JP3645832B2 - 箸の持ち方矯正補助具、持ち方矯正箸、および持ち方矯正箸セット - Google Patents

箸の持ち方矯正補助具、持ち方矯正箸、および持ち方矯正箸セット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、箸の正しい持ち方を矯正するために用いられ、日常的に使用可能で、かつ、使い易くすることができる箸の持ち方矯正補助具、持ち方矯正箸、および持ち方矯正箸セットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、箸の正しい持ち方においては、▲1▼箸を把持する位置、▲2▼箸を把持したときにできる手の形と力の入れ具合といった要点を挙げることができる。
【0003】
箸の誤った持ち方においては、該箸を把持する位置の誤り、すなわち上記要点▲1▼に問題のあることが多い。この要点▲1▼に問題が生じると把持する位置に問題があるのみならず、要点▲2▼の「手の形と力の入れ具合」にも問題が生じる。このため、箸を適切に用いることができなくなる上に、食事の際の姿勢が悪くなるなどの悪影響が及ぼされる。
【0004】
それゆえ、従来より、箸の正しいの持ち方を実現すべく、種々の持ち方矯正箸や箸の持ち方矯正補助具(以下、それぞれ矯正箸、矯正補助具と記載)が提案されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の矯正箸や矯正補助具は、それ単体では、箸の持ち方を矯正する目的に非常に有効であるものが多いが、汎用性という観点から鑑みれば、未だ不十分であることが多い。つまり、上記矯正箸や矯正補助具を使用する対象者としては、一般に児童が想定されており、大人が対象者として想定されることは非常に少ないため、従来の矯正箸や矯正補助具には汎用性が不十分となる場合がある。
【0006】
具体的には、児童用の矯正箸や矯正補助具は、上記要点▲1▼や要点▲2▼を満たした持ち方を実現するために、児童の手のひらの大きさに合わせたサイズを有している。そのため、大人にとっては小さ過ぎ、事実上、使用することができない。したがって、矯正箸や矯正補助具においては、正しい箸の持ち方ができないあらゆる使用者、換言すれば、児童から大人までの使用を想定する必要がある。
【0007】
また、矯正箸や矯正補助具においては、使い易い簡単な構成であることが好ましい。特に児童が使用するという観点から鑑みれば、矯正箸や矯正補助具が複雑な構成であると、これらを使用する際の心理的な障壁となってしまい、気軽に使用し難くなる。そのため、日常的に使用することで正しい箸の持ち方を身につけるという矯正箸・矯正補助具の目的を達成することができない。
【0008】
さらに、大人が使用するという観点から鑑みれば、箸の使用は日常的であるが、通常の環境下では、改めて他人から指摘されない限りにおいては、箸の持ち方を矯正しようと考える大人は少ない傾向にある。そこで、たとえば何らかの商品やサービスの販売促進用として無料で矯正補助具などを頒布すれば、矯正補助具が入手し易くなるので、改めて箸の持ち方の矯正を大人に認識させることが可能となる。それゆえ、特に矯正保持具は、無料配付が可能となる程度に安価であるとより好ましい。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来に無い非常に簡単な構成を有するとともに、安価、かつ、児童から大人までが使用できる汎用性を有する箸の持ち方矯正補助具、持ち方矯正箸、および持ち方矯正箸セットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点を解消するために鋭意検討した結果、正しい箸の持ち方を実現するためには、少なくとも、箸を把持した際に下方に位置する箸(下方箸)の位置を規定すればよいことを見出し、本発明にかかる新規な箸の持ち方矯正補助具、持ち方矯正箸、および持ち方矯正箸セットを完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明にかかる箸の持ち方矯正補助具は、上記の課題を解決するために、少なくとも、弾性材料により形成される小円環を2つ並列に配置した形状を有しており、一対の箸のうちの一方の箸を上記各小円環に挿入することで、箸の側方から突出する親指装着部を形成することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、上記箸の持ち方矯正補助具(矯正補助具と記載)を一対の箸の一方に取り付けて親指装着部を形成させ、この親指装着部に親指を挿入するのみで正しい持ち方を実現することができる。
【0013】
具体的には、一方の箸が親指装着部によって親指の付け根近傍に当接してほとんど不動の状態となるのに対し、他方の箸は、自然と、親指、人差指および中指の先端で指示され、人差指および中指の作用によって自由に動くことが可能になる。その結果、少なくとも一方の箸の位置を規定するのみで、容易に正しい箸の持ち方を実現することができる。
【0014】
特に、従来の矯正補助具と比較した場合、従来の構成では、使用者の手のひらの大きさに合わせた形状を有していたために、正しい箸の持ち方をより一層確実に実現することができる反面、汎用性に欠けるという問題点があったが、上記構成によれば、一方の箸の位置を規定するのみで正しい箸の持ち方を実現できるので、汎用性に優れるとともに、使用する際の心理的な障壁がほとんどなく、気軽に使用し易くなる。その結果、日常的に使用することで正しい箸の持ち方を身につけることが可能になる。
【0015】
したがって、従来の矯正補助具を、箸の持ち方になれていない初学者用に用いる一方、本発明にかかる矯正補助具を、ある程度箸の持ち方に慣れた中級者用に用いることで、箸の持ち方を段階的に習得することが可能となる。その結果、本発明にかかる矯正補助具と従来の矯正補助具とを組み合わせることで、より系統的な教習プログラムを構築することが可能になり、使用者に、正しい箸の持ち方を効率的かつ確実に習得させることができる。
【0016】
その上、上記構成によれば、矯正補助具は、弾性材料により形成される小円環を2つ並列に配置した形状という非常に簡単な構成を有している。そのため、矯正補助具をより安価なものとすることができるので、たとえば、矯正補助具を無料で頒布することが可能になり、大人に改めて箸の持ち方の矯正を認識させることが可能となる。
【0017】
上記矯正補助具においては、上記構成に加えて、一つの円環弾性部材の中央部分を結束部材で結束することで、上記2つの小円環を並列配置した形状を形成することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、一つの円環弾性部材を中央部分で結束することによって矯正補助具を簡単に製造することが可能になる。その結果、矯正補助具の構成をより一層簡素なものとすることができるとともに、矯正補助具をより安価なものとすることができる。また、中央部分を結束する構成であるために、結束部材を移動させることで2つの小円環の大きさを変えることもできる。その結果、矯正補助具を箸に装着し易くすることができる。
【0019】
また、上記矯正補助具においては、上記構成に加えて、一つの円環弾性部材の中央部分を固定してなる固定部を形成することで、上記2つの小円環を並列配置した形状を形成しても好ましい。
【0020】
上記構成によれば、一つの円環弾性部材の中央部分を固定することによって矯正補助具を簡単に製造することが可能になる。その結果、矯正補助具の構成をより一層簡素なものとすることができるとともに、矯正補助具をより安価なものとすることができる。また、中央部分を固定する構成であるために、2つの小円環の形成状態を非常に安定したものとすることができる。その結果、矯正補助具を箸に装着して親指装着部を形成した状態を非常に安定化することができる。
【0021】
さらに、上記固定部は、上記円環弾性部材の中央部分を接着することにより形成されることが好ましい。上記構成によれば、接着剤等を用いて中央部分を固定するため、固定部の構成をより安定したものとすることができる。
【0022】
あるいは、上記固定部は、上記円環弾性部材の中央部分を結ぶことにより形成されても好ましい。上記構成によれば、円環弾性部材を結ぶだけでも十分安定した固定部を形成することができるので、より簡単に矯正補助具を製造することができるとともに、接着剤等を用いる必要がないので、製造コストの増加を抑制することもできる。
【0023】
上記矯正補助具においては、上記構成に加えて、さらに、親指装着部を形成した状態で親指の背の部分に当接する指背保護部材を有することがより好ましい。
【0024】
上記構成によれば、親指装着部に親指を挿入した状態で、親指の背の部分に指背保護部材が当接しているため、弾性材料の収縮作用によって、親指の第1関節と第2関節との間の指背に加えられる圧力、つまり円環弾性部材による締め付けを和らげることができる。そのため、使用時の不快感の発生を回避することが可能になり、使用者はより一層正しい手の形および力の入れ具合を維持しやすくなる。その結果、正しい箸の持ち方を容易かつ安定して実現することができる。
【0025】
さらに上記指背保護部材が結束部材または固定部を兼ねているとより好ましい。上記構成によれば、親指の指背を保護するためには、指背保護部材を、並列配置している2つの小円環の接続部分に配置することになる。そのため、この接続部分となる結束部材や固定部と指背保護部材とを兼用すれば、部材点数の増加を抑えることが可能になり、製造コストを低く抑えることができる。
【0026】
上記矯正補助具においては、上記円環弾性部材が、一定の幅を有する帯状の輪ゴムであることが特に好ましい。
【0027】
上記構成によれば、矯正補助具の製造に際して、市販品の一般的な輪ゴムを利用することができる。そのため、特注品としての円環弾性部材を新たに成形する必要がなくなり、本発明にかかる矯正補助具をより一層低価格にすることができる。
【0028】
本発明にかかる持ち方矯正箸は、上記の課題を解決するために、箸本体の側方から突出するように設けられ、弾性材料により形成され、箸本体から着脱可能となっている親指装着部を有しており、上記親指装着部が、少なくとも、帯状弾性部材と、その両端に設けられ箸本体に取り付け可能となっている取り付け部とからなっていることを特徴としている。
【0029】
上記構成によれば、上記矯正補助具と同様に、上記親指装着部に親指を挿入するのみで正しい持ち方を実現することができる。しかも、一方の箸の位置を規定するのみで正しい箸の持ち方を実現できるので、一対の箸の少なくとも一方に親指装着部が設けられていればよくなる。そのため、持ち方矯正箸の構成を非常に簡素化できるので、たとえば、矯正補助具を無料で頒布することも可能になり、大人に改めて箸の持ち方の矯正を認識させることが可能となる。
【0030】
さらに、上記構成によれば、親指装着部が箸本体から着脱自在であるため、持ち方の矯正が必要な場合にのみ親指装着部を取り付けることができる。しかも、着脱自在であるために、使用者の手のひらの大きさに合わせて、箸本体における親指装着部の形成位置を変化させることもできる。そのため、簡素な構成で確実に正しい箸の持ち方を実現することができるだけでなく、持ち方矯正箸の汎用性をより一層向上することが可能となる。
【0031】
加えて、上記親指装着部は、少なくとも、帯状弾性部材と、その両端に設けられ箸本体に取り付け可能となっている取り付け部とからなっている。そのため、親指装着部の構成をより簡素なものとすることできるので、より簡単に持ち方矯正箸を製造することができるとともに、製造コストの増加を抑制することもできる。
【0032】
上記持ち方矯正箸においては、上記取り付け部は、箸本体を嵌入可能とする管状部材で、その断面が円の一部が切れた形状になっているか、または、ハサミ形状になっていることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、管状部材の場合、その断面は円の一部が切れた形状になっているので切り欠き部を有することになる。そのため、箸本体の太さが変化しても、切り欠き部による緩衝作用で、内周を変化させることが可能になり、箸本体に対する親指装着部の着脱が容易となる。また、ハサミ形状であれば、挟み込みの力によって確実に箸本体に親指装着部を取り付けることができる。
【0034】
したがって、従来の持ち方矯正箸を、箸の持ち方になれていない初学者用に用いる一方、本発明にかかる持ち方矯正箸を、ある程度箸の持ち方に慣れた中級者用に用いることで、箸の持ち方を段階的に習得することが可能となる。その結果、本発明にかかる持ち方矯正箸と従来の持ち方矯正箸とを組み合わせることで、より系統的な教習プログラムを構築することが可能になり、使用者に、正しい箸の持ち方を効率的かつ確実に習得させることができる。
【0036】
上記持ち方矯正箸においては、上記構成に加えて、上記箸本体に、親指装着部の取り付け位置を表す目盛りが付されていることがより好ましい。
【0037】
上記構成によれば、箸本体における親指装着部の形成位置を変化可能となっていれば、汎用性が向上する反面、親指装着部の適切な形成位置がわからなくなるおそれもあるが、上記のような目盛りが形成されていれば、手のひらの大きさに合わせて、適切な位置に親指装着部を形成することができる。その結果、持ち方矯正箸の汎用性をさらに一層向上することが可能となる。
【0038】
本発明にかかる持ち方矯正箸セットは、上記の課題を解決するために、少なくとも、一対の箸と上記構成の矯正補助具とからなることを特徴としている。
【0039】
上記構成によれば、箸と矯正補助具とをセット化することで、安価なだけでなく汎用性も高く、使い易い持ち方矯正箸セットを提供することができる。
【0040】
上記持ち方矯正箸セットにおいては、上記構成に加えて、上記一対の箸の少なくとも一方に、持ち方矯正補助具の取り付け位置を表す目盛りが付されていることがより好ましい。上記構成によれば、目盛りが形成されていれば、手のひらの大きさに合わせて、適切な位置に矯正補助具を取り付けることができる。その結果、持ち方矯正箸の汎用性をさらに一層向上することが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
本発明にかかる箸の持ち方矯正補助具(矯正補助具)は、箸を把持した際に下方に位置する箸(下方箸)の位置を規定するために、一対の箸の少なくとも一方に装着することによって、箸の側方から突出する親指装着部を形成するものである。
【0043】
具体的には、図2に示すように、本実施の形態における箸の持ち方矯正補助具(箸矯正補助具)1は、例えば、2つの小円環3a・3bと、これら小円環3a・3bの間に配置される結束部材4とを有している。
【0044】
上記小円環3a・3bは、1つの円環弾性部材2を中央部分にて上記結束部材4で結束することによって形成されており、図3に示すように、各小円環3a・3bそれぞれに箸5bを挿入するようになっている。その結果、図4に示すように、箸5bの側方から突出し、箸5bを把持した際に親指を挿入するための親指装着部7が形成される。
【0045】
本発明にかかる箸矯正補助具1を装着した箸5bは、図1に示すように、把持した際に下方に位置する下方箸5bとなる。一方、箸矯正補助具1を装着しない箸5aは、把持した際に上方に位置する上方箸5aとなる。これら上方箸5aおよび下方箸5bの組合せからなる箸5を把持することで、下方箸5bの把持位置を正確に規定することが可能になり、正しい箸の持ち方を容易に実現することができる。なお、本発明にかかる箸矯正補助具1を装着した箸5の持ち方(使用方法)については後に詳述する。
【0046】
上記円環弾性部材2としては、弾性を有し、略円環形状を有していれば特に限定されるものではないが、本実施の形態では、たとえば市販品の一般的な幅広の輪ゴムを好適に用いることができる。このように輪ゴムを用いることで、本発明にかかる箸矯正補助具1の製造に際して、特注品としての円環弾性部材2を新たに成形する必要がなくなり、箸矯正補助具1をより一層低価格にすることができる。
【0047】
さらに、上記円環弾性部材2としては、幅広の輪ゴムに限定されるものではなく、下方箸5bを十分保持できるようなものであればよい。また、その材質は、天然ゴムや各種合成ゴム、あるいは再生ゴムなどの狭義のゴム材料だけに限定されるものではなく、常温でゴム状弾性を有するエラストマー材料であればよい。なお、一般的に円環弾性部材2の材質は上記エラストマー材料を好ましく用いることができるが、必ずしもゴム状弾性を有する材質でなくてもよく、ある程度の弾性や伸縮性を有しておれば他の材質であってもよい。
【0048】
さらに本発明においては、上記円環弾性部材2の内周側の表面がシリコーン加工されたものであってもよい。内周側の表面がシリコーン加工されていると滑り難さを付与することができるので、小円環3a・3bに下方箸5bを装着した状態で箸5を安定した装着状態で保持することができる。上記シリコーン加工の方法としては特に限定されるものではなく、一般の円環弾性部材2の製造時にシリコーン加工する技術が公知となっている。また、円環弾性部材2を反転させて内周側の表面を外周側に露出させて公知のシリコーン剤を吹き付けたりしてもよい。
【0049】
上記円環弾性部材2のより具体的なサイズや形状は特に限定されるものではないが、図5に示すように、一定のバンド幅W1 を有するものを用いることが好ましい。これは、円環弾性部材2がある程度のバンド幅W1 を有することで、箸矯正補助具1によって形成された親指装着部7に、親指を装着した場合の快適性を向上することができるためである。
【0050】
上記バンド幅W1 の具体的な数値としては、親指装着部7に親指を挿入した場合、その親指と下方箸5bとを十分固定できる程度の幅であれば特に限定されるものではない。しかしながら、通常は、3mm以上5mm以下の範囲内(3mm≦W1 ≦5mm)が好ましい。
【0051】
上記バンド幅W1 が3mm未満であれば、親指装着部7で親指を十分に固定できなくなるおそれがある。その上、バンド幅W1 が細すぎるため、親指を固定した際に、その円環弾性部材2による弾性伸縮作用によって親指装着部7が親指にくいこみ、使用者に痛み等の不快感を与えることになるため好ましくない。一方、5mmを超えると、親指に接触する円環弾性部材2の面積が拡大するため、親指に過剰な接触感覚が残るため、使用者は、箸5を把持した際に正しい手の形および力の入れ具合を維持し難くなるため好ましくない。
【0052】
もちろん、箸5の形状やサイズ、あるいは使用者の好み等によってバンド幅W1 が上記範囲内から外れても好ましい場合があるため、バンド幅W1 の範囲は必ずしも上記範囲内に限定されるものではない。
【0053】
また、上記円環弾性部材2の厚みt(図2参照)についても特に限定されるものではない。この厚みtは、円環弾性部材2と下方箸5bとを組み合わせた場合に、該下方箸5bを小円環3a・3bで十分に保持できる程度の強度を確保できるような厚みtであればよい。例えば、本実施の形態で用いている市販の輪ゴムでは、その厚みtは1mm前後となっており、実用上は、この厚みtで十分となっている。
【0054】
上記結束部材4としては、1つの円環弾性部材2の中央部分を結束することで、上記2つの小円環3a・3bを形成できるようになっておれば特に限定されるものではない。本実施の形態では、たとえば、図2に示すように、帯状の結束部材4によって、円環弾性部材2の中央部分を、一定の間隔を開けて略平行に配置した状態で結束している。
【0055】
このように結束部材4が、帯状になっていると、図1に示すように、結束部材4が、親指装着部7を形成した状態で親指の背の部分に当接する指背保護部材となる。つまり、親指装着部7に親指を挿入した状態で、親指の背の部分に指背保護部材(結束部材4)が当接していれば、円環弾性部材2の収縮作用によって、親指の第1関節と第2関節との間の指背に加えられる圧力、つまり円環弾性部材による締め付けを和らげることができる。
【0056】
そのため、本発明にかかる箸矯正補助具1の使用時の不快感の発生を回避することが可能になり、使用者はより一層正しい手の形および力の入れ具合を維持しやすくなる。その結果、正しい箸の持ち方を容易かつ安定して実現することができる。
【0057】
上記結束部材4のより具体的な構成としては、特に限定されるものではないが、図1に示すように、親指装着部7を形成した場合に、結束部材4が親指の指背部分に当接するため、円環弾性部材2を結束した状態で安定して小円環3a・3bを形成できるとともに、柔軟性を有する材料で形成されることが非常に好ましい。たとえば本実施の形態では、帯状の結束部材4としてビニールテープなどのテープ材が好適に用いられている。
【0058】
このようにテープ材を結束部材4として用いると、円環弾性部材2を中央部分の外側からテープ材を巻き付けるだけで容易に小円環3a・3bを形成することができる。そのため、箸矯正補助具1の構成を簡素化できるだけでなく、製造過程を簡素化できる上に、製造コストの増大も抑制することができる。
【0059】
また、本実施の形態では、上記結束部材4が指背保護部材を兼ねていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、指背保護部材は結束部材とは別の構成となっていてもよい。従って、指背保護部材は、親指の第1関節と第2関節との間の指背を保護するようになっておれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。例えば、上記テープ材以外に、第1関節から第2関節との間の指背を保護できるものであり、かつ親指に大きな違和感を与えることがないものであれば特に限定されない。例えば、輪ゴムと同様の各種ゴム材料やエラストマー材料、または、シリコーン樹脂、ボール紙などの紙材料を挙げることができる。
【0060】
下方箸5bに上記箸矯正補助具1を装着して形成された親指装着部7は、図4に示すように、結束部材4と対応するように、小円環3a・3bによって保持された下方箸5bが配置されることで形成される。そして、この親指装着部7に親指を挿入することによって、円環弾性部材2の収縮作用により、下方箸5bを親指に密着させて固定する。それゆえ、親指装着部7の内径は、親指の太さ(厚み)よりも若干小さくなっていることが好ましい。
【0061】
これは、親指装着部7の内径が、親指の厚みと同じかそれ以上であると、親指装着部7の中に単に親指を挿入するだけとなってしまい、下方箸5bを十分に固定することができないことになるためである。これに対して、親指装着部7の内径が親指の厚みよりも若干小さくなっていれば、該親指装着部7に親指を装着すると、親指の厚みの方が大きいので親指装着部7を形成する円環弾性部材2が延伸することになる。そのため、延伸状態から元の状態へ戻ろうとする円環弾性部材2の収縮作用によって、上記下方箸5bが親指に十分に固定される。
【0062】
もちろん、円環弾性部材2として用いられる弾性材料(本実施の形態では幅広の輪ゴム)の延伸作用に限界があるので、親指装着部7の内径があまり小さ過ぎると、今度は親指を挿入することが困難になってしまうので好ましくない。したがって、親指装着部7は、児童のような力のない使用者でも容易に自分の親指を挿入できる程度の内径を有することが好ましい。
【0063】
具体的には、図5に模式的に示すように、上記円環弾性部材2を略平板状に押しつぶした直線状態での長さL1 が重要となる。その理由は、この長さL1 が本発明の構成上、親指装着部7の周長となるためである。なお、ここでいう直線状態の長さL1 とは、小円環3a・3bの円周の長さの半分を加算した長さを示すものとする。
【0064】
上記親指装着部7の内径を好ましい範囲とするには、上記長さL1 が、親指の周長より若干短い程度が好ましい。これによって、円環弾性部材2が親指の周りをほぼ囲んだ状態となり、伸縮可能な該円環弾性部材2が、ある程度延伸した状態で、下方箸5bと親指とを固定できるようになる。それゆえ、上記長さL1 は、使用者の手のひらのサイズ(特に親指の太さ)によって好ましい範囲を適宜設定することが好ましい。
【0065】
なお、使用者の親指の形や円環弾性部材2の微妙な材質の違いによって、実際の使用に際しては、親指装着部7の周長は親指の周長から外れることもある。それゆえ、上述した親指装着部7の周長の限定は、一般的に見て好ましいと見なすことができる範囲であって、本発明にかかる箸矯正補助具1がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0066】
次に、上記の箸矯正補助具1を取り付けた箸5の持ち方、すなわち本発明にかかる箸矯正補助具1を装着した箸5の使用方法について説明する。
【0067】
本発明にかかる箸矯正補助具1を下方箸5bに取り付けて親指装着部7を形成した場合には、上記小円環3a・3bに挿入した下方箸5bは、円環弾性部材2の弾性による収縮作用と、その表面が有する摩擦性とによって装着状態を安定して保持することができる。
【0068】
さらに、上記親指装着部7に親指を挿入すると、上記と同様、円環弾性部材2の弾性力によって、親指がほぼ動かないように固定される。そのため、図1に示すように、親指の付け根近傍の「股」部分で、下方箸5bを手の大きさに合わせて、任意の位置で固定することができる。この状態では、下方箸5bは親指に対して略直交するような状態に安定して固定される。
【0069】
一方、上方箸5aは、この上方箸5aを把持する、親指の先端、人差指の先端、並びに、中指の第1関節近傍における人差指側の側方部(爪の生え際近傍)には、何ら箸矯正補助具1が接触することはないため、該上方箸5aを自由に動かすことができる。
【0070】
そのうえ、上方箸5aを支持している3本の指のうち、親指は、下方箸5bに固定されているため、該下方箸5bを把持するために、過剰に力を加えるような状態は起きない。したがって、上方箸5aを把持する際には、親指は該上方箸5aの位置を支えるために軽く当接されるのみとなる。そして、人差指と中指とが実際に上方箸5aを動かすために用いられることになる。その結果、上方箸5aは、固定されている下方箸5b側に対して容易に動くようになる。
【0071】
より具体的に説明すると、例えば、図6に示すように、一対の箸5を把持した状態では、上方箸5a・下方箸5bで形成される平面Aを仮定することができる。上方箸5aは、その先端部が下方箸5bの先端部に接近したり離間したりする方向(図中X方向)、つまり、図中でX−Y方向に広がる上記平面A内であれば、上記3本の指で容易に動かすことができるようになっている。これは、上方箸5aに当接する3本の指のうち、親指が軽く当接して位置を支える程度の働きしかしないためである。
【0072】
言い換えれば、平面Aの広がり方向にX軸およびY軸を、該平面Aの法線方向にZ軸を想定してX−Y−Z座標系を設定した場合に、上方箸5aは、その先端部が、上記平面A内、すなわち(X,Y,Z)の座標において、必ずZ座標が0となる(Z=0)範囲内には移動可能となっている。
【0073】
しかし、上記平面Aから外れる方向、すなわち(X,Y,Z)の座標において、Z座標の成分が0でない(Z≠0)方向には動かし難くなっている。つまり、箸矯正補助具1を取り付けた箸5を把持すると、両方の箸(上方箸5a・下方箸5b)の先端部を近接させたり離間させたりする分には容易に動かすことができる反面、それ以外の方向には上方箸5a・下方箸5bを動かし難くなる。
【0074】
ところで、上記のZ座標の成分が0でない(Z≠0)方向に動かして、箸を使用することは、いわゆる、交わり箸と呼ばれている。この交わり箸においては、一対の箸5で形成される上記平面Aから上方箸5aが外れて動く(Z座標の成分が0でない方向)ことを原因とするものである。このように上方箸5aが上記平面Aから外れる最大の原因としては、親指に過剰に力を入れてしまうことが挙げられる。
【0075】
しかしながら、本発明にかかる箸矯正補助具1では、上方箸5aを支持するとき、親指を下方箸5bに固定しているため、該下方箸5bを把持するための親指に過剰の力を加えてしまうという状態は確実に回避することができる。
【0076】
すなわち、本発明にかかる箸矯正補助具1を用いると、箸5を把持した際には、下方箸5bは親指の付け根近傍に当接してほとんど不動の状態となる。一方、上方箸5aは親指、人差指および中指の先端で支持されている。このとき、上方箸5aに対しては、親指は軽く当てがわれているだけであるのに対し、上記人差指と中指はその自由度が大きく保証されている。そのため、これら人差指と中指が主体となって上方箸5aを動かすことになる。つまり箸5の正しい持ち方の基本である、上方箸5aが自由に動かせる一方、下方箸5bがほぼ不動となるような持ち方ができることになる。
【0077】
そのため、正しく把持する位置に親指を固定して箸5を使用していると、正しい箸の持ち方を身に付けることができる。
【0078】
ここで、箸5の正しい持ち方では、図7に示すように、下方でほぼ固定される下方箸5bと、上方で自由に動かすことが可能に支持されている上方箸5aとの間には、一定の間隔Hが確保される。この間隔Hは、箸5を把持した状態において、下方箸5bを固定支持するための親指の付け根近傍から、上方箸5aを可動支持するため親指の先端部近傍までの長さに略対応すると見なすことができる。それゆえ箸5を正しく把持した際における上方箸5a−下方箸5bの間隔Hは、使用者の手のひらの大きさに依存することになる。
【0079】
このように、上記上方箸5a−下方箸5bの間隔Hは、手のひらの大きさに個人差があるため必ずしも明確な数値範囲に限定できるものではないが、一般的には、児童の場合では10mm以上25mm以下の範囲内、大人の場合では、20mm以上35mm以下の範囲内程度である。
【0080】
ところで、箸5を把持する場合には、図7に示すように、通常、箸5の先端から全長の70〜80%程度の位置(後端から見て20〜30%程度の位置)を把持することがほとんどである。ところが、手のひらが小さい児童が大人用の箸5を把持した場合には、図8に示すように、上記70〜80%程度の位置ではなく、より先端側の位置を把持する例が見られる。
【0081】
すなわち、図9に示すように、手のひらが小さい児童が、大人用の長い箸5を把持した場合、大人と同様に上記70〜80%程度の位置で箸5を把持すると、箸5の先端では、実は先端同士ではなく、側面同士が接触することになる。この場合、細かいものを箸5で摘むことができなくなってしまう。これに対して、図8に示すように、より先端側の位置を把持すると、箸5の先端では、先端同士が接触するので、細かいものを摘むことが可能になる。したがって、児童が長い箸5を把持する場合に、より先端側の位置を把持する例があるのは非常に合理的であると言える。
【0082】
上記の例を上記間隔Hから見ると、図8に示すような、より先端側となる位置で箸5を把持した場合には、使用者(児童)の手のひらの大きさに応じた間隔Hが確保される。そのため、上方箸5a・下方箸5bの先端を近接させたときの角度θ(近接角度θ)は、先端同士が接触できる適切な角度となり、「正しい箸の持ち方」を実現することができる。
【0083】
これに対して、図9に示すような上記70〜80%程度の位置で箸5を把持すると、持ち方そのものは正しくても、使用者(児童)の手のひらから鑑みれば間隔Hが小さくなってしまう。そのため近接角度θも小さくなってしまい、先端同士が接触せず側面同士が接触する事態を招き、「正しい箸の持ち方」を実現することができない。
【0084】
この事実から明らかなように、箸5の正しい持ち方においては、上記間隔Hが非常に重要となる。
【0085】
ここで、従来の箸矯正補助具と比較した場合、従来の構成では、使用者の手のひらの大きさに合わせた形状を有していた。そのために、使用者の手のひらに応じて上記間隔Hを考慮に入れたサイズとする必要があった。したがって、従来の構成では、正しい箸の持ち方をより一層確実に実現することができる反面、汎用性に欠けていた。
【0086】
これに対して本発明にかかる箸矯正補助具1では、下方箸5bの位置を規定するのみで正しい箸の持ち方を実現できるので、箸5の長さと使用者の手のひらの大きさとに基づいて、親指装着部7の位置を変えるのみで、上記間隔Hを適切な長さとし、結果として、近接角度θを適切な角度にすることができる。そのため、非常に汎用性に優れる。
【0087】
つまり、本発明にかかる箸矯正補助具1は、その小円環3a・3bに下方箸5bを挿入して、円環弾性部材2の表面が有する摩擦性によって、該下方箸5bを保持することによって、親指装着部7を形成する構成となっている。そのため、上方箸5aに対する下方箸5bの位置を完全に規定しないため、下方箸5b上で箸矯正補助具1を自由に移動させることで、上記間隔Hを適切な長さで確保することができる。そのため、任意に箸5の把持位置を変えることができるので、近接角度θを常に適切な角度とすることができる。
【0088】
しかも、本発明にかかる箸矯正補助具1は、弾性材料により形成される小円環3a・3bを2つ並列に配置した形状という非常に簡単な構成を有している。そのため、使用する際の心理的な障壁がほとんどなく、気軽に使用し易くなる。その結果、日常的に使用することで正しい箸の持ち方を身につけることが可能になる。
【0089】
さらに、構成が簡素である上に、円環弾性部材2や結束部材4としては、輪ゴムやテープ材を用いることができるので、箸矯正補助具1をより安価なものとすることができる。そのため、たとえば、箸矯正補助具1を無料で頒布することが可能になり、大人に改めて箸の持ち方の矯正を認識させることが可能となる。
【0090】
以上のように、本発明にかかる箸矯正補助具1を用いると、上方箸5aを支える3本の指のうち、過剰な力が入り易い親指が、上方箸5aに対して自然に軽く当接するのみとなるとともに、人差指および中指が上方箸5aを動かす主体となるように十分に当接する。それゆえ、上方箸5aは、一対の箸5で形成される平面A内でのみ容易に動かせるようになり、上記平面Aから外れて動かすことは比較的困難となる。
【0091】
それゆえ、本発明にかかる箸矯正補助具1を一対の箸5に対して取り付け、この箸5を把持するのみで、容易に正しい持ち方で箸5を把持することができるようになる。しかも、これを習慣付けることで、容易、確実かつ効率的に箸の正しい持ち方を身につけることができる。
【0092】
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について図10を用いて説明すれば、以下の通りである。なお、実施の形態1で用いた部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。また、本発明はこれに限定されるものではない。
【0093】
前記実施の形態1における箸矯正補助具1は、帯状の結束部材4を用いて小円環3a・3bを配置した形状を形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定部であってもよい。
【0094】
具体的には、図10(a)または図10(b)に示すように、一つの円環弾性部材2の中央部分を固定してなる固定部6を形成することで、上記2つの小円環3a・3bを並列配置した形状を形成してもよい。
【0095】
例えば、図10(a)に示す構成では、円環弾性部材2の中央部分を直接接着することで固定部6を形成している。この固定方法は特に限定されるものでなはく、固定部6を安定したものとできればよい。具体的には、接着剤等で接着させる方法や、熱を加えて熱溶着させる方法が挙げられる。これによって固定部6の構成をより安定したものとすることができる。
【0096】
あるいは、図10(b)に示す構成では、円環弾性部材2自身を中央部分で結ぶことにより固定部6を形成してもよい。これによって、より簡単に箸矯正補助具1を製造することができるとともに、接着剤等を用いる必要がないので、製造コストの増加を抑制することもできる。すなわち、本発明においては、小円環3a・3bを形成させることができれば、上記固定方法(すなわち固定部6の構成)は特に限定はされない。
【0097】
このように、一つの円環弾性部材2の中央部分を固定するだけで、本発明にかかる箸矯正補助具1を簡単に製造することが可能になる。その結果、箸矯正補助具1の構成をより一層簡素なものとすることができるとともに、箸矯正補助具1をより安価なものとすることができる。また、中央部分を固定する構成であるために、2つの小円環3a・3bの形成状態を非常に安定したものとすることができる。その結果、箸矯正補助具1を下方箸5bに装着して親指装着部7を形成した状態を非常に安定化することができる。
【0098】
あるいは、図10(c)に示す構成のように、円環弾性部材2自身をねじって交差部62を設け、小円環3a・3bを形成させても構わない。この場合、固定部6を設けるよりも、一層簡易な構成で箸矯正補助具1を製造できる。
【0099】
さらに、前記実施の形態1では、テープ材によって結束部材4を形成していたため、円環弾性部材2の中央は固定され、実質的に固定部6となっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、図10(d)に示すように、管状の結束部材41を用い、この結束部材41にて円環弾性部材2の中央部分を結束して小円環3a・3bを形成してもよい。
【0100】
この場合、中央部分を固定せずに結束するために、結束部材41を移動させることで2つの小円環3a・3bの大きさを変えることもできる。その結果、箸矯正補助具1を下方箸5bに装着し易くすることができる。
【0101】
さらに、上述した各例では、一つの円環弾性部材2を用いて箸矯正補助具1を形成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、図10(e)に示すように、2つの小円環弾性部材21・21同士を隣接配置して接着固定することで、接着部61を介して小円環3a・3bを形成するようになっていてもよい。なお、接着方法としては、図10(a)で説明した固定部6を形成する場合の方法を好適に用いることができる。
【0102】
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施の形態について図11ないし図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、前記実施の形態1・2で用いた部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0103】
本発明にかかる持ち方矯正箸は、前記実施の形態1および2の箸矯正補助具と同様に、箸を把持した際に下方に位置する箸(下方箸)の位置を規定するために、一対の箸の少なくとも一方に装着することによって、箸の側方から突出する親指装着部を形成するものであり、この親指装着部が実質的に箸本体と一体化しているものである。
【0104】
具体的には、本実施の形態の持ち方矯正箸8(以下、矯正箸8と記載)では、図11(a)・(b)に示すように、弾性材料により形成される親指装着部81が、箸本体(下方箸)80の側方部に形成されている構成を挙げることができる。この親指装着部81は、前記実施の形態1における幅広の輪ゴム(帯状の輪ゴム)と同様に、ゴムバンドのような帯状弾性部材82を箸本体80の側方に取り付けることによって形成される。
【0105】
つまり、本実施の形態では、親指装着部81は、箸本体80に両端が固定されてなる帯状弾性部材82によって構成される例を挙げることができる。これによって、親指装着部81の位置が箸本体80に対して固定化されるため、箸本体80と親指との位置関係をより一層確実に規定することができる。その結果、簡素な構成で確実に正しい箸の持ち方を実現することができる。
【0106】
上記親指装着部81の構成は、前記実施の形態1における親指装着部7と同様であり、その内径が、親指の太さ(厚み)よりも若干小さくなっていることが好ましい。
【0107】
従って、図12に示すように、親指装着部81を形成する帯状弾性部材82の長さL2 は、前記実施の形態1に記載した長さL1 と同様に、親指装着部81の周長の大部分を占めることになる。そのため、上記長さL2 は、前記長さL1 とほぼ同じであればよい。
【0108】
また、帯状弾性部材82のバンド幅W2 (帯幅)も、親指装着部81に親指を挿入した場合、親指を箸本体80に対して十分固定できる程度の幅であれば特に限定されるものではない。従って、前記実施の形態1と同様に、通常は、3mm以上5mm以下の範囲内(3mm≦W2 ≦5mm)であればよい。勿論、矯正箸8を構成する箸本体80の形状やサイズなどによってはバンド幅W2 は上記の範囲内から外れることが好ましい場合もあり、特に限定されるものではない。また、上記帯状弾性部材82の厚みについても特に限定されるものではなく、親指を親指装着部81に挿入した際に、その親指と箸本体80とが互いに密着して、保持できる程度の強度を確保できるような厚みであればよい。
【0109】
なお、上記親指装着部81を形成する帯状弾性部材82には、前記実施の形態1で説明した指背保護部材を設けるとより好ましい。これによって、親指装着部81に挿入した親指にかかる圧力(帯状弾性部材82による圧力)による圧迫を緩和させることになる。その結果、使用者が、より一層正しい手の形および力の入れ具合を維持しやすいくなり、容易に正しい持ち方で箸を把持することができるようになる。
【0110】
さらに本発明における矯正箸8においては、上記親指装着部81が箸本体80から着脱可能となっていることがより好ましい。
【0111】
具体的には、図13(a)・(b)に示すように、上記親指装着部81が、少なくとも、箸本体80を嵌入可能とする管状取り付け部(管状部材)83と、該管状取り付け部83の側面に両端が接続された帯状弾性部材82とからなっている構成を挙げることができる。この構成では、親指装着部81は、帯状弾性部材82の両端を固定した管状取り付け部83と、該帯状弾性部材82とで、親指を装着可能に環状に形成されることになる。
【0112】
あるいは、図14(a)・(b)に示すように、上記親指装着部81が、少なくとも、帯状弾性部材82と、その両端に設けられ箸本体80に取り付け可能となっている2つの端部取り付け部84a・84bとからなっている構成を挙げることもできる。この構成では、親指装着部81は、帯状弾性部材82と、端部取り付け部84a・84bを介して帯状弾性部材82とつながる箸本体80とで、親指を装着可能に環状に形成されることになる。
【0113】
上記何れの構成であっても、親指装着部81の構成をより簡素なものとすることができるので、より簡単に矯正箸8を製造することができるとともに、製造コストの増加を抑制することもできる。
【0114】
また、上記のように親指装着部81が箸本体80から着脱自在であれば、持ち方の矯正が必要な場合にのみ親指装着部81を取り付けることができる。しかも、着脱自在であるために、使用者の手のひらの大きさに合わせて、箸本体80における親指装着部81の形成位置を変化させることもできる。そのため、簡素な構成で確実に正しい箸の持ち方を実現することができるだけでなく、矯正箸8の汎用性をより一層向上することが可能となる。
【0115】
具体的には、上記親指装着部81は、箸本体80上において、その位置を任意に変えることができる。たとえば図13(a)・(b)に示す構成では、上記管状取り付け部83は、箸本体80に、例えば係止することで取り付けられる。そのため、該管状取り付け部83は、単に箸本体80から着脱できるだけでなく、箸本体80の両端間を任意に移動させることが可能となる。
【0116】
また、図14(a)、(b)に示す構成では、端部取り付け部84a・84b毎に帯状弾性部材82の端部が取り付けられている構成であるため、各端部取り付け部84a・84bの箸本体80上での位置をそれぞれ移動させることが可能となる。そのため、図15(a)に示すように、端部取り付け部84a・84bを互いに離す方向に移動させると、箸本体80と帯状弾性部材82との間隔Kが小さくなる。つまり、親指装着部81の偏平率が高くなる。
【0117】
そのため、このような親指装着部81に親指を挿入すると、親指の指背が帯状弾性部材82によって締め付けられるので、たとえば、より親指の位置を確実に規定したい場合には有効である。また、児童など親指の太さ(厚み)が比較的小さい場合にも有効である。
【0118】
一方、図15(b)に示すように、端部取り付け部84a・84bを互いに近づける方向に移動させると、上記箸本体80と帯状弾性部材82との間隔Kは大きくなる。つまり、親指装着部81の偏平率が低くなる。
【0119】
そのため、このような親指装着部81に親指を挿入すると、親指の指背が帯状弾性部材82によって締め付けられないので、たとえば、箸の正しい持ち方に慣れてきて、より親指の位置を緩く規定したい場合等には有効である。また、大人など親指の太さ(厚み)が比較的大きい場合にも有効である。
【0120】
このように、帯状弾性部材82の両端それぞれが箸本体80に取り付けられる構成であれば、使用者は、自分の手のひらのサイズに応じて、箸本体80上の適切な位置に親指装着部81を形成させることができるとともに、親指の大きさにあったサイズに親指装着部81の形状を変化させることができる。そのため、簡素な構成で確実に正しい箸の持ち方を実現することができるだけでなく、矯正箸8の汎用性をより一層向上することが可能となる。
【0121】
このように、本発明にかかる矯正箸8は、前記箸矯正補助具1と同様に、上記親指装着部81に親指を挿入するのみで正しい持ち方を実現することができる。しかも、下方箸5bすなわち箸本体80の位置を規定するのみで正しい箸の持ち方を実現できるので、一対の箸5の少なくとも一方に親指装着部81が設けられていればよくなる。そのため、持ち方矯正箸8の構成を非常に簡素化できる。そのため、持ち方矯正箸8を無料で頒布することも可能になり、大人に改めて箸の持ち方の矯正を認識させることが可能となる。
【0122】
なお、上記管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84b(まとめて取り付け部)の断面(図13(a)または図14(a)のB−B線矢視断面図)は、たとえば図16(a)に示すように、その内周の形状と外周の形状とが同様な形状(本図では、略円状)である管状(パイプ状)となっているが、これに限定されるものではない。
【0123】
例えば、図16(b)のように、管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bの内周の形状が略円状であるのに対して、外周の形状が略円形ではない形状、たとえば略四角形状となっていても構わない。また、図16(c)のように、内周の形状も外周の形状もともに略四角形状であっても構わない。すなわち、管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bは、箸本体80に親指装着部81を適切に取り付け、さらにその状態を安定化できる構成であれば特に限定されるものではない。
【0124】
さらに、管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bが管状であって、さらに、その長手方向に沿って切り欠き部85が形成されていてもよい。この場合、図16(d)に示すように、上記管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bの断面は、円の一部が切れた形状、例えば、アルファベットの「C」様の形状となる。このような構成であれば、箸本体80の太さが変化しても、上記切り欠き部85による緩衝作用で、内周を変化させることが可能になり、箸本体80に対する親指装着部81の着脱が容易となる。
【0125】
また、図16(e)のように、管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bは、ハサミ形状であっても構わない。具体的には、例えば、ハサミ形状の一例としては、基底面86bから一対の平板86a・86aが所定間隔を保持して立設した形状のものを挙げることができる。そして、上記平板86a・86aの間に、箸本体80が挟持される。
【0126】
このようなハサミ形状であれば、図中矢印Dに示すように、上記一対の平板86a・86aにおける挟み込みの力によって、確実に箸本体80に親指装着部81を取り付けることができる。
【0127】
もちろん、管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bを箸本体80に取り付ける際のより詳細な構成は上記の各例に限定されるものではない。
【0128】
ここで、管状取り付け部83の説明で述べたように、管状取り付け部83または端部取り付け部84a・84bといった各取り付け部においては、箸本体80と該取り付け部とが係止される構成であると好ましい。
【0129】
すなわち、使用者が本発明にかかる矯正箸8を使用する際には、箸本体80の所望の位置に取り付けられた該取り付け部が、その位置からずれたり、外れたりしない程度に保持されている必要がある。
【0130】
そのため、例えば、取り付け部をゴム等の摩擦力のある材料で作成し、該取り付け部の内周の表面が有する摩擦性あるいは収縮作用によって、箸本体80に係止させてもよい。あるいは、箸本体80の表面の少なくとも一部と、取り付け部の内周の表面とに、ギア状に噛み合うような噛み合わせ機構を設けておくことで、取り付け部と箸本体80とを係止させてもよい。
【0131】
〔実施の形態4〕
本発明の第4の実施の形態について図17および図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、前記実施の形態1〜3で用いた部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0132】
前記実施の形態1および2では、箸矯正補助具1についての例を挙げ、前記実施の形態3では、矯正箸8についての例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本実施の形態で説明するように、一対の箸と上記構成の矯正補助具とからなる持ち方矯正箸セット(以下、箸セットと記載)となっていてもよい。これによって、単に安価なだけでなく汎用性も高く、使い易い箸セットを提供することができる。
【0133】
具体的には、図17または図18に示すように、本発明にかかる箸セット9は、一対の箸5と前記実施の形態1(または実施の形態2)で説明した箸矯正補助具1とを含んでいる。ここで、上記一対の箸5の少なくとも一方(この場合、下方箸5b)には、箸矯正補助具1の取り付け位置を表す目盛り90が付されていることがより好ましい。このように目盛り90が形成されていれば、前記各実施の形態で説明したように、使用者の手のひらの大きさに合わせて、適切な位置に箸矯正補助具1を取り付けることができる。その結果、箸セット9の汎用性や使い易さをさらに一層向上することが可能となる。
【0134】
上記目盛り90の具体的な構成は、箸矯正補助具1を取り付ける位置が明確となるような構成であればよく、特に限定されるものではない。たとえば図17に示すように、定規のような単純目盛り91を形成する構成や、図18に示すように、下方箸5bの側面に小円環3a・3bを取り付ける位置を色分けして表示するような帯状目盛り92を形成する構成を挙げることができる。
【0135】
さらに図示しないが、本発明にかかる箸セット9には、目盛り90のどの位置に箸矯正補助具1を取り付けることが望ましいかを示す説明カードが含まれているとより好ましい。たとえば、使用者の年齢や手のひらの大きさに応じて、下方箸5bにおける目盛り90のどの位置に箸矯正補助具1を取り付けるかについて、箸5の具体的な図面とともに、取り付け位置を分かりやすく表示したカードを箸セット9に含めておく。そのため、使用者に応じて適切な箸セット9の使用が可能になるので、箸セット9の汎用性や使い易さを向上させることができる。
【0136】
もちろん、上記目盛り90の形成は、本実施の形態にかかる箸セット9に限定されるものではなく、前記実施の形態3で説明した、矯正箸8においても、箸本体80に親指装着部81の取り付け位置を表す目盛りが付されていることがより好ましい。
【0137】
下方箸5b(または箸本体80)における箸矯正補助具1(または親指装着部81)の形成位置が変化可能であれば、汎用性が向上する反面、箸矯正補助具1(または親指装着部81)の適切な形成位置がわからなくなるおそれもある。しかしながら、本実施の形態のように、下方箸5b(または箸本体80)に上記のような目盛り90を形成すれば、手のひらの大きさに合わせて、適切な位置に親指装着部7(または親指装着部81)を形成することができる。その結果、持ち方矯正箸の汎用性をさらに一層向上することが可能となる。
【0138】
加えて図示しないが、本発明にかかる箸セット9においては、従来の構成の持ち方矯正補助具や持ち方矯正箸を含めてもよい。
【0139】
従来の構成の箸矯正補助具や矯正箸は、使用者の手のひらの大きさに合わせた形状を有しているために、箸5の正しい持ち方をより一層確実に実現することができる反面、汎用性に欠けていた。これに対して、本発明にかかる箸矯正補助具1や矯正箸8は、下方箸5bの位置を規定するのみで正しい箸の持ち方を実現できるので、汎用性に優れるとともに、使用する際の心理的な障壁がほとんどなく、気軽に使用し易くなる。
【0140】
そこで、従来の箸矯正補助具や矯正箸を、箸5の持ち方になれていない初学者用に用いる一方、本発明にかかる箸矯正補助具1を、ある程度箸5の持ち方に慣れた中級者用に用いることで、箸5の持ち方を段階的に習得することが可能となる。その結果、本発明にかかる箸矯正補助具1と従来の箸矯正補助具とを組み合わせることで、より系統的な教習プログラムを構築することが可能になり、使用者に、箸5の正しい持ち方を効率的かつ確実に習得させることができる。
【0141】
その結果、箸5を日常的に使用する際に、段階的に持ち方を矯正することが可能になり、より一層確実に正しい箸の持ち方を身につけることができる。
【0142】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる箸の持ち方矯正補助具は、少なくとも、弾性材料により形成される小円環を2つ並列に配置した形状を有しており、一対の箸のうちの一方の箸を上記各小円環に挿入することで、箸の側方から突出する親指装着部を形成する構成である。
【0143】
上記構成によれば、上記箸の持ち方矯正補助具(矯正補助具と記載)を一対の箸の一方に取り付けて親指装着部を形成させ、この親指装着部に親指を挿入するのみで正しい持ち方を実現することができるという効果を奏する。
【0144】
また、本発明にかかる矯正補助具と従来の矯正補助具とを組み合わせることで、より系統的な教習プログラムを構築することが可能になり、使用者に、正しい箸の持ち方を効率的かつ確実に習得させることができるという効果も奏する。
【0145】
さらに、非常に簡単な構成を有しているため、矯正補助具をより安価なものとすることができる。それゆえ、矯正補助具を無料で頒布することが可能になり、大人に改めて箸の持ち方の矯正を認識させることが可能となるという効果も併せて奏する。
【0146】
上記矯正補助具においては、上記構成に加えて、一つの円環弾性部材の中央部分を結束部材で結束することで、上記2つの小円環を並列配置した形状を形成することが好ましい。
【0147】
上記構成によれば、一つの円環弾性部材を中央部分で結束することによって矯正補助具を簡単に製造することが可能になる。その結果、矯正補助具の構成をより一層簡素なものとすることができるとともに、矯正補助具をより安価なものとすることができるという効果を奏する。また、中央部分を結束する構成であるために、結束部材を移動させることで2つの小円環の大きさを変えることもできる。その結果、矯正補助具を箸に装着し易くすることができるという効果も併せて奏する。
【0148】
また、上記矯正補助具においては、上記構成に加えて、一つの円環弾性部材の中央部分を固定してなる固定部を形成することで、上記2つの小円環を並列配置した形状を形成しても好ましい。
【0149】
上記構成によれば、一つの円環弾性部材の中央部分を固定することによって矯正補助具を簡単に製造することが可能になる。その結果、矯正補助具の構成をより一層簡素なものとすることができるとともに、矯正補助具をより安価なものとすることができるという効果を奏する。また、中央部分を固定する構成であるために、2つの小円環の形成状態を非常に安定したものとすることができる。その結果、矯正補助具を箸に装着して親指装着部を形成した状態を非常に安定化することができるという効果も併せて奏する。
【0150】
さらに、上記固定部は、上記円環弾性部材の中央部分を接着することにより形成されることが好ましい。上記構成によれば、接着剤等を用いて中央部分を固定するため、固定部の構成をより安定したものとすることができるという効果を奏する。
【0151】
あるいは、上記固定部は、上記円環弾性部材の中央部分を結ぶことにより形成されても好ましい。上記構成によれば、円環弾性部材を結ぶだけでも十分安定した固定部を形成することができるので、より簡単に矯正補助具を製造することができるとともに、接着剤等を用いる必要がないので、製造コストの増加を抑制することもできるという効果を奏する。
【0152】
上記矯正補助具においては、上記構成に加えて、さらに、親指装着部を形成した状態で親指の背の部分に当接する指背保護部材を有することがより好ましい。
【0153】
上記構成によれば、親指装着部に親指を挿入した状態で、親指の背の部分に指背保護部材が当接しているため、弾性材料の収縮作用によって、親指の第1関節と第2関節との間の指背に加えられる圧力、つまり円環弾性部材による締め付けを和らげることができる。そのため、使用時の不快感の発生を回避することが可能になり、使用者はより一層正しい手の形および力の入れ具合を維持しやすくなる。その結果、正しい箸の持ち方を容易かつ安定して実現することができるという効果を奏する。
【0154】
さらに上記指背保護部材が結束部材または固定部を兼ねているとより好ましい。上記構成によれば、親指の指背を保護するためには、指背保護部材を、並列配置している2つの小円環の接続部分に配置することになる。そのため、この接続部分となる結束部材や固定部と指背保護部材とを兼用すれば、部材点数の増加を抑えることが可能になり、製造コストを低く抑えることができるという効果を奏する。
【0155】
上記矯正補助具においては、上記円環弾性部材が、一定の幅を有する帯状の輪ゴムであることが特に好ましい。
【0156】
上記構成によれば、矯正補助具の製造に際して、市販品の一般的な輪ゴムを利用することができる。そのため、特注品としての円環弾性部材を新たに成形する必要がなくなり、本発明にかかる矯正補助具をより一層低価格にすることができるという効果を奏する。
【0157】
本発明にかかる持ち方矯正箸は、以上のように、箸本体の側方から突出するように設けられ、弾性材料により形成され、箸本体から着脱可能となっている親指装着部を有しており、上記親指装着部が、少なくとも、帯状弾性部材と、その両端に設けられ箸本体に取り付け可能となっている取り付け部とからなっている構成である。
【0158】
上記構成によれば、上記矯正補助具と同様に、上記親指装着部に親指を挿入するのみで正しい持ち方を実現することができる。しかも、一方の箸の位置を規定するのみで正しい箸の持ち方を実現できるので、一対の箸の少なくとも一方に親指装着部が設けられていればよくなる。そのため、持ち方矯正箸の構成を非常に簡素化できるので、たとえば、矯正補助具を無料で頒布することも可能になり、大人に改めて箸の持ち方の矯正を認識させることが可能となるという効果を奏する。
【0159】
さらに、上記構成によれば、親指装着部が箸本体から着脱自在であるため、持ち方の矯正が必要な場合にのみ親指装着部を取り付けることができる。しかも、着脱自在であるために、使用者の手のひらの大きさに合わせて、箸本体における親指装着部の形成位置を変化させることもできる。そのため、簡素な構成で確実に正しい箸の持ち方を実現することができるだけでなく、持ち方矯正箸の汎用性をより一層向上することができるという効果を奏する。
【0160】
加えて、上記親指装着部は、少なくとも、帯状弾性部材と、その両端に設けられ箸本体に取り付け可能となっている取り付け部とからなっている。そのため、親指装着部の構成をより簡素なものとすることできるので、より簡単に持ち方矯正箸を製造することができるとともに、製造コストの増加を抑制することもできるという効果を奏する。
【0161】
上記持ち方矯正箸においては、上記取り付け部は、箸本体を嵌入可能とする管状部材で、その断面が円の一部が切れた形状になっているか、または、ハサミ形状になっていることが好ましい。
【0162】
上記構成によれば、管状部材であれば切り欠き部を有することになるので、箸本体の太さが変化しても、切り欠き部による緩衝作用で、内周を変化させることが可能になり、箸本体に対する親指装着部の着脱が容易となる。また、ハサミ形状であれば、挟み込みの力によって確実に箸本体に親指装着部を取り付けることができるという効果を奏する。
【0164】
上記持ち方矯正箸においては、上記構成に加えて、上記箸本体に、親指装着部の取り付け位置を表す目盛りが付されていることがより好ましい。
【0165】
上記構成によれば、箸本体における親指装着部の形成位置を変化可能となっていれば、汎用性が向上する反面、親指装着部の適切な形成位置がわからなくなるおそれもあるが、上記のような目盛りが形成されていれば、手のひらの大きさに合わせて、適切な位置に親指装着部を形成することができる。その結果、持ち方矯正箸の汎用性をさらに一層向上することが可能となるという効果を奏する。
【0166】
本発明にかかる持ち方矯正箸セットは、以上のように、少なくとも、一対の箸と上記構成の矯正補助具とからなる構成である。
【0167】
上記構成によれば、箸と矯正補助具とをセット化することで、安価なだけでなく汎用性も高く、使い易い持ち方矯正箸セットを提供することができるという効果を奏する。
【0168】
上記持ち方矯正箸セットにおいては、上記構成に加えて、上記一対の箸の少なくとも一方に、持ち方矯正補助具の取り付け位置を表す目盛りが付されていることがより好ましい。上記構成によれば、目盛りが形成されていれば、手のひらの大きさに合わせて、適切な位置に矯正補助具を取り付けることができる。その結果、持ち方矯正箸の汎用性をさらに一層向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる箸の持ち方矯正補助具を取り付けた箸を把持する例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す箸の持ち方矯正補助具の構成の一例を示す平面図である。
【図3】図2に示す箸の持ち方矯正補助具を箸に取り付ける際の過程の一例を示す説明図である。
【図4】図2に示す箸の持ち方矯正補助具を箸に取り付けることで形成される親指装着部の一例を示す説明図である。
【図5】図4に示す親指装着部を構成する際の、箸の持ち方矯正補助具のサイズを説明するための模式的説明図である。
【図6】図1に示す箸の持ち方矯正補助具を取り付けた箸を把持する際の各箸の動きを説明する説明図である。
【図7】正しい箸の持ち方の一例を示す説明図である。
【図8】手のひらが小さい使用者が長い箸を把持する場合に、適切な把持位置の一例を示す説明図である。
【図9】手のひらが小さい使用者が長い箸を把持する場合に、不適切な把持位置の一例を示す説明図である。
【図10】(a)〜(e)は、本発明の他の実施の形態にかかる箸の持ち方矯正補助具の例を示す概略平面図である。
【図11】(a)・(b)は、本発明にかかる持ち方矯正箸の一例を示す側面図である。
【図12】図11に示す親指装着部を構成する際の、帯状弾性部材のサイズを説明するための模式的説明図である。
【図13】(a)・(b)は、本発明にかかる持ち方矯正箸の他の例を示す側面図である。
【図14】(a)・(b)は、本発明にかかる持ち方矯正箸のさらに他の例を示す側面図である。
【図15】(a)・(b)は、図14(a)・(b)に示す持ち方矯正箸において、親指装着部の形状を変化させる例を示す説明図である。
【図16】(a)〜(e)は、図13(a)・図14(a)に示す持ち方矯正箸において、取り付け部の形状の例を示す断面図である。
【図17】本発明にかかる持ち方矯正箸セットの一例を示す説明図である。
【図18】図17に示す持ち方矯正箸セットの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 箸矯正補助具(箸の持ち方矯正補助具・矯正補助具)
2 円環弾性部材
3a 小円環
3b 小円環
4 結束部材(指背保護部材・固定部)
5 箸(一対の箸)
5b 下方箸(一方の箸)
6 固定部
7 親指装着部
8 持ち方矯正箸
9 持ち方矯正箸セット
21 小円環弾性部材(小円環)
41 結束部材
61 接着部(固定部)
80 箸本体
81 親指装着部
82 帯状弾性部材
83 管状取り付け部(管状部材)
84a 端部取り付け部(取り付け部)
84b 端部取り付け部(取り付け部)
90 目盛り

Claims (13)

  1. 少なくとも、弾性材料により形成される小円環を2つ並列に配置した形状を有しており、
    一対の箸のうちの一方の箸を上記各小円環に挿入することで、箸の側方から突出する親指装着部を形成することを特徴とする箸の持ち方矯正補助具。
  2. 一つの円環弾性部材の中央部分を結束部材で結束することで、上記2つの小円環を並列配置した形状を形成することを特徴とする請求項1に記載の箸の持ち方矯正補助具。
  3. 一つの円環弾性部材の中央部分を固定してなる固定部を形成することで、上記2つの小円環を並列配置した形状を形成することを特徴とする請求項1に記載の箸の持ち方矯正補助具。
  4. 上記固定部は、上記円環弾性部材の中央部分を接着することにより形成されることを特徴とする請求項3に記載の箸の持ち方矯正補助具。
  5. 上記固定部は、上記円環弾性部材の中央部分を結ぶことにより形成されることを特徴とする請求項3に記載の箸の持ち方矯正補助具。
  6. さらに、親指装着部を形成した状態で親指の背の部分に当接する指背保護部材を有することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の箸の持ち方矯正補助具。
  7. 上記指背保護部材が結束部材または固定部を兼ねていることを特徴とする請求 項6記載の箸の持ち方矯正補助具。
  8. 上記円環弾性部材が、一定の幅を有する帯状の輪ゴムであることを特徴とする請求項2ないし7の何れか1項に記載の箸の持ち方矯正補助具。
  9. 箸本体の側方から突出するように設けられ、弾性材料により形成され、箸本体から着脱可能となっている親指装着部を有しており、
    上記親指装着部が、少なくとも、帯状弾性部材と、その両端に設けられ箸本体に取り付け可能となっている取り付け部とからなっていることを特徴とする持ち方矯正箸。
  10. 上記取り付け部は、箸本体を嵌入可能とする管状部材で、その断面が円の一部が切れた形状になっているか、または、ハサミ形状になっていることを特徴とする請求項9に記載の持ち方矯正箸。
  11. 上記箸本体に、親指装着部の取り付け位置を表す目盛りが付されていることを特徴とする請求項9または10に記載の持ち方矯正箸。
  12. 少なくとも、一対の箸と、請求項1ないし8の何れか1項に記載の箸の持ち方矯正補助具とからなることを特徴とする持ち方矯正箸セット。
  13. 上記一対の箸の少なくとも一方に、持ち方矯正補助具の取り付け位置を表す目盛りが付されていることを特徴とする請求項12記載の持ち方矯正箸セット。
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