JP3649645B2 - ロールプロフィール評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロールプロフィールの評価方法に係わり、特に熱間圧延機等の板材の圧延機において、インラインにて計測可能なロールプロフィール評価方法に関する。
【0002】
【従来技術】
熱間圧延機等の板材の圧延機においては、一般にワークロールは圧延材に接触する部分だけが局部的に摩耗する。従って、正常な板厚分布の板材を圧延するには、圧延材の圧延順序を広幅から狭幅へと移行させていく必要がある。しかしながら、このような板幅による圧延順序規制は生産性向上を阻害する大きな要因となっており、この圧延順序規制を撤廃するための方策として、ワークロールを圧延機スタンド内に組み込んだインライン状態で、その表面を所望の形状に研削するいわゆるオンラインロール研削手段が提案されている。このロール研削を行うにあたって最も重要なことは、ロール研削前後あるいはロール研削中に被研削ロールのロールプロフィールを計測して、常に把握することである。
【0003】
また、板材の圧延時、被圧延材と接触するロール表面(以下、通板部と仮称する)には熱膨張によって凸状の変形(以下、サーマルと仮称する)が発生し、この変形量が大きくなりすぎると、やはり正常な板厚分布の板材を圧延することが困難となる。
【0004】
上記サーマル量をモニター管理するという観点からも、オンラインでロールプロフィールを正確に把握することが重要となる。
【0005】
このようなロールプロフィールの計測を行うための従来のロールプロフィール計測法は、たとえば特開平11−271048号に開示されている。図7乃至図9を参照しながら、従来の評価方法を説明する。図7に示すように、圧延機のワークロール2に対向して、変位検出器取付台1が設けられるとともに、取付台アーム部1a及びガイドシャフト3aを介して変位検出器取付台1をワークロール2の軸とほぼ平行に往復運動可能に支持するサポートフレーム3が設置されている。変位検出器取付台1は、駆動装置4によってワークロール2の軸とほぼ平行方向に往復移動する。変位検出器支持筒5a,5bが、変位検出器取付台1に装着され、変位検出器支持筒5a,5bには、変位検出器11a、11b及び11c及び11dがそれぞれ設置され、各変位検出器は、ワークロール2の面に対向して略ワークロール2の軸と直交するように配置され、ワークロール2に対向して進退可能な構造となっている。
【0006】
計測の際、各変位検出器11a乃至11dを支持筒5a,5bによって所定距離だけワークロール2の方向に突き出すとともに、駆動装置4によって変位検出器取付台1を一定速度で移動させることにより、4台の変位検出11a〜11dによって同時にワークロール2の表面凹凸量を測定する。
【0007】
このとき、支持筒5aと5bとの配置間隔lと変位検出器取付台1の移動量Lとの関係がl<Lとなるような条件で測定することにより、図8に示すように変位計11a,11bで測定するワークロール2の軸方向測定範囲と変位検出器11c,11dで測定する軸方向測定範囲との間に所定の重複部を設けることが可能となり、ワークロール2の全体ロールプロフィールが測定できる。
【0008】
以上の従来の評価方法によれば、以下に示すように、測定時の変位検出器取付台1の運動誤差ez (x) の影響を排除することができる。
【0009】
図9において、LC は、変位検出器の取付間隔、xは、ワークロール2の軸方向への変位検出器取付台4の移動位置を示す位置座標、m(x)はワークロール2のロールプロフィール、ez (x)は変位検出器取付台4の運動誤差及びワークロール2の回転運動誤差等によって生じる変位検出器支持筒12cとワークロール2との相対的な並進運動誤差成分、ep (x)は同様の原因で発生する相対的なピッチング運動誤差成分を示している。
【0010】
ロール軸方向位置xn での変位検出器11a,11bでの測定値ya (xn ) 、yb (xn ) は、(1)式のように表わすことができる。
ya (xn ) =m(x n )−ez (xn ) +k1
yb (xn ) =m(xn + Lc) −ez (xn ) +Lc・eP (xn ) +k2 (1)
ここに、k1 ,k2 :各変位計の取付位置、電気的零点等によって定まるオフセット量
ya (xn ) とyb (xn ) との差分Yab(xn ) ≡yb (xn ) −ya (xn ) (合成測定値と仮称する)をとることによりez (x) に関する項が相殺される。
Ya b (xn ) =m(xn + Lc)-m(xn )+Lc・eP (xn ) + (k2-k1) (2)
ez (x) の項を含まないデータ列Ya b (xn ) を用いて、ロールプロフィールm(xn )は、以下の(3)式によって求まる。
m(xn )=N-1 Σ j=0 1/fj [(F j ・ cos δj - Gj ・ sin δj )・cos 2πj ×xn /L + (Fj ・ sin δj + Gj ・ cos δj )・sin 2πjxn/L ] (3)
ここに、
fj =√(cos jβ-1)2+(sin jβ)2
δj = tan-1{sinjβ/(cosjβ-1) }
β =2πLc/L
Fj :データ列Ya b (xn ) をフーリエ変換した時のcos 成分
Gj :データ列Ya b (xn ) をフーリエ変換した時のsin 成分
このように、従来の計測法によれば、(3)式に基づくフーリエ変換を応用した演算処理によって、ez (x) の影響を受けない高精度なロールプロフィール計測が可能となる。
【0011】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、このような従来の評価方法には、以下のような技術上の問題点がある。
【0012】
第一に、計測誤差が依然として残存しており、高精度な計測が実現困難なことである。すなわち、上述の演算処理によって並進運動誤差ez (x)は、除去できるものの、ピッチング運動誤差成分eP (x) の影響は依然として残っており、eP (x) 成分が無視できない程度の測定条件では、高精度でのロールプロフィール計測が困難となる。
【0013】
第二に、局所的なロールプロフィールを把握することが困難なことである。圧延の際、ワークロールは、局所的には摩耗段差が生じ、全体的にはサーマルを受けるが、これらの変形が重なった場合に、摩耗段差がシャープな形状とならないために正確に把握することが困難な場合がある。この点を図5を参照しながら以下に説明する。図5(a)は、ロールプロフィールに摩耗段差δa が発生している状態を示す。図5(b)は、上に凸の形態をなすサーマルが発生している状態を示す。図5(c)は、図5(a)及び図5(b)に示す摩耗段差とサーマルとが重畳することにより摩耗段差δcが、摩耗段差δa に比べて小さくなっている状態を示す。
【0014】
このような状態において、摩耗段差を評価するために、従来は例えばロールプロフィールの一次微分値が所定しきい値を越えている範囲を摩耗段差として評価してきた。しかしながら、図5(a)と図5(c)とを比較すれば容易にわかるように、摩耗段差自体がシャープさを喪失しているため、このような方法では有効に摩耗段差を評価することは困難である。
【0015】
そこで、本発明は、従来の上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ワークロールの軸方向に沿って変位検出器を移動させることによりロールプロフィールを計測する際に、変位検出器とワークロールとの間の並進運動誤差だけでなく、ピッチング運動誤差の発生をも抑制することにより、さらに高精度なロールプロフィールの評価方法を提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、ワークロールの軸方向に沿って変位検出器を移動させることによりロールプロフィールを計測する際に、局所的なロールプロフィールを高精度に把握することのできるロールプロフィールの評価方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、本発明のロールプロフィール評価方法は、ワークロールの軸線方向に沿って往復運動可能に設けられた変位検出器取付台と、前記ワークロールの軸線方向の表面凹凸量を計測するための、この変位検出器取付台上に互いに所定間隔 を介して設置された複数個1組の変位検出器とを用いるロールプロフィール評価方法であって、前記変位検出器取付台を前記ワークロールの軸線方向に移動させて前記ワークロールの表面凹凸を全長に亘って計測し、前記変位検出器で得られた計測値の差分によって得られる合成計測値データ列を演算処理して、前記ワークロールの軸線方向の表面凹凸量を求めるロールプロフィール評価方法において、
形状既知の基準ロールプロフィールを備えた、ロール組替直後或いは第1回目の板材の圧延中におけるワークロールを前記ロールプロフィール評価方法を用いてそのロールプロフィールを計測し、この計測ロールプロフィールと基準ロールプロフィールとの差分から前記変位検出器取付台の移動時におけるピッチング運動誤差を近似して求め、以降の圧材の圧延中における計測ロールプロフィールに対して、前記ピッチング運動誤差を補正する構成としてある。
【0018】
以上のような構成によれば、圧延に伴う摩耗段差或いはサーマル変形の影響がない、或いはほとんどないワークロール交換直後或いは第1回圧延直後のロールプロフィールを利用して、計測によって選られたプロフィールを計測を経ない既知基準プロフィールと比較することにより、変位検出器取り付け台の運動誤差及びワークロールの回転運動誤差等によって生じる変位検出器支持筒とワークロールとの相対的な並進運動誤差成分を除去するとともに、このような並進運動誤差成分と同様な原因で発生する相対的なピッチング運動誤差成分を有効に除去することにより、より高精度なロールプロフィールの評価方法を提供することができる。
【0019】
本発明の目的を達成するために、本発明のロールプロフィール評価方法は、ワークロールの軸線方向に沿って往復運動可能に設けられた変位検出器取付台と、この変位検出器取付台上に、前記ワークロールの軸線方向の表面凹凸量を複数個の区間に分割して計測するための間隔Lc を介して設置された2個1組の変位検出器であって、間隔lで複数組設置された変位検出器とを用いるロールプロフィール評価方法であって、前記変位検出器取付台を前記ワークロールの軸線方向に移動させて前記ワークロールの表面凹凸量を部分的に計測し、前記2個1組の変位検出器毎に、上述のロールプロフィール評価方法を実行して複数個の部分的ロールプロフィールを求め、前記部分的ロールプロフィールの計測長さを前記複数個の2個1組変位検出器の配置間隔よりも大きくなるようにして前記複数個の部分的ロールプロフィールに重複部を生じさせ、この重複部を用いて前記複数個の部分的ロールプロフィールを連結して前記ワークロール全長のロールプロフィールを求めるロールプロフィール評価方法において、
形状既知の基準ロールプロフィールを備えた、ロール組替直後或いは第1回目の板材の圧延中におけるワークロールを前記ロールプロフィール評価方法を用いてそのロールプロフィールを計測し、この計測ロールプロフィールと基準ロールプロフィールとの差分から前記変位検出器取付台の移動時におけるピッチング運動誤差を近似して求め、以降の圧材の圧延中における計測ロールプロフィールに対して、前記ピッチング運動誤差を補正するピッチング運動誤差補正段階と、
前記ピッチング運動誤差を補正した補正ロールプロフィールのうち、圧延サイクルにおける非通板部をもとにして、この非通板部に最も近似する外装2次曲線をロールプロフィール全体について求め、前記補正ロールプロフィールからこの外装2次曲線を差し引くことにより、加工ロールプロフィールを求める2次曲線補正段階と、
この加工ロールプロフィールに対して平滑化演算処理を行うことにより、加工ロールプロフィールの低周波数形状成分を求め、加工プロフィールから当該低周波数形状成分を除去することにより、加工ロールプロフィール中の高周波数形状成分のみを抽出する高周波数形状成分抽出段階と、
2次曲線補正段階において求めた加工ロールプロフィールと、高周波数形状成分抽出段階において求めたロールプロフィールとに対して、それぞれ摩耗段差量の評価を行い、両者の評価結果のうち大きい方の値を摩耗段差として採用する摩耗段差評価段階とを有する構成としてある。
【0020】
以上のような構成によれば、圧延中に、摩耗段差及びサーマルが重畳した場合でも、全体ロールプロフィールの計測データに対して摩耗段差を際立たせる演算処理を行うことにより、ワークロールの局所的なプロフィールを把握することが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のロールプロフィール評価方法での補正、演算処理手順の概要を図1に示す。なお、本方法を実施するのに用いるロールプロフィール計測装置は、従来と同様であるのでその説明は省略する。
【0022】
図1は、従来法によって測定されたロールプロフィールに適正な補正、演算処理を施すことにより全体及び局所ロールプロフィールを高精度に把握するという本発明の目的に沿った補正、演算処理手順の流れを示したものである。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態による評価方法は、従来のeP (x) の影響分を含んだ評価方法によってロールプロフィールを計測する段階(1)と、eP (x) の影響分を把握して、全体プロフィールを補正する段階(2)と、ロール端部近傍のロールプロフィールを利用して、全体プロフィールについて二次曲線で近似したうえで、補正する段階(3)と、全体プロフィールについて移動平均平滑化成分を除去する段階(4)と、摩耗段差を評価する段階(5)とから概略構成されている。
【0024】
以下に、各段階について詳細に説明する。
まず、段階(1)について、従来の評価方法を用いてワークロールの全体プロフィールを計測する。この場合、計測値には並進運動誤差は除去されているが、ピッチング運動誤差を含んだ状態となっている。
【0025】
次に、段階(2)について、形状既知の基準ロールプロフィールを備えたロール組替直後あるいは第1回目の板材の圧延中におけるワークロールに対して、段階(1)の方法を用いて計測を行い、基準ロールプロフィールと計測ロールプロフィールとの差分からeP (x) に起因する誤差成分を除去して、第2回目以降の板材の圧延中に測定したロールプロフィールに対して当該誤差成分を補正する。
【0026】
より詳細には、圧延に使用するワークロールのロールプロフィールは正確に把握、管理されており、ワークロール交換直後の初期ロールプロフィール(基準ロールプロフィールと仮称する。)は、正確に評価することができる。また第1回の板材圧延時のロールプロフィールについても、摩耗段差、サーマルの影響は小さいので、比較的正しく初期のロールプロフィールを保っている。
【0027】
従って、ロール交換直後あるいは第1回目の板材の圧延時に測定したロールプロフィールと基準ロールプロフィールとを比較することにより、eP (x) に起因して発生するロールプロフィールの誤差成分が把握できる。当該誤差成分を、例えば(4)式に示す6次多項式で近似評価することにより、eP (x) によるロールプロフィール評価誤差Er (x)を次式に示すように、6次多項式の係数a6 ないし a0 として評価することができる。
Er (x) =(測定ロールプロフィール)−(基準ロールプロフィール) (4)
≡ a6・x6 +a5 ・ x5 +a4 ・ x4 +a3 ・ x3 +a2 ・ x2 +a1 ・ x + a0
2回目以降の板材の圧延時に測定したロールプロフィールについては、係数a6 〜a0 から(4)式で与えられるEr (x) を求めて除去することにより、eP (x) の影響を除去したロールプロフィールを評価することができる。
【0028】
本補正を利用した測定結果を図2に示す。図2(a)はある凹形状をもった基準ロールプロフィールをP1 〜P5 の5点で代表させて示したものであり、Sはロールプロフィール全長、図中の数値の単位はμmである。図2(b)は(a)の基準ロールを例えば図7に示したロールプロフィール計測手段によって計測したロールプロフィールであり、変位検出器取付台1の運動誤差eP (x) に起因する誤差によって、基準ロールプロフィールを正確に評価できていない。図2(c)は、上述の手順に沿って図2(b)の測定プロフィールと図2(a)の基準ロールプロフィールとの差から上記(4)式中の係数a6 〜a0 を求め、図2(b)の測定プロフィールを補正したものである。図において、プロフィール全長を4等分し、各等分点P1 〜P5 から最小自乗法によって2次曲線を求めている。図2(a)と図2(c)とを比較すれば明らかなように、基準プロフィールが再現されており、補正の有効性が確認できる。
【0029】
なお、eP (x) に起因して発生するロールプロフィールの誤差Er (x)を何次多項式で近似すべきかについては、基準ロールプロフィール、測定ロールプロフィールに含まれる高次形状成分を考慮して決定する必要があるが、実測結果によれば6次が好ましいことが判明している。
【0030】
次に、段階(3)のロール端部プロフィールを用いた2次曲線補正は、ロール端部の非通板部のロールプロフィールを利用してその部分が最も確からしくあてはまる2次曲線を求め、この2次曲線との差分として全体ロールプロフィールを再評価することを示している。
【0031】
圧延の際、圧延作業の進行に伴う装置全体の熱変形等によって、主として、ロールプロフィールの2次曲線成分に変動が発生する。高温の板材と接触する通板部にはサーマルによる凸形状の形状変化が発生するが、通板部から外側約200mm以上ではサーマルの影響がごくわずかであることが実験的に把握されている。したがって、圧延サイクルでの“最大板幅+200mm外側”からロール端までのロールプロフィールをもとに、この部分を最も近似する2次曲線を求め、もとのロールプロフィールからこの2次曲線成分を差引いた値を求めて加工ロールプロフィールとする。
【0032】
図3は、最大板幅1000mm(片側で500mm)の板材圧延時のロールプロフィール測定結果を示し、元のプロフィールとともに、ワークロール両端部近傍に基づく外装2次曲線、並びに元のプロフィールからこの求めた外装2次曲線を差し引いた加工プロフィールを示す。図3に示すように、外装2次曲線は、最大板幅+200mm外側に該当する±700mmからロール端までのプロフィールをもとに求めている。
【0033】
図4は、2次曲線によって補正する前後のロールプロフィールを3例示し、図4(a)は、補正前、図4(b)は、補正後のロールプロフィールを示す。図4(a)によれば、全体ロールプロフィールに2次曲線成分の変動が発生しており、それと比較すれば容易にわかるように、図4(b)によれば、安定した全体ロールプロフィールが得られている。
【0034】
次に、段階(4)の移動平均平滑化成分の除去は、段階(3)で得た全体ロールプロフィールを移動平均処理して全体ロールプロフィールの低周波形状成分を求め、もとのプロフィールから当該低周波形状成分を除去して全体ロールプロフィール中の高周波形状成分のみを抽出する。図5を参照しながら、より詳細に説明する。
【0035】
図5(c)中の点線は、図5(a)の段差摩耗と図5(b)のサーマル形状とを重畳したプロフィールに対して移動平均による平滑化処理を行った後の形状を示している。図5(d)は、この重畳したプロフィール形状(図5(c)の実線で示した形状)から移動平均平滑化形状(図5(c)の点線で示した形状)を除去した後の形状を示しており、摩耗段差量δd は真の値δa までは復活していないが、δc よりは大きな値となっている。(δa >δd >δc )
実際に測定されるロールプロフィール(図5(c)に相当)に対して、移動平均による平滑化処理を行い、平滑化成分(図5(c)中の点線で示した形状に相当)をもとの形状から除去し、新たな形状(図5(d)に相当)を得る。
【0036】
このとき、移動平均による平滑化処理としては、たとえばロール軸方向に沿って相前後する数点の計測値に基づき、相加平均するのでもよい。
【0037】
なお、平滑化のための移動平均長さは、実験結果によれば、ロールプロフィール全長の40%程度が好ましいことが判明した。
【0038】
図5に示したように、移動平均平滑化成分除去後の摩耗段差量δd は真の段差量δa よりは小さいものの、みかけ上の段差量δc よりは大きく(δa >δd >δc )、移動平均平滑化成分の除去によってある程度の摩耗段差量の復活が期待できる。
【0039】
最後に、段階(5)の摩耗段差の評価については、段階(3)及び段階(4)で得られたロールプロフィールをもとに摩耗段差量の評価を行い、両者の評価結果のうち大きい方の値を摩耗段差として採用することを示している。
【0040】
図5では、摩耗段差量に比べてサーマルが十分大きい場合を例に示したが、逆にサーマルに対して摩耗段差量が大きい場合には、移動平均平滑化成分を除去することによって、かえって摩耗段差量を過小評価することになる。図6は、その例を示す。図中下に示された元のプロフィールと、図中上に示された移動平均平滑化を行った後のプロフィールとを比較すれば、明らかに移動平均平滑化によってかえって摩耗段差量が過小評価されている。
【0041】
このため、測定したロールプロフィール(あるいは測定したロールプロフィールに前述の補正、演算処理等をほどこした後のロールプロフィール)から、摩耗段差の位置及び量を把握して、オンライン研削手段にフィードバックする必要がある。
【0042】
より具体的には、図1に示すように、“ロール端部プロフィールを用いた2次曲線補正を施こした新たなロールプロフィール”と、“移動平均平滑化成分を除去した後のロールプロフィールの高周波形状成分”の両方について、摩耗段差の評価を行う。
【0043】
すなわち、2つのケースについて得られた摩耗段差量のうち、大きい方の段差量とそれに対応する段差位置を正式な摩耗段差として評価する。
上述の、いずれか大きい方の段差量を採用することによって、図6に示した、“移動平均平滑化成分の除去によって摩耗段差量を過小評価する”という弊害の発生を回避することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ワークロールの軸方向に沿って変位検出器を移動させることによりロールプロフィールを計測する際に、変位検出器とワークロールとの間の並進運動誤差だけでなく、ピッチング運動誤差の発生をも抑制することにより、さらに高精度なロールプロフィールの計測を行うことができる。
【0045】
本発明によれば、ワークロールの軸方向に沿って変位検出器を移動させることによりロールプロフィールを計測する際に、段差摩耗等局所的なロールプロフィールを高精度に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態のロールプロフィール評価方法の手順を示すフロー図である。
【図2】図1における全体ロールプロフィールの補正に関する図である。
【図3】図1におけるロール端部プロフィールを利用した二次曲線補正に関する図である。
【図4】図3と同様に、ロール端部プロフィールを利用した二次曲線補正に関する図であり、図4(a)は、補正前、図4(b)は、補正後の状態を示す。
【図5】図1における移動平均平滑化成分の除去を適用したワークロールのプロフィールである。
【図6】図5と同様に、移動平均平滑化成分の除去を適用したワークロールのプロフィールである。
【図7】従来のロールプロフィール評価方法を実行するためのロールプロフィール計測装置の構成図である。
【図8】図7のロールプロフィール評価方法を実行する場合の、各変位検出器取り付け台の可動範囲を示す概略図である。
【図9】図7のロールプロフィール評価方法を実行する場合の、変位検出器取り付け台の運動計測誤差を示す概略図である。
【符号の説明】
1 変位検出器取り付け台
1a取り付けアーム部
2 ワークロール
3 サポートアーム
3aガイドシャフト
5 支持筒
11変位検出器
Claims (3)
- ワークロールの軸線方向に沿って往復運動可能に設けられた変位検出器取付台と、前記ワークロールの軸線方向の表面凹凸量を計測するための、この変位検出器取付台上に互いに所定間隔を介して設置された複数個1組の変位検出器とを用いるロールプロフィール評価方法であって、前記変位検出器取付台を前記ワークロールの軸線方向に移動させて前記ワークロールの表面凹凸を全長に亘って計測し、前記変位検出器で得られた計測値の差分によって得られる合成計測値データ列を演算処理して、前記ワークロールの軸線方向の表面凹凸量を求めるロールプロフィール評価方法において、
形状既知の基準ロールプロフィールを備えた、ロール組替直後或いは第1回目の板材の圧延中におけるワークロールを前記ロールプロフィール評価方法を用いてそのロールプロフィールを計測し、この計測ロールプロフィールと基準ロールプロフィールとの差分から前記変位検出器取付台の移動時におけるピッチング運動誤差を近似して求め、以降の圧材の圧延中における計測ロールプロフィールに対して、前記ピッチング運動誤差を補正することを特徴とする評価方法。 - 前記複数1組の変位検出器は、2個1組であり、前記演算処理は、フーリエ変換演算処理であり、前記ピッチング運動誤差の補正は、近似して求めたピッチング運動誤差を前記合成計測値データ列中に組み込んで補正する、請求項1に記載の評価方法。
- ワークロールの軸線方向に沿って往復運動可能に設けられた変位検出器取付台と、この変位検出器取付台上に、前記ワークロールの軸線方向の表面凹凸量を複数個の区間に分割して計測するための間隔Lc を介して設置された2個1組の変位検出器であって、間隔lで複数組設置された変位検出器とを用いるロールプロフィール評価方法であって、前記変位検出器取付台を前記ワークロールの軸線方向に移動させて前記ワークロールの表面凹凸量を部分的に計測し、前記2個1組の変位検出器毎に、請求項1に記載されたロールプロフィール評価方法を実行して複数個の部分的ロールプロフィールを求め、前記部分的ロールプロフィールの計測長さを前記複数個の2個1組変位検出器の配置間隔よりも大きくなるようにして前記複数個の部分的ロールプロフィールに重複部を生じさせ、この重複部を用いて前記複数個の部分的ロールプロフィールを連結して前記ワークロール全長のロールプロフィールを求めるロールプロフィール評価方法において、
形状既知の基準ロールプロフィールを備えた、ロール組替直後或いは第1回目の板材の圧延中におけるワークロールを前記ロールプロフィール評価方法を用いてそのロールプロフィールを計測し、この計測ロールプロフィールと基準ロールプロフィールとの差分から前記変位検出器取付台の移動時におけるピッチング運動誤差を近似して求め、以降の圧材の圧延中における計測ロールプロフィールに対して、前記ピッチング運動誤差を補正するピッチング運動誤差補正段階と、
前記ピッチング運動誤差を補正した補正ロールプロフィールのうち、圧延サイクルにおける非通板部をもとにして、この非通板部に最も近似する外装2次曲線をロールプロフィール全体について求め、前記補正ロールプロフィールからこの外装2次曲線を差し引くことにより、加工ロールプロフィールを求める2次曲線補正段階と、
この加工ロールプロフィールに対して平滑化演算処理を行うことにより、加工ロールプロフィールの低周波数形状成分を求め、加工プロフィールから当該低周波数形状成分を除去することにより、加工ロールプロフィール中の高周波数形状成分のみを抽出する高周波数形状成分抽出段階と、
2次曲線補正段階において求めた加工ロールプロフィールと、高周波数形状成分抽出段階において求めたロールプロフィールとに対して、それぞれ摩耗段差量の評価を行い、両者の評価結果のうち大きい方の値を摩耗段差として採用する摩耗段差評価段階とを
有することを特徴とするロールプロフィール評価方法。
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Publications (2)
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