に何ら介在させずに直に配置させるようにしてもよい。また、図3に示すように、円筒管としての石英管の底部内壁37の曲率より大きな曲率を有する円弧長板として断熱反射板38を構成し、この断熱反射板の大曲率の両端を円筒状の石英管の内壁に当てて支持させ、これにより石英管の(底部)内壁37と曲率の大きな円弧長板との間に隙間Sを形成させるようにしてもよく、この場合も同様に熱源12と石英管内壁37部分との断熱及び熱反射の効果により石英管の管壁にピンホールを生じさせないようにし得ることが確認されている。
【0018】
断熱反射板38は実施の形態では、不透明の石英を素材とした断面円弧状の長板部材として一体成型したものを用いているが、これに限らず例えば、セラミック、耐熱金属等の素材を用いてもよい。また、1個の円弧状長板にかぎらず、小板あるいは小片状に形成して複数個を熱源の下面側に配置させるようにしてもよい。形状は円弧状に限らず、単なる矩形長板状としてもよい。また、長手方向、あるいは石英管の円形に沿った波板形状としてもよい。また、断熱反射板38の幅方向長さ、すなわち、図2上、h線長さや、円弧長さは断熱、反射効率を考慮して最適の長さに設定することが好ましい。例えば、石英管の円周長さの約3分の1あるいは、4分の1の円弧長さ等々種々の長さを選択してよい。なお、図中35は、横管部16の底面側に固定された脚部であり、洗浄槽内に配置させたときに槽の底部内壁面からわずかの隙間を開けるようにして石英管を支持する。
【0019】
本実施の形態においては、L字形状の石英管ヒータ装置について説明したが、石英管の形状は、例えばU字形状や、その他の形状のものについても適用できる。例えば、U字型の石英管の場合には、U字底部側が洗浄槽の底部内壁側に着底する場合が多いので、その場合には、同U字管の底部側から立ち上がり部分にかけて断熱反射板を熱源と石英管内壁との間に配置させるようにすれば良い。
【0020】
このように、加熱部36の石英管内に収納された熱源12と石英管内壁37との間に1個又は複数の断熱反射板38を配置させることにより、熱源12からの熱が石英管の底部内壁側に直接伝達されず、よって、石英管底部壁にピンホール等を生じさせることなく、製品寿命を長く保持させ得る。また、断熱反射板により槽内に投入された薬液L側に向けて熱が効率よく反射され、放射による加熱と相乗して薬液の加熱効率を大幅に向上させることが可能である。さらに、石英管の下部における熱上昇が抑制され、下部側からの突沸を防止でき、石英管の破損を防止できる。この結果、薬液の加熱時間が短縮され、電力コストを軽減させることができる。実験によれば、従来の石英管ヒータ装置では、2か月程度の製品寿命であったものが、本発明の断熱反射板を設けた石英管ヒータ装置では、倍以上の4か月ないし6か月程度の耐久性を保持し得ることが確認されている。また、熱効率についても従来品に対し、約15%程度向上させ得ることが確認されている。
【0021】
以上、本発明による石英管ヒータ装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲の変更は本発明に含まれる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の石英管ヒータ装置によれば、熱源を石英管内部に収納させ洗浄槽内に配置される石英管ヒータであり、洗浄槽の底壁内面側に配置される加熱部を有し、加熱部の石英管内に収納された熱源と石英管内壁との間に1個又は複数の断熱反射板を配置させてなる構成であるから、極めて簡単な構成により石英管ヒータの製品寿命を長期化させることができ、かつ、ヒータによる熱放射効率を向上させて薬液洗浄工程の作業精度を大幅に向上させるとともに、電力コストを低減させることが可能である。また、石英管にピンホールを生じさせてロット全体のウェーハを金属汚染させることなく、大きな損失を生じさせることを防止し得る。
【0023】
また、加熱部は石英管の直状管部であり、断熱反射板は直状管部の長手方向に沿って長く設けられた長板部材であるから、横管部の長手方向全長にわたり確実に熱源と石英管内壁部分との断熱及び熱反射を行なえる。
【0024】
さらに、断熱反射板は断面円弧状に形成された構成とすることにより、石英管の横管部内壁と同断熱反射板、及び断熱反射板と熱源としてのカンタル線との密着性が良好となり、薬液の加熱沸騰によるガタツキ状の振動衝突が少なくなり、石英管の破損を生じさせず、製品寿命の長期化に資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る石英管ヒータ装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【図2】その加熱部部分の断面説明図である。
【図3】 断熱反射板の他の実施形態を説明する石英管ヒータ装置の加熱部部分の概略断面説明図である。
【図4】本発明に係る石英管ヒータ装置の使用状態を示す概略正面説明図である。
【図5】 加熱部部分を詳細に説明した石英管ヒータ装置の要部拡大正面説明図である。
【図6】その断面説明図である。
【図7】従来の石英管ヒータ装置の概略正面説明図である。
【符号の説明】
1 石英管ヒータ装置
10 石英管
10a 石英管の底部周壁
12 熱源
36 加熱部
37 石英管内壁
38 断熱反射板

Claims (4)

  1. 熱源を石英管内部に収納させ薬液槽内に配置される石英管ヒータであり、
    薬液槽の底壁内面側に配置され石英管内に熱源を配置させた加熱部を有し、
    加熱部の石英管内底壁に熱源を直接接触させないようにし、かつ熱源からの熱を石英管内底壁から薬液槽内側に反射させるべく熱源と石英管内壁との間に1個又は複数の断熱反射板を配置させてなる石英管ヒータ装置。
  2. 加熱部は石英管の直状管部であり、断熱反射板は直状管部の長手方向に沿って長く設けられた長板部材である請求項1記載の石英管ヒータ装置。
  3. 断熱反射板は断面円弧状に形成されてなる請求項2記載の石英管ヒータ装置。
  4. 断熱反射板は熱源と石英管内底壁との間において上面に熱源を載置させるように非固定で配置されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の石英管ヒータ装置。
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