JP3645102B2 - 車両における長尺状部材の凍結防止方法およびその凍結防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道等の車両における長尺状部材の凍結を防止する方法、およびその装置、特には鉄道車両の客車の乗降口を開閉するドアのガイドレール又はガイドのような長尺状部材の凍結を防止する方法およびその凍結防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
降雪や積雪のある地域および寒冷地においては、着雪や凍結さらには融雪水の凍結等々が交通手段である車両の運転に障害を与える場合が多い。特に問題となるのは、鉄道等の公的社会的性質の大量輸送交通機関での障害であり、不特定多数の乗客の安全で確実な輸送を確保する上では重要な問題である。
【0003】
具体的には、車両において車掌等の乗務員の遠隔操作によって客車の多数の乗降口ドアを一斉に開閉する場合である。この乗降口ドアは、乗客を所定の地点間で輸送する場合に確実に開閉することが求められる。しかし、降雪や積雪のある地域および寒冷地では、乗降口ドアに着雪を生じたり凍結を生じたりして当該乗降口ドアが開閉しない場合がある。
【0004】
鉄道等の車両は、降雪がなくてもその走行中に雪を巻き上げて着雪する。また、わずかな水分があるだけでも凍結する。さらには、車両内の暖房等により車両内に浸入した雪が融けてその融水が走行中の風、すなわち走行風を受けて凍結する。そして、これらの着雪や凍結により、乗降口ドアが車掌等の乗務員の遠隔操作によって開閉しなくなるのである。
【0005】
例えば、3つドア10両編成の車両では、全ての乗降口ドア数は30(左右合計60)にも及ぶが、不特定多数の乗客の安全で確実な輸送を確保する上ではこのうちの1つとして、凍結による開閉障害を生じてはならない。
【0006】
そのため、当然にこのような凍結を防止するための手段が用いられている。凍結は、乗降口ドアとそのガイドレール又はガイドとの間において発生する。
【0007】
図4乃至図8を参照して従来の車両における長尺状部材の凍結防止方法およびその装置を説明する。
【0008】
図4は、鉄道車両の遠隔操作による自動開閉ドアの概要を示す図で、(a)は鉄道車両(以下、車両という)の側面図、(b)は車両の1つの乗降口ドアについてそのガイド機構を示す側面図である。図において、車両11の乗降口ドア12は図示しないアクチュエータにより駆動されて乗降口14のガイドレール2に沿って、さらに戸袋13内のガイド15に沿って矢印X方向にスライド移動し、開閉する仕組みであり、その開閉指令は車掌等の乗務員の遠隔操作によりー括して行われる。なお、床1は乗客の搭乗床である。
【0009】
図5は、乗降口のガイドレールの一部切断斜視図である。図において、床1に設けたガイドレール2と乗降口ドア12に設けてある凹条溝16が嵌め合わされていて、このガイドレール2に沿って乗降口ドア12は矢印X方向に移動し開閉する。
【0010】
図6は、戸袋内のガイドの一部切断斜視図である。図において、乗降口ドア12は、断面が「コ」の字状の2つのガイド15によって挟まれて案内され、このガイド15に沿って乗降口ドア12は矢印X方向に移動し開閉する。
【0011】
図7は、従来の車両の乗降口ドア付近の凍結を防止するためのヒータ(以下、凍結防止ヒータという)の配置を示す図で、(a)は乗降口のガイドレールや戸袋内のガイドにヒータを設けている状態を示す図、(b)は(a)において凍結防止ヒータの温度制御を行う場合の構成を示すブロック図である。
【0012】
図7において、乗降口14のガイドレール2や戸袋13内のガイド15にそれぞれシーズヒータ10を設けて加熱し、凍結を防止する仕組みである。それぞれのシーズヒータ10の取り付けは、押さえ板5でシーズヒータ10を押さえて数個の固定ねじ6で固定している。なお、乗降口14のガイドレール2は床1を介してシーズヒータ10により加熱される。シーズヒータ10の発熱線10aには図示しない電源から電力が与えられる。
【0013】
さらには、乗降口ドア12の凍結を確実に防止する必要から、シーズヒータ10のみではなく、加熱部分の温度を温度センサ17で検出し、該加熱部分の温度を予め決めた所定の温度に維持させるための温度制御装置18を備える場合もある。図7(b)はその際の構成を示すブロック図であり、通常のフィードバック制御が用いられている。
【0014】
すなわち、シーズヒータ10によって加熱されるそれぞれの被加熱部、すなわちガイドレール2やガイド15に設けた温度センサ17の温度検出信号TF を温度制御装置18に入力し、この温度制御装置18の温度設定部19に予め設定された温度になるようにシーズヒータ10に供給される電力PH が制御される仕組みである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
温度制御装置18を使用せずにシーズヒータ10のみをガイドレール2やガイド15に設けた場合には、シーズヒータ10の電力(あるいはガイドレール2やガイド15の単位長さ当たりのシーズヒータ10の電力)の選定が極めて難しい。例えば、降雪量が多く気温も最も低い凍結し易い場合にも確実に凍結を防止できる程度のシーズヒータ10の発熱量、すなわち、電力の大きさを選定すると、降雪量が少なく気温も相対的に高い場合にはガイドレール2の温度が過度に上昇し、乗客の乗降に際して熱的ショックを受けるなどの危険を生じる可能性があるからである。
【0016】
さらには、車両が走行している場合には乗降口ドア12やその戸袋13に走行風すなわち外気が吹き当たり、当該部分が急速に冷却されて温度が低下するので、シーズヒータ10の電力を選定する際にはこれによる温度低下も見込んでおく必要があり、これにより前記の危険はさらに大きいものとなる。
【0017】
そこで、この危険を回避しようとしてシーズヒータ10の電力を小さく選定すると、降雪量が多く、気温が低下した際に乗降口ドア12に凍結を生じ、乗客を安全かつ確実に乗降させることができなくなる。
【0018】
また、このような不都合を解消するために温度制御装置18を設けることは必ずしも合理的な選択とはならない。それは、全ての乗降口ドア12のガイドレール2およびガイド15に対して、温度センサ17と温度制御装置18を設ける必要があるからであり、その分だけ車両の購入コストが上昇し、また、車両運行の信頼性の上から行われる、それら温度制御装置18のメンテナンス作業に要するコストも大きな負担となるからである。
【0019】
また、乗降口ドア12のガイドレール2やガイド15等のように、凍結を防止するべき部分が長尺状の場合にあっては、さらに別の問題が発生する。
【0020】
図8は、従来の温度制御を行った場合のガイドレール2およびガイド15の温度分布を示す図であり、図7に示すようにガイドレール2やガイド15の中央位置に温度センサ17を設けて、温度制御装置18により当該箇所の温度を所定の温度に維持するようにした場合の各位置における温度実測例である。図8(a)は乗降口14のガイドレール2の例を示し、(b)は戸袋13内のガイド15の例を示している。なお、図中の記号A,B,C,D,E,Fは、図7(a)において記号A,B,C,D,E,Fが指し示す部分の位置を示している。
【0021】
乗降口ドア12に着雪が多い場合には、車両の走行により乗降口14の両側端部位置A,Cに着雪が集中し易く、当該位置A,Cの温度が低下し易い。すなわち、図8(a)に示すように、ガイドレール2の位置Bにおける温度が予め決めた所定の温度Tgに維持されているが、両側端部位置A,Cにおける温度はTl ,T2 に低下してしまう。そのため、当該位置A,Cに凍結を生じる可能性がある。
【0022】
また、図8(b)に示すように、戸袋13内のガイド15部分の位置Eにおける温度は予め決めた所定の温度Tg に維持されているが、戸袋13の入口位置Dでは温度T3 に低下し、戸袋13内の奥の位置Fでは温度T4 に上昇してしまう。すなわち、戸袋13の入口位置Dでは着雪が発生し、また走行風も吹き当たって温度が低下し、凍結を生じる可能性がある。
【0023】
このように、図8(a)、(b)を参照して説明したような問題を解消するためには、乗降口ドア12のガイドレール2では位置A,B,Cに、それぞれ温度センサ17を設ける必要があり、戸袋13内のガイド15では位置D,E,Fに、それぞれ温度センサ17を設ける必要がある。そして、各温度センサ17の検出温度の平均値で温度制御を行う等の複雑な処理を必要とする。なお、これによっても図8(a)、(b)に示す温度差の発生を解消することはできない。
【0024】
本発明の目的は、温度制御装置を使用したり、複雑な温度制御処理を行わなくても、前記のガイドレールやガイドのような、車両における長尺状部材の凍結を防止できるようにして、特には、不特定多数の乗客を輸送する車両において、その多数の乗降口ドアを遠隔操作によって確実に開閉させ、所定運行時間に則って、それら乗客を安全かつ確実に、乗客が希望する所定区間を輸送できるようにすることにある。
【0025】
また、安全かつ確実に凍結を防止するためのヒータ電力の決定方法を確立し、さらに、鉄道のように公的社会的性質の輸送機関の車両に用いられて、運行の信頼性を確実に保証できる凍結防止装置を得ることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、銅の板条部材を介して自己温度制御型ヒータにより車両のガイドレールなどの長尺状部材を加熱することにより凍結を防止するように構成したところに特徴があり、さらには車両において、そのヒータの電力を決定する際の基準を確立して、安全かつ確実に凍結を防止できるようにしたところに特徴がある。
【0027】
自己温度制御機能すなわちPTC特性のある自己温度制御型ヒータは、所定の電圧において、ヒータ自体の温度によりその抵抗値が変化し、つまり該温度を所定の温度範囲に維持するようにその抵抗値が変化してその消費電力が変化する。
【0028】
したがって、温度制御装置を使用することなく長尺状部材を加熱して所定の温度範囲に維持し、当該部材を過度に加熱することなく、また凍結する程度に温度低下させることなく、その凍結を防止することができる。さらに、自己温度制御されるので必要以上に被凍結防止部分である長尺状部材の温度が上昇することもない。
【0029】
自己温度制御型ヒータには、ヒータの各部分がその温度により部分的に抵抗値が変化し当該部分の電力を変化させることができる並列型のヒータと、部分的に抵抗値が変化してもヒータ全体としてその電力を変化させる直列型のヒータとがある。そして、並列型のヒータは部分的な温度低下に対しても当該部分の温度を所定の温度に維持しようとするため、長尺状部材の凍結防止には好適である。また、直列型のヒータも長尺状各部間に長尺状の銅板を介するなどの熱伝導率を特に良好にするための手段を用いることにより、前記のような部分的な温度低下を防止して所定の温度に維持し、その凍結を効果的に防止することができる。
【0030】
(1)すなわち、本発明の車両における長尺部材の凍結防止方法は、それぞれが複数の乗降口ドア12を有する複数の車両11の所定数の前記乗降口ドアを遠隔操作によって一斉に開閉する前記各車両に備えられている前記乗降口ドアをガイドする長尺状のガイドレール2又はガイド15に沿って長尺状のヒータをそれぞれ設け、前記ヒータに電力を供給して前記ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止する車両における長尺状部材の凍結防止方法であって、前記ヒータとして自己温度制御型ヒータ4を用い、前記各自己温度制御型ヒータと前記各ガイドレール又はガイドとの間に銅の板条部材3を介して該各ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止することである。
【0031】
複数の車両11においては、多数の乗降口ドアが車掌等の乗務員の遠隔操作により一斉に開閉する仕組みとなっている。したがって、不特定多数の乗客を安全、かつ確実にその運行時間に合わせて所定区間に輸送するためには、いずれの乗降口ドアも凍結することなく、安全かつ確実に開閉する必要がある。しかも、乗客に対する高温度の危険はあってはならない。さらに、車両コストやメンテナンスコストの上昇は即運賃の上昇という乗客の負担となって跳ね返ってしまうので、それは避ける必要がある。
【0032】
また、車両の走行や停止に係わりなく、着雪や走行風の影響を排除して常に確実に前記の事項を満足する必要がある。
【0033】
前記したように、自己温度制御機能すなわちPTC特性のある自己温度制御型ヒータは、ヒータ自体の温度によりその抵抗値が変化し、つまり印加する電圧が一定であっても該温度を所定の温度範囲に維持するようにその抵抗値が変化してその消費電力が変化する。
【0034】
したがって、この自己温度制御型ヒータを用いることによって温度制御装置を使用することなく前記ガイドレール等の長尺状部材を加熱して所定の温度範囲に維持し、当該部材を必要以上に加熱することなく、また凍結する程度に温度低下させることなく、その凍結を防止することができる。
【0035】
すなわち、複数の車両において多数ある乗降口ドアのそれぞれの凍結を確実に防止し、しかも乗客に対する高温度の危険性もなく安全である。したがって、所定の運行を維持することが可能となり、また、温度制御装置等も不要であり車両コストやメンテナンスコストの上昇もない。
【0036】
また、シーズヒータの外装パイプの部材としては耐環境性が優れていることからステンレス部材が使用されている。また、車両の構造物は基本的に鉄や鋼材が使用されている。例えば、車両の乗降口ドアのガイドレールやその床には構造部材として鉄部材が使用されている。
【0037】
ステンレスの熱伝導率は約14kca1/mh℃であり、鋼は約37kcal/mh℃である。ところで、ニッケルと鉄との合金系の自己温度制御型発熱線7を内部に有するシーズヒータは、直列型の自己温度制御型ヒータであり、部分的な温度低下や上昇に対してヒータ全体の電力を上昇させたり低下させたりするように作用する。
【0038】
したがって、ガイドレールのような長尺状部材において、部分的に温度の低い部分や温度の高い部分を生じないようにするためには、好ましくは各部相互間の熱伝導率を良好にすることである。すなわち、銅の板条部材を介して凍結防止ヒータを設けることである。銅の熱伝導率は約332kca1/mh℃であり、ステンレスや鋼の約10〜20倍の熱伝導率である。この熱伝導率の良好な層をヒータとガイドレールとの間に設けたことによりガイドレールの一部分が温度低下したり上昇したりすることがなくなる。銅の板条部材を介することは、シーズヒータ以外の凍結防止ヒータについても同様の効果が生じる。
【0039】
(2)、本発明は、さらに車両における長尺状部材の凍結防止方法において、前記車両が使用される地域の平均温度をTd(℃)とした際に、ガイドレール2又はガイド15の表面温度Tg(℃)を55(℃)>〔Tg(℃)+Td(℃)〕>45(℃)とするように前記ガイドレール又はガイドの単位長さ当たりにおける前記自己温度制御型ヒータの電力を決めることである。
【0040】
降雪と積雪のある寒冷地において気温が−25℃の際に、着雪があり、さらに走行速度60〜90km/h相当の走行風すなわち風速約16〜25m/secの風がある環境において、乗降口ドアがガイドレールに凍結しないようにするためには、着雪と走行風が無い状態において前記ガイドレールの表面温度が少なくとも約70℃程度必要である。この温度は実際に北海道において実験により確認された値である。この温度以下では乗降口ドアが凍結する場合がある。また、この温度が高すぎる場合には乗客に対する危険性があり、したがって、この温度は着雪と走行風が無い状態において80℃程度に設定することが望ましい。
【0041】
自己温度制御型ヒータからの熱伝導経路の熱伝導率は一定であるから、対象となる最低気温が上昇すればそれに合わせてガイドレールの表面温度も低くても良い。したがって、車両11が使用される地域の過去10年間の平均最低気温をTd(℃)とした際に、ガイドレールの表面温度Tg(℃)を、55℃>(Tg+Td)>45℃とするように該ガイドレールの単位長さ当たりにおける自己温度制御型ヒータの電力を決めることにより、車両の客車においてその乗降口ドアを安全かつ確実に凍結防止することができる。ガイドについても同様に温度設定をすることができる。
【0042】
(3)また、本発明は、前記(1)又は(2)の車両における長尺状部材の凍結防止方法において、前記自己温度制御型ヒータとして、ニッケルと鉄との合金系である自己温度制御型発熱線7を使用した自己温度制御型シーズヒータ4を使用することである。
【0043】
車両11に用いられる凍結防止ヒータには、振動等の過酷な加速度に対する耐久性が必要である。また、外部から加わる力に対しても強固である必要がある。
【0044】
そのため、これらを満たすヒータ形式としてはシーズヒータが好適である。さらに、ニッケルと鉄との合金系の発熱線は自己温度制御性があり、シーズヒータ内に用いられる発熱線として好適である。
【0045】
(4)本発明の車両11における長尺状部材の凍結防止装置は、それぞれが複数の乗降口ドア12を有する複数の車両の所定数の前記乗降口ドアを遠隔操作によって一斉に開閉する前記各車両に備えられている前記乗降口ドアをガイドする長尺状のガイドレール2又はガイド15に沿ってそれぞれ設けられた長尺状のヒータと、前記ヒータに電力を供給する電源とを備えた車両における長尺部材の凍結防止装置であって、前記ヒータが自己温度制御型ヒータであり、前記各自己温度制御型ヒータと前記各ガイドレール又はガイドとの間に銅の板条部材3を設け、前記各ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止するものである。
【0046】
これは、本発明の第1の実施形態を実現する車両における長尺部材の凍結防止装置である。
【0047】
(5)また、本発明の車両11における長尺状部分の凍結防止装置は、前記自己温度制御型ヒータが、ニッケルと鉄との合金系である自己温度制御型発熱線7を使用した自己温度制御型シーズヒータ4であることである。
【0048】
これは、本発明の第2の実施形態を実現する車両における長尺部材の凍結防止装置である。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明は次のような実施の形態の一例において実施することができる。
【0050】
(1)凍結防止ヒータとその取り付け構造
本発明で使用する凍結防止ヒータの一例は自己温度制御型シーズヒータであり、その発熱線にはニッケルと鉄との合金系の発熱線を使用する。ニッケルと鉄との合金系の発熱線は自己温度制御性がある。
【0051】
図1を参照して、本発明の一実施形態に使用される自己温度制御型ヒータの抵抗変化率を説明する。
【0052】
図1は、自己温度制御型ヒータの抵抗変化率の一例を示す図で、図1(a)は直列型の自己温度制御型ヒータに用いられるニッケルと鉄との合金系の発熱線の例を示し、図1(b)は並列型の自己温度制御型ヒータである高分子化合物系ヒータの例を示す。なお、図1(a)、(b)において横軸はヒータ温度を表し、縦軸はヒータの抵抗変化率を表している。
【0053】
図1(a)、(b)に示すように、自己温度制御型ヒータは温度の上昇に合わせて抵抗値が上昇する。すなわち、自己温度制御型ヒータは、所定の電圧(一定)を印加して使用する場合においては、その消費電力が温度上昇にともなって減少するように作用して発熱温度が所定の範囲に収斂するように作動する。なお、図1の例では高分子化合物系ヒータの方の抵抗変化率が大きい。
【0054】
ニッケルと鉄との合金系の発熱線を使用した本実施形態のシーズヒータ、すなわち自己温度制御型シーズヒータ4は、従来例と同じ位置に、すなわち図7(a)に示すように車両(鉄道車両の客車)の乗降口14にある乗降口ドア12のガイドレール2の下部と、戸袋13内のガイド15に取り付ける。また、本実施形態の一例の凍結防止ヒータの外形は、図7(a)に示すシーズヒータ10と同じように、「U」字型のシーズヒータである。
【0055】
図2を参照して、本発明の実施形態の一例における自己温度制御型シーズヒータとその取り付け構造を説明する。
【0056】
図2は、自己温度制御型シーズヒータとその取り付け構造を示す図で、図2(a)は、図7(a)における乗降口ドア12のガイドレール2付近の断面図、図2(b)は、(a)のI−I′拡大断面図である。図2において、ガイドレール2は、図7と同様に車両11の乗降口14の床1に乗降口ドア12をガイドするために設けられている。ガイドレール2が設けられている床1の下側には、自己温度制御型シーズヒータ4がガイドレール2よりやや長い銅の板条部材3を介して押え板5によって押えられ、固定ねじ6によって床1に固定されている。この自己温度制御型シーズヒータ4は、図2(a)の右側で折り返されていて、図2(b)においては2条になって表われている。凍結防止ヒータとして用いる自己温度制御型ヒータに直列型の自己温度制御型シーズヒータを使用し、自己温度制御型シーズヒータ4とガイドレール2との間に銅の板条部材3を介層している。
【0057】
厳密には自己温度制御型シーズヒータ4とガイドレール2との間には床1があるが、凍結防止上ではこの床1もガイドレール2の一部と考えられる。
【0058】
なお、押え板5と固定ねじ6で自己温度制御型シーズヒータ4を取り付ける点は従来例と同様である。また、図面は省略するが、図7に示す戸袋13内のガイド15に設ける凍結防止ヒータの取り付け構造についても、図1のガイドレール2の場合と同様に銅の板条部材3を介層する。
【0059】
銅板は優れた熱伝導体である。凍結防止ヒータに用いる自己温度制御型シーズヒータ4の外装パイプ部材として使用されるステンレスの熱伝導率は約14kca1/mh℃であり、床1やガイドレール2に使用されている鉄部材の熱伝導率は約37kca1/mh℃であるのに対し、銅の熱伝導率は約332kca1/mh℃であり、ステンレスや鉄、鋼等の約10〜20倍の熱伝導率である。
【0060】
本発明の実施形態の一例の凍結防止ヒータは直列型の自己温度制御型シーズヒータ4であるが、長尺状の被加熱部材であるガイドレール2との間に熱伝導率の極めて良好な銅の板条部材3を介層させたことにより、部分的な温度低下は自己温度制御型シーズヒータ4全体の消費電力の増加により補完されて温度制御が効果的に行なわれる。
【0061】
また、並列型の自己温度制御型ヒータの例として、例えば実公平7−49759号公報に記載されたヒータがある。このヒータは、長手方向に延在する2つの電極間に帯状に充填された導電性の高分子化合物のPTC組成物が、その温度によりPTC組成物自体の導電率が変化して、電流が制御され消費電力すなわち発熱量が変化する。このような働きは、2つの電極間の長手方向の一部分においても行われるので、部分的な温度低下に対しては部分的な消費電力の増大として発熱量が増大し、その部分の温度が所定の範囲に収斂するように作用する。
【0062】
このような並列型の自己温度制御型ヒータも凍結防止ヒータとして使用することができる。そして、その取り付け構造も図2に示す直列型の自己温度制御型シーズヒータ4の場合と同様で良い。この並列型の自己温度制御型ヒータは部分的に多量の着雪が生じた場合や車両の走行風により部分的に温度低下を生じる場合においては、特別に有効である。すなわち、当該部分のみの発熱量の増大によってその温度低下ひいては当該部分の凍結を防止するように作用するからである。
【0063】
但し、この並列型の自己温度制御型ヒータは、車両のように振動等による激しい加速度を受ける環境の中では、その耐久性がシーズヒータよりも劣っている。
【0064】
(2)作動例
図3を参照して、本発明の実施形態の一例について、その動作を説明する。
【0065】
図3は、前記の実施形態について、車両における、長尺状のガイドレール2の各位置における温度分布を測定した一例を示す図である。なお、横軸は位置を表し記号A,B,Cは図7(a)の乗降口14におけるガイドレール2の位置と同じ位置を表している。
【0066】
そして、図3(a)はニッケルと鉄との合金系の発熱線による自己温度制御型シーズヒータ4を凍結防止ヒータとして使用した場合の例、すなわち直列型の自己温度制御型シーズヒータ4を使用した例であり、図3(b)は高分子化合物による並列型の自己温度制御型ヒータを使用した例である。
【0067】
図3(a),(b)は、乗降口14の両端部分すなわち位置A,Cにおいて着雪と走行風により温度低下を生じた場合に、凍結防止ヒータがどのように作動するかを示している。温度Tgは予め決められたガイドレール2の温度であり、T1 ,T2 は着雪と走行風により低下した位置A,Cにおける温度を表している。
【0068】
車両等では、走行に伴ってその乗降口14の両側端に着雪を生じやすくまた走行風も吹き当たるので、該両側端A,Cの温度が低下しやすく、凍結も相対的に生じ易い。
【0069】
図3(a)の直列型の自己温度制御型シーズヒータ4の場合、すなわち本発明の実施形態の一例のシーズヒータの場合では、同図の破線に例示したように位置A,BおよびCにおける温度はそれぞれTl ,Tg およびT2 となるが、低下した温度Tl ,T2 により、自己温度制御型シーズヒータ4の消費電力が増大して、その温度が一点鎖線で示すように△Tだけ上昇する。これにより、乗降口両側端の位置A,Cのガイドレール2の温度もそれぞれ△Tだけ上昇し、Tl +△TおよびT2 +△Tとなる。さらに、銅の板条部材3による熱伝導により、位置A,Cの温度がdTl ,dT2 だけ上昇し、最終的には乗降口両側端の位置A,Cのガイドレール2の温度は実線で示すようにTl +△T+dTl およびT2 +△T+dT2 に上昇し、当該位置における凍結が防止される。この場合、ガイドレール2と自己温度制御型シーズヒータ4との間に銅の板条状部材3を介層させているので、乗降口両側端の位置A,Cのガイドレール2の温度低下は自己温度制御型シーズヒータ4の温度の上昇で補完される。
【0070】
この場合に、予め決めるガイドレール2の表面温度Tgは、車両の場合にあっては、その車両の運行状態やその走行する地域の気象条件等の環境条件により決める。例えば、気温や車両の走行速度、着雪状態等により設定する。
【0071】
本発明者は、この温度Tgを車両に乗客を乗せて運行する条件において、乗客に対する高温での安全性を考慮して実験的に求めた。
【0072】
すなわち、降雪と積雪のある寒冷地において気温が−25℃の際に、着雪があり、さらに走行速度60〜90km/h相当の走行風すなわち風速約16〜25m/secの風がある環境において、乗降口ドア12がガイドレール2に凍結しない条件を求めた。そしてこのような条件で凍結を生じないようにするためには、着雪と走行風が無い状態において前記ガイドレール2の表面温度が少なくとも約70℃程度必要であることが確認された。
【0073】
この温度約70℃は、実際に北海道において実験により確認された値である。この温度以下では乗降口ドア12が凍結する場合がある。また、この温度が高すぎる場合には乗客に対する危険性があり、したがって、この温度は着雪と走行風が無い状態において80℃程度に設定することが望ましい。
【0074】
自己温度制御型シーズヒータ4からガイドレール2に至る熱伝導の経路における熱伝導率は一定であるから、対象となる最低気温が上昇すればそれに合わせてガイドレール2の表面温度も低くても良い。したがって、車両11が使用される地域の年間の最低気温の数年(10年程度)間の平均最低気温をTd(℃)とした際に、ガイドレール2の表面温度Tg(℃)を、55℃>〔Tg(℃)+Td(℃)〕>45℃とするように該ガイドレール2の単位長さ当たりにおける自己温度制御型シーズヒータ4の電力を決めることにより、車両11の客車においてその乗降口ドア12を安全かつ確実に凍結防止することができる。
【0075】
例えば、平均最低気温が−15℃の地域では、70℃>Tg>60℃となるように、ガイドレール2の単位長さ当たりひいては自己温度制御型シーズヒータ4の単位長さ当たりの電力を決めればよい。ここで、単位長さ当たりの電力で規定しているのは、凍結を防止するべき長尺状のガイドレール2の長さに合わせて自己温度制御型シーズヒータ4の長さも決めるからであり、総電力では規定できないためである。
【0076】
ちなみに、先の北海道における実験では、全長140cmのガイドレールの場合における自己温度制御型シーズヒータ4の定格総電力は700Wであった。したがって、凍結防止に必要となる長尺状のガイドレール2の単位長さあたりの自己温度制御型シーズヒータ4の電力は5W/cmとなる。
【0077】
次に、図3(b)に示す並列型の自己温度制御型ヒータの場合について説明する。すなわち、この場合は同図の破線に例示したように位置A,Cの温度はTl ,T2 に低下することにより、同位置A,C部分における自己温度制御型ヒータ4の消費電力が部分的に増大し、位置Aではその温度が△Tl だけ上昇し、位置Cではその温度が△T2 だけ上昇する。
【0078】
これにより、乗降口14の両側端の位置A,Cのガイドレール2の温度はTl +△Tl およびT2 +△T2 に上昇し、さらに、銅の板条部材3による熱伝導により、温度がそれぞれdT3 およびdT4 だけ上昇し、最終的には乗降口14の両側端の位置AおよびCのガイドレール2の温度はTl +△Tl +dT3 およびT2 +△T2 +dT4 に上昇し、当該位置における凍結が防止される。
【0079】
この図3(b)に例示した並列型の自己温度制御型ヒータの場合は、位置Bにおける温度はTgのまま殆んど変化しない。この点が、自己温度制御型ヒータ4の優れた特徴点である。これに対し図3(a)に例示した直列型の自己温度制御型シーズヒータ4の場合は、位置Bにおける温度はTgからTg+△Tに若干上昇する。
【0080】
しかし、車両のように、絶えず発生する振動の激しい加速度の環境に曝される場合にあっては、自己温度制御型シーズヒータ4の方が堅牢であり耐久性に優れており車両に用いるには好適である。特に、不特定多数の乗客を所定の運行時間に則って所定の区間に安全確実に輸送する公的社会的性格の強い鉄道車両にあっては、このことは極めて重要な事項である。
【0081】
なお、並列型の自己温度制御型ヒータの場合においても、ガイドレールの表面温度の選択やヒータ電力の選択は直列型の場合と同様である。
【0082】
以上の発明の実施形態の一例において説明したように、温度制御装置を使用することなく所定の温度で安全かつ確実に凍結を防止することができるようになる。また、部分的な温度低下に対しても、多数の温度センサを使用して平均値処理等の複雑な処理を行う必要もない。
【0083】
ガイド15についても、同様に温度を設定することができ、有効な温度補正を行うことができる。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、絶えず振動を発生する車両の環境においては、電子回路からなる複雑な温度制御装置や長尺状部材の各部に多数のセンサを配置することは、その耐久性から信頼性が低下し易く、信頼性維持のためのメンテナンス作業が煩雑となり好適ではなかった。
【0085】
しかし、本発明の車両における長尺状部材の凍結防止方法およびその凍結防止装置によれば、温度制御装置や多数の温度センサ、また各温度センサの平均値処理等の複雑な処理を使用しなくても、車両における長尺状部材の各部の凍結を確実に防止することができる。
【0086】
本発明は、それぞれが複数の乗降口ドアを有する複数の車両の所定数の前記乗降口ドアを遠隔操作によって一斉に開閉する前記各車両に備えられている前記乗降口ドアをガイドする長尺状のガイドレール又はガイドに沿って長尺状のヒータをそれぞれ設け、前記ヒータに電力を供給して前記ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止する車両における長尺状部材の凍結防止方法であって、前記ヒータとしてPTC特性を有し該ヒータ自体の温度によりその抵抗値が変化して該温度を所定の温度範囲に維持するように自らその消費電力を変化する自己温度制御型ヒータを用い、前記各自己温度制御型ヒータと前記各ガイドレール又はガイドとの間に銅の板条部材を介して前記各ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止するようにしたので、複数の客車を連結した車両の複数の乗降口ドアの凍結を防止する場合にあっては好適である。これらの乗降口ドアは車掌等の乗務員の遠隔操作によって一斉に開閉されるが、決められた運行時間に則って不特定多数の乗客を所定区間に安全かつ確実に、しかもできるだけ低コストで輸送する社会的責務があるからである。
【0087】
すなわち、その乗降口ドアの長尺状のガイドレールやガイドの凍結防止方法として、温度制御装置やドアごとに複数の温度センサを使用することも不要であり、車両の走行という特有な環境において発生する部分的な温度低下、すなわち部分的な凍結を生じやすい場合において、銅の板条部材を介して自己温度制御型ヒータを設置するのみでそれらの凍結を防止することができる。しかも乗客に対する高温の危険性もない。したがって、車両コストやメンテナンスコストを低く抑えて、安全で確実かつ低運賃の輸送が可能となる。
【0088】
また、前記車両が使用される地域の平均最低温度をTd(℃)とした際に、ガイドレール又はガイドの表面温度Tg(℃)を、55(℃)>〔Tg(℃)+Td(℃)〕>45(℃)とするように該ガイドレール又はガイドの単位長さ当たりにおける前記自己温度制御型ヒータの電力を決めるようにしたので、走行する車両において安全で確実に凍結防止をするためのヒータ電力の選択方法を確立し、長尺状のガイドレールの凍結を防止する際の工学的利用が可能となり、客車等の設計作業が容易となる。
【0089】
さらに本発明は、前記自己温度制御型ヒータとして、ニッケルと鉄の合金系である自己温度制御型発熱線を使用した自己温度制御型シーズヒータを使用するので、車両のように、絶えず発生する振動の激しい加速度の環境に曝される場合に、堅牢であり耐久性に優れている。
【0090】
さらに、本発明の車両における長尺状部材の凍結防止装置は、それぞれが複数の乗降口ドアを有する複数の車両の所定数の前記乗降口ドアを遠隔操作によって一斉に開閉する前記各車両に備えられている前記乗降口ドアをガイドする長尺状のガイドレール又はガイドに沿ってそれぞれ設けられた長尺状のヒータと、前記ヒータに電力を供給する電源とを備えた車両における長尺状部材の凍結防止装置であって、前記ヒータがPTC特性を有し該ヒータ自体の温度によりその抵抗値が変化して該温度を所定の温度範囲に維持するように自らその消費電力を変化する自己温度制御型ヒータであり、前記各自己温度制御型ヒータと前記各ガイドレール又はガイドとの間に銅の板条部材を設け、前記各ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止するようにしたので、温度制御装置が不要で、均一で安全かつ確実にガイドレール又はガイドの温度の低下をより一層良好に防止して所定の値に保って、凍結防止をすることができる。
【0091】
また、本発明の車両における長尺状部材の凍結防止装置は、前記自己温度制御型ヒータが、ニッケルと鉄との合金系である自己温度制御型発熱線を使用した自己温度制御型シーズヒータであるので、車両のように、絶えず発生する振動の激しい加速度の環境に対して好適な装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自己温度制御型ヒータの抵抗変化率の一例を示す図である。
【図2】自己温度制御型シーズヒータとその取り付け構造を示す図である。
【図3】長尺状のガイドレールの各位置における温度分布を測定した一例を示す図である。
【図4】車両の遠隔操作による自動開閉ドアの概要を示す図である。
【図5】乗降口のガイドレール部分の一部切断斜視図である。
【図6】戸袋内のガイド部分の一部切断斜視図である。
【図7】従来の車両の乗降口ドア付近の凍結防止ヒータの配置を示す図である。
【図8】従来の温度制御を行った場合のガイドレールおよびガイドの温度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 床
2 ガイドレール
3 銅の板条部材
4 自己温度制御型シーズヒータ
5 押え板
6 固定ねじ
7 自己温度制御型発熱線
11 車両(客車)
12 乗降口ドア
13 戸袋
14 乗降口
15 ガイド
16 凹条溝
Claims (5)
- それぞれが複数の乗降口ドアを有する複数の車両の所定数の前記乗降口ドアを遠隔操作によって一斉に開閉する前記各車両に備えられている前記乗降口ドアをガイドする長尺状のガイドレール又はガイドに沿って長尺状のヒータをそれぞれ設け、前記ヒータに電力を供給して前記ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止する車両における長尺状部材の凍結防止方法であって、
前記ヒータとしてPTC特性を有し該ヒータ自体の温度によりその抵抗値が変化して該温度を所定の温度範囲に維持するように自らその消費電力を変化する自己温度制御型ヒータを用い、前記各自己温度制御型ヒータと前記各ガイドレール又はガイドとの間に銅の板条部材を介して前記各ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止することを特徴とする車両における長尺状部材の凍結防止方法。 - 前記車両が使用される地域の平均最低気温をTd(℃)とした際に、前記ガイドレール又はガイドの表面温度Tg(℃)を、55(℃)>〔Tg(℃)+Td(℃)〕>45(℃)とするように前記ガイドレール又はガイドの単位長さ当たりにおける前記自己温度制御型ヒータの電力を決めることを特徴とする請求項1に記載された車両における長尺状部材の凍結防止方法。
- 前記自己温度制御型ヒータとして、ニッケルと鉄との合金系である自己温度制御型発熱線を使用した自己温度制御型シーズヒータを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載された車両における長尺状部材の凍結防止方法。
- それぞれが複数の乗降口ドアを有する複数の車両の所定数の前記乗降口ドアを遠隔操作によって一斉に開閉する前記各車両に備えられている前記乗降口ドアをガイドする長尺状のガイドレール又はガイドに沿ってそれぞれ設けられた長尺状のヒータと、前記ヒータに電力を供給する電源とを備えた車両における長尺状部材の凍結防止装置であって、
前記ヒータがPTC特性を有し該ヒータ自体の温度によりその抵抗値が変化して該温度を所定の温度範囲に維持するように自らその消費電力を変化する自己温度制御型ヒータであり、前記各自己温度制御型ヒータと前記各ガイドレール又はガイドとの間に銅の板条部材を設け、前記各ガイドレール又はガイドを熱伝導により加熱して凍結を防止することを特徴とする車両における長尺状部材の凍結防止装置。 - 前記自己温度制御型ヒータが、ニッケルと鉄との合金系である自己温度制御型発熱線を使用した自己温度制御型シーズヒータであることを特徴とする請求項4に記載された車両における長尺状部材の凍結防止装置。
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