JP3650895B2 - 折り畳み式脚立 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は安定性が高い折り畳み式の脚立に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高所に物を置いたり、又は高所に在る物を取り除いたりする場合には一般に脚立が使用され、人はこの脚立に載って作業する。従って、各家庭には高所への物の出し入れを行う為に脚立を所有している場合が多い。勿論、該脚立は家の内装作業や外装作業に際しても用いることが多く、ハシゴとは違った用途がある。すなわち、脚立は両側に開くことが出来る2本の脚を有していて、ハシゴのように凭れ掛かって起立するのではなく、平坦な場所であるならば単独で起立することが出来る。
【0003】
図8は従来から使用している一般的な脚立である。2本の脚体(イ)、(イ)は下方に向いて広がり、逆V型を成しており、該脚体(イ)、(イ)はその上端が台(ロ)に揺動自在に連結している。そして脚体(イ)は2本の縦桟(ハ)、(ハ)に踏み板(ニ)、(ニ)…を水平に取付けている。従って、これら踏み板(ニ)、(ニ)…に足を掛けて適当な高さまで上がることが出来る訳であるが、この型式の脚立の上記踏み板(ニ)は細い棒材であって、その為に足の支えが少なくて安定性に欠け、足を踏み外した時には作業中に落下してしまうことがある。又起立した状態であっても安定性に欠ける。
【0004】
一方、該脚立は同図から明らかなように台(ロ)を通過する中立軸を中心として左右対称を成している為に、例えば台(ロ)の位置が脚体(イ)下端の位置から距離Lだけズレてしまうことになる。この位置ズレが使用用途によっては不都合となる場合が生じ、壁面に接した状態で使用することは出来ない。又、台(ロ)は小さくてこの上で作業するには危険が伴う等の問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の脚立には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、台が大きくて安定性が高く、特に重いものを持ち上げる場合にも危険性がなく、又一方の脚は垂直に立ち上がって、台との間に距離を置かない為に壁面に面して起立することが出来る脚立を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の脚立は従来のような逆V型ではなく、片側の脚体を垂直とした台形を成している。一方の脚体は傾斜していて、該脚体に踏み板が取付けられた折り畳み式階段を構成している。この折り畳み式階段を構成する側片は平行四辺形リンク体を形成したものであり、第1上リンクと下リンクは床面に平行で、上縦リンクと下縦リンクは第1上リンクと下リンクの両端を連結している。台は左右の第1上リンク間に取付けされ、他の踏み板は該台に平行となるように上記上縦リンクと下縦リンク間に軸着されている。
【0007】
上記踏み板の幅は両側の平行四辺形リンク体間距離であり、又奥行きは上縦リンクと下縦リンクを垂直に起立した場合の距離となっている。従って、従来の脚立の踏み板に比較して奥行きが大きく、足を踏み外すことはなくて安定する。上下縦リンクは適当な角度に傾斜した階段の勾配となり、この角度を固定する為のロック装置を備えている。該ロック装置は第1上リンクと上縦リンクのコーナーに取付けられ、両リンク間の交差角度を固定することによって上記階段の勾配が定まるようになっている。
【0008】
勿論、下リンクと下縦リンク間のコーナーに取付けてもよいが、操作が不便である。一方の垂直脚体は上端に台を同じ高さで配置し、両台は互いに連結していて折り畳むことが出来る。そして台の後端からは垂直に脚体が延び、該脚体には伸縮できる脚が取着されていて、この脚体並びに脚も屈曲して該台と同一面になり得る。
【0009】
ところで、脚立として使用する場合には両台は同一面を成して水平に配置されることになるが、この場合に両台が屈曲しないように保持されなくてはならない。又上記脚体が屈曲して倒れないように固定しなくてはならない。そこで両台が屈曲しないように又脚体が折れ曲がらないようにストッパー装置を備えている。ただし、このストッパー装置の具体的な構造は特に限定しない。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
【実施例】
図1は本発明の脚立を表す実施例である。同図から明らかなように、従来の脚立に比べて上端の台1は大きく、又踏み板2の面積も大きい。従って、足を踏み外すことはなく、安全で安定した脚立となる。そして、片側の脚体は折り畳み式の階段を構成して2枚の踏み板2,2は台1aと平行を成しており、他方の脚体3は台1bから垂直下方に延びていて、下方には伸縮自在な脚4,4が取付けられている。勿論、踏み板は有していない。
【0011】
同図における左側の傾斜した脚体のみをとらえるならば、折り畳み式階段5であり、この側部は平行四辺形リンク体で構成され、両平行四辺形リンク体間に踏み板2,2並びに台1aが取着されている。これら踏み板2,2の取着形態は平行四辺形リンク体の変形に追従して動き得るように軸着される。この平行四辺形リンク体は第1上リンク6、下リンク7、上縦リンク8、下縦リンク9からなっていて、第1上リンク6、下リンク7の両端に上縦リンク8と下縦リンク9が連結して構成している。第1上リンク6と下リンク7は常に平行であって、しかも水平と成っており、又上縦リンク8と下縦リンク9も互いに平行を成している。
【0012】
そして踏み板2,2は上記第1上リンク6、下リンク7に平行となるように上縦リンク8と下縦リンク9に側端の縁が止着されている。従って、平行四辺形リンク体がいかような形になっても、下リンク7が床面に接している限り、踏み板2,2は常に水平となり、折り畳み式階段の傾斜角度に影響しない。
【0013】
ところで、この折り畳み式階段の傾斜角度は自由に調整することが出来、しかも所定の勾配にて固定することが出来る構造となっている。すなわち、この階段には角度固定装置を備えており、上記平行四辺形リンク体の第1上リンク6と上縦リンク8間の交差角度が固定されるように構成している。
【0014】
階段の勾配を調整して定める角度固定装置の具体例を図2に基づいて説明すると、この装置は第1上リンク6側にラジェット10を上縦リンク8と連結している軸に軸支し、上縦リンク8側にはツメ部材11を取付けしている。上記ラジェット10は腕を伸ばし、この腕先端を第1上リンク6に設けたネジに螺合している移動部材13に固定している。上記ツメ部材11は上縦リンク8に設けた軸14に軸支され、先端のツメ15は上記ラジェット10の歯に噛み合っている。そして、ツメ部材11にはバネ16を取付けして、そのツメ15が常にラジェット10の歯に噛み合うようにしている。
【0015】
そして、上記ツメ部材11のアーム端にはレバー17が連結していて、該レバー17を押圧するならばツメ15はラジェット10の歯から離れることが出来て、第1上リンク6と上縦リンク8との交差角度は自由に変え得る。従って、交差角度が定まったところでレバー17を手放しするならば固定され、すなわち、階段の勾配が固定される。該ラジェット10の歯1枚ごとに約15度の角度調整が出来るようになっているが、15度の範囲内での微調整は上記ネジ28を調整することでなされる。
【0016】
図2(b)は(a)におけるA−A断面拡大図であり、上記ネジ28を回すことによってラジェット10の腕12の位置が変わり、その結果ラジェット10の歯が回転し、該歯に噛み合っているツメ部材11及び上縦リンク8の角度が変化する。ネジ28はその頭にレバー式ハンドル27を設けていて、該レバー式ハンドル27を回すことによって操作する。
【0017】
一方脚体3はその上端に設けている台1bから垂直下方へ延びており、脚体3は上記台1bの両側に配置されて該台1bを取付けている第2上リンク18端に設けている軸19に軸支されて自由に屈曲することが出来る。そして、この第2上リンク18は前記折り畳み階段の下縦リンク上端に連結して屈曲することが出来、しかし脚立として起立している場合には屈曲しないように、すなわち、両台1a、1bが離れないように止着されている(図3参照)。その為に第2上リンク18の接合端面にはツメ20が取付けられていて、このツメ20は第1上リンク6の接合面に形成している溝に係止している。台1bを屈曲して折り畳む場合には該ツメ20を溝から外さねばならない。
【0018】
脚体3には脚4,4が伸縮自在な状態で取付けられ、台1bが折り畳み式階段の台1aと同じ高さで、互いに水平に位置するように該脚4,4の高さが設定される。図3は折り畳み式階段側の台1aと脚体側の台1bが互いに屈曲している場合であり、台1bに設けているツメ20を溝から解除することで同図のように屈曲する。第2上リンク18の側面から突出して設けられる突片21を操作することで上記ツメ20が溝から解除するようになっており、逆に、ツメ20が溝に係合する場合には両台1a,1bの接合面を突き合わせすればよい。
【0019】
図4は本発明の脚立の後方を表している場合であり、脚体3は第2上リンク18の端に軸支され、脚体3に取付けられている脚4,4は逆V型を成していて、前記の通りその長さは伸縮可能に調整できる。そして、該脚体3は第2上リンク18端に設けた軸19に取付けられている為に、該軸19を中心として屈曲することが出来る訳であるが、脚立として図のように起立している場合には、該脚体3が屈曲してはならない。そこで、脚体3の上端には第2ストッパー装置を備えている。
【0020】
図5はこの第2ストッパー装置であり、脚体3の上桟22にはピン23a、23bが水平に設けられ、該ピン23a,23bの先端は第2上リンク18,18端に形成している穴に嵌入している。そして両ピン23a,23bの中央にはレバー24が揺動可能な状態で取付けられていて、矢印方向に揺動させるならば両ピン23a,23bは後退して穴から外れる。従って、脚体3は軸19を中心として屈曲することが出来る。ここでピン23a,23bが該穴から独りでに外れないように、外方向へ張り出しするバネ力が作用している。
【0021】
図6は本発明の脚立が折り畳まれた状態である。折り畳み式階段5は平行四辺形リンク体にて構成されているために、折り畳んで上縦リンク8と下縦リンク9が互いに当接し合い、又第1上リンク6及び下リンク7も上下縦リンク8,9に当接する。従って、折り畳み式階段5は一枚の板状態となり、更に脚体3と台1bも板状態と成って重なり合う。この場合、上記レバー24を操作してピン23a,23bを外して脚体3を延ばし、又台側端に設けている突片21を操作してツメ20を溝から外して該台1bを屈曲させる。
【0022】
図7は本発明に係る脚立を表す他の実施例であり、この脚立には支え25,25が取付けられている。該支え25の一端は折り畳み式階段5の平行四辺形を構成する第1上リンク端に連結しており、他端は脚体3の中間部に連結している。そして該支え25は中間に設けている軸26にて折り畳み出来る構造となっている。この脚立には両台1a,1bを連結する為のツメ20を備えておらず、又脚体3の屈曲を防止する為のストッパー装置を備えていない。
【0023】
この支え25を取付けることによって、階段の踏み板2,2並びに台1aの上面に作用する荷重は該支え25を引っ張るようになる。従って両台1a,1bの接合面が離れることはなく、又脚体3が折れ曲がることもない。以上述べたように、本発明の脚立は折り畳み式階段に台を連結するとともに、該台は脚体を取付けしたものであって、次のような効果を得ることが出来る。
【0024】
【発明の効果】
本発明の脚立は折り畳み式階段を備えており、この階段は平行四辺形リンク体に大きな踏み板を取付けした階段であり、上り下りに際して足を踏み外すことはなく安全である。そして、この折り畳み式階段はその傾斜度を自由に調整することが出来、更に上端には踏み板と同じ大きさの台が2枚設けられる為に面積は広く、該上端に載って作業をする場合には便利である。一方、該脚立は折り畳み式階段並びに脚体を折り畳んで一枚の板状態とすることが出来る為に、持ち運びや収納が容易となり、更に、該脚立の後方側の脚体は台に対して垂直を成している為に、部屋の壁面に空間を残すことなく接するように配置することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の脚立を表す実施例。
【図2】 折り畳み式階段の傾斜角度固定装置の具体例。
【図3】 脚立の上端の両台間に設ける連結構造。
【図4】 脚立の上端後方を表す。
【図5】 脚体の折り畳みストッパー装置。
【図6】 脚立が折り畳まれた状態。
【図7】 支えを備えた脚立の実施例。
【図8】 従来の脚立。
【符号の説明】
1 台
2 踏み板
3 脚体
4 脚
5 折り畳み式階段
6 第1上リンク
7 下リンク
8 上縦リンク
9 下縦リンク
10 ラジェット
11 ツメ部材
12 腕
13 移動部材
14 軸
15 ツメ
16 バネ
17 レバー
18第2上リンク
19軸
20ツメ
21突片
22上桟
23ピン
24レバー
25支え
26軸
27ハンドル
28ネジ
Claims (2)
- 折り畳み式階段と上端に台を備えた脚体を連結してなる脚立において、上記折り畳み式階段は第1上リンク、下リンク、上縦リンク、それに下縦リンクを連結して平行四辺形リンク体を構成し、この平行四辺形リンク体の上記下リンクを床面に置いて一定間隔をおいて並設・起立するとともに、上記上縦リンクと下縦リンクに踏み板を第1上リンクと下リンクに平行して軸着し、又両第1上リンク間には台を取り付けし、そして平行四辺形リンク体の上下縦リンクの傾斜角すなわち折り畳式階段の勾配を固定する為の傾斜角度固定装置を第1上リンクと上縦リンクの交差部に取り付けし、一方の脚体上端両側には第2上リンクを屈曲自在に連結するとともに、ほぼ垂直を成す位置にて固定する為の第2ストッパー装置を備え、そして両第2上リンク間には台を取り付けして脚体の台と折り畳み式階段の台が同じ高さとなるように第1上リンクと第2上リンクを連結し、さらに脚体にはその下方に脚を伸縮自在に取り付けたことを特徴とする折り畳み式脚立。
- 上記折り畳み式階段の台と脚体上端の台が折れ曲がることを防止する為の第1ストッパー装置、並びに脚体が台に対して折れ曲がることを防止する第2ストッパー装置を備えた請求項1記載の折り畳み式脚立。
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