JP3646604B2 - 紙の全方位について伸縮率を求める方法とその装置 - Google Patents

紙の全方位について伸縮率を求める方法とその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙の伸び縮みを測定する装置に関する発明である。紙は、木材から繊維を取り出し、その繊維を絡み合わせてシート状に形成したものである。木材繊維は吸水・脱水することにより伸縮する性質がある。従って、木材繊維からなる紙は、吸水することにより、伸び、逆に乾燥することにより収縮する性質がある。例えば、壁紙を壁に貼るとき、紙に糊を十分染み込ませて貼る。壁紙が乾燥する過程で、糊の水分が徐々に放出され、それにつれて壁紙が収縮するので、貼った時の皺が伸ばされ、完全に乾燥したときには、皺がほとんど見られない平滑な状態で貼られるのである。
【0002】
従って、水分放出による壁紙の縮みが小さ過ぎると皺が残り、大き過ぎると縮み過ぎ、貼り継ぎ部分に隙間が生じ、見苦しいものとなってしまう。従って、製紙工場においては、日々の製品の品質管理において、紙の伸縮率を適正範囲内に納めるとともに、適正範囲の伸縮率の紙を開発する上で、製造する紙の伸縮率を迅速且つ高い精度で測定することが重要である。
【0003】
【従来の技術】
これまで、壁紙のように、水分をたっぷり含ませて用いる用途に向ける紙の伸縮率を測定する機器として、浸水伸度試験(JapanTappiNo.27−78A法)が広く用いられている。この機器における紙試料の寸法測定は、マイクロスコープを覗きながらリニアスケールを移動させて2回の位置決め操作を手動式で行うため、測定能率が悪いばかりでなく、目にはかなりの疲労を伴うものであり、測定者の熟練度等が影響し、主観票差も無視できないものであった。また、CDプロファイル調査や流れ方向の挙動調査など、測定点数が非常に多くなる場合には時間や手間が掛かり過ぎるだけでなく、測定誤差も無視できないものであった。
【0004】
また、上記欠点を改良した測定装置として、特開平8−50008号公報には、回転駆動可に軸支された試料テーブルと、該試料テーブルの上面と下面で開口し周方向に沿って多数配置された透光窓と、該透光窓を通して平行なレーザー光束を通過させるレーザー外径測定器とから成り、上記各透光窓の上部開口面に置かれた試料片(紙片)がこの透光窓を通過する上記レーザー光束の一部を遮ることにより、各試料片の寸法を測定する構成としたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
紙の伸縮率は、一般に、MD(Machine Direction)はその値が最小で、CD (Cross Machine Direction)が最大である。しかしながら、紙を製造する際に、繊維配向角がMDに対して大きく傾いた場合や、ドライヤーでの乾燥時に乾燥むらが生じたりすると、必ずしもCDの伸縮率が最大にならない場合がある。このように、紙の伸縮率が最大となる方向がCDからずれた紙ロールから、通常どおりの方法でCD及びMDに平行に裁断された長方形の小判紙を吸湿環境に置くと、経時変化により、直角であるはずの隅部が直角でない平行四辺形に変形する。この吸水時の平行四辺形化は、オフセット印刷時におけるペースター時の画線ズレ等種々の問題を生じさせている。
【0006】
従って、製紙工場においては、製造する紙について、異方性、即ち、紙の伸縮率が最大となる方向がCDからずれていないか、あるいは、紙の伸縮率が最小となる方向がMDからずれていないかどうかを判別することと共に、異方性の強さ、即ち伸縮率の最大値と最小値の大きさの比率等を把握することが品質管理上重要となる。そのため、試料を採取し、CDに対して、例えば5°間隔で、全方位の伸縮率を測定すれば、伸縮率の最大又は最小の方向を知ることができる。
【0007】
ところが、上記レーザー外径測定器を用いた装置では、予め測定に供する所定数の試料片を試料テーブル上に固定しておくことにより、試料を次々に自動的に測定し、測定作業効率を大幅に改善させることができるが、この装置を用いて、試料の全方位の伸縮率を測定しようとすると、以下の問題点がある。
例えばMDに対して、5°間隔で全方位の伸縮率を測定しようとすると、MDに対して、それぞれ5°,10°,15°,・・・・360°の傾斜角度で裁断した試料を合計72枚の長方形試料を用意し、試料テーブル上に固定しなければならない。従って、測定効率は優れるものの、試料の準備に手間がかかる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、以下に述べる測定装置と測定方法により、上記問題点を解決した。本発明の装置は、図1に示すように、ガラス、プラスチック等の透明な材料からなるほぼ鉛直な軸を中心に回転可能に設置された試料台1と、レーザー寸法測定器からなる。レーザー寸法測定器は、レーザー光線投光部2−1とレーザー光線受光部2−2からなり、レーザー光線投光部2−1から照射されたレーザー光線の光束3が試料台1と交差して透過するように設置されている。また、図示しないレーザー寸法測定器に付属する演算装置とデータ算出用のコンピューターとからなる。
【0009】
試料台1上に紙試料Sを載置すると、紙試料Sによってレーザー光線の光束3の一部が遮断される。その遮断された光束部分の長さiから試料の長さを算出しようとするものである。試料台1には、カッティングプロッター等により正確な円形に裁断された円形紙試料Sが載置される。試料台1には、試料台1の回転中心Oを軸芯とするピンPが設けられ、紙試料Sの円中心が前記ピンに差し込まれる。
【0010】
前記ピンは、紙試料Sの円中心を試料台1の回転中心Oに正確に合わせるためのものなので、他の手段でもよい。例えば、上部から試料台1の回転中心Oを示すスポットライト照射装置を設け、紙試料Sにスポットライトを照射しながら、紙試料Sの円中心を試料台1の回転中心Oに合わせてもよい。但し、測定中に紙試料の位置がずれることもあるので、紙試料Sのずれ防止の点からも、前記ピン方式が望ましい。
【0011】
紙試料Sの測定は、試料台1上に紙試料Sを載置、固定し、試料台1を回転させながら行うので、レーザー寸法測定器は、図1のように1台でもよいし、図2のように2台、或いは2台以上複数設置してもよい。例えば、図2のごとく2台以上を回転中心Oに対して対称の位置に設置すれば、測定時間が半分になる。レーザー光線の光束3は、通常、試料台1に垂直に照射され、その幅方向の方向線が試料台1の回転中心Oを通るように設置される。そのように設置しないと、紙試料Sによってレーザー光線の光束3が遮断される部分が紙試料Sの半径と重ならないため、正確な半径又は直径の計測ができない。
【0012】
紙試料Sの半径を測定するには、先ず、試料台1の回転中心Oと基準点Aとの距離Lを予め演算装置に記憶させておく。基準点Aは、試料台1上でレーザー光線の光束と交差する任意の点とすることができるが、例えば、基準点にAとしてレーザー光線の光束の幅方向端部を採用し、基準点Aと試料台1の回転中心Oとの距離がLであれば、試料台1を回転したときに基準点Aが画く軌跡は、試料台の回転中心Oを中心とする半径Lの円である。基準点Aとレーザー光束の受光部が検知する紙試料Sの外周輪郭線との距離をiとすれば、紙試料Sの半径Lは、L=L+iで求められる。
【0013】
また、金属等、温度変化による伸縮が少なく、且つ伸縮に方向性がなく半径の長さ寸法が既知の数値Lmであるモニター円盤を用意し、該モニター円盤の円中心を試料台1の回転中心Oに合わせて、試料台1に載置する。モニター円盤がレーザー光線の光束3を遮断した長さi’を測定すれば、モニター円盤の半径は、L=L+i’で求められる。前記Lの値とモニター円盤の実際の半径長さとLmを比較し、差があれば、L又はLの値を補正してL=Lmとすることにより、本測定装置を校正することができるから、モニター円盤を用意しておくことが望ましい。
【0014】
紙の浸水伸度、即ち、紙試料を水中に浸漬し、水をたっぷり染み込ませた状態における寸法と染み込ませる前の状態における寸法変化率は、上記装置を用いて、先ず、浸漬前の紙試料Sの半径Lを測定し、次ぎに、前記紙試料Sを水中に浸漬し、十分に水を含ませた後、再度測定した半径をL’とすれば、(L’−L)/L×100が求める浸水伸度(%)である。また、本装置を湿度や温度の変更可能な環境試験室で使用すれば、湿度や温度を変更する前後の寸法変化から、浸水伸度の場合と同様に、紙の伸縮率を評価することもできる。
【0015】
上記装置の試料台1上に、円形に裁断した紙試料Sを載置し、試料台1をその回転軸を中心にMD又はCDを基準、即ち0°とし、一定角度の間隔で回転させながら、紙試料の半径を測定すれば、全方位の浸水伸度を算出することができる。浸水伸度の最大又は最小の方向を求める場合、測定値の数は多ければ多いほど、精度は高くなるが、通常3〜5°間隔ごとに間欠的に回転させ、測定すれば十分である。大量の紙試料を測定する場合は、一定角度間隔で試料台1を間欠的に回転させるために、コンピューター制御の駆動回転装置を試料台に設置する方法もある。
また、コンピューターを用いて、試料台1の回転速度と計測する時間間隔を連動させれば、試料台1を間欠的に停止することなく連続回転させ、極めて小さい角度間隔で、計測データを得ることもできる。
【0016】
前記コンピューター制御の駆動回転装置等を用いず、手作業で行う場合は、図3のように、紙試料にMD又はCDの方向線と所定の角度間隔の目盛りを画いておいて、測定の際に、CD又はMDの方向線とレーザー光束3を重ね合わせ、前記紙試料Sに画いた目盛りをレーザー光線の光束3に重ね合わせながら、試料台1を回転させ、所定の目盛り間隔で停止させて、測定すればよい。目盛りを付す際には、紙試料を円形に裁断するときに用いるカッティングプロッターを用いることが望ましい。カッティングプロッターは刃物の動きを電気的に制御して、シート状物を所定の形状に裁断するものであるから、図面等を画くペンプロッターの原理と同一であり、紙試料を裁断するとともに、紙試料に図形を画くことができる。
【0017】
従って、カッティングプロッターにより、紙試料を円形に裁断するとともに、紙試料表面に円の中心や、その円中心を通りMD又はCDを基準として、図3のような目盛りを画くことができる。このように円中心やMD、CDを画いておけば、紙試料の円中心を試料台の回転中心に正確に合わせるとともに、MD、CDをレーザー光線の光束3に重ね合わせる作業が容易になり、手作業でも、所定の角度間隔で測定することが容易になる。
この場合、上記直線又は目盛りを画く手段は、水性インキの使用は避けることが望ましい。インキの水分により紙が伸びたり、また、紙試料を水中に浸漬したときに、画いた目盛りがぼやけたりするからである。
【0018】
紙の全方位における伸縮率を測定・算出するときは、まず、図1又は図2の装置の試料台1の回転中心Oと紙試料Sの円中心とが一致するうように、紙試料Sを試料台1上に載せて固定する。試料台1の回転中心Oにピン等の固定手段があればそれを利用する。続いて、試料台1を回転させながら、例えば、0°,5°,10°,15°,20°,・・・,355°のごとく5°間隔で各半径Lを計測する。次ぎに、上記紙試料Sを所定時間水中に浸漬させたり、温度や湿度を変更したりして、紙の伸縮が終息し、安定常態になったものを、環境変更前の円形紙試料Sと同様に、0°,5°,10°,15°,20°,・・・,355°の各半径L’を計測する。
【0019】
前記L’の最大値又は最小値を示す角度θが判明すれば、そのθの値から紙試料SのCD又はMD方向とのズレ角度を知ることができる。また、各々の同一回転角θごとに、(L’−L)/Lを計算すれば、各回転角θごとの伸縮率を計算できる。角度間隔を十分小さくすれば、全方位について、伸縮率を求めることができ、さらに、その伸縮率から最大値と最小値を抽出すれば、紙の伸縮率等の異方性の強さを求めることができる。
【0020】
紙試料Sが正確な円形に裁断されていて、紙試料Sの円中心を正確に試料台の回転中心Oに一致させておけば、半径Lの値はMD又はCDに対する回転角θに関係なく、等しい値になるはずであるが、通常は、僅かではあるが、裁断寸法誤差があるから、この程度の誤差も問題にするときは、寸法変化前の最初の測定の紙試料Sについても、回転角θ毎にL値を計算しておいて、伸縮率(L’−L)/Lを計算し、その最大値又は最小値を示す回転角θを紙試料SのMD又はCD方向とのズレとすることが望ましい。
紙の浸水伸度や伸縮率は、回転角θにより異なるが、回転角θの方向の浸水伸度や伸縮率と回転角θ+180°の方向の浸水伸度や伸縮率とは通常同一である。従って、上述のように、各回転角θについて、半径どうしで比較すれば十分であるが、直径どうしを比較してもよい。直径どうしを比較する場合は、例えば、図2のように、2台のレーザー寸法測定器を試料台1の回転中心Oに対して対称となる位置に配置した装置を用いれば測定個数が半分となるため測定時間が短縮される。
【発明の実施の形態】
【0021】
浸水伸度の測定において、紙試料Sは、水中に浸漬すると剛性が失われ、皺が入りやすくなるから、寸法変化前の最初の測定に続いて、水中浸漬後の測定を行うにあたって、紙試料はできるだけ移動させないことが望ましい。従って、紙試料Sは、最初の測定と浸漬後の測定を同一の紙試料ケースに入れて行うことが望ましい。
例えば、試料台1に円形の凹部を設け、紙試料Sを凹部に固定して最初の測定を行い、次ぎに、凹部に水を導入し、紙試料Sを水中に浸漬、寸法安定後、2回目の測定することも可能であるが、紙試料Sを水中に浸漬して紙試料が伸びきり、寸法が安定するまでの間、他の紙試料の測定ができない。よって、多数の紙試料を測定する場合は、試料台1とは別に複数の紙試料ケースを設け、紙試料ケース中で紙試料を浸漬して寸法を安定させ、紙試料ケースを次々に試料台上に載置して、連続して多数の紙試料を測定することが望ましい。
【0022】
紙試料ケースは、紙試料が伸びていく過程で皺が入らないよう、例えば、図4に示す紙試料ケースを用いることができる。この紙試料ケースは、試料台1と同様の透明材料からなる試料皿4と、同じく透明材料からなり上面が試料皿内に収まり該試料皿の底面と2mm以下の間隔を残して試料皿を封鎖できる上蓋5とから構成される。上蓋5の中心には紙試料固定用のピンPを差し込む貫通孔が設けられ。試料皿4の中心には、前記ピンPの先端部を差し込み固定するピンホールが設けられ、紙試料Sの円中心は上蓋5のピンにより、試料皿4の上記中心に固定される。紙試料Sはこの試料皿4ごと、水平に設置された試料台1上に固定される。
【0023】
試料皿4の背面には円形の凹部、試料台1には円形の凸部が設けられ、試料台1の凸部の円中心と試料皿4の背面の円形凹部の中心は試料台1の回転中心と一致している。従って、紙試料Sの円中心を試料皿の円形凹部の円中心に合わせて固定すれば、紙試料Sの円中心が試料台1の回転中心と一致する。このように、試料ケース内に紙試料Sの円形中心を固定できる固定手段が設けられ、前記固定手段の中心を試料台の回転中心に一致させることができるような構造であれば、試料皿4を試料台1に固定する手段は、他の公知の手段でもよい。
【0024】
図4の試料ケースを用いて、先ず、円形紙試料Sの円中心を試料ケースの試料皿4の中心を合わせて固定する。このとき、上蓋5を用いなくてもよいが、上蓋5を用いることにより、紙試料Sの反りを除去して平らに固定できるので、上蓋5を用いた方がよい。次ぎに、試料台を回転させながら、所定回転角度θ毎に計測する。次ぎに、試料皿4に水を満たして、上蓋5で蓋をする。水の水位Wは上蓋5よりも高くなるように入れる。上蓋には要所に穴があけてあるので、余った水は、内部の空気とともに穴から上部に移動し、上蓋下部の試料皿内部は完全に水で満たされる。水に浸漬された紙試料Sは直ちに伸び始めるが、そのときに発生しやすい皺は上蓋5により発生を阻止される。水を含んだ紙は、空気に触れると試料皿4の底部や上蓋5の裏面に張り付きやすいが、水の水位は上蓋5よりも高いので、紙試料Sが試料皿4の底部や上蓋5の裏面に張り付くのを阻止する。
【0025】
測定に供する試料数が多いときは、上記浸漬作業は、紙試料を浸漬前の状態で測定後、紙試料ケースを試料台1から取り除き、別の場所で行う。このようにして、所定数の紙試料Sを水に浸漬し、紙試料Sの伸びが終息したら、試料台1を回転させながら、所定回転角θ毎に再度計測する。測定の際に、上蓋5と水は取り除いてもよいが、上蓋5が透明材料であれば、そのまま計測してもよい。
【0026】
浸水伸度の算出は、各回転角θごとに計測値L,L’をコンピューターの記憶装置に記憶させておけば、伸縮率の計算は、測定作業後、任意の時間帯に速やかに行うことができるから、先ず、紙試料Sを浸漬前の状態で試料台上を一回転させて各回転角θごとに計測し、続いて、試料皿の凹部に水を満たし、紙試料が吸水し、伸びていく過程を一定の時間間隔で次々に計測し、これら計測値に基づいて、伸縮率を算出し、それを時系列に並べて表示すれば、紙試料の動的伸び即ち、時系列でとらえた紙試料Sの伸びの寸法変化の挙動を数値的に把握することができる。また、前記とは逆に、水中浸漬により伸びきった紙試料を熱風等により乾燥させながら、時系列でその収縮の挙動をとらえることもできる。
【0027】
紙試料の計測値からは、MD又はCDを基準とし、各回転角θごとに、その半径又は直径を算出できるから、紙試料の全方位の浸水伸度や伸縮率について、例えば、図5の実施例のような図を画くことができる。図5は、回転角度間隔を3°とし、各回転角度ごとの浸水伸度を図形化したものである。
また、角度間隔を十分に小さくとれば、積分法により、水中浸漬前後の紙試料の面積を求めることもでき、さらに水中浸漬前後における試料の面積変化率を求めることがきる。なお、前記計算において、水中浸漬後の半径の計測値の平均値Rを求め、水中浸漬後の紙試料の面積を概算でπRとみなしても大差はない。
【0028】
【発明の効果】
本発明により、全方位における紙の伸縮率を計測することにより、従来技術を使用した場合のように、多量の試料作成や測定器への試料のセットは不要となり、短時間で伸縮率の異方性を評価できる。また、伸縮率の最大又は最小の方位とMD又はCDのズレ角度を知ることができ、さらに、伸縮率の異方性の強さも知ることができる。このことにより、紙が印刷などで使用される際の形状変化を短時間で予測することができるため、紙の品質管理面での貢献が大きい。
【0029】
【実施例】
20℃、65%に設定した恒温恒湿の室内に、43g/mの新聞用紙を放置して、寸法を安定させた後、カッティングプロッターによりMDの方向線とその方向線上の一点を画き、前記方向線上の一点を円中心とする直径90mmの円形に裁断し、紙試料Sを作製した。前記紙試料Sの円中心を試料皿4の中心に一致させて試料皿上に載置し、さらに試料皿4を上蓋5で封鎖して、上蓋上部からピンPを差し込んで、紙試料を試料皿に固定した。紙試料を固定した試料皿4を試料台1の固定し、紙試料Sに画かれたMD方向線を0°とし、以下3°間隔で回転させながら、レーザー寸法測定器で紙試料Sの半径長さを測定した。続いて、上蓋5の穴から試料皿4に水を注入し、試料皿中を水で完全に満たし、約60分間放置し、紙試料Sの寸法安定後、水に浸漬する前と同様にMD方向線を0°とし、3°間隔で半径を測定した。
水に浸漬する前の紙試料Sの半径長さと浸漬後の半径長さから、各回転角θ毎の浸水伸度を求め、それを極座標化したものが図5の曲線である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置と測定の原理を示す斜視説明図
【図2】 本発明の装置と測定の原理を示す斜視説明図
【図3】 紙試料の平面図
【図4】 本発明の試料ケースの説明図
【図5】 本発明の装置により測定した紙試料の全方位の浸水伸度を表す図
【符号の説明】
1 試料台
2−1 レーザー光線投光部
2−2 レーザー光線受光部
3 レーザー光線の光束
4 試料皿
5 上蓋
O 試料台の回転中心
P 固定ピン
S 紙試料
W 水位
θ 回転角
θ 浸水伸度最大の方位角
θ 浸水伸度最小の方位角

Claims (2)

  1. 紙の伸縮率の異方性の評価方法であって、円形に裁断された紙試料について、先ず、全方位について半径又は直径を計測し、次ぎに前記紙試料を吸湿、吸水又は乾燥した後に、吸湿、吸水又は乾燥前の紙試料の円中心を中心とする全方位について、半径又は直径を計測し、同一方位角ごとの寸法変化から各方位角ごとの伸縮率を算出し、続いて、求めた紙の全方位の伸縮率から最大値と最小値を抽出し、前記最大値又は最小値に対応する方位角と紙の伸縮率の異方性の強さを求めることを特徴とする紙の伸縮率の異方性の評価方法。
  2. ほぼ鉛直な軸を中心軸として回転可能に設置された透明材料からなる試料台と、上記試料台を透過してレーザー光線の光束を照射するレーザー寸法測定器を備え、上記試料台上に、円形の紙試料の円中心と上記試料台の回転中心とを一致させて紙試料を固定し、上記試料台を回転させながら、紙試料がレーザー光線を遮る幅を測定することにより、各回転角度ごとに、紙試料の半径寸法又は直径寸法を測定、算出する紙の全方位の寸法を測定する装置において、
    透明材料からなる試料台とレーザー寸法測定器に加えて、
    1.透明材料からなる試料皿と、透明材料からなり上面が試料皿内に収まり該試料皿の底面と2mm以下の間隔を残して試料皿を封鎖でき且つ要所に穴があけられている上蓋とから構成される試料ケースを備え、
    2.該試料ケース内に紙試料の円形中心を固定できる固定手段が設けられ、
    3.前記固定手段の中心を試料台の回転中心に一致させて試料ケースを試料台に固定する手段が設けられていることを特徴とする紙の全方位の寸法を測定する装置。
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