JP3645472B2 - 球状複合粉体及びこれを配合した化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発色性に優れ、安全性が高い、有機色素を組み込んだ球状複合粉体、及びこの球状複合粉体を配合した化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化粧料に対する多様な色彩ニーズから、化粧料にはこれまでにも増して多くの有機色素が使用される傾向にある。このため化粧用色素を安定に配合するための工夫が種々なされてきている。この例を挙げると、特開平4−292664には、シリカ、ナイロン、ポリエチレンに回転式ボールミルにより色素を表面に複合化する方法が開示されている。また、特開平11−12493には、屈折率2未満の無機粉体と有機色素とを無機塩を用いて付着及び/又は固着させた複合粉体を含有する化粧料が記載されている。これらの発明には、その有利な効果として、水や有機溶媒に対して安定で、ブリーディング(溶出)が生じにくく、又、使用部位への染着、すなわち色残りが少なく、使用性に優れる、と記載されているが、これらの効果は未だ十分ではない。色素を担持媒体の表面に付着するのでなはなく、担持媒体の内部に内包させる技術が望まれている。使用する有機色素をより高い彩度に発色させることができ、ブリーディングや色残りを更に改良できる化粧品中間原料としての複合粉体、及び、ブリーディング防止及び色残り防止が確実にでき、彩度の高い色に発色させた化粧料が強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、まず第1に、使用色素を高い彩度で発色させることができ、又、水や有機溶剤に対して色素が溶出することのない複合粉体を提供すること、第2には、高彩度な色合いを有して色味が良く、ブリーディングがなく、使用後に落としやすく、色残りのない、安全な化粧料を提供すること、である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記諸課題は、以下の方法により解決された。以下に好ましい実施態様と共に列挙する。
項1)熱可塑性樹脂及び少なくとも1種のカラーインデックス記載色素から実質的になる略球状の複合粉体、及び、これを配合した化粧料、
項2)熱可塑性樹脂の融点の温度において色素が熱に安定である項1)記載の複合粉体、
項3)熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の化粧品法定色素から実質的になる略球状の複合粉体、
ここで、「化粧品法定色素」とは、化粧品に配合できるタール色素を言い、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(昭和41年8月31日厚生省令第30号)」に規定されたタール色素から選ばれた少なくとも1種の色素をいう。
項4)化粧品法定色素が、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色223号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、よりなる群から選ばれた項3)記載の複合粉体、
項5)化粧品法定色素が、赤色104−1号、赤色201号、赤色202号、赤色223号、赤色226号、黒色401号、紫色401号、黄色4号、黄色401号、青色404号、及び青色1号のアルミニウムレーキよりなる群から選ばれた項3)記載の複合粉体、
項6)熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の化粧品法定色素から実質的になる略球状の複合粉体を配合した化粧料、
項7)口紅(リップスティック)、頬紅(チーク)、ファンデーション、マニキュア又はアイカラーである項6)記載の化粧料、
項8)化粧品法定色素が、赤色104−1号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色220号、赤色223号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、よりなる群から選ばれた項6)又は項7)記載の化粧料、
項9)化粧品法定色素が、赤色104−1号、赤色201号、赤色202号、赤色223号、赤色226号、黒色401号、紫色401号、黄色4号、黄色401号、青色404号、及び青色1号のアルミニウムレーキよりなる群から選ばれた項6)又は項7)記載の化粧料、
項10)熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、テフロン、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)よりなる群より選ばれた項6)ないし9)いずれか1項に記載の化粧料、
項11)熱可塑性樹脂が、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)よりなる群より選ばれた項6)ないし9)いずれか1項に記載の化粧料、
項12)複合粉体の90質量%以上が、3μm以上9μm以下の直径を有する、項6)ないし項11)いずれか1項に記載の化粧料、
項13)複合粉体の90質量%以上が、5μm以上7μm以下の直径を有する、項6)ないし項11)いずれか1項に記載の化粧料、
項14)熱に安定である色素を使用した項6)ないし項13)いずれかの化粧料。
【0005】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の複合粉体は、熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の化粧品用色素から実質的になる略球状を呈した複合粉体である。
本発明の化粧料は、少なくとも1種の上記複合粉体を配合したものである。
【0006】
本発明の化粧品法定色素とは、薬事法第42条第2項の規定に基づく化粧品品質基準、により化粧品に使用することが許可されている色素をいう。この化粧品品質基準は現在廃止の方向にあり、新たに化粧品基準の制定が検討されているが、この化粧品基準においても、化粧品に配合されるタール色素は、前記の省令に規定されたタール色素以外のものであってはならない、とされる方向で検討が進んでいる。
これらの法定色素は、その色相により6群に大別され、以下に示す合計83種類である。
(1)褐色201号、黒色401号、紫色201号、及び紫色401号。
(2)青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、及び青色404号。
(3)緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、及び緑色402号。
(4)黄色201号、黄色202−1号、黄色202−2号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403−1号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、及び黄色5号。
(5)橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、及び橙色403号。
(6)赤色102号、赤色104−1号、赤色105−1号、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230−1号、赤色230−2号、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、及び赤色506号。
【0007】
以上83種の色素に加えて、厚生省令第30号別表1ないし3に掲げる各種金属レーキもまた本発明に使用できる。具体的には、別表第1第19号のアルミニウムレーキ、別表第2第46号のアルミニウムレーキ、別表第2第47号のバリウムレーキ、別表第2第48号のジルコニウムレーキ、別表第3第26号のアルミニウムレーキ、別表第3第27号のバリウムレーキ、が挙げられる。
【0008】
本発明の複合粉体又は化粧料に好ましく使用される化粧品法定色素は、赤色104−1号、赤色201号、赤色202号、赤色223号、赤色226号、黒色401号、紫色401号、黄色4号、黄色401号、青色404号、及び青色1号のアルミニウムレーキ、よりなる群から選ばれる色素である。
【0009】
本発明おいて、色素が熱に安定であるとは、熱可塑性樹脂の融点の温度に加熱したポリエチレングリコール中で、1時間の分解量が20%未満、好ましくは、10%未満であることをいう。さらに詳しくは、明成化学工業(株)製ポリエチレンオキサイドR150またはこれと同等品13質量部中に混合した1質量部の色素を180℃に1時間加熱した後の色素の残存量を吸光度分析法に基づいて決定し、この残存率が80%以上、好ましくは90%以上の色素が本発明に好ましく使用できる。
例えば、赤色201号、及び赤色202号の方が、黄色401号よりも熱に安定である。
【0010】
また本発明の複合粉体及び化粧料に特に好ましく使用される化粧品法定色素は、赤色104−1号、赤色201号、赤色202号、赤色223号、赤色226号、黒色401号、紫色401号、黄色4号、黄色401号、青色404号、及び青色1号のアルミニウムレーキよりなる群から選ばれた色素である。
【0011】
本発明の熱可塑性樹脂は、加熱により可塑性を有する樹脂であり、複合球状粉体を形成する上で、化粧品法定色素を保持ないし分散するバインダーとなる。熱可塑性樹脂には、多くの合成高分子が該当するが、本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド類、特に各種ナイロン、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリふっ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリル酸メチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アクリロニトリル・スチレンコポリマー、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン・アクリル酸コポリマー、エチレン・プロピレンコポリマー、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー)、熱可塑性弾性体、例えばスチレン・ブタジエンブロックポリマー等の付加重合体が例示できる。
【0012】
本発明の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、テフロン、及びエチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)が好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、及びナイロン12が特に好ましい。
【0013】
熱可塑性樹脂は、2種以上の、同種又は異種の、熱可塑性樹脂の混合物であっても良い。異種の熱可塑性樹脂混合物(ポリマーブレンド)の成分が非相溶である場合には、相溶化剤を用いて両相の分散を良化させることが好ましい。更に好ましくは混合状態を制御したいわゆるポリマーアロイを本発明に用いることができる。ポリマーアロイを用いて、耐熱性、強靱性、造粒性を改良することができる。ポリマーアロイの例としては、ポリフェニレンオキサイド(PPO)/ポリスチレン(PS)、ポリベンズイミダゾール(PBI)/ポリイミド(PI)、PPO/ABS、ABS/ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)/PC、PET/PC、PBT/PET、PBI/PI、ナイロン/変性ポリオレフィン、PBT/変性ポリオレフィン、ナイロン/PPO、ABS/ナイロン、ABS/PBT、ナイロン/PPO、ナイロン/ABS、ナイロン/PCを挙げることができ、その他の具体例は、高分子学会編、先端高分子材料シリーズ3「高性能ポリマーアロイ」、(平成3年、丸善)等に記載されている。
【0014】
本発明において、必要に応じて、色相の異なる又は類似の、2以上の異なった化粧品法定色素を併用することができる。化粧品法定色素は熱可塑性樹脂の球状粒子内部に含有させることが好ましい。
【0015】
「実質的に熱可塑性樹脂及び化粧品法定色素からなる」とは、その他の成分が20質量%以下、好ましくは10質量%以下であって、化粧品法定色素の吸収特性が阻害されないことを意味する。本発明の球状粉体及び本発明の化粧料に配合する球状粉体は、熱可塑性樹脂及び化粧品法定色素からなることが特に好ましい。
【0016】
化粧品法定色素の熱可塑性樹脂組成物全体に対する配合量にはこの組成物が微粒子に分散され造粒される以上特に制限はないが、一般的には、0.1質量%以上80質量%以下であり、好ましくは3ないし60質量%である。
より詳しくは、口紅(リップスティック)やほほ紅の場合には、好ましくは5質量%以上50質量%以下、更に好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
又、マニキュアやアイカラーの場合には、好ましくは3質量%以上30質量%以下、更に好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
【0017】
本発明の複合粉体及び本発明の化粧料に配合する複合粉体は、以下の工程(1)及び工程(2)を含む製造方法により製造することができる:
(1)熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の化粧品法定色素から実質的になる熱可塑性樹脂組成物を、この組成物と相溶性のない分散媒と共にこの組成物の融点以上の温度に加熱して混合し、微粒子に分散する工程(1)、及び
(2)得られた熱可塑性樹脂組成物の微粒子をその融点以下の温度に冷却して、平均粒径が約1μm以上約10μm以下である、略球状の複合粉体とする工程(2)、を含むことを特徴とする球状複合粉体の製造方法。
【0018】
分散媒は、前記の工程(1)の分散工程において、熱可塑性樹脂組成物を微粒子に分散させるための連続相を形成し、熱可塑性樹脂と相溶性を有しない。相溶性を有しないとは、加熱温度において、1質量%以上の溶解度を有しないことをいう。分散媒は、好ましくは熱可塑性樹脂に対して、相溶性を有さず、好ましくは貧溶剤であることが望ましい。ここで、貧溶媒とは、所定温度における熱可塑性樹脂溶液に添加するとその熱可塑性樹脂の溶解度が減少するような溶媒をいう。本発明の分散媒は、2以上の分散媒の混合物であっても良く、熱可塑性樹脂組成物に対して、室温から工程(1)の加熱温度の範囲にわたり、貧溶媒であることが望ましい。本発明の分散媒は、熱可塑性樹脂組成物に対して、容量で、0.5倍以上5倍以下使用される。
【0019】
本発明に使用する分散媒の好ましい例は、ポリアルキレンオキサイド類、例えばポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及びその誘導体(アセタール化体等)、ポリブテン、ワックス、天然ゴム、合成ゴム、例えばポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、石油樹脂等であり、これらを単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。ポリアルキレンオキサイド類は、異なった重合度のものが市販されており、これらの成分を適宜組み合わせることにより、工程(1)の分散温度において分散媒が所望の粘弾性を有するように調節することができる。
【0020】
本発明において、熱可塑性樹脂組成物の融点は、示差走査熱量測定(DSC)法により測定した融点をいう。熱可塑性樹脂及び化粧品法定色素から実質的になる熱可塑性樹脂組成物の融点は、熱可塑性樹脂の融点で近似することができる。種々の熱可塑性樹脂の融点は、ハンドブック類、製造メーカーの技術資料等に記載されている(例えば、実用プラスチック辞典、材料編、増補改訂、320ページ、表1−4(1993年、産業調査会発行)。例えば、ナイロン12の融点は、約180℃である。本発明において、熱可塑性樹脂の融点は30℃以上300℃以下であることが好ましい。工程(1)の微粒子分散工程の温度は、使用する熱可塑性樹脂の融点よりも、10℃ないし200℃高い温度に加熱し、好ましくは20℃ないし150℃高い温度に加熱し、混合することが好ましい。加熱温度が低すぎると、熱可塑性樹脂組成物は微粒子に分散されにくく、絡まった繊維状になりやすい。加熱温度が高すぎると、熱分解等が起こるために好ましくない。
【0021】
本発明に使用するほぼ球状の複合粉体の製造方法において、工程(1)において樹脂組成物を分散媒中に微粒子に分散するための方法・装置は特に限定されない。例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等によって分散することができる。本発明の造粒方法では、湿式撹拌造粒に属すると考えられ、微粒子を分裂する力である、撹拌による剪断力と、微粒子を保持する力である、組成物の粘弾性及び界面張力とのバランスにより、粒子サイズが決定されると考えられる。均一な粒子サイズ分布を得るためには、撹拌による剪断力と組成物の粘弾性を均一にすることが好ましく、このためには、密閉型の分散機を用いて、かつその分散機内部の温度分布を均一にすることが好ましい。
【0022】
本発明において、工程(2)の後に、熱可塑性樹脂組成物と分散媒の混合物を、融点以下に冷却した後、該組成物の貧溶媒でかつ分散媒の良溶媒である展開溶媒とこの混合物を混合して、複合粉体の懸濁液としても良い。この場合、該混合物を冷却した後、クラッシャー等で粉砕したり、ペレタイザーでペレット化したり、押出機、ロール等でシート状に成形してから展開溶媒中に浸漬してもよい。
【0023】
展開溶媒としては、水、有機溶媒及びこれらの混合物を用いることができる。分散媒として、ポリアルキレンオキシド類を用いると、水を展開溶剤として使用することができる。複合粉体の懸濁液から目的とする球状複合粉体を、遠心分離、濾過、又はこれらの方法を組み合わせて分離することができる。分離した複合粉体は、必要に応じて、乾燥してから使用する。
【0024】
本発明の複合粉体の製造方法によれば、平均粒子径が約0.1μm以上であって約10μm以下の略球状の粒子(以下、単に「球状粒子」ともいう。)を得ることができる。ここで、「略球状」とは、粒子の直交3軸の比が2以下のものをいう。略球状の粒子には、真球状の粒子を含むことはいうまでもない。約0.1μm以上とは、0.01μmの数分の1までを含むことをいう。約10μm以下とは、数十μmの粒子径のものまで含むことを意味する。好ましくは、1μm以上であって、10μm以下の平均粒子径である。中でも複合粉体の90質量%以上が、3μm以上9μm以下の直径を有する複合粉体、及びこれを配合した化粧料が好ましく、複合粉体の80質量%以上が、5μm以上7μm以下の直径を有する複合粉体、及びこれを配合した化粧料が特に好ましい。
複合粉体の形状及び粒子径は、電子顕微鏡、光学顕微鏡等により測定できる。本発明の平均粒子径とは、粒子の直径の数平均をいう。
【0025】
本発明の化粧料に、ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12)を熱可塑性樹脂として使用した複合粉体を使用することにより、ローリング効果を発現させることができ、化粧品ののびを良くすることができ、サラサラした感触を与える。又、プレス製品への配合では、プレス性が向上するため、作業性が向上し、ワレの防止に有効である。本発明の球状複合粒子を配合することにより、これらの特性を加味することができる。本発明の化粧料には、化粧品に従来から使用されてきた粉体、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、粘剤、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、色素を同時に配合することができる。
【0026】
本発明において、熱可塑性樹脂、化粧品法定色素、複合粉体の粒子径又は粒子径分布、分散媒、展開溶剤、等の要素の好ましい例、又は、工程条件の好ましい範囲から任意の2以上を組み合わせた態様は、更に好ましい実施態様である。
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれに限られるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例1〜10
(粉体製造1:球状有機色素含有ナイロン複合粉体1)
ダイセル化学工業(株)製のダイアミド(ナイロン12)0.70Kgと赤色202号0.30Kgとを、明成化学工業(株)製のポリエチレンオキサイドR150の1.3Kgと良く混合した後、2軸型の加圧混練機中で、230℃に均一に加熱しながら混合し、球状有機色素含有ナイロン複合粉体を製造した。得られた混合物を約150℃に冷却した後、分散媒である水20リットルと混合して球状有機色素含有ナイロン複合粉体の懸濁液とした。遠心分離法により目的とする複合粉体を分離した後、加熱乾燥して、平均粒子径が5μmの有機色素赤色202号を内包したほぼ真球状の球状ナイロン複合粉体1を得た。この複合粉体は粒子径が5〜7μmの範囲に全複合粉体の85質量%が含まれる粒子径分布を有していた。
(粉体製造2:球状有機色素含有ナイロン複合粉体2)
上記の粉体製造1において、赤色202号0.30Kgに替えて、赤色201号0.30Kgを使用する以外は全く同様にして、赤色201号を内包したほぼ真球状の球状ナイロン複合粉体2を得た。
【0028】
(粉体製造3〜10)
粉体製造1と同様にして、粉体製造3〜10を行った。粉末製造1〜10により得られた球状複合粉体の組成を以下に示す。
【表1】
単位:質量%
【0029】
実施例11〜16
上記の複合粉体を配合したリップスティックの実施例を以下に示す。
【表2】
単位:質量%
【0030】
実施例17〜19
同じく前記の複合粉体を配合した頬紅の実施例を以下に示す。
【表3】
単位:質量%
【0031】
実施例20〜22
前記の複合粉体を配合したパウダーファンデーションの実施例を以下に示す。
【表4】
単位:質量%
【0032】
実施例23〜24
マニキュアの実施例を以下に示す。
【表5】
単位:質量%
【0033】
実施例25〜26
同じく前記の複合粉体を配合したアイシャドウの実施例を示す。
【表6】
単位:質量%
【0034】
実施例27
(粉体製造11〜12:球状有機色素含有複合粉体)
ダイセル化学工業(株)製のダイアミド(ナイロン12)0.70Kgを使用する替わりに東ソー(株)製ウルトラセン(EVA)を使用する以外は全く同様にしてEVAに赤色202号を内包した球状複合粉体11を製造した。
ダイセル化学工業(株)製のダイアミド(ナイロン12)0.70Kgを使用する替わりに三菱化学(株)ノバテックPP(ポリプロピレン)を使用する以外は全く同様にしてポリプロピレンに赤色202号を内包した球状複合粉体12を製造した。
【0035】
【本発明の効果】
本発明の球状複合粉体及びこれを配合した化粧料は、発色性に優れる。すなわち、色素の吸収スペクトルの半値幅が狭くなり、また低吸収領域でシャープに吸収が消失する。このため本発明の化粧料は、鮮やかで、微妙な色合いにできる。本発明の化粧料は、落としやすく、色残りがない。例えば、本発明の口紅は、伸びが良く、口元になめらかになじむ他、使用後には石けんで落としやすく、又、くちびるに染色したり、色残りすることがない。本発明の頬紅は自然で透明感のあるメイクができ、また使用後には石けんによる洗い落としが簡単である。本発明の化粧料は、色素が熱可塑性樹脂に内包されており、直接肌に接することがないので、敏感な肌にもアレルギー症状を起こさない。
Claims (4)
- ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)よりなる群から選ばれた少なくとも1つの熱可塑性樹脂並びに少なくとも1種の化粧品法定色素から実質的になる略球状の複合粉体。
- ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)よりなる群から選ばれた少なくとも1つの熱可塑性樹脂並びに少なくとも1種の化粧品法定色素から実質的になる略球状の複合粉体を配合した化粧料。
- 口紅、頬紅、ファンデーション、マニキュア及びアイカラーよりなる群から選ばれた請求項2記載の化粧料。
- ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)よりなる群から選ばれた少なくとも1つの熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の化粧品法定色素から実質的になる熱可塑性樹脂組成物を、この組成物と相溶性のない分散媒と共にこの組成物の融点以上の温度に加熱して混合し、微粒子に分散する工程、及び
得られた熱可塑性樹脂組成物の微粒子をその融点以下の温度に冷却して、平均粒径が1μm以上10μm以下の略球状の複合粉体とする工程、
を含むことを特徴とする
略球状の複合粉体の製造方法。
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