JP3647565B2 - ブロー成形機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出ブロー成形に用いられるブロー成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブロー成形機は、溶融樹脂をダイスから押し出してチューブ状のパリソンを形成し、次いで、ピンチ刃で袋状にして自重と押出し速度でパリソンを落下させ、ブロー型に取り込んだ後、型閉めし、パリソン内に高圧気体を吹込んで中空品を成形する機械である。
ところで、ブロー成形機を使用して成形品を造る場合、パリソンのドローダウン(垂れ下がり)の問題が取沙汰されている。ドローダウンは、▲1▼樹脂の種類,▲2▼樹脂圧力,▲3▼ダイス径,▲4▼樹脂肉厚,▲5▼外気温,▲6▼樹脂剪断発熱等の条件により違いをみせ、成形するバリの長さや肉厚にバラツキを生じさせ、成形不良やバリ材料の増量損失を招いている。
従来、ブロー成形機の成形条件の調整は、タイマー制御が殆どであり、その調整作業を技能に負っていることが、上記問題の解決を一層困難にしていた。勿論、現状の成形条件をドローダウン量に合わせ、毎回、調整作業を行えばコントロールできないことはないが、量産性に欠けていた。
こうしたことから、例えば、特開平4−361018号公報に上記対策発明が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、量産時においては、押出されたパリソンがダイス部に付着することが多く、そして、所定の落下重量にならないと下降しないことから、前記開示公報の光電管を使ったパリソン速度の換算値は実際のパリソンの下降速度に一致しない場合があった。しかも、このダイス部へのパリソンの付着にバラツキがあるために、特定条件以外はドローダウン量の低減が難しかった。
更に、一般のブロー成形の仕掛かり時点では、樹脂温,ダイス温等が安定しておらず、ドローダウン量も変化するので、立上り成形不良が多かった。前述の樹脂剪断発熱も安定しておらず、樹脂温が低いために、パリソンの垂下量が小さくなって、ピンチ刃の空打ちを招き、良品を得る成形状態になるまで、時間と材料のロスが発生していた。
加えて、これまでのブロー成形は、形状が複雑になると、全体に亘って肉厚の均一化を図るのが難しい状況にあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するもので、定常状態のみならず、これに入る前の遷移過程にあってもパリソンの下降速度を適切にコントロールしてドローダウンの不具合を低減し、更には、成形品の形状変化にも対応して製品肉厚の均一化を図ることのできるブロー成形機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の発明の要旨は、パリソンをブロー型に導き、該パリソン内に気体を吹込みパリソンを膨張させることにより所定形状に成形するブロー成形機にあって、パリソンを垂下させるダイスと、該ダイスの近くに配され、ダイスから出てきたパリソンの樹脂温度を検出する非接触温度計と、前記ダイスの下方で、上下動自在の可動体に固着され、パリソンを受け支え得る受皿と、前記非接触温度計でパリソンの樹脂温度を検出し、該樹脂温度に基づき可動体の下降速度を制御する速度制御装置と、を具備することを特徴とするブロー成形機にある。
請求項2記載のブロー成形機の発明は、請求項1の速度制御機構が、樹脂温度のみならず、パリソンの下降区間を分割しその区間の補正値を加算して、可動体の下降速度を制御することを特徴とする。
【0006】
パリソンの下降速度はその樹脂温度に大きく依存しているので、請求項1の発明のごとく、非接触温度計と受皿と速度制御機構が備わると、定常状態は勿論、定常に入る前の過渡期であっても、受皿がパリソン下部に当てがって、パリソンを適切な下降速度にもっていくことができる。非接触温度計を採用するので、パリソンを傷つけることもない。
請求項2の発明のごとく、パリソンの下降区間を分割しその区間の補正値を加算して可動体の下降速度を制御すると、パリソンの下降速度を部分的に変更できるので、ブロー成形品の形状が多少複雑になっても、全体に亘って一定肉厚に近づけることができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブロー成形機の実施形態について詳述する。
図1〜図6は本発明のブロー成形機の一形態を示したもので、図1はブロー成形機の主要部の縦断面図、図2は図1のA矢視図、図3は図1のブロー成形機の制御系を表す説明図、図4,図5は受皿速度の設定パターン図、図6はブロー成形機の制御フローチャート図を示す。スポイラー(ブロー成形品)を造るブロー成形機に適用したものである。
【0008】
ブロー成形機は、ダイス1と非接触温度計2と受皿3と速度制御装置4とサーボユニット5と検出器6,7とを備える。
ダイス1は、熱可塑性樹脂を押出機(図示せず)で可塑化し、管状のパリソンPを垂下させる口金である。
非接触温度計2は、ダイス1から出てきたパリソンPの樹脂温度を検出するもので、ダイス1付近にあり、且つ垂直レベル的にはダイス1より少し下に位置する(図1,図2)。該樹脂温度の検出情報は、後述の速度制御装置4にある演算制御部41へ送れるようにしている。
非接触温度計2としては、放射温度計や色温度計等があるが、ここでは、オプテックス株式会社製のIK3タイプを採用している。
【0009】
受皿3は、図1のごとく周縁に向って反り上がった皿容器で、パリソンPのほぼ真下に配設されパリソンPを受け支え得る形状である。該受皿3は、上下動自在の可動体52bに固着され、パリソンPを上点位置L0 (原位置)から型閉じ可能な最下端位置L4 までパリソンPを保持しながら下降できるようになっている。
上記可動体52bは、本実施形態では、ボールねじ52のナットに相当し(厳密にはナットに受皿3の取付片を設けたもの)、サーボユニット5の一構成要素になっている。
【0010】
受皿3の移動手段としてのサーボユニット5は、公知の一軸サーボユニットで、サーボモータ51とボールねじ52を具備し、サーボモータ51の回転をボールねじ52へ正確に伝達するものである。ボールねじ52のボルト52aの軸方向はパリソンPの垂下方向に一致させている。ボールねじ52の回転でナットたる可動体52bが自在に上下動でき、これに伴い、受皿3が、前述のごとくパリソンPを上点位置L0 から最下端位置L4 まで保持しながら下降することになる。
【0011】
速度制御装置4は、予めシーケンサーCPUに設定してある樹脂温度VS. 受皿下降速度の基本パターンを使って、非接触温度計2で検出したパリソンPの樹脂温度を比較処理させ増減演算し、可動体52b(すなわち受皿3)の下降速度を決定するところである。
ここで、速度制御装置4の演算制御部41には、例えば図4のような樹脂温度に対して直線的に増加する速度指令値が記憶されている。こうして、樹脂温度が高くなれば、これに対応して受皿3の下降速度V1 を速くしている。
更に、本実施形態は、図5のごとく、前記樹脂温度のみならずパリソンPの下降区間を分割しその区間の補正値が加算され(掛け合わされ)、可動体52bの下降速度が制御されるようにしている。スポイラーたるブロー成形品は、中央部に平坦部を設けて両サイド部分が屈曲しているが、斯る形状にあっても、全域に亘って一定の肉厚が得られるよう、前記受皿速度V1 に補正値ηが乗ぜられ、補正受皿速度V2 で受皿3が下降することになる。具体的には、図3,図4で、両サイド部分を形成する可動体52bの位置L0〜L1,L3〜L4の区間は相対的にスピードを落とし、可動体52bの位置L1〜L3ではスピードを速めて、ブロー成形品に偏肉を生じさせないようにしている。
速度制御42は、演算制御部41からの補正受皿速度V2 の信号に基づき、サーボモータ51の回転制御を行う。該サーボモータ51の回転制御によって、可動体52bの下降速度がコントロールされる。例えば、サーボモータ後部にエンコーダを取付け、時々刻々と変化する送り速度と位置を検出し速度制御42にフィードバックする。そして、速度制御42で比較処理された電気的信号がサーボモータ51を制御して可動体52bの下降速度を指令情報たる前記補正受皿速度V2 にする。
【0012】
検出器6は、ここでは光電センサ(例えば発光素子と受光素子の組合せ)を用い、図1のようにピンチ刃8より少し下のレベルに配される。ピンチ刃8は、ダイス1からパリソンPが出てくる近傍に配される。光電センサ6をあてることによってパリソンPがダイス1から出てきたのを検出し、この情報によってピンチ刃8が閉じ、パリソンPの下部がプリピンチされることとなる。
【0013】
検出器7も光電センサ(例えば発光素子と受光素子の組合せ)を用い、受皿3の小高くなった周縁に配される。ダイス1から出たパリソンPが下降して、光電センサ7の光信号が遮られることで(図3の鎖線)、パリソンPが受皿に近づいたことをキャッチする。光電センサ7で検知した情報は演算制御部41へ伝達され、上点位置L0 にある受皿3の下降開始指令となる。そして、受皿3を前記受皿速度V2 で最下端位置L4 まで下降させる段取りである。
【0014】
符号9はブロー型であり、型閉じでスポイラーのキャビティCを形成する。最下端位置L4 に前記受皿3が到達すると、ブロー型9が閉じ、その後、図示しないブローピンからパリソンP内に気体を吹込んでブロー成形品を造るしかけになっている。
尚、他の構成部分は、公知のブロー成形機と基本的に同じであり、その説明を省略する。
【0015】
次に上記構成のブロー成形機の動作を制御フロチャートを使って説明する。
先ず、型開状態にして、受皿3が原点L0 (上点位置)にあることを確認し、スタートスイッチをオンする。すると、押出機が作動し、ダイス1からパリソンPが押し出される。初期段階では、ダイス1のみならずダイス1から出てきたパリソンPも温度が低い。
図6のステップ101で、非接触温度計2はパリソンPの樹脂温度を検出してこれを演算制御部41へ送る。演算制御部41では、予め入力部からインプットされた樹脂温度VS. 受皿下降速度情報をもとに、前記樹脂温度から受皿速度V1 が設定される(ステップ102)。更に、本実施形態では、受皿速度V1 に補正値ηを乗じて、形状変化にも対応する補正受皿速度V2 が設定される(ステップ103)。
【0016】
その後、パリソンPがピンチ刃8を過ぎ、光電管6でパリソンPの到達が検知されると(ステップ105)、ピンチ刃8が作動して(ステップ106)、パリソン下部をプリピンチして閉じる。
【0017】
プリピンチされたパリソンPは、そのまま下降を続け、そうして、光電管7がパリソンPの到達を検知することになる(ステップ107)。この検知情報は速度制御装置4に送られ、受皿3はパリソン下部を当てがいながら下降開始する。下降速度は、前記補正受皿速度V2 となる。
ここで、前記パリソンPの樹脂温度検出はワンショット毎に行い、更に、形状にあった補正受皿速度V2 が設定される。故に、時間経過とともに、パリソンPの温度が高くなっていく過渡期(遷移状態)にあっても、受皿3はパリソンPをうまく支え持って下降する。ドローダウンの不具合はみられない。ところで、上記補正受皿速度V2 を得る方法に代わって、パリソンPの垂下方向の各区間(例えば7区間)でブロー成形形状に合わせた速度Vn (V1 ,V2 ,…V7 )を設定しておき、この速度Vn が樹脂温度に比例した速度に増減するようにしてもよい(実際には本方式を採用)。
かくのごとくして、受皿3が補正受皿速度V2 で最下端L4 へ到着すると(ステップ109)、ブロー型9が閉じ、ブロー成形が行われる。その後、成形を終え、型開した後、受皿3は原位置L0 へ復帰し(ステップ110)、元の状態になり、一のブロー成形(一サイクル)が終わる。斯る一連の動作は必要回数繰り返され、所定量の成形品が造られる。
尚、ステップ109で、受皿3が最下端L4 へ到着しない場合は、パリソンPの樹脂温度検出地点に戻り(ステップ101)、受皿3の下降を促す。このとき、ステップ104のピンチ刃8が作動済みか否かの判断で、ピンチ刃8が作動済みであればステップ107へ進み、ピンチ刃8の二重打ちを回避する。
【0018】
このように構成したブロー成形機は、パリソンPの垂下スピードが樹脂温度に大きく依存するのに着目し、非接触温度計2の検出により受皿3の下降速度を適切に制御するので、従来、問題であったドローダウンの不具合を低減できる。
また、成形開始直後のパリソン樹脂温度が低い場合にあっては、該樹脂温度情報に基づき受皿3がゆっくり下降するので、早い段階から良品を製造できる。加えて、非接触温度計2はワンショット毎にパリソン温度を検出して速度制御装置4へ伝達するので、定常状態に入る前の遷移状態においても受皿3の下降速度がこと細かくコントロールされ、立上がりの成形不良は大幅に軽減できる。
更に、直線部と屈曲部のあるスポイラーのような形状にあっては、直線部で受皿3の相対スピードを上げて(図5)、全体に亘り肉厚が一定となる製品を造ることができるので、品質向上にも大きく寄与することになる。
かくして、成形開始の早い時点から毎ショットごとに安定した製品を生み出すことが可能で、特に大型製品で大きな効果を得る。
そして、ピンチ刃8より少し下に位置する光電管6で、パリソンPの到着を検知してピンチ刃8を閉じさせているので、ピンチ刃8の空打ちがなく、パリソンP下部を確実に袋状に閉じることができる。
【0019】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ダイス1,非接触温度計2,受皿3,検出器6,7等の形状,大きさ,個数などは用途に応じて適宜選択される。実施形態の光電センサ6及びピンチ刃8は必須構成要素でなく、ダイス1から出てきたパリソンPの下部を閉じない場合、光電センサ6,ピンチ刃8は設ける必要はない。前記実施形態では、パリソンPの樹脂温度検出をワンショット毎に行い、これにパリソンの下降区間に関する補正値ηを乗じたもの説明したが、これに代え、パリソンPの樹脂温度検出を経時的に逐次行い(例えば0.5秒毎)、補正受皿速度V2 が刻一刻と変化するパリソンPの温度変化にも対応できるようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明に係るブロー成形機は、パリソン下部を受皿で当てがって、生産開始の早い時点からパリソンの下降速度を適切にコントロールすることにより、歩留り向上、更には製品肉厚の均一化を図ることができ、極めて有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態で、ブロー成形機の主要部の縦断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のブロー成形機の制御系を表す説明図である。
【図4】本発明の一形態で、受皿速度V1 の設定パターン図である。
【図5】本発明の一形態で、受皿速度V2 の設定パターン図である。
【図6】ブロー成形機の制御フローチャート図である。
【符号の説明】
1 ダイス
2 非接触温度計
3 受皿
4 速度制御部
52b 可動体
η 補正値
P パリソン
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出ブロー成形に用いられるブロー成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブロー成形機は、溶融樹脂をダイスから押し出してチューブ状のパリソンを形成し、次いで、ピンチ刃で袋状にして自重と押出し速度でパリソンを落下させ、ブロー型に取り込んだ後、型閉めし、パリソン内に高圧気体を吹込んで中空品を成形する機械である。
ところで、ブロー成形機を使用して成形品を造る場合、パリソンのドローダウン(垂れ下がり)の問題が取沙汰されている。ドローダウンは、▲1▼樹脂の種類,▲2▼樹脂圧力,▲3▼ダイス径,▲4▼樹脂肉厚,▲5▼外気温,▲6▼樹脂剪断発熱等の条件により違いをみせ、成形するバリの長さや肉厚にバラツキを生じさせ、成形不良やバリ材料の増量損失を招いている。
従来、ブロー成形機の成形条件の調整は、タイマー制御が殆どであり、その調整作業を技能に負っていることが、上記問題の解決を一層困難にしていた。勿論、現状の成形条件をドローダウン量に合わせ、毎回、調整作業を行えばコントロールできないことはないが、量産性に欠けていた。
こうしたことから、例えば、特開平4−361018号公報に上記対策発明が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、量産時においては、押出されたパリソンがダイス部に付着することが多く、そして、所定の落下重量にならないと下降しないことから、前記開示公報の光電管を使ったパリソン速度の換算値は実際のパリソンの下降速度に一致しない場合があった。しかも、このダイス部へのパリソンの付着にバラツキがあるために、特定条件以外はドローダウン量の低減が難しかった。
更に、一般のブロー成形の仕掛かり時点では、樹脂温,ダイス温等が安定しておらず、ドローダウン量も変化するので、立上り成形不良が多かった。前述の樹脂剪断発熱も安定しておらず、樹脂温が低いために、パリソンの垂下量が小さくなって、ピンチ刃の空打ちを招き、良品を得る成形状態になるまで、時間と材料のロスが発生していた。
加えて、これまでのブロー成形は、形状が複雑になると、全体に亘って肉厚の均一化を図るのが難しい状況にあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するもので、定常状態のみならず、これに入る前の遷移過程にあってもパリソンの下降速度を適切にコントロールしてドローダウンの不具合を低減し、更には、成形品の形状変化にも対応して製品肉厚の均一化を図ることのできるブロー成形機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の発明の要旨は、パリソンをブロー型に導き、該パリソン内に気体を吹込みパリソンを膨張させることにより所定形状に成形するブロー成形機にあって、パリソンを垂下させるダイスと、該ダイスの近くに配され、ダイスから出てきたパリソンの樹脂温度を検出する非接触温度計と、前記ダイスの下方で、上下動自在の可動体に固着され、パリソンを受け支え得る受皿と、前記非接触温度計でパリソンの樹脂温度を検出し、該樹脂温度に基づき可動体の下降速度を制御する速度制御装置と、を具備することを特徴とするブロー成形機にある。
請求項2記載のブロー成形機の発明は、請求項1の速度制御機構が、樹脂温度のみならず、パリソンの下降区間を分割しその区間の補正値を加算して、可動体の下降速度を制御することを特徴とする。
【0006】
パリソンの下降速度はその樹脂温度に大きく依存しているので、請求項1の発明のごとく、非接触温度計と受皿と速度制御機構が備わると、定常状態は勿論、定常に入る前の過渡期であっても、受皿がパリソン下部に当てがって、パリソンを適切な下降速度にもっていくことができる。非接触温度計を採用するので、パリソンを傷つけることもない。
請求項2の発明のごとく、パリソンの下降区間を分割しその区間の補正値を加算して可動体の下降速度を制御すると、パリソンの下降速度を部分的に変更できるので、ブロー成形品の形状が多少複雑になっても、全体に亘って一定肉厚に近づけることができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブロー成形機の実施形態について詳述する。
図1〜図6は本発明のブロー成形機の一形態を示したもので、図1はブロー成形機の主要部の縦断面図、図2は図1のA矢視図、図3は図1のブロー成形機の制御系を表す説明図、図4,図5は受皿速度の設定パターン図、図6はブロー成形機の制御フローチャート図を示す。スポイラー(ブロー成形品)を造るブロー成形機に適用したものである。
【0008】
ブロー成形機は、ダイス1と非接触温度計2と受皿3と速度制御装置4とサーボユニット5と検出器6,7とを備える。
ダイス1は、熱可塑性樹脂を押出機(図示せず)で可塑化し、管状のパリソンPを垂下させる口金である。
非接触温度計2は、ダイス1から出てきたパリソンPの樹脂温度を検出するもので、ダイス1付近にあり、且つ垂直レベル的にはダイス1より少し下に位置する(図1,図2)。該樹脂温度の検出情報は、後述の速度制御装置4にある演算制御部41へ送れるようにしている。
非接触温度計2としては、放射温度計や色温度計等があるが、ここでは、オプテックス株式会社製のIK3タイプを採用している。
【0009】
受皿3は、図1のごとく周縁に向って反り上がった皿容器で、パリソンPのほぼ真下に配設されパリソンPを受け支え得る形状である。該受皿3は、上下動自在の可動体52bに固着され、パリソンPを上点位置L0 (原位置)から型閉じ可能な最下端位置L4 までパリソンPを保持しながら下降できるようになっている。
上記可動体52bは、本実施形態では、ボールねじ52のナットに相当し(厳密にはナットに受皿3の取付片を設けたもの)、サーボユニット5の一構成要素になっている。
【0010】
受皿3の移動手段としてのサーボユニット5は、公知の一軸サーボユニットで、サーボモータ51とボールねじ52を具備し、サーボモータ51の回転をボールねじ52へ正確に伝達するものである。ボールねじ52のボルト52aの軸方向はパリソンPの垂下方向に一致させている。ボールねじ52の回転でナットたる可動体52bが自在に上下動でき、これに伴い、受皿3が、前述のごとくパリソンPを上点位置L0 から最下端位置L4 まで保持しながら下降することになる。
【0011】
速度制御装置4は、予めシーケンサーCPUに設定してある樹脂温度VS. 受皿下降速度の基本パターンを使って、非接触温度計2で検出したパリソンPの樹脂温度を比較処理させ増減演算し、可動体52b(すなわち受皿3)の下降速度を決定するところである。
ここで、速度制御装置4の演算制御部41には、例えば図4のような樹脂温度に対して直線的に増加する速度指令値が記憶されている。こうして、樹脂温度が高くなれば、これに対応して受皿3の下降速度V1 を速くしている。
更に、本実施形態は、図5のごとく、前記樹脂温度のみならずパリソンPの下降区間を分割しその区間の補正値が加算され(掛け合わされ)、可動体52bの下降速度が制御されるようにしている。スポイラーたるブロー成形品は、中央部に平坦部を設けて両サイド部分が屈曲しているが、斯る形状にあっても、全域に亘って一定の肉厚が得られるよう、前記受皿速度V1 に補正値ηが乗ぜられ、補正受皿速度V2 で受皿3が下降することになる。具体的には、図3,図4で、両サイド部分を形成する可動体52bの位置L0〜L1,L3〜L4の区間は相対的にスピードを落とし、可動体52bの位置L1〜L3ではスピードを速めて、ブロー成形品に偏肉を生じさせないようにしている。
速度制御42は、演算制御部41からの補正受皿速度V2 の信号に基づき、サーボモータ51の回転制御を行う。該サーボモータ51の回転制御によって、可動体52bの下降速度がコントロールされる。例えば、サーボモータ後部にエンコーダを取付け、時々刻々と変化する送り速度と位置を検出し速度制御42にフィードバックする。そして、速度制御42で比較処理された電気的信号がサーボモータ51を制御して可動体52bの下降速度を指令情報たる前記補正受皿速度V2 にする。
【0012】
検出器6は、ここでは光電センサ(例えば発光素子と受光素子の組合せ)を用い、図1のようにピンチ刃8より少し下のレベルに配される。ピンチ刃8は、ダイス1からパリソンPが出てくる近傍に配される。光電センサ6をあてることによってパリソンPがダイス1から出てきたのを検出し、この情報によってピンチ刃8が閉じ、パリソンPの下部がプリピンチされることとなる。
【0013】
検出器7も光電センサ(例えば発光素子と受光素子の組合せ)を用い、受皿3の小高くなった周縁に配される。ダイス1から出たパリソンPが下降して、光電センサ7の光信号が遮られることで(図3の鎖線)、パリソンPが受皿に近づいたことをキャッチする。光電センサ7で検知した情報は演算制御部41へ伝達され、上点位置L0 にある受皿3の下降開始指令となる。そして、受皿3を前記受皿速度V2 で最下端位置L4 まで下降させる段取りである。
【0014】
符号9はブロー型であり、型閉じでスポイラーのキャビティCを形成する。最下端位置L4 に前記受皿3が到達すると、ブロー型9が閉じ、その後、図示しないブローピンからパリソンP内に気体を吹込んでブロー成形品を造るしかけになっている。
尚、他の構成部分は、公知のブロー成形機と基本的に同じであり、その説明を省略する。
【0015】
次に上記構成のブロー成形機の動作を制御フロチャートを使って説明する。
先ず、型開状態にして、受皿3が原点L0 (上点位置)にあることを確認し、スタートスイッチをオンする。すると、押出機が作動し、ダイス1からパリソンPが押し出される。初期段階では、ダイス1のみならずダイス1から出てきたパリソンPも温度が低い。
図6のステップ101で、非接触温度計2はパリソンPの樹脂温度を検出してこれを演算制御部41へ送る。演算制御部41では、予め入力部からインプットされた樹脂温度VS. 受皿下降速度情報をもとに、前記樹脂温度から受皿速度V1 が設定される(ステップ102)。更に、本実施形態では、受皿速度V1 に補正値ηを乗じて、形状変化にも対応する補正受皿速度V2 が設定される(ステップ103)。
【0016】
その後、パリソンPがピンチ刃8を過ぎ、光電管6でパリソンPの到達が検知されると(ステップ105)、ピンチ刃8が作動して(ステップ106)、パリソン下部をプリピンチして閉じる。
【0017】
プリピンチされたパリソンPは、そのまま下降を続け、そうして、光電管7がパリソンPの到達を検知することになる(ステップ107)。この検知情報は速度制御装置4に送られ、受皿3はパリソン下部を当てがいながら下降開始する。下降速度は、前記補正受皿速度V2 となる。
ここで、前記パリソンPの樹脂温度検出はワンショット毎に行い、更に、形状にあった補正受皿速度V2 が設定される。故に、時間経過とともに、パリソンPの温度が高くなっていく過渡期(遷移状態)にあっても、受皿3はパリソンPをうまく支え持って下降する。ドローダウンの不具合はみられない。ところで、上記補正受皿速度V2 を得る方法に代わって、パリソンPの垂下方向の各区間(例えば7区間)でブロー成形形状に合わせた速度Vn (V1 ,V2 ,…V7 )を設定しておき、この速度Vn が樹脂温度に比例した速度に増減するようにしてもよい(実際には本方式を採用)。
かくのごとくして、受皿3が補正受皿速度V2 で最下端L4 へ到着すると(ステップ109)、ブロー型9が閉じ、ブロー成形が行われる。その後、成形を終え、型開した後、受皿3は原位置L0 へ復帰し(ステップ110)、元の状態になり、一のブロー成形(一サイクル)が終わる。斯る一連の動作は必要回数繰り返され、所定量の成形品が造られる。
尚、ステップ109で、受皿3が最下端L4 へ到着しない場合は、パリソンPの樹脂温度検出地点に戻り(ステップ101)、受皿3の下降を促す。このとき、ステップ104のピンチ刃8が作動済みか否かの判断で、ピンチ刃8が作動済みであればステップ107へ進み、ピンチ刃8の二重打ちを回避する。
【0018】
このように構成したブロー成形機は、パリソンPの垂下スピードが樹脂温度に大きく依存するのに着目し、非接触温度計2の検出により受皿3の下降速度を適切に制御するので、従来、問題であったドローダウンの不具合を低減できる。
また、成形開始直後のパリソン樹脂温度が低い場合にあっては、該樹脂温度情報に基づき受皿3がゆっくり下降するので、早い段階から良品を製造できる。加えて、非接触温度計2はワンショット毎にパリソン温度を検出して速度制御装置4へ伝達するので、定常状態に入る前の遷移状態においても受皿3の下降速度がこと細かくコントロールされ、立上がりの成形不良は大幅に軽減できる。
更に、直線部と屈曲部のあるスポイラーのような形状にあっては、直線部で受皿3の相対スピードを上げて(図5)、全体に亘り肉厚が一定となる製品を造ることができるので、品質向上にも大きく寄与することになる。
かくして、成形開始の早い時点から毎ショットごとに安定した製品を生み出すことが可能で、特に大型製品で大きな効果を得る。
そして、ピンチ刃8より少し下に位置する光電管6で、パリソンPの到着を検知してピンチ刃8を閉じさせているので、ピンチ刃8の空打ちがなく、パリソンP下部を確実に袋状に閉じることができる。
【0019】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ダイス1,非接触温度計2,受皿3,検出器6,7等の形状,大きさ,個数などは用途に応じて適宜選択される。実施形態の光電センサ6及びピンチ刃8は必須構成要素でなく、ダイス1から出てきたパリソンPの下部を閉じない場合、光電センサ6,ピンチ刃8は設ける必要はない。前記実施形態では、パリソンPの樹脂温度検出をワンショット毎に行い、これにパリソンの下降区間に関する補正値ηを乗じたもの説明したが、これに代え、パリソンPの樹脂温度検出を経時的に逐次行い(例えば0.5秒毎)、補正受皿速度V2 が刻一刻と変化するパリソンPの温度変化にも対応できるようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明に係るブロー成形機は、パリソン下部を受皿で当てがって、生産開始の早い時点からパリソンの下降速度を適切にコントロールすることにより、歩留り向上、更には製品肉厚の均一化を図ることができ、極めて有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態で、ブロー成形機の主要部の縦断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のブロー成形機の制御系を表す説明図である。
【図4】本発明の一形態で、受皿速度V1 の設定パターン図である。
【図5】本発明の一形態で、受皿速度V2 の設定パターン図である。
【図6】ブロー成形機の制御フローチャート図である。
【符号の説明】
1 ダイス
2 非接触温度計
3 受皿
4 速度制御部
52b 可動体
η 補正値
P パリソン
Claims (2)
- パリソンをブロー型に導き、該パリソン内に気体を吹込みパリソンを膨張させることにより所定形状に成形するブロー成形機にあって、
パリソンを垂下させるダイス(1)と、該ダイスの近くに配され、ダイスから出てきたパリソンの樹脂温度を検出する非接触温度計(2)と、前記ダイスの下方で、上下動自在の可動体に固着され、パリソンを受け支え得る受皿(3)と、前記非接触温度計でパリソンの樹脂温度を検出し、該樹脂温度に基づき可動体の下降速度を制御する速度制御装置(4)と、を具備することを特徴とするブロー成形機。 - 前記速度制御機構は、樹脂温度のみならず、パリソンの下降区間を分割しその区間の補正値を加算して、可動体の下降速度を制御することとした請求項1記載のブロー成形機。
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