JP3645883B2 - 位相変調器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は位相変調器に関し、得に無線通信機器で使用されるディジタル信号の位相変調をなす位相変調器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無線通信等の技術分野で用いられる位相変調器は、アナログ回路で構成されていたが、近年のディジタル回路の進歩に伴って、搬送波であるキャリアに対する変調部分までを、ディジタル回路に取込む動きがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図10はこの非特許文献1に開示されているディジタル位相変調器を示すブロック図であり、ディジタル信号であるビット列の入力信号はIQ変換部21によりI,Q信号に変換され、それぞれ、レベル変化の判定を行うレベル判定部22,23へ入力される。レベル判定部22,23の出力はディジタルフィルタであるFIRフィルタ24,25へ入力されて周波数帯域が制限される。
【0004】
一方、搬送波であるキャリア発生器26が設けられており、互いに90度位相差を有する直交キャリア(サイン/コサイン)が発生されるようになっており、このキャリア発生器26はディジタルサイン/コサイン信号を発生するものである。このキャリア出力は乗算器27,28にそれぞれ入力されて、フィルタ24,25の各出力とディジタル乗算され、加算器29にて合成される。この場合出力はD/Aコンバータ30においてアナログ信号となり、IF信号として出力されるようになっている。
【0005】
この図10に示す位相変調器は周知のQPSK変調器であり、詳細な説明は省略するものとする。この様に、ディジタルサイン/コサイン発生器26を用意して、多値ディジタル信号を生成し、ディジタル乗算器27,28で掛け算(位相変調と同義)して、これ等掛け算結果の足し算(合成)までを、ディジタル回路で構成することができるようになっている。
【0006】
また、特許文献1を参照すると、I,Q信号列の組合せに応じて予め計算しておいた値をROM等の読出し専用メモリに書込んでおき、必要に応じて適切な番地のメモリデータを読出してD/A変換するディジタル位相変調器が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第4,680,556号公報
【非特許文献1】
GRAYCHIP APPLICATION NOTES, BUILDING A QAM MODULATOR USING A GC2011 DIGITAL FILTER CHIP, October 6,1994, Joseph H, Gray, pp.1 〜4.
【非特許文献2】
McGRAW-HILL BOOK COMPANY, INTER-UNIVERSITY ELECTRONICS SERIES, VOL.2 DATA TRANSMISSION, 1965, William R, Bennett, et al. pp.50 〜53.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示したディジタル位相変調器では、フィルタ24,25としてディジタルFIRフィルタが用いられる。これは、ディジタル信号処理の過程で、単独の信号(パルス)に対する変調出力を計算するのではなく、前後の数のパルスのレスポンスを含めて目的のパルス信号を計算する必要があるためである。このFIRフィルタは、周知の如く、多段の乗算器を有しており、よって回路規模が大きくかつ消費電力も大となり、またフィルタ出力を得るのに時間がかかるという欠点がある。
【0009】
特許文献1に示されたディジタル位相変調器では、予め計算された数値をROMに書込んでおき必要に応じて適切な番地のメモリデータを読出してD/Aコンバータへ導いているが、当該特許文献1のFig.3に示されているように、一つのディジタルパルスの波形の決定のために、そのパルスの前後を含めた複数のパルスの影響をも考慮した波形処理が必要となっている。
【0010】
この様に、一つのパルスの波形の決定のために、その前後の複数のパルスの影響を考慮した波形処理を行う代りに、単独パルスに一つの時間軸上の変化を対応させようとする場合には、非特許文献2に開示されている、二乗余弦(Raised-Cosine )パルスを用いることが考えられる。すなわち、図11に示す様な理想的な矩形パルスは、その周波数スペクトラムの広がり(周波数帯域)が大きく、実際の回路で処理することはできないために、図12に示す様な二乗余弦パルスを用いることで、周波数帯域がより制限され、一つのパルス波形の決定が、前後の複数のパルスの影響を考慮することなく行えることになる。
【0011】
しかしながら、この二乗余弦パルスの波形は、いわゆるアイ(Eye)の開口が最大となる時間が瞬時点でしかないという欠点があり、一般には、ジッターを有するパルスの波形波定には、このアイ開口が最大となる時間が瞬時点であるということは、極めて不利となり、信頼性の問題が生ずることになる。
【0012】
また、4位相変調器において、位相変調波のベクトルがIQ平面上の第一象元と第三象元との間、または第二象元と第四象元との間を変化する場合には、図3に示す如く、IQ平面上の原点を通過することになるので、位相変調信号のエンベロープが一瞬0(ゼロ)となる。この様な信号は、高出力高周波増幅器を通過するときに、この増幅器の有する非直線性(サチュレーション特性)によって、歪を受けるという欠点がある。
【0013】
本発明の目的は、入力ディジタル信号の単独の変化(ビット毎の変化)に対応した位相変調波形を生成することによって、回路規模を縮小し、消費電力を削減し、更には、動作速度の向上を可能とした位相変調器を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、4相位相変調器として用いた場合に、IQ位相平面上の原点を、位相変調波のベクトルが通過することを防止して、変調信号のエンベロープが一瞬0(ゼロ)になることを防止し得る位相変調器を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、入力2値ディジタル信号の変化に応答して、
増加方向の変化時には、
最初のT/12(Tは前記ディジタル信号の半周期に対応)の期間は0レベル、次の4T/12の期間(−5T/12≦t≦−T/12)は(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形で変化し、残りのT/12の期間はh(定数)レベルとなり、
減少方向の変化時には、
最初のT/12の期間はhレベル、次の4T/12の期間(T/12≦t≦5T/12)は(h/2)・{1+cos(3πt/T)−π/4}の波形で変化し、残りのT/12の期間は0レベルとなるような波形を用いて位相変調された搬送波のディジタル信号を発生させるようにしたことを特徴とする位相変調器が得られる。
【0016】
そして、前記搬送波としての直交キャリアを生成する直交キャリア生成手段と、前記入力2値ディジタル信号を前記直交キャリアに対応する2列のIQ信号に変換する手段と、これ等2列のIQ信号の各波形で対応する前記キャリアに位相変調をかけたディジタル位相変調波を生成する位相変調手段と、これ等位相変調波の合成出力をアナログ変換して出力するディジタル/アナログ変換手段とを含むことを特徴とする。
【0017】
更に、前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データを予め格納した第一の記憶手段と、前記直交キャリアの波形データを予め格納した第二の記憶手段と、前記IQ信号の変化を判定して判定結果に従って前記第一の記憶手段から記憶データを読出す変化判定手段とを含み、前記位相変調手段は、前記第一の記憶手段からの読出しデータと、前記第二の記憶手段からの読出しデータとの乗算をなす乗算手段を有し、この乗算結果を前記ディジタル/アナログ変換手段へ導出することを特徴とする。
【0018】
また、前記IQ信号のIQ平面において、第一象元と第三象元との間の変化及び第二象元と第四象元との間の変化に応答して、
前記IQ信号の一方の信号に対して、前記最初のT/12の期間を設けずに直ちに(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形変化を与え、
他方の信号に対して、前記最初のT/12の期間を2T/12に延長してから(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形変化を与えるようにしたことを特徴とする。特に、前記第一象元と第三象元との間の変化と、前記第二象元と第四象元との間の変化とでは、互いに異なる方向の回転をなすようにしたことを特徴とする。
【0019】
更に、前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データを予め格納した第一の記憶手段と、前記直交キャリアの波形データを予め格納した第二の記憶手段と、前記IQ信号の変化及び前記IQ平面における象元間の変化を判定してこれ等判定結果に従って前記第一の記憶手段から記憶データを読出す変化判定手段とを含み、前記位相変調手段は、前記第一の記憶手段からの読出しデータと、前記第二の記憶手段からの読出しデータとの乗算をなす乗算手段を有し、この乗算結果を前記ディジタル/アナログ変換手段へ導出することを特徴とする。
【0020】
また、前記位相変調手段は、前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データと前記直交キャリアの波形データとの乗算結果の各々を加算した結果を予め格納した第三の記憶手段を有しており、前記IQ信号の変化を判定してこれ等判定結果に従って前記第三の記憶手段から記憶データを読出して、前記ディジタル/アナログ変換手段へ供給する手段を更に含むことを特徴とする。
【0021】
そして、前記位相変調手段は、前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データと前記直交キャリアの波形データとの乗算結果の各々を加算した結果を予め格納した第三の記憶手段を有しており、前記IQ信号の変化及び前記IQ平面における象元間の変化を判定してこれ等判定結果に従って前記第三の記憶手段から記憶データを読出して、前記ディジタル/アナログ変換手段へ供給する手段を更に含むことを特徴とする。
【0022】
更に、前記ディジタル/アナログ変換手段の後段に設けられ、信号の角周波数=30/T以遠のスペクトラムを削除するフィルタ手段を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の作用を述べる。位相変調波として、入力2値ディジタル信号の変化に応答して、増加方向の変化時には、
最初のT/12(Tは前記ディジタル信号の半周期に対応)の期間は0レベル、次の4T/12の期間(−5T/12≦t≦−T/12)は(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形で変化し、残りのT/12の期間はh(定数)レベルとなり、
減少方向の変化時には、
最初のT/12の期間はhレベル、次の4T/12の期間(T/12≦t≦5T/12)は(h/2)・{1+cos(3πt/T)−π/4}の波形で変化し、残りのT/12の期間は0レベルとなるような波形を用いる。
【0024】
この様な波形を、便宜的に、三乗余弦パルスと称し、この三乗余弦パルスを用いることにより、判定点の前後±T/12の時間幅に平坦な部分が発生するので、ディジタル信号例のジッターの影響に強くなり、また単一ビットである単一パルスのみでの変化判定が可能となり、回路の規模や消費電力の削減が可能になる。
【0025】
また、この三乗余弦パルスの特性を利用して、IQ信号の一方の変化開始時間をT/12だけ送らせ、また他方をT/12だけ早めることができ、結果として変調波のエンベロープが一瞬ゼロになることが防止され、後段における高周波増幅器の非直線性による波形歪をなくすことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。図1は本発明の一実施例を示す4相位相変調器のブロック図である。図1を参照すると、ビット列の入力信号はIQ変換部1へ入力されてI,Q信号に変換される。これ等I,Q信号は変化判定部2,3へそれぞれ入力されて単独のパルス変化(0→1,1→0)が判定される。このパルス変化に応じた検出出力がROM4,5のアドレス入力となり、このアドレスに対応するメモリ出力が導出されて乗算器7,8の各一入力となる。
【0027】
一方、ディジタルサイン/コサイン発生部6が設けられており、互いに90度位相差を有する直交キャリア(サイン/コサイン)がディジタル信号として発生され、乗算器7,8の各他入力となる。乗算器7,8において、ディジタル掛け算が行われ、これ等掛け算出力が加算器9にて加算合成される。この合成出力はD/A変換器10によりアナログ信号に変換されてIF信号となって出力されるようになっている。
【0028】
本発明では、一つのパルスの波形決定のために、前述した如く、その前後の複数のパルスの影響を考慮した波形処理を行うのではなく、当該一つのパルスに一つの時間軸上の変化を対応させるものであるが、そのために、前述した非特許文献2に開示されている二乗余弦パルスを用いる代りに、図2に示される様な波形パルス(以下、三乗余弦パルスと称することにする)を用いるのである。
【0029】
詳述すると、本発明で採用する三乗余弦パルスの波形は、ディジタル信号の各ビットの半周期をTとすると、図2の中段に示す如く、±T/12の時間幅に渡り一定値hのレベルをとり、±T/2の近傍でも、±T/12の時間幅に渡り一定値0(ゼロ)をとる。この特性は、先述した図12の二乗余弦パルスと比較すると、レベル判定点(decision points )の前後±T/12の時間幅で、平坦な部分が存在するので、二乗余弦パルスに比較してタイミングジッターの影響を受け難いという利点がある。
【0030】
この三乗余弦パルスは、二乗余弦パルスの傾斜を3/2倍としたものであり、そのパルス波形の式を下記に示す。
【0031】
【数1】
この波形のスペクトラムを求める。先ず、フーリエ積分のa項を求める。
【数2】
であり、3つの積分区間について、これを求める。
【0032】
【数3】
となり、a項全体は、次の様になる。
【0033】
【数4】
一方、フーリエ積分のb項を求める。
【0034】
【数5】
であり、
【数6】
となる。
【0035】
b項全体は、
【数7】
となる。
【0036】
【数8】
であるので、
【数9】
となり、
【数10】
となる。
【0037】
ここで、
【数11】
であるので、
【数12】
となる。
【0038】
この様な三乗余弦パルスを、T/12の時間刻み毎のレベルをサンプリングしてプロットした(h=1としたときの)波形が、図2の下段に示されており、±T/2において“0”、±5T/12において“0”、±T/3において“0.18”、±T/4において“0.5”、±T/6において“0.81”、±T/12及び0において“1”となっている。
【0039】
これ等各時刻に対応するレベル値を、図1のROM4.5内に予め格納しておき、ディジタル信号の0→1のレベル変化に対して、−T/2〜0の各時刻に対応するレベル値を時系列的にROMから読出し、また、1→0のレベル変化に対して、0〜+T/2の各時刻に対応するレベル値を時系列的にROMから読出すようにするのである。
【0040】
一方、搬送波としての直交キャリは、I,Qの2列の信号に対して、ディジタルサイン/コサイン発生部6より、サイン及びコサイン波形のディジタル信号(サイン/コサイン波形の各レベルに対応したディジタル信号)を発生させ、乗算器7,8にてそれぞれディジタル的掛算処理を行うのである。そして、これ等乗算器7,8の出力を加算器9によりディジタル的に加算して、D/A変換器10でアナログ変換し、IF出力信号として、図示せぬ次段のIF増幅器やRF変換器等を介して送信されることになる。こうすることにより、4相位相変調器が得られる。
【0041】
なお、ディジタルサイン/コサイン発生部6は、予めサイン、コサインの波形のレベル値をROMに格納しておき、時系列的に読出す構成とすることができる。
【0042】
4相位相変調器の出力ベクトルは、IQ平面上では図3に示される如くマッピングされ、図中の矢印は位相遷移状態を示すものである。第一象元と第三象元との間、第二象元と第四象元との間を変化する場合、IQ平面上の原点を通過する。この場合、位相変調信号のエンベロープは一瞬0(ゼロ)となるので、前述した如く、信号歪が発生する。そこで、これを解消するために、本発明の第二の施例では、第一象元と第三象元との間、第二象元と第四象元との間を変化する場合に限り、IQ信号の一方の信号に対しては、T/12の期間を設けずに、直ちに(h/2){1+cos(3πt/T+π/4)}等の変化を与え、他方の信号に対しては、T/12の期間を2T/12(=T/6)に延長した後に、(h/2){1+cos(3πt/T+π/4)}等の変換を与えるような波形を用いる。
【0043】
すなわち、図4において、点線で示す様な波形を用いることになる。図4を参照すると、実線は図2に示した三乗余弦パルスの波形であり、この波形を時間軸上でそれぞれ±T/12だけシフトしたパルス波形が点線で示されており、本例では、I相信号に対して+T/12(時間軸上で右方向にT/12)だけシフトした波形を、またQ相信号に対して−T/12(時間軸上で左方向にT/12)だけシフトした波形を、それぞれ対応させる。
【0044】
こうすることにより、第一象元と第三象元との間を変化する場合には、図5に矢印で示す位相遷移状態(時計方向の変化)となり、第二象元と第四象元との間を変化する場合には、図6に矢印で示す位相遷移状態(反時計方向の変化)となる。その結果、位相変調波のベクトルは、IQ平面上の原点を通ることがなくなって、そのエンベロープはゼロとなることはなくなり、信号歪が解消されるのである。
【0045】
なお、この場合において、レベル判定点(decision points)間の時間的中間点(t=±T/4)で振幅の中間値(h/2)を通過しない場合が生じるが、この様な現象は一般の系においても発生しており、その程度が大きくないので特に問題とはならない。この様に、本発明では、I,Q両軸共に同時に変化が生じるときにのみ、一方の信号の変化を早め、他方を遅らせることにより、IQ平面の原点を通過する軌道が存在せず、全て原点を避けてその近くを通過する軌跡をとることになって、信号歪の抑制が可能になる。
【0046】
図7はこの第二の実施例の回路ブロック図であり、図1と同等部分は同一符号により示している。図7に示す如く、図1の構成に、象元変化判定部11を付加し、I,Q信号により、象元変化状態が、第一象元と第三象元との間、第二象元と第四象元との間をそれぞれ変化することを検出する。この検出結果をもROM4,5のアドレス入力として用いる。
【0047】
この場合、ROM4,5には、図4の点線で示した波形の各時刻に対応するレベル値を、実線で示した波形の各時刻に対するレベル値の他に格納しておき、第一象元と第三象元との間や、第二象元や第四象元との間の変化を検出して、そのときには、ROM4,5の読出し値を、図4の点線で示した波形に対応したものとする。
【0048】
第一象元と第三象元との間を変化する場合には、図5に示した如く、時計方向の回転とし、第二象元と第四象元との間を変化する場合には、図6に示す如く、反時計方向の回転となる様に、予めROM4,5に記憶しておく三乗余弦パルスのレベル値を選定することにより、両者を共に同一方向に回転させる場合に比較して、キャリア周波数にオフセット(周波数ずれ)が生じることが防止されるようになる。これは、位相空間での一方向の回転が周波数の一方向の増加や減少に相当することになり、これを防ぐことになるためである。
【0049】
なお、第一象元と第三象元との間の変化を時計方向とし、第二象元と第四象元との間の変化を反時計方向としているが、互いに逆方向の変化としても良いことは勿論である。
【0050】
図8は本発明の第三の実施例を示すブロック図であり、図7と同等部分は同一符号により示している。図7においては、ROM4,5に、三乗余弦パルスの各時刻におけるレベル値を格納しているが、本実施例においては、図7における乗算器7,8の乗算結果を加算器9にて加算した結果をROM12内に予め格納しておくことで、回路規模の縮小と消費電力の削減とが図れることになる。なお、図1の回路にも、同様な構成が適用されるものである。
【0051】
上述した様に、本発明では、入力ディジタル信号のビット単独の変化に対応した位相変調信号を作り出すための波形として、三乗余弦パルス(3rd Order Raised-Cosine Pulse)と称する新たな波形を定義して使用している。この場合、一般的に用いられる図12の二乗余弦パルス(Raised-Cosine Pulse )と比較してスペクトラムが広がることが懸念される。しかしながら、二乗余弦パルスと比較すると、第二サイドローブが21dBと、二乗余弦パルスの31dBよりも10dBの劣化に止まり、一方、図9のスペクトラム比較図の如く、角周波数×T=30.0の付近に、幅広いヌルが存在するので、後段で用意されるフィルタとして、第三サイドローブ以遠のスペクトラムを削除する帯域フィルタを用いることができる。よって、急峻な波形整形が可能になる。
【0052】
【発明の効果】
本発明による第一の効果は、入力ビット列のタイミングジッターの影響を受けにくいことである。その理由は、位相変調波形として、三乗余弦パルスを用いたために、判定点の前後±T/12の時幅に平坦な部分が発生するからである。
【0053】
本発明による第二の効果は、回路規模の縮小と消費電力の削減が可能となることである。その理由は、入力ディジタル信号の単独の変化に対応した位相変調波形を作り出しているためである。
【0054】
本発明による第三の効果は、高周波増幅器を通過した際に、この増幅器の有する非直線性(サチュレーション特性)によって伝送信号に歪を受けないことである。その理由は、I,Q信号の一方の変化開始時間をT/12遅らせ、他方をT/12早めることができるので、変調信号のエンベロープが一瞬ゼロとなることを防止できるからである。
【0055】
本発明の第四の効果は、変調信号の変化によってキャリア周波数にオフセットが生じることを防止できることである。その理由は、4相位相変調器において、IQ平面上の第一象元と第三象元との間を変化する場合と、第二象元と第四象元との間を変化する場合とで、互いに反対方向の回転となる様に変化させるようにしたからである。
【0056】
本発明の第五の効果は、回路規模の縮小と消費電力の削減とがより一層改善されることである。その理由は、ディジタルサイン/コサイン発生部や三乗余弦パルスの発生部分を、ROMとして構成することができ、また、乗算器や加算器をも含めて大部分をROMとして構成することができるからである。
【0057】
本発明の第六の効果は、スペクトラム整形が容易であることである。その理由は、三乗余弦パルスのスペクトラムは角周波数×T=28の前後に2段のヌルが存在しているために、角周波数×T=30以遠のスペクトラムを削除するためのフィルタをD/A変換器の後段に設けることができ、よってそれ以内のスペクトラムに大きな影響を与えることなく、スペクトラム整形ができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】本発明に用いられるいわゆる三乗余弦パルスを説明する図である。
【図3】4相位相変調器の変調出力のIQ平面でのベクトル遷移状態図である。
【図4】本発明の他の実施例で用いられる三乗余弦パルスの変形例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例における4相位相変調器において、IQ平面での第一象元と第三象元との間の変化時のベクトル遷移状態図である。
【図6】本発明の他の実施例における4相位相変調器において、IQ平面での第二象元と第四象元との間の変化時のベクトル遷移状態図である。
【図7】本発明の更に他の実施例のブロック図である。
【図8】本発明の別の実施例のブロック図である。
【図9】本発明に用いる三乗余弦パルスと二乗余弦パルスとのスペクトラム比較図である。
【図10】従来例を示すブロック図である。
【図11】矩形パルスのスペクトラムを示す図である。
【図12】二乗余弦パルスのスペクトラムを示す図である。
【符号の説明】
1 IQ変換部
2,3 変化判定部
4.5,12 ROM
6 ディジタルサイン/コサイン発生部
7,8 乗算器
9 加算器
10 D/A変換器
11 象元変化判定部
Claims (9)
- 入力2値ディジタル信号の変化に応答して、
増加方向の変化時には、
最初のT/12(Tは前記ディジタル信号の半周期に対応)の期間は0レベル、次の4T/12の期間(−5T/12≦t≦−T/12)は(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形で変化し、残りのT/12の期間はh(定数)レベルとなり、
減少方向の変化時には、
最初のT/12の期間はhレベル、次の4T/12の期間(T/12≦t≦5T/12)は(h/2)・{1+cos(3πt/T)−π/4}の波形で変化し、残りのT/12の期間は0レベルとなるような波形を用いて位相変調された搬送波のディジタル信号を発生させるようにしたことを特徴とする位相変調器。 - 前記搬送波としての直交キャリアを生成する直交キャリア生成手段と、前記入力2値ディジタル信号を前記直交キャリアに対応する2列のIQ信号に変換する手段と、これ等2列のIQ信号の各波形で対応する前記キャリアに位相変調をかけたディジタル位相変調波を生成する位相変調手段と、これ等位相変調波の合成出力をアナログ変換して出力するディジタル/アナログ変換手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の位相変調器。
- 前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データを予め格納した第一の記憶手段と、前記直交キャリアの波形データを予め格納した第二の記憶手段と、前記IQ信号の変化を判定して判定結果に従って前記第一の記憶手段から記憶データを読出す変化判定手段とを更に含み、
前記位相変調手段は、前記第一の記憶手段からの読出しデータと、前記第二の記憶手段からの読出しデータとの乗算をなす乗算手段を有し、この乗算結果を前記ディジタル/アナログ変換手段へ導出することを特徴とする請求項2記載の位相変調器。 - 前記IQ信号のIQ平面において、第一象元と第三象元との間の変化及び第二象元と第四象元との間の変化に応答して、
前記IQ信号の一方の信号に対して、前記最初のT/12の期間を設けずに直ちに(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形変化を与え、
他方の信号に対して、前記最初のT/12の期間を2T/12に延長してから(h/2)・{1+cos(3πt/T)+π/4}の波形変化を与えるようにしたことを特徴とする請求項2記載の位相変調器。 - 前記第一象元と第三象元との間の変化と、前記第二象元と第四象元との間の変化とでは、互いに異なる方向の回転をなすようにしたことを特徴とする請求項4記載の位相変調器。
- 前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データを予め格納した第一の記憶手段と、前記直交キャリアの波形データを予め格納した第二の記憶手段と、前記IQ信号の変化及び前記IQ平面における象元間の変化を判定してこれ等判定結果に従って前記第一の記憶手段から記憶データを読出す変化判定手段とを更に含み、
前記位相変調手段は、前記第一の記憶手段からの読出しデータと、前記第二の記憶手段からの読出しデータとの乗算をなす乗算手段を有し、この乗算結果を前記ディジタル/アナログ変換手段へ導出することを特徴とする請求項4または5記載の位相変調器。 - 前記位相変調手段は、前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データと前記直交キャリアの波形データとの乗算結果の各々を加算した結果を予め格納した第三の記憶手段を有しており、
前記IQ信号の変化を判定してこれ等判定結果に従って前記第三の記憶手段から記憶データを読出して、前記ディジタル/アナログ変換手段へ供給する手段を更に含むことを特徴とする請求項2記載の位相変調器。 - 前記位相変調手段は、前記IQ信号の各々の前記増加方向の波形及び減少方向の波形データと前記直交キャリアの波形データとの乗算結果の各々を加算した結果を予め格納した第三の記憶手段を有しており、
前記IQ信号の変化及び前記IQ平面における象元間の変化を判定してこれ等判定結果に従って前記第三の記憶手段から記憶データを読出して、前記ディジタル/アナログ変換手段へ供給する手段を更に含むことを特徴とする請求項4または5記載の位相変調器。 - 前記ディジタル/アナログ変換手段の後段に設けられ、信号の角周波数=30/T以遠のスペクトラムを削除するフィルタ手段を更に含むことを特徴とする請求項2〜8いずれか記載の位相変調器。
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