JP3646386B2 - 折り戸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の人を収容する建物の一階ホール等に、出入口扉と共に設けられ、短時間で多数の人のホールへの入退出を可能とするため等において出入口扉に加えて開閉される折り戸に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
このような折り戸は、一対の戸板をヒンジを介して折り畳み自在に上下方向に関して互いに連結して配し、開放時には、下側の戸板を回動させながら上昇させて同時に上側の戸板を回動させ、これにより上側の戸板に下側の戸板を下から重ね合わし、閉鎖時には、上記と逆に、下側の戸板を回動させながら下降させて同時に上側の戸板を回動させ、これにより上側の戸板の下に下側の戸板を垂れ下がらせるようになっている。
【0003】
ところで折り戸では、ヒンジ機構を介して縦枠等に回動自在に連結される上側の戸板の上縁(上框)と下側の戸板の下縁(下框)とを除くその他の部位は、通常、固定、支持されていなく、したがって、閉鎖時においてこれらの部位を固定する適当な固定機構が設けられてないと、例えば、強風時に上側及び下側の戸板が煽られてこれに大きな回転モーメントが加わると、上側及び下側の戸板が風の強さに応じてがたがたと回動(揺動)し、不愉快な衝突音が発生したり、戸板がガラス板よりなっている場合には、ガラス板が割れたり、場合により、意図しない開放が生じたりする虞がある。
【0004】
またこの種の折り戸では、閉鎖状態では上側の戸板と下側の戸板とが互いに突っ張った状態になっているため、折り戸を閉鎖状態から開放させる場合、単に、下側の戸板を上昇させようとしても、ヒンジを介して連結された上側の戸板と下側の戸板との間の相互回動が生じ難く、このため下側の戸板の上昇と同時に、上側の戸板又は下側の戸板のいずれかを他の手段によって初期回動させることが要求され、初期回動が所望に行われないと、戸板、持ち上げ機構等の破損を招来する虞がある。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、途中開放を含む開放、閉鎖状態をしっかりと維持して、強風時等において戸板ががたがたして不愉快な騒音が生じるような事態をなくし得ると共に、意図しない開放を防止し得、加えて、下側の戸板開放動作を滑らかに行うことができる上に、戸板、持ち上げ機構等の破損の虞をなくし得る折り戸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、ヒンジ手段を介して互いに折り畳み自在に上下方向に関して連結された上方及び下方戸板手段と、下方戸板手段の下端側を持ち上げて、上方及び下方戸板手段を互いに折り畳むべく、下方戸板手段の下端側に連結された持ち上げ手段と、上方及び下方戸板手段の自由回動を禁止すると共に、持ち上げ手段による上方及び下方戸板手段の折り畳みに際して、上方及び下方戸板手段の互いの突っ張り状態を解除する禁止、解除手段と、持ち上げ手段及び禁止、解除手段を作動させる作動手段とを具備している折り戸によって達成される。
【0007】
上方戸板手段及び下方戸板手段のそれぞれは、戸板としてアルミ製・木製などの不透明又はアクリル樹脂製などの透明のパネル、もしくはガラス板等を具備していてもよく、建物のホール等の出入り口や緊急避難口などとして用いられる際には、戸板の一例では、横2m、縦3m(上下戸板合計)、開口高さ2m程度の人の出入りを妨げない程度の大きさであるが、これに限定されない。本発明の折り戸は、閉鎖中には壁や採光窓として、開口時には換気口として用いることもできる。なお、本発明の折り戸は、建物のホールの周りに多数設けてもよい。
【0008】
禁止、解除手段は、好ましくは、ウォーム歯を有して、作動手段に連結された回転伝達軸と、この回転伝達軸のウォーム歯に噛み合う歯を有したナットと、このナットに螺合して、上方及び下方戸板手段のいずれか一方に回動自在に連結されたねじ軸とを具備しているが、本発明はこれに限定されない。
【0009】
作動手段の好ましい例では、持ち上げ手段に対する作動量と禁止、解除手段に対する作動量との差を補償する補償手段を具備しており、この補償手段を具備していると、戸板の上昇と初期回動とを調和させて行わせることができ、このため、開放動作を滑らかに行うことができ、これによっても、戸板、持ち上げ機構、初期回動機構等の破損を避けることができる。
【0010】
持ち上げ手段としては、折り戸の左右において縦方向に伸びて互いに平行にかつそれぞれ回転自在に配されたねじ軸と、このねじ軸に螺合したナット部材とを具備し、ナット部材に、下方戸板手段の下縁側が回動自在に連結されているものを好ましい一例としてあげることができ、他の例では、持ち上げ手段は、ナット部材の上下方向移動を案内する案内手段を更に具備しており、この案内手段は、折り戸の縦枠体に取り付けられたレールと、このレールに上下方向移動自在に嵌合したスライダとを具備しており、ナット部材は、スライダに取り付けられている。案内手段によりナット部材を上下方向移動自在に支持することにより、ねじ軸の撓みをなくし得るため、好ましい。なお、ねじ軸及びナット部材を上記のように、折り戸の左右に設けて持ち上げ手段を具体化してもよいが、折り戸の左右のうち片側だけにこれらを設けて持ち上げ手段を具体化してもよい。
【0011】
本発明の好ましい例では、作動手段は、自動及び手動のうち少なくとも一方により作動力を発生する作動力発生手段と、作動力発生手段により発生された作動力を補償手段に伝達する伝達手段とを具備しており、作動力発生手段は、自動の場合には、電動モータを、手動の場合には、手動回転ハンドルを具備しており、電動モータ及び手動回転ハンドルのそれぞれの出力回転軸は、伝達手段を介して補償手段に連結されており、補償手段としては、差動歯車機構を具備したものを好ましい例として挙げることができ、ここで、差動歯車機構の入力軸を、作動力発生手段に、差動歯車機構の一方の出力軸を、持ち上げ手段に、差動歯車機構の他方の出力軸を、禁止、解除手段にそれぞれ連結して構成するとよいが、これに限定されない。
【0012】
また本発明では、上方及び下方戸板手段の自重による下降力に対する平衡力を発生する平衡力発生手段を更に具備している。好ましい例では、平衡力発生手段は、重錘と、この重錘の下降力を下方戸板手段の下端側の上昇力として伝達する伝達手段とを具備しており、伝達手段は、一端が下方戸板手段の下端側に、他端が重錘にそれぞれ連結されたチェーンと、このチェーンが掛けられたスプロケットホイールとを具備している。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何等限定されないのである。
【0014】
【実施例】
図1から図7において、本例の折り戸1は、ヒンジ手段2を介して互いに折り畳み自在に上下方向に関して連結された上方及び下方戸板手段3及び4と、下方戸板手段4の下端側を持ち上げて、上方及び下方戸板手段3及び4を互いに折り畳むべく、下方戸板手段4の下端側に連結された持ち上げ手段5と、上方及び下方戸板手段の自由回動を禁止すると共に、持ち上げ手段5による上方及び下方戸板手段3及び4の折り畳みに際して、上方及び下方戸板手段3及び4の互いの突っ張り状態を解除する禁止、解除手段6と、持ち上げ手段5及び禁止、解除手段6を作動させる作動手段7と、上方及び下方戸板手段3及び4の自重による下降力に対する平衡力を発生する平衡力発生手段8とを具備している。
【0015】
上方戸板手段3は、パネル11と、パネル11の裏面周囲に溶接やねじ等で取り付けられたパネル枠12とを具備しており、パネル枠12のうち上側の横パネル枠(上框)13の左右両側に、ヒンジ手段(図示せず)の一端が取り付けられており、各ヒンジ手段の他端は、折り戸1の左右の縦枠体16に固着されており、こうして上方戸板手段3は、上縁側で折り戸1の縦枠体16にヒンジ手段を介して回動自在に取り付けられている。
【0016】
下方戸板手段4は、上方戸板手段3と同様に、戸板としてのパネル21と、パネル21の裏面周囲に溶接やねじ等で取り付けられたパネル枠22とを具備しており、パネル枠22のうち上側の横パネル枠(上框)23にヒンジ手段2の一端が取り付けられており、ヒンジ手段2の他端は、パネル枠12のうち下側の横パネル枠(下框)24に取り付けられており、こうして上方及び下方戸板手段3及び4は、ヒンジ手段2を介して折り畳み自在に上下方向に関して互いに連結されている。下方戸板手段4は、以下述べるように、下縁側で持ち上げ手段5に回動自在に連結されている。
【0017】
持ち上げ手段5は、折り戸1の左右の縦枠体16のそれぞれに軸受を介して回転自在に配されたねじ軸31と、ねじ軸31のそれぞれに螺合したナット部材32と、ナット部材32に取り付けられた可動ブロック33と、ねじ軸31の上端に連結された回転伝達軸34と、ナット部材32の上下方向移動を案内する案内手段35とを具備しており、可動ブロック33は、パネル枠22のうち下側の横パネル枠36の左右端にピン37を介して回動自在に連結されており、下方戸板手段4の下縁側は、このようにピン37を介して可動ブロック33及びナット部材32に回動自在に連結されている。案内手段35は、折り戸1の縦枠体16に取り付けられたレール38と、レール38に上下方向移動自在に嵌合したスライダ39とを具備しており、スライダ39にはねじ等により可動ブロック33が取り付けられて、ナット部材32は、可動ブロック33を介してスライダ39に取り付けられている。
【0018】
持ち上げ手段5は、更に、折り戸1の縦枠体16のそれぞれに取り付けられた連動用ベベル歯車機構40及び41と、連動用ベベル歯車機構40及び41を橋絡して設けられた回転伝達軸42とを具備しており、連動用ベベル歯車機構40は、入力軸43と、回転伝達軸34に連結された出力軸44と、回転伝達軸42に連結された出力軸45とを具備しており、入力軸43の回転を、出力軸44及び出力軸45を介して、回転伝達軸34及び42に伝達し、連動用ベベル歯車機構41は、回転伝達軸42に連結された入力軸46と、他方の回転伝達軸34に連結された出力軸47とを具備しており、水平方向に配された回転伝達軸42の回転を、垂直方向に配された出力軸47を介して同じく垂直方向に配された回転伝達軸34に伝達する。
【0019】
禁止、解除手段6は、入力軸51及び出力軸52を具備した歯車手段53と、ウォーム歯54を外周面に有して、歯車手段53の出力軸52に連結された回転伝達軸55と、回転伝達軸55のウォーム歯54に噛み合う歯56を外周面に有したナット57と、ナット57の中央孔に形成された雌ねじ58に螺合して、上方及び下方戸板手段3及び4のいずれか一方、本例では上方戸板手段3のパネル11に、その裏側でブラケット59、ピン160を介してピン160を中心としてA方向に回動自在に連結されたねじ軸163とを具備している。歯車手段53は、ベベル歯車機構からなり、垂直方向に配された入力軸51の回転を水平方向に配された出力軸52に伝達し、そのベベル歯車機構を内臓したハウジングが一方の縦枠16に取り付けられて設けられている。回転伝達軸55の他端は、他方の縦枠16に軸受等を介して回転自在に支持されている。ねじ軸163が螺合して貫通したナット57は、ハウジング164内にB方向に回転自在に配されており、ハウジング164には、当該ハウジング164が横(水平方向)移動しないようにして、回転伝達軸55が相対回転自在に貫通している。ブラケット59は、パネル11の裏面の下縁近傍に取り付けられており、したがって本例では、ねじ軸163は、パネル11の下縁近傍に連結されている。なお、図示では、ナット57、ねじ軸163及びハウジング164等を一組だけ設けたものであるが、これらの組をもう一組設け、一方の組のねじ軸163を右側においてパネル11に、他方の組のねじ軸163を左側においてパネル11にそれぞれ連結してもよい。
【0020】
作動手段7は、持ち上げ手段5に対する作動量と禁止、解除手段6に対する作動量との差を補償する補償手段61と、自動及び手動のうち少なくとも一方、本例では両方により作動力を発生する作動力発生手段62と、作動力発生手段62により発生された作動力を補償手段61に伝達する伝達手段63とを具備している。
【0021】
作動力発生手段62は、自動作動力発生手段65と、手動作動力発生手段66とを具備しており、自動作動力発生手段65は、縦枠体16に取り付けられた可逆電動モータ67と、電動モータ67の作動を制御する操作ボックス68とを具備しており、手動作動力発生手段66は、操作ボックス68に配された手動回転ハンドル69を具備している。伝達手段63は、縦枠体16に取り付けられた入力切替え機構71と、一端が、入力切替え機構71に、他端が電動モータ67の出力回転軸72にそれぞれ連結された回転伝達軸73と、一端が、入力切替え機構71に連結された回転伝達軸74と、回転伝達軸74の他端が連結されたベベル歯車機構75と、一端が、ベベル歯車機構75に、他端が、操作ボックス68内に設けられたベベル歯車機構又はウォーム歯車機構(図示せず)を介して手動回転ハンドル69の回転軸76にそれぞれ連結された回転伝達軸77とを具備しており、入力切替え機構71は、補償手段61に連結された出力回転軸78を具備しており、電動モータ67が作動される際には、電動モータ67の出力回転軸72の回転を出力回転軸78に伝達し、手動回転ハンドル69が作動される際には、回転軸76、ベベル歯車機構又はウォーム歯車機構、回転伝達軸77及びベベル歯車機構75を介する回転伝達軸74の回転を出力回転軸78に伝達するように、例えば電磁クラッチ等で構成されている。ベベル歯車機構75は、垂直に配された回転伝達軸77の回転を、水平に配された回転伝達軸74に伝達するように構成されている。このように、電動モータ67の出力回転軸72及び手動回転ハンドル69の回転軸76はそれぞれ、伝達手段63を介して補償手段61に連結されている。
【0022】
補償手段61は、差動歯車機構81を具備しており、差動歯車機構81の入力軸82は、作動手段7の出力回転軸78に、差動歯車機構81の一方の出力軸83は、連動用ベベル歯車機構40の入力軸43に、差動歯車機構81の他方の出力軸84は、禁止、解除手段6の回転伝達軸57にそれぞれ連結されている。縦枠体16に取り付けられた差動歯車機構81は、歯車ケース91に回転自在に取り付けられた入力軸82と、入力軸82に固着された歯車92と、歯車ケース91に回転自在に取り付けられた出力軸84と、出力軸84に固着された円盤93と、円盤93に回転自在に取り付けられており、歯車92に噛み合った一対の遊星歯車94及び95と、出力軸84に回転自在に取り付けられた筒体96と、筒体96に固着された歯車97と、筒体96に固着されており、一対の遊星歯車94及び95に噛み合った内歯歯車98と、歯車ケース91に回転自在に取り付けられた出力軸83と、出力軸83に固着されており、歯車97に噛み合った歯車100とを具備している。差動歯車機構81は、出力軸83の回転が困難となると、入力軸82の回転を出力軸84に、出力軸84の回転が困難となると、入力軸82の回転を出力軸83に、所定の伝達比(歯車比)をもって伝達するようになっている。
【0023】
平衡力発生手段8は、重錘110と、重錘110の下降力を下方戸板手段4の下端側の上昇力として伝達する伝達手段111とを具備している。重錘110は、案内手段112により上下動の移動が案内されるようになっており、案内手段112は、折り戸1の縦枠体16に取り付けられたレール113と、レール113に上下方向移動自在に嵌合したスライダ114とを具備しており、スライダ114にねじ等により重錘110が取り付けられている。伝達手段111は、一端が下方戸板手段4の下端側に、本例では可動ブロック33に、他端が重錘110にそれぞれ連結されたチェーン121と、チェーン121が掛けられた一対のスプロケットホイール122とを具備しており、スプロケットホイール122のそれぞれは、折り戸1の縦枠体16に回転自在に取り付けられている。なお、本例の平衡力発生手段8は、左右の縦枠体16に設けられた一対の重錘110等を具備しているが、これに代えて、一方の縦枠体16にのみ重錘110等を設けて構成してもよい。
【0024】
以上のように形成された折り戸1では、操作ボックス68の操作ボタンの押圧により電動モータ67を作動させると、電動モータ67の出力回転軸72の回転は、回転伝達軸73、入力切替え機構71及び出力回転軸78を介して補償手段61の入力軸82に伝達され、入力軸82の回転は、歯車92等を介して出力軸83及び84に伝達され、出力軸83の回転は、入力軸43、連動用ベベル歯車機構40、出力軸44及び45に伝達され、出力軸44の回転は、回転伝達軸34を介してねじ軸31に、出力軸45の回転は、回転伝達軸42及び他方の回転伝達軸34を介して他方のねじ軸31にそれぞれ伝達される。ねじ軸31の回転によりこれに螺合したナット部材32が上昇されようとする。同時に、出力軸84の回転は、回転伝達軸57、入力軸51及び歯車手段53を介して出力軸52に伝達され、出力軸52の回転によりこれに連結された回転伝達軸55も回転され、回転伝達軸55の回転により、ウォーム歯54及びウォーム歯54に噛み合った歯56を介してナット57が回転され、ナット57の回転で、ナット57に螺合したねじ軸163は、パネル11を押し出し回動させるように、ナット57に対して直動する。ねじ軸163による直動とナット部材32の上昇とにより、上方及び下方戸板手段3及び4の互いの突っ張り状態が解除されて、下方戸板手段4の下端側が持ち上げられて、上方及び下方戸板手段3及び4が互いに折り畳まれる。上方及び下方戸板手段3及び4が完全に折り畳まれて、折り戸1が図2に示すように開放されると、これを検出する検出器(図示せず)により電動モータ67の作動が停止される。なお、操作ボックス68の操作ボタンを操作して、折り畳みの途中でナット部材32の上昇を停止させるようにしてもよい。電動モータ67を逆作動させると、ねじ軸163が前記と逆に直動すると共に、ナット部材32が下降されて、上方及び下方戸板手段3及び4の互いの折り畳みが解除されて、上方及び下方戸板手段3及び4が垂直状態に直列に配され、折り戸1が図1に示すように閉鎖される。
【0025】
ところで折り戸1では、ねじ軸163によるパネル11の押し出し回動が遅れて十分でなく、上方及び下方戸板手段3及び4が互いに突っ張り状態でナット部材32が上昇されようとすると、ナット部材32のこの上昇には相当の上昇力を必要とする結果、差動歯車機構81の一方の出力軸83の回転が阻止される一方、差動歯車機構81の他方の出力軸84の回転が促進され、これによりねじ軸163によるパネル11の押し出し回動が促進され、したがって、上方及び下方戸板手段3及び4の互いの突っ張り状態が解消され、この解消によりナット部材32の上昇が所望になされ、上方及び下方戸板手段3及び4が順次に折り畳まれる。パネル11の回動中においても、ねじ軸31の回転によるナット部材32の上昇とねじ軸163の直動によるパネル11の押し出し回動とは、差動歯車機構81の作用により調和してなされる。なお、手動回転ハンドル69を操作して折り戸1を開放、閉鎖する場合も、上記と同様である。
【0026】
折り戸1の開放、閉鎖において、下方戸板手段4の下側が上昇、下降される結果、重錘110も下降、上昇され、重錘110により下方戸板手段4等の自重による意図しない下降を防止し得ると共に、下方戸板手段4の下側の上昇、下降をそれほどの力を必要としないで滑らかに行うことができる。
【0027】
折り戸1の完全閉鎖は、ナット部材32とねじ軸31との螺合により実質維持されるが、更に、折り戸1では、ブラケット59を介してねじ軸163の一端がパネル11の裏面の下縁近傍に連結され、ねじ軸163がナット57に、ナット57が回転伝達軸55にそれぞれ螺合しているため、回転軸55が回転しない限り、ナット57に対してねじ軸163が直動できないようになっており、したがって、強風時にパネル11に大きな回動モーメントが生じても、パネル11は、少しの回動も生じないように、ねじ軸163によりしっかりと保持され、強風によりがたがたすることもなく、不愉快な騒音も発生しない上に、意図しない開放を防止し得る。パネル11にヒンジ機構2を介して連結されたパネル21も同様である。なお、ねじ軸163は、途中開放を含む開放状態でも、パネル11及び21をしっかりと保持することとなる。このように禁止、解除手段6は、パネル11及び21の自由回動を禁止し、かつパネル11及び21の折り畳みに際して、パネル11及び21の互いの突っ張り状態を解除するようになっている。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、途中開放を含む開放、閉鎖状態をしっかりと維持して、強風時等において戸板ががたがたして不愉快な騒音が生じるような事態をなくし得ると共に、意図しない開放を防止し得、加えて、下側の戸板開放動作を滑らかに行うことができる上に、戸板、持ち上げ機構等の破損の虞をなくし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一実施例の閉鎖状態の斜視図である。
【図2】図1に示す実施例の開放状態の斜視図である。
【図3】図1に示す実施例の一部詳細図である。
【図4】図1に示す実施例の一部詳細図である。
【図5】図1に示す実施例の一部詳細図である。
【図6】図1に示す実施例の一部詳細図である。
【図7】図1に示す実施例の一部詳細図である。
【符号の説明】
1 折り戸
3 上方戸板手段
4 下方戸板手段
5 持ち上げ手段
6 禁止、解除手段
7 作動手段
Claims (4)
- ヒンジ手段を介して互いに折り畳み自在に上下方向に関して連結された上方及び下方戸板手段と、下方戸板手段の下端側を持ち上げて、上方及び下方戸板手段を互いに折り畳むべく、下方戸板手段の下端側に連結された持ち上げ手段と、上方及び下方戸板手段の自由回動を禁止すると共に、持ち上げ手段による上方及び下方戸板手段の折り畳みに際して、上方及び下方戸板手段の互いの突っ張り状態を解除する禁止、解除手段と、持ち上げ手段及び禁止、解除手段を作動させる作動手段とを具備しており、禁止、解除手段は、ウォーム歯を有していると共に、作動手段に連結された回転伝達軸と、この回転伝達軸のウォーム歯に噛み合う歯を有したナットと、このナットに螺合していると共に、上方及び下方戸板手段のいずれか一方に回動自在に連結されたねじ軸とを具備している折り戸。
- 作動手段は、持ち上げ手段に対する作動量と禁止、解除手段に対する作動量との差を補償する補償手段を具備している請求項1に記載の折り戸。
- 補償手段は、差動歯車機構を具備しており、差動歯車機構の一方の出力軸は、持ち上げ手段に、差動歯車機構の他方の出力軸は、禁止、解除手段にそれぞれ連結されている請求項2に記載の折り戸。
- 持ち上げ手段は、縦方向に伸びて回転自在に配されたねじ軸と、このねじ軸に螺合したナット部材とを具備しており、ナット部材に、下方戸板手段の下縁側が回動自在に連結されている請求項1から3のいずれか一項に記載の折り戸。
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KR102144822B1 (ko) * | 2019-12-16 | 2020-08-14 | 김교석 | 폴드 리프트업 도어의 수동 개폐 전환이 가능한 폴드 리프트업 도어 구동 시스템 |
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JPH09184351A (ja) | 1997-07-15 |
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