JP3648676B2 - 超伝導材用補助材料 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超伝導材用補助材料即ちAg合金酸化物を基材とするテープ又はパイプ材に関し、特定のAg合金組成とその酸化処理方法により熱安定性、即ち過酷な熱エネルギー下でも軟化がなく、機械的強度に優れた超伝導材用補助材料を提供する。
【0002】
【従来の技術】
超伝導材として、近年において金属系超伝導材から酸化物超伝導材に関心がもたれて暫く経つが、これらは臨界温度及び磁界・磁場の高さにより広範な用途を持ち、応用範囲として、その一つにテープ及び線材などの導体もある。
酸化物超伝導材はセラミックスの部類に入るもので、脆さを持ち実用化するためには金属補助材料のテープと多層に複合して用いるか、同パイプに充填して機械的歪み特性向上に負う所が大きい。それら補助材料として、従来、Agを主成分とした多くの合金材料が知られている。
【0003】
また、補助材料として超伝導材を補助する上で、可撓性を有することは重要な要素であり、亀裂や折れが生じてはならない。そこで従来種々な試みが成されて市場に出ている。
【0004】
Agは本来熱安定性と機械的強度に欠け、他の金属との合金を用いるのが常である。幾つかの従来例を示すと、まず、特開平6−283056号公報に紹介されているものは、金属基材としてのAg合金中のMg、Niが原子%で1%以下で、同0.5%以下のTi、Mn、同30%以下のAu、同2%以下のCuの中の少なくとも1種を含むものである。しかしながら、そこに使用されている金属は大気中での酸化であり、本発明において特定している量の酸化物を示唆する記載はなく、しかも、特定の酸化処理方法を教示する記載もない。
【0005】
つぎに、特開平8−241635号公報には、Ag中に含まれるMgO、NiOの少なくとも1種を、Mg、Niに換算して0.01〜0.5質量%を含むものであることが記載されている。この発明と、本発明とを対比すると、まず従来例は伸線加工済の銀合金を大気中で800〜900℃、5〜50時間酸化しているが、それもAgの表面のみ70μm酸化するだけで(公報第2ページ2欄【0011】4〜5行)、その理由は同【0005】に記載している通りである。よって、内部はAgそのものであり内外部からの熱安定性に欠けるばかりでなく、過酷な熱エネルギー条件下にあっては当然機械的強度に不足なものである。
【0006】
しかしながら、本発明においては超伝導材を補助材料と一体化する前のAg合金を、特定の条件下でMg、Niを内部酸化させたものを補助材料として用いている点が大きく異なり、従来例では得られなかった補助材料が完成出来たのである。
前記従来例においてAgMgNi合金の極く表面のみ酸化する理由は、伸線加工時にパイプに亀裂が入り破損してしまうのが一般的であると述べ、従来例の発明は、補助材料に柔軟性を付与するために採った手段に他ならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明においては前記問題点を改善すべく研究を重ねた結果、超伝導材用補助材料の熱エネルギーへの耐久性ならびに機械的強度を向上させるためには、Agを主成分としたMg、Ni金属酸化物との合金を用いることが解決の方法であるとの知見から、如何にしたら、その内部酸化物でもAg合金補助材料として亀裂や破損が生じないかを課題とし、これを特定の組成物比及び加圧下における内部酸化方法によって達成し得たのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
1 超伝導材料の線材化加工に用いるパイプ状又はテープ状のAg合金補助材料において、圧力3〜10atmのO 2 雰囲気中で内部酸化処理して得たMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%で、何れも残部がAgであることを特徴とする超伝導材用補助材料。
2超伝導材料の線材化加工に用いるパイプ状又はテープ状のAg合金補助材料の製造方法において、その母材は、AgMg又はAgMgNi組成物からなり、これを溶解・鋳造後、成形せるテープ又はパイプを圧延又は伸管して目的の厚さ又は長さに加工する途上で、温度700〜800℃、時間20〜80h、圧力3〜10atmのO2雰囲気中で内部酸化処理を施し、さらに、その材料を圧延又は伸管し、目的寸法の厚さ又は長さとして成るMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%で、何れも残部がAgであることを特徴とする超伝導材用補助材料の製造方法。
3 母材であるAgMg又はAgMgNi組成物として、Mg−0.02〜2重量%又はMg−0.01〜1.0重量%、Ni−0.01〜1.0重量%、何れも残部Agである合金母材を用いることを特徴とする前項2に記載の製造方法で得られる超伝導材用補助材料。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、請求項1に記載したようにAg組成物中に含まれるMg、Ni酸化物としてMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%としたことにより、Ag合金補助材料の熱安定性と機械的強度を高めることを骨子としている。
【0010】
請求項2に記載したように、母材のAgMgNi組成物を加工途上で内部酸化せしめる過程は、AgMgNi組成物中に高温加圧下で酸素が浸透して内部のMg及びNiを逐次酸化してゆくが、Agそのものは酸化せず、むしろ酸素を通過させ中心部まで酸素を送り込む役割を果たしている。その際の内部酸化処理温度は700〜800℃で行う。このように、特定の比率のMgNiを特定の条件で予め内部酸化させておくことにより、従来、酸化物は硬化して亀裂や断線などの要因になると考えられていた通念を払拭し、線材としても可撓性のある十二分に強度の高い製品とすることが出来たのは予想外であった。
【0011】
さらに、本発明における線材としてのパイプ材は、脆さのある酸化物超伝導材を内部に充填したものを伸長して用いるが、偏平なテープ材にあっては、酸化物超伝導材と複合し、これを複数層重ねたものをAg合金酸化物で覆って用いる。
【0012】
請求項1において、MgO及びNiOの使用割合を、各々0.01〜1.65重量%、0.02〜1.3とした理由は、MgO及びNiOも0.01重量%、0.02重量%未満では機械的強度の改善がみられず、また、各々1.65重量%、1.3重量%を超えると硬くなり過ぎて加工が困難となるなるからである。Ag中にMgOだけの場合はMgOが0.03〜3.3重量%の範囲であれば同様の効果を発揮する(実施例4)。そうするためのAg合金母材は、請求項3に記載した各元素の割合となる。
【0013】
【実施例1】
次に、実施例により詳細に説明する。
Ag−Mg0.1重量%−Ni0.1重量%組成物を、溶解し、長さ250mm直径Φ108の円柱状に鋳造したものを、外形68mm×内径40mm寸法に穴あけ加工し、つぎに伸管加工(粗加工)して外形46mm×内径38mm肉厚4.0mmの筒体とした。この筒体を温度750℃、時間50h、圧力5atmのO2雰囲気中で内部酸化処理を施した。その酸化補助材料はAg−MgO0.13重量%−NiO0.17重量%であった。それをさらに、伸管加工(仕上げ加工)して外形25mm×内径22mm肉厚1.5mmのパイプ状とした。この材料の加工後の特性は、引張強さ510MPa、硬さ95Hv、導電率は71%IACS、伸び1.0%、ヤング率3.45×104MPa、比抵抗2.40×10−8Ωmであった。これに酸化物超伝導材を充填し、複数本の束とし伸線加工して超伝導線条を得たが、亀裂や断線もなく加工性は良好であった。
【0014】
【実施例2〜4】
実施例2〜4についての組成物及び得られた材料の特性は、別添の表1に記載した通りである。その他、加工条件、内部酸化条件は全て実施例1と同様に行った。これに酸化物超伝導材を充填し、複数本の束とし伸線加工して超伝導線条を得たが、亀裂や断線もなく加工性は良好であった。
なお、テープについても同様に行ったが、特性及び加工性ともに良好であった。
【0015】
【発明の効果】
以上、詳記したように、従来知られていた超伝導材用補助材料に比して、本発明に係るAg−MgO又はAg−MgO−NiOを特定の割合のAg合金としたこと、及び、特定の酸化処理方法を採ったこととの相乗作用により、超伝導材用補助材料として、過酷な熱エネルギーの下にあっても安定性、すなわち、熱による軟化がなく超伝導材との反応もなく、機械的強度の非常に高い線条が得られるという特別顕著な作用効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超伝導材用補助材料即ちAg合金酸化物を基材とするテープ又はパイプ材に関し、特定のAg合金組成とその酸化処理方法により熱安定性、即ち過酷な熱エネルギー下でも軟化がなく、機械的強度に優れた超伝導材用補助材料を提供する。
【0002】
【従来の技術】
超伝導材として、近年において金属系超伝導材から酸化物超伝導材に関心がもたれて暫く経つが、これらは臨界温度及び磁界・磁場の高さにより広範な用途を持ち、応用範囲として、その一つにテープ及び線材などの導体もある。
酸化物超伝導材はセラミックスの部類に入るもので、脆さを持ち実用化するためには金属補助材料のテープと多層に複合して用いるか、同パイプに充填して機械的歪み特性向上に負う所が大きい。それら補助材料として、従来、Agを主成分とした多くの合金材料が知られている。
【0003】
また、補助材料として超伝導材を補助する上で、可撓性を有することは重要な要素であり、亀裂や折れが生じてはならない。そこで従来種々な試みが成されて市場に出ている。
【0004】
Agは本来熱安定性と機械的強度に欠け、他の金属との合金を用いるのが常である。幾つかの従来例を示すと、まず、特開平6−283056号公報に紹介されているものは、金属基材としてのAg合金中のMg、Niが原子%で1%以下で、同0.5%以下のTi、Mn、同30%以下のAu、同2%以下のCuの中の少なくとも1種を含むものである。しかしながら、そこに使用されている金属は大気中での酸化であり、本発明において特定している量の酸化物を示唆する記載はなく、しかも、特定の酸化処理方法を教示する記載もない。
【0005】
つぎに、特開平8−241635号公報には、Ag中に含まれるMgO、NiOの少なくとも1種を、Mg、Niに換算して0.01〜0.5質量%を含むものであることが記載されている。この発明と、本発明とを対比すると、まず従来例は伸線加工済の銀合金を大気中で800〜900℃、5〜50時間酸化しているが、それもAgの表面のみ70μm酸化するだけで(公報第2ページ2欄【0011】4〜5行)、その理由は同【0005】に記載している通りである。よって、内部はAgそのものであり内外部からの熱安定性に欠けるばかりでなく、過酷な熱エネルギー条件下にあっては当然機械的強度に不足なものである。
【0006】
しかしながら、本発明においては超伝導材を補助材料と一体化する前のAg合金を、特定の条件下でMg、Niを内部酸化させたものを補助材料として用いている点が大きく異なり、従来例では得られなかった補助材料が完成出来たのである。
前記従来例においてAgMgNi合金の極く表面のみ酸化する理由は、伸線加工時にパイプに亀裂が入り破損してしまうのが一般的であると述べ、従来例の発明は、補助材料に柔軟性を付与するために採った手段に他ならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明においては前記問題点を改善すべく研究を重ねた結果、超伝導材用補助材料の熱エネルギーへの耐久性ならびに機械的強度を向上させるためには、Agを主成分としたMg、Ni金属酸化物との合金を用いることが解決の方法であるとの知見から、如何にしたら、その内部酸化物でもAg合金補助材料として亀裂や破損が生じないかを課題とし、これを特定の組成物比及び加圧下における内部酸化方法によって達成し得たのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
1 超伝導材料の線材化加工に用いるパイプ状又はテープ状のAg合金補助材料において、圧力3〜10atmのO 2 雰囲気中で内部酸化処理して得たMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%で、何れも残部がAgであることを特徴とする超伝導材用補助材料。
2超伝導材料の線材化加工に用いるパイプ状又はテープ状のAg合金補助材料の製造方法において、その母材は、AgMg又はAgMgNi組成物からなり、これを溶解・鋳造後、成形せるテープ又はパイプを圧延又は伸管して目的の厚さ又は長さに加工する途上で、温度700〜800℃、時間20〜80h、圧力3〜10atmのO2雰囲気中で内部酸化処理を施し、さらに、その材料を圧延又は伸管し、目的寸法の厚さ又は長さとして成るMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%で、何れも残部がAgであることを特徴とする超伝導材用補助材料の製造方法。
3 母材であるAgMg又はAgMgNi組成物として、Mg−0.02〜2重量%又はMg−0.01〜1.0重量%、Ni−0.01〜1.0重量%、何れも残部Agである合金母材を用いることを特徴とする前項2に記載の製造方法で得られる超伝導材用補助材料。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、請求項1に記載したようにAg組成物中に含まれるMg、Ni酸化物としてMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%としたことにより、Ag合金補助材料の熱安定性と機械的強度を高めることを骨子としている。
【0010】
請求項2に記載したように、母材のAgMgNi組成物を加工途上で内部酸化せしめる過程は、AgMgNi組成物中に高温加圧下で酸素が浸透して内部のMg及びNiを逐次酸化してゆくが、Agそのものは酸化せず、むしろ酸素を通過させ中心部まで酸素を送り込む役割を果たしている。その際の内部酸化処理温度は700〜800℃で行う。このように、特定の比率のMgNiを特定の条件で予め内部酸化させておくことにより、従来、酸化物は硬化して亀裂や断線などの要因になると考えられていた通念を払拭し、線材としても可撓性のある十二分に強度の高い製品とすることが出来たのは予想外であった。
【0011】
さらに、本発明における線材としてのパイプ材は、脆さのある酸化物超伝導材を内部に充填したものを伸長して用いるが、偏平なテープ材にあっては、酸化物超伝導材と複合し、これを複数層重ねたものをAg合金酸化物で覆って用いる。
【0012】
請求項1において、MgO及びNiOの使用割合を、各々0.01〜1.65重量%、0.02〜1.3とした理由は、MgO及びNiOも0.01重量%、0.02重量%未満では機械的強度の改善がみられず、また、各々1.65重量%、1.3重量%を超えると硬くなり過ぎて加工が困難となるなるからである。Ag中にMgOだけの場合はMgOが0.03〜3.3重量%の範囲であれば同様の効果を発揮する(実施例4)。そうするためのAg合金母材は、請求項3に記載した各元素の割合となる。
【0013】
【実施例1】
次に、実施例により詳細に説明する。
Ag−Mg0.1重量%−Ni0.1重量%組成物を、溶解し、長さ250mm直径Φ108の円柱状に鋳造したものを、外形68mm×内径40mm寸法に穴あけ加工し、つぎに伸管加工(粗加工)して外形46mm×内径38mm肉厚4.0mmの筒体とした。この筒体を温度750℃、時間50h、圧力5atmのO2雰囲気中で内部酸化処理を施した。その酸化補助材料はAg−MgO0.13重量%−NiO0.17重量%であった。それをさらに、伸管加工(仕上げ加工)して外形25mm×内径22mm肉厚1.5mmのパイプ状とした。この材料の加工後の特性は、引張強さ510MPa、硬さ95Hv、導電率は71%IACS、伸び1.0%、ヤング率3.45×104MPa、比抵抗2.40×10−8Ωmであった。これに酸化物超伝導材を充填し、複数本の束とし伸線加工して超伝導線条を得たが、亀裂や断線もなく加工性は良好であった。
【0014】
【実施例2〜4】
実施例2〜4についての組成物及び得られた材料の特性は、別添の表1に記載した通りである。その他、加工条件、内部酸化条件は全て実施例1と同様に行った。これに酸化物超伝導材を充填し、複数本の束とし伸線加工して超伝導線条を得たが、亀裂や断線もなく加工性は良好であった。
なお、テープについても同様に行ったが、特性及び加工性ともに良好であった。
【0015】
【発明の効果】
以上、詳記したように、従来知られていた超伝導材用補助材料に比して、本発明に係るAg−MgO又はAg−MgO−NiOを特定の割合のAg合金としたこと、及び、特定の酸化処理方法を採ったこととの相乗作用により、超伝導材用補助材料として、過酷な熱エネルギーの下にあっても安定性、すなわち、熱による軟化がなく超伝導材との反応もなく、機械的強度の非常に高い線条が得られるという特別顕著な作用効果を奏する。
Claims (3)
- 超伝導材料の線材化加工に用いるパイプ状又はテープ状のAg合金補助材料において、圧力3〜10atmのO 2 雰囲気中で内部酸化処理して得たMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%で、何れも残部がAgであることを特徴とする超伝導材用補助材料。
- 超伝導材料の線材化加工に用いるパイプ状又はテープ状のAg合金補助材料の製造方法において、その母材は、AgMg又はAgMgNi組成物からなり、これを溶解・鋳造後、成形せるテープ又はパイプを圧延又は伸管して目的の厚さ又は長さに加工する途上で、温度700〜800℃、時間20〜80h、圧力3〜10atmのO2雰囲気中で内部酸化処理を施し、さらに、その材料を圧延又は伸管し、目的寸法の厚さ又は長さとして成るMgO−0.03〜3.3重量%又はMgO−0.01〜1.65重量%及びNiO−0.02〜1.3重量%で、何れも残部がAgであることを特徴とする超伝導材用補助材料の製造方法。
- 母材であるAgMg又はAgMgNi組成物として、Mg−0.02〜2重量%又はMg−0.01〜1.0重量%、Ni−0.01〜1.0重量%、何れも残部Agである合金母材を用いることを特徴とする請求項2に記載の製造方法で得られる超伝導材用補助材料。
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