JP3650625B2 - アルギン酸塩ゲル - Google Patents

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Description

発明の背景
アルギン酸塩は、長年にわたり、プディング、フルーツ詰め物、デザートゼリー及び複合食品においてはゲル化剤として、冷凍食品、ペーストリー充填用シロップ及び氷蔵法においては水結合剤として、サラダドレッシング及び肉類フレーバーソースにおいては乳化剤として、またビール、フルーツジュース、トッピング、ソース及びグレービーにおいては安定剤として用いられてきた。
アルギン酸塩が、亜鉛、アルミニウム、銅及びカルシウムを包含する多価のカチオンと反応してゲル又は沈殿を形成することは周知である。さらに、アルギン酸ナトリウム溶液の粘度は一価の塩を加えると変わるが、そのような塩はゲル化を誘発しないことも周知である。
驚くべきことには、アルギン酸塩溶液を、高濃度のナトリウムイオンを有する海水のような特定種の水に加えると、実際に、該溶液が拡散固化されたゲル(diffusion−set gels)を形成することが見出された。
発明の要旨
本発明は、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲルに関し、該ゲルにおいて、カルシウムイオンに対するナトリウムイオンの比率は約15:1〜約45:1である。本発明の好ましい実施態様において、該アルギン酸塩は、約2:1〜0.35:1の重量比でマンヌロン酸及びグルロン酸を含む。
本発明のゲルは、アルギン酸塩溶液を高濃度のナトリウムイオンを有する水に加えて形成する。該溶液は拡散固化されたゲルを形成する。
発明の詳細な説明
本発明は、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及びアルギン酸塩を含むゲルに関し、該ゲルにおいて、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1であり、アルギン酸塩の量は、約0.3〜4%、好ましくは、約0.7〜2%である。本発明の好ましい実施態様において、該アルギン酸塩は、約2:1〜0.35:1の重量比でマンヌロン酸及びグルロン酸を含む。
本発明は、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、金属イオン封鎖剤及びアルギン酸塩を含むゲルに関し、該ゲルにおいて、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1であり、金属イオン封鎖剤の量は、約0.01〜1.5%、好ましくは、約0.05〜0.6%であり、アルギン酸塩の量は、約0.3〜4%、好ましくは約0.7〜2%である。本発明の好ましい実施態様において、該アルギン酸塩は、約2:1〜0.35:1の重量比でマンヌロン酸及びグルロン酸を含む。
本発明はさらに、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、金属イオン封鎖剤、ゲランゴム及びアルギン酸塩を含むゲルに関し、該ゲルにおいて、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1であり、ゲランゴムの量は、約0.05〜4%、好ましくは0.2〜1%であり、金属イオン封鎖剤の量は、約0.01〜1.5%、好ましくは0.05〜0.6%であり、アルギン酸塩の量は、約0.3〜4%、好ましくは、約0.7〜2%である。好ましい実施態様において、該アルギン酸塩は、約2:1〜0.35:1の重量比でマンヌロン酸及びグルロン酸を含む。
本発明は、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、金属イオン封鎖剤及びゲランゴムを含むゲルに関し、該ゲルにおいて、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1であり、ゲランゴムの量は、約0.05〜4%、好ましくは0.2〜1%であり、金属イオン封鎖剤の量は、約0.01〜1.5%、好ましくは0.05〜0.6%である。
本発明はさらに、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1である)を製造する方法を包含し、該方法は:
(a)約0.3〜4%のアルギン酸ナトリウムの溶液を形成するステップ;
(b)(a)の溶液を、約15:1〜約45:1のナトリウムイオン:カルシウムイオン比を有する水に注ぐステップ;及び
(c)ゲルを固化させるステップ
を含む。
本発明はさらに、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、約0.01〜1.5%の金属イオン封鎖剤及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1である)を製造する方法を包含し、該方法は:
(a)約0.01〜1.5%の金属イオン封鎖剤及び約0.3〜4%のアルギン酸ナトリウムの溶液を形成するステップ;
(b)(a)の溶液を、約15:1〜約45:1のナトリウムイオン:カルシウムイオン比を有する水に注ぐステップ;及び
(c)ゲルを固化させるステップ
を含む。
本発明はさらに、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、約0.05〜4%のゲランゴム、約0.01〜1.5%の金属イオン封鎖剤及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1である)を製造する方法を包含し、該方法は:
(a)約0.3〜4%のアルギン酸ナトリウム、約0.01〜1.5%の金属イオン封鎖剤及び約0.05〜4%のゲランゴムの溶液を形成するステップ;
(b)(a)の溶液を、約15:1〜約45:1のナトリウムイオン:カルシウムイオン比を有する水に注ぐステップ;及び
(c)ゲルを固化させるステップ
を含む。
本発明はさらに、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、約0.01〜1.5%の金属イオン封鎖剤及び約0.05〜4%のゲランゴムを含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は、約15:1〜約45:1である)を製造する方法を包含し、該方法は:
(a)約0.01〜1.5%の金属イオン封鎖剤及び約0.05〜4%のゲランゴムの溶液を形成するステップ;
(b)(a)の溶液を、約15:1〜約45:1のナトリウムイオン:カルシウムイオン比を有する水に注ぐステップ;及び
(c)ゲルを固化させるステップ
を含む。
本発明は、油産生地層(oil−producing formation)に対する油産生地層水流を遮断する方法を提供し、該方法は、該地層に、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)を導入するステップを含む。
本発明はさらに、油パイプライン中の地層岩屑を除去する方法を提供し、該方法は、該パイプラインに、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)を導入するステップを含む。
本発明はさらに、低温環境下に置かれたパイプ内の高温油を絶縁する方法を提供し、該方法は、該パイプを、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)で実質的に覆うステップを含む。
本発明はさらに、油の掘削及び産出作業中に形成された廃坑(waste pit)を固化する方法を提供し、該方法は、廃坑に、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)を加えるステップを含む。
本発明はさらに、廃坑から滲出する化学物質を低減させる方法を包含し、該方法は、廃坑から滲出する化学物質を、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)でライニングするステップを含む。
本発明はさらに、掘削泥水のような流体から地層への流体の損失を低減させる方法を提供し、該方法は、流体含有マトリックスの周囲に、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)の皮膜を形成するステップを含む。
本発明はさらに、注入されたセメントからの水分の枯渇を阻止する方法を提供し、該方法は、注入されたセメントを、水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン及び約0.3〜4%のアルギン酸塩を含むゲル(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)で覆うステップを含む。
本発明はさらに、油産生地層における油産生地層水流を遮断する方法を提供し、該方法は、該地層に、約0.3〜4%のアルギン酸塩溶液を導入するステップを含み、該溶液は、地層に導入され、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)と接触してゲルを形成する。
本発明はさらに、油パイプライン中の地層岩屑を除去する方法を提供し、該方法は、該パイプラインに、約0.3〜4%アルギン酸塩溶液を導入するステップを含み、該溶液は、パイプラインに導入され、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)と接触してゲルを形成する。
本発明はさらに、低温環境下に置かれたパイプ内の高温油を絶縁する方法を提供し、該方法は、該パイプを、約0.3〜4%アルギン酸塩溶液で実質的に覆うステップを含み、該溶液は、パイプラインに導入され、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)として接触してゲルを形成する。
本発明はさらに、油の掘削及び産出作業中に形成された廃坑を固化する方法を提供し、該方法は、該廃坑に、約0.3〜4%アルギン酸塩溶液を加えるステップを含み、該溶液は、パイプラインに導入され、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)と接触してゲルを形成する。
本発明はさらに、廃坑から滲出する化学物質を除去する方法を提供し、該方法は、該廃坑を、約0.3〜4%アルギン酸塩溶液でライニングするステップを含み、該溶液は、廃坑をライニングし、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)と接触してゲルを形成する。
本発明はさらに、掘削泥水のような流体から地層への流体の損失を低減させる方法を提供し、該方法は、流体含有マトリックスの周りに、約0.3〜4%アルギン酸塩溶液の皮膜を形成し、該マトリックスと該溶液を接触させ、該溶液とナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)とを接触させるステップを含む。
本発明はさらに、注入されたセメントからの水分を枯渇を阻止する方法を提供し、該方法は、注入されたセメントを、約0.3〜4%のアルギン酸塩溶液で覆うステップを含み、該溶液は、注入されたパイプを覆い、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンを含む水(ここで、ナトリウムイオン:カルシウムイオン比は約15:1〜約45:1である)と接触してゲルを形成する。
ゲル化させる前に溶液を加える上記方法のいずれの場合にも、そのようなゲル化は、溶液が実質的に静止した非流動状態にあるときに生起する。
上記方法は、アルギン酸塩及びゲランゴムの両方を含むゲルを用いても、単一のゲル化剤としてゲランゴムを含むゲルを用いても実施し得る。
約15:1〜約45:1のナトリウムイオン:カルシウムイオン比を有する水は、典型的には、海水のような天然塩水源から得ることができる。本発明には、海水又は約15:1〜約45:1のナトリウムイオン:カルシウムイオン比を有する水が適当である。
ゲランゴム(gellan gum)は、Pseudomonas elodea ATCC 31461を発酵させて製造したヘテロ多糖である。ゲランゴムは、KELCOGEL,KELCOGEL PC及びKELCOGEL Fを含む種々の名称の下に、Merck & Co.,Inc.のKelco Division,San Diego,CAから入手し得る。ゲランゴムの製造法には、米国特許第4,326,052号及び同第4,326,053号に記載の方法が含まれる。ゲランゴムは、種々のゲル化、組織化(texturizing)、安定化及び皮膜形成用に、特に、食品、個人向け身辺製品及び工業用のゲル化剤として有用である。
グランゴムは、イオンの存在下にゲルを形成するゲル化及び組織化剤である。他のゲル化剤とは異なり、ゲランゴムは、ゲランゴムと接触する水素イオンを含む全てのイオンと反応してゲルを形成し得る。ゲルは、イオンを含む高温溶液を冷却して製造するのが便宜的であり得る。イオンを溶液中に拡散させてゲルを製造する方法は、あまり一般的ではないが有用な場合もある。この方法は、例えば、フィルム及びコーティング、例えば、バッターや関連可食コーティングの形成に利用されている。これらのコーティングにおいてゲランが特に価値を有するのは、ナトリウムイオンと反応してゲルを形成するその能力である。従って、ゲル化イオン源として塩化ナトリウムを用いることが可能であり、得られた食品は、許容し得る風味を維持するが、苦味を付与し得るカルシウムのような他のイオンを用いると風味が維持されない場合がある。
これらの特性の結果として、ゲランゴム溶液は、高濃度のナトリウムイオンを含有する海水に加えると、海水中に存在する種々のイオンが該溶液中に拡散してゲルを形成する。この特性は、上記用途を含む(但し、それらには限定されない)多様な用途に有利に用いることができる。
市販形態のゲランゴム、アニオンポリマーは、混合塩として製造される。ゲランゴムは、カリウム塩形態のものが主流であるが、通常、製品を冷水には不溶とするに十分な二価のイオン、例えば、カルシウム及びマグネシウムが存在する。ゲランゴムを溶解又は水和させる水にイオンも含まれている場合には、溶解度がさらに低下する。これは予想されると考えられる。というのは、イオンが鎖間会合(ゲル化)を促進し得るとすれば、イオンはまた、鎖間解離(溶解)を阻害するからである。
冷水へのゲランゴムの溶解性は、通常、金属イオン封鎖剤を用いて水中の二価のイオンを除去するだけで得ることができる。二価のイオンは、一価のイオンよりはるかにゲルを形成しやすく、従って、金属イオン封鎖剤を用いて二価のイオンを除去すると、通常、ゲランゴムが溶解し得る水性媒体が得られる。金属イオン封鎖剤は、水から二価のイオンを除去するだけでなく、ゲランゴムからも二価のイオンを除去し、二価イオンを冷水に溶解し得る一価のイオン形態に変換する。利用し得る典型的な金属イオン封鎖剤には、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、オルトリン酸二ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムのような種々の無機リン酸塩が含まれる。クエン酸ナトリウムを用いてもよい。
種々の褐藻類由来のアルギン酸中に3種の高分子セグメントが存在することが、緩酸の加水分解により証明された。1つのセグメントは、実質的にD−マンヌロン酸単位からなる。第2のセグメントは、実質的にL−グルロン酸単位からなる。第3のセグメントでは、D−マンヌロン酸残基とL−グルロン酸残基が交互に存在する。
種々の源由来のアルギン酸試料中の3種の高分子セグメントの比率は、アルギン酸をホモポリマーセグメントと交互セグメントとに分離する部分酸加水分解を用いて測定した。ポリマンヌロン酸セグメントとポリグルロン酸セグメントの比率は、p.m.r.分光分析法を用いて測定した。表1は、種々の褐藻類由来のアルギン酸試料中のマンヌロン酸とグルロン酸の比率を示している。
Figure 0003650625
ポリグルロン酸は、グルロン酸が1C立体配座に位置し且つ二軸結合している、ねじれた(buckled)リボン様分子である。ねじれたリボン様立体配座は、第2位の炭素上のヒドロキシル基と隣接単位中のカルボキシル基の酸素原子との間の分子間水素結合により安定化されている。鎖間結合は、ポリマンヌロン酸の場合よりもっと複雑であり、水分子が関与している。水分子は、水素結合給与体として二回、受容体として二回機能するような位置にあり、そのように形成された水素結合は、2.7A〜2.9Aの範囲である。密度測定に一致し且つ対称を保持するためには、単位セル中に4個の水分子が必要である。
アルギン酸塩の最も重要且つ有用な特性の1つは、カルシウム塩と反応してゲルを形成するその能力である。これらのゲルは、それらの形態保持性及び応力抵抗性が固体と類似しており、ほぼ100%の水(通常は、99.0〜99.5%の水と0.5〜1.0%のアルギン酸塩)からなる。
通常のコロイド用語法においてゲルは、その諸特性をゲル化点において生じるポリマー鎖の架橋網状構造に負う系と定義される。架橋結合の性質を解明し、アルギン酸塩ゲルの構造を決定するべくきわめて多くの研究が為されている。
繊維回折データ、数学的モデル構成計算その他の研究に基づき、アルギン酸のポリマンヌロン酸セグメント及びポリグルロン酸セグメントの形状は共にリボン状でかつ伸長型であることが判明している。このようなデータ、及びゲルの特性に基づき、ポリマー鎖の架橋網状構造形成にはポリグルロン酸セグメントの協同会合(cooperative association)が関与することが示唆されている。現在提案されている、カルシウムイオンがポリマー鎖の会合セグメント同士の間に結合するアルギン酸塩ゲルの構造はしばしば「鶏卵箱モデル」と呼称される。
円二色性研究によって、カルシウムイオンはポリグルロン酸セグメントと優先的に反応することが判明している。交互に位置するポリマンヌロン酸セグメントが、会合セグメントを結合し、それによってゲル中に鎖の三次元網状構造をもたらす以外にカルシウムでのゲル化において直接的な役割を演じないということはあり得る。
ポリグルロン酸塩セグメントとカルシウムイオンとの相互作用の性質は、モデル化合物の既知の配位幾何と、協同会合の必要条件との両方を用いて更に精査されている。上記相互作用においてポリグルロン酸塩セグメントは会合して、カルシウムイオンが嵌入した隙間を具えた凝集体、即ち鶏卵箱モデルとなる。
この情報を用いて、異なるソースに由来するアルギン酸塩の、観察されるゲル化特性を予測し得る。例えば、ポリグルロン酸塩セグメントの比率が高いLaminariahyperborea由来のアルギン酸塩は、離液、即ち結合水損失を起こしがちである硬質で脆いゲルを形成する。これに対して、Macrocystis pyriferaまたはAscophyllum nodosum由来のアルギン酸塩は、離液の傾向が著しく小さい変形可能な弾性ゲルを形成する。
本発明に適するアルギン酸塩には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムが非限定的に含まれる。様々なアルギン酸塩が、Merck &Co.,Inc.(San Diego,CA)のKelco Divisionから市販されている。それらのアルギン酸塩は、藻類ソース、マンヌロン酸及びグルロン酸含量、分子量、粒子形態並びにメッシュ寸法に従い様々である。Kelcoから市販されているアルギン酸塩には、KELTONE HV、MANUGEL DMB、KELGIN MV及びKELGIN Fが含まれる。
多価カチオンはアルギン(algin)ポリマーと反応し、場合によっては前記ポリマーを架橋する。溶液の多価イオン含量が上昇するにつれて増粘、ゲル化、及び最後に沈澱が生起する。アルギン溶液の他の特性では、マンヌロン酸/グルロン酸比、溶液中の一価塩の量、溶液温度、重合度、及び多価イオンそれ自体が反応後のアルギン酸塩の特性を変化させる。
アルギン溶液のレオロジー、粘度及びゲル特性の変更に最も多く用いられる多価カチオンはカルシウムである。カルシウムは、不溶性フィラメント及びフィルム形成用の沈澱イオンとしても用いられ得る。
カルシウム反応は、アルギン酸ナトリウム(場合によってはアルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウム)の1%溶液の流れを塩化カルシウムの10%溶液に注入することによって可視的に実現できる。ほとんど即座に、アルギン酸ナトリウム流の表面にアルギン酸カルシウムが生成し、アルギン酸ナトリウム流は塩化カルシウム溶液に主入された時に有した形状を維持する。最初、中心部は未反応のアルギン酸ナトリウムであるが、時間と共に可溶性カルシウムが中心部に拡散して、完全なアルギン酸カルシウム構造を形成する。
カルシウムイオンとアルギン分子との反応は、
Figure 0003650625
と表わされる。
系にカルシウムイオンを添加するにつれて、反応は総てのアルギン酸塩がアルギン酸カルシウムとして沈澱するまで右方向へ進行する。
アルギン酸ナトリウム(またはカリウム、またはアンモニウム)−アルギン酸カルシウム系の物理特性は、使用可能なカルシウムの量と共に変化する。最初は、流動特性の低下と共に粘度上昇が明らかである。カルシウムイオンを更に添加するとゲルが形成され、最後に沈澱が生起する。
様々な藻類(weed)ソースから、異なるマンヌロン酸対グルロン酸ブロック構造を有するアルギン酸塩が得られる。それらのアルギン酸塩はそれぞれ独自の特徴的なカルシウム反応性及びゲル化特性を有する。アルギン酸塩は普通、含有するマンヌロン酸及びグルロン酸の比率に応じて「高M」または「高G」と呼称される。
表1に示したように、Laminaria hyperboreaは高Gアルギン酸塩をもたらす。通常、高Gアルギン酸塩は熱に安定な強くて脆いゲルを形成し、一方高Mアルギン酸塩は、熱安定性はより低いが凍解安定性はより高い、より弱くてより高弾性のゲルをもたらす。しかし、最終的なゲル強度はゲルの化学特性(chemistry)を操作することにより調節でき、また生産状況次第では高Gアルギン酸塩と高Mアルギン酸塩とは交換可能である。
完全な置換のためには、化学量論的にはアルギン酸ナトリウムの重量に基づき7.2%のカルシウムが必要である。前記量の約30%でゲルが形成され、15%未満で増粘されてはいるが流動可能な溶液が生じる。
ゲルの製造において、アルギン溶液にカルシウムイオンを添加する方法は最終的なゲルの特性に大幅に影響する。カルシウムの添加が急速すぎると、スポット状のゲル化、ゲル構造の不連続化、または沈澱が起こる。
アルギン酸塩と、ゆっくり溶解するカルシウム塩との組み合わせは、ゲル形成速度を制御するべく実現し得る。ピロリン酸四ナトリウム及び六メタリン酸ナトリウムなどの金属イオン封鎖剤も、カルシウムイオンの放出を制御して最終的なゲルの組織を変更する。
冷水ゲルの形成には、アルギン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、クエン酸ナトリウム及びアジピン酸を用い得る。水に添加すると、クエン酸ナトリウムは急速に溶解して水中の遊離カルシウムを封鎖し、それによってアルギン酸ナトリウムの溶解を可能にする。アジピン酸はゆっくり溶解し、リン酸二カルシウム無水物と反応してカルシウムイオンを放出させ、このイオンがアルギン酸ナトリウムとゲルを形成する。クエン酸塩に替えて、ピロリン酸四ナトリウムまたは他のポリリン酸塩などの金属イオン封鎖剤を用いてもよい。リン酸二カルシウム無水物を他のカルシウムソース(炭酸カルシウムや硫酸カルシウム)で置き換えることも可能である。ゆっくり溶解する酸としては任意の食用酸が有効であるが、アジピン酸には、吸湿性でなく、かつ食品中に用いられる他の酸よりも高いpHにおいて酸味に寄与するという利点が有る。早すぎるゲル化や沈澱を防止するためにはpHを制御しなければならない。pHが小さくなるほどカルボキシル基のイオン化が抑制され、溶解性が失われる。最初にゲル化が起こり、その後pHが十分に小さくなった場合には沈澱が生起する。約3.5のpHでは、アルギン酸塩ゲルはカルシウムと酸ゲルとの混合物である。
アルギン酸塩の広範な食品及び工業用途は普通該塩の、カルシウムイオンと反応し、それによって増粘剤、膜形成剤、並びにゲル化及び構造化剤として有利に機能する能力に基づく。ゲランゴムでは、カルシウムイオンがゲルを生成させ得るので、カルシウムイオンが十分多量に存在すると該イオンがアルギン酸塩の水和を抑制する恐れが有る。従って、水和を生起させるべく水を「軟化」しなければならない状況下にアルギン酸塩を、水和を補助する金属イオン封鎖剤と組み合わせて用いることは許容される実際的措置である。
ゲランゴムとは対照的に、アルギン酸塩はナトリウムイオンとはゲルを形成しない。即ち、アルギン酸塩溶液をナトリウムイオンの溶液(例えば食塩溶液)に添加すると、アルギン酸塩溶液は拡散によってゲルを形成せず、攪拌下に水性媒質中に分散する。海水が高レベルで含有するのはナトリウムイオンであり、従って海水にアルギン酸塩溶液を添加してもゲル形成が起こるとは考えられない。
本発明者は、驚くべきことに、海水などのナトリウムイオン濃度の高い水にアルギン酸塩溶液を添加すると該溶液が実のところ拡散硬化ゲルを形成することを発見した。従って、先に述べた用途においてアルギン酸塩をゲランゴム溶液の代替物として用いることができる。理論に拘泥するつもりは無いが、海水のイオン組成は、ゲル形成を惹起するのに、また多価(ゲル形成)イオンと非ゲル化(ゲル溶解)イオンとの相対比率次第ではゲルを崩壊させる恐れの有るナトリウムその他の非ゲル化イオンの存在下にもアルギン酸塩をゲル化状態に維持するのに十分な多価イオン、特にカルシウムが存在するようなものであると考えられる。
既に示したように、本発明を実際的な条件下に用いる際にはしばしば、冷水中でアルギン酸塩及びゲランゴムポリマーの水和を可能にする金属イオン封鎖剤を用いなければならない。加えて、主としてポリマー濃度に依存する必要なゲルの強度は様々であり得る。従って、比較的低レベルのアルギン酸塩を比較的高レベルの金属イオン封鎖剤と組み合わせて用いることを求める状況を目差すことが考えられる。そのような場合、金属イオン封鎖剤は溶液中へのイオン拡散が始まる際にゲル形成二価イオンと優先的に結合し、ゲル化が生起し得る前にアルギン酸塩が周囲の水性媒質中に分散することを可能にする。ゲランゴムの場合は、ゴム及び金属イオン封鎖剤の相対濃度の如何にかかわらずゲル化前のポリマー分散は起こり得ず、なぜならゲル化及びポリマーの捕捉が金属イオン封鎖剤と結合しないナトリウムその他の一価イオンとの相互作用によって即座に生起するからである。
従って、本発明の特に好ましい一形態は、アルギン酸塩とゲランゴムとの両方を含有する溶液の使用である。このような組み合わせは、拡散によるアルギン酸塩の消耗を排除するのみでなく、代替のゲル組織をもたらし、かつ場合によってはコスト低下を実現する。
アルギン酸塩ゲルはいずれも化学反応によって形成される。アルギン酸塩ゲルは通常熱的に可逆性でなく、また該ゲルは硬度に水和したアルギン酸塩ポリマーから成る。ゲル化剤を適正に選択することによって、ゲル構造及び剛性を制御することができる。軟質ゲルは流動性であり、その容器の形状に従う。収縮を惹起する大気中への水分消失は、アルギンゲルでは非常にゆっくり生起する。
本発明のアルギン酸塩ゲル、及びゲランゴムを含有する本発明のアルギン酸塩ゲルは、油生産流にさほどの影響を及ぼさずに不要な水生産流を遮断排除し、または好ましくは水流への透過度を低下させるのにゲルが用いられるプロフィール制御(水止め)を含めた、油分解その他の広範な用途に適する。逸水ゲルは、掘削または改修時に適用された際、地層から失われる大量の流体を制御する。
ゲル「栓」は流体間に用いられるセメントスペーサーとして、あるいはまたゲル「ピグ」がライン内の砕片を除去するパイプライン清掃に用いられる。ゲル化構造はまた、アラスカの永久凍土層の保護を含む充填液(packerfluid)の断熱に適用すれば、対流を有利に低減する。
環境保護的な用途も幾つか有る。その一つは、掘削及び/または生産作業で生じた廃坑の固化である。この固化には、天然放射性物質及び掘削屑を沖で固化することが含まれ得る。他の用途に、坑井下方の土中、特に地下水中への化学薬剤の滲出を止め、または減少させる坑井ライナーの形成が有る。
場合によってはゲランゴムを含有するアルギン酸塩ゲルは、流体消失防止剤(膜として)、船舶用バラスト流体、圧力降下を低減し、または流量を高める減摩剤、牧草地(特に斜面)用ハイドロマルチ(hydromulch)、砂安定化助剤(水井、建設用杭打ち等)、キサンタンと共に用いる気泡安定剤、及びセグメント用防湿材として有用である。
実施例1
再構成海水中のアルギン酸塩
プレミアム級のアルギン酸ナトリウムであるKELTONE HVの1%溶液を、激しい攪拌下に粉末状の前記物質3gを300gの脱イオン水中に慎重に分散させることによって製造した。溶液の約50gのアリコートを、A.S.T.M.法D−1141−52に従い39.26gの海塩(「海塩」はLake Products Company,Inc.,Maryland Heights,MOから市販されている)を1lの脱イオン水に溶解させることによって製造した人工海水中へ細流として注いだ。「細長ゲル(gelled worms)」が即座に形成されるのが観察された。この実施例は、加熱せずに製造されたアルギン酸塩溶液の、海水に添加されるとイオン拡散によりゲルを形成する能力を示している。
実施例2
再構成海水中のゲランゴム
KELCOGELゲランゴムの0.5%溶液を、激しい攪拌下に1.5gのゲランゴムと0.45%のクエン酸ナトリウムとの混合物を300gの脱イオン水に溶解させることによって製造した。溶液の約50gのアリコートを、39.26gの海塩を1lの脱イオン水に溶解させることによって製造した人工海水中へ細流として注いだ。「細長ゲル」が即座に形成させるのが観察された。
この実施例は、加熱せずに製造されたゲランゴム溶液の、海水に添加されるとイオン拡散によりゲルを形成する能力を示している。
実施例3
再構成海水中のアルギン酸塩
実施例1に述べたようにして、アルギン酸塩のKELTONE HV、MANUGEL DMB(グルロン酸モノマー含量の高いプレミアム級ゲル化アルギン酸塩)、KELGIN MV及びKELGIN F(中程度の粘度を有する精製アルギン酸ナトリウム)の1%溶液を製造した。各溶液を、実施例1に述べたようにして再構成海水中へ注いだ。いずれの場合もゲルが生成した。MANUGEL DMBゲルはその他のゲルより僅かに強いようであった。
実施例4
天然海水中のアルギン酸塩
実施例1に述べたようにして、アルギン酸塩のKELTONE HV、MANUGEL DMB(グルロン酸モノマー含量の高いプレミアム級ゲル化アルギン酸塩)、KELGIN MV及びKELGIN F(中程度の粘度を有する精製アルギン酸ナトリウム)の1%溶液を製造した。各溶液を、実施例1に述べた操作に従い、Ocean Beach,Caにおいて海から標本採取した天然海水中へ注いだ。いずれの場合もゲルが生成した。MANUGEL DMBゲルはその他のゲルより僅かに強いようであった。この実施例及び実施例3は、ゲル形成が特定のアルギン酸塩に限定されないことを示している。
実施例5
塩化カルシウムの1%溶液中のアルギン酸塩
実施例1に述べたようにして、アルギン酸塩のKELTONE HV、MANUGEL DMB(グルロン酸モノマー含量の高いプレミアム級ゲル化アルギン酸塩)、KELGIN MV及びKELGIN F(中程度の粘度を有する精製アルギン酸ナトリウム)の1%溶液を製造した。各溶液を、実施例1に述べた操作に従い、塩化カルシウムの1%溶液中へ注いだ。いずれの場合も、海水中で得られたものより強いゲルが形成された。MANUGEL DMBゲルはその他のゲルより僅かに強いようであった。
実施例6
塩化ナトリウムの1%溶液中のアルギン酸塩
実施例1に述べたようにして、アルギン酸塩のKELTONE HV、MANUGEL DMB(グルロン酸モノマー含量の高いプレミアム級ゲル化アルギン酸塩)、KELGIN MV及びKELGIN F(中程度の粘度を有する精製アルギン酸ナトリウム)の1%溶液を製造した。各溶液を、実施例1に述べた操作に従い、塩化ナトリウムの1%溶液中へ注いだ。ゲルは生成せず、溶液は穏やかな攪拌下に水性環境中に分散した。
この実施例は、ゲル形成がナトリウム塩溶液中では起こらないことを示している。
実施例7
再構成海水中のアルギン酸塩
San Diego市の水道水は典型的には、炭酸カルシウムで表わして180ppm前後の硬度を有する。その結果、San Diego市の冷水道水中でアルギン酸塩及びゲランゴムを完全に水和させるためには金属イオン封鎖剤を用いなければならない。
激しい攪拌下にKELGIN MVをSan Diego市水道水中に分散させることによって前記製品の1%溶液を製造し、これに金属イオン封鎖剤として0.10%の六メタリン酸ナトリウムを添加した。この溶液を再構成海水に添加すると、ゲルを形成した。約16時間後にゲルを篩で単離したところ、該ゲルは軟質で粥状であった。
ゲルを取り出した後の上清を可溶性炭水化物に関して、フェノール/硫酸試験を用いて分析した。有意量の炭水化物を検出しなかったが、このことはポリマーがゲルの網状構造内に実質的に完全に保持され、周囲の液体中へ滲出しなかったことを示している。
この実験から、水和の実現に金属イオン封鎖剤が必要な場合にはもなおゲル化は生起し得、先に述べたように実現する拡散硬化はきわめて効率的である(実質的に全部のポリマーが用いられる)ことが明らかである。
実施例8
再構成海水中のゲランゴム
激しい攪拌下にKELCOGELゲランゴムをSan Diego市水道水中に分散させることによって前記製品の0.5%溶液を製造し、これに金属イオン封鎖剤として0.12%の六メタリン酸ナトリウムを添加した。この溶液を再構成海水に添加すると、ゲルを形成した。ゲルは堅くかつ脆かった。
ゲルを取り出した後の上清を可溶性炭水化物に関して、フェノール/硫酸試験を用いて分析した。有意量の炭水化物を検出しなかったが、このことはポリマーがゲルの網状構造内に実質的に完全に保持され、周囲の液体中へ滲出しなかったことを示している。
この実験から、水和の実現に金属イオン封鎖剤が必要な場合にもなおゲル化は生起し得、先に述べたように実現する拡散硬化はきわめて効率的である(実質的に全部のポリマーが用いられる)ことが明らかである。
実施例9
再構成海水中の、ゲランゴムと組み合わせられたアルギ ン酸塩
0.3%のKELCOGEL、1.0%のKELGIN MV及び0.12%の六メタリン酸ナトリウムを含有する溶液を、激しい攪拌下に前記製品をSan Diego市水道水中に分散させて製造した。この溶液を再構成海水に添加すると、ゲルを形成した。ゲルはかなり強くかつ粘着質(coherent)であり、また他の2種のゲルとは異なる組織を有した。
ゲルを取り出した後の上清を可溶性炭水化物に関して、フェノール/硫酸試験を用いて分析した。有意量の炭水化物を検出しなかったが、このことはこのポリマーの組み合わせがゲルの網状構造内に実質的に完全に保持され、周囲の液体中へ滲出しなかったことを示している。
この実験から、水和の実現に金属イオン封鎖剤が必要な場合にもなおゲル化は生起し得、アルギン酸塩とゲランゴムとの組み合わせは強いゲルをもたらし、また先に述べたように実現する拡散硬化はきわめて効率的である(実質的に全部のポリマーが用いられる)ことが明らかである。
実施例10
海水分析
実施例1、2、3、7、8及び9で用いた再構成海水の試料並びに実施例4で用いた天然海水の試料を、イオン組成に関し原子吸光法によって分析した。結果は次のとおりであった。
Figure 0003650625
再構成海水中(天然海水の組成は再構成海水のものに類似するので、更には天然海水中)に現われる比率に近似する比率でカルシウム、カリウム、マグネシウム及びナトリウムを含有する溶液を、前記各カチオンの塩化物を適量脱イオン水に添加することによって製造した。この塩溶液に、既述のように製造したアルギン酸ナトリウムKELTONE HV及びKELGIN MVの1%脱イオン水溶液を細流として添加したところ、やはり「細長ゲル」が形成された。
この実施例は、海水の組成が偶然にも、非ゲル化イオン、特にナトリウムの含量が比較的高いにもかかわらずアルギン酸塩のゲル化の実現に十分な量のカルシウムが存在するというものであることを示している。

Claims (4)

  1. 水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、金属イオン封鎖剤、ゲランゴム及びアルギン酸塩を含むゲルであって、カルシウムイオンに対するナトリウムイオンの比率が約15:1〜約45:1の範囲であり、アルギン酸塩の量が約0.3〜4%であり、ゲランゴムの量が約0.05〜4%であり、金属イオン封鎖剤の量が約0.01〜1.5%である前記ゲル。
  2. アルギン酸塩の量が約0.7〜2%であり、ゲランゴムの量が0.2〜1%であり、金属イオン封鎖剤の量が約0.05〜0.6%である請求項1に記載のゲル。
  3. アルギン酸塩が、マンヌロン酸及びグルロン酸を約2:1〜0.35:1の重量比で含む請求項1に記載のゲル。
  4. 水、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、金属イオン封鎖剤及びゲランゴムを含むゲルであって、カルシウムイオンに対するナトリウムイオンの比率が約15:1〜約45:1の範囲であり、ゲランゴムの量が約0.05〜4%であり、金属イオン封鎖剤の量が約0.01〜1.5%である前記ゲル。
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