JP3646618B2 - スライドロック構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に、車両の車室内側のダッシュボード上面部、センタコンソール上面部、リヤパーセル上面部等に設けられた開口部を、上方向へ開閉する蓋体のスライドロック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のスライドロック構造としては、例えば、図10に示す特開平9−226463号公報等に記載されたようなものが知られている。
【0003】
このような図10に示すものでは、インストルメントパネル1上面に形成された開口部2を開閉自在に覆う蓋体3が回動自在となるように、軸部4によって支持されている。
【0004】
また、図11,12に示す特開平10−315867号公報等に記載されたようなものが知られている。このようなものでは、インストルメントパネル1前面に、グローブボックス開口部5が設けられると共に、蓋体6が回動自在となるように、軸部としてのシャフト7によって支持されている。
【0005】
そして、車体側にヒンジベース部8を装着すると共に、前記蓋体6裏面側に装着されるヒンジアーム部9を、スプリング部材10によって、上方に付勢し、前記蓋体6が開放方向へ常に付勢されている。
【0006】
また、これらの蓋体3,又は6には、例えば、図13に示すようなロックボタン部11が設けられているものが知られている。このようなものでは、前記蓋体3,又は6の裏面側にスライドガイド部材12が設けられている。
【0007】
このスライドガイド部材12には、車両前後方向に沿ってスライド移動可能にスライドロック部材15が設けられていて、図示省略のスプリング部材で、車両後方方向へ付勢されている。
【0008】
このスライドロック部材15には、インストルメントパネル1側に設けられたストライカ13と係合する係合爪部14が一体に設けられ、スライドロック部材15の車両前方への押圧により、この係合爪部14と、車体側に設けられたストライカ13との係合が解除されるように構成されている。
【0009】
このように構成された従来のスライドロック構造では、前記スライドロック部材15が、車両前方に前記スプリングの付勢力に抗して押圧されると、スライドロック部材15が、図13中二点鎖線で示すように、移動して前記係合爪部14と、ストライカ13との係合を解除する。
【0010】
このため、例えば、図12に示すようなスプリング部材10によって、前記蓋体3又は6が、上方へ回動しながら前記各開口部2及びグローブボックス開口部5を開放する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のスライドロック構造では、前記蓋体3が上方へ回動するのに対して、スライドロック部材15の押圧力つまり解除操作力の方向が略水平方向となっているため、スライドロック部材15の押圧力が前記蓋体3を上方へ回動させるための力とならない。そのため、前記蓋体3,又は6が上方へ回動する速度(図13中白抜き矢印に示す)よりも、前記スライドロック部材15の戻り速度(図13中矢印に示す)が早い場合、ロックボタン部11を、一度押圧したにもかかわらず、蓋体3、又は6が開放方向へ動き始める前に前記係合爪部14が再び前記ストライカ13に引っかかり、開放不良が発生する虞があった。
【0012】
このような開放不良は、前記蓋体3,又は6の面積が大きくなると、前記ヒンジベース部8と、前記ロックボタン部11との距離が離れ、初動速度が遅くなることから、更に発生しやすくなる。
【0013】
また、前記スプリング部材10の付勢力を強くなるように設定すると、前記ヒンジベース部8及びヒンジアーム部9の廻りを補強材等で補強する必要が生じ、製造コスト及び重量の増大を抑制出来ないといった問題もあった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、製造コスト及び重量の増大を抑制しつつ、開放不良を発生させる虞を減少させることが出来るスライドロック構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、基体上面に形成された開口部を、ヒンジ部を軸として上方向へ開閉自在に覆う蓋体を有し、前記基体側に設けられたストライカと係合する係合爪部を有し、解除操作力の押圧により、車両前後方向に沿ってスライド移動可能に設けられて、該係合爪部の前記ストライカとの係合を解除するロックボタン部を設けたスライドロック構造であって、前記ロックボタン部の裏面側には、該ロックボタン部の押圧時に前記ストライカに摺接して、該ロックボタン部を前記蓋体開方向に回動させる傾斜ガイド面部を一体に形成したスライドロック構造を特長としている。
【0016】
このように構成された請求項1記載のものでは、前記ロックボタン部を押圧すると、該ロックボタン部は、車両前後方向に沿ってスライド移動し、前記ロックボタン部の裏面側に設けられた傾斜ガイド面部が、前記ストライカに摺接して、該ロックボタン部を前記蓋体開方向に沿わせて斜め上方に移動させる。
【0017】
このため、ロックボタン部の斜め上方方向への移動に伴い、前記蓋体も、上方へ回動移動するので、開放方向に付勢するスプリング部材が弱いものであっても、該ロックボタン部の戻り速度が早くても、開放不良を発生させる虞が無い。
【0018】
また、スプリング部材が弱くても良いので、ヒンジ部の廻りを補強材等で補強する必要がなく、製造コスト及び重量の増大を抑制できる。
【0019】
また、請求項2に記載されたものでは、前記基体がインストルメントパネルである請求項1記載のスライドロック構造を特徴としている。
【0020】
このように構成された請求項2記載のものでは、インストルメントパネルの上面が補強材等で補強されないため、不必要に強度が増加することがなく、乗員に対する衝撃吸収機能の向上が図れる。
【0021】
また、請求項3に記載されたものでは、前記係合爪部と前記傾斜ガイド面部との隙間は、ストライカの断面径よりも小さくなるように構成される請求項1又は2記載のスライドロック構造を特徴としている。
【0022】
このように構成された請求項3記載のものでは、前記係合爪部と前記傾斜ガイド面部との隙間を前記ストライカが通過する際に、前記係合爪部を該ストライカが乗り越える為、クリック感が発生する。このため、蓋体の開閉に節度感を与えて操作感覚を良好なものとすることが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0024】
図1乃至図10は、この発明の実施の形態1を示すものである。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0025】
まず、構成を説明すると、この実施の形態1のスライドロック構造では、基体としてのインストルメントパネル1上面に設けられたセンタリッド部材1aには、上面側を開放する開口部2が設けられている。この開口部2には、この開口を開閉自在に覆う蓋体16が、シャフト軸部4,4によって回動自在に支持されている。
【0026】
また、前記開口部2の車体側には、ヒンジベース部18が装着されると共に、前記蓋体16のうち、上蓋体16a裏面側に装着されるヒンジアーム部19a…,19bが、スプリング部材10によって、上方に付勢して、前記蓋体16を開放方向へ常に付勢するように構成している。このヒンジベース部18とヒンジアーム部19a・・・、19bとで、請求項1に記載のヒンジ部が構成される。
【0027】
更に、このセンタリッド部材1aの開口部2には、底面に沿って略皿状のトレイ部材1b及び中敷き部材1cが設けられていて、前記開口部2周縁と、このトレイ部材1bの周囲とが、略全周に渡り接続されている。
【0028】
また、前記蓋体16の後縁部で、前記上蓋部16aと下蓋部16bとの間には、ロックアッセンブリ20が設けられている。
【0029】
このようなロックアッセンブリ20は、主に前記上蓋体16a裏面側に、取付片21a,21bにより固定される上スライドガイド部材21及びこの取付片21a,21bにカシメ止めされて、この上スライドガイド部材21との間に、スライドロック部材23を車両前後方向に沿ってスライド自在となるように介装させる下スライドガイド部材22が設けられている。
【0030】
また、このロックアッセンブリ20には、車両前後方向に沿ってスライド移動可能に設けられたスライドロック部材23を、車両後方方向へ付勢するスプリング部材21が設けられている。
【0031】
このスライドロック部材23には、ロックボタン部23aと、インストルメントパネル1側に設けられたストライカ13と係合する係合爪部23bとが一体に設けられている。
【0032】
そして、このスライドロック部材23には、前記ロックボタン部23aの裏面側に位置して、スライドロック部材15の車両前方への押圧により、この係合爪部14と、車体側に設けられたストライカ13との係合が解除される際、前記ストライカ13に摺接して、このロックボタン部23aを前記蓋体16の開方向に沿わせて移動させる傾斜ガイド面部23cが一体に形成されている。
【0033】
この実施の形態1では、前記係合爪部23bの先端と、前記傾斜ガイド面部23cとの隙間の最小距離は、前記ストライカ13の断面径よりも小さくなるように構成されている。
【0034】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0035】
このように構成された実施の形態1のスライドロック構造では、前記ロックボタン部23aを押圧すると、前記ロックボタン部23bの裏面側に設けられた傾斜ガイド面部23cが、図2に示すように、前記ストライカ13に摺接して、ロックボタン部23aを前記蓋体開方向に沿わせて斜め上方に移動させる。
【0036】
このため、ロックボタン部23aの斜め上方方向への移動に伴い、前記蓋体16も、上方へ回動移動するので、開放方向に付勢するスプリング部材24の強弱に拘わらず、ロックボタン部23aの戻り速度が早くても、再度、前記係合爪部23bが、ストライカ13に係合して開放不良を発生させる虞が無い。
【0037】
このため、ヒンジ部周囲を補強する必要が無くなり、製造コストの増大を抑制出来ると共に、比較的大きな面積を有する蓋体16で開閉される開口部2に用いて好適である。
【0038】
また、この実施の形態1では、前記係合爪部23bの先端23dと、前記傾斜ガイド面部23cとの隙間を前記ストライカ13が通過する際に、前記係合爪部23bをこのストライカ13が乗り越える為、クリック感が発生する。このため、蓋体16の開閉に節度感を与えて操作感覚を良好なものとすることが出来る。
【0039】
以上、この発明の実施の形態1を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態1に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0040】
また、本願発明は、蓋体が上方へ回動するのに対してスライドロック部材の押圧力つまり解除操作力の方向が略水平方向となるものに適用され得る。
【0041】
例えば、前記実施の形態1では、インストルメントパネル上面におけるセンタリッド部材1aの開口部2に適用したものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えばメータパネルの上方や、助手席グローブボックス上方のインストルメントパネル上面、あるいはセンタコンソール上面や、リヤパーセル上面等、またはこれらに限らず上方へ回動する蓋体に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のスライドロック構造で、要部の構成を説明する車両前後方向に沿った断面図である。
【図2】実施の形態1のスライドロック構造で、スライドロック部材のスライド方向を説明する模式図である。
【図3】実施の形態1のスライドロック構造で、車室内からインストルメントパネルを見た斜視図である。
【図4】実施の形態1のスライドロック構造で、図3中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図5】実施の形態1のスライドロック構造で、図3中B−B線に沿った位置での断面図である。
【図6】実施の形態1のスライドロック構造で、ロックアッセンブリの下面図である。
【図7】実施の形態1のスライドロック構造で、スライドロック部材の上面図である。
【図8】実施の形態1のスライドロック構造で、スライドロック部材の側面図である。
【図9】実施の形態1のスライドロック構造で、全体の構成を説明する分解斜視図である。
【図10】一従来例のインストルメントパネル上部の構成を説明する車両前後方向に沿った位置での断面図である。
【図11】他の従来例のインストルメントパネルの斜視図である。
【図12】他の従来例のヒンジ部の分解斜視図である。
【図13】従来例のスライドロック構造で、スライドロック部材のスライド方向を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル
1a センタリッド部材(上面)
2 開口部
13 ストライカ
16 蓋体
20 ロックアセンブリ
23 スライドロック部材
23a ロックボタン部
23c 傾斜ガイド面部
Claims (3)
- 基体上面に形成された開口部を、ヒンジ部を軸として上方向へ開閉自在に覆う蓋体を有し、前記基体側に設けられたストライカと係合する係合爪部を有し、解除操作力の押圧により、車両前後方向に沿ってスライド移動可能に設けられて、該係合爪部の前記ストライカとの係合を解除するロックボタン部を設けたスライドロック構造であって、
前記ロックボタン部の裏面側には、該ロックボタン部の押圧時に前記ストライカに摺接して、該ロックボタン部を前記蓋体開方向に回動させる傾斜ガイド面部を一体に形成したことを特徴とするスライドロック構造。 - 前記基体は、インストルメントパネルであることを特徴とする請求項1記載のスライドロック構造。
- 前記係合爪部と前記傾斜ガイド面部との隙間は、ストライカの断面径よりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のスライドロック構造。
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