JP3648010B2 - 軸用クランプ継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、軸用クランプ継手に関し、より詳しくは、軸の端部を挿入して締め付けることにより、当該軸を所定部に連結する軸用クランプ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の操舵装置においては、例えばステアリングシャフトをユニバーサルジョイントに連結するために、十字軸を支持するヨークにクランプ継手を連設し、このクランプ継手の軸挿入部に、ステアリングシャフトの端部を挿入して締め付けることが行われている。
図4は従来のクランプ継手を示す斜視図である。このクランプ継手100は、上記ヨーク101の基端部に、側面が開口された弾性収縮可能な断面C形の軸挿入部102を連設し、この軸挿入部102の側面の開口縁に、一対の舌片103,104を互いに対向させた状態で突設し、一方の舌片103にボルト挿通孔103aを形成し、他方の舌片104に上記一方の舌片103を挿通させたボルト105の先端部をねじ込むねじ孔104aを形成したものである。また、上記軸挿入部102の内周面には、ステアリングシャフト106の端部106aに形成されたセレーションと噛合するセレーション102aが形成されている。
【0003】
このクランプ継手100によれば、上記軸挿入部102にステアリングシャフト106の端部106aを挿入した状態で、上記舌片103を挿通させたボルト105を他方の舌片104のねじ孔104aにねじ込むことにより、軸挿入部102を縮径させることができ、これにより、ステアリングシャフト106の端部106aを締め付けて、クランプ継手100に連結することができる。この際、必要に応じて上記ボルト105を、ステアリングシャフト106の端部106aに形成された周溝106bに係合させて、当該ステアリングシャフト106が軸挿入部102から抜脱するのを確実に防止することも行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のクランプ継手によれば、ステアリングシャフト等の軸を締め付けるために、工具を用いてボルトを舌片にねじ込んでいく必要があるので、その連結のための工数を多く必要とするという問題があった。
また、スペース的に工具を使用し難い場合には、軸の連結作業が非常に困難であるという問題もあった。
さらに、スペース的な制約等により、軸挿入部に対して軸方向から軸を挿入できない場合には、上記従来のクランプ継手を使用することができないという問題があった。
この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、軸を容易且つ迅速に連結することができる軸用クランプ継手を提供することを目的とする。
またこの発明は、軸挿入部に対して軸方向から軸を挿入できない場合でも、軸を連結することができる軸用クランプ継手を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明の軸用クランプ継手は、軸の端部を挿入して締め付けることにより、当該軸を所定部に連結する軸用クランプ継手において、
軸の端部を側面から挿入する側面開口部を有するとともに、先端部の外周面に先端に向かって漸次膨出するテーパ部を有し、上記側面開口部に対向して設けられた軸方向に延びるスリットによって弾性収縮可能に分割された軸挿入部と、
軸方向への移動が許容された状態で上記軸挿入部の外周に嵌合され、軸挿入部の先端側へ移動させることにより、上記テーパ部を押圧して軸挿入部を弾性収縮させるとともに、軸の側面に形成された係合部に係合する締め付けリングと、
この締め付けリングを軸挿入部の先端側へ弾性付勢するばねと
を備えており、
上記軸の係合部が凹部であり、かつ上記締め付けリングの内周側面に上記凹部と係合する係合突起が形成されており、かつ
上記締め付けリングを軸挿入部の先端側へ移動させる際に、締め付けリングの係合突起に軸の先端が乗り上げて、当該締め付けリングのテーパ面が外方へ弾性変形し、上記係合突起が軸の凹部に到達した時点で、上記弾性変形が解除されて、係合突起が軸の凹部に係合されることを特徴とするものである。
【0006】
上記の構成の軸用クランプ継手によれば、軸の端部を軸挿入部の側面から当該軸挿入部に挿入した状態で、上記締め付けリングを軸挿入部の先端側へ移動させることにより、当該締め付けリングによって上記テーパ部を押圧して軸挿入部を弾性収縮させることができると同時に、軸の側面に形成された係合部に締め付けリングを係合させることができる。また、この状態で、上記ばねによって締め付けリングを付勢して、当該締め付けリングが軸挿入部の後端側へ押し戻されるのを防止することができる。このため、軸の端部を軸挿入部によって確実にクランプしておくことができる。しかも、締め付けリングと軸の係合部との係合により、軸が軸挿入部から抜脱するのを確実に防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の軸用クランプ継手の一つの実施の形態を示す斜視図である。この軸用クランプ継手Jは、ステアリングシャフト等の軸Sを挿入する軸挿入部1の一端部に、ヨークYを一体形成しているものである。上記軸Sの端部S1は平坦になっており、その側面は円弧面を呈しているとともに、一方の側面には係合部としての凹部S2が形成されている。
【0008】
上記軸挿入部1の一方の側面には、上記軸Sの端部S1を側面から挿入するための側面開口部11が形成されている。この側面開口部11は、軸挿入部1の略全長に亘って形成されている。また、上記軸挿入部1の側面開口部11に対向する側面には、軸方向に延びるスリット12が形成されており、このスリット12によって軸挿入部1は弾性収縮可能に分割されている。さらに、上記軸挿入部1の先端部外周面には、先端に向かって漸次膨出するテーパ部13が形成されている。このテーパ部13は、軸挿入部1の上面と下面のそれぞれに形成されている。なお、上記軸挿入部1の図1における上下方向の内部幅Dは、自由状態において軸Sの端部S1を隙間嵌めできる寸法に設定されているとともに、図1における左右方向の内部幅Wは、軸Sの凹部S2が形成された側の側面を、側面開口部11から露出させ得る寸法に設定されている。
【0009】
上記軸挿入部1の外周には、軸方向への移動が許容された状態で締め付けリング2が嵌合されている。この締め付けリング2は、軸挿入部1の先端側へ移動させることにより、上記テーパ部13を押圧して当該軸挿入部1を弾性収縮させるものである。この締め付けリング2の内周面には、上記軸挿入部1のテーパ部13に合致するテーパ面22が形成されている(図3参照)。さらに上記締め付けリング2の内周側面には、軸挿入部1を弾性収縮させた状態で上記軸Sの凹部S2と係合する係合突起21が形成されている(図2参照)。
【0010】
上記軸挿入部1の基端部には、上記締め付けリング2を先端側へ弾性付勢するためのばね3が遊嵌されている。このばね3は、圧縮コイルばねによって構成されており、所定量弾性収縮させた状態で締め付けリング2とヨークYとの間に張り詰められている。軸挿入部1の先端側へ移動させた締め付けリング2は、上記ばね3の付勢力によって、その移動位置に保持される。
【0011】
以上の構成であれば、コイルばね3の付勢力に抗して締め付けリング2をヨークY側へ移動させた状態で、軸Sの端部S1を側面開口部11を通して軸挿入部1の内部に挿入した後、締め付けリング2を軸挿入部1の先端側へ移動させることにより、軸挿入部1を収縮させて軸Sの端部S1を締め付けることができる。この際、軸挿入部1のテーパ部13による楔効果により、軸Sの端部S1を強固に締め付けることができる。また、上記締め付けリング2を軸挿入部1の先端側へ移動させる際に、締め付けリング2の係合突起21に軸Sの先端が乗り上げて、当該締め付けリング2のテーパ面22が外方へ弾性変形するが、上記係合突起21が軸Sの凹部S2に到達した時点で、上記弾性変形が解除されて、係合突起21が軸Sの凹部S2に係合される。このため、軸Sが抜脱するのを規制することができる。したがって、工具を用いることなくワンタッチで軸Sをクランプ継手Jに確実に連結することができる。
特に上記クランプ継手Jは、軸Sの端部S1を軸挿入部1の側面から挿入することができるので、軸Sを軸方向へ移動させることができない場合における当該軸Sの連結に好適である。
【0012】
なお、上記軸挿入部1の断面形状は、軸Sの端部S1の形状に応じて種々の形状に形成される。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、この発明の軸用クランプ継手によれば、締め付けリングを軸挿入部の先端側へ移動させるだけで、軸挿入部を弾性収縮させて軸をクランプすることができるので、軸の連結のための工数を削減することができるとともに、スペース的に工具を使用し難い場合でも、軸の連結作業を容易に行うことができる。
また、軸の端部を軸挿入部の側面から挿入することができるので、軸挿入部に対して軸方向から軸を挿入できない場合でも、軸を容易に連結することができる。
しかも、締め付けリングと軸の係合部との係合により、軸が軸挿入部から抜脱するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のクランプ継手の一つの実施の形態を示す斜視図である。
【図2】軸と締め付けリングとの係合状態を示す断面図である。
【図3】前図のA矢視断面図である。
【図4】従来例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 軸挿入部
11 側面開口部
12 スリット
13 テーパ部
2 締め付けリング
3 ばね
S 軸
S1 軸の端部
S2 軸の凹部(係合部)
J クランプ継手
Claims (1)
- 軸の端部を挿入して締め付けることにより、当該軸を所定部に連結する軸用クランプ継手において、
軸の端部を側面から挿入する側面開口部を有するとともに、先端部の外周面に先端に向かって漸次膨出するテーパ部を有し、上記側面開口部に対向して設けられた軸方向に延びるスリットによって弾性収縮可能に分割された軸挿入部と、
軸方向への移動が許容された状態で上記軸挿入部の外周に嵌合され、軸挿入部の先端側へ移動させることにより、上記テーパ部を押圧して軸挿入部を弾性収縮させるとともに、軸の側面に形成された係合部に係合する締め付けリングと、
この締め付けリングを軸挿入部の先端側へ弾性付勢するばねと
を備えており、
上記軸の係合部が凹部であり、かつ上記締め付けリングの内周側面に上記凹部と係合する係合突起が形成されており、かつ
上記締め付けリングを軸挿入部の先端側へ移動させる際に、締め付けリングの係合突起に軸の先端が乗り上げて、当該締め付けリングのテーパ面が外方へ弾性変形し、上記係合突起が軸の凹部に到達した時点で、上記弾性変形が解除されて、係合突起が軸の凹部に係合されることを特徴とする軸用クランプ継手。
Priority Applications (1)
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JP02327997A JP3648010B2 (ja) | 1997-01-21 | 1997-01-21 | 軸用クランプ継手 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10205546A JPH10205546A (ja) | 1998-08-04 |
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JP02327997A Expired - Fee Related JP3648010B2 (ja) | 1997-01-21 | 1997-01-21 | 軸用クランプ継手 |
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JP6642551B2 (ja) * | 2017-10-20 | 2020-02-05 | 日本精工株式会社 | トルク伝達軸 |
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1997
- 1997-01-21 JP JP02327997A patent/JP3648010B2/ja not_active Expired - Fee Related
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